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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181012
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20221130BHJP
   B65D 43/08 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B65D77/04 C
B65D43/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087827
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】591007295
【氏名又は名称】株式会社アプリス
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】田邉 敦士
(72)【発明者】
【氏名】三堂地 広晶
(72)【発明者】
【氏名】甘利 明敏
(72)【発明者】
【氏名】井上 昌大
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB77
3E067AC03
3E067BA06C
3E067BA10B
3E067BA10C
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067CA04
3E067CA07
3E067EA06
3E067EA17
3E067EB27
3E067FA04
3E067FC01
3E067GA06
3E067GD06
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CB03
3E084CC07
3E084DA03
3E084DB11
3E084DC07
3E084FD20
3E084GB02
3E084GB08
3E084GB12
(57)【要約】
【課題】紙製の外装容器とプラスチック製のインナー容器を備える容器であっても、外装容器とインナー容器の嵌合の確実性を向上させた容器を提供する。
【解決手段】この容器1は、プラスチック製のインナー容器2と紙製の外装容器3とを備える。インナー容器2は、インナー側角部27を有する外形状であり、外装容器3は、インナー側角部27に対応する位置に外装側角部33を有する。このようなインナー容器2は、インナー側角部27の両脇に、当該インナー側角部27の頂点に未達の範囲を基端として概略水平に拡がる一対のタブ片4を有する。一方、外装容器3は、外装側角部33の両脇に水平方向に延びた一対の鉤状突起5を有する。そして、この容器1では、一対のタブ片4と一対の鉤状突起5を一対一で対応させて嵌合させるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製で、インナー側角部を有する外形状のインナー容器と、
紙製で、前記インナー側角部に対応する位置に外装側角部を有する外形状であり、前記インナー容器が収容される外装容器と、
を備え、
前記インナー容器は、前記インナー側角部の両脇に、当該インナー側角部の頂点に未達の範囲を基端として概略水平に拡がる一対のタブ片を有し、
前記外装容器は、前記外装側角部の両脇に水平方向に延びた一対の鉤状突起を有し、
前記一対のタブ片と前記一対の鉤状突起を一対一で対応させて嵌合させること、
を特徴とする容器。
【請求項2】
前記一対の鉤状突起は、互いの突起を向かい合わせにしつつ、前記外装側角部の頂点を通って当該外装側角部を二等分する対称面に関して鏡像面対称の形状を有すること、
を特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記外装容器は、前記外装側角部を欠く切り欠きを有し、前記一対の鉤状突起は、前記切り欠きによって切り離されていること、
を特徴とする請求項1又は2記載の容器。
【請求項4】
前記タブ片は、当該タブ片の延び方向に直交する複数の筋を表面に有し、
前記筋は、前記タブ片のうち、前記インナー容器の開口から底面部に向かう下側の面を凹ませて形成されていること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の容器。
