(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181019
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】電子部品及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20221130BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087838
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】間木 祥文
(72)【発明者】
【氏名】比留川 敦夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 大輔
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB10
5E070BA12
5E070CB02
5E070CB13
5E070CB18
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】はんだを介して基板に実装される際に、外部電極のめっき電極が剥離しにくい電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品は、素体10と、素体10の内部に設けられた内部導体(コイル導体31、第1連結導体41)と、素体10の第1主面12aの一部上に設けられた第1外部電極21aと、を備える。第1外部電極21aは、下地電極と、下地電極を覆うめっき電極と、を有する。下地電極は、素体10の第1主面12aの一部上に設けられ、かつ、第1連結導体41に直に接続された第1下地電極25aと、第1下地電極25aに対して長さ方向Lの中心側に離隔するように素体10の第1主面12aの一部に位置し、かつ、内部導体に直に接続されていない第2下地電極25bと、を含む。めっき電極は、第1下地電極25aを覆う第1めっき電極26aと、第2下地電極25bを覆う第2めっき電極26bと、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に対向する第1端面及び第2端面と、前記長さ方向に直交する高さ方向に対向する第1主面及び第2主面と、前記長さ方向及び前記高さ方向に直交する幅方向に対向する第1側面及び第2側面と、を有する素体と、
前記素体の内部に設けられた内部導体と、
前記素体の前記第1主面の一部上に少なくとも設けられた外部電極と、を備え、
前記外部電極は、下地電極と、前記下地電極を覆うめっき電極と、を有し、
前記下地電極は、前記素体の前記第1主面の一部上に設けられ、かつ、前記内部導体に直に接続された第1下地電極と、前記第1下地電極に対して前記長さ方向の中心側に離隔するように前記素体の前記第1主面の一部に位置し、かつ、前記内部導体に直に接続されていない第2下地電極と、を含み、
前記めっき電極は、前記第1下地電極を覆う第1めっき電極と、前記第2下地電極を覆う第2めっき電極と、を含む、ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記第2下地電極は、前記第1下地電極に対して前記長さ方向の中心側に離隔するように前記素体の前記第1主面の一部上に設けられている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1めっき電極と前記第2めっき電極とは、接している、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1めっき電極と前記第2めっき電極とは、離隔している、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第1めっき電極と前記第2めっき電極との間の前記長さ方向における距離は、3μm以上、20μm以下である、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第1下地電極は、更に、前記素体の前記第1主面の一部から前記第1端面の一部にわたって延在し、
前記下地電極は、前記第1下地電極に対して前記高さ方向の前記素体の前記第2主面側に離隔するように前記素体の前記第1端面の一部に位置し、かつ、前記内部導体に直に接続されていない第3下地電極を更に含み、
前記めっき電極は、前記第3下地電極を覆う第3めっき電極を更に含む、請求項1~5のいずれかに記載の電子部品。
【請求項7】
前記第1めっき電極と前記第3めっき電極とは、接している、請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第1めっき電極と前記第3めっき電極とは、離隔している、請求項6に記載の電子部品。
【請求項9】
前記第1めっき電極と前記第3めっき電極との間の前記高さ方向における距離は、3μm以上、20μm以下である、請求項8に記載の電子部品。
【請求項10】
前記内部導体は、コイル導体を含む、請求項1~9のいずれかに記載の電子部品。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の電子部品と、
ランド電極を表面に有する基板と、
前記電子部品の前記外部電極と前記基板の前記ランド電極とを電気的に接続するはんだと、を備え、
前記はんだは、前記第1めっき電極及び前記第2めっき電極を連続して覆っている、ことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
前記第1下地電極は、更に、前記素体の前記第1主面の一部から前記第1端面の一部にわたって延在し、
前記下地電極は、前記第1下地電極に対して前記高さ方向の前記素体の前記第2主面側に離隔するように前記素体の前記第1端面の一部に位置し、かつ、前記内部導体に直に接続されていない第3下地電極を更に含み、
前記めっき電極は、前記第3下地電極を覆う第3めっき電極を更に含み、
前記はんだは、更に、前記第1めっき電極及び前記第3めっき電極を連続して覆っている、請求項11に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品として、特許文献1には、外部電極を有する積層型コイル部品が開示されている。特許文献1に記載の積層型コイル部品では、下地電極に対してめっき皮膜が形成されることにより、外部電極が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の積層型コイル部品のような電子部品が、はんだを介して基板に実装される場合、はんだの熱収縮により、電子部品の外部電極に引張応力が加わることがある。そのため、この引張応力により、外部電極を構成するめっき皮膜(めっき電極とも言う)が剥離し、結果的に、信頼性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、はんだを介して基板に実装される際に、外部電極のめっき電極が剥離しにくい電子部品を提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記電子部品を有する電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品は、長さ方向に対向する第1端面及び第2端面と、上記長さ方向に直交する高さ方向に対向する第1主面及び第2主面と、上記長さ方向及び上記高さ方向に直交する幅方向に対向する第1側面及び第2側面と、を有する素体と、上記素体の内部に設けられた内部導体と、上記素体の上記第1主面の一部上に少なくとも設けられた外部電極と、を備え、上記外部電極は、下地電極と、上記下地電極を覆うめっき電極と、を有し、上記下地電極は、上記素体の上記第1主面の一部上に設けられ、かつ、上記内部導体に直に接続された第1下地電極と、上記第1下地電極に対して上記長さ方向の中心側に離隔するように上記素体の上記第1主面の一部に位置し、かつ、上記内部導体に直に接続されていない第2下地電極と、を含み、上記めっき電極は、上記第1下地電極を覆う第1めっき電極と、上記第2下地電極を覆う第2めっき電極と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の電子機器は、本発明の電子部品と、ランド電極を表面に有する基板と、上記電子部品の上記外部電極と上記基板の上記ランド電極とを電気的に接続するはんだと、を備え、上記はんだは、上記第1めっき電極及び上記第2めっき電極を連続して覆っている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、はんだを介して基板に実装される際に、外部電極のめっき電極が剥離しにくい電子部品を提供できる。また、本発明によれば、上記電子部品を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1の電子部品を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、
図1中の線分A1-A2に対応する部分の一例を示す断面模式図である。
【
図3】
図3は、
図2中の素体及びコイルを分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
【
図4】
図4は、
図2中の素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態1の電子機器を示す断面模式図である。
