(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181055
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】分散型電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20221130BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20221130BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087883
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 麻理恵
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇之
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】斎宮 久幸
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA13
5G066HB07
5G066JB06
(57)【要約】
【課題】測定対象の配線を流れる電流を利用した電磁誘導発電で生成された通信用電力によって無線通信を行う測定装置を備える分散型電源システムにおいて、測定装置の通信不良を抑制する。
【解決手段】分散型電源システムは、商用電源とは異なる経路でメインブレーカに接続され、前記メインブレーカを介して電力を負荷へ供給する分散型電源と、前記メインブレーカと前記負荷との間に接続された配線に配置され、該配線を伝達される電力に関する測定値を測定し、該配線を流れる電流を利用した電磁誘導発電で生成された通信用電力による無線通信によって、前記測定値の情報を送信する測定装置と、前記無線通信により前記測定装置から取得した前記情報における測定値に基づき、前記分散型電源の出力を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源とは異なる経路でメインブレーカに接続され、前記メインブレーカを介して電力を負荷へ供給する分散型電源と、
前記メインブレーカと前記負荷との間に接続された配線に配置され、該配線を伝達される電力に関する測定値を測定し、該配線を流れる電流を利用した電磁誘導発電で生成された通信用電力による無線通信によって、前記測定値の情報を送信する測定装置と、
前記無線通信により前記測定装置から取得した前記情報における測定値に基づき、前記分散型電源の出力を制御する制御部と、
を備える分散型電源システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記測定値に基づき、前記負荷の使用電力を前記分散型電源の出力目標とする制御を行う
請求項1に記載の分散型電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
商用電源に加え、燃料電池等を用いて発電しかつ排熱を利用するコージェネレーション装置等のいわゆる分散型電源が設置された建物において、過電流や逆潮流等の監視は重要である。例えば、コージェネレーション装置等の分散型電源は、クランプ型電流センサ等の測定装置を建物の分電盤へ取り付け、建物の壁を貫通する配線工事を経て、コージェネレーション装置等の分散型電源の制御装置に接続することで、過電流や逆潮流等の監視を行うことが一般的であった。
【0003】
ところで、スマートメータから無線通信技術を利用して建物の電力使用状況のデータを直接取得すること、或いは、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)等のホームコントローラから建物の電力使用状況のデータを間接的に取得することができれば、クランプ型電流センサを分電盤等へ取り付ける作業及び建物の壁を貫通する配線工事を省略することができるが、実現には至っていない。
【0004】
また、電流センサ等の測定装置に対して無線通信技術を利用する場合、無線通信に必要な電力を測定装置へ供給する必要があるが、電池を利用すると電池の交換の必要性が生じし、また、電池切れした場合に無線通信ができなくなる。そこで測定対象の配線を流れる電流を利用した電磁誘導発電により、無線通信に必要な通信用電力を得るエネルギーハーベスト技術の利用が検討されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば、分散型電源が接続されるメインブレーカと商用電源との間の配線に測定装置を配置し、該配線を伝達される電力に関する測定値(例えば電力量)の情報を測定装置から取得し、当該電力が0Wに近づくように、分散型電源の出力を制御する構成が考えられる。そして、当該測定装置として、配線を流れる電流を利用した電磁誘導発電により通信用電力を得て無線通信を行う前述の測定装置を用いた場合では、測定装置が配置された配線を伝達される電力が0Wである状態が継続すると、通信用電力を確保できなくなる。この結果、測定装置から測定値の情報が取得できなくなり、分散型電源の出力を制御できなくなる可能性がある。