【請求項5】
前記外装容器は、ひっくり返されて、前記一対のタブ片と前記一対の鉤状突起を嵌合させつつ、前記インナー容器に対する蓋として取り付け可能であること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内容物をプラスチック製のインナー容器に収容し、紙製の外装容器で閉じる容器に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ての弁当容器として、プラスチック製の容器が多用されている。容器は食品等の内容物を囲い込むことが可能な深さの容器本体と、容器本体に被せられて、容器本体を閉じることができる蓋とを備えている。容器本体に収容される食品を外部から視認可能にするため、容器本体のみならず、蓋も高い透明性が確保できるプラスチックで作製されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3203353号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、化学的に安定な物質であるために自然分解し難いプラスチックの使用が環境問題となっている。そのため、容器に使用されるプラスチックの減量が要望される。そこで、容器本体のプラスチック使用量を減量し、プラスチック製の蓋は廃止し、蓋を廃止した代わりに容器本体の開口をプラスチックフィルムでシールすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、容器本体のプラスチック使用量が減量され、容器本体の底面部や側面部が薄厚化する結果、容器本体が食品の重量を支えられず、変形し易くなってしまう。容器本体が変形してしまうと、内部の食品が混ざってしまったり、偏在してしまって、見栄えが悪化する。
【0006】
そこで、この容器本体をインナー容器として用い、インナー容器を紙製の外装容器に収容することが考えられる。紙製の外装容器から蓋を延出させ、又は別の紙製の蓋を用意し、インナー容器を外装容器と蓋とで包み込んでしてしまうと、内部の食品が視認出来なくなってしまう。そのため、外装容器は、底面部と該底面部を包囲する側面部のみとし、蓋は備えず、上面は開口させたままとする。一方、インナー容器の開口は透明なプラスチックフィルムでシールする。
【0007】
この蓋の無い外装容器にインナー容器を収容し、インナー容器の開口をプラスチックフィルムでシールし、外部から食品を視認可能にして成る容器には、インナー容器と外装容器の一体化に問題が生じる。即ち、紙製の外装容器とプラスチック製のインナー容器とは互いに係合関係が無く、または該当容器とインナー容器とを一体化する別の係合部材が無いため、インナー容器と外装容器とが途中で分離してしまい、内容物が落体してしまう虞もある。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、紙製の外装容器とプラスチック製のインナー容器を備える容器であっても、外装容器とインナー容器とを係合できる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る容器は、プラスチック製で、インナー側角部を有する外形状のインナー容器と、紙製で、前記インナー側角部に対応する位置に外装側角部を有する外形状であり、前記インナー容器が収容される外装容器と、を備え、前記インナー容器は、前記インナー側角部の両脇に、当該インナー側角部の頂点に未達の範囲を基端として概略水平に拡がる一対のタブ片を有し、前記外装容器は、前記外装側角部の両脇に水平方向に延びた一対の鉤状突起を有し、前記一対のタブ片と前記一対の鉤状突起を一対一で対応させて嵌合させること、を特徴とする。
【0010】
前記一対の鉤状突起は、互いの突起を向かい合わせにしつつ、前記外装側角部の頂点を通って当該外装側角部を二等分する対称面に関して鏡像面対称の形状を有するようにしてもよい。
【0011】
前記外装容器は、前記外装側角部を欠く切り欠きを有し、前記一対の鉤状突起は、前記切り欠きによって切り離されているようにしてもよい。
【0012】
前記タブ片は、当該タブ片の延び方向に直交する複数の筋を表面に有し、前記筋は、前記タブ片の上表面を凹ませて形成されているようにしてもよい。
【0013】
