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特開2022-181044静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
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  • 特開-静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 図1
  • 特開-静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181044
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20221130BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G03G9/08
G03G9/087 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087872
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川上 栄治
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500CA06
2H500EA13B
2H500EA24A
2H500EA39B
2H500EA44B
2H500EA53A
2H500EA57A
2H500EA59A
2H500FA04
(57)【要約】
【課題】低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】輝度が90未満の第一トナー粒子と、輝度が90以上の第二トナー粒子と、を含むトナー粒子を有し、前記トナー粒子に対する前記第二トナー粒子の割合が、0.1個数%以上10個数%以下であり、前記第二トナー粒子の粒度分布における、前記トナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合が、70個数%以上である静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度が90未満の第一トナー粒子と、輝度が90以上の第二トナー粒子と、を含むトナー粒子を有し、
前記トナー粒子に対する前記第二トナー粒子の割合が、0.1個数%以上10個数%以下であり、
前記第二トナー粒子の粒度分布における、前記トナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合が、70個数%以上である静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記第一トナー粒子よりも、前記第二トナー粒子の平均円形度が大きい請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記第一トナー粒子と第二トナー粒子との平均円形度の差が、0.01以上である請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記第一トナー粒子の平均円形度が0.930以上0.960以下である請求項2又は請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記第一トナー粒子及び前記第二トナー粒子が、結着樹脂として、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度が60℃以上110℃以下である請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
前記第一トナー粒子及び前記第二トナー粒子の断面を観察したとき、前記第一トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Sfよりも、前記第二トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Ssが大きい請求項5又は請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
前記第一トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Sfと、前記第二トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Ssと、の関係が、Ss/Sf≧1.2を満たす請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
前記第二トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Ssが、50%以上80%以下である請求項7又は請求項8に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項11】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項12】
請求項10に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項13】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項10に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項14】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項10に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法等、画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電及び静電荷像形成により、像保持体の表面に画像情報として静電荷像を形成する。そして、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面にトナー画像を形成し、このトナー画像を記録媒体に転写した後、トナー画像を記録媒体に定着する。これら工程を経て、画像情報を画像として可視化する。
【0003】
例えば、特許文献1には、「着色剤及び離型剤を含まない形状係数SF1が110以下となる結着樹脂粒子が静電荷現像用トナー5000個に対して50個以下であるイエロートナー」が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、「着色剤及び離型剤を含まない形状係数SF1が110以下となる結着樹脂粒子が静電荷現像用トナー5000個に対して50個以下であるマゼンタトナー。」が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、「結晶性ポリエステルがトナー中にドメインとして存在しており、着色剤が結晶性ポリエステルドメイン内部に分散されているトナー。」が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、「スチレン・アクリル樹脂と結晶性樹脂を含有し、着色剤の平均分散径が、100~400nmの範囲内であるトナー。」が開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、「特定の着色剤を含有し、トナー粒子の断面において結晶性ポリエステルの結晶断面長さが50nm以下であるマゼンタトナー。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-249919号公報
【特許文献2】特開2010-249918号公報
【特許文献3】特開2012-078423号公報
【特許文献4】特開2018-087901号公報
【特許文献5】特開2019-101279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、輝度が90未満の第一トナー粒子と、輝度が90以上の第二トナー粒子と、を含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、トナー粒子に対する第二トナー粒子の割合が、0.1個数%未満である、又は第二トナー粒子の粒度分布における、トナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合が、70%未満である場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段には、下記の態様が含まれる。
【0011】
<1> 輝度が90未満の第一トナー粒子と、輝度が90以上の第二トナー粒子と、を含むトナー粒子を有し、
前記トナー粒子に対する前記第二トナー粒子の割合が、0.1個数%以上10個数%以下であり、
前記第二トナー粒子の粒度分布における、前記トナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合が、70個数%以上である静電荷像現像用トナー。
<2> 前記第一トナー粒子よりも、前記第二トナー粒子の平均円形度が大きい<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3> 前記第一トナー粒子と第二トナー粒子との平均円形度の差が、0.01以上である<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4> 前記第一トナー粒子の平均円形度が0.930以上0.960以下である<2>又は<3>に記載の静電荷像現像用トナー。
