(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181072
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】クランプ具
(51)【国際特許分類】
F16L 41/06 20060101AFI20221130BHJP
F16L 41/12 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
F16L41/06
F16L41/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087905
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 知広
(72)【発明者】
【氏名】今野 実
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019CA02
3H019DA03
(57)【要約】
【課題】簡易な作業で配管に2個の枝管を設置することが可能なクランプ具を提供する。
【解決手段】クランプ具18は、第1上支持部22と、第1下支持部24と、第1上支持部22と第1下支持部24との間隔を狭めることにより上サドル14と下サドル16を配管12の外周面へ押圧させる第1締結機構と、を有する第1クランプ本体20と、第2上支持部32と、第2下支持部34と、第2上支持部32と第2下支持部34との間隔を狭めることにより上サドル14と下サドル16を配管12の外周面へ押圧させる第2締結機構と、を有する第2クランプ本体30と、第1クランプ本体20と第2クランプ本体30とを連結し、第1クランプ本体20と第2クランプ本体30の間隔を保持する連結部を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サドル本体と前記サドル本体に設けられた枝管とを有する上サドルと下サドルを、配管の外周に沿って互いに対向するように配置した状態で保持するクランプ具であって、
前記上サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた一方側上フランジに鉛直方向上側から当接される第1上支持部と、
前記下サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた一方側下フランジに鉛直方向下側から当接される第1下支持部と、
前記第1上支持部と前記第1下支持部との間隔を狭めることにより前記上サドルと前記下サドルを前記配管の外周面へ押圧させる第1締結機構と、
を有する第1クランプ本体と、
前記上サドルの前記枝管を挟んで前記一方側上フランジと反対側に設けられた他方側上フランジに鉛直方向上側から当接される第2上支持部と、
前記下サドルの前記枝管を挟んで前記一方側下フランジと反対側に設けられた他方側下フランジに鉛直方向下側から当接される第2下支持部と、
前記第2上支持部と前記第2下支持部との間隔を狭めることにより前記上サドルと前記下サドルを前記配管の外周面へ押圧させる第2締結機構と、
を有する第2クランプ本体と、
前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体とを連結し、前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体の間隔を保持する連結部と、
を備えた、クランプ具。
【請求項2】
前記連結部は、前記配管を跨いで前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体との間に掛け渡され、前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体との間隔を調整可能な調整機構を備えている、
請求項1に記載のクランプ具。
【請求項3】
前記連結部は、前記配管に対して前記第1締結機構及び前記第2締結機構の操作側で前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体とを連結するように配置されている、
請求項1または請求項2に記載のクランプ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクランプ具に係り、配管に枝管を取り付ける際に用いるクランプ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス管に樹脂製の分岐継手を取り付ける場合に、クランプが用いられている。特許文献1では、分岐継手のサドル部を上部クランプで支持すると共に、ガス管を下部クランプで支持し、上部クランプと下部クランプを連結して、分岐継手をガス管に支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガス管から水を抜くためにガス管に水取り用の枝管を付ける場合がある。ガス管の径が比較的大きい場合には、既存の水取り用の枝管を取り付けるのが困難な場合があり、水取り構造を工夫すると共に、水取り用の枝管を取り付けるための治具についても従来と異なる工夫が必要である。