【
図6】
図6は、
図5中の領域Bを拡大した状態の第1例を示す断面模式図である。
【
図7】
図7は、
図5中の領域Bを拡大した状態の第2例を示す断面模式図である。
【
図8】
図8は、
図5中の領域Bを拡大した状態の第3例を示す断面模式図である。
【
図9】
図9は、
図5中の領域Bを拡大した状態の第4例を示す断面模式図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態2の電子機器の一部の領域を拡大した状態の第1例を示す断面模式図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態2の電子機器の一部の領域を拡大した状態の第2例を示す断面模式図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態2の電子機器の一部の領域を拡大した状態の第3例を示す断面模式図である。
【
図13】
図13は、電子機器のモデル1を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の電子部品と本発明の電子機器とについて説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0011】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事項についての記載は省略し、異なる点を主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の電子部品」及び「本発明の電子機器」と言う。
【0012】
[実施形態1]
本発明の電子部品は、長さ方向に対向する第1端面及び第2端面と、長さ方向に直交する高さ方向に対向する第1主面及び第2主面と、長さ方向及び高さ方向に直交する幅方向に対向する第1側面及び第2側面と、を有する素体と、素体の内部に設けられた内部導体と、素体の第1主面の一部上に少なくとも設けられた外部電極と、を備える。
【0013】
本発明の電子部品において、内部導体は、コイル導体を含んでいてもよい。この場合、本発明の電子部品は、コイル部品に該当する。なお、本発明の電子部品において、外部電極は、第1外部電極及び第2外部電極を含んでいてもよい。以下では、本発明の実施形態1の電子部品として、第1外部電極及び第2外部電極を有するコイル部品を示す。
【0014】
図1は、本発明の実施形態1の電子部品を示す斜視模式図である。
【0015】
図1に示すように、コイル部品1は、素体10と、第1外部電極21aと、第2外部電極22aと、を有している。
図1に示していないが、後述するように、コイル部品1は、素体10の内部に設けられた内部導体としてのコイル導体も有している。
【0016】
本明細書中、長さ方向、高さ方向、及び、幅方向を、
図1等に示すように、各々、L、T、及び、Wで定められる方向とする。ここで、長さ方向Lと高さ方向Tと幅方向Wとは、互いに直交している。
【0017】
素体10は、長さ方向Lに対向する第1端面11a及び第2端面11bと、高さ方向Tに対向する第1主面12a及び第2主面12bと、幅方向Wに対向する第1側面13a及び第2側面13bと、を有しており、例えば、直方体状又は略直方体状である。
【0018】
素体10の第1端面11a及び第2端面11bは、長さ方向Lに厳密に直交している必要はない。また、素体10の第1主面12a及び第2主面12bは、高さ方向Tに厳密に直交している必要はない。更に、素体10の第1側面13a及び第2側面13bは、幅方向Wに厳密に直交している必要はない。
【0019】
コイル部品1を基板に実装する場合、素体10の第1主面12aが実装面となる。
【0020】
素体10は、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。素体10の角部は、素体10の3面が交わる部分である。素体10の稜線部は、素体10の2面が交わる部分である。
【0021】
第1外部電極21aは、素体10の第1主面12aの一部上に少なくとも設けられている。
図1に示す例では、第1外部電極21aは、素体10の第1主面12aの一部から、第1端面11a、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延在している。第1外部電極21aが、実装面である素体10の第1主面12aの一部上に設けられていることにより、コイル部品1の実装性が向上する。
【0022】
第2外部電極22aは、素体10の第1主面12aの一部上に少なくとも設けられており、第1外部電極21aと離隔した位置に設けられている。
図1に示す例では、第2外部電極22aは、素体10の第1主面12aの一部から、第2端面11b、第1側面13a、及び、第2側面13bの各面の一部にわたって延在している。第2外部電極22aが、実装面である素体10の第1主面12aの一部上に設けられていることにより、コイル部品1の実装性が向上する。
【0023】
図2は、
図1中の線分A1-A2に対応する部分の一例を示す断面模式図である。
【0024】
図2に示すように、素体10は、複数の絶縁層15が、積層方向、ここでは、長さ方向Lに積層されてなる。つまり、絶縁層15の積層方向は、長さ方向Lに平行であり、実装面である素体10の第1主面12aに平行である。なお、
図2では、説明の便宜上、これらの絶縁層15の境界が示されているが、実際には境界が明瞭に現れていない。
【0025】
素体10の内部には、コイル30が設けられている。コイル30は、内部導体としての複数のコイル導体31が電気的に接続されてなり、例えば、ソレノイド状である。コイル導体31は、絶縁層15とともに長さ方向Lに積層されている。コイル部品1は、コイル30を構成するコイル導体31が絶縁層15とともに積層されていることから、積層型コイル部品とも呼ばれる。
【0026】
なお、
図2では、コイル30の形状、コイル導体31の位置、コイル導体31の接続等が厳密に示されていない。例えば、長さ方向Lに隣り合うコイル導体31は、
図2に示していないビア導体を介して互いに電気的に接続されている。
【0027】
コイル30は、コイル軸Cを有している。コイル30のコイル軸Cは、長さ方向Lに延伸し、かつ、素体10の第1端面11aと第2端面11bとの間を貫通している。つまり、コイル30のコイル軸Cの方向は、実装面である素体10の第1主面12aに平行である。また、コイル30のコイル軸Cは、長さ方向Lから見たときのコイル30の形状の中心を通る。
【0028】
以上より、絶縁層15の積層方向とコイル30のコイル軸Cの方向とは、実装面である素体10の第1主面12aに平行である。
【0029】
コイル部品1は、内部導体として、第1連結導体41及び第2連結導体42を更に有していてもよい。
【0030】
第1連結導体41は、
図2に示していない複数のビア導体が電気的に接続されつつ絶縁層15とともに長さ方向Lに積層されてなる。第1連結導体41は、素体10の第1端面11aに露出している。
【0031】
第1外部電極21aの少なくとも一部は、第1連結導体41を介して、コイル30に電気的に接続されている。ここで、複数のコイル導体31のうち、素体10の第1端面11aに最も近い位置には、コイル導体31aが設けられている。つまり、第1外部電極21aの少なくとも一部は、第1連結導体41を介して、コイル導体31aに電気的に接続されている。
【0032】
第1連結導体41は、第1外部電極21aの少なくとも一部とコイル30とを接続している。第1連結導体41は、第1外部電極21aとコイル30との間、ここでは、第1外部電極21aとコイル導体31aとの間を直線状に接続することが好ましい。また、長さ方向Lから見たとき、第1連結導体41は、コイル導体31aと重なり、かつ、コイル軸Cよりも、実装面である素体10の第1主面12a側に位置することが好ましい。これらにより、第1外部電極21aとコイル30との電気的な接続が容易になる。
【0033】
第1連結導体41が第1外部電極21aとコイル30との間を直線状に接続するとは、長さ方向Lから見たとき、第1連結導体41を構成するビア導体同士が重なっていることを示す。したがって、第1連結導体41を構成するビア導体同士は、厳密に直線状に並んでいなくてもよい。
【0034】
第1連結導体41は、コイル導体31aにおける、素体10の第1主面12aに最も近い部分に接続されていることが好ましい。これにより、第1外部電極21aにおける素体10の第1端面11a上の部分の面積を小さくできる。その結果、第1外部電極21aとコイル30との間の浮遊容量が小さくなるため、その分、コイル部品1の高周波特性が向上する。
【0035】
第1連結導体41は、1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
【0036】
第2連結導体42は、
図2に示していない複数のビア導体が電気的に接続されつつ絶縁層15とともに長さ方向Lに積層されてなる。第2連結導体42は、素体10の第2端面11bに露出している。
【0037】
第2外部電極22aの少なくとも一部は、第2連結導体42を介して、コイル30に電気的に接続されている。ここで、複数のコイル導体31のうち、素体10の第2端面11bに最も近い位置には、コイル導体31dが設けられている。つまり、第2外部電極22aの少なくとも一部は、第2連結導体42を介して、コイル導体31dに電気的に接続されている。
【0038】
