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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181035
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】薬剤連続自動吸引装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087861
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】518165109
【氏名又は名称】並田 勝秀
(71)【出願人】
【識別番号】591005316
【氏名又は名称】西研グラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】並田 勝秀
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA27
4C047CC04
4C047HH03
4C047HH07
(57)【要約】
【課題】
薬剤を複数本の注射器に連続且つ自動で吸引する装置を提供する。
【解決手段】
複数本の注射器(11~17)が一定間隔で並べられ、薬剤吸引位置(B)とキャップ着脱位置(A)に順次注射器が停止するシリンジケース(2)を備え、キャップ着脱位置の上方には、上下に移動可能なキャップホルダ(3)が設置され、薬剤吸引位置(B)の上方には、薬剤が充填されたバイアルが下向きに保持され上下に移動可能なバイアルホルダ(5)が設置され、薬剤吸引位置の下方には、注射器のプランジャを引くための上下運動が可能なプランジャ保持部を有するプランジャユニット(4)が設置されたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の注射器が一定間隔で設置され、薬剤吸引位置とキャップ着脱位置に順次注射器が停止するよう移動可能なシリンジケースを備え、キャップ着脱位置の上方には、上下に移動可能なキャップホルダが設置され、薬剤吸引位置の上方には、薬剤が充填されたバイアルが上下反転された状態で下向きに保持された上下に移動可能なバイアルホルダが設置され、薬剤吸引位置の下方には、注射器のプランジャを引くために上下運動が可能なプランジャ保持部を有するプランジャユニットが設置されたことを特徴とする注射器への薬剤連続自動吸引装置。
【請求項2】
複数本の注射器が一定間隔で設置され、薬剤吸引位置とキャップ着脱位置に複数本の注射器が同時に停止するよう移動可能なシリンジケースを備え、複数本の注射器が停止するそれぞれのキャップ着脱位置の上方には、上下に移動可能なキャップホルダがそれぞれ設置され、複数本の注射器が停止するそれぞれの薬剤吸引位置の上方には、薬剤が充填されたバイアルが上下反転された状態で下向きに保持された上下に移動可能なバイアルホルダがそれぞれ設置され、複数本の注射器が停止するそれぞれの薬剤吸引位置の下方には、注射器のプランジャを引くために上下運動が可能なプランジャ保持部がそれぞれ設置されたことを特徴とする注射器への薬剤連続自動吸引装置。
【請求項3】
複数本の注射器がベルト外周に一定間隔で固定設置され、薬剤吸引位置に注射器が順次停止するようにピッチ回転するO形回転ベルトを備え、薬剤吸引位置の上方には、上下に移動可能なキャップホルダと、薬剤が充填されたバイアルが上下反転された状態で下向きに保持された上下に移動可能なバイアルホルダと、バイアルホルダの下方には、注射器のプランジャを引くために上下運動が可能なプランジャ保持部を有するプランジャユニットが、一体的に移動可能な状態でユニット化されていることを特徴とする注射器への薬剤連続自動吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を注射器に自動で且つ連続的に吸引する薬剤連続自動吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院で患者に注射を打つときは、医師や看護師、薬剤師が手作業で薬剤瓶(バイアル)から注射器に規定量を吸引し、その場で患者に投与している。
