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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180996
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】薬剤収容体および薬剤揮発具
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20221130BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20221130BHJP
   A61L 9/012 20060101ALN20221130BHJP
【FI】
B65D85/00 A
A01M1/20 C
A61L9/012
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087807
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】戸川 明彦
【テーマコード(参考)】
2B121
3E068
4C180
【Fターム(参考)】
2B121CA02
2B121CA15
2B121CA16
2B121CC02
2B121CC03
2B121CC04
2B121CC21
2B121CC31
3E068AA35
3E068AB10
3E068AC10
3E068BB17
3E068BB20
3E068CC12
3E068CE06
3E068DD07
3E068DD40
3E068DE13
3E068EE17
3E068EE25
3E068EE26
4C180AA02
4C180AA03
4C180AA07
4C180AA18
4C180CA06
4C180GG12
4C180GG16
4C180GG19
4C180LL06
(57)【要約】
【課題】商品購入時における薬剤の液面高さを高くでき購入者に不快な思いさせることがない薬剤収容体および薬剤揮発具を提供すること。
【解決手段】収容体本体22の凹部2204の底面2204Aに、薬剤収容空間2828の長さ方向に延在する突条2210が設けられている。ケース14は、薬剤収容体12を収容する収容室18を有し、収容室18は、薬剤揮発具1010の使用状態で、突条2210の延在方向が上下方向に向くように形成されている。また、凹部2204の底面2204Aに、下部から上部に至るにつれて次第に封止シート24から離れる傾斜面2240が形成され、傾斜面2240の内側に位置する薬剤収容空間28の一部は、薬剤揮発具10の使用状態で、下部の容積よりも上部の容積が大きく形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容体本体とこの収容体本体に取着された封止シートとで形成された薬剤収容空間と、前記薬剤収容空間に収容された液状で揮発性の薬剤と、前記封止シートに剥離可能に貼着された剥離フィルムとを備え、
前記収容体本体と前記剥離フィルムは、気体および前記薬剤の透過を不能とした素材で形成され、
前記封止シートは、前記薬剤の透過を可能とした素材で形成されている薬剤収容体であって、
前記薬剤収容空間の少なくとも一部は、前記薬剤収容体の使用状態で、下部の容積よりも上部の容積が大きく形成されている、
ことを特徴とする薬剤収容体。
【請求項2】
前記封止シートは、前記薬剤の透過を可能としかつ伸縮性を有する素材で形成されており、
前記収容体本体に、前記封止シートに接触しない高さで前記薬剤収容空間内に突出し前記薬剤収容体の使用状態で上下方向に延在する突条が延在形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の薬剤収容体。
【請求項3】
薬剤収容体とケースとを備え、
前記薬剤収容体は、収容体本体とこの収容体本体に取着された封止シートとで形成された薬剤収容空間と、前記薬剤収容空間に収容された液状で揮発性の薬剤と、前記封止シートに剥離可能に貼着された剥離フィルムとを含んで構成され、
前記ケースは、前記薬剤収容体を取り出し可能に収容する収容室を有し、
前記収容体本体と前記剥離フィルムは、気体および前記薬剤の透過を不能とした素材で形成され、
前記封止シートは、前記薬剤の透過を可能とした素材で形成されている薬剤揮発具であって、
前記薬剤収容空間の少なくとも一部は、前記薬剤揮発具の使用状態で、下部の容積よりも上部の容積が大きく形成されている、
ことを特徴とする薬剤揮発具。
【請求項4】
前記封止シートは、前記薬剤の透過を可能としかつ伸縮性を有する素材で形成されており、
前記収容体本体に、前記封止シートに接触しない高さで前記薬剤収容空間内に突出し前記薬剤揮発具の使用状態で上下方向に延在する突条が延在形成されている、
ことを特徴とする請求項3記載の薬剤揮発具。
【請求項5】
前記薬剤収容体または前記薬剤揮発具の使用状態で、前記突条は、前記薬剤収容空間の下部から上部にわたって延在している、
ことを特徴とする請求項2記載の薬剤収容体または請求項4記載の薬剤揮発具。
【請求項6】
前記薬剤収容体または前記薬剤揮発具の使用状態で、前記薬剤収容空間は、上下方向に延在する長さと、前記長さ方向と直交する方向の幅と、前記長さ方向および前記幅方向に直交する方向の厚さとを有し、
前記突条は前記厚さ方向に突出しており、
前記突条は前記幅方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載の薬剤収容体または請求項4記載の薬剤揮発具または請求項5記載の薬剤収容体または薬剤揮発具。
【請求項7】
前記薬剤収容体は、外周フランジとその内側に形成された凹部とを有し、
前記封止シートは前記外周フランジに取着され、
前記薬剤収容空間は前記封止シートと前記凹部との間に形成され、
前記凹部は、前記封止シートに対向する底面と、前記底面の周囲から起立し前記外周フランジに接続する側面とを含んで構成され、
前記突条は前記底面に設けられ、
前記底面から離れた前記突条の先部は、前記底面に平行する平面からなる頂面であるいは前記底面から離れる方向に凸状の緩やかな湾曲面からなる頂面で形成されている、
ことを特徴とする請求項2記載の薬剤収容体または請求項4記載の薬剤揮発具または請求項5または6記載の薬剤収容体または薬剤揮発具。