前記外装容器は、ひっくり返されて、前記一対のタブ片と前記一対の鉤状突起を嵌合させつつ、前記インナー容器に対する蓋として取り付け可能であるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、紙製の外装容器とプラスチック製のインナー容器の嵌合の確実性が上がる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】容器の斜視図である。
図2】インナー容器の斜視図である。
図3】インナー容器の上面図である。
図4】タブ片の拡大図である。
図5】外装容器の斜視図である。
図6】外装容器の外装側角部を正面にした側面図である。
図7】タブ片と鉤状突起との嵌合を示す模式図である。
図8】インナー容器のインナー側角部と外装容器の外装側角部がズレた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(全体構成)
本発明の実施形態に係る容器について図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面においては、理解容易のため、厚み、寸法、位置関係、比率又は形状等を強調して示している場合があり、本発明は、それら強調に限定されるものではない。以下、容器の底側を下方又は下側といい、容器に対して外装容器側を上方又は上側という。また、上下方向に直交する方向を水平という。
【0017】
図1は、容器1の斜視図である。容器1は、例えば、使い捨ての弁当容器として用いられる容器である。この容器1は、インナー容器2と外装容器3を備えている。インナー容器2は仕切られており、ご飯、サンドウィッチ、各種おかず等の食品が仕分けられて収容可能となっている。インナー容器2の上面部23にある開口25は、透明なフィルム7によって封止されている。外装容器3は、食品が収容されたインナー容器2を収容する。即ち、この容器1は、インナー容器2と外装容器3とにより成る二重箱であり、上面部23からフィルム7を通じて内部が視認可能になっている。
【0018】
インナー容器2及びフィルム7はプラスチック製である。インナー容器2に用いられるプラスチックとしては、例えば石油系のプラスチック、バイオマスプラスチック、生分解性プラスチック、またはこれらの混合が挙げられる。フィルム7は、内部が視認可能な透明性を有する。インナー容器2は、透明であっても不透明であってもよい。
【0019】
一方、外装容器3は紙製である。外装容器3に用いられる紙としては、広葉樹パルプ若しくは針葉樹パルプ等の木材パルプ、ワラパルプ若しくはバガスパルプ等の非木材パルプ、または新聞紙古紙若しくは上質古紙等の古紙パルプが挙げられる。これらパルプを波形シートの両面にライナーシートを貼り合わせた両面段ボール、波形シートの片面にライナーシートを貼り合わせた片面段ボール、マイクロフルート等に加工し、これら段ボールから外装容器3が成形される。尚、紙製の外装容器3の表面には樹脂コーティングがされていてもよい。
【0020】
プラスチック製のインナー容器2からは複数のタブ片4が延出している。外装容器3には複数の鉤状突起5が切り欠き6によって形成されている。このタブ片4と鉤状突起5との引っ掛かりによって、プラスチック製のインナー容器2を紙製の外装容器3に入れ込んだとき、インナー容器2と外装容器3とは嵌合する。以下、インナー容器2及び外装容器3をそれぞれ更に詳述する。
【0021】
(インナー容器)
図2はインナー容器2の斜視図である。図2に示すように、プラスチック製のインナー容器2は、有底及び上面開口の略逆四角錐台形状を有している。インナー容器2の底面部21は、水平方向に概略長方形になるように拡がる。側面部22は、底面部21の縁に沿って無端状に立ち上がり、底面部21を全周に亘って囲っている。側面部22は、底面部21から上面部23に向けて漸次拡開している。側面部22の各所で傾斜角及び上下方向高さは同一である。
【0022】
インナー容器2の内部空間24は、底面部21と側面部22で囲まれて画成されている。この内部空間24は、底面部21から上面部23に向けて立ち上がる仕切り241によって、食品が混ざらないように、大小各種の小空間に区画されている。上面部23は、四隅にインナー側角部27を有する長方形の外形状を有している。この上面部23は、内部空間24に対して食品を出し入れ自在な間口の開口25と、開口25の全周囲を囲み、開口25を画成するリブ26とによって成る。