<5> 前記第一トナー粒子及び前記第二トナー粒子が、結着樹脂として、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む<1>~<4>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<6> 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度が60℃以上110℃以下である<5>に記載の静電荷像現像用トナー。
<7> 前記第一トナー粒子及び前記第二トナー粒子の断面を観察したとき、前記第一トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Sfよりも、前記第二トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Ssが大きい<5>又は<6>に記載の静電荷像現像用トナー。
<8> 前記第一トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Sfと、前記第二トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Ssと、の関係が、Ss/Sf≧1.2を満たす<7>に記載の静電荷像現像用トナー。
<9> 前記第二トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Ssが、50%以上80%以下である<7>又は<8>に記載の静電荷像現像用トナー。
<10> <1>~<9>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<11> <1>~<9>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<12> <10>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<13> 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
<10>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
<14> 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
<10>に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0012】
<1>に係る発明によれば、輝度が90未満の第一トナー粒子と、輝度が90以上の第二トナー粒子と、を含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、トナー粒子に対する第二トナー粒子の割合が、0.1個数%未満である、又は第二トナー粒子の粒度分布における、トナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合が、70%未満である場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<2>に係る発明によれば、第一トナー粒子よりも第二トナー粒子の平均円形度が小さい場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<3>に係る発明によれば、第一トナー粒子と第二トナー粒子との平均円形度の差が、0.01未満である場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<4>に係る発明によれば、第一トナー粒子の平均円形度が0.930未満又は0.960超えである場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
【0013】
<5>に係る発明によれば、第一トナー粒子及び第二トナー粒子が、結着樹脂として、非晶性樹脂のみ含む場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<6>に係る発明によれば、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度が60℃未満又は110℃超えである場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
【0014】
<7>に係る発明によれば、第一トナー粒子及び第二トナー粒子の断面を観察したとき、第一トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Sfよりも、第二トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Ssが小さい場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<8>に係る発明によれば、第一トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Sfと、第二トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Ssと、の関係が、Ss/Sf≧1.2を満たさない場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
<9>に係る発明によれば、第二トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Ssが、50%未満又は80%超えである場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
【0015】
<10>、<11>、<12>、<13>、又は<14>に係る発明によれば、輝度が90未満の第一トナー粒子と、輝度が90以上の第二トナー粒子と、を含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、トナー粒子に対する第二トナー粒子の割合が、0.1個数%未満である、又は第二トナー粒子の粒度分布における、トナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合が、70%未満である静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置又は画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は本発明を例示するものであり、本発明を制限するものではない。
【0018】
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0019】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0020】
本明細書において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0021】
本明細書において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0022】
本明細書において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
【0023】
本明細書において、「静電荷像現像用トナー」を単に「トナー」ともいい、「静電荷像現像剤」を単に「現像剤」ともいう。
【0024】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係るトナーは、輝度が90未満の第一トナー粒子(以下、「着色トナー粒子」とも称する)と、輝度が90以上の第二トナー粒子(以下、便宜上「透明トナー粒子」とも称する)と、を含むトナー粒子を有する。
トナー粒子に対する透明トナー粒子の割合は、0.1個数%以上10個数%以下であり、
透明トナー粒子の粒度分布における、トナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合が、70個数%以上である。
【0025】
本実施形態に係るトナーは、上記構成により、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制する。その理由は次の通り推測される。
【0026】
低温環境(例えば、8℃の環境下)にて、小さくかつ厚い記録媒体(葉書、郵便はがき等の厚紙)に、ベタ画像(例えば、トナー載り量が5g/m以上の画像)を繰り返し形成すると、同一記録媒体上の画像内又は異なる記録媒体の画像間で、画像光沢度の変動が生じることがある。これは、定着部材内での温度むら又は定着装置の制御温度の温度むらが生じるためと考えられる。
【0027】
従来、着色剤を含むトナー粒子は、加熱溶融中に着色剤がネットワーク構造を形成し、弾性化することがある。この場合、弾性の発現は、温度に依存するため、定着温度が変動するとトナー粒子の弾性が変化し、画像表面の凹凸が変動する、それにより、画像光沢度に温度依存が生じる。それに対して、従来、トナー粒子における結着樹脂の架橋構造又は分子量分布を制御することで、温度変化に対する粘度変化を小さくし、画像光沢度の温度依存性を小さくするようなことも考えらえる。しかし、温度変化に対する粘度変化をなくすことは難しく、やはり、画像光沢度の変動が生じることがある。
【0028】
それに対して、本実施形態に係るトナーでは、トナー粒子として、輝度が90未満の着色トナー粒子と、輝度が90以上の透明トナー粒子と、を含むトナー粒子を採用する。
