(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181009
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ブレーキキャリア及びディスクブレーキ
(51)【国際特許分類】
F16D 55/226 20060101AFI20221130BHJP
F16D 65/095 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
F16D55/226 104H
F16D65/095 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087823
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 学聖
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058AA69
3J058BA61
3J058BA68
3J058CC83
3J058EA05
3J058FA01
(57)【要約】
【課題】クランプエリアの確保が可能となるブレーキキャリア及びディスクブレーキを提供する。
【解決手段】ディスク11の面11aに対向して設けられる第1固定部42及び第2固定部44と、第1摩擦パッド26に対向して設けられ、第1固定部42と第2固定部44とを接続するメインビーム45であって、面11aに対向する第1面201と、第1面201に対して反対側の第2面202と、第1面201及び第2面202に連続して設けられ、ブレーキキャリア20におけるディスク11の外周側を跨ぐ部位に対して反対側の第3面203と、第3面203のうち、第1固定部42を含む面部211、及び第2固定部44を含む面部212のうちの少なくともいずれか一方において、第2面202の側に設けられた第1パーティングライン221,222とを有するメインビーム45とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの軸方向における一方の面に対向して配置される第1摩擦パッド、及び前記ディスクの軸方向における他方の面に対向して配置される第2摩擦パッドを移動可能に設け、車両の非回転部に固定され、前記ディスクの外周側を跨いで設けられるブレーキキャリアであって、
前記一方の面に対向して設けられ、前記ブレーキキャリアを前記車両の非回転部に固定する第1固定部と、
前記一方の面に対向して設けられ、前記ブレーキキャリアを前記車両の非回転部に固定する第2固定部と、
前記第1摩擦パッドに対向して設けられ、前記第1固定部と前記第2固定部とを接続するメインビームであって、
前記一方の面に対向する第1面と、
前記第1面に対して反対側の第2面と、
前記第1面及び前記第2面に連続して設けられ、前記ブレーキキャリアにおける前記ディスクの外周側を跨ぐ部位に対して反対側の第3面と、
前記第3面のうち、前記第1固定部を含む面部、及び前記第2固定部を含む面部のうちの少なくともいずれか一方において、前記第2面の側に設けられた第1パーティングラインと、
を有するメインビームと、
を備えるブレーキキャリア。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキキャリアであって、
前記メインビームは、
前記第3面において、前記第1面の側に設けられ、前記第1パーティングラインに連続する第2パーティングラインを備える、
ブレーキキャリア。
【請求項3】
請求項2に記載のブレーキキャリアであって、
前記第3面において、
前記第1パーティングラインから前記第1面までの第1エリアは、前記第2パーティングラインから前記第2面までの第2エリアよりも平面部の大きさが大きい、
ブレーキキャリア。
【請求項4】
請求項1に記載のブレーキキャリアであって、
前記第1パーティングラインは、
前記第1固定部を含む面部、及び前記第2固定部を含む面部の両方において、前記第2面の側に設けられている、
ブレーキキャリア。
【請求項5】
ディスクの軸方向における一方の面に対向して配置される第1摩擦パッドと、
前記ディスクの軸方向における他方の面に対向して配置される第2摩擦パッドと、
前記第1摩擦パッドを押圧するピストンを前記ディスクの軸方向に移動するよう収容したブレーキキャリパと、
前記第1摩擦パッド、及び前記第2摩擦パッドを移動可能に設け、車両の非回転部に固定され、前記ディスクの外周側を跨いで設けられるブレーキキャリアであって、
前記一方の面に対向して設けられ、前記ブレーキキャリアを前記車両の非回転部に固定する第1固定部と、
前記一方の面に対向して設けられ、前記ブレーキキャリアを前記車両の非回転部に固定する第2固定部と、
前記第1摩擦パッドに対向して設けられ、前記第1固定部と前記第2固定部を接続するメインビームであって、前記一方の面に対向する第1面と、前記第1面に対して反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面に連続して設けられ、前記ブレーキキャリアにおける前記ディスクの外周側を跨ぐ部位に対して反対側の第3面と、前記第3面のうち、前記第1固定部を含む面部、及び前記第2固定部を含む面部の少なくともいずれか一方において、前記第2面の側に設けられた第1パーティングラインと、を有するメインビームと、
を備えるブレーキキャリアと、
を備えるディスクブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキキャリア及びディスクブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクを跨いで車両の非回転部に取り付けられるブレーキキャリアを有するディスクブレーキが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブレーキキャリアは、一般的に、鋳造後、必要な箇所が機械加工されて形成される。ブレーキキャリアは軽量化することが望まれており、鋳造時に鋳出しされる部位についても同様の要望がある。しかしながら、形状によっては、機械加工時に加工機にクランプされる際のクランプエリアが狭くなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、クランプエリアの確保が可能となるブレーキキャリア及びディスクブレーキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブレーキキャリアの一態様は、ディスクの軸方向における一方の面に対向して配置される第1摩擦パッド、及び前記ディスクの軸方向における他方の面に対向して配置される第2摩擦パッドを移動可能に設け、車両の非回転部に固定され、前記ディスクの外周側を跨いで設けられるブレーキキャリアであって、前記一方の面に対向して設けられ、前記ブレーキキャリアを前記車両の非回転部に固定する第1固定部と、前記一方の面に対向して設けられ、前記ブレーキキャリアを前記車両の非回転部に固定する第2固定部と、前記第1摩擦パッドに対向して設けられ、前記第1固定部と前記第2固定部とを接続するメインビームであって、前記一方の面に対向する第1面と、前記第1面に対して反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面に連続して設けられ、前記ブレーキキャリアにおける前記ディスクの外周側を跨ぐ部位に対して反対側の第3面と、前記第3面のうち、前記第1固定部を含む面部、及び前記第2固定部を含む面部のうちの少なくともいずれか一方において、前記第2面の側に設けられた第1パーティングラインと、を有するメインビームと、を備える。