【0023】
リブ26は、上面部23の外形状を形作っている。このリブ26は、上面視で概略長方形の環状形状を有し、四隅にインナー側角部27を有する。リブ26の幅は一周に亘って同一である。リブ26は、異なる高さで2段階に亘ってインナー容器2の外方へ向けて水平に延在し、2段階の高さの平坦面261,262を備えている。平坦面261より容器外方側の平坦面262が、平坦面261よりも一段高い位置に延在している。
【0024】
更に、リブ26の外周縁は垂直に近い角度で折り下げられ、下端がリブ26の平坦面261よりも低い位置まで延びる垂下部263が形成されている。垂下部263の下端辺は、全周に亘って同一の水平面上に延在する。
【0025】
図3はインナー容器2の上面図であり、図4はタブ片4の拡大図である。図3及び図4に示すように、外装容器3の鉤状突起5に引っ掛けられるタブ片4は、インナー側角部27の近傍に延設されている。詳細には、タブ片4は、インナー側角部27の近傍のうち、リブ26の垂下部263の下端縁辺から延出している。
【0026】
このタブ片4は、インナー側角部27の近傍ではあるが、インナー側角部27の頂点に未達の範囲を基端として、インナー側角部27の両脇から1枚ずつ延出している。即ち、各インナー側角部27の両脇に2枚ずつ、計8枚のタブ片4がインナー容器2から延出している。尚、インナー側角部27の近傍とは、少なくとも、インナー容器2の上面部23の辺中心231よりもインナー側角部27に近く、インナー側角部27の頂点を避けることができれば、例えばタブ片4の端がインナー側角部27の頂点まで5mm以下の近さまで近づいてよい。
【0027】
各タブ片4は、延び先端が丸まった舌状に延出しており、水平面に沿って、当該タブ片4が延出するリブ26の辺と直交する方向に延びている。一つのインナー側角部27を挟んで配置される一対のタブ片4は、互いに直交する方向に延びている。一つのインナー側角部27を挟んで配置される一対のタブ片4は、インナー側角部27の頂点を通り、インナー側角部27を45度ずつに二等分する対称面Pm2に関して鏡像面対称である。
【0028】
各タブ片4の表面には複数の筋41が形成されている。各筋41は平行であり、タブ片4の延出方向と直交して延び、タブ片4を完全に横断している。この筋41は、タブ片4の下表面42を凹ませて形成されており、上表面42aから見ると膨出している。尚、下表面42とは、タブ片4のうち、インナー容器2の開口25から底面部21へ向かう下側に向く面である。
【0029】
(外装容器)
図5は、外装容器3の斜視図であり、図6は、外装容器3の外装側角部33を正面にした側面図である。外装容器3は、概略長方形の底面部31を有し、上方が開いた略逆四角錐台形状を有している。側面部32は、底面部31の各辺から延出し、底面部31の上方を全周に亘って囲っている。この側面部32は底面部31から上方に向けて漸次拡開している。側面部32は底面部31の辺全域に亘って延出しており、隣り合う側面部32は、外装容器3を上面視したとき、直角又は略直角に接続されており、外装容器3には四隅に外装側角部33が形成されている。側面部32の上端縁321は、全周に亘って同一の水平面上に延在する。即ち、側面部32の高さは一定である。
【0030】
但し、外装側角部33は底面部31に向けて上方から切り欠かれている。この外装側角部33に形成された切り欠き6によって、各側面部32の縁は、上端縁321から斜辺縁61と下端縁62とが続き、外装側角部33の頂点に至る形状になっている。まず、切り欠き6によって、上端縁321は外装側角部33側で、外装側角部33の頂点に至る前に途絶える。斜辺縁61は、上端縁321の途絶位置を最上端64として底面部31に向かって延びる。この斜辺縁61は、外装側角部33から離れる方向に傾斜する。下端縁62は、一端が斜辺縁61の最下端63から始まり、水平方向に外装側角部33に達するまで延びる。尚、斜辺縁61の最上端64は角が丸められている。
【0031】
外装側角部33を挟んで隣り合う側面部32に形成される両斜辺縁61において、外装側角部33の頂点から最上端64までの距離は同一である。また、両斜辺縁61の傾倒角度及び長さは同一である。即ち、切り欠き6は、外装側角部33の頂点を通って当該外装側角部33を45度ずつ二等分する対称面Pm3に関して鏡像面対称となる形状で、外装側角部33を切り欠いている。