【0005】
特許文献1には、枝管の設けられたサドル部を1個のみ取り付けるためのクランプが開示されているが、同時にガス管の上下に一対のサドルを保持することができない。2個のサドルを取り付けるためには、一方を取り付けた後、他方を取り付けることになり、作業を2回実施する必要がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して成されたものであり、簡易な作業で配管に2個の枝管を設置することが可能なクランプ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係るクランプ具は、サドル本体と前記サドル本体に設けられた枝管とを有する上サドルと下サドルを、配管の外周に沿って互いに対向するように配置した状態で保持するクランプ具であって、前記上サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた一方側上フランジに鉛直方向上側から当接される第1上支持部と、前記下サドルの前記枝管を挟んで一方側に設けられた一方側下フランジに鉛直方向下側から当接される第1下支持部と、前記第1上支持部と前記第1下支持部との間隔を狭めることにより前記上サドルと前記下サドルを前記配管の外周面へ押圧させる第1締結機構と、を有する第1クランプ本体と、前記上サドルの前記枝管を挟んで前記一方側上フランジと反対側に設けられた他方側上フランジに鉛直方向上側から当接される第2上支持部と、前記下サドルの前記枝管を挟んで前記一方側下フランジと反対側に設けられた他方側下フランジに鉛直方向下側から当接される第2下支持部と、前記第2上支持部と前記第2下支持部との間隔を狭めることにより前記上サドルと前記下サドルを前記配管の外周面へ押圧させる第2締結機構と、を有する第2クランプ本体と、前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体とを連結し、前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体の間隔を保持する連結部と、を備えている。
【0008】
請求項1に係るクランプ具は、サドル本体とサドル本体に設けられた枝管とを有する上サドルと下サドルを、配管の外周に沿って互いに対向するように配置した状態で保持するものであり、第1クランプ本体と第2クランプ本体を備えている。
【0009】
第1クランプ本体は、第1上支持部と、第1下支持部と、第1締結機構と、を有している。第1上支持部は、上サドルの一方側上フランジに鉛直方向上側から当接され、第1下支持部は、下サドルの一方側下フランジに鉛直方向下側から当接される。第1締結機構は、第1上支持部と第1下支持部との間隔を狭めることにより上サドルと下サドルを配管の外周面へ押圧させる。
【0010】
一方、第2クランプ本体は、第2上支持部と、第2下支持部と、第2締結機構と、を有している。第2上支持部は、他方側上フランジに鉛直方向上側から当接される。他方側上フランジは、上サドルの枝管を挟んで一方側上フランジと反対側に配置されている。第2下支持部は、下サドルの他方側下フランジに鉛直方向下側から当接される。他方側下フランジは、下サドルの枝管を挟んで一方側下フランジと反対側に配置されている。第2締結機構は、第2上支持部と第2下支持部との間隔を狭めて上サドルと下サドルを前記配管の外周面へ押圧させる。
【0011】
このように、第1クランプ本体と第2クランプ本体を枝管の一方側と他方側に配置し、上サドルと下サドルを配管の外周面へ押圧させることにより、同時に2個のサドルを配管に保持することができる。これにより、簡易な作業で配管に2個の枝管を設置することができる。
【0012】
また、連結部で第1クランプ本体と第2クランプ本体とを連結し、第1クランプ本体と第2クランプ本体の間隔を保持するので、上サドルと下サドルの取り付け作業を行いやすくすることができる。
【0013】
請求項2に係るクランプ具は、前記連結部が、前記配管を跨いで前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体との間に掛け渡され、前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体との間隔を調整可能な調整機構を備えている。
【0014】
請求項2に係るクランプ具によれば、調整機構により第1クランプ本体と第2クランプ本体との間隔を調整できるので、第1クランプ本体と第2クランプ本体とを離れた位置から互いに近づけて、両者の間隔調整を行うことができる。
【0015】
請求項3に係るクランプ具は、前記配管に対して前記第1締結機構及び前記第2締結機構の操作側で前記第1クランプ本体と前記第2クランプ本体とを連結するように配置されている。
【0016】