第2連結導体42は、第2外部電極22aの少なくとも一部とコイル30とを接続している。第2連結導体42は、第2外部電極22aとコイル30との間、ここでは、第2外部電極22aとコイル導体31dとの間を直線状に接続することが好ましい。また、長さ方向Lから見たとき、第2連結導体42は、コイル導体31dと重なり、かつ、コイル軸Cよりも、実装面である素体10の第1主面12a側に位置することが好ましい。これらにより、第2外部電極22aとコイル30との電気的な接続が容易になる。
【0039】
第2連結導体42が第2外部電極22aとコイル30との間を直線状に接続するとは、長さ方向Lから見たとき、第2連結導体42を構成するビア導体同士が重なっていることを示す。したがって、第2連結導体42を構成するビア導体同士は、厳密に直線状に並んでいなくてもよい。
【0040】
第2連結導体42は、コイル導体31dにおける、素体10の第1主面12aに最も近い部分に接続されていることが好ましい。これにより、第2外部電極22aにおける素体10の第2端面11b上の部分の面積を小さくできる。その結果、第2外部電極22aとコイル30との間の浮遊容量が小さくなるため、その分、コイル部品1の高周波特性が向上する。
【0041】
第2連結導体42は、1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
【0042】
図3は、
図2中の素体及びコイルを分解した状態の一例を示す斜視模式図である。
図4は、
図2中の素体及びコイルを分解した状態の一例を示す平面模式図である。
【0043】
図3及び
図4に示す例では、素体10は、絶縁層15としての、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、及び、絶縁層15eが、積層方向、ここでは、長さ方向Lに積層されてなる。
【0044】
本明細書中、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、絶縁層15d、及び、絶縁層15eを特に区別しない場合、絶縁層15と言う。
【0045】
絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、及び、絶縁層15dの主面上には、各々、コイル導体31としての、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dが設けられている。コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dは、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、及び、絶縁層15dとともに長さ方向Lに積層されており、各コイル導体は電気的に接続されている。
【0046】
本明細書中、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dを特に区別しない場合、コイル導体31と言う。
【0047】
図3及び
図4に示す例では、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dの長さは、各々、コイル30の3/4ターンの長さである。つまり、コイル30の3ターンを構成するためのコイル導体の積層数は、4である。素体10では、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dが1つの単位(3ターン分)として繰り返し積層されている。
【0048】
コイル導体31の両端には、ランド部が設けられていてもよい。より具体的には、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dの各両端には、ランド部が設けられていてもよい。
【0049】
長さ方向Lから見たとき、コイル導体31のランド部は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0050】
絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、及び、絶縁層15dには、各々、ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、及び、ビア導体34dが長さ方向Lに貫通するように設けられている。
【0051】
ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、及び、ビア導体34dは、各々、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dの一端に接続されている。上述したように、コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、及び、コイル導体31dの各両端にランド部が設けられている場合、ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、及び、ビア導体34dは、各々、コイル導体31aのランド部、コイル導体31bのランド部、コイル導体31cのランド部、及び、コイル導体31dのランド部に接続されていることになる。
【0052】
コイル導体31a及びビア導体34a付きの絶縁層15aと、コイル導体31b及びビア導体34b付きの絶縁層15bと、コイル導体31c及びビア導体34c付きの絶縁層15cと、コイル導体31d及びビア導体34d付きの絶縁層15dとは、1つの単位(
図3及び
図4中の点線で囲まれた部分)として繰り返し積層されている。これにより、コイル導体31aと、コイル導体31bと、コイル導体31cと、コイル導体31dとは、ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、及び、ビア導体34dを介して電気的に接続される。つまり、長さ方向Lに隣り合うコイル導体は、ビア導体を介して互いに電気的に接続される。
【0053】
以上により、素体10の内部に設けられたソレノイド状のコイル30が構成される。
【0054】
長さ方向Lから見たとき、コイル30は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。なお、コイル30がランド部を含む場合、例えば、コイル導体31の両端にランド部が設けられている場合、コイル30の形状は、ランド部を除いた形状を示す。
【0055】
絶縁層15eには、ビア導体34eが長さ方向Lに貫通するように設けられている。
【0056】
絶縁層15eの主面上には、ビア導体34eに接続されたランド部が設けられていてもよい。
【0057】
ビア導体34e付きの絶縁層15eは、コイル30の一端側に位置する、コイル導体31a及びビア導体34a付きの絶縁層15aに重なるように複数積層されている。これにより、ビア導体34e同士が電気的に接続されて第1連結導体41を構成し、第1連結導体41が素体10の第1端面11aに露出する。その結果、第1外部電極21aの少なくとも一部とコイル導体31aとが、第1連結導体41を介して互いに電気的に接続される。
【0058】
ビア導体34e付きの絶縁層15eは、コイル30の他端側に位置する、コイル導体31d及びビア導体34d付きの絶縁層15dに重なるように複数積層されている。これにより、ビア導体34e同士が電気的に接続されて第2連結導体42を構成し、第2連結導体42が素体10の第2端面11bに露出する。その結果、第2外部電極22aの少なくとも一部とコイル導体31dとが、第2連結導体42を介して互いに電気的に接続される。
【0059】
コイル導体31a、コイル導体31b、コイル導体31c、コイル導体31d、ビア導体34a、ビア導体34b、ビア導体34c、ビア導体34d、及び、ビア導体34eの構成材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
【0060】
本発明の電子部品の外部電極の構成及びその作用効果について、本発明の電子部品がはんだを介して基板に実装された本発明の電子機器を示しつつ、以下に説明する。
【0061】
本発明の電子機器は、本発明の電子部品と、ランド電極を表面に有する基板と、電子部品の外部電極と基板のランド電極とを電気的に接続するはんだと、を備える。なお、本発明の電子機器において、外部電極は、第1外部電極及び第2外部電極を含んでいてもよく、ランド電極は、第1ランド電極及び第2ランド電極を含んでいてもよく、はんだは、第1外部電極と第1ランド電極とを電気的に接続する第1はんだと、第2外部電極と第2ランド電極とを電気的に接続する第2はんだと、を含んでいてもよい。
【0062】
以下では、本発明の実施形態1の電子部品を、上述したように第1外部電極及び第2外部電極を有するコイル部品としつつ、本発明の実施形態1の電子機器として、本発明の実施形態1の電子部品としてのコイル部品が第1はんだ及び第2はんだを介して基板の第1ランド電極及び第2ランド電極に実装された電子機器について説明する。
【0063】
図5は、本発明の実施形態1の電子機器を示す断面模式図である。
【0064】
図5に示すように、電子機器50は、コイル部品1と、基板60と、第1はんだ71と、第2はんだ72と、を有している。
【0065】
基板60は、第1ランド電極61及び第2ランド電極62を表面に有している。第1ランド電極61と第2ランド電極62とは、離隔している。
【0066】