【0007】
本発明は、測定対象の配線を流れる電流を利用した電磁誘導発電で生成された通信用電力によって無線通信を行う測定装置を備える分散型電源システムにおいて、測定装置の通信不良を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る分散型電源システムは、商用電源とは異なる経路でメインブレーカに接続され、前記メインブレーカを介して電力を負荷へ供給する分散型電源と、前記メインブレーカと前記負荷との間に接続された配線に配置され、該配線を伝達される電力に関する測定値を測定し、該配線を流れる電流を利用した電磁誘導発電で生成された通信用電力による無線通信によって、前記測定値の情報を送信する測定装置と、前記無線通信により前記測定装置から取得した前記情報における測定値に基づき、前記分散型電源の出力を制御する制御部と、を備える。
【0009】
このように、第1態様の構成では、測定装置が、メインブレーカと負荷との間に接続された配線を伝達される電力に関する測定値を測定し、該配線を流れる電流を利用した電磁誘導発電で生成された通信用電力による無線通信によって、測定値の情報を送信する。制御部は、無線通信により測定装置から取得した情報における測定値に基づき、分散型電源の出力を制御する。
【0010】
ここで、測定装置は、メインブレーカと負荷との間に接続された配線に配置されている。メインブレーカと商用電源との間の配線に伝達される電力が0Wである状態が継続したとしても、メインブレーカと負荷との間に接続された配線に電力が伝達されていれば、通信用電力を確保できる。このため、通信用電力の不足による測定装置の通信不良を抑制できる。
【0011】
第2態様に係る分散型電源システムでは、前記制御部は、前記測定値に基づき、前記負荷の使用電力を前記分散型電源の出力目標とする制御を行う。
【0012】
ここで、測定装置がメインブレーカと商用電源との間の配線に配置される構成では、配線を伝達される電力が0Wに近づくように、分散型電源の出力を制御する。これに対して、第2態様では、負荷の使用電力を分散型電源の出力目標とする制御を行うので、分散型電源の出力を、高精度に、負荷の使用電力に近づけることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記構成としたので、測定対象の配線を流れる電流を利用した電磁誘導発電で生成された通信用電力によって無線通信を行う測定装置を備える分散型電源システムにおいて、測定装置の通信不良を抑制できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る電力供給システムを示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る分散型電源システムの一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る制御装置のプロセッサの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る制御装置によって実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0016】
(電力供給システム10)
本実施形態に係る電力供給システム10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る電力供給システム10の構成を示す概略図である。
【0017】
電力供給システム10は、負荷の一例としての電気機器14へ電力を供給するためのシステムである。本実施形態では、電力供給システム10は、家屋12に対して適用されており、家屋12に設置された電気機器14へ電力を供給する。家屋12に設置された電気機器14の一例としては、照明器具、エアコン、冷蔵庫、テレビ、洗濯機などの機器が挙げられる。
【0018】
なお、電力供給システム10が適用される適用対象としては、家屋12に限られず、例えば、事務所、店舗、興行場、倉庫、工場、及び病院などの建物や施設であってもよい。また、本実施形態では、負荷の一例として、電気機器14を挙げたが、負荷の一例としては、電力を使用する装置、換言すれば、電力を消費する装置であればよい。また、電力供給システム10が電力を供給する対象は、電気機器14等の負荷が接続される接続端子(具体的にはコンセント等)であってもよい。
【0019】