【請求項8】
前記ケースは、正面と、背面と、それら正面と背面とを接続する側面とを有し、
前記薬剤収容体は、前記収容体本体を前記正面に向け、前記封止シートおよび剥離フィルムを前記背面に向けて前記収容室に収容され、
前記薬剤揮発具の使用状態で、前記薬剤収容空間の下部に位置する前記底面の箇所に、前記封止シートから離れる方向に突出し前記薬剤収容空間に開放状の筒状の突出部が設けられ、
前記ケースの前記正面には、前記突出部の先端の頂面を前記ケースの外部に露出させる窓が形成されている、
ことを特徴とする請求項7記載の薬剤揮発具。
【請求項9】
前記底面の箇所に、前記薬剤収容体または前記薬剤揮発具の使用状態で、下部から上部に至るにつれて次第に前記封止シートから離れ前記薬剤収容空間の容積を下部から上部に至るにつれて次第に大きくする傾斜面が設けられ、
前記薬剤収容空間の少なくとも一部は、前記傾斜面と前記封止シートとの間の箇所である、
ことを特徴とする請求項7記載の薬剤収容体または薬剤揮発具または請求項8記載の薬剤揮発具。
【請求項10】
前記傾斜面は、前記薬剤収容体または前記薬剤揮発具の使用状態で、上下方向と直交する前記薬剤収容空間の幅方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項9記載の薬剤収容体または薬剤揮発具。
【請求項11】
前記傾斜面は、前記薬剤収容体または前記薬剤揮発具の使用状態で、前記突出部の両側の底面の箇所に上下方向と直交する幅を有して一対設けられ、
前記突条は、前記一対の傾斜面の前記幅方向の中間部にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項9または10記載の薬剤収容体または薬剤揮発具。
【請求項12】
前記薬剤揮発具の使用状態で前記ケースは適宜箇所に載置され、
前記ケースが載置された状態で前記正面、前記窓、前記突出部の頂面は斜め上方を向いている、
ことを特徴とする請求項8記載の薬剤揮発具、または、請求項8を引用する請求項9記載の薬剤揮発具、または、請求項8を引用する請求項9に従属する請求項10または11記載の薬剤揮発具。
【請求項13】
前記ケースは、前記正面を構成する正面分割体と、前記正面分割体に係脱可能に結合される背面分割体とを備え、
前記背面分割体は、前記側面を構成する側面部と、前記背面を構成し前記剥離フィルムが対向する背面部とを有し、
前記背面部には複数の開口部が設けられ、
前記剥離フィルムよりも前記正面側に位置する前記側面部の箇所に複数の開口部が設けられ、
前記窓の内周面と前記突出部との間に環状の隙間が確保されている、
ことを特徴とする請求項8記載の薬剤揮発具、または、請求項8を引用する請求項9または12記載の薬剤揮発具、または、請求項8を引用する請求項9に従属する請求項10または請求項11記載の薬剤揮発具。
【請求項14】
前記薬剤収容体を平面視した場合、前記収容体本体と前記封止シートと前記剥離フィルムとは同一の輪郭を有し、
前記輪郭は、前記薬剤収容空間の外周に沿った第1の輪郭と、前記第1の輪郭から突出する第2の輪郭とを有し、
前記第1の輪郭と第2の輪郭の境の箇所に位置する前記収容体本体と前記封止シートの箇所に切り取り可能な切り取り線が形成され、
前記第2の輪郭の箇所に位置する前記収容体本体と前記封止シートと前記剥離フィルムの箇所は相互に一体的に取着されてつまみ片が構成され、
前記つまみは前記切り取り線から前記第2の輪郭上に折り畳まれて前記収容室に収容されている、
ことを特徴とする請求項3~13の何れか1項記載の薬剤揮発具。
【請求項15】
前記ケースには、前記収容室内で前記薬剤収容体を移動不能に収容させる薬剤収容体規制部が設けられている、
ことを特徴とする請求項3~14の何れか1項記載の薬剤揮発具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、防虫剤などの揮発性薬剤が収容された薬剤収容体と、この薬剤収容体を収容した薬剤揮発具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香剤、防虫剤などの揮発性薬剤が収容された薬剤収容体は、透明な材料からなり外周フランジとその内側の凹部とを有する収容体本体と、外周フランジに取着され凹部との間に薬剤収容空間を形成する閉塞シートと、前記閉塞シートに剥離可能に貼着された剥離フィルムと、前記薬剤収容空間に収容された揮発性の液体の薬剤とを含んで構成されている(特許文献1)。
このような薬剤収容体と、この薬剤収容体を収容取り出し可能に収容するケースとを備える薬剤揮発具も提供されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-19193号公報
【特許文献2】特開2009-125406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような薬剤収容体では、揮発性の薬剤が液体で、収容体本体がボトル状である場合には、ボトルの内部の薬剤収容空間の満杯近くまで薬剤を注入可能である。
しかしながら、芳香剤、防虫剤などの揮発性薬剤は、薬剤収容空間が、収容体本体とこの収容体本体に取着された封止シートとで形成され、封止シートに対する収容体本体の深さは大きくない。
したがって、製造ライン上で収容体本体に満杯に薬剤を高速で注入することは困難であり、また、収容体本体に薬剤を注入後、収容体本体に封止シートを貼着する工程に高速で移動させることから、収容体本体の収容容積の7割程度しか薬剤を注入することができないのが現状である。
そのため、収容体本体を上下に延在させて使用する場合、商品購入者は、薬剤の液面の高さが低いと感じ収容されている薬剤が少ないのではと不快な思いをすることが考えられる。