第1はんだ71は、コイル部品1の第1外部電極21aと基板60の第1ランド電極61とを電気的に接続している。
【0067】
第2はんだ72は、コイル部品1の第2外部電極22aと基板60の第2ランド電極62とを電気的に接続している。
【0068】
なお、
図5では、第1外部電極21a及び第2外部電極22aの構成が厳密に示されておらず、これらの詳細な構成については、以下に説明する。
【0069】
本発明の電子部品において、外部電極は、下地電極と、下地電極を覆うめっき電極と、を有し、下地電極は、素体の第1主面の一部上に設けられ、かつ、内部導体に直に接続された第1下地電極と、第1下地電極に対して長さ方向の中心側に離隔するように素体の第1主面の一部に位置し、かつ、内部導体に直に接続されていない第2下地電極と、を含み、めっき電極は、第1下地電極を覆う第1めっき電極と、第2下地電極を覆う第2めっき電極と、を含む。
【0070】
図6は、
図5中の領域Bを拡大した状態の第1例を示す断面模式図である。
【0071】
図6に示す例では、第1外部電極21aは、第1下地電極25aと、第2下地電極25bと、第1めっき電極26aと、第2めっき電極26bと、を有している。
【0072】
第1下地電極25aは、素体10の第1主面12aの一部上に設けられている。第1下地電極25aは、更に、素体10の第1主面12aの一部から第1端面11aの一部にわたって延在している。
図6に示していないが、第1下地電極25aは、更に、素体10の第1側面13a及び第2側面13bの各面の一部にわたって延在している。
【0073】
第1下地電極25aは、内部導体、ここでは、素体10の第1端面11aに露出した第1連結導体41に直に接続されている。
【0074】
なお、
図6に示す例と異なり、例えば、第1連結導体41が存在せず、かつ、コイル導体31が素体10の第1端面11aに露出している場合、第1下地電極25aは、コイル導体31aに直に接続される。
【0075】
第2下地電極25bは、第1下地電極25aに対して長さ方向Lの中心側に離隔するように素体10の第1主面12aの一部に位置している。より具体的には、第2下地電極25bは、第1下地電極25aに対して長さ方向Lの中心側に離隔するように素体10の第1主面12aの一部上に設けられている。
【0076】
第2下地電極25bは、内部導体、ここでは、コイル導体31、第1連結導体41、及び、第2連結導体42に直に接続されていない。
【0077】
第1下地電極25aと第2下地電極25bとの間の長さ方向Lにおける距離P1は、好ましくは6μm以上、66μm以下であり、より好ましくは36μm以上、66μm以下である。
【0078】
第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離は、電子部品、ここでは、コイル部品における、幅方向の略中央部での長さ方向及び高さ方向に沿う断面で、最短距離として定められる。
【0079】
第1下地電極25a及び第2下地電極25bは、各々、Ag又はCuを含むことが好ましく、Agを含むことがより好ましい。
【0080】
第1めっき電極26aは、第1下地電極25aを覆っている。より具体的には、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1めっき電極26aは、第1下地電極25aと素体10の第1主面12aとに接している。
図6に示す例では、第1下地電極25aが素体10の第1端面11aの一部上にも設けられているため、第1めっき電極26aは、素体10の第1端面11aにも接している。
図6に示していないが、第1下地電極25aは素体10の第1側面13a及び第2側面13bの各面の一部上にも設けられているため、第1めっき電極26aは、素体10の第1側面13a及び第2側面13bにも接している。
【0081】
第2めっき電極26bは、第2下地電極25bを覆っている。より具体的には、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第2めっき電極26bは、第2下地電極25bと素体10の第1主面12aとに接している。
【0082】
第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bは、各々、Ni及びSnの少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0083】
第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bは、各々、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよいが、複層構造であることが好ましい。第1めっき電極26aが複層構造である場合、第1めっき電極26aは、第1下地電極25a側から順に、Niめっき電極と、Snめっき電極と、を有することが好ましい。また、第2めっき電極26bが複層構造である場合、第2めっき電極26bは、第2下地電極25b側から順に、Niめっき電極と、Snめっき電極と、を有することが好ましい。
【0084】
第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bのようなめっき電極は、エネルギー分散型X線分析(EDX)での元素分析に加えて、長さ方向及び高さ方向に沿う断面において緻密であること等の情報により、めっき以外の方法で形成された第1下地電極25a及び第2下地電極25bのような下地電極と区別される。
【0085】
本発明の電子機器において、はんだは、第1めっき電極及び第2めっき電極を連続して覆っている。
【0086】
図6に示す例では、第1はんだ71は、第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bを連続して覆っている。より具体的には、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1はんだ71は、第1めっき電極26aと、第2めっき電極26bとに接している。
【0087】
図5及び
図6に示すように、コイル部品1が第1はんだ71を介して基板60の第1ランド電極61に実装される際、コイル部品1の第1外部電極21aが第1下地電極25aに加えて第2下地電極25bを有していると、第1はんだ71の熱収縮による引張応力が、素体10の第1主面12a上の第1外部電極21aにおいて、第1はんだ71の端部近傍に存在する第2下地電極25bに加わるものの、第1下地電極25aに加わりにくくなる。そのため、引張応力により第2めっき電極26bが剥離しやすくなっても、第1めっき電極26aは剥離しにくくなる。上述したように、第1めっき電極26aは、内部導体、ここでは、第1連結導体41に直に接続されているため、第1めっき電極26aが剥離しにくくなることにより、コイル部品1の信頼性の低下が抑制される。一方、第2めっき電極26bは、内部導体、ここでは、コイル導体31、第1連結導体41、及び、第2連結導体42に直に接続されていないため、第2めっき電極26bが剥離しやすくなっても、コイル部品1の信頼性が低下しにくい。
【0088】
本発明の電子部品において、第1めっき電極と第2めっき電極とは、接していてもよい。
【0089】
図6に示す例では、第1めっき電極26aと第2めっき電極26bとは、接している。より具体的には、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1めっき電極26aと第2めっき電極26bとは、連続している。言い換えれば、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、めっき電極の厚みは、第1下地電極25aと第2下地電極25bとの間の領域でゼロになっていない。このように第1めっき電極26aと第2めっき電極26bとが連続していることにより、第1はんだ71は、第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bに沿って濡れ広がりやすくなるため、第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bを連続して覆いやすくなる。
【0090】
図6に示す例では、素体10の第1主面12aを基準位置としたときの高さ方向Tにおける高さ位置を定義すると、めっき電極の表面の高さ位置は、第1下地電極25aに高さ方向Tで重なる領域において、第1下地電極25aと第2下地電極25bとの間の領域よりも高くなっている。また、めっき電極の表面の高さ位置は、第2下地電極25bに高さ方向Tで重なる領域において、第1下地電極25aと第2下地電極25bとの間の領域よりも高くなっている。つまり、めっき電極の表面の高さ位置は、第1下地電極25aに高さ方向Tで重なる領域と、第2下地電極25bに高さ方向Tで重なる領域とにおいて、第1下地電極25aと第2下地電極25bとの間の領域よりも高くなっている。
【0091】
第1めっき電極26aと第2めっき電極26bとが接している態様としては、
図6に示す例以外に、以下の例も挙げられる。
【0092】
図7は、
図5中の領域Bを拡大した状態の第2例を示す断面模式図である。
【0093】
図7に示す例では、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1めっき電極26aと第2めっき電極26bとは、点接触している。言い換えれば、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1下地電極25aと第2下地電極25bとの間の領域には、めっき電極の厚みがゼロになる点が1つのみ存在している。