ここで、輝度が90未満の着色トナー粒子は、輝度が低く、着色剤を含む通常の着色トナー粒子である。一方、輝度が90以上の透明トナー粒子は、輝度が高く、着色剤を含まないか、又は着色剤の含有量が結着樹脂に対して1質量%以下の、実質的に無色又は透明なトナー粒子である。
つまり、透明トナー粒子は、着色剤による弾性化が生じ難く、着色トナー粒子よりも相対的に低弾性な透明トナー粒子である。
このような性質を持つ透明トナー粒子が、ナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合が70個数%以上と小径で、トナー粒子全体に対する割合で0.1個数%以上10個数%以下と低量で存在すると、定着時に着色トナー粒子の間に存在する。
そうすると、トナー像において、表面に凹凸状態に差があった場合でも、定着時の圧力により透明トナー粒子が着色トナー粒子間の隙間を埋めるように溶融しながら浸透する。
それにより、着色トナー粒子の溶融状態に依存せずに、画像が平滑になる。その結果、画像光沢度が定着温度に依存し難くなり、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときでも、画像光沢度の変動が抑制される。
【0029】
以上から、本実施形態に係るトナーは、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制すると推測される。
【0030】
以下、本実施形態に係るトナーについて詳細に説明する。
【0031】
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を有する。トナーは、トナー粒子に外添される外添剤を有してもよい。
【0032】
[トナー粒子]
トナー粒子は、輝度が90未満の着色トナー粒子と、輝度が90以上の透明トナー粒子と、を含む。
【0033】
(トナー粒子の個数割合)
トナー粒子(つまりトナー粒子全体)に対する透明トナー粒子の割合は、0.1個数%以上10個数%以下であるが、画像光沢度の変動抑制の観点から、2個数%以上9個数%以下が好ましく、4個数%以上8個数%以下がより好ましい。
なお、トナー粒子(つまりトナー粒子全体)に対する着色トナー粒子の割合は、透明トナー粒子以外のトナー粒子の割合に相当する。
【0034】
透明トナー粒子の粒度分布における、トナー粒子(つまりトナー粒子全体)の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合は、70個数%以上であるが、80個数%以上が好ましく、90個数%以上がより好ましい。
透明トナー粒子の粒度分布における、トナー粒子(つまりトナー粒子全体)の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合の上限は、100個数%が理想的である。
【0035】
トナー粒子(つまりトナー粒子全体)の個数平均粒径Dnは、3μm以上7以下が好ましく、3.5μm以上6.5以下がより好ましく、4μm以上6以下がさらに好ましい。
【0036】
トナー粒子(つまりトナー粒子全体)の個数平均粒径Dn、並びに、透明トナーの粒度分布及び割合は、次の通り測定される。
【0037】
測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析する湿式フロー式粒子径・形状分析装置(FPIA-3000;Malvern Panalytical社製)によって求める。
具体的には、測定対象となるトナー粒子の粒子像を取得し、得られる粒子像の粒径(円相当径)により、トナー粒子の粒度分布を求める。求めた粒度分布に基づいて、数基準で小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径をトナー粒子の個数平均粒径Dnとして求める。
得られる粒子像の円相当径及び輝度により、透明トナー粒子に該当する粒子像を選別し、透明トナー粒子数をカウントする。それに基づいて、トナー粒子(つまりトナー粒子全体)に対する透明トナー粒子の割合を求める。
得られる粒子像の円相当径及び輝度により、透明トナー粒子に該当する粒子像を選別し、透明トナー粒子の粒度分布を得る。それに基づいて、透明トナー粒子の粒度分布における、トナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合を求める。
ここで、測定対象となるトナー粒子(つまりトナー粒子全体)の測定数は、5000個とする。また、着色トナー粒子及び透明トナー粒子を選別する輝度はモノクロ256階調(0~255)(輝度0:暗、輝度255:明)を基準とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理を行って外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0038】
(トナー粒子の円形度)
着色トナー粒子よりも、透明トナー粒子の平均円形度が大きいことが好ましい。
具体的には、着色トナー粒子と透明トナー粒子との平均円形度の差は、0.01以上が好ましく、0.015以上がより好ましく、0.02以上がさらに好ましい。
第一トナー粒子よりも、第二トナー粒子の平均円形度が大きいと、トナー像の定着時に定着時の圧力により透明トナー粒子が着色トナー粒子間の隙間を埋めるように溶融しながら浸透し易くなると考えられる。その結果、さらに、画像光沢度の変動が抑制され易くなる。
【0039】
着色トナー粒子の平均円形度は、0.930以上0.960以下が好ましく、0.935以上0.955以下がより好ましく、0.94以上0.95以下がさらに好ましい。
着色トナー粒子の平均円形度を上記範囲にすると、着色トナー粒子が適度な異形状となる。そのため、トナー像の定着時において、着色トナー粒子間の間隙が空き易くなる。それより、定着時の圧力により透明トナー粒子が着色トナー粒子間の隙間を埋めるように溶融しながら浸透し易くなると考えられる。その結果、さらに、画像光沢度の変動が抑制され易くなる。
【0040】
着色トナー粒子及び透明トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析する湿式フロー式粒子径・形状分析装置(FPIA-3000;Malvern Panalytical社製)によって求める。
具体的には、まず、測定対象となるトナー粒子の粒子像を取得する。
得られる粒子像の輝度により、透明トナー粒子に該当する粒子像を選別し、透明トナー粒子の円形度を求め、その算術平均を着色トナー粒子平均円形度とする。
得られる粒子像の輝度により、透明トナー粒子に該当する粒子像を選別し、透明トナー粒子の円形度を求め、その算術平均を透明トナー粒子平均円形度とする。
ここで、輝度は、着色トナー粒子及び透明トナー粒子を選別するモノクロ256階調(0~255)(輝度0:暗、輝度255:明)を基準とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理を行って外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0041】
(結晶性樹脂のドメインの面積率)
着色トナー粒子及び透明トナー粒子の断面を観察したとき、着色トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Sfよりも、透明トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Ssが大きいことが好ましい。
具体的には、着色トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Sfと、透明トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Ssと、の関係が、Ss/Sf≧1.2を満たすことが好ましく、Ss/Sf≧2.5を満たすことがより好ましく、Ss/Sf≧3.0を満たすことがより好ましい。
結晶性樹脂と着色剤は親和性が低く、トナー粒子中に占める結晶性樹脂の面積率が多いと、トナー粒子中に着色剤を含まない、又は着色剤量が微量となる。そのため、混錬粉砕法でも、透明トナー粒子を製造し易くなる。
そして、透明トナー中の結晶性樹脂の面積率が多くなることで、透明トナー粒子が溶融し易くなる。そのため、画像の表面を平滑化が実現され易くなる。その結果、さらに、画像光沢度の変動が抑制され易くなる。
【0042】
透明トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Ssは、画像光沢度の変動抑制の観点から、50%以上80%以下が好ましく、55%以上75%以下がより好ましく、60%以上70%以下がさらに好ましい。
【0043】
結晶性樹脂のドメインの面積率は、次の通り測定する。
トナー粒子(又は外添剤が付着したトナー粒子)をエポキシ樹脂に混合して包埋し、エポキシ樹脂を固化する。得られた固化物を、ウルトラミクロトーム装置(Leica社製UltracutUCT)により切断し、厚さ80nm以上130nm以下の薄片試料を作製する。次に、得られた薄片試料を30℃のデシケータ内で四酸化ルテニウムにより3時間染色する。そして、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM。日立ハイテクノロジーズ社製S-4800)にて、染色された薄片試料の透過像モードのSTEM観察画像(加速電圧:30kV、倍率:20000倍)を得る。