【0007】
本発明に係るディスクブレーキの一態様は、ディスクの軸方向における一方の面に対向して配置される第1摩擦パッドと、前記ディスクの軸方向における他方の面に対向して配置される第2摩擦パッドと、前記第1摩擦パッドを押圧するピストンを前記ディスクの軸方向に移動するよう収容したブレーキキャリパと、前記第1摩擦パッド、及び前記第2摩擦パッドを移動可能に設け、車両の非回転部に固定され、前記ディスクの外周側を跨いで設けられるブレーキキャリアであって、前記一方の面に対向して設けられ、前記ブレーキキャリアを前記車両の非回転部に固定する第1固定部と、前記一方の面に対向して設けられ、前記ブレーキキャリアを前記車両の非回転部に固定する第2固定部と、前記第1摩擦パッドに対向して設けられ、前記第1固定部と前記第2固定部を接続するメインビームであって、前記一方の面に対向する第1面と、前記第1面に対して反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面に連続して設けられ、前記ブレーキキャリアにおける前記ディスクの外周側を跨ぐ部位に対して反対側の第3面と、前記第3面のうち、前記第1固定部を含む面部、及び前記第2固定部を含む面部の少なくともいずれか一方において、前記第2面の側に設けられた第1パーティングラインと、を有するメインビームと、を備えるブレーキキャリアと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クランプエリアの確保が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態のディスクブレーキを示すディスク径方向内方から見た図。
【
図7】実施形態のブレーキキャリアを示す
図6のVII矢視図。
【
図8】実施形態のブレーキキャリアを示す
図6のVIII矢視図。
【
図9】実施形態のブレーキキャリアを示す
図6のIX矢視図。
【
図10】実施形態のブレーキキャリアを示す部分斜視図。
【
図11】実施形態のブレーキキャリアを示す部分斜視図であって第1パーティングライン及び第2パーティングラインを太線で示すもの。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態を図面を参照して以下に説明する。
図1~
図3に示す実施形態のディスクブレーキ10は、自動車等の車両用であって車両に制動力を付与するものである。ディスクブレーキ10は、具体的には四輪自動車の制動用のものである。ディスクブレーキ10は、図示略の車輪と共に回転する円板状のディスク11の回転を止めることによって車両を制動する。
【0011】
図1に示すように、ディスクブレーキ10は、ブレーキキャリア20と、ブレーキキャリパ21と、一対の第1ピンブーツ22及び第2ピンブーツ23と、一対の第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25と、を備えている。また、ディスクブレーキ10は、
図2に示すように、一対の第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27を備えている。
【0012】
以下、ディスク11の中心軸線をディスク軸線と称す。また、ディスク軸線の延びる方向をディスク軸方向と称す。ディスクブレーキ10内におけるディスク11の径方向をディスク径方向と称す。ディスクブレーキ10内におけるディスク11の周方向つまり回転方向をディスク周方向と称す。ディスク径方向におけるディスク11の中心側をディスク径方向内側と称す。ディスク径方向におけるディスク11の中心とは反対側をディスク径方向外側と称す。ディスク周方向における中央側をディスク周方向内側と称す。ディスク周方向における中央とは反対側をディスク周方向外側と称す。ディスク軸線と、ブレーキキャリア20及びブレーキキャリパ21のディスク周方向の中央とを通ってディスク径方向に沿う線を径方向基準線と称す。この径方向基準線はディスク軸線に直交する。この径方向基準線とディスク軸線とを含む平面を径方向基準面と称す。このディスクブレーキ10が設けられた車両の車幅方向における外側をアウタ側と称す。このディスクブレーキ10が設けられた車両の車幅方向における内側をインナ側と称す。このディスクブレーキ10が設けられた車両の前進走行時のディスク11の回転方向Rにおけるディスクブレーキ10内でのディスク11の出口側をディスク回出側と称す。同じく前進走行時のディスク11の回転方向Rにおけるディスクブレーキ10内でのディスク11の入口側をディスク回入側と称す。
【0013】
図1に示すように、ブレーキキャリア20は、ディスク11の外周側を跨いで設けられた状態で車両の非回転部に固定される。ブレーキキャリア20は、インナ側配置部31と、アウタ側配置部32と、これらを連結する一対の第1連結部33及び第2連結部34と、を備えている。ブレーキキャリア20は、径方向基準面を基準とする略鏡面対称の形状となっている。言い換えれば、径方向基準面がブレーキキャリア20のディスク周方向の中央位置を通る。
【0014】
図2に示すように、ディスク11は、ディスク軸方向における一方の第1制動面11a(一方の面)とディスク軸方向における他方の第2制動面11b(他方の面)とを有している。第1制動面11aは、ディスク11のインナ側に配置されている。第2制動面11bは、ディスク11のアウタ側に配置されている。
【0015】
インナ側配置部31は、ディスク11に対しディスク軸方向の一側に配置されて車両の非回転部に取り付けられる。ここで、ブレーキキャリア20が取り付けられる車両の非回転部は、ディスク11に対しインナ側に配置されている。よって、この非回転部分に取り付けられるインナ側配置部31も、ディスク11に対しインナ側に配置される。インナ側配置部31は、ディスク11の第1制動面11aに対向する。インナ側配置部31は、第1摩擦パッド26を移動可能に支持する。第1摩擦パッド26は、ディスク11に対してインナ側に配置される。第1摩擦パッド26は、ディスク11の第1制動面11aに対向して配置される。
【0016】
アウタ側配置部32は、ディスク11に対しディスク軸方向の他側に配置される。アウタ側配置部32は、ディスク11に対してアウタ側に配置される。アウタ側配置部32は、ディスク11の第2制動面11bに対向する。アウタ側配置部32は、第2摩擦パッド27を移動可能に支持する。第2摩擦パッド27は、ディスク11に対してアウタ側に配置される。第2摩擦パッド27は、ディスク11の第2制動面11bに対向して配置される。
【0017】