電力供給システム10は、具体的には、分散型電源システム50と、電線18と、電線19と、分電盤30と、を備えている。分散型電源システム50は、分散型電源を有するシステムであり、分散型電源の一例としてのコージェネレーション装置20と、測定装置40と、制御装置60と、を有して構成されている。以下、電力供給システム10の各部について説明する。
【0020】
(コージェネレーション装置20)
コージェネレーション装置20は、前述のように、分散型電源の一例である。分散型電源とは、商用電源16とは別に設けられ、電気機器14に対して電力を供給する給電装置である。また、分散型電源は、出力(すなわち、電気機器14へ向けて供給される電力量)が制御可能な電源である。
【0021】
コージェネレーション装置20は、本実施形態では、家庭用燃料電池コージェネレーション装置であり、例えば、家屋12の外側の敷地に設置される。このコージェネレーション装置20は、商用電源16とは異なる経路で分電盤30の後述のメインブレーカ34に接続され、発電した発電電力を、当該メインブレーカ34を介して電気機器14へ供給する。具体的には、コージェネレーション装置20は、一例として、燃料電池ユニット22と、貯湯ユニット24と、熱源機26と、を有している。
【0022】
燃料電池ユニット22、貯湯ユニット24、及び熱源機26の各々は、別々の筐体を有しており、各筐体内に備えられた設備によって構成されている。なお、燃料電池ユニット22、貯湯ユニット24、及び熱源機26は、単一の筐体で構成されていてもよい。
【0023】
燃料電池ユニット22は、図示は省略するが、燃料処理装置、スタック、インバータ、及び熱回収装置を有している。燃料電池ユニット22では、燃料処理装置において、都市ガスから水素を生成し、スタックにおいて、該水素と空気中の酸素と反応させることで、直流の電力(以下、直流電力という)と、熱と、を発生させる。さらに、燃料電池ユニット22では、インバータにおいて、直流電力を交流の電力(以下、発電電力という)へ変換する。燃料電池ユニット22の熱回収装置は、貯湯ユニット24から送られる水を、スタックで発生した熱で加温することによって、該熱を回収する。
【0024】
貯湯ユニット24は、図示は省略するが、貯留タンクを有している。貯湯ユニット24では、上水道から得た水を、燃料電池ユニット22の熱回収装置へ送り、熱回収装置で加温された水(すなわち、温水)を貯留タンクで貯留する。
【0025】
熱源機26は、貯湯ユニット24の貯留タンクから送られた温水を、必要に応じて、都市ガスの燃焼によりさらに加温して家屋12へ供給する。
【0026】
本実施形態では、分散型電源の一例として、燃料電池を利用した発電装置であるコージェネレーション装置20を用いたが、これに限られない。分散型電源の一例としては、例えば、ガスの燃焼によりエンジンやタービンを回転させる発電装置、太陽光及び風力等を利用した発電装置、及び蓄電池などであってもよく、種々の給電装置を用いることが可能である。なお、太陽光及び風力等を利用した発電装置では、例えば、発電した直流電力を交流電力に変換する変換装置(具体的には、パワーコンディショナ)を制御することによって、電気機器14への電力の出力が制御される。また、蓄電池では、例えば、上記の発電装置や商用電源からの電力を蓄電し、電気機器14へ供給される電力の出力が制御される。
【0027】
(電線18、電線19、及び分電盤30)
電線18は、商用電源16からの商用電力を分電盤30へ引き込むための電線である。この電線18は、一端部側が商用電源16に接続され、他端部が分電盤30に接続されている。電線18の他端部は、具体的には、分電盤30の後述のサービスブレーカ32に接続されている。電線18は、具体的には、例えば単相3線式の電線であり、中性線18Aと、電圧線18B、18Cと、を有している。なお、分電盤30が後述のサービスブレーカ32を有さない構成の場合は、電線18は、分電盤30の後述のメインブレーカ34に接続される。なお、電線18としては、単相3線式の電線に限られず、電力を伝達可能な電線であればよい。
【0028】
電線19は、コージェネレーション装置20で発電された発電電力を分電盤30へ引き込むための電線である。この電線19は、一端部がコージェネレーション装置20に接続され、他端部が分電盤30に接続されている。具体的には、電線19の一端部は、コージェネレーション装置20の燃料電池ユニット22に接続されている。電線18の他端部は、具体的には、分電盤30の後述のサービスブレーカ32に接続されている。したがって、本実施形態では、電線19は、燃料電池ユニット22のインバータにおいて、直流電力から変換された交流の発電電力を分電盤30のサービスブレーカ32に送電する。電線19は、具体的には、単相3線式の電線であり、中性線19Aと、電圧線19B、19Cと、を有している。なお、電線19としては、単相3線式の電線に限られず、電力を伝達可能な電線であればよい。
【0029】