【0003】
薬剤バッグから薬剤を吸引する場合、注射器と弾性栓付き薬剤供給口を有する薬剤バッグ間とで薬剤を移送させる薬剤移送方法と薬剤移送装置が開示されている。(特許文献1)
【0004】
また、薬剤が放射線薬液の場合は、看護師や薬剤師などの作業者が被ばくすることを避けるために、鉛等からできたシールドを有する薬液分注装置等によって放射線薬液を自動吸引する技術が開示されている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-158585号公報
【特許文献2】特公平03-31468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、看護師等による手作業での吸引作業は、長時間労働時の疲労や集中力の低下または人手不足による焦りなどが原因で針刺し事故や吸引量の間違いなどの医療過誤が発生している。
【0007】
前記従来例においては、看護師などによる注射器への吸引作業自体は軽減されるものの、自動吸引できる注射器は1本ずつであるため、1本ごとに注射器を取り換えなければならず、ワクチンの集団接種など多数の吸引が必要となる場合には、対応できなかった。
【0008】
そこで本発明は、上記の事情に鑑み、薬剤を複数本の注射器に連続且つ自動で吸引する装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の薬剤連続自動吸引装置は、複数本の注射器が一定間隔で並べられ、薬剤吸引位置に順次注射器が停止するシリンジケースを備え、キャップ着脱位置の上方には、上下に移動可能なキャップホルダが設置され、薬剤吸引位置の上方には、薬剤が充填されたバイアルが下向きに保持され、上下に移動可能なバイアルホルダが設置され、薬剤吸引位置の下方には、注射器のプランジャを引くための上下運動が可能なプランジャ保持部を有するプランジャユニットが設置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の薬剤連続自動吸引装置によれば、バイアルに充填された薬剤を複数本の注射器に連続且つ自動で吸引することができる。
【0011】
また、安全且つ迅速にシリンジケースにセットした注射器に薬剤を自動で吸引でき、吸引にかかる時間が大幅に短縮され、例えばワクチンの集団接種の場合、被接種者の待ち時間が短くなり、1日当たりのワクチン接種量を増やすことができる。
【0012】
さらに、最小限の人員で且つ作業工程を大幅に軽減し、薬剤の吸引を行うことができるので、看護師等の作業者が疲労や集中力の低下による針刺し事故や吸引量の間違いなどの医療過誤の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】薬剤連続自動吸引装置の概要図。
図2】第1の注射器がキャップ着脱位置で停止した図。
図3】キャップホルダが第1の注射器のキャップを保持した図。
図4】キャップホルダによって第1の注射器のキャップを取り外した図。
図5】プランジャ保持部が第1の注射器のプランジャと係合した図。
図6】プランジャユニットの斜視図。
図7】バイアルホルダが下降し、バイアルに注射針が穿刺した図。
図8】プランジャ保持部が下降し、シリンジ内に薬剤を吸引した図。
図9】バイアルホルダが上昇し、バイアルから注射針を引き抜いた図。
図10】第1の注射器がキャップ着脱位置に移動した図。
図11】キャップホルダが下降し、第1の注射器にキャップが装着された図。
図12】キャップホルダが上昇し、薬剤を吸引した第1の注射器にキャップが装着され、吸引工程が終了した図。
図13】実施の形態2の薬剤連続吸引装置の概要正面図。
図14】実施の形態2の薬剤連続吸引装置の概要側面図。
図15】シリンジケースがキャップ着脱位置に移動した図。
図16】キャップホルダが複数のキャップを保持した図。
図17】複数のキャップを保持したキャップホルダが上昇し、複数の注射器からキャップが外された図。