【0032】
タブ片4が引っ掛かる鉤状突起5は、側面部32の上端縁321と斜辺縁61と下端縁62によって縁取られる鉤状の突起である。鉤状突起5は、外装側角部33の両脇に形成されることになる。外装側角部33の両脇に設けられた一対の鉤状突起5は、外装側角部33の頂点を通って当該外装側角部33を45度ずつ二等分する対称面Pm3に関して鏡像面対称となる。そして、切り欠き6によって形成される一対の鉤状突起5は、この切り欠き6を挟んで対向しており、換言すれば、切り欠き6によって鉤状突起5は切り離されている。
【0033】
換言すると、四辺の各側面部32は、隣の側面部32と接続する両端部にV字状の切り込みが入れられている。V字の一方の腕は下端縁62であり、水平に延びて外装側角部33の頂点に至り、V字の他方の腕は斜辺縁61であり、下端縁62の端点のうち、外装側角部33とは反対側である最下端63から斜め上方に延び、下端縁62と斜辺縁61は鋭角を形成している。外装側角部33を挟んで両側のV字の切り込みにおいて、下端縁62の高さは同一であり、外装側角部33を境界として、外装側角部33の両側のV字は繋がる。そのため、外装側角部33を中心に切り欠き6が形成されることになり、その切り欠き6を挟んで鉤状突起5が形成される。
【0034】
ここで、インナー容器2と外装容器3との寸法関係に言及すると、外装容器3の側面部32の上端縁321は、インナー容器2のリブ26よりも外側に位置し、タブ片4の先端よりも内側に位置する。即ち、インナー容器2を外装容器3に収容するとき、外装容器3の側面部32はインナー容器2の側面部22よりも外方に位置し、外装容器3はインナー容器2を下から包み込むことになるが、外装容器3からタブ片4がはみ出る。
【0035】
また、図3及び図6に示すように、タブ片4のうちのインナー側角部27の頂点から最も離れた最遠端43と当該インナー側角部27の頂点との距離Dhtに対して、鉤状突起5の最下端63と外装側角部33の頂点との距離Dhkは、例えば1mm程度のように若干長くなるように設定されている。また、図2及び図6に示すように、底面部31から切り欠き6の下端縁62までの上下方向距離Dvkと、インナー容器2の最下端からタブ片4までの上下方向距離Dvtとは同一となっている。
【0036】
(嵌め込み工程)
図7は、タブ片4と鉤状突起5との嵌合を示す模式図である。インナー容器2に内容物を収容してフィルム7で開口25を封止した後、インナー容器2を外装容器3に対して上から入れ込む。外装容器3にインナー容器2を入れたとき、まず、鉤状突起5の上端縁321とタブ片4の下表面42とが接触する。このタブ片4は、インナー側角部27の頂点に未達の範囲で拡がっている。そのため、インナー側角部27が芯となって当該タブ片4の剛性を上げることはなく、タブ片4は高い柔軟性を有する。また、インナー側角部27の両脇にタブ片4が設けられているため、一枚一枚のタブ片4を小さくしても嵌合範囲が狭まることはない。一方、タブ片4が小さくなるために、タブ片4は折れ曲がり易くなる。
【0037】
更に、タブ片4の下表面42に凹形状が付く筋41が、タブ片4の延び方向と直交して付けられている。そのため、タブ片4は、外装容器3とインナー容器2とを嵌合させるとき、筋41の凹形状を開くように、更に折れ曲がり易くなっている。
【0038】
これら各構造により、鉤状突起5の上端縁321とタブ片4とが接触した状態で、更にインナー容器2を下方に押し下げると、大きな力を必要とすることなく、鉤状突起5によってタブ片4の先端が上方を向くように反り上がり、タブ片4の先端が鉤状突起5よりも内側に入り込む。
【0039】
そのまま、インナー容器2を降ろし続けると、タブ片4は鉤状突起5の内面を摺って移動していく。ここで、鉤状突起5間に切り欠き6が無く、一対の鉤状突起5が繋がっている場合を考える。このとき、一対の鉤状突起5は互いに直交して延びていることから、一方の鉤状突起5が外側に膨らもうとしても、他方の鉤状突起5を延び方向に沿って引っ張ることができず、膨らみ難い。鉤状突起5が外側に膨らまない場合、鉤状突起5の内面を摺るタブ片4の摩擦力は大きくなり、インナー容器2に外装容器3と嵌め難くなる。
【0040】