また、商品を使用し、薬剤の量が少なくなるにつれ、薬剤が封止シートと接触する面積が小さくなるため、揮発する薬剤の量も少なくなり、薬剤の量が少なくなった場合の薬剤効果が小さくなるという不具合があった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、商品購入時における薬剤の液面高さを高くでき、購入者に不快な思いをさせることがなく、商品使用時に薬剤の量が少なくなっても薬剤効果を確保でき、薬剤収容体および薬剤揮発具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、収容体本体とこの収容体本体に取着された封止シートとで形成された薬剤収容空間と、前記薬剤収容空間に収容された液状で揮発性の薬剤と、前記封止シートに剥離可能に貼着された剥離フィルムとを備え、前記収容体本体と前記剥離フィルムは、気体および前記薬剤の透過を不能とした素材で形成され、前記封止シートは、前記薬剤の透過を可能とした素材で形成されている薬剤収容体であって、前記薬剤収容空間の少なくとも一部は、前記薬剤収容体の使用状態で、下部の容積よりも上部の容積が大きく形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、薬剤収容体とケースとを備え、前記薬剤収容体は、収容体本体とこの収容体本体に取着された封止シートとで形成された薬剤収容空間と、前記薬剤収容空間に収容された液状で揮発性の薬剤と、前記封止シートに剥離可能に貼着された剥離フィルムとを含んで構成され、前記ケースは、前記薬剤収容体を取り出し可能に収容する収容室を有し、前記収容体本体と前記剥離フィルムは、気体および前記薬剤の透過を不能とした素材で形成され、前記封止シートは、前記薬剤の透過を可能とした素材で形成されている薬剤揮発具であって、前記薬剤収容空間の少なくとも一部は、前記薬剤揮発具の使用状態で、下部の容積よりも上部の容積が大きく形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、薬剤収容空間の一部は、薬剤収容体または薬剤揮発具の使用状態で、下部の容積よりも上部の容積が大きく形成されている。
そのため、薬剤収容体または薬剤揮発具の使用状態で、下部から上部まで薬剤収容空間の容積を均一に形成した場合に比べ、薬剤の液面の高さを上昇させることができる。
したがって、薬剤収容体または薬剤揮発具の購入時や使用開始時に、商品購入者から薬剤が少ないのではとの不快な思いを払拭する上で有利となる。
また、薬剤揮発具の使用により薬剤の量が少なくなった場合でも、下部から上部まで薬剤収容空間の容積を均一に形成した場合に比べ、薬剤の液面の高さを上昇させることができ、薬剤の効果を確保する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】薬剤揮発具の前面の斜視図である。
図2】薬剤揮発具の背面の斜視図である。
図3】薬剤収容体を実線で描きケースを想像線で描いた薬剤揮発具の側面図である。
図4】(A)は薬剤収容体を上方から見た斜視図、(B)は薬剤収容体を下方から見た斜視図である。
図5】(A)は図4(A)のA―A断面図、(B)は図4(A)のB―B断面図、(C)は図4(A)のC―C断面図である。
図6】(A)は図4(A)のD―D断面図、(B)は図4(A)のE―E断面図、(C)は(A)の図4F―F断面図である。
図7】(A)は薬剤収容体の平面図、(B)は同正面図、(C)は同側面図、(D)は薬剤収容体の背面の斜視図である。
図8】(A)は薬剤揮発具の使用初期状態の薬剤収容体の断面図、(B)は薬剤揮発具の使用状態で揮発性薬剤の量が少なくなった場合の薬剤収容体の断面図、(C)は(B)のC矢視図である。
図9】(A)は薬剤揮発具を構成する正面分割体の表面の斜視図、(B)は同正面分割体の内面の斜視図である。
図10】(A)は薬剤揮発具を構成する背面分割体の表面の斜視図、(B)は同背面分割体の内面の斜視図である。
図11図10(B)のC矢視図である。
図12】(A)、(B)は本実施の形態の薬剤収容体の使用初期状態の薬剤の液面の高さを示した図であり、(A)は薬剤収容体の正面図、(B)は同断面側面図、(C)、(D)は本実施の形態のように薬剤収容空間の一部に、下部の容積よりも上部の容積が大きい部分を形成しない場合の薬剤の液面の高さを示した図であり、(C)は薬剤収容体の正面図、(D)は同断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の薬剤揮発具10と薬剤収容体12の実施の形態について説明する。
図1図3に示す薬剤揮発具10は、薬剤収容体12とケース14とを備えている。
薬剤収容体12の薬剤収容空間28には揮発性の薬剤16(図8参照)が収容され、ケース14の収容室18に薬剤収容体12が取り出し可能に収容される。
まず、図4図8を参照して薬剤収容体12から説明する。なお、図5図6においては薬剤収容体12の構造の明瞭化を図るため、収容されている薬剤16を省略しており、薬剤16は図8に描いている。
図4図6に示すように、薬剤収容体12は、収容体本体22と、封止シート24と、剥離フィルム26と、図8に示す薬剤16とを含んで構成されている。
収容体本体22に封止シート24が取着されることでそれらの間に薬剤収容空間28が形成されている。
【0009】
収容体本体22は、気体(空気)および薬剤16の透過を不能とした透明な素材で形成されている。このような素材としては、収容させる揮発性の薬剤の種類により異なるが、例えばポリプロピレン、ポリエステル,ポリ塩化ビニルなど従来公知の様々な材料が使用可能である。
図5図7に示すように、収容体本体22は、同一面上で矩形枠状に延在する外周フランジ2202と、この外周フランジ2202の内側に設けられた凹部2204と、つまみ片2206とを備えている。
本実施の形態では、凹部2204は平面視矩形状に設けられ、外周フランジ2202は矩形枠状に設けられている。
図7(D)に示すように、凹部2204は、平面視矩形状の底面2204Aと、底面2204Aの周囲から起立し外周フランジ2202に接続する4つの側面2204Bとを備えている。
【0010】
底面2204Aは、図7(A)に示すように、後述する薬剤収容空間28の幅Wと長さLに対応した幅と長さとを有している。本実施の形態では幅Wと長さLはほぼ等しい。
図5図8に示すように、薬剤揮発具10の使用状態において、底面2204Aの幅の中央で下部に、封止シート24から離れる方向に突出する突出部2220が設けられている。
突出部2220は円筒状に形成され、突出部2220の基部の内部は開放され、後述する薬剤収容空間28の一部を構成しており、突出部2220の頂面2220Aは球面で形成されている。
なお、薬剤揮発具10の使用状態は、薬剤収容体12の使用状態でもある。