トナー粒子中、コントラストと形状から結晶性ポリエステル樹脂と離型剤の判断を実施する。SEM画像において、ルテニウム染色された結晶性樹脂は、非晶性樹脂、離型剤等と比べ、離型剤以外の結着樹脂は二重結合部分を多く有し四酸化ルテニウムによって染色されるため、離型剤部分と離型剤以外の樹脂部分が識別される。
つまり、ルテニウム染色により、離型剤が一番薄く染色されるドメインであり、次いで結晶性樹脂(例えば、結晶性ポリエステル樹脂)
が染色され、非晶性樹脂(例えば、非晶性ポリエステル樹脂)が一番濃く染色される。コントラストを調整することで、離型剤は白色に、非晶性樹脂は黒色に、結晶性樹脂はライトグレー色のように観察されるドメインとして判断することができる。
【0044】
ルテニウム染色された結晶性樹脂の領域を画像解析し、トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率を求める。
そして、着色トナー粒子(つまり輝度が90未満の第一トナー粒子)に該当するトナー粒子500個について、上記操作を各々実施し、その算術平均を求め、着色トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率とする。
また、透明トナー(つまり輝度が90以上の第二トナー粒子)に該当するトナー粒子500個についても、上記操作を各々実施し、その算術平均を求め、透明トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率とする。
なお、着色トナー粒子及び透明トナー粒子を判別する輝度は、モノクロ256階調(0~255)(輝度0:暗、輝度255:明)を基準とする。
【0045】
(トナー粒子の構成)
着色トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、着色剤と、必要に応じて、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
一方、透明トナー粒子は、結着樹脂と、必要に応じて、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。ただし、透明トナー粒子は、微量、着色剤を含んでもよい。
【0046】
-結着樹脂-
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
特に、結着樹脂は、非晶性樹脂と結晶性樹脂とを適用することが好ましい。
ただし、非晶性樹脂と結晶性樹脂との質量比(結晶性樹脂/非晶性樹脂)は、2/98以上50/50以下が好ましく、4/96以上30/70以下がより好ましい。
ただし、着色トナー粒子の場合、非晶性樹脂と結晶性樹脂との質量比(結晶性樹脂/非晶性樹脂)は、3/97以上30/70以下が特に好ましい。
一方、透明トナー粒子の場合、非晶性樹脂と結晶性樹脂との質量比(結晶性樹脂/非晶性樹脂)は、60/40以上95/5以下が特に好ましい。
【0048】
ここで、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱変化のみを有するものであり、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
一方、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
具体的には、例えば、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味し、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂、又は明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味する。
【0049】
非晶性樹脂について説明する。
非晶性樹脂としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(例えばスチレンアクリル樹脂等)、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等の公知の非晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(特にスチレンアクリル樹脂)が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
なお、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリル樹脂とを併用することも好ましい態様である。また、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂セグメント及びスチレンアクリル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂を適用することも好ましい態様である。
【0050】
・非晶性ポリエステル樹脂
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0051】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、芳香族ジオールがより好ましい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
非晶性ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
【0054】
非晶性ポリエステル樹脂としては、未変性の非晶性ポリエステル樹脂以外に、変性の非晶性ポリエステル樹脂も挙げられる。変性の非晶性ポリエステル樹脂とは、エステル結合以外の結合基が存在する非晶性ポリエステル樹脂、ポリエステルとは異なる樹脂成分が共有結合又はイオン結合等で結合された非晶性ポリエステル樹脂である。変性の非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、イソシアネート基等の官能基を末端に導入した非晶性ポリエステル樹脂と活性水素化合物とを反応させて末端を変性した樹脂が挙げられる。
【0055】
非晶性ポリエステル樹脂は、全結着樹脂に占める割合が60質量%以上98質量%以下であることが好ましく、65質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
【0056】
・スチレンアクリル樹脂
スチレンアクリル樹脂は、スチレン系単量体(スチレン骨格を有する単量体)と(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル基を有する単量体、好ましくは(メタ)アクリロキシ基を有する単量体)とを少なくとも共重合した共重合体である。スチレンアクリル樹脂は、例えば、スチレン類の単量体と(メタ)アクリル酸エステル類の単量体との共重合体を含む。
なお、スチレンアクリル樹脂におけるアクリル樹脂部分は、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体のいずれか、又は、その両方を重合してなる部分構造である。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
【0057】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、メタクロロスチレン、パラクロロスチレン、パラフルオロスチレン、パラメトキシスチレン、メタ-tert-ブトキシスチレン、パラ-tert-ブトキシスチレン、パラビニル安息香酸、パラメチル-α-メチルスチレン等が挙げられる。スチレン系単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。(メタ)アクリル系単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体との重合比は、質量基準で、スチレン系単量体:(メタ)アクリル系単量体=70:30~95:5が好ましい。
【0060】
スチレンアクリル樹脂は、架橋構造を有していてもよい。架橋構造を有するスチレンアクリル樹脂は、例えば、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体と架橋性単量体とを共重合することで製造できる。架橋性単量体としては、特に制限されないが、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0061】
スチレンアクリル樹脂の作製方法は、特に制限はなく、例えば、溶液重合、沈殿重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合が適用される。重合反応には、公知の操作(例えば、回分式、半連続式、連続式等)が適用される。
【0062】
スチレンアクリル樹脂は、全結着樹脂に占める割合が0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。
【0063】
・非晶性ポリエステル樹脂セグメント及びスチレンアクリル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂(以下「ハイブリット非晶性樹脂」とも称する)
ハイブリット非晶性樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂セグメントとスチレンアクリル樹脂セグメントとが化学結合している非晶性樹脂である。