一方、この容器1では、外装側角部33を挟む一対の鉤状突起5間には切り欠き6が介在し、一対の鉤状突起5は互いに切り離されている。そのため、各鉤状突起5は、他方の鉤状突起5に拘束されることなく自由に撓んだり歪んだり変位できる。タブ片4が鉤状突起5の内面を摺って移動していく際にも、鉤状突起5が外側に膨らんで摩擦力が小さくなる。即ち、インナー容器2と外装容器3とを嵌め易くなっている。
【0041】
タブ片4が鉤状突起5の内面を摺りながら外装容器3を降ろし続けると、やがて鉤状突起5の斜辺縁61と下端縁62とで囲まれた空隙とタブ片4とが一致し、タブ片4はこの空隙に入り込んで、水平方向に延びるように復元する。これにより、タブ片4は鉤状突起5に引っ掛かり、インナー容器2と外装容器3とが嵌合する。
【0042】
ここで、プラスチック製のインナー容器2は辺中心が最も内側に変位するように反りが生じ易く、紙製の外装容器3は辺中心が最も外側に変位するように膨らみが生じ易い。そのため、タブ片4や鉤状突起5をインナー容器2や外装容器3の辺中心付近に設けた場合、鉤状突起5にはタブ片4の先端部分しか引っ掛からず、外装容器3とインナー容器2とは外れ易くなる。
【0043】
しかしながら、この容器1では、タブ片4と鉤状突起5は、インナー側角部27と外装側角部33の近傍に延出している。インナー側角部27と外装側角部33の近傍は、プラスチック製のインナー容器2や紙製の外装容器3の反りや膨らみの変形の影響を受け難く、タブ片4は根元から鉤状突起5と嵌合することができている。即ち、外装容器3とインナー容器2とは外れ難くなっている。
【0044】
また、タブ片4に設けられた筋41は、下表面42に凹形状が付くように設けられている。外装容器3をインナー容器2から離す方向に外力が作用したとき、タブ片4の折れ曲がりは筋41の凹形状を閉じる方向になるので、タブ片4は折れ曲がり難くなる。即ち、外装容器3とインナー容器2とは、この筋41によって嵌合し易く、外れ難くなっている。
【0045】
図8は、インナー容器2のインナー側角部27と外装容器3の外装側角部33がズレた状態を示す図である。図8に示すように、インナー容器2を外装容器3に入れ込んだとき、インナー容器2のインナー側角部27と外装容器3の外装側角部33が一致せず、インナー容器2に対して外装容器3の向きがズレてしまう虞もある。インナー容器2と外装容器3の向きがズレてしまった場合、一方のタブ片4と鉤状突起5とが離れて隙間G1が生じるので、このタブ片4と鉤状突起5の嵌合は緩くなる。
【0046】
しかしながら、一対のタブ片4及び一対の鉤状突起5は、鉤状突起5の互いの突起を向かい合わせにしつつ、インナー側角部27や外装側角部33の頂点を通って当該インナー側角部27や外装側角部33を二等分する対称面Pm2,Pm3に関して鏡像面対称の形状を有する。そうすると、一方のタブ片4と鉤状突起5の嵌合が緩まる代わりに、他方の鉤状突起5の斜辺縁61と下端縁62とが成す隙間G2を無くすように、他方のタブ片4の最遠端43が鉤状突起5の最下端63に食い込むように入り込む。
【0047】
そのため、一方のタブ片4と鉤状突起5の嵌合が緩まる代わりに、他方のタブ片4と鉤状突起5の嵌合が強くなる。従って、インナー容器2のインナー側角部27と外装容器3の外装側角部33が一致せず、インナー容器2に対して外装容器3の向きがズレてしまっても、インナー容器2と外装容器3とは嵌合強度を維持することができる。
【0048】
(喫食中断時)
フィルム7を剥がして喫食を開始したものの、食べきれない又は時間がない等の理由により喫食を中断しなくてはならないときがある。このとき、外装容器3からインナー容器2を外した後、外装容器3をひっくり返して、インナー容器2の上から外装容器3を蓋のように被せる。そうすると、インナー容器2のタブ片4が外装容器3の鉤状突起5に引っ掛かり、インナー容器2と外装容器3とが嵌合する。これにより、外装容器3が蓋となってインナー容器2を閉じ、喫食を中断することができる。
【0049】
(効果)