突出部2220の頂面2220Aは、後述するように薬剤16の残量を視認するためのインジケータとして機能するほか、突出部2220自体は、薬剤収容空間28の容積を増大し、収容する薬剤16の容積を増やす機能も奏している。さらに、ケース14と収容体本体22の位置を規制する機能も奏している。
【0011】
薬剤揮発具10の使用状態において、突出部2220の上方の底面2204Aの箇所は、突出部2220の外径とほぼ同じ寸法の幅を有し、図4(A)、図5(A)、図6(E)、(F)、図7(A)に示すように、封止シート24とほぼ平行して底面2204の長さ方向に延在する中央平坦面2230として形成されている。
また、突出部2220と中央平坦面2230の幅方向の両側に位置する底面2204Aの箇所は、薬剤揮発具10の使用状態において、下部から上部に至るにつれて次第に封止シート24から離れる傾斜面2240として形成され、したがって、傾斜面2240は一対設けられている。
各傾斜面2240は一定の幅を有し、底面2204の長さ方向に延在し、したがって、この一対の傾斜面2240が設けられた薬剤収容空間28の部分は、下部の容積よりも上部の容積が大きく形成されている。
【0012】
また、各傾斜面2240の幅方向の中央に、細長状の突条2210が設けられている。
突条は2210、一定の幅を有して封止シート24方向に突出し、傾斜面2240の下部から上部にわたって延在し、傾斜面2240が一対設けられることから、突条2210も一対設けられることになる。
図5(C)に示すように、傾斜面2240からの突条2210の突出長さは、下部から上部に至るにつれて次第に大きくなるものの、突条2210の全長において突条2210の突出方向の先端の頂面2210Aは、封止シート24から一定の距離離れた箇所に位置し、突条2210の頂面2210Aは、封止シート24とほぼ平行している。
図3図8(A)に示すように、薬剤揮発具10の使用状態で、ケース14の収容室18は、薬剤収容空間28の長さL方向がほぼ上下方向に向くように形成され、言い換えると、突条2210はその延在方向がほぼ上下方向に向くように形成され、突条2210は薬剤収容空間28の下部から上部にわたって延在している。
傾斜面2240からの突条2210の突出長さ、すなわち、突条2210の頂面2210Aと封止シート24との間隔は、封止シート24と直交する方向の薬剤収容空間28の厚さや、薬剤16の性状、封止シート24の伸縮性、薬剤収容空間28に収容する薬剤16の量などに応じて適宜決定される。
図6に示すように、突条2210の頂面2210Aは、封止シート24に平行する平面であるいは傾斜面2240から離れる方向に凸状の緩やかな湾曲面で形成されている。
図7(A)、(D)に示すように、つまみ片2206は、外周フランジ2202から突設されている。
本実施の形態では、つまみ片2206は、突出部2220から離れた側の外周フランジ2202の一辺から突設されている。
【0013】
封止シート24は、その外周部が収容体本体22の外周フランジ2202に取着され、薬剤揮発具10の使用当初は、図5図6に示すように、収容体本体22の外周フランジ2202の外面を通る平面上を延在する平坦面で形成されている。
封止シート24は、外周フランジ2202の内側で収容体本体22の凹部2204との間に薬剤収容空間28を形成している。
封止シート24は、薬剤16の透過を可能とした伸縮性を有する素材で形成されている。
本実施の形態では、封止シート24は、薬剤16の透過を可能とした伸縮性を有し、気体(空気)の透過を可能とした通気性を有する素材で形成されているが、薬剤揮発具10の使用に伴って薬剤の低揮発性の香料成分が徐々に目詰まりして通気性が低下し、後述するように、薬剤収容空間28の圧力が下がり(薬剤収容空間28が減圧され)、封止シート24は伸ばされ、突条2210の頂面2210Bに接触していく。なお、封止シート24として、気体(空気)の透過を不能としかつ薬剤16の透過を可能とした伸縮性を有する素材も使用可能である。
このような封止シートを構成する素材としては、収容させる揮発性の薬剤の種類により異なるが、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン,EVA、EVOH、それらを含む多層エラストマー、これらの素材に微粉砕シリカ、クレイ、ゼオライト等の充填剤を混合したフィルム、またはこれらの素材の貼り合わせなど従来公知の様々な材料が使用可能である。
封止シート24は、図6図7図8(A)に示すように、薬剤収容空間28に薬剤16が収容された当初の状態では、外周フランジ2202と同一面上を延在している。
【0014】
封止シート24は、図4(A)に示すように、外周フランジ2202に取着され収容体本体22との間に薬剤収容空間28を形成する矩形部2402と、矩形部2402から突出するつまみ片2404とを有している。
収容体本体22の外周フランジ2202と封止シート24の矩形部2402とは同一の輪郭で形成され、収容体本体22のつまみ片2206と封止シート24のつまみ片2404は互いに合致する箇所に形成され、それらつまみ片2206,2404は互いに取着され一体化されている。
図4(A)に示すように、それらつまみ片2206,2404の基部には、それぞれ外周フランジ2202と矩形部2402からつまみ片2206,2404切り取られるように、切り取り線2406が設けられている。
【0015】
剥離フィルム26は、薬剤収容空間28が位置する面と反対の封止シート24の面に剥離可能に貼着されている。
剥離フィルム26は、気体(空気)および前記薬剤16の透過を不能とした素材で形成されている。このような素材としては、収容させる揮発性の薬剤の種類により異なるが、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル,ポリ塩化ビニル、これらの素材にアルミなどの金属蒸着又は金属箔を張り合わせたフィルム又はこれら素材の貼り合わせなど従来公知の様々な材料が使用可能である。
剥離フィルム26は、図4(B)に示すように、封止シート24の矩形部2402と同一形状の矩形部2602と、封止シート24のつまみ片2404と同一形状のつまみ片2604を有し、それらつまみ片2404、2206は取着され一体化されている。
【0016】
薬剤16は、液状を呈し、揮発性を有している。
本実施の形態では、薬剤16は芳香剤であるが、薬剤16は、例えば、殺虫剤、防かび剤、殺菌剤、防虫剤、消臭剤、忌避剤などであってもよく、薬剤16は芳香剤に限定されない。