ハイブリッド非晶性樹脂は、ポリエステル樹脂からなる主鎖と、該主鎖に化学結合したスチレンアクリル樹脂からなる側鎖とを有する樹脂;スチレンアクリル樹脂からなる主鎖と、該主鎖に化学結合したポリエステル樹脂からなる側鎖とを有する樹脂;ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とが化学結合してなる主鎖を有する樹脂;ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とが化学結合してなる主鎖と、該主鎖に化学結合したポリエステル樹脂からなる側鎖及び該主鎖に化学結合したスチレンアクリル樹脂からなる側鎖の少なくとも一方の側鎖とを有する樹脂;等が挙げられる。
【0064】
各セグメントの非晶性ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル樹脂については、上述下通りであり、説明を省略する。
【0065】
ハイブリッド非晶性樹脂全体に占めるポリエステル樹脂セグメントとスチレンアクリル樹脂セグメントとの総量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが更に好ましい。
【0066】
ハイブリッド非晶性樹脂において、ポリエステル樹脂セグメントとスチレンアクリル樹脂セグメントとの合計量に占めるスチレンアクリル樹脂セグメントの割合は、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、25質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上50質量%以下であることが更に好ましい。
【0067】
ハイブリッド非晶性樹脂は、以下の(i)~(iii)のいずれかの方法により製造することが好ましい。
(i)多価アルコールと多価カルボン酸との縮重合によってポリエステル樹脂セグメントを作製した後、スチレンアクリル樹脂セグメントを構成する単量体を付加重合させる。
(ii)付加重合性単量体の付加重合によってスチレンアクリル樹脂セグメントを作製した後、多価アルコールと多価カルボン酸とを縮重合させる。
(iii)多価アルコールと多価カルボン酸との縮重合と、付加重合性単量体の付加重合とを並行して行う。
【0068】
ハイブリッド非晶性樹脂は、全結着樹脂に占める割合が60質量%以上98質量%以下であることが好ましく、65質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
【0069】
非晶性樹脂の特性について説明する。
非晶性樹脂の特性について説明する。
非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0070】
非晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0071】
結晶性樹脂について説明する。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル樹脂(例えば、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等)等の公知の結晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、トナーの機械的強度および低温定着性の点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0072】
・結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香環を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族の重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
【0073】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
【0076】
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、非晶性ポリエステル樹脂と同様に、公知の製造方法により得られる。
【0077】
結晶性ポリエステル樹脂としては、α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体が好ましい。
【0078】
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、2個のカルボキシ基をつなぐアルキレン基の炭素数が3以上14以下であるα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸が好ましく、前記アルキレン基の炭素数は4以上12以下がより好ましく、前記アルキレン基の炭素数は6以上10以下が更に好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸(慣用名スベリン酸)、1,7-ヘプタンジカルボン酸(慣用名アゼライン酸)、1,8-オクタンジカルボン酸(慣用名セバシン酸)、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、1,6-ヘキサンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、1,8-オクタンジカルボン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸が好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
α,ω-直鎖脂肪族ジオールとしては、2個のヒドロキシ基をつなぐアルキレン基の炭素数が3以上14以下であるα,ω-直鎖脂肪族ジオールが好ましく、前記アルキレン基の炭素数は4以上12以下がより好ましく、前記アルキレン基の炭素数は6以上10以下が更に好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール等が挙げられ、中でも、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジオールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0080】
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体としては、1,6-ヘキサンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、1,8-オクタンジカルボン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、及び1,10-デカンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種との重合体が好ましく、中でも、1,10-デカンジカルボン酸と1,6-ヘキサンジオールとの重合体がより好ましい。
【0081】
結晶性ポリエステル樹脂は、全結着樹脂に占める割合が1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。
結晶性樹脂の特性について説明する。
結晶性樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0082】
結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましい。
【0083】
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
【0084】
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0085】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0086】
着色剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
ただし、着色トナー粒子の場合、着色剤の含有量は、1質量%以上30質量%以下が特に好ましい。
一方、透明トナー粒子の場合、着色剤の含有量は、0質量%以上1質量%以下が特に好ましい。
【0087】
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0088】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
離型剤の融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0089】
離型剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0090】
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0091】
-トナー粒子の特性-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0092】
[外添剤]
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
【0093】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。疎水化処理剤の量は、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部である。
【0094】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0095】