図18】キャップを外した複数の注射器がシリンジケースとともに薬剤吸引位置に移動し、プランジャとプランジャ保持部が係合した図。
図19】バイアルを保持した複数のバイアルホルダが下降し、各注射針が穿刺した図。
図20】複数のプランジャ保持部が下降し、各シリンジ内に薬剤を吸引した図。
図21】バイアルを保持した複数のバイアルホルダが上昇し、バイアルから注射針を引き抜いた図。
図22】薬剤吸引後の複数の注射器がキャップ着脱位置に移動した図。
図23】複数のキャップホルダが下降し、各注射器にキャップが装着された図。
図24】複数のキャップホルダが上昇し、薬剤を吸引した複数の注射器への吸引工程が終了した図。
図25】実施の形態3の薬剤連続吸引装置の概要正面図。
図26】薬剤吸引位置でキャップホルダが下降し、キャップを保持した図
図27】キャップを保持したキャップホルダが上昇し第1の注射器のキャップを取り外した図
図28】バイアルホルダとプランジャユニットが薬剤吸引位置に移動した図。
図29】バイアルホルダが下降し、バイアルに注射針が穿刺した図。
図30】プランジャ保持部が下降し、シリンジ内に薬剤を吸引した図。
図31】バイアルホルダが上昇し、バイアルから注射針を引き抜いた図。
図32】プランジャ保持部からプランジャが解放され、キャップホルダが薬剤吸引位置に移動した図。
図33】キャップホルダが下降し、第1の注射器にキャップが装着された図。
図34】キャップホルダが上昇し、薬剤を吸引した第1の注射器への吸引工程が終了した図。
図35】シリンジホルダが一体的に取り付けられたO型回転ベルトの図。
図36】O型回転ベルトに複数の注射器を設置した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施形態について、説明する。
図1は、本実施形態の薬剤連続自動吸引装置の実施例の1つである。
【0015】
図1の通り、シリンジ(101)と、シリンジの先端に取り付けられた注射針(102)と、注射針を保護するキャップ(103)と、シリンジ内に挿入されたプランジャ(104)とからなる、第1の注射器(11)から第7の注射器(17)までの複数本の注射器(1)が、キャップ(103)で保護された注射針(102)とプランジャ(104)がそれぞれ上方及び下方にはみ出した状態でシリンジケース(2)に一定間隔でシリンジホルダ(8)によって固定されており、上方は注射針(102)のキャップ(103)が取り外し可能な状態とし、下方はプランジャ(104)が引ける状態でシリンジ(101)が固定された状態となっている。
【0016】
このシリンジケース(2)は駆動機構(図示せず)によって、シリンジケース(2)の長手方向(図のX方向)に移動可能な状態で各注射器(11、12、13、14、15、16、17)がキャップ着脱位置(A)、薬剤吸引位置(B)で止まるようになっている。
【0017】
シリンジケース(2)に一定間隔で注射器(1)が固定設置されているが、各注射器間の距離を1単位とし、シリンジケースは1単位ごとにX方向に前進または後進し移動する。
【0018】
第1の注射器(11)がキャップ着脱位置(A)まで進んだところで停止し、第1の注射器の上方にあるキャップホルダ(3)が下降して第1の注射器(11)のキャップ(103)を保持した後上昇し、第1の注射器(11)からキャップ(103)が外され、第1の注射器(11)は注射針(102)が露出した状態となる。(図2から図4
【0019】
その後、キャップ(103)が外された第1の注射器(11)は、薬剤吸引位置(B)まで1単位後進して図6に示す形状のシリンジユニットのプランジャ保持部(41)にプランジャが係合した状態で停止する。(図5
【0020】
プランジャ保持部(41)は、図6に示す通り、プランジャロッドが通過できる幅をあけて、2つの逆L字型部材が向かい合っており、プランジャ(104)のフランジ(105)に係合し、上下運動により吸引作業が可能な状態となる。尚、プランジャ保持部(41)は、フランジ(105)に係合し、または掴むことができれば、この形状に限るものではない。