図8(A)に示すように、薬剤16は、薬剤収容空間28の長さL方向を上下方向に向け、突出部2220を下方に位置させた薬剤収容体12の姿勢で、薬剤収容空間28の長さL方向の半分程度の量で収容されている。
【0017】
次に、薬剤収容体12を取り出し可能に収容するケース14について説明する。
ケース14は、図9に示す正面分割体32と、図10図11に示す背面分割体34とで構成されている。
正面分割体32と背面分割体34は揺動可能に結合され、図3に仮想線(イ)で示すように、正面分割体32と背面分割体34とが合されて結合された結合状態と、仮想線(ロ)で示すように、正面分割体32と背面分割体34とが開いた開放状態との間で揺動する。
なお、正面分割体32と背面分割体34とを脱着可能に構成するなど任意であるが、本実施の形態のように正面分割体32と背面分割体34とが揺動可能に結合されていると、薬剤収容体12の収容、取り出しを簡単に行なう上で有利となる。
正面分割体32と背面分割体34とが合されて結合された状態で、それらの内部に薬剤収容体12を収容する収容室18が形成され、また、ケース14には、収容室18に収容された薬剤収容体12を移動不能に収容させる薬剤収容体規制部36が設けられている。
【0018】
収容室18は、図3に示すように、薬剤揮発具10の使用状態で、収容室18に収容された薬剤収容空間28の長さL方向が上下方向に向くように形成され、言い換えると、突条2210の延在方向が上下方向に向くように形成されている。
本実施の形態では、収容室18は、薬剤揮発具10の使用状態で、すなわち、ケース14が棚や床の面に載置された状態で、薬剤収容空間28が鉛直方向に対して若干斜めで上下方向に向くように形成され、言い換えると、突条2210が鉛直方向に対して若干斜めで上下方向に延在するように形成されている。
また、薬剤揮発具10が棚や床の面に載置された状態で、ケース14の正面14Aは斜め上方を向くように構成されている。
なお、ケース14を、載置される使用形態ではなく、壁などに吊り下げられる形態にするなど任意である。
以下、説明の便宜上、薬剤揮発具10の使用状態で薬剤収容空間28が上下方向に向く状態となるようにケース14が棚や床の面に載置されることから、以下の説明では上部、下部とはケース14が棚や床の面に載置された状態でのケース14の上部、下部とする。
【0019】
正面分割体32は、薬剤揮発具10の正面、すなわちケース14の正面14A(図1参照)を構成する部材であり、正面分割体32の平面視形状は、収容室18に薬剤収容体12が収容されるように、収容体本体22の外周フランジ2202よりも一回り大きい輪郭の矩形に形成されている。
図9(A)、(B)に示すように、正面分割体32は、正面壁部3202と、係合用内壁部3204と、押さえ部3206と、一対の正面分割体側ヒンジ部3208と、正面分割体側係合部3210とを備えている。
正面壁部3202は、平面からなり4隅が円弧で形成された矩形の中央面部3202Aと、中央面部3202Aの外周に設けられ4隅が円弧で形成された矩形枠状の外周面部3202Bとを有している。
外周面部3202Bは中央面部3202Aから離れるにつれて背面分割体34側に変位する湾曲面で形成され、外周面部3202Bの先端は、背面分割体34側に向いた端面3202Cとして形成されている。
【0020】
中央面部3202Aの下部で直線状に延在する下辺の中央には、この下辺に外周が重なるように円形の窓3202Dが形成されている。この窓3202Dは、収容体本体22の突出部2220の頂面2220Aを露出させるものである。
本実施の形態では、図1に示すように、薬剤揮発具10の使用状態で窓3202Dの内側に突出部2220の頂面2220Aを含む先部が位置し、この状態で、突出部2220の外周面と窓3202Dの内周面との間に環状の隙間3202D―1が確保されるように形成されている。
係合用内壁部3204は、後述する背面分割体34の係合用外壁部3402Bに係合する箇所である。
係合用内壁部3204は、外周面部3202Bの端面3202Cの3箇所に設けられている。
図9(B)に示すように、この3箇所のうちの2箇所の係合用内壁部3204Aは、外周面部3202Bの下部に位置する下辺の両側の円弧部をなす端面3202Cから突設され、それぞれ端面3202Cに沿って円弧状に延在している。
また、残りの1箇所の係合用内壁部3204Bは、外周面部3202Bの上部に位置する上辺の端面3202Cから突設されこの上辺に沿って直線状に延在すると共にこの一辺の両側の円弧状の端面3202Cから突設され円弧状に延在している。
【0021】
押さえ部3206は、正面壁部3202の内面の幅方向の中央部で窓3202Dと並べられて2つ設けられている。
各押さえ部3206は筒状に形成され、その先端は、ケース14の内部に収容された収容体本体22の2つの傾斜面2240の間の中央平坦面2230に近接する寸法であるいは接触する寸法で形成されている。
一対の正面分割体側ヒンジ部3208は、外周面部3202Bの下部に位置する下辺の両側の内面の箇所から突出されたフランジ3208Aと、フランジ3208Aに形成された支軸挿通孔3208Bとで構成されている。
正面分割体側係合部3210は、後述する背面分割体側係合部3408に係合する箇所であり、正面壁部3202の上部に位置する係合用内壁部3204Bの延在方向の中央から突設する脚壁部3210Aと、この脚壁部3210Aの先部に設けられた係合突起3210Bとを含んで構成されている。
【0022】
背面分割体34は、図1図2に示すように、ケース14の側面14Bと背面14Cを構成する部材である。
背面分割体34は、図10(A)、(B)に示すように、ケース14の側面14Bを構成する矩形筒状の側面部3402と、側面部3402に接続されケース14の背面14Cを構成する背面部3404と、一対の背面分割体側ヒンジ部3406と、背面分割体側係合部3408とを含んで構成されている。
側面部3402は、4隅が円弧部で接続された矩形筒状を呈し、背面部3404に近づくにつれて上下の側面間の間隔が次第に小さくなり、また、左右の側面の間隔が小さくなるような傾斜をもって形成されている。
【0023】
背面部3404と反対に位置する側面部3402の端部は、端面3402A、係合用外壁部3402Bとして形成されている。