外添剤の外添量は、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0096】
[トナーの製造方法]
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
【0097】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。
【0098】
例えば、混錬粉砕法によるトナー粒子の製造方法の一例について説明する。
混練粉砕法は、例えば、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂と着色剤と、を溶融混練した後、粉砕、分級することでトナー粒子を製造する方法である。混練粉砕法では、例えば、結着樹脂及び着色剤を含む構成成分を溶融混練する混練工程と、溶融混練物を冷却する冷却工程と、冷却後の混練物を粉砕する粉砕工程と、粉砕物を分級する分級工程と、を経てトナー粒子が製造される。
【0099】
混練粉砕法において、混錬物中の結晶性樹脂のドメインの大きさを大きくした上で、粉砕すると、着色トナー粒子及び透明トナー粒子を含むトナー粒子が得られる。
結晶性樹脂のドメインの大きさを大きくした混練物を粉砕すると、結晶性樹脂のドメインを境界として粉砕され易い。そのため、結晶性樹脂のドメンイが多く含む粉砕物が得られ易い。結晶晶性樹脂と着色剤とは親和性が低いことから、着色剤は非晶性樹脂中に存在し易く、結晶性樹脂のドメンイが多く含む粉砕物には、着色剤が含まれ難くなる。
つまり、着色が多く含まれる粉砕物と、着色剤が含まないか、含んでも微量の粉砕物が得られ易くなる。
そのため、着色トナー粒子及び透明トナー粒子を含むトナー粒子が得られる。
【0100】
以下、混練粉砕法の各工程の詳細について説明する。
【0101】
-混練工程-
混練工程は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含む結着樹脂と着色剤とを含む成分を溶融混練し、混練物を得る工程である。
混練工程に用いられる混練機としては、例えば、三本ロール型、一軸スクリュー型、二軸スクリュー型、バンバリーミキサー型が挙げられる。
また、溶融温度としては、混練する結着樹脂及び着色剤の種類、配合比等に応じて決定されればよい。
【0102】
-冷却工程-
冷却工程は、上記混練工程において形成された混練物を冷却する工程である。
冷却工程では、例えば、混練工程終了の際における混練物の温度から10℃/sec以下の平均降温速度で40℃以下まで冷却する。それにより、混錬物中の結晶性樹脂のドメインが成長し易くなる。
なお、平均降温速度とは、混練工程終了の際における混練物の温度から40℃まで降温させる速度の平均値をいう。
【0103】
冷却工程における冷却方法としては、例えば、冷水又はブラインを循環させた圧延ロール及び挟み込み式冷却ベルト等を用いる方法が挙げられる。なお、前記方法により冷却を行う場合、その冷却速度は、圧延ロールの速度、ブラインの流量、混練物の供給量、混練物の圧延時のスラブ厚等で決定される。
【0104】
-粉砕工程-
冷却工程により冷却された混練物を、粉砕工程で粉砕することで粒子が形成される。
粉砕工程では、例えば、機械式粉砕機、ジェット式粉砕機等が使用される。
ここで、粉砕前に、混錬物を結晶性樹脂の融点を超えない程度の温度(例えば結晶性樹脂の融解温度未満(融解温度-10℃)に加温してもよい。それにより、混練物中の結晶性樹脂のドメインが成長し易くなる。
【0105】
-分級工程-
粉砕工程で得られた粉砕物(粒子)は、必要に応じて、目的の平均粒径のトナー粒子を得るため、分級工程にて分級を行ってもよい。
分級工程においては、従来から使用されている遠心式分級機、慣性式分級機等が使用され、微粉(目的とする範囲の粒径よりも小さい粒子)及び粗粉(目的とする範囲の粒径よりも大きい粒子)が除去される。
【0106】
-熱風処理工程-
分級工程後、必要に応じて、目的の円形度のトナー粒子を得るため、熱風処理工程にて熱風処理を行ってもよい。
【0107】
以上の工程を経ることで、着色トナー粒子及び透明トナー粒子を含むトナー粒子が得られる。
なお、トナー粒子の製造方法は、上記製法に限られず、通常の製法で、着色トナー粒子及び透明トナー粒子を各々作製して、得られた着色トナー粒子及び透明トナー粒子を混合してトナー粒子を製造してもよい。
【0108】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0109】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0110】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
【0111】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
【0112】
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0113】
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0114】
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0115】
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0116】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0117】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0118】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0119】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0120】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
【0121】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
【0122】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0123】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
【0124】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0125】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
【0126】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0127】
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0128】
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0129】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0130】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0131】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0132】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0133】
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0134】
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0135】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0136】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0137】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0138】
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例0139】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0140】
<非晶性ポリエステル樹脂(A1)の合成>
・テレフタル酸 :68部
・フマル酸 :32部
・エチレングリコール :42部
・1,5-ペンタンジオール:47部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えたフラスコに上記の材料を入れ、窒素ガス気流下、1時間を要して温度を220℃まで上げ、上記の材料の合計100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら0.5時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量97000、ガラス転移温度60℃の非晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。
【0141】
<結晶性ポリエステル樹脂(B1)の作製>
・1,10-デカンジカルボン酸:260部
・1,6-ヘキサンジオール :167部