【0021】
薬剤吸引位置(B)の上方には上下に移動可能なバイアルホルダ(5)があり、バイアルホルダ(5)には薬剤が充填されたバイアル(51)が上下反転された状態で保持されている。
【0022】
バイアルホルダ(5)が下降することで、第1の注射器(11)の注射針(102)がバイアルのゴム製の栓の所定の位置で穿刺され、ゴム製の栓を貫通したところでバイアルホルダ(5)は停止する。(図7
【0023】
バイアルホルダ(5)の下降距離は、注射器に装着された注射針の長さによって異なるが、注射針がゴム製の栓を貫通する距離で停止するよう制御部によって設定される。
【0024】
注射器のプランジャ(104)のフランジ(105)に係合したプランジャ保持部(41)は、バイアル内の圧力低下により薬剤を吸引しにくくなることを未然に防止するために、一旦上昇し、シリンジ内の空気をバイアル内に注入した後、所定の距離を下降することでプランジャ(104)が引き下げられ、バイアル(51)に貫通した注射針(102)を介して、定められた量の薬剤が第1の注射器(11)のシリンジ(101)内に吸引される。プランジャ保持部(41)の下降距離は、薬剤の吸引量に基づき制御部(図示せず)で設定される。(図8
【0025】
薬剤の吸引が完了し、バイアルホルダ(5)が上昇することで注射針(102)はバイアル(51)から引き抜かれる。(図9
【0026】
第1の注射器(11)はシリンジケース(2)ごとキャップ着脱位置(A)に移動し停止した後、キャップホルダ(3)が下降して、第1の注射器(11)にキャップ(102)が装着され、キャップホルダ(3)のみが上昇し、薬剤吸引作業は終了する。(図10から図12
【0027】
第1の注射器の吸引が終了したら、第2の注射器も同様の工程をたどり定められた薬剤が吸引され、第3の注射器以降も同様の工程を繰り返すことで、連続してシリンジに薬剤が吸引され、シリンジケースに固定設置されたすべての注射器へ薬剤が自動的に吸引される。
【0028】
尚、シリンジケースにセットする注射器の本数は、原則としてバイアルから吸引可能な量によってその本数が決定される。
【0029】
シリンジケースに固定設置されたすべての注射器に薬剤が吸引された後、シリンジケースとバイアルは、薬剤がまだ吸引されていない注射器がセットされたシリンジケースと薬剤が入っているバイアルと交換され、再度連続して薬剤の吸引が行われる。
【0030】
(実施の形態2)
図13は、本実施形態の薬剤連続吸引装置の第2の実施例の概要正面図である。
【0031】
図13以下に示す通り、キャップホルダ(3)とバイアルホルダ(5)とプランジャ保持部(41)を複数個設置することで、複数本の注射器(11~17)に同時に薬剤を吸引することができる。
【0032】
等間隔で設置された複数本の注射器(11~17)が固定設置されたシリンジケース(2)の上方には、それぞれの注射器(11~17)に対応する複数のキャップホルダ(3)と同じく複数のバイアルホルダ(5)が何れも上下(Y方向)に移動可能な状態で間隔をあけて平行に設置され、シリンジケース(2)は、キャップホルダ(3)の下方のキャップ着脱位置Aとバイアルホルダ(5)下方の薬剤吸引位置(B)間を移動可能な状態で設置されている。(図13,14)
【0033】
シリンジケース(2)にセットされる複数本の注射器(11~17)は、キャップ(103)が着脱可能な状態で、且つ、プランジャ(104)が摺動自在な状態で固定される。
【0034】
プランジャユニット(4)は、薬剤吸引位置(B)の下方に、それぞれの注射器(11~17)に対応する複数のプランジャ保持部(41)が等間隔で設置されている。
【0035】
キャップ着脱位置にある複数の注射器(11~17)は、その上部からキャップホルダが下降して、各注射器のキャップ(103)を保持したあと上昇し、全ての注射器から一気にキャップが外され、シリンジケースごと薬剤吸引位置に移動し、各注射器のプランジャは、それぞれ対応するプランジャ保持部に係合する。(図15~18)