端面3402Aは、左右側部に位置する側面部3402の端部と、下部に位置する側面部3402の端部に設けられている。
係合用外壁部3402Bは、正面分割体32の係合用内壁部3204に係合する箇所であり、側面部3402の端部の3箇所に設けられている。
この3箇所のうちの2箇所の係合用外壁部3402Bは、下部に位置する側面部3402の両側の円弧部の端部に設けられ、円弧状に延在している。
残りの一箇所の係合用外壁部3402Bは、上部に位置する側面部3402の端部に設けられ、直線状に延在すると共にその両側で円弧状に延在している。
さらに、それら3箇所の係合用外壁部3402Bの内面には、正面分割体32の係合用内壁部3204の先端が当接する当接用端面3402B―1が形成されている。
正面分割体32と背面分割体34の結合時、正面分割体32の係合用内壁部3204の先端が、背面分割体34の当接用端面3402B―1に当接し、係合用内壁部3204の外面と係合用外壁部3402Bの内面とが係合される。
さらに、図10(B)、図11に示すように、下部に位置する側面部3402の端部からストッパ壁3410が突設されている。
このストッパ壁3410は、正面分割体32と背面分割体34とが開いた開放状態において、正面分割体32の一対の正面分割体側ヒンジ部3208の間の外周面部3202Bの箇所に当接し、開放状態における正面分割体32と背面分割体34との開放限界角度を決定し、薬剤収容体12の取り出し、収納操作をし易くしている。
【0024】
一対の背面分割体側ヒンジ部3406は、薬剤揮発具10の使用時に下部に位置する側面部3402の端部から突設された一対のフランジ3406Aと、それらフランジ3406Aに突設され正面分割体側ヒンジ部3208の支軸挿通孔3208Bに挿通される支軸3406Bとで構成されている。
一対の正面分割体側ヒンジ部3208の支軸挿通孔3208Bに一対の背面分割体側ヒンジ部3406の支軸3406Bが挿通されることで、正面分割体32と背面分割体34とは揺動可能に結合される。
【0025】
正面分割体32と背面分割体34とが合される方向を前後方向とすると、側面部3402の前後方向の寸法は、側面部3402の下部3402Cを除いて均一の寸法で形成され、下部3402Cでは下方に変位するにつれて次第に後方に突出し、言い換えると、側面部3402の前後方向の寸法は、下部3402Cでは下方に至るにつれて次第に大きくなるように設けられている。
そして、薬剤揮発具10の使用時に下方に向けられる側面部3402には、図11に示すように、この側面部3402の互いに間隔をおいた3箇所に、薬剤揮発具10を安定した状態で棚や床の面に載置させるための突起40Aが設けられている。したがって、それら突起40Aによりケース14が床や棚の面に載置される載置部40が構成されている。
また、薬剤揮発具10の使用時に上方に向けられる側面部3402には、正面分割体側係合部3210に係合する背面分割体側係合部3408が設けられている。
背面分割体側係合部3408は、係合突起3210Bが係合する係合孔3408Aで構成され、係合突起3210Bが係合孔3408Aに係合することで、正面分割体32と背面分割体34とが合わさった結合状態が保持される。
また、係合突起3210Bを指で押し係合孔3408Aから係合突起3210Bを外すと、正面分割体32と背面分割体34とが合わさった結合状態が解除され、正面分割体32と背面分割体34とは支軸3406Bを中心として揺動可能な状態となる。
【0026】
背面部3404は、端面3402Aと反対に位置する側面部3402の端部に連接され、背面部3404は、複数の開口部3404Aが設けられた格子状に形成されている。
複数の開口部3404Aを有する格子状の背面部3404は、側面部3402の下部3402Cを除いた箇所では、側面部3402と共にケース14の左右の側面14Bおよび上側の側面14Bを構成し、したがって、複数の開口部3404Aは、ケース14の背面14Cのみならず、ケース14の側面14Bにも位置し、ケース14外への薬剤16の発散性、拡散性が確保されている。
【0027】
薬剤収容体12は、剥離フィルム26を背面部3404側に向けて収容室18に収容され、背面部3404の内面の上端両側の2箇所と、背面部3404の内面の左右両側の上部の2箇所と、背面部3404の内面の左右両側の下部の2箇所には、剥離フィルム26、封止シート24を介して薬剤収容体12の外周フランジ2202に当接可能な支持壁3412がそれぞれ突設されている。
また、側面部3402の内面は、薬剤収容体12の外周フランジ2202の輪郭よりも若干大きめな輪郭で形成され、収容室18に収容された薬剤収容体12の外周フランジ2202の周囲に側面部3402の内面が位置し、薬剤揮発具10の前後方向と直交する方向において薬剤収容体12が移動不能に配置されるように形成されている。
正面分割体32と背面分割体34とを合わせて結合すると、正面分割体32の押さえ部3206の先端が2つの突条2210の間の中央平坦面2230に近接しあるいは当接することから、6つの支持壁3412と、側面部3402の内面と、2つの押さえ部3206により、収容室18内で薬剤収容体12を移動不能に収容させる薬剤収容体規制部36が構成される。なお、剥離フィルム26を封止シート24から剥した薬剤揮発具10の使用時も薬剤収容体規制部36は同様に機能する。
また、図3に示すように、薬剤収容体12がケース14の収容室18に収容され、薬剤収容体規制部36により移動不能に収容された状態で、薬剤収容体12の外周フランジ2202及び凹部2204の底面2204Aの中央平坦面2230は、ケース14の正面14Aおよび背面14Cに平行する平面上に位置している。
【0028】
正面分割体32と背面分割体34の結合時、左右両側の外周面部3202Bと左右両側の側面部3402との境の箇所に、係合用内壁部3204と係合用外壁部3402Bとが設けられていない箇所が位置し、それらの箇所により互いに向かい合う外周面部3202Bの端面3202Cと側面部3402の端面3402Aとにより、図3に示すように、上下に細長の開口部38が設けられる。
この開口部38は、収容室18に収容された薬剤収容体12の外周フランジ2202と封止シート24よりも正面14A側に変位した箇所に位置している。
【0029】