図1に示すように、第1連結部33及び第2連結部34は、ディスク軸方向に延びており、ディスク11の外周側をディスク軸方向に跨いで設けられている。第1連結部33は、インナ側配置部31及びアウタ側配置部32のディスク径方向の外側、かつディスク周方向の同じ一側の端部同士を連結する。第2連結部34は、インナ側配置部31及びアウタ側配置部32のディスク径方向の外側、かつディスク周方向の同じ他側の端部同士を連結する。
【0018】
以上により、ブレーキキャリア20は、
図2に示すように、ディスク11の軸方向における一方の第1制動面11aに対向して配置される第1摩擦パッド26、及びディスク11の軸方向における他方の第2制動面11bに対向して配置される第2摩擦パッド27を移動可能に設け、車両の非回転部に固定され、ディスク11の外周側を跨いで設けられる。
【0019】
図3に示すように、インナ側配置部31は、ネジ穴41を有する第1固定部42と、ネジ穴43を有する第2固定部44と、第1固定部42と第2固定部44とを接続するメインビーム45と、を備えている。また、インナ側配置部31は、第1固定部42から延出する第1接続部46と、第2固定部44から延出する第2接続部47と、を備えている。第1固定部42、第2固定部44、メインビーム45、第1接続部46及び第2接続部47は、いずれもディスク11に対しインナ側に配置される。第1固定部42、第2固定部44、メインビーム45、第1接続部46及び第2接続部47は、いずれもディスク11の
図2に示す第1制動面11aに対向して設けられる。
【0020】
図3に示すように、第1固定部42は、インナ側配置部31のディスク周方向における一端側に設けられている。第2固定部44は、インナ側配置部31のディスク周方向における他端側に設けられている。メインビーム45は、ディスク周方向に延びている。ネジ穴41は、第1固定部42にディスク軸方向に沿って穿設されている。ネジ穴43は、第2固定部44にディスク軸方向に沿って穿設されている。ブレーキキャリア20は、第1固定部42が、第2固定部44よりもディスク回出側に配置される。ブレーキキャリア20は、第1固定部42及び第2固定部44が車両の非回転部分である図示略の取付部に突き当てられた状態で、ネジ穴41,43に螺合されるボルトによってこの取付部に取り付けられる。言い換えれば、第1固定部42及び第2固定部44がブレーキキャリア20を車両の非回転部に固定する。車両の非回転部に固定された第1固定部42及び第2固定部44は、互いにディスク軸方向の位置を合わせる。この状態で、メインビーム45は第1固定部42及び第2固定部44とディスク軸方向の位置を重ね合わせる。
【0021】
第1接続部46は、第1固定部42とディスク軸方向の位置を重ね合わせて第1固定部42からディスク径方向外側に延出する。第2接続部47は、第2固定部44とディスク軸方向の位置を重ね合わせて第2固定部44からディスク径方向外側に延出する。第1接続部46は、第2接続部47よりもディスク回出側に配置される。
図4に示すように、第1接続部46には、そのディスク周方向内側に第1係止部51が形成されている。
図5に示すように、第2接続部47には、そのディスク周方向内側に第2係止部52が形成されている。よって、第1係止部51と第2係止部52とは、互いにディスク周方向に対向している。第1係止部51は、第1接続部46をディスク周方向内側の面からディスク周方向外側に切り欠いた形状である。第2係止部52は、第2接続部47をディスク周方向内側の面からディスク周方向外側に切り欠いた形状である。第1係止部51は第1接続部46をディスク軸方向に横断している。第2係止部52は第2接続部47をディスク軸方向に横断している。
【0022】
図4に示すように、第1係止部51は、径方向基準面に平行な突当面部54と、径方向基準面に直交し且つディスク軸方向に沿う係止面部55とを有している。
図5に示すように、第2係止部52は、径方向基準面に平行な突当面部56と、径方向基準面に直交し且つディスク軸方向に沿う係止面部57とを有している。突当面部54と突当面部56とはディスク周方向において対向している。係止面部55と係止面部57とは同一平面に配置されている。
【0023】
第1連結部33は、第1接続部46のディスク径方向外側の端部から、
図1に示すようにディスク11の外周面よりもディスク径方向外側を跨いで、アウタ側に向けディスク軸方向に沿って延出する。第2連結部34は、第2接続部47のディスク径方向外側の端部から、ディスク11の外周面よりもディスク径方向外側を跨いで、アウタ側に向けディスク軸方向に沿って延出する。第1連結部33及び第2連結部34は、いずれも、ブレーキキャリア20におけるディスク11の外周側を跨ぐ部位である。
【0024】
第1連結部33には、ディスク軸方向に沿って延びる図示略の第1ピン挿入穴が形成されている。第1ピン挿入穴は、第1連結部33のインナ側の端面から、第1連結部33内の途中位置まで形成されている。第2連結部34には、ディスク軸方向に沿って延びる図示略の第2ピン挿入穴が形成されている。第2ピン挿入穴は、第2連結部34のインナ側の端面から、第2連結部34内の途中位置まで形成されている。
【0025】
アウタ側配置部32は、
図3、
図4、
図6及び
図7に示すように第1連結部33から延出する第3接続部61と、
図3、
図4、
図6及び
図8に示すように第2連結部34から延出する第4接続部62と、
図3、
図4及び
図6に示すように第3接続部61及び第4接続部62を連結するアウタビーム63と、を備えている。
図1に示すように、第3接続部61、第4接続部62及びアウタビーム63は、いずれもディスク11に対しアウタ側に配置されている。第3接続部61、第4接続部62及びアウタビーム63は、いずれもディスク11の第2制動面11bに対向して設けられる。
【0026】
第3接続部61は、
図4に示すように第1連結部33のディスク軸方向における第1接続部46とは反対側の端部から、
図3に示すようにディスク径方向内方に延出している。第4接続部62は、
図1に示すように第2連結部34のディスク軸方向における第2接続部47とは反対側の端部からディスク径方向内方に延出している。第3接続部61は、第4接続部62よりもディスク回出側に配置される。アウタビーム63は、第3接続部61及び第4接続部62のディスク径方向内側の端部同士を連結している。アウタビーム63は、ディスク周方向に延びている。
【0027】
第3接続部61には、
図4に示すように、そのディスク周方向内側に第3係止部66が形成されている。第4接続部62には、そのディスク周方向内側に第4係止部67が形成されている。よって、第3係止部66と第4係止部67とは、互いにディスク周方向に対向している。第3係止部66は、第3接続部61をディスク周方向内側の面からディスク周方向外側に切り欠いた形状である。第4係止部67は、第4接続部62をディスク周方向内側の面からディスク周方向外側に切り欠いた形状である。
図5に示すように、第3係止部66は第3接続部61をディスク軸方向に横断している。第4係止部67は第4接続部62をディスク軸方向に横断している。
【0028】
図6に示すように、第3係止部66は、径方向基準面に平行な突当面部71と、径方向基準面に直交し且つディスク軸方向に沿う係止面部72とを有している。第4係止部67は、径方向基準面に平行な突当面部73と、径方向基準面に直交し且つディスク軸方向に沿う係止面部74とを有している。突当面部71と突当面部73とはディスク周方向において対向している。
