(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181051
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】面接触型熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 21/00 20060101AFI20221130BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221130BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20221130BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20221130BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20221130BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20221130BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20221130BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20221130BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
F28D21/00 B
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/617
F28D9/02
F28F3/08 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087879
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】岩本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】坂井 耐事
(72)【発明者】
【氏名】須山 隆行
【テーマコード(参考)】
3L103
5H031
【Fターム(参考)】
3L103AA35
3L103BB37
3L103CC02
3L103CC17
3L103DD15
3L103DD57
5H031AA09
5H031KK01
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】 電池等の熱交換対象物と熱交換する面接触型熱交換器において、その熱媒体の温度変化を可能かぎり抑制して、各部における熱交換を均一にすること。
【解決手段】 第1熱媒体3の流入口と流出口との間に接続され、内部に第2熱媒体5が流通して、前記第1熱媒体3との間に熱交換して循環する一以上の第2熱交換部6と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に伝熱面(1)が形成されて、その伝熱面(1)に熱交換対象物(2)が接触し、内部に第1熱媒体(3)が流通して循環し、熱交換対象物(2)との間に熱交換する第1熱交換部(4)と、
第1熱媒体(3)の流入口と流出口との間に接続され、内部に第2熱媒体(5)が流通して、前記第1熱媒体(3)との間に熱交換して循環する一以上の第2熱交換部(6)と、を具備する面接触型熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
複数の第2熱交換部(6)が並んで配置されている面接触型熱交換器。
【請求項3】
請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
複数の第2熱交換部(6)が一体に形成されている面接触型熱交換器。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の面接触型熱交換器において、
前記熱交換対象物(2)は電池であり、
第2熱交換部(6)では、前記第1熱媒体(3)と、前記第2熱媒体(5)としての空調用冷媒とが熱交換される面接触型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面接触型熱交換器であり、その外面に平坦な伝熱面を有し、その伝熱面と電池等の熱交換対象物とを接触させることにより、熱交換するものに関し、特に、伝熱面の各部における温度の差を抑制するものに関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来型の熱交換器の一例であり、冷却水等の第1熱媒体3と、空調器16の冷媒等の第2熱媒体5の回路を示す説明図、および、第1熱媒体3の流通に伴う、その温度変化の説明図である。
ここで、第1熱交換器18の平坦な伝熱面1の表面には熱交換対象物2が載置される。
また、第1熱交換器18と別体に第2熱交換器19が配置され、第2熱交換器19と第1熱交換器18との間に第1熱媒体3の流路が形成される。さらに、第2熱交換器19と放熱器20との間に第2熱媒体5の流路が形成される。
【0003】
そして、第1熱交換器18内を流通する第1熱媒体3により、伝熱面1上に配置された熱交換対象物2を冷却する。その第1熱媒体3は、第2熱交換器19において第2熱媒体5と熱交換され、第1熱交換器18に戻される。
第1熱交換器18では、その第1熱媒体3が入口側から出口側に流通する間に、その温度がΔt上昇する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来型の面接触型熱交換器では、第1熱媒体3が熱交換対象物2から吸熱し、第2熱交換器19に放熱するまで、各部で温度上昇が起こり、熱交換対象物2の冷却が不均一となる。
そこで、本発明は熱媒体の温度変化を可能かぎり抑制して、各部における熱交換を均一にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、外面に伝熱面1が形成されて、その伝熱面1に熱交換対象物2が接触し、内部に第1熱媒体3が流通して循環し、熱交換対象物2との間に熱交換する第1熱交換部4と、
第1熱媒体3の流入口と流出口との間に接続され、内部に第2熱媒体5が流通して、前記第1熱媒体3との間に熱交換して循環する一以上の第2熱交換部6と、を具備する面接触型熱交換器である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
複数の第2熱交換部6が並んで配置されている面接触型熱交換器である。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