薬剤揮発具10の出荷時、薬剤収容体12は、つまみ片2206,2404,2604が切り取り線2406から剥離フィルム26上に折り畳まれた状態で収容室18に挿入され、薬剤収容体規制部36により収容室18内で移動不能に収容され、例えば、包装袋、包装箱に収容されて出荷される。
この場合、折り曲げられたつまみ片2206,2404,2604は支持壁3412に干渉しない箇所に設けられ、薬剤収容体12の収容が円滑になされるように図られている。
【0030】
次に、薬剤揮発具10と薬剤収容体12の作用、効果について説明する。
薬剤揮発具10の使用時には、使用者は、係合孔3408Aから係合突起3210Bを外して正面分割体32と背面分割体34とを開き、薬剤収容体12を取り出し、つまみ片2206,2404,2604を摘まんで剥離フィルム26を封止シート24から剥す。
そして、封止シート24を背面14C側に向けて薬剤収容体12を収容室18に入れ、正面分割体32と背面分割体34とを閉じ係合孔3408Aに係合突起3210Bを係合して結合し、載置部40を床や棚の面に載置して使用する。
ケース14が床や棚の面に載置された状態で、ケース14の正面14Aは斜め上方に向いている。
【0031】
本実施の形態によれば、収容体本体22の凹部2204の底面2204Aに、図4に示すように、下部から上部に至るにつれて次第に封止シート24から離れる傾斜面2240を形成した。
したがって、傾斜面2240の内側に位置する薬剤収容空間28の一部は、薬剤揮発具10の使用状態で、下部の容積よりも上部の容積が大きく形成されている。
そのため、図12(C)、(D)に示すように、突条2210の両側の傾斜面2240を封止シート24と平行する平面2240Aで形成し、平面2240Aの内側に位置する薬剤収容空間28の一部を、薬剤揮発具10の使用状態で、下部から上部まで容積を均一に形成した薬剤収容体12Aに比べ、図12(A)、(B)に示す本実施の形態の薬剤収容体12では、薬剤16の液面の高さをH1からH2に上昇させることができる。
したがって、本実施の形態の薬剤揮発具10と薬剤収容体12によれば、薬剤収容体12または薬剤揮発具10の購入時や使用開始時に、商品購入者から薬剤16が少ないのではとの不快な思いを払拭できる。
また、薬剤収容空間28の一部を、薬剤揮発具10の使用状態で、下部の容積よりも上部の容積が大きくなるように段階的に変化するように形成してもよい。しかしながら、薬剤16が封入された薬剤収容体12は、薬剤揮発具10の付け替え用として単独でも市場に出回り、この場合、商品購入者は、薬剤収容体12を視認できることから、本実施の形態のように、薬剤収容空間28の一部を下部から上部に至るにつれて次第に大きくなるように連続的に変化するように形成すると、薬剤収容体12の外観性を高め、商品の購買意欲を増大し、薬剤16が封入された付け替え用の薬剤収容体12の売り上げの増大を図る上で有利となる。
薬剤収容空間28の容積を、下部から上部に至るにつれて次第に大きくなるように連続的に変化させる場合、傾斜面2240を利用することで簡単に達成でき、このような傾斜面2240を複数設けると、薬剤16の液面の高さをより上昇させる上で有利となる。
【0032】
また、薬剤16の揮発量は、図8(A)に示すように、薬剤収容空間28の上部の空間に揮発して上部の空間から封止シート24を透過する揮発量に比べ、薬剤16が封止シート24と直接接触し封止シート24を透過して封止シート24の表面から揮発する揮発量が著しく大きい。
そのため、薬剤揮発具10の使用に伴って薬剤16の量が次第に減少し、薬剤16の液面高さが下降していくものの、傾斜面2240の内側に位置する薬剤収容空間28の一部は、薬剤揮発具10の使用状態で、薬剤収容空間28の下部の容積よりも上部の容積が大きく形成されているので、薬剤収容空間28を、下部から上部まで容積を均一に形成した薬剤収容体12Aに比べ、薬剤16の液面の高さを上昇させ、薬剤16が封止シート24に接触する面積を増大できる。
従って、薬剤16の量が減少した場合であっても、薬剤16の液面の高さを上昇させ、薬剤効果を確保する上で有利となる。
【0033】
また、薬剤揮発具10の使用状態で、突出部2220の両側に傾斜面2240を一対設け、それら傾斜面2240に突条2210を設けると、薬剤16の液面の高さをより上昇させる上で有利となり、また、収容体本体22の形状は、突出部2220の中心を通る中心線に対して左右対称の形状となり、薬剤収容体12の外観性を高め、商品の購買意欲を増大し、薬剤16が封入された薬剤収容体12の売り上げの増大を図る上で有利となる。
なお、薬剤収容体12における薬剤16の液面の高さを上昇させ、薬剤収容体12または薬剤揮発具10の購入時や使用開始時に、商品購入者から薬剤16が少ないのではとの不快な思いを払拭する効果は、封止シートが気体の透過を不能とし伸縮性を有する性質を備えていなくとも達成される。
【0034】
また、使用初期において、薬剤16は図8(A)に示すように薬剤収容空間28の長さL方向の半分程度の量で収容されており、薬剤揮発具10の使用に伴って薬剤16は次第に減少していく。
薬剤16が減少するにつれ、封止シート24と接触する薬剤16の面積が減少し、封止シート24と接触する薬剤16の面積が減少すると、薬剤16の揮発量が低下する。
薬剤16が減少するにつれ、薬剤収容空間28の圧力が下がるため、封止シート24は伸ばされ、当初の平坦面から薬剤収容空間28側に変位して変形していき、図8(B)に示すように、封止シート24は突条2210の頂面2210Bに接触していく。
詳細には、薬剤収容空間28の圧力の低下に伴い、封止シート24は薬剤16が位置していない薬剤収容空間28の上部から突条2210の頂面2210Bに接触していき、薬剤収容空間28の圧力がある値に下がったところで、図8(B)に示すように、封止シート24は突条2210の延在方向の全長にわたって頂面2210Bに接触する。
封止シート24が突条2210に接触すると、毛細管現象により薬剤16は封止シート24と突条2210の頂面2210Bとの間の隙間を上昇し、封止シート24と接触する薬剤16の面積が増え、薬剤16容器の使用初期と同程度の薬剤16の揮発量を確保することが可能となる。
したがって、本実施の形態の薬剤揮発具10と薬剤収容体12によれば、従来の薬剤収容体のように薬剤16の量が少なくなるにつれ、薬剤16が封止シート24と接触する面積が小さくなるため、揮発する薬剤16の量も少なくなり、薬剤16の量が少なくなった場合の薬剤効果が小さくなるという不具合を解消でき、薬剤16の量が少なくなった場合であっても、薬剤効果を減少させることがなく、薬剤効果を確保する上で有利となる。