以上のように、この容器1は、プラスチック製のインナー容器2と紙製の外装容器3とを備える。インナー容器2は、インナー側角部27を有する外形状であり、外装容器3は、インナー側角部27に対応する位置に外装側角部33を有する外形状であり、インナー容器2が収容される。このようなインナー容器2は、インナー側角部27の両脇に、当該インナー側角部27の頂点に未達の範囲を基端として概略水平に拡がる一対のタブ片4を有する。一方、外装容器3は、外装側角部33の両脇に水平方向に延びた一対の鉤状突起5を有する。そして、この容器1では、一対のタブ片4と一対の鉤状突起5を一対一で対応させて嵌合させるようにした。
【0050】
これにより、タブ片4が高い柔軟性を獲得し、強い力をかけなくても外装容器3とインナー容器2に嵌合させることができるため、外装容器3とインナー容器2の嵌合の確実性が上がる。また、タブ片4の数により外装容器3とインナー容器2との嵌合強度も向上する。
【0051】
また、一対の鉤状突起5は、互いの突起を向かい合わせにしつつ、外装側角部33の頂点を通って当該外装側角部33を二等分する対称軸に関して線対称の形状を有するようにした。これにより、外装容器3の向きがインナー容器2に対してズレた状態であっても、インナー側角部27の一方側のタブ片4と鉤状突起5の嵌合が緩む代わりに、インナー側角部27の他方側のタブ片4と鉤状突起5との嵌合強度が上がり、外装容器3とインナー容器2とが外れ難くなる。
【0052】
また、外装容器3は、外装側角部33を欠く切り欠き6を有し、一対の鉤状突起5は、切り欠き6によって切り離されているようにした。これにより、タブ片4が鉤状突起5の内面を摺って移動している過程で、鉤状突起5が外側に膨らみ易く、強い力をかけなくても外装容器3とインナー容器2に嵌合させることができるため、外装容器3とインナー容器2の嵌合の確実性が上がる。
【0053】
また、タブ片4は、当該タブ片4の延び方向に直交する複数の筋41を表面に有し、筋41は、タブ片4のうち、インナー容器2の開口25から底面部21へ向かう下側に向く面である下表面42を凹ませて形成されているようにした。これにより、タブ片4は、インナー容器2と外装容器3とを嵌めるときには曲がり易く、インナー容器2と外装容器3とが嵌合してからは外れる方向に曲がり難くなり、外装容器3とインナー容器2が嵌合し易く、外れ難くなる。
【0054】
尚、本実施形態では、外装容器3の底面部31から切り欠き6の下端縁62までの上下方向距離Dvkと、インナー容器2の最下端からタブ片4までの上下方向距離Dvtとを同一にした。これにより、食品が収容されたインナー容器2がタブ片4のみによって外装容器3に対して中空支持されることはなく、外装容器3の底面部31全体で支持できる。
【0055】
但し、これに限らず、インナー容器2の底面部21を複数領域に分け、各領域の深さを異ならせてもよい。そして、底面部21のうち、最深域を基準に計測した上下方向距離Dvt1は、外装容器3に係る上下方向距離Dvkと同一にし、底面部21のうち、この最深域よりも浅い領域を基準に計測した上下方向距離Dvt2は、外装容器3に係る上下方向距離Dvkよりも短くするようにしてもよい。
【0056】
これにより、インナー容器2において、底面部21のうちの最深域が外装容器3の底面部31に支持され、その他の領域では外装容器3の底面部31からインナー容器2の底面部21の間に空間が発生する。この空間に更に食品を収容したり、箸、爪楊枝又はウエットティッシュ等の器具を収容したり、食品を加熱するための発熱剤を収容するようにしてもよい。
【0057】
また、インナー容器2の底面部21全域において、上下方向距離Dvtが外装容器3に係る上下方向距離Dvkよりも短くするようにしてもよい。この場合、外装容器3の底面部31からインナー容器2の底面部21の間に空間を高さ方向に埋める発熱剤等を、該空間に収容し、発熱剤等を介してインナー容器2を支持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 容器
2 インナー容器
21 底面部
22 側面部
23 上面部
231 辺中心
24 内部空間
241 仕切り
25 開口
26 リブ
261 平坦部
262 平坦部
263 垂下部
27 インナー側角部
3 外装容器
31 底面部
32 側面部
321 上端縁
33 外装側角部
4 タブ片
41 筋
42 下表面
42a 上表面
43 最遠端
5 鉤状突起
6 切り欠き
61 斜辺縁
62 下端縁
63 最下端
64 最上端
7 フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8