図5に示す係止面部55と係止面部57と係止面部72と係止面部74とは同一平面に配置されている。突当面部54と突当面部71とは同一平面に配置されている。突当面部56と突当面部73とは同一平面に配置されている。
【0029】
第1係止部51と第3係止部66とはディスク径方向及びディスク周方向の位置を合わせている。第2係止部52と第4係止部67とはディスク径方向及びディスク周方向の位置を合わせている。第1係止部51と第2係止部52とは鏡面対称状であってディスク径方向及びディスク軸方向の位置を合わせている。第3係止部66と第4係止部67とは鏡面対称状であってディスク径方向及びディスク軸方向の位置を合わせている。
【0030】
ブレーキキャリア20は、インナ側配置部31が、第1接続部46に設けられた第1係止部51と第2接続部47に設けられた第2係止部52とで、
図2に示す第1摩擦パッド26を支持する。また、ブレーキキャリア20は、アウタ側配置部32が、
図4~
図6に示す第3接続部61に設けられた第3係止部66と第4接続部62に設けられた第4係止部67とで、
図1~
図3に示す第2摩擦パッド27を支持する。
【0031】
ブレーキキャリア20は、
図6に示す第1固定部42、第1接続部46、第1連結部33及び第3接続部61がディスク回出側に配置される。ブレーキキャリア20は、第2固定部44、第2接続部47、第2連結部34及び第4接続部62がディスク回入側に配置される。
【0032】
図2に示すインナ側の第1摩擦パッド26とアウタ側の第2摩擦パッド27とは、略同形状の部品である。第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27は、
図1及び
図3に第2摩擦パッド27を示すように裏板81を有している。第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27は、裏板81の板厚方向の一面側に貼着された
図2に示すライニング82を有している。
【0033】
インナ側の第1摩擦パッド26の裏板81(図示略)とアウタ側の第2摩擦パッド27の裏板81とは、同形状の共通部品となっている。
図3に第2摩擦パッド27を示すように、裏板81は、主体部85と、主体部85のディスク周方向の両端部からディスク周方向に沿って互いに反対方向に突出する一対の突出部86と、を有している。裏板81には、主体部85に
図2に示すライニング82が貼着される。
【0034】
第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25は、いずれもブレーキキャリア20に一体的に取り付けられる。
【0035】
アウタ側の第2摩擦パッド27は、ライニング82をディスク11のアウタ側の第2制動面11bに対向させた状態とされる。この状態で、
図3に示すように裏板81のディスク周方向一側の突出部86が第1パッドスプリング24を介して第3接続部61の第3係止部66に係止される。また、この状態で、裏板81のディスク周方向他側の突出部86が第2パッドスプリング25を介して第4接続部62の第4係止部67に係止される。その際に、第1パッドスプリング24は、裏板81のディスク周方向一側の突出部86を係止面部72に向けて押す。また、その際に、第2パッドスプリング25は、裏板81のディスク周方向他側の突出部86を係止面部74に向けて押す。これにより、第2摩擦パッド27は、係止面部72,74、第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25でディスク径方向の移動が制限される。また、第2摩擦パッド27は、突当面部71,73、第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25でディスク周方向両側への移動が制限される。よって、第2摩擦パッド27は、ディスク周方向及びディスク径方向の移動が制限された状態でディスク軸方向に移動可能となるように、第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25を介してブレーキキャリア20に支持される。
【0036】
インナ側の第1摩擦パッド26は、
図2に示すようにライニング82をディスク11のインナ側の第1制動面11aに対向させた状態で、裏板81(図示略)のディスク周方向一側の突出部86(図示略)が
図1に示す第1パッドスプリング24を介して
図4に示す第1接続部46の第1係止部51に係止され、裏板81(図示略)のディスク周方向他側の突出部86(図示略)が
図1に示す第2パッドスプリング25を介して
図5に示す第2接続部47の第2係止部52に係止される。その際に、
図1に示す第1パッドスプリング24は、裏板81(図示略)のディスク周方向一側の突出部86(図示略)を
図4に示す係止面部55に向けて押す。また、その際に、
図1に示す第2パッドスプリング25は、裏板81(図示略)のディスク周方向他側の突出部86(図示略)を
図5に示す係止面部57に向けて押す。これにより、第1摩擦パッド26は、係止面部55,57、第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25でディスク径方向の移動が制限される。また、第1摩擦パッド26は、突当面部54,56、第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25でディスク周方向両側への移動が制限される。よって、第1摩擦パッド26は、ディスク周方向及びディスク径方向の移動が制限された状態でディスク軸方向に移動可能となるように、第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25を介してブレーキキャリア20に支持される。ブレーキキャリア20が第1摩擦パッド26を支持した状態にあるとき、メインビーム45は第1摩擦パッド26のディスク径方向内側に配置される。メインビーム45はディスク径方向において第1摩擦パッド26に対向する。
【0037】
第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25は、第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27のディスク軸方向の摺動を案内する。それと共に、第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25は、第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27をディスク径方向内方に付勢する。第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27には、
図3に第2摩擦パッド27を示すように、それぞれをディスク回出側に付勢する付勢スプリング91が取り付けられている。第2摩擦パッド27に取り付けられた付勢スプリング91は第4接続部62に当たって、第2摩擦パッド27をディスク回出側に付勢する。第1摩擦パッド26に取り付けられた付勢スプリング91(図示略)は第2接続部47に当たって、第1摩擦パッド26をディスク回出側に付勢する。