請求項3に係るクランプ具によれば、連結部が配管に対して第1締結機構及び第2締結機構の操作側に配置されているので、クランプ具を配管に保持しやすくなり、サドルを配管へ取り付ける作業が行いやすくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るクランプ具によれば、簡易な作業で配管に2個の枝管を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態のクランプ具の正面図(軸方向から見た図)であり、上サドルと下サドルを保持する前の状態の図である。
【
図2】本実施形態のクランプ具の第1調整部と第2調整部付近を上側から見た斜視図である。
【
図3】本実施形態のクランプ具の正面図(軸方向から見た図)であり、上サドル上にクランプ具を載置した状態の図である。
【
図4】本実施形態のクランプ具の正面図(軸方向から見た図)であり、上サドルと下サドルを保持した状態の図である。
【
図5】本実施形態のクランプ具の第1クランプ本体側からみた側面図であり、上サドルと下サドルを保持した状態の図である。
【
図6】本実施形態のクランプ具の第2クランプ本体側からみた側面図であり、上サドルと下サドルを保持した状態の図である。
【
図7】本実施形態のクランプ具で上サドルと下サドル保持した状態を示す斜視図である。
【
図8】本実施形態のクランプ具で配管に取り付けた上サドルと下サドルと枝管を貫通させる治具を示す図である。
【
図9】本実施形態のクランプ具で配管に取り付けた上サドルと下サドルとを用いて水取器を取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1~
図7には、本発明の実施形態に係るクランプ具18、及び、クランプ具18が用いられて取り付けられる枝管取り付け構造10が示されている。クランプ具18は、樹脂製の配管12に上サドル14と下サドル16を保持する用途に用いられる。上サドル14及び下サドル16は、所謂EFサドルであり、配管12の外周面に押圧されつつ不図示の電気配線に通電されることにより、融着される。
【0020】
上サドル14は、サドル本体14A、枝管14B、及び一対の上フランジ14C、14Dを備えている。サドル本体14Aは、内側(凹側)14inが配管12の外周に沿った形状とされ、外側(凸側)14outの面から突出する筒状の枝管14Bが設けられている。枝管14Bの外周には雄ねじが形成されている。
【0021】
枝管14Bを挟んで一方側端部に上フランジ14Cが設けられ、他方側端部に上フランジ14Dが設けられている。上フランジ14C及び上フランジ14Dは、サドル本体14Aを配管12の外周面に沿って配置したときに、配管12の軸方向S(
図5、6参照)に沿って延在するように配置される。なお、「軸方向Sに沿って延在」は、軸方向Sに連続している必要はなく、分割形成されている場合を含んでいる。上フランジ14C及び上フランジ14Dは、軸方向Sから見て、配管12の外周から突出するように形成されている。上フランジ14C及び上フランジ14Dの外側14out側には、後述する上支持面22A、32Aが当接されるフランジ面14Eが各々形成されている。
【0022】
下サドル16は、サドル本体16A、枝管16B、及び一対の下フランジ16C、16Dを備えている。サドル本体16Aは、内側(凹側)16inが配管12の外周に沿った形状とされ、外側(凸側)16outから突出する筒状の枝管16Bが設けられている。枝管16Bを挟んで一方側端部に下フランジ16Cが設けられ、他方側端部に下フランジ16Dが設けられている。下フランジ16C及び下フランジ16Dは、サドル本体16Aを配管12の外周面に沿って配置したときに、配管12の軸方向Sに沿って延在するように配置される。下フランジ16C及び下フランジ16Dは、軸方向Sから見て、配管12の外周から突出するように形成されている。下フランジ16C及び下フランジ16Dの外側16out側には、後述する下支持面24A、34Aが当接されるフランジ面16Eが各々形成されている。
【0023】
クランプ具18は、略同一形状の、第1クランプ本体20、第2クランプ本体30、を備えている。
【0024】
第1クランプ本体20は、第1上支持部22、第1下支持部24、第1本体部材26、及び、第1締結部材28を有している。第1本体部材26はコ字状とされており、第1中間部26A、第1下固定部26B、及び第1上連結部26Cを有している。第1中間部26Aは、コ字の中間部分を構成している。第1下固定部26Bは、第1中間部26Aの一端側から直角に屈曲されてコ字の一端部を構成している。
【0025】
第1上連結部26Cは、第1中間部26Aの他端側から直角に屈曲されて延出され、第1下固定部26Bと同程度の長さとされてコ字の他端部を構成している。第1上連結部26Cの第1下固定部26Bと対向する位置には、第1中間部26Aと平行な方向に貫通孔26Hが形成され、貫通孔26Hの内壁には雌ねじが形成されている。
【0026】
第1上連結部26Cの先端側からは、第1上連結部26Cと一体的に形成された第1調整部42が延出形成されている。第1調整部42は、第1上連結部26Cよりも厚みが薄く、外側が第1上連結部26Cの外側面(