以上のように、商用電源16は、電線18によって後述のメインブレーカ34に接続され、コージェネレーション装置20は、電線19によって後述のメインブレーカ34に接続されている。すなわち、商用電源16とコージェネレーション装置20とは、異なる経路で後述のメインブレーカ34に接続されている。
【0030】
分電盤30は、サービスブレーカ32、メインブレーカ34、及び安全ブレーカ36と、これらのブレーカ32、34、36が配置された回路31と、を有している。サービスブレーカ32、メインブレーカ34、及び安全ブレーカ36は、この順で、回路31において電流が流れる方向の上流側から配置されている。
【0031】
回路31は、具体的には、単相3線式の電線で構成されており、中性線31Aと、電圧線31B、31Cと、を有している。さらに、回路31は、サービスブレーカ32とメインブレーカ34とを接続する接続部33と、メインブレーカ34から安全ブレーカ36側へ延び出た延出部35と、を有している。なお、回路31の接続部33と、電線18とは、商用電源16とメインブレーカ34との間に接続された配線の一例である。
【0032】
回路31の延出部35には、延出部35から分岐して、電気機器14に送電するための複数の配線37が接続されている。すなわち、配線37は、延出部35から分岐する分岐回路とも言える。複数の配線37の各々は、一対の配線(電線)で構成され、一対の配線の各々が、延出部35における中性線31A及び電圧線31B、31Cのいずれか2つの線の各々に接続される。
図1に示される例では、一の配線37が、中性線31A及び電圧線31Bに接続され、一の配線37が、中性線31A及び電圧線31Cに接続されている。
【0033】
サービスブレーカ32は、契約容量を決定するための遮断器であり、契約容量を超える電力が供給されると、回路31を遮断する機能を有している。なお、サービスブレーカ32が備えられていない場合もある。
【0034】
メインブレーカ34は、電気機器14等での漏電が発生した場合に回路31を遮断する漏電遮断器として機能する。安全ブレーカ36は、配線37の各々に取り付けられ、電気機器14の故障等に伴うショートや一定以上の電力使用を検知した場合に配線37を遮断する遮断器である。したがって、安全ブレーカ36は、複数備えられている。具体的には、安全ブレーカ36は、配線37の数と同数設けられている。
【0035】
本実施形態では、商用電源16からの商用電力と、コージェネレーション装置20で発電した発電電力とが、分電盤30に送られることで合流し、家屋12に設置された電気機器14の電力として使用することができる。ここで、電気機器14において使用される使用電力(消費電力)に対して、コージェネレーション装置20から出力された出力電力が不足する場合に、その不足分の商用電力が使用される。すなわち、電気機器14の使用電力に対して、コージェネレーション装置20の発電電力が不足する場合に、商用電源16からメインブレーカ34へ、電線18及び回路31の接続部33を通じて商用電力が伝達される。したがって、電気機器14における使用電力が、コージェネレーション装置20の定格出力を超える場合では、コージェネレーション装置20は定格出力にて出力し、不足分が商用電源16から供給される。
【0036】
一方、電気機器14での使用電力と、コージェネレーション装置20の発電電力とが釣り合う場合には、商用電力は使用されず、電線18及び回路31の接続部33には、電力は伝達されない。
【0037】
さらに、電気機器14において使用される使用電力に対して、コージェネレーション装置20で発電された発電電力が過剰となる場合には、商用電力は使用されず、過剰分の発電電力がメインブレーカ34から商用電源16側へ電線18及び回路31の接続部33を通じて伝達される(すなわち逆潮流する)場合がある。
【0038】
なお、回路31としては、単相3線式の電線に限られず、電力を伝達可能な回路であればよい。
【0039】
(測定装置40)
測定装置40は、メインブレーカ34に対する下流側に配置されている。具体的には、測定装置40は、分電盤30の回路31の延出部35に配置されている。すなわち、分電盤30のメインブレーカ34と電気機器14との間に配置されている。さらに具体的には分電盤30の回路31におけるメインブレーカ34と複数の安全ブレーカ36との間であって、分岐回路としての配線37が接続される上流側に配置されている。さらに言えば、測定装置40は、回路31の延出部35における中性線31Aに配置されている。この測定装置40によって、全ての電気機器14(全負荷分)へ供給される電力に関する測定値が測定となっている。
【0040】
測定装置40は、分電盤30の回路31の延出部35を伝達される電力に関する測定値(具体的には、電流値、電圧値、及び電力量の少なくとも1つ)を測定する装置である。換言すれば、測定装置40は、電気機器14の使用電力に関する測定値を測定する。