【0094】
本発明の電子部品において、第1めっき電極と第2めっき電極とは、離隔していてもよい。
【0095】
図8は、
図5中の領域Bを拡大した状態の第3例を示す断面模式図である。
【0096】
図8に示す例では、第1めっき電極26aと第2めっき電極26bとは、離隔している。より具体的には、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1下地電極25aと第2下地電極25bとの間の領域には、めっき電極の厚みがゼロになる領域が存在している。
【0097】
第1めっき電極26aと第2めっき電極26bとの間の長さ方向Lにおける距離Q1は、好ましくは3μm以上、20μm以下であり、より好ましくは5μm以上、15μm以下である。
【0098】
第1めっき電極と第2めっき電極との間の長さ方向における距離は、電子部品、ここでは、コイル部品における、幅方向の略中央部での長さ方向及び高さ方向に沿う断面で、最短距離として定められる。
【0099】
以上では、第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bの配置態様について、
図6、
図7、及び、
図8に示す例を示したが、中でも、
図6又は
図8に示す例が好ましく、
図6に示す例が特に好ましい。
【0100】
図6、
図7、及び、
図8に示す例では、第2下地電極25bが素体10の第1主面12aの一部に位置している態様として、第2下地電極25bが素体10の第1主面12aの一部上に設けられている態様を示したが、第2下地電極は、以下の態様で設けられていてもよい。
【0101】
図9は、
図5中の領域Bを拡大した状態の第4例を示す断面模式図である。
【0102】
図9に示す例では、第2下地電極25b’は、素体10の第1主面12aの一部上に設けられておらず、積層方向、ここでは、長さ方向Lに隣り合う絶縁層15の間で、素体10の第1主面12aの一部に露出するように設けられている。
【0103】
第2下地電極が積層方向に隣り合う絶縁層の間に設けられていることについては、
図9に示すような長さ方向及び高さ方向に沿う断面において、第2下地電極の中心を通り、かつ、絶縁層の積層方向に直交する方向、
図9では、高さ方向に延びる線が、内部導体、
図9では、コイル導体を通ることから分かる。
【0104】
第1めっき電極26aと、第2下地電極25b’を覆う第2めっき電極26b’とは、離隔している。
【0105】
図9に示す例は、上記の点以外、
図8に示す例と同様である。
【0106】
図9に示す例では、第1めっき電極26aと第2めっき電極26b’とが離隔しているが、第1めっき電極26aと第2めっき電極26b’とは、接していてもよい。第1めっき電極26aと第2めっき電極26b’とが接している場合、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1めっき電極26aと第2めっき電極26b’とは、連続していてもよいし、点接触していてもよい。
【0107】
第2外部電極22aについても、第1外部電極21aと同様の構成を有することが好ましい。つまり、第2外部電極22aは、第1下地電極と、第2下地電極と、第1めっき電極と、第2めっき電極と、を有することが好ましい。この場合、第1下地電極は、素体10の第1主面12aの一部上に設けられ、かつ、内部導体、ここでは、第2連結導体42に直に接続されている。また、第2下地電極は、第1下地電極に対して長さ方向Lの中心側に離隔するように素体10の第1主面12aの一部に位置し、かつ、内部導体、ここでは、コイル導体31、第1連結導体41、及び、第2連結導体42に直に接続されていない。また、第1めっき電極は、第1下地電極を覆っている。また、第2めっき電極は、第2下地電極を覆っている。
【0108】
第2外部電極22aにおいて、第1めっき電極と第2めっき電極とは、接していてもよいし、離隔していてもよい。第2外部電極22aにおいて、第1めっき電極と第2めっき電極とが接している場合、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1めっき電極と第2めっき電極とは、連続していてもよいし、点接触していてもよい。
【0109】
第2はんだ72についても、第1はんだ71と同様に、第2外部電極22aの第1めっき電極及び第2めっき電極を連続して覆うことが好ましい。
【0110】
本発明の実施形態1の電子部品としてのコイル部品は、例えば、以下の方法で製造される。
【0111】
<磁性材料作製工程>
まず、Fe2O3、NiO、ZnO、及び、CuOを所定の割合になるように秤量する。
【0112】
次に、これらの秤量物を湿式で混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製する。秤量物の混合時間については、例えば、4時間以上、8時間以下とする。
【0113】
そして、得られたスラリーを乾燥させた後、仮焼成する。仮焼成温度については、例えば、700℃以上、800℃以下とする。仮焼成時間については、例えば、2時間以上、5時間以下とする。
【0114】
このようにして、粉末状の磁性材料、より具体的には、粉末状のフェライト材料を作製する。
【0115】
フェライト材料は、Ni-Cu-Zn系フェライト材料であることが好ましい。
【0116】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、全量を100mоl%としたとき、FeをFe2O3換算で40mol%以上、49.5mol%以下、NiをNiO換算で10mol%以上、45mol%以下、ZnをZnO換算で2mol%以上、35mol%以下、CuをCuO換算で6mol%以上、13mol%以下含むことが好ましい。
【0117】
Ni-Cu-Zn系フェライト材料は、Co、Bi、Sn、Mn等の添加物、不可避不純物等を更に含んでいてもよい。
【0118】
<グリーンシート作製工程>
まず、磁性材料と、ポリビニルブチラール系樹脂等の有機バインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤と、等を混合した後、粉砕することにより、スラリーを作製する。そして、得られたスラリーをドクターブレード法等で、所定の厚みのシート状に成形した後、所定の形状に打ち抜くことにより、グリーンシートを作製する。
【0119】
グリーンシートの材料としては、磁性材料に代えて、ホウケイ酸ガラス材料等の非磁性材料を用いてもよいし、磁性材料及び非磁性材料の混合材料を用いてもよい。
【0120】
<導体パターン形成工程>
まず、グリーンシートの所定の箇所にレーザー照射を行うことにより、ビアホールを形成する。
【0121】
次に、Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等により、ビアホールに充填しつつグリーンシートの表面に塗工する。これにより、グリーンシートに対して、ビア導体用導体パターンをビアホールに形成しつつ、ビア導体用導体パターンに接続されたコイル導体用導体パターンを表面上に形成する。このようにして、グリーンシートにコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンが形成されたコイルシートを作製する。コイルシートについては複数枚作製し、各コイルシートに対して、
図3及び
図4に示したコイル導体に相当するコイル導体用導体パターンと、
図3及び
図4に示したビア導体に相当するビア導体用導体パターンとを形成する。
【0122】
また、Agペースト等の導電性ペーストを、スクリーン印刷法等により、ビアホールに充填することにより、グリーンシートにビア導体用導体パターンが形成されたビアシートを、コイルシートとは別に作製する。ビアシートについても複数枚作製し、各ビアシートに対して、
図3及び
図4に示したビア導体に相当するビア導体用導体パターンを形成する。
【0123】
<積層体ブロック作製工程>
コイルシート及びビアシートを、
図3及び
図4に相当する順序で積層方向に積層した後、熱圧着することにより、積層体ブロックを作製する。
【0124】
<素体及びコイル作製工程>
まず、積層体ブロックをダイサー等で所定の大きさに切断することにより、個片化されたチップを作製する。
【0125】
次に、個片化されたチップを焼成する。焼成温度については、例えば、900℃以上、920℃以下とする。また、焼成時間については、例えば、2時間以上、4時間以下とする。
【0126】
個片化されたチップを焼成することにより、コイルシート及びビアシートのグリーンシートは、絶縁層となる。その結果、複数の絶縁層が、積層方向、ここでは、長さ方向に積層されてなる素体が作製される。
【0127】
個片化されたチップを焼成することにより、コイルシートのコイル導体用導体パターン及びビア導体用導体パターンは、各々、コイル導体及びビア導体となる。その結果、複数のコイル導体が長さ方向に積層されつつ、ビア導体を介して電気的に接続されてなるコイルが作製される。
【0128】
以上により、素体と、素体の内部に設けられたコイルとが作製される。絶縁層の積層方向とコイルのコイル軸の方向とは、実装面である素体の第1主面に平行となり、ここでは、長さ方向に平行となる。
【0129】