【0038】
以上により、ブレーキキャリア20は、第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27を移動可能に設け、車両の非回転部に固定される。その際に、ブレーキキャリア20は、ディスク11の外周側を跨いで設けられる。
【0039】
【0040】
図2に示すように、第1面201は、メインビーム45においてディスク11側に位置する端面である。第1面201は、ディスク軸方向においてディスク11側に向いている。第1面201はディスク11の第1制動面11aに対向する。第1面201はディスク中心軸線に直交して広がる平面状である。
【0041】
第2面202は、メインビーム45における第1面201とは反対にある。第2面202は、メインビーム45においてディスク11とは反対側に位置する端面である。第2面202は、ディスク軸方向においてディスク11とは反対側に向いている。第2面202はディスク中心軸線に直交して広がる平面状である。
【0042】
第3面203は、メインビーム45においてディスク径方向内側に位置する端面である。第3面203は、ブレーキキャリア20における第1連結部33及び第2連結部34に対してディスク径方向の反対側にある。第3面203は、第1面201及び第2面202に連続して設けられている。第3面203は、第1面201のディスク径方向内側の端縁部と第2面202のディスク径方向内側の端縁部とを繋いでいる。第3面203は、メインビーム45に加えて第1固定部42及び第2固定部44をも構成している。
【0043】
図9に示すように、第3面203は、第1固定部42を構成する面部211と、第2固定部44を構成する面部212と、メインビーム45を構成する中間面部213とを有している。言い換えれば、第3面203は、第1固定部42を含む面部211と、第2固定部44を含む面部212とを有している。面部211と面部212とは径方向基準面を基準とする鏡面対称状である。中間面部213は中間面部213のディスク周方向の中央位置を通る径方向基準面を基準とする鏡面対称状である。
【0044】
ここで、ブレーキキャリア20は、鋳造後、
図6に示すネジ穴41,43、
図5に示す第1係止部51、第2係止部52、第3係止部66、第4係止部67、図示略の第1ピン挿入穴及び図示略の第2ピン挿入穴等が機械加工により形成されることで製造される。第1面201、第2面202、第3面203及び第4面204は、全て鋳造時に鋳出しされる。言い換えれば、ブレーキキャリア20の完成品は、第1面201、第2面202、第3面203及び第4面204が、いずれも鋳肌の状態である。
【0045】
図9に示すように、ブレーキキャリア20は、第3面203に、第1パーティングライン221と第1パーティングライン222と第2パーティングライン223とが形成されている。第1パーティングライン221と第1パーティングライン222と第2パーティングライン223とは、いずれも、ブレーキキャリア20の鋳型の型割りの位置に生じるものである。言い換えれば、第1パーティングライン221と第1パーティングライン222と第2パーティングライン223とは、いずれも、ブレーキキャリア20の鋳造用の第1鋳型の合わせ面と第2鋳型の合わせ面との間にキャビティ側から溶湯が微小に入り込むことで形成されるものである。
【0046】
図10及び
図11に示すように第1パーティングライン221は、面部211に設けられている。
図11においては第1パーティングライン221を太実線で示している。
図9に示すように、第1パーティングライン222は、面部212に設けられている。第1パーティングライン221と第1パーティングライン222とは、径方向基準面を基準とする鏡面対称状である。第2パーティングライン223は、中間面部213に設けられている。第2パーティングライン223は第2パーティングライン223のディスク周方向の中央位置を通る径方向基準面を基準とする鏡面対称状である。第2パーティングライン223は、第1パーティングライン221と第1パーティングライン222との両方に連続する。
【0047】
第2パーティングライン223は、ライン部224とライン部225と中間ライン部226とを有している。ライン部224は面部211と中間面部213との境界位置に設けられている。ライン部225は面部212と中間面部213との境界位置に設けられている。ライン部224とライン部225とは、径方向基準面を基準とする鏡面対称状である。中間ライン部226はライン部224とライン部225とに連続している。中間ライン部226は、中間ライン部226のディスク周方向の中央位置を通る径方向基準面を基準とする鏡面対称状である。
図11においては、ライン部224を太破線で示し、中間ライン部226を太二点鎖線で示している。
【0048】
図10及び
図11に示すように、第1パーティングライン221はライン部224に連続している。ライン部224の第1パーティングライン221とは反対側の端部は中間ライン部226に連続している。
図9に示すように、第1パーティングライン222はライン部225に連続している。ライン部225の第1パーティングライン222とは反対側の端部は中間ライン部226に連続している。
【0049】
図9~
図11に示すように、第1パーティングライン221は、面部211においてディスク軸方向の中央位置よりも第2面202の側に設けられている。
図9に示すように、第1パーティングライン222は、面部212においてディスク軸方向の中央位置よりも第2面202の側に設けられている。言い換えれば、メインビーム45は、第3面203のうち、面部211において、第2面202の側に設けられた第1パーティングライン221を有している。また、メインビーム45は、第3面203のうち、面部212において、第2面202の側に設けられた第1パーティングライン222を有している。このように面部211,212の両方において、第1パーティングライン221,222は第2面202の側に設けられている。
【0050】
ここで、メインビーム45の第3面203において、面部211の第1パーティングライン221と、面部212の第1パーティングライン222と、のうちのいずれか一方のみを設けても良い。すなわち、メインビーム45の第3面203において、面部211の第1パーティングライン221と、面部212の第1パーティングライン222と、のうちの少なくともいずれか一方のみを設ければ良い。
【0051】
第2パーティングライン223は、その中間ライン部226が、第3面203においてディスク軸方向の中央位置よりも第1面201の側に設けられている。言い換えれば、メインビーム45は、第3面203において、第1面201の側に設けられ、第1パーティングライン221,222に連続する第2パーティングライン223を備える。ライン部224は、第1パーティングライン221よりも中間ライン部226側の方が、ディスク周方向内側かつ第1面201の側に位置する。ライン部225は、第1パーティングライン222よりも中間ライン部226側の方がディスク周方向内側かつ第1面201の側に位置する。