【0041】
測定装置40は、具体的には、
図2に示されるように、測定部42と、誘導発電部44と、通信部46と、を有している。測定部42は、図示は省略するが、例えば、回路31の周囲を囲む環状のコアと、コアに巻かれた巻線と、を有し、回路31を伝達される電力に比例して巻線を伝達される電力に関する測定値を測定することで、延出部35を伝達される電力に関する測定値を測定する。このように、測定部42では、延出部35を伝達される電力と相関がある測定値を測定することで、延出部35を伝達される電力に関する測定値を測定する。測定部42としては、上記構成に限られず、延出部35を伝達される電力に関する測定値を測定可能な構成であればよい。
【0042】
誘導発電部44は、回路31を流れる電流を利用した電磁誘導発電により、無線通信を行う通信用電力を生成する。さらに、通信部46は、誘導発電部44によって、生成された通信用電力による無線通信によって、測定部42で測定した測定値の情報(以下、測定値情報という)を制御装置60へ送信する。
【0043】
なお、測定装置40は、上記構成に限られず、全ての電気機器14(全負荷分)へ供給される電力に関する測定値が測定可能であればよい。例えば、測定装置40は、接続部33における電圧線31B、31Cの各々に配置された測定部42を有する構成であってもよいし、複数の配線37の各々に配置された測定部42を有する構成であってもよい。
【0044】
また、測定装置40としては、測定部42による測定、及び、通信部46による通信を、常時、実行する構成であってもよいし、当該測定及び通信を、予め定められた間隔で周期的に実行する構成であってもよい。
【0045】
(制御装置60)
制御装置60は、制御部の一例であり、コージェネレーション装置20の動作を制御する装置である。具体的には、コージェネレーション装置20の出力(すなわち、電気機器14へ向けて供給される電力量)を制御する。なお、制御装置60は、コージェネレーション装置20の当該電力量に加えて、コージェネレーション装置20の給湯量、及び熱源機26の加熱量を制御する装置として機能してもよい。
【0046】
制御装置60は、
図2に示されるように、プロセッサ61と、メモリ62と、ストレージ63と、通信インタフェース64と、を有するコンピュータで構成されている。
【0047】
プロセッサ61としては、例えば、汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)で構成されている。なお、プロセッサの一例としては、特定の処理を実行させるために専用に設計された回路で構成された専用のプロセッサであってもよい。
【0048】
通信インタフェース64は、測定装置40を含む他の機器と通信するためのインタフェース(すなわち通信部)である。本実施形態では、通信インタフェース64は、無線通信機能により、測定装置40から送信された測定値情報の受信を行う。
【0049】
ストレージ63は、制御プログラム63A(
図3参照)を含む各種プログラムと、各種データと、を格納する。ストレージ63は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記録装置により実現される。
【0050】
メモリ62は、プロセッサ61が各種プログラムを実行するための作業領域であり、プロセッサ61が処理を実行する際に一時的に各種プログラム又は各種データを記録する。プロセッサ61は、ストレージ63から制御プログラム63Aを含む各種プログラムをメモリ62に読み出し、メモリ62を作業領域としてプログラムを実行する。
【0051】
制御装置60において、プロセッサ61は制御プログラム63Aを実行することにより、各種の機能を実現する。以下、ハードウェア資源としてのプロセッサ61とソフトウェア資源としての制御プログラム63Aの協働によって実現される機能構成について説明する。
図3は、プロセッサ61の機能構成を示すブロック図である。
【0052】
図3に示されるように、制御装置60において、プロセッサ61は、制御プログラム63Aを実行することにより、取得部61A及び出力制御部61Bとして機能する。
【0053】
取得部61Aは、測定装置40から送信され通信インタフェース64が受信した測定値情報を取得する。
【0054】
出力制御部61Bは、取得部61Aが取得した測定値情報に基づき、コージェネレーション装置20の出力(すなわち、電気機器14へ向けて供給される電力量)を制御する。具体的には、出力制御部61Bは、コージェネレーション装置20の燃料電池ユニット22における発電量が、測定装置40の測定位置での電力量(測定値の一例)に近づくように、当該発電量を制御するフィードバック制御を行う。換言すれば、出力制御部61Bは、取得部61Aが取得した測定値情報における測定値を制御目標値として、コージェネレーション装置20の出力を制御する。ここで、測定装置40で測定される測定値は、電気機器14の使用電力(消費電力)に相当する。したがって、出力制御部61Bは、電気機器14の使用電力(消費電力)を、コージェネレーション装置20の出力目標とする制御を行うとも言える。