個片化されたチップを焼成することにより、ビアシートのビア導体用導体パターンは、ビア導体となる。その結果、複数のビア導体が長さ方向に積層されつつ電気的に接続されてなる、第1連結導体及び第2連結導体が作製される。第1連結導体は、素体の第1端面に露出することになる。第2連結導体は、素体の第2端面に露出することになる。
【0130】
素体に対しては、例えば、バレル研磨を施すことにより、角部及び稜線部に丸みを付けてもよい。
【0131】
<外部電極形成工程>
まず、Ag及びガラスフリットを含む導電性ペーストを所定の厚みに引き伸ばした層に、素体を斜めに浸漬することにより、素体の第1主面の一部から、第1端面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在し、かつ、素体の第1端面に露出した第1連結導体に直に接続された第1塗膜を形成する。
【0132】
また、Ag及びガラスフリットを含む導電性ペーストを素体の第1主面の一部に塗工することにより、第1塗膜に対して長さ方向の中心側に離隔するように素体の第1主面の一部上に設けられ、かつ、コイル導体、第1連結導体、及び、第2連結導体に直に接続されていない第2塗膜を形成する。
【0133】
第1塗膜及び第2塗膜を形成する際、第1塗膜及び第2塗膜を、異なるタイミングで形成してもよいし、同じタイミングで形成してもよい。
【0134】
第1塗膜及び第2塗膜を異なるタイミングで形成する場合、第1塗膜、第2塗膜の順に形成してもよいし、第2塗膜、第1塗膜の順に形成してもよい。
【0135】
次に、第1塗膜を焼き付けることにより、素体の第1主面の一部から、第1端面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在し、かつ、第1連結導体に直に接続された第1下地電極を形成する。
【0136】
また、第2塗膜を焼き付けることにより、第1下地電極に対して長さ方向の中心側に離隔するように素体の第1主面の一部上に設けられ、かつ、コイル導体、第1連結導体、及び、第2連結導体に直に接続されていない第2下地電極を形成する。
【0137】
第1塗膜及び第2塗膜の焼き付け温度については、例えば、800℃以上、820℃以下とする。
【0138】
そして、電解めっき等により、第1下地電極上にNiめっき電極及びSnめっき電極を順に形成することにより、Niめっき電極及びSnめっき電極を有し、かつ、第1下地電極を覆う第1めっき電極を形成する。
【0139】
また、電解めっき等により、第2下地電極上にNiめっき電極及びSnめっき電極を順に形成することにより、Niめっき電極及びSnめっき電極を有し、かつ、第2下地電極を覆う第2めっき電極を形成する。
【0140】
第1めっき電極及び第2めっき電極を形成する際、めっき成長寸法を調節することにより、第1めっき電極及び第2めっき電極を、
図6又は
図7に示すように互いに接するように形成してもよいし、
図8に示すように互いに離隔するように形成してもよい。
【0141】
以上では、第2下地電極を素体の第1主面の一部上に形成する例を示したが、以下に示すように、第2下地電極を、素体の第1主面の一部に露出するように形成してもよい。
【0142】
まず、上述した導体パターン形成工程において、Ag及びガラスフリットを含む導電性ペーストを、グリーンシートの外縁に届くように表面に塗工することにより、第2下地電極用導体パターンを形成する。
【0143】
第2下地電極用導体パターンを形成する際、第2下地電極用導体パターンを、コイルシートに形成してもよいし、ビアシートに形成してもよいし、コイルシート及びビアシートの両方に形成してもよい。
【0144】
そして、上述した積層体ブロック作製工程を経た後、上述した素体及びコイル作製工程において、個片化されたチップを焼成することにより、第2下地電極用導体パターンは、第2下地電極となる。このようにして形成された第2下地電極は、素体の第1主面の一部に露出することになる。
【0145】
以降の工程では、第2下地電極が予め形成された素体に対して、上述したように第1下地電極を形成した後、第1下地電極を覆う第1めっき電極と、第2下地電極を覆う第2めっき電極とを形成する。この際、めっき成長寸法を調節することにより、第1めっき電極及び第2めっき電極を、互いに接するように形成してもよいし、
図9に示すように互いに離隔するように形成してもよい。
【0146】
このようにして、少なくとも一部が第1連結導体を介してコイルに電気的に接続された第1外部電極を形成する。
【0147】
一方、素体の第1主面の一部から、第2端面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在し、かつ、第2連結導体に直に接続された第1下地電極を形成すること、並びに、第1下地電極に対して長さ方向の中心側に離隔するように素体の第1主面の一部上に設けられ、かつ、コイル導体、第1連結導体、及び、第2連結導体に直に接続されていない第2下地電極を形成すること以外、上述した方法と同様にして、少なくとも一部が第2連結導体を介してコイルに電気的に接続された第2外部電極を形成する。
【0148】
以上により、本発明の実施形態1の電子部品としてのコイル部品が製造される。
【0149】
また、本発明の実施形態1の電子部品としてのコイル部品を、第1はんだ及び第2はんだを介して基板の第1ランド電極及び第2ランド電極に実装することにより、本発明の実施形態1の電子機器が製造される。
【0150】
本発明の実施形態1の電子部品としてのコイル部品では、第1外部電極が、素体の第1主面の一部から、第1端面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在している例を示したが、第1外部電極は、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在していてもよい。
【0151】
本発明の実施形態1の電子部品としてのコイル部品では、第2外部電極が、素体の第1主面の一部から、第2端面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在している例を示したが、第2外部電極は、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在していてもよい。
【0152】
本発明の実施形態1の電子部品としてのコイル部品では、絶縁層の積層方向とコイルのコイル軸の方向とが、実装面である素体の第1主面に平行である例を示したが、絶縁層の積層方向とコイルのコイル軸の方向とが、実装面である素体の第1主面に直交していてもよい。この場合、第1外部電極は、素体の第1端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在していることが好ましい。また、第2外部電極は、素体の第2端面から、第1主面、第2主面、第1側面、及び、第2側面の各面の一部にわたって延在していることが好ましい。
【0153】
[実施形態2]
本発明の実施形態2の電子部品において、第1下地電極は、更に、素体の第1主面の一部から第1端面の一部にわたって延在し、下地電極は、第1下地電極に対して高さ方向の素体の第2主面側に離隔するように素体の第1端面の一部に位置し、かつ、内部導体に直に接続されていない第3下地電極を更に含み、めっき電極は、第3下地電極を覆う第3めっき電極を更に含む。本発明の実施形態2の電子部品は、この点以外、本発明の実施形態1の電子部品と同様である。
【0154】
本発明の実施形態2の電子機器において、第1下地電極は、更に、素体の第1主面の一部から第1端面の一部にわたって延在し、下地電極は、第1下地電極に対して高さ方向の素体の第2主面側に離隔するように素体の第1端面の一部に位置し、かつ、内部導体に直に接続されていない第3下地電極を更に含み、めっき電極は、第3下地電極を覆う第3めっき電極を更に含み、はんだは、更に、第1めっき電極及び第3めっき電極を連続して覆っている。本発明の実施形態2の電子機器は、この点以外、本発明の実施形態1の電子機器と同様である。
【0155】
以下では、本発明の実施形態2の電子部品を、本発明の実施形態1の電子部品と同様にコイル部品としつつ、本発明の実施形態2の電子機器として、本発明の実施形態2の電子部品としてのコイル部品が第1はんだ及び第2はんだを介して基板の第1ランド電極及び第2ランド電極に実装された電子機器について説明する。
【0156】
図10は、本発明の実施形態2の電子機器の一部の領域を拡大した状態の第1例を示す断面模式図である。なお、本発明の実施形態2の電子機器の全体像は、
図5と概ね同様である。
【0157】
図10に示す例では、第1外部電極21bは、第1下地電極25aと、第2下地電極25bと、第1めっき電極26aと、第2めっき電極26bと、更には、第3下地電極25cと、第3めっき電極26cと、を有している。
【0158】
図10に示す例では、素体10の第1主面12a上の第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bの配置態様は、
図6に示す例と同様であるが、
図7、
図8、又は、
図9に示す例と同様であってもよい。
【0159】
第3下地電極25cは、第1下地電極25aに対して高さ方向Tの素体10の第2主面12b側に離隔するように素体10の第1端面11aの一部に位置している。より具体的には、第3下地電極25cは、第1下地電極25aに対して高さ方向Tの素体10の第2主面12b側に離隔するように素体10の第1端面11aの一部上に設けられている。