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.3部
加熱乾燥した三口フラスコに上記の材料を入れ、三口フラスコ内の空気を窒素ガスで置換して不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌還流を行った。次いで、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。こうして、重量平均分子量12500、融解温度73℃の結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0142】
<結晶性ポリエステル樹脂(B2)の作製>
・1,16-ヘキサデカンジカルボン酸:260部
・1,14-テトラデカンジオール :190部
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.3部
加熱乾燥した三口フラスコに上記の材料を入れ、三口フラスコ内の空気を窒素ガスで置換して不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で6時間攪拌還流を行った。次いで、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い3時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。こうして、重量平均分子量25000、融解温度112℃の結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0143】
<結晶性ポリエステル樹脂(B3)の作製>
・1,12-ドデカンジカルボン酸:252部
・1,12-ドデカンジオール :198部
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.3部
加熱乾燥した三口フラスコに上記の材料を入れ、三口フラスコ内の空気を窒素ガスで置換して不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で6時間攪拌還流を行った。次いで、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い3時2.5攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。こうして、重量平均分子量18000、融解温度105℃の結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0144】
<結晶性ポリエステル樹脂(B4)の作製>
・セバシン酸:284部
・1,6-ヘキサンジオール :166部
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.3部
加熱乾燥した三口フラスコに上記の材料を入れ、三口フラスコ内の空気を窒素ガスで置換して不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で6時間攪拌還流を行った。次いで、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い3時2.5攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。こうして、重量平均分子量10000、融解温度63℃の結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0145】
<結晶性ポリエステル樹脂(B5)の作製>
・アジピン酸:249部
・1,6-ヘキサンジオール :201部
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.3部
加熱乾燥した三口フラスコに上記の材料を入れ、三口フラスコ内の空気を窒素ガスで置換して不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で6時間攪拌還流を行った。次いで、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い3時2.5攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。こうして、重量平均分子量8000、融解温度54℃の結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0146】
<実施例1>
・非晶性ポリエステル樹脂(A1): 65部
・結晶性ポリエステル樹脂(B1): 23部
・着色剤(カーボンブラック、三菱ケミカル社製#25): 7部
・離型剤(パラフィンワックス、日本精蝋社製HNP9): 5部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM75L;日本コークス工業製)にて混合した後、二軸混練押出機(TEM-48SS:芝浦機械製)で混錬し、混練物の圧延、冷却をおこなった。この際、混練物の表面温度が40℃に到達するまでの時間が30秒以上となるように、混練の供給量と冷却器の水流を調整し、混練物を平均降温速度5℃/sで冷却した。得られた混練物をハンマーミルにて粗粉砕後、50℃の恒温槽にて24時間保管し、ジェットミル(AFG;ホソカワミクロン社製)で粉砕、エルボージェット分級機(EJ-LABO;日鉄鉱業社製)にてDnが5.0μmとなるよう調整した条件にて分級を行った後、150℃雰囲気下にて熱風処理を行って、トナー粒子1を得た。
【0147】
・トナー粒子1: 100部
・ゾルゲル法シリカ粒子(個数平均粒径=120nm): 2.0部
・チタン酸ストロンチウム粒子(個数平均粒径=50nm): 0.2部
以上材料をヘンシェルミキサーで混合し、トナー1を得た。
【0148】
<実施例2>
-トナー粒子2-1の作製-
・非晶性ポリエステル樹脂(A1): 68部
・結晶性ポリエステル樹脂(B1): 20部
・着色剤(カーボンブラック、三菱ケミカル社製#25): 7部
・離型剤(パラフィンワックス、日本精蝋社製HNP9): 5部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM75L;日本コークス工業製)にて混合した後、二軸混練押出機(TEM-48SS:芝浦機械製)で混錬し、混練物の圧延、冷却をおこなった。この際、混練物の表面温度が40℃に到達する時間が10秒以下となるよう、混練の供給量と冷却器の水流を調整し、混練物を平均降温速度10℃/sで冷却した。得られた混練物をハンマーミルにて粗粉砕後、20℃の恒温槽にて12時間保管し、ジェットミル(AFG;ホソカワミクロン社製)で粉砕、エルボージェット分級機(EJ-LABO;日鉄鉱業社製)にてDnが5.0μmとなるよう調整した条件にて分級を行った後、150℃雰囲気下にて熱風処理を行って、トナー粒子2-1を得た。
【0149】
-トナー粒子2-2の作製-
・非晶性ポリエステル樹脂(A1): 30部
・結晶性ポリエステル樹脂(B1): 65部
・離型剤(パラフィンワックス、日本精蝋社製HNP9): 5部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM75L;日本コークス工業製)にて混合した後、二軸混練押出機(TEM-48SS:芝浦機械製)で混錬し、混練物の圧延、冷却をおこなった。この際、混練物の表面温度が40℃に到達する時間が10秒以下となるよう、混練の流量と冷却器の水流を調整し、混練物を平均降温速度10℃/sで冷却した。得られた混練物をハンマーミルにて粗粉砕後、20℃の恒温槽にて12時間保管し、ジェットミル(AFG;ホソカワミクロン社製)で粉砕、エルボージェット分級機(EJ-LABO;日鉄鉱業社製)にてDnが4.0μmとなるよう調整した条件にて分級を行った後、150℃雰囲気下にて熱風処理を行って、トナー粒子2-2を得た。
【0150】
-トナー2の作製-
・トナー粒子2-1: 94部
・トナー粒子2-2: 6部
・ゾルゲル法シリカ粒子(個数平均粒径=120nm): 2.0部
・チタン酸ストロンチウム粒子(個数平均粒径=50nm): 0.2部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合し、トナー2を得た。
【0151】
<実施例3>
混練物の平均降温速度を6℃/sに変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー3を得た。
【0152】
<実施例4>
混練物の平均降温速度を4℃/sに変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー4を得た。
【0153】
<実施例5>
非晶性ポリエステル(A1)を80部、結晶性ポリエステル(B1)を8部に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー5を得た。
【0154】
<実施例6>
トナー2の作製においてトナー粒子2―1を90.2部、トナー粒子2-2を9.8部とした以外は、実施例2と同様にしてトナー6を得た。
【0155】
<実施例7>
トナー粒子2-2の作製において、Dnが3.5μmとなるよう調整した条件にて分級を行った以外は、実施例2と同様にしてトナー7を得た。
【0156】
<実施例8>
トナー粒子2-2の作製における熱風処理温度を100℃にした以外は、実施例2と同様にしてトナー8を得た。
【0157】
<実施例9>
トナー粒子2-2作製における熱風処理温度を130℃にした以外は、実施例2と同様にしてトナー9を得た。