複数の第2熱交換部6が一体に形成されている面接触型熱交換器である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載の面接触型熱交換器において、
前記熱交換対象物2は電池であり、
第2熱交換部6では、前記第1熱媒体3と、前記第2熱媒体5としての空調用冷媒とが熱交換される面接触型熱交換器である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は、伝熱面1の熱交換対象物2と第1熱媒体3の間で熱交換する第1熱交換部4と、第1熱媒体3の流入口と流出口との間に接続され、内部に第2熱媒体5が流通して、第1熱媒体3との間に熱交換して循環する一以上の第2熱交換部6と、を有するものである。
このように、第1熱媒体3の流入口と流出口との間に、第2熱交換部6を配置して両媒体間に熱交換させることにより、面接触型熱交換器の伝熱面1を第1熱媒体3が流通するときの面内の温度差が低減され、熱交換対象物の熱交換の不均一が抑制される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、複数の第2熱交換部6が並んで配置されているものである。
このように、複数の第2熱交換部6が並んで配置されているため、面接触型熱交換器における伝熱面1を、第2熱交換部6に分断されることなく、確保することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、複数の第2熱交換部6が一体に形成されているものである。
これにより、部品点数を削減することが可能になる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、熱交換対象物2が電池であり、第2熱交換部6では、第1熱媒体3と、第2熱媒体5としての空調用冷媒とが熱交換されるものである。
これにより、電池の冷却または加熱の不均一を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施例の面接触型熱交換器の分解斜視図。
【
図2】同面接触型熱交換器の組立状態を示す斜視図(A)、同図(A)のB-B矢視断面図(B)。
【
図3】同実施例における第1熱媒体3、第2熱媒体5の流路を示すブロック図(A)、その第1熱媒体3の流通に伴う熱媒体の温度変化の説明図(B)。
【
図4】本発明の第2実施例の第1熱媒体3、第2熱媒体5の流路を示すブロック図。
【
図5】本発明の第3実施例の第1熱媒体3、第2熱媒体5の流路を示すブロック図。
【
図6】本発明の第4実施例の第1熱媒体3、第2熱媒体5の流路を示すブロック図。
【
図7】同第5実施例の面接触型熱交換器の分解斜視図。
【
図8】本発明の第6実施例の第1熱媒体3、第2熱媒体5の流路を示すブロック図(A)、その第1熱媒体3の流通に伴う熱媒体の温度変化の説明図(B)。
【
図9】従来型面接触型熱交換器における第1熱媒体3、第2熱媒体5の流路を示すブロック図(A)、その第1熱媒体3の流通にともなう温度変化の説明図(B)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に図面に基づいて、本発明の実施の形態につき、熱交換対象物2を冷却する例について、説明する。
【実施例0015】
図1~
図3は、本発明の第1実施例を示し、
図1はその分解斜視図であり、
図2は同組立図およびB-B矢視断面図、
図3は同熱交換器の流路を示す説明図および、第1熱媒体3の流通にともなう温度変化の説明図である。
【0016】
この面接触型熱交換器は、
図2に示す如く、電池セル集合体等の熱交換対象物2を冷却することができるものである。
そして、この例ではエンジン冷却水等の第1熱媒体3の流れに沿って、上流側第2熱交換部6aと上流側第1熱交換部4aと、下流側第2熱交換部6bと下流側第1熱交換部4bが配置されている。
【0017】
この熱交換器は、皿状の下プレート10と、そのフランジ部10aに接合される上プレート11とを有し、それぞれの平面は長方形に形成されている。下プレート10は外周に枠状にフランジ部10aが形成されるとともに、フランジ部10aの内側に一体に複数の仕切部10bが千鳥状に突設され、その仕切部10b先端と、外周のフランジ部10aとの間に、冷却水の流通部10cを形成する。フランジ部10aの面と仕切部10bの面とは同一面である。
そして、
図1において、上プレート11の各伝熱面1a、1bが、下プレート10の左端の仕切部10bと中間の仕切部10bとの間の位置および、中間の仕切部10bと右端のフランジ部10aとの間の位置に整合するように形成されている。また、下プレート10の左端の仕切部10bと中間部の仕切部10bとの内面側及び、中間部の仕切部10bと右端のフランジ部10aとの間には、多数のディンプル13が内面側に突設され、それが第1熱媒体3を撹拌する。
そして、下プレート10の左端のフランジ部10aと、それに対向する仕切部10bとの間には、平面V字状にプレス成型された伝熱向上手段8が形成されている。同様に、中間の一対の仕切部10b間にも伝熱向上手段8が形成されている。
この伝熱向上手段8は、上プレート11の長手方向の一端部および中間部にも一対配置され、それぞれの位置に、上流側第2熱交換部6a、下流側第2熱交換部6bが形成されている。この第2熱交換部6a、6bは、下プレート10、上プレート11、上プレート11に積層されるプレート9で形成される。
【0018】
第2熱交換部6a、6bの伝熱向上手段8として、上下に対向する一方のプレートのV字模様は他方に対して、逆向きに形成されている。
各第2熱交換部6a、6bには、第2熱媒体5として、空調用熱交換器の冷媒が上プレート11とそれに積層されたプレート9との間に導かれる。そして、上流側第2熱交換部6a、下流側第2熱交換部6bで、下プレート10と上プレート11の間に流通する第1熱媒体3と、第2熱媒体5との間に熱交換が行われる。
【0019】
そして、上流側第2熱交換部6aで冷却された第1熱媒体3が、上流側第1熱交換部4aに導かれ、そこに面接触する熱交換対象物2を冷却する。次いで、下流側第2熱交換部6bに導かれ、そこで冷却され、下流側第1熱交換部4bの熱交換対象物2の発熱を吸熱して循環する。
図3(A)は、その流路および作用を示し、その(B)は、第1熱媒体3の移動に伴う冷媒の温度変化を示す。
第1熱媒体3は上流側第1熱交換部4aの下流端でΔtの1/2程、温度上昇し、下流側第2熱交換部6bで、それがもとの温度に冷却され、下流側第1熱交換部4bの下流端で再び1/2程度温度上昇する。
なお、Δtは
図9における従来型熱交換器の温度上昇分である。