【0055】
また、測定装置40が測定する測定値としては、電圧値や電流値等であってもよく、制御装置60は、当該電圧値や電流値等に基づき、コージェネレーション装置20の出力を制御してもよい。
【0056】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態の作用の一例について説明する。
図4は、制御装置60によって実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0057】
本処理は、プロセッサ61が、ストレージ63から制御プログラム63Aを読み出して実行することにより行なわれる。本処理は、一例として、プロセッサ61が、コージェネレーション装置20の発電動作を実行する指示を取得した場合に実行が開始される。
【0058】
プロセッサ61は、
図4に示されるように、測定装置40から測定値情報を取得したか否かを判定する(ステップS102)。
【0059】
プロセッサ61は、測定装置40から測定値情報を取得したと判定した場合に(ステップS102:YES)、測定装置40の測定位置での電流値が、基準電流値に近づくように、コージェネレーション装置20の出力を制御するフィードバック制御を行い(ステップS104)、ステップS102へ戻る。
【0060】
一方、プロセッサ61は、測定装置40から測定値情報を取得していないと判定した場合には(ステップS102:NO)、再度、ステップS102を行う。すなわち、測定装置40から測定値情報を取得するまで、ステップS102を繰り返す。
【0061】
なお、
図4に示す制御処理では、例えば、コージェネレーション装置20の発電動作の実行を停止する指示を取得した場合に、いずれのステップを実行しているかに関わらず、本処理を終了する。
【0062】
(本実施形態に係る作用効果)
本実施形態では、測定装置40は、分電盤30のメインブレーカ34と電気機器14との間に配置されている。
【0063】
ここで、例えば、測定装置40が、分電盤30の回路31におけるサービスブレーカ32とメインブレーカ34との間の接続部33に配置される構成(以下、構成Aという)では、以下のように、測定装置40において通信エラーが生じる場合がある。
【0064】
例えば、電気機器14での使用電力と、コージェネレーション装置20の発電電力とが釣り合う場合には、商用電力は使用されず、回路31の接続部33には、電力は伝達されない。この場合では、分電盤30の回路31における測定装置40の配置位置において電流が流れずに、測定装置40の無線通信に必要な通信用電力が得られず、測定装置40において、通信エラーが生じる。
【0065】
これに対して、本実施形態に係る測定装置40が配置される延出部35では、電気機器14として常時に電力を使用する機器(例えば冷蔵庫など)が存在するため、常時に電流が流れる。少なくとも、回路31における接続部33よりも、延出部35において電流が流れる頻度が高い。このため、測定装置40において通信エラーが生じにくく、測定装置40の通信不良を抑制できる。
【0066】
また、前述の構成Aでは、接続部33を伝達される電力が0Wに近づくように、コージェネレーション装置20の出力を制御する。これに対して、本実施形態では、電気機器14の使用電力をコージェネレーション装置20の出力目標とする制御を行うので、コージェネレーション装置20の出力を、高精度に、電気機器14の使用電力に近づけることができる。
【0067】
また、本実施形態では、測定装置40は、無線通信によって測定値情報を制御装置60へ送信するため、測定装置40と制御装置60とを有線により接続する必要がない。この結果、測定装置40を分電盤30へ取り付けた後、家屋12の壁を貫通する配線工事を行う必要がない。
【符号の説明】
【0068】
10 電力供給システム
12 家屋
14 電気機器(負荷の一例)
16 商用電源
18 電線(配線の一例)
18A 中性線
18B 電圧線
19 電線
19A 中性線
19B 電圧線
20 コージェネレーション装置(分散型電源の一例)
22 燃料電池ユニット
24 貯湯ユニット
26 熱源機
30 分電盤
31 回路
31A 中性線
31B 電圧線
32 サービスブレーカ
33 接続部
34 メインブレーカ
35 延出部(配線の一例)
36 安全ブレーカ
37 配線
40 測定装置
42 測定部
44 誘導発電部
46 通信部
50 分散型電源システム
60 制御装置(制御部の一例)
61 プロセッサ
61A 取得部
61B 出力制御部
62 メモリ
63 ストレージ
63A 制御プログラム
64 通信インタフェース