【0035】
また、薬剤揮発具10の使用状態で、突条2210は、薬剤収容空間28の下部から上部にわたって連続して延在しているので、毛細管現象により薬剤16が上昇する高さを大きく確保することで封止シート24と接触する薬剤16の面積を増やすことができ、薬剤16の量が少なくなった場合であっても、薬剤効果を確保する上で有利となる。
また、突条2210の先部をなす頂面2210Aは、底面2204Aに平行する平面で、あるいは底面2204Aから離れる方向に凸状の緩やかな湾曲面で形成されているので、頂面2210Aと封止シート24との接触面積を大きく確保することで毛細管現象を効果的に生じさせ、同時に、封止シート24と接触する薬剤16の面積を増やすことができ、薬剤16の量が少なくなった場合であっても、薬剤効果を確保する上で有利となる。
また、突条2210は、薬剤収容空間28の幅W方向に間隔をおいて複数設けられているので、薬剤収容空間28の幅W方向が水平面に対して傾斜している場合、すなわち、傾斜面2240にケース14が載置された場合であっても、多くの量の薬剤16を毛細管現象により上昇させ封止シート24と接触する薬剤16の面積を増やす上で有利となり、薬剤16の量が少なくなった場合であっても、薬剤効果を確保する上で有利となる。
なお、薬剤16の量が少なくなった場合であっても、薬剤効果を確保する上で有利となるという薬剤収容体12の効果は、傾斜面2240の有無に拘らず発揮され、次のような構成の薬剤収容体12によれば上述の効果が発揮される。
すなわち、収容体本体22とこの収容体本体22に取着された封止シート24とで形成された薬剤収容空間28と、薬剤収容空間28に収容された液状で揮発性の薬剤16と、封止シート24に剥離可能に貼着された剥離フィルム26とを備え、収容体本体22と剥離フィルム26は、気体および薬剤の透過を不能とした素材で形成され、封止シート24は、薬剤16の透過を可能とした素材で形成されている薬剤収容体12であって、封止シート24は、薬剤16の透過を可能とした伸縮性を有する素材で形成され、収容体本体22に、封止シート24に接触しない高さで薬剤収容空間28内に突出し薬剤収容体12の使用状態で上下方向に延在する突条2210が延在形成されている薬剤収容体12であれば、薬剤16の量が少なくなった場合であっても、薬剤効果を確保する上で有利となるという効果が発揮される。
【0036】
また、薬剤揮発具10の使用状態で、薬剤収容空間28の下部から突出する突出部2220の頂面2220Aが、ケース14の正面の窓3202Dから露出しているので、使用者は、頂面2220Aを見ることで薬剤収容体12に収容されている薬剤16の残量を簡単に判断でき、薬剤揮発具10の使い勝手を向上する上で有利となり、薬剤揮発具10の売り上げを伸ばす上で有利となる。
本実施の形態では、薬剤揮発具10が棚や床の面に載置された状態で、ケース14の正面14A、窓3202D、突出部2220の頂面2220Aは斜め上方を向いているので、突出部2220の頂面2220Aは見やすく、薬剤収容体12に収容されている薬剤16の残量を簡単に判断する上でより有利となる。
【0037】
また、薬剤揮発具10の使用状態で、ケース14の内部の収容室18は、薬剤収容体12の外周フランジ2202と封止シート24とにより、正面14A側に位置する箇所と、背面14C側に位置する箇所とに2分される。
しかしながら、正面14A側に位置する収容室18の箇所も、正面14Aと側面14Bとが、左右の側面14Bの開口部38と、突出部2220の外周面と窓3202Dの内周面との間に環状の隙間3202D―1を介して外部に連通されている。
そのため、収容室18の背面14C側に位置する箇所は、封止シート24の外周と側面部3402の内面との隙間を介して正面14A側に位置する収容室18の箇所を介して外部に連通されている。
したがって、収容室18の背面14C側に位置する箇所は、複数の開口部3404Aによりケース14の背面14Cと側面14Bとが外部に連通されると共に、外周フランジ2202と封止シート24の外周と側面部3402の内面との隙間を介して外部に連通されることになり、封止シート24を透過した揮発した薬剤16をケース14の外部に速やかに発散、拡散する上で有利となり、薬剤効果を確保する上で有利となる。
【0038】
また、つまみ片2206,2404,2604は折り曲げられてケース14に収容された状態で薬剤揮発具10は市場に出回るため、使用者は、正面分割体32と背面分割体34を開いて薬剤収容体12を取り出したときに、つまみ片2206,2404,2604がすぐに目に入るため、つまみ片2206,2404,2604から剥離フィルム26を剥せばよいことを瞬時に判断でき、薬剤揮発具10の使い勝手を向上する上で有利となり、薬剤揮発具10の売り上げを伸ばす上で有利となる。
また、ケース14には、収容室18内で薬剤収容体12を移動不能に収容させる薬剤収容体規制部36が設けられているので、薬剤揮発具10の使用時に何かにぶつかって薬剤揮発具10が飛ばされたり倒れたりしても、ケース14内における薬剤収容体12の姿勢は保持される。
したがって、使用者は、ケース14を開いて薬剤収容体12の姿勢を直すなどの必要はなく、ケース14を再度置き直すだけでよく、薬剤揮発具10の使い勝手を向上する上で有利となり、薬剤揮発具10の売り上げを伸ばす上で有利となる。
【符号の説明】
【0039】
10 薬剤揮発具
12 薬剤収容体
14 ケース
14A 正面
14B 側面
14C 背面
16 薬剤
18 収容室
22 収容体本体
2202 外周フランジ
2204 凹部
2204A 底面
2204B 側面
2206 つまみ片
2210 突条
2210A 頂面
2220 突出部
2220A 頂面
2230 中央平坦面
2240 傾斜面
24 封止シート
2404 つまみ片
2406 切り取り線
26 剥離フィルム
2604 つまみ片
28 薬剤収容空間
32 正面分割体
3202D 窓
3206 押さえ部
34 背面分割体
3402 側面部
3404 背面部
3404A 開口部
3412 支持壁
36 薬剤収容体規制部
38 開口部
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