【0160】
第3下地電極25cは、内部導体、ここでは、コイル導体31、第1連結導体41、及び、第2連結導体42に直に接続されていない。
【0161】
第1下地電極25aと第3下地電極25cとの間の高さ方向Tにおける距離P2は、好ましくは6μm以上、66μm以下であり、より好ましくは36μm以上、66μm以下である。
【0162】
第1下地電極と第3下地電極との間の高さ方向における距離は、電子部品、ここでは、コイル部品における、幅方向の略中央部での長さ方向及び高さ方向に沿う断面で、最短距離として定められる。
【0163】
第3下地電極25cは、第1下地電極25a及び第2下地電極25bと同様に、Agを含むことが好ましい。
【0164】
第3めっき電極26cは、第3下地電極25cを覆っている。より具体的には、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第3めっき電極26cは、第3下地電極25cと素体10の第1端面11aとに接している。
【0165】
第3めっき電極26cは、第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bと同様に、Ni及びSnの少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0166】
第3めっき電極26cは、第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bと同様に、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよいが、複層構造であることが好ましい。第3めっき電極26cが複層構造である場合、第3めっき電極26cは、第3下地電極25c側から順に、Niめっき電極と、Snめっき電極と、を有することが好ましい。
【0167】
第1はんだ71は、第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bを連続して覆っており、更には、第1めっき電極26a及び第3めっき電極26cを連続して覆っている。より具体的には、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1はんだ71は、第1めっき電極26aと、第2めっき電極26bとに接しており、更には、第3めっき電極26cに接している。
【0168】
図10に示すように、第1はんだ71が素体10の第1主面12a及び第1端面11aにわたって設けられていると、第1はんだ71の熱収縮による引張応力が、長さ方向Lにおいて素体10の第1端面11a側(
図10では、左側)に向かう方向に加わりやすくなるが、更に、高さ方向Tにおいて素体10の第1主面12a側(
図10では、下側)に向かう方向にも加わることがある。
【0169】
この場合、長さ方向Lにおいて素体10の第1端面11a側に向かう方向に加わる引張応力に対しては、第1外部電極21bが第1下地電極25aに加えて第2下地電極25bを有することにより、上述したように、引張応力により第2めっき電極26bが剥離しやすくなっても、第1めっき電極26aは剥離しにくくなる。
【0170】
一方、高さ方向Tにおいて素体10の第1主面12a側に向かう方向に加わる引張応力に対しては、第1外部電極21bが第3下地電極25cを有することにより、引張応力が、素体10の第1端面11a上の第1外部電極21bにおいて、第1はんだ71の端部近傍に存在する第3下地電極25cに加わるものの、第1下地電極25aに加わりにくくなる。そのため、引張応力により第3めっき電極26cが剥離しやすくなっても、第1めっき電極26aは剥離しにくくなる。
【0171】
以上により、
図10に示す構成を有するコイル部品では、第1はんだ71を介して基板に実装される際に、第1めっき電極26aが剥離しにくくなることにより、コイル部品の信頼性の低下が抑制される。一方、
図10に示す構成を有するコイル部品では、第2めっき電極26b及び第3めっき電極26cが、内部導体、ここでは、コイル導体31、第1連結導体41、及び、第2連結導体42に直に接続されていないため、第2めっき電極26b及び第3めっき電極26cが剥離しやすくなっても、コイル部品の信頼性が低下しにくい。
【0172】
本発明の電子部品において、第1めっき電極と第3めっき電極とは、接していてもよい。
【0173】
図10に示す例では、第1めっき電極26aと第3めっき電極26cとは、接している。より具体的には、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1めっき電極26aと第3めっき電極26cとは、連続している。言い換えれば、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、めっき電極の厚みは、第1下地電極25aと第3下地電極25cとの間の領域でゼロになっていない。このように第1めっき電極26aと第3めっき電極26cとが連続していることにより、第1はんだ71は、第1めっき電極26a及び第3めっき電極26cに沿って濡れ広がりやすくなるため、第1めっき電極26a及び第3めっき電極26cを連続して覆いやすくなる。
【0174】
図10に示す例では、素体10の第1端面11aを基準位置としたときの長さ方向Lにおける高さ位置を定義すると、めっき電極の表面の高さ位置は、第1下地電極25aに長さ方向Lで重なる領域において、第1下地電極25aと第3下地電極25cとの間の領域よりも高くなっている。また、めっき電極の表面の高さ位置は、第3下地電極25cに長さ方向Lで重なる領域において、第1下地電極25aと第3下地電極25cとの間の領域よりも高くなっている。つまり、めっき電極の表面の高さ位置は、第1下地電極25aに長さ方向Lで重なる領域と、第3下地電極25cに長さ方向Lで重なる領域とにおいて、第1下地電極25aと第3下地電極25cとの間の領域よりも高くなっている。
【0175】
第1めっき電極26aと第3めっき電極26cとが接している態様としては、
図10に示す例以外に、以下の例も挙げられる。
【0176】
図11は、本発明の実施形態2の電子機器の一部の領域を拡大した状態の第2例を示す断面模式図である。
【0177】
図11に示す例では、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1めっき電極26aと第3めっき電極26cとは、点接触している。言い換えれば、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1下地電極25aと第3下地電極25cとの間の領域には、めっき電極の厚みがゼロになる点が1つのみ存在している。
【0178】
図11に示す例では、素体10の第1主面12a上の第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bの配置態様は、
図7に示す例と同様であるが、
図6、
図8、又は、
図9に示す例と同様であってもよい。
【0179】
本発明の電子部品において、第1めっき電極と第3めっき電極とは、離隔していてもよい。
【0180】
図12は、本発明の実施形態2の電子機器の一部の領域を拡大した状態の第3例を示す断面模式図である。
【0181】
図12に示す例では、第1めっき電極26aと第3めっき電極26cとは、離隔している。より具体的には、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1下地電極25aと第3下地電極25cとの間の領域には、めっき電極の厚みがゼロになる領域が存在している。
【0182】
第1めっき電極26aと第3めっき電極26cとの間の高さ方向Tにおける距離Q2は、好ましくは3μm以上、20μm以下であり、より好ましくは5μm以上、15μm以下である。
【0183】
第1めっき電極と第3めっき電極との間の高さ方向における距離は、電子部品、ここでは、コイル部品における、幅方向の略中央部での長さ方向及び高さ方向に沿う断面で、最短距離として定められる。
【0184】
図12に示す例では、素体10の第1主面12a上の第1めっき電極26a及び第2めっき電極26bの配置態様は、
図8に示す例と同様であるが、
図6、
図7、又は、
図9に示す例と同様であってもよい。
【0185】
以上では、第1めっき電極26a及び第3めっき電極26cの配置態様について、
図10、
図11、及び、
図12に示す例を示したが、中でも、
図10又は
図12に示す例が好ましく、
図10に示す例が特に好ましい。
【0186】
図10、
図11、及び、
図12に示す例では、第3下地電極25cが素体10の第1端面11aの一部に位置している態様として、第3下地電極25cが素体10の第1端面11aの一部上に設けられている態様を示したが、第3下地電極は、素体の第1端面の一部に露出するように設けられていてもよい。この場合であっても、第1めっき電極と第3めっき電極とは、接していてもよいし、離隔していてもよい。
【0187】
第2外部電極についても、第1外部電極21bと同様の構成を有することが好ましい。つまり、第2外部電極は、第1下地電極と、第2下地電極と、第1めっき電極と、第2めっき電極と、更には、第3下地電極と、第3めっき電極と、を有することが好ましい。この場合、第1下地電極は、素体10の第1主面12aの一部から第2端面11bの一部にわたって延在している。また、第3下地電極は、第1下地電極に対して高さ方向Tの素体10の第2主面12b側に離隔するように素体10の第2端面11bの一部に位置し、かつ、内部導体、ここでは、コイル導体31、第1連結導体41、及び、第2連結導体42に直に接続されていない。また、第3めっき電極は、第3下地電極を覆っている。