【0052】
第3面203の面部211において、第1パーティングライン221から第1面201までの第1エリア230には、平面部231と湾曲面部232と平面部233と湾曲面部234と平面部235とが設けられている。
【0053】
図10及び
図11に示すように平面部231は、径方向基準線に略直交する方向に広がる平面状である。平面部231は、ブレーキキャリア20の鋳造時に鋳出しされる。このため、平面部231は、
図7に示すように鋳型の抜き勾配の分傾斜している。平面部231は、アウタ側ほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように傾斜している。
【0054】
図10及び
図11に示すように湾曲面部232は平面部231のディスク周方向における内側に配置されている。湾曲面部232は平面部231と連続している。湾曲面部232は、ディスク周方向において平面部231から離れるほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲する。
【0055】
平面部233は湾曲面部232のディスク周方向における内側に配置されている。平面部233は湾曲面部232と連続している。平面部233は径方向基準線に略直交する方向に広がる平面状である。平面部233も、ブレーキキャリア20の鋳造時に鋳出しされる。このため、平面部233も、鋳型の抜き勾配の分傾斜している。平面部233も、アウタ側ほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように傾斜している。平面部233は平面部231と略平行である。
【0056】
湾曲面部234は平面部233のディスク周方向における内側に配置されている。湾曲面部234は平面部233と連続している。湾曲面部234は、ディスク周方向において平面部233から離れるほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲する。
【0057】
平面部235は湾曲面部234のディスク周方向における内側に配置されている。平面部235は湾曲面部234と連続している。平面部235は、ディスク周方向において湾曲面部234から離れるほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように傾斜する平面状である。平面部235の湾曲面部234とは反対側の端縁部がライン部224となっている。
【0058】
第3面203の面部211において、第1パーティングライン221から第2面202までの端エリア237は、全て湾曲面となっている。端エリア237は、第2面202側ほど、径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲するR面取りである。
【0059】
第3面203の第1エリア230において、平面部231,233,235及び湾曲面部232,234よりも第1面201側の端エリア部238は、全て湾曲面となっている。端エリア部238は、第1面201側ほど、径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲するR面取りである。
【0060】
図9に示すように、第3面203の面部212において、第1パーティングライン222から第1面201までの第1エリア240には、平面部241と湾曲面部242と平面部243と湾曲面部244と平面部245とが設けられている。
【0061】
平面部241は、径方向基準線に略直交する方向に広がる平面状である。平面部241も、ブレーキキャリア20の鋳造時に鋳出しされる。このため、平面部241も、
図8に示すように鋳型の抜き勾配の分傾斜している。平面部241も、アウタ側ほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように傾斜している。
図9に示す平面部231,241は、同一平面に配置されている。
【0062】
湾曲面部242は平面部241のディスク周方向における内側に配置されている。湾曲面部242は平面部241と連続している。湾曲面部242は、ディスク周方向において平面部241から離れるほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲する。
【0063】
平面部243は湾曲面部242のディスク周方向における内側に配置されている。平面部243は湾曲面部242と連続している。平面部243は径方向基準線に略直交する方向に広がる平面状である。平面部243も、ブレーキキャリア20の鋳造時に鋳出しされる。このため、平面部243も、鋳型の抜き勾配の分傾斜している。平面部243も、アウタ側ほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように傾斜している。平面部243は平面部241と平行である。平面部233,243は、同一平面に配置されている。
【0064】
湾曲面部244は平面部243のディスク周方向における内側に配置されている。湾曲面部244は平面部243と連続している。湾曲面部244は、ディスク周方向において平面部243から離れるほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲する。
【0065】
平面部245は湾曲面部244のディスク周方向における内側に配置されている。平面部245は湾曲面部244と連続している。平面部245は、ディスク周方向において湾曲面部244から離れるほど径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように傾斜する平面状である。平面部245の湾曲面部244とは反対側の端縁部がライン部225となっている。
【0066】
第3面203の面部212において、第1パーティングライン222から第2面202までの端エリア247は、全て湾曲面となっている。端エリア247は、第2面202側ほど、径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲するR面取りである。
【0067】
第3面203の第1エリア240において、平面部241,243,245及び湾曲面部242,244よりも第1面201側の端エリア部248は、全て湾曲面となっている。端エリア部248は、第1面201側ほど、径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲するR面取りである。
【0068】
第3面203の中間面部213において、第2パーティングライン223から第2面202までの第2エリア250は、全て湾曲面となっている。第2エリア250は、
図10及び
図11に示すように、第2面202側ほど、径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲するR面取りである。言い換えれば、第2エリア250には、平面部がない。よって、平面部231,233,235を有する第1エリア230と、
図9に示す平面部241,243,245を有する第1エリア240とは、いずれも、第2エリア250よりも平面部の大きさが大きい。