【0036】
各注射器(11~17)のプランジャ(104)がプランジャ保持部(41)に係合した状態でバイアル(51)を保持した複数のバイアルホルダ(5)が下降し、バイアル(51)のゴム栓の所定の位置に各注射器(11~17)の注射針(102)が穿刺され、注射針(102)がゴム栓を貫通したところでバイアルホルダ(5)の下降が停止する。(図19
【0037】
バイアルホルダ(5)の下降距離は、注射針(102)がゴム製の栓を貫通する距離で停止するよう制御部(図示せず)によって設定される。
【0038】
次に、各注射器(11~17)のプランジャ(104)のフランジ(105)に係合したプランジャ保持部(41)は、バイアル内の圧力低下により薬剤を吸引しにくくなることを未然に防止するために、一旦上昇し、シリンジ内の空気をバイアル内に注入した後、所定の距離を下降することでプランジャ(104)が引き下げられ、バイアル(51)に貫通した注射針を介して、定められた量の薬剤が各注射器(11~17)のシリンジ内に吸引される。プランジャ保持部(41)の下降距離は、薬剤の吸引量に基づき制御部(図示せず)で設定される。(図20
【0039】
薬剤の吸引が完了した各注射器(11~17)は、シリンジケース(2)ごとキャップ着脱位置(A)に移動し(図21~22)、キャップ(103)が装着されて薬剤吸引作業は終了する(図23図24)。
【0040】
(実施の形態3)
図25は、薬剤連続吸引装置の第3の実施例の概要正面図であり、キャップホルダ(3)とバイアルホルダ(5)とプランジャユニット(4)は、注射器(1)に薬剤を吸引するためにX方向に移動する際、同時に移動するようプレート(6)によって一体的にユニット化されている。
【0041】
それぞれの位置関係は、キャップホルダ(3)とバイアルホルダ(5)が複数の注射器の間隔と同間隔で隣り合っており、プランジャユニット(4)は、注射器のプランジャを引ける間隔をあけて、バイアルホルダ(5)の直下に位置するように配置される。
【0042】
尚、これらを一体的にユニット化する方法としては、プレート(6)に限らず他の方法を用いてもよい。
【0043】
注射器(1)は、O形の回転ベルト(7)に、注射器がシリンジホルダ(8)によって固定され、複数本の注射器(1)が一定間隔で設置されている。
【0044】
薬剤連続吸引装置の第3の実施形態の薬剤連続吸引装置の動作について説明する。
【0045】
O形の回転ベルト(7)に一定間隔で設置された複数の注射器(1)のうち、薬剤吸引位置(B)にある第1の注射器(11)の上方にあるキャップホルダ(3)が下降し、キャップ(103)を保持した状態で再度上昇することでキャップ(103)を取り外し、注射針(102)が露出する。
【0046】
キャップホルダ(3)と隣り合うバイアルホルダ(5)の下方に設置されたプランジャユニット(4)のプランジャ保持部(41)は、第1の注射器(11)のプランジャ(104)のフランジ(105)と係合する高さにある。(図25,26)
【0047】
第1の注射器(11)の上方に位置するキャップホルダ(3)とバイアルホルダ(5)は、プレート(6)でユニット化されたプランジャユニット(4)と共にX方向に移動し、バイアルホルダ(5)が薬剤吸引位置(B)に移動したところで停止し、同時にプランジャユニット(4)のプランジャ保持部(41)は、第1の注射器(11)のプランジャ(104)のフランジ(105)と係合する。(図27,28)
【0048】
薬剤吸引位置(B)にある注射針(102)が露出した第1の注射器(11)の上方のバイアルホルダ(5)が下降し、バイアル(51)のゴム製の栓(図示せず)の所定の位置で穿刺され、ゴム製の栓(図示せず)を貫通したところでバイアルホルダ(5)は停止する。(図29
【0049】
尚、注射針(102)は、コアリングが発生しないようにバイアル(51)のゴム栓に垂直に穿刺される。
【0050】
その後、第1の注射器(11)のプラジャ(104)のフランジと係合したプランジャユニット(4)のプランジャ保持部(41)がプランジャ(104)と共に下降する。