【0188】
第2外部電極において、第1めっき電極と第3めっき電極とは、接していてもよいし、離隔していてもよい。第2外部電極において、第1めっき電極と第3めっき電極とが接している場合、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面において、第1めっき電極と第3めっき電極とは、連続していてもよいし、点接触していてもよい。
【0189】
第2はんだについても、第1はんだ71と同様に、第2外部電極の第1めっき電極及び第3めっき電極を連続して覆うことが好ましい。
【0190】
本発明の実施形態2の電子部品としてのコイル部品は、例えば、第2下地電極と同様の方法により第3下地電極を形成し、更には、第2めっき電極と同様の方法により第3めっき電極を形成すること以外、本発明の実施形態1の電子部品としてのコイル部品と同様に製造される。
【0191】
また、本発明の実施形態2の電子部品としてのコイル部品を、第1はんだ及び第2はんだを介して基板の第1ランド電極及び第2ランド電極に実装することにより、本発明の実施形態2の電子機器が製造される。
【0192】
本発明の実施形態1の電子部品と本発明の実施形態2の電子部品とにおいては、素体の第1側面及び第2側面の各面の一部上にも第1下地電極が設けられているが、本発明の電子部品において、第1下地電極は、更に、素体の第1主面の一部から第1側面及び第2側面の少なくとも一方の面の一部にわたって延在し、下地電極は、第1下地電極と離隔するように素体の第1側面及び第2側面の少なくとも一方の面の一部に位置し、かつ、内部導体に直に接続されていない第4下地電極を更に含んでいてもよく、めっき電極は、第4下地電極を覆う第4めっき電極を更に含んでいてもよい。このような態様では、はんだの熱収縮による引張応力が、素体の第1側面及び第2側面の少なくとも一方の面上の外部電極に加わることがあっても、引張応力が、素体の第1側面及び第2側面の少なくとも一方の面上の外部電極において、第4下地電極に加わるものの、第1下地電極に加わりにくくなる。そのため、引張応力により第4めっき電極が剥離しやすくなっても、第1めっき電極は剥離しにくくなる。
【0193】
以上の実施形態では、本発明の電子部品としてコイル部品を示したが、本発明の電子部品は、コイル部品に限定されず、積層セラミックコンデンサ、積層サーミスタ、積層バリスタ、積層LCフィルタ、積層圧電フィルタ等の他の積層セラミック電子部品であってもよいし、積層セラミック電子部品以外の電子部品であってもよい。
【実施例0194】
以下、本発明の電子部品と本発明の電子機器とを、シミュレーション用のモデルでより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0195】
[モデル1]
図13は、電子機器のモデル1を示す断面模式図である。
【0196】
図13に示す電子機器のモデル1では、第1外部電極121は、第1下地電極125aと、第1めっき電極126aと、を有している。
【0197】
第1下地電極125aは、素体10の第1主面12aの一部上に設けられている。第1下地電極125aは、更に、素体10の第1主面12aの一部から第1端面11aの一部にわたって延在している。
【0198】
第1下地電極125aは、内部導体、ここでは、素体10の第1端面11aに露出した第1連結導体41に直に接続されている。
【0199】
電子機器のモデル1は、第1外部電極121が第2下地電極及び第2めっき電極を有していないこと以外、
図6、
図7、及び、
図8に示す例と同様の構成を有している。
【0200】
電子機器のモデル1では、素体10の第1主面12a上において、第1下地電極125aの先端と第1めっき電極126aの先端との間の長さ方向Lにおける距離を、30μmに設定した。
【0201】
[モデル2]
電子機器のモデル2として、
図8に示す例と同様の構成を採用した。
【0202】
電子機器のモデル2では、各種距離を以下の通りに設定した。
・第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離:42μm
・第1めっき電極と第2めっき電極との間の長さ方向における距離:10μm
・第1下地電極の先端と第1めっき電極の先端との間の長さ方向における距離:30μm
【0203】
[モデル3]
電子機器のモデル3として、
図7に示す例と同様の構成を採用した。
【0204】
電子機器のモデル3では、各種距離を以下の通りに設定した。
・第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離:42μm
・第1下地電極の先端と第1めっき電極の先端との間の長さ方向における距離:40μm
【0205】
[モデル4]
電子機器のモデル4として、
図6に示す例と同様の構成を採用した。
【0206】
電子機器のモデル4では、各種距離を以下の通りに設定した。
・第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離:42μm
【0207】
[モデル5]
電子機器のモデル5として、
図9に示す例と同様の構成を採用した。
【0208】
電子機器のモデル5では、各種距離を以下の通りに設定した。
・第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離:42μm
・第1めっき電極と第2めっき電極との間の長さ方向における距離:10μm
・第1下地電極の先端と第1めっき電極の先端との間の長さ方向における距離:30μm
【0209】
[モデル6]
電子機器のモデル6として、第1めっき電極と第2めっき電極とが点接触すること以外、
図9に示す例と同様の構成を採用した。
【0210】
電子機器のモデル6では、各種距離を以下の通りに設定した。
・第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離:42μm
・第1下地電極の先端と第1めっき電極の先端との間の長さ方向における距離:40μm
【0211】
[モデル7]
電子機器のモデル7として、第1めっき電極と第2めっき電極とが連続すること以外、
図9に示す例と同様の構成を採用した。
【0212】
電子機器のモデル7では、各種距離を以下の通りに設定した。
・第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離:42μm
【0213】
[評価1]
電子機器のモデル1~7について、はんだの熱収縮による引張応力に起因して、素体の第1主面上に設けられた第1下地電極の先端にどの程度の応力が加わるのかを、ムラタソフトウェア社製のソフトウェア「Femtet(登録商標)」を用いて計算した。計算結果を、表1に示す。
【0214】
表1に記載の「応力」は、第1下地電極の先端に加わる応力であり、電子機器のモデル1で100としたときの相対値で示されている。また、表1に記載の「応力低減率」は、第1下地電極の先端に加わる応力が、電子機器のモデル1に対してどの程度低減されたかを示している。
【0215】
【0216】
なお、電子機器のモデル1は、本発明の範囲外の比較例である。電子機器のモデル2~7は、本発明の範囲内の実施例である。
【0217】
表1に示すように、電子機器のモデル2~7では、電子機器のモデル1と比較して、第1下地電極の先端に加わる応力が低減されるため、第1めっき電極が剥離しにくくなり、結果的に、電子部品、ここでは、コイル部品の信頼性の低下が抑制される、と考えられる。
【0218】
[モデル8~13]
電子機器のモデル8~13として、第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離を表2のように変更したこと以外、電子機器のモデル4と同様の構成を採用した。
【0219】
[評価2]
電子機器のモデル8~13について、[評価1]と同様の方法により、素体の第1主面上に設けられた第1下地電極の先端にどの程度の応力が加わるのかを計算した。計算結果を、表2に示す。なお、表2には、表1にも示した電子機器のモデル4についての計算結果も示している。
【0220】
表2に記載の「応力」及び「応力低減率」は、表1と同義である。また、表2に記載の「下地電極間距離」は、第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離を示している。
【0221】
【0222】
なお、電子機器のモデル8~13は、電子機器のモデル4と同様に、本発明の範囲内の実施例である。
【0223】
表2に示すように、電子機器のモデル8~13では、電子機器のモデル4と同様に、電子機器のモデル1と比較して、第1下地電極の先端に加わる応力が低減されるため、第1めっき電極が剥離しにくくなり、結果的に、電子部品、ここでは、コイル部品の信頼性の低下が抑制される、と考えられる。特に、第1下地電極と第2下地電極との間の長さ方向における距離が36μm以上、66μm以下である電子機器のモデル4、11~13では、電子機器のモデル8~10と比較して、第1下地電極の先端に加わる応力が顕著に低減されるため、第1めっき電極が非常に剥離しにくくなり、結果的に、電子部品、ここでは、コイル部品の信頼性の低下が顕著に抑制される、と考えられる。