【0069】
第3面203の中間面部213において、第2パーティングライン223から第1面201までのエリア260は、全て湾曲面となっている。エリア260は、第1面201側ほど、径方向基準線の方向においてディスク径方向外側に位置するように湾曲するR面取りである。言い換えれば、エリア260には、平面部がない。
【0070】
図5に示すように、第4面204は、メインビーム45においてディスク径方向外側に位置する端面である。第4面204は、メインビーム45における第1連結部33及び第2連結部34の側にある。第4面204は、第1面201及び第2面202に連続して設けられている。第4面204は、第1面201のディスク径方向外側の端縁部と第2面202のディスク径方向外側の端縁部とを繋いでいる。第4面204は、ディスク径方向において第1摩擦パッド26に対向する。
【0071】
上記したように、ブレーキキャリア20は、鋳造後、ネジ穴41,43、第1係止部51、第2係止部52、第3係止部66、第4係止部67、図示略の第1ピン挿入穴及び図示略の第2ピン挿入穴等が機械加工により形成されることになる。その際に、加工を行う加工機は、
図9に示すブレーキキャリア20の平面部231,233,241,243に接触する。加工機は、ブレーキキャリア20を、平面部231,233,241,243の位置で一方から、第1連結部33のディスク径方向外側の
図5に示す面部271及び第2連結部34のディスク径方向外側の面部272の位置で他方から、クランプする。言い換えれば、ブレーキキャリア20は、第1エリア230の平面部231,233及び第1エリア240の平面部241,243が、加工機にクランプされるクランプエリアとなっている。加工機は、ブレーキキャリア20における第1接続部46及び第2接続部47の位置をディスク径方向にクランプする。ブレーキキャリア20は、中間面部213の第2エリア250およびエリア260がR面取りとされることで鋳出し部分の軽量化が図られている。
【0072】
図1に示すように、ブレーキキャリパ21は、キャリパ本体部101と、第1スライドピン102と、第2スライドピン103と、第1スライドピン102をキャリパ本体部101に固定する取付ボルト104と、第2スライドピン103をキャリパ本体部101に固定する取付ボルト105と、を備えている。ブレーキキャリパ21は、
図3に示すように、ピストン111を備えている。
【0073】
図1に示すように、ブレーキキャリパ21は、略鏡面対称の形状となっており、径方向基準線及び径方向基準面が、ブレーキキャリパ21のディスク周方向の中央位置を通る。ブレーキキャリパ21は、一対の第1スライドピン102及び第2スライドピン103が、互いに軸方向の位置を合わせると共に平行に配置されてキャリパ本体部101に固定されている。ブレーキキャリパ21は、第1スライドピン102が、ブレーキキャリア20の第1連結部33に形成された図示略の第1ピン挿入穴に摺動可能に嵌合する。また、ブレーキキャリパ21は、第2スライドピン103が、ブレーキキャリア20の第2連結部34に形成された図示略の第2ピン挿入穴に摺動可能に嵌合する。ブレーキキャリパ21は、ディスク周方向の両側に一対の第1スライドピン102及び第2スライドピン103が配置される。
【0074】
ブレーキキャリパ21は、キャリパ本体部101が、第1スライドピン102及び第2スライドピン103を介してブレーキキャリア20にディスク軸方向に摺動可能に支持される。その際に、ブレーキキャリア20は、一対の第1連結部33及び第2連結部34において、ブレーキキャリパ21をディスク軸方向に摺動可能に支持する。よって、ブレーキキャリパ21は、ブレーキキャリア20に、ディスク軸方向に移動可能に設けられる。第1ピンブーツ22は、第1スライドピン102のブレーキキャリア20から突出する部分を被覆する。第2ピンブーツ23は、第2スライドピン103のブレーキキャリア20から突出する部分を被覆する。
【0075】
キャリパ本体部101は略鏡面対称の形状となっている。径方向基準線及び径方向基準面は、キャリパ本体部101のディスク周方向の中央位置を通る。キャリパ本体部101は、シリンダ部121とブリッジ部122と押圧部123と第1ピン配設部124と第2ピン配設部125とを備えている。
【0076】
シリンダ部121は、ディスク11に対しディスク軸方向のインナ側に配置される。ブリッジ部122は、シリンダ部121のディスク径方向外側の部分からディスク11の外周を跨ぐようにディスク軸方向に沿ってアウタ側に延出する。押圧部123は、ブリッジ部122のシリンダ部121とは反対側の部分からディスク径方向内側に延出してディスク11よりもアウタ側に配置される。第1ピン配設部124は、ディスク周方向におけるシリンダ部121よりも一端側に配置される。第2ピン配設部125は、ディスク周方向におけるシリンダ部121よりも他端側に配置される。第1ピン配設部124は、キャリパ本体部101におけるディスク回出側の端部に配置される。第2ピン配設部125は、キャリパ本体部101におけるディスク回入側の端部に配置される。
【0077】
図3に示すように、キャリパ本体部101のシリンダ部121には、ピストン111が収容されている。ピストン111は、シリンダ部121に、ディスク軸方向に移動可能となるように収容されている。よって、ブレーキキャリパ21は、ピストン111をディスク11の軸方向に移動するように収容している。
図2に示すように、ピストン111はディスク11の第1制動面11aに対向している。ディスク11の第1制動面11aとピストン111との間に第1摩擦パッド26が配置されている。ピストン111はディスク11の第1制動面11aに向かって前進すると第1摩擦パッド26を押圧する。
【0078】
ディスクブレーキ10には、図示略のブレーキ配管を介して、ブレーキキャリパ21のシリンダ部121内にブレーキ液が導入される。すると、シリンダ部121においてピストン111にブレーキ液圧が作用する。その結果、ピストン111が、ディスク11側に前進し、これらピストン111とディスク11との間に配置されたインナ側の第1摩擦パッド26に接触して、これをディスク11に向かって押圧する。すると、インナ側の第1摩擦パッド26は、第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25を介してブレーキキャリア20で案内されてディスク軸方向に移動し、ライニング82においてディスク11の一方の第1制動面11aに接触する。
【0079】
この押圧の反力で、キャリパ本体部101がブレーキキャリア20に対し第1スライドピン102及び第2スライドピン103をスライドさせてディスク軸方向に移動する。すると、押圧部123が、押圧部123とディスク11との間に配置されたアウタ側の第2摩擦パッド27に接触して、これをディスク11に向かって押圧する。すると、アウタ側の第2摩擦パッド27は、第1パッドスプリング24及び第2パッドスプリング25を介してブレーキキャリア20で案内されてディスク軸方向に移動し、ライニング82においてディスク11の他方の第2制動面11bに接触する。
【0080】