【0158】
<実施例10>
トナー粒子2-2作製における熱風処理温度を140℃にした以外は、実施例2と同様にしてトナー10を得た。
【0159】
<実施例11>
熱風処理温度を130℃にした以外は、実施例1と同様にしてトナー11を得た。
【0160】
<実施例12>
熱風処理温度を135℃にした以外は、実施例1と同様にしてトナー12を得た。
【0161】
<実施例13>
熱風処理温度を160℃にした以外は、実施例1と同様にしてトナー13を得た。
【0162】
<実施例14>
熱風処理温度を165℃にした以外は、実施例1と同様にしてトナー14を得た。
【0163】
<実施例15>
結晶性ポリエステル樹脂(B1)に替え、結晶性ポリエステル樹脂(B5)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー15を得た。
【0164】
<実施例16>
結晶性ポリエステル樹脂(B1)に替え、結晶性ポリエステル樹脂(B4)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー16を得た。
【0165】
<実施例17>
結晶性ポリエステル樹脂(B1)に替え、結晶性ポリエステル樹脂(B3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー17を得た。
【0166】
<実施例18>
結晶性ポリエステル樹脂(B1)に替え、結晶性ポリエステル樹脂(B2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー18を得た。
【0167】
<実施例19>
トナー粒子2-1の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を43部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を45部に、熱風処理温度を140℃に、トナー粒子2-2の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を44部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を51部に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナー19を得た。
【0168】
<実施例20>
トナー粒子2-1の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を48部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を40部に、熱風処理温度を140℃に、トナー粒子2-2の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を44部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を51部に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナー20を得た。
【0169】
<実施例21>
トナー粒子2-1の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を73.1部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を14.9部に、トナー粒子2-2の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を50部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を45部に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナー21を得た。
【0170】
<実施例22>
トナー粒子2-1の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を71部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を17部に、トナー粒子2-2の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を43部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を52部に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナー22を得た。
【0171】
<実施例23>
トナー粒子2-1の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を62.5部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を25.5部に、トナー粒子2-2の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を17部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を78部に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナー23を得た。
【0172】
<実施例24>
トナー粒子2-1の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を61部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を27部に、トナー粒子2-2の作製において、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の量を13部に、結晶性ポリエステル樹脂(B1)の量を82部に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナー24を得た。
【0173】
<比較例1>
非晶性ポリエスエル樹脂(A1)の量を67部、結晶性ポリエステル(B1)の量を21部、混練物の平均降温速度を15℃/sに変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーC1を得た。
【0174】
<比較例2>
トナー2の作製においてトナー粒子2―1を88部、トナー粒子2-2を12部とした以外は、実施例2と同様にしてトナーC2を得た。
【0175】
<比較例3>
トナー粒子2-2の作製において、Dnが3.3umとなるよう調整した条件にて分級を行った以外は、実施例2と同様にしてトナーC3を得た。
【0176】
<評価>
(各種測定)
得られた各例のトナーに関し、既述の方法に従って、下記特性を測定した。
・トナー粒子の個数平均粒径Dn(表中、「粒径Dn」と表記)
・トナー粒子に対する透明トナー粒子の割合(表中、単に「割合」と表記)
・透明トナー粒子の粒度分布における、トナー粒子の個数平均粒径Dn以下の粒子の割合(表中、「Dn以下の粒子割合」と表記)
・着色トナー粒子の平均円形度Cf(表中、「円形度Cf」と表記)
・透明トナー粒子の平均円形度Cs(表中、「円形度Cs」と表記)
・着色トナー粒子の断面積に対する結晶性樹脂のドメインの面積率Sf(表中、「結晶性樹脂面積率Sf」と表記)
・透明トナー粒子の断面積に対する前記結晶性樹脂のドメインの面積率Ss(表中、「結晶性樹脂面積率Ss」と表記)
【0177】
(画像光沢度変動評価)
各例のトナーを使用した、下記画像形成装置用の現像剤を作製した。
作製した現像剤を、画像形成装置「富士ゼロックス社製DocuPrint 4400d」の現像装置に充填した。
この画像形成装置により、8℃の環境下で、大きさ4cm×4cmでトナー載り量5g/mのベタ画像を郵便はがきに50枚連続で出力した。
携帯型光沢計(BYKガードナー マイクロトリグロス、東洋精機社製作所製)により、50枚目に出力した画像の60度グロス値の測定を実施した。
グロス値の測定は、用紙搬送方向側を先端としたときに、べた画像の、先端左端、先端右端、後端左端、後端右端及び中央部の計5箇所において、それぞれ無作為に10回実施した。そして、得られたグロス値の最大値と最小値の差を求めて、下記基準で評価した。
A:グロス値の最大値と最小値の差が1.0未満
B:グロス値の最大値と最小値の差が1.0以上2.0未満
C:グロス値の最大値と最小値の差が2.0以上3.0未満
D:グロス値の最大値と最小値の差が3.0以上4.0未満
E:グロス値の最大値と最小値の差が4.0以上
【0178】
結果を表1に示す。
なお、表1中の略称は、次の通りである。
・Amo:結晶性樹脂種
・Cry:結晶性樹脂種
・Cry-MT:結晶性ポリエステル樹脂の融解温度
【0179】
【表1】

【0180】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べて、低湿環境下で、小さくかつ厚い記録媒体に、ベタ画像を繰り返し形成したときに生じる、画像光沢度の変動を抑制することがわかる。
【符号の説明】
【0181】
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
P 記録紙(記録媒体の一例)
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
117 筐体
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
図1
図2