図1の上側面)と面一に配置され、内側の第1上連結部26Cとの境界部分に段差D1が形成されている。第1調整部42の幅方向の中央部には、
図2にも示されるように、第1調整部42の長手方向に沿って第1長孔44が形成されている。
【0027】
第1本体部材26のコ字の内側の第1下固定部26B側には、第1下支持部24が配置されている。第1下支持部24は、第1中間部26A及び第1下固定部26Bと直交するように延在され、中央部が第1下固定部26B上に固定されている。第1下支持部24は、下フランジ16Cよりも長尺とされている。
【0028】
第1本体部材26のコ字の内側の第1下支持部24と対向する位置には、第1上支持部22が配置されている。第1上支持部22は、第1中間部26A及び第1上連結部26Cと直交するように延在され、中央部が第1上連結部26Cと交差するように配置されている。第1下支持部24は、上フランジ14Cよりも長尺とされている。第1上支持部22には、貫通孔26Hに対応する位置に、第1締結部材28の先端が回転可能に取り付けられている。第1締結部材28は、棒状とされ、外周に雄ねじ28Nが形成されている。第1締結部材28は貫通孔26Hの雌ねじと螺合されており、一方向に回転させることにより、第1上支持部22が第1中間部26Aにガイドされつつ第1下支持部24へ近づく方向へ移動し、逆方向に回転させることにより、第1中間部26Aにガイドされつつ第1下支持部24から離れる方向へ移動する。第1本体部材26と第1締結部材28により、第1締結機構が構成されている。第1締結機構において、第1締結部材28が配置されている側、すなわち配管12に対して上側が操作側となる。
【0029】
第1上支持部22には、上フランジ14Cのフランジ面14Eに当接する上支持面22Aが形成されている。上支持面22Aは、上フランジ14Cの延在方向と同方向に延在している。
【0030】
第1下支持部24には、下フランジ16Cのフランジ面16Eに当接する下支持面24Aが形成されている。下支持面24Aは、下フランジ16Cの延在方向と同方向に延在している。
【0031】
第1中間部26Aのコ字が見える側面には、位置合わせ目盛り27が設けられている。位置合わせ目盛り27は、配管12の径に応じた上サドル14及び下サドル16を使用して、上フランジ14Cと下フランジ16Cを第1上支持部22と第1下支持部24で挟持した場合の、上支持面22Aが配置される位置をマークしたものである。位置合わせ目盛り27は、3種類の配管径に対応した位置に設けられている。
【0032】
第1中間部26Aの幅は、第1上支持部22及び第1下支持部24の軸方向Sの長さよりも短く、第1上支持部22、及び第1下支持部24は、第1中間部26Aの外側から見たときに視認可能に配置されている。
【0033】
第2クランプ本体30は、第1クランプ本体20と同様の構成とされ、第1上支持部22、第1下支持部24、第1本体部材26、第1締結部材28に対応する、第2上支持部32、第2下支持部34、第2本体部材36、第2締結部材38を有している。
【0034】
第2本体部材36はコ字状とされており、第3中間部36A、第2下固定部36B、及び第1上連結部36Cを有している。第2中間部36Aは、コ字の中間部分を構成している。第2下固定部36Bは、第2中間部36Aの一端側から直角に屈曲されて、コ字の一端部を構成している。
【0035】
第2上連結部36Cは、第2中間部36Aの他端側から直角に屈曲されて延出され、第2下固定部36Bと同程度の長さとされてコ字の他端部を構成している。第2上連結部36Cの第2下固定部36Bと対向する位置には、第2中間部36Aと平行な方向に貫通孔36Hが形成され、貫通孔36Hの内壁には雌ねじが形成されている。
【0036】
第2上連結部36Cの先端側からは、第2上連結部36Cと一体的に形成された第2調整部52が延出されている。第2調整部52は、第2上連結部36Cよりも厚みが薄く、第2上連結部36Cの外側面(
図1の上側面)から内側に入った位置に段差D2をもって配置されている。第2調整部52には、第2孔54が形成されており、第2孔54の内側面(
図1の下側面)には、ナット56が固定されている。
【0037】
第1調整部42と第2調整部52は、連結ネジ58で締結される。連結ネジ58は、ネジ部58A及び頭部58Bを有している。ネジ部58Aは、ナット56に螺合可能な径の雄ねじとされている。頭部58Bは、ネジ部58Aの一端に配置され、ネジ部58A及び第1長孔44の幅よりも大径とされている。第1調整部42と第2調整部52は、第1調整部42が外側になるように重ね合わされ、連結ネジ58のネジ部58Aを第1調整部42側から第1長孔44へ挿入すると共にナット56に螺合させることにより連結される。
【0038】
第2本体部材36のコ字の内側の第2下固定部36B側には、第2下支持部34が配置されている。第2下支持部34は、第2中間部36A及び第2下固定部36Bと直交するように延在され、中央部