【0051】
このとき、第1の注射器(11)は、シリンジホルダ(8)によってシリンジ部分を挟持し固定されており、プランジャ(104)のフランジ(105)に係合したプランジャ保持部(41)は、バイアル内の圧力低下により薬剤を吸引しにくくなることを未然に防止するために、一旦上昇し、シリンジ内の空気をバイアル内に注入した後、プランジャユニット(4)によりプランジャが引かれることで、バイアル(51)内の薬剤が注射器内に一定量吸引される。
【0052】
その後バイアルホルダ(5)が上昇し、第1の注射器(11)の注射針(102はバイアル(51)から引き抜かれる。(図31
【0053】
薬剤が吸引された第1の注射器(11)は、注射針(102)にキャップ(103)を装着するため、再度キャップホルダ(3)が薬剤吸引位置へ移動し、同時にプランジャ保持部(41)は薬剤吸引位置(B)から離れ、プランジャ(104)との係合が開放される。(図32
【0054】
キャップ(103)を保持したキャップホルダ(3)は、第1の注射器(11)の注射針(102)にキャップ(103)を装着するために下降して、第1の注射器(11)にキャップ(103)が装着された後、キャップ(102)はキャップホルダ(3)から開放され、キャップホルダ(3)だけが再度上昇して第1の注射器(11)へのキャップ装着が終了し、第1の注射器(11)への薬剤充填は完了する。(図33から図34
【0055】
以上の工程で、第1の注射器(11)のシリンジ(101)内への薬剤充填が完了すると、O形の回転ベルト(7)がピッチ回転し、第2の注射器(12)が薬剤吸引位置(B)に移動し、第2の注射器(12)も同様の工程で薬剤を吸引しシリンジ内に充填する。尚、「ピッチ回転」とは、各注射器間の距離を1ピッチとし、1ピッチ単位で間欠的に回転することをいう。
【0056】
第3の注射器(13)以降も同様の動作によって、各注射器に連続的に薬剤が充填される。
【0057】
尚、図35は、複数の注射器を固定するO形回転ベルトの概要図であり、(a)は注射器(1)を取り付ける前のO形回転ベルト(7)の正面図であり、注射器を固定するためのシリンジホルダ(8)が一定間隔でO型回転ベルトにセットされている。
【0058】
シリンジホルダ(8)は、長さが注射器(1)のシリンジと略同じ長さの樹脂製の半円弧状の柱状体で、上部と下部に注射器(1)のシリンジ(101)を挟持し固定するための複数爪(9)を有している。
【0059】
(b)は注射器(1)を取り付ける前のO形回転ベルト(7)の平面図である。
【0060】
図36はO型回転ベルト(7)に複数の注射器(1)をセットした状態の図であり、(a)は第1の注射器(11)のプランジャ(104)を引いた状態のO形回転ベルト(7)の正面図、(b)は注射器(1)を取り付けた状態のO形回転ベルト(7)の平面図である。
【0061】
O形回転ベルト(7)が緩んだ時など、ベルトのテンションを保つため、回転ベルト(7)を回転させる回転軸(20)は、既知の方法によって調整可能となっている。尚、「O形回転ベルト」とは、言い換えれば「無端ベルト」のことである。
【0062】
キャップホルダ、バイアルホルダ、プランジャ保持部は、図示しない制御部で移動方向や移動距離等、そして1つのバイアルから分注できる注射器の本数及び、ピッチ回転など、連続自動吸引のための動作について設定する。
【符号の説明】
【0063】
1 注射器
2 シリンジケース
3 キャップホルダ
4 プランジャユニット
5 バイアルホルダ
6 プレート
7 O形の回転ベルト
8 シリンジホルダ
9 爪
11 第1の注射器
12 第2の注射器
13 第3の注射器
14 第4の注射器
15 第5の注射器
16 第6の注射器
17 第7の注射器
20 回転軸
41 プランジャ保持部
51 バイアル
101 シリンジ
102 注射針
103 キャップ
104 プランジャ
105 フランジ
A キャップ着脱位置
B 薬剤吸引位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36