ブレーキキャリア20に摺動可能に支持されたブレーキキャリパ21は、このようにして、ピストン111の作動により、このピストン111と押圧部123とで一対の第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27をディスク軸方向の両側から挟持する。そして、ブレーキキャリパ21は、これら第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27をディスク11の両側の第1制動面11a及び第2制動面11bに押し付ける。その結果、ディスクブレーキ10は、ディスク11に摩擦抵抗を付与して、制動力を発生させることになる。言い換えれば、ブレーキキャリア20に移動可能に設けられた一対の第1摩擦パッド26及び第2摩擦パッド27は、ブレーキキャリパ21によりディスク11の両側の第1制動面11a及び第2制動面11bに押し付けられる。その際に、車両の前進走行時においては、ブレーキキャリア20の主としてディスク回出側の第1接続部46が第1摩擦パッド26からの制動トルクを受けることになり、主として第3接続部61が第2摩擦パッド27からの制動トルクを受けることになる。また、車両の後進走行時においては、ブレーキキャリア20の主として第2接続部47が第1摩擦パッド26からの制動トルクを受けることになり、主として第4接続部62が第2摩擦パッド27からの制動トルクを受けることになる。ブレーキキャリパ21は、いわゆるフィスト型(スライド型)のキャリパである。
【0081】
上記した特許文献1には、ディスクを跨いで車両の非回転部に取り付けられるブレーキキャリアを有するディスクブレーキが開示されている。ところで、ブレーキキャリアは、一般的に、鋳造後、必要な箇所が機械加工されて形成される。ブレーキキャリアは軽量化することが望まれており、鋳造時に鋳出しされる部位についても同様の要望がある。しかしながら、軽量化の形状によっては、機械加工時に加工機にクランプされる際のクランプエリアが狭くなってしまう可能性がある。
【0082】
ディスクブレーキ10は、ブレーキキャリア20が、ディスク11の第1制動面11aに対向して設けられる第1固定部42と、ディスク11の第1制動面11aに対向して設けられる第2固定部44と、第1摩擦パッド26に対向して設けられ、第1固定部42と第2固定部44とを接続するメインビーム45とを有している。メインビーム45は、第1制動面11aに対向する第1面201と、第1面201に対して反対側の第2面202と、第1面201及び第2面202に連続して設けられ、ブレーキキャリア20における第1連結部33及び第2連結部34に対して反対側の第3面203とを有している。そして、メインビーム45は、第3面203のうち、第1固定部42を含む面部211、及び第2固定部44を含む面部212の両方において、第2面202の側に設けられた第1パーティングライン221,222を有する。これにより、第3面203のうちの面部211,212の第1パーティングライン221,222よりも第1面201側を広くすることができる。よって、第3面203においてクランプエリアとなる面部211,212に平面状の部分を広く形成することが可能となる。したがって、クランプエリアを広く確保することができる。
【0083】
すなわち、第1固定部42を含む面部211の位置は、ディスク周方向における第1接続部46の位置であって強度が高いため、加工機にクランプされる位置となる。同様に、第2固定部44を含む面部212の位置は、ディスク周方向における第2接続部47の位置であって強度が高いため、加工機にクランプされる位置となる。そして、面部211,212の第1パーティングライン221,222を、第2面202の側に設ける。これにより、面部211,212の第1パーティングライン221,222を第1面201の側に設ける場合と比べて、面部211,212に、クランプエリアとしての平面状の部分を広く形成することができる。したがって、クランプエリアを広く確保することができる。これに対して、例えば、面部211,212の第1パーティングライン221,222を第2パーティングライン223と同様に第1面201の側に設けるとする。すると、第1パーティングライン221,222よりも第2面202側のR面取りである端エリア237,247が、第2エリア250と同様に広くなって、平面状の部分が少なくなってしまう。すると、クランプエリアを確保できない可能性がある。
【0084】
また、面部211,212に平面状の部分を広く形成することができることから、第1固定部42及び第2固定部44の剛性を高めることができる。これにより、ブレーキキャリア20の単品モードでのピーク間の周波数差を大きくすることができ、ブレーキ鳴き抑制に効果がある。
【0085】
また、メインビーム45は、第3面203において、第1面201の側に設けられ、第1パーティングライン221,222に連続する第2パーティングライン223を備える。これにより、第2パーティングライン223よりも第2面202の側のR面取りである第2エリア250を広くすることができる。よって、ブレーキキャリア20の軽量化が図れる。
【0086】
ディスクブレーキ10は、上記のようにブレーキキャリア20のパーティングラインの位置を最適化することで、ブレーキキャリア20についてレイアウトの制約を受けずに軽量化とクランプエリア確保との両立ができる。クランプエリアを確保することで、ブレーキキャリア20の加工機によるクランプ時の剛性を向上することができ、加工精度を向上することができる。
【0087】
また、ブレーキキャリア20は、第1パーティングライン221,222から第1面201までの第1エリア230,240が、平面部231,233,241,243を有している。これに対して、第2パーティングライン223から第2面202までの第2エリア250には平面部はない。よって、第1エリア230,240が第2エリア250よりも平面部の大きさが大きい。したがって、ブレーキキャリア20についてレイアウトの制約を受けずに軽量化とクランプエリア確保との両立ができる。
【0088】
また、ブレーキキャリア20は、面部211,212の両方において、第1パーティングライン221,222を、第2面202の側に設けている。これにより、面部211,212の両方に、クランプエリアとしての平面状の部分を広く形成することができる。したがって、クランプエリアを一層広く確保することができる。また、面部211,212の両方に平面状の部分を広く形成することができるため、第1固定部42及び第2固定部44の両方の剛性を高めることができる。これにより、ブレーキキャリア20の単品モードでのピーク間の周波数差を一層大きくすることができ、ブレーキ鳴き抑制に一層効果がある。
【符号の説明】
【0089】
10…ディスクブレーキ、11…ディスク、11a…第1制動面(一方の面)、11b…第2制動面(他方の面)、20…ブレーキキャリア、21…ブレーキキャリパ、26…第1摩擦パッド、27…第2摩擦パッド、42…第1固定部、44…第2固定部、45…メインビーム、111…ピストン、201…第1面、202…第2面、203…第3面、211,212…面部、221,222…第1パーティングライン、223…第2パーティングライン、230,240…第1エリア、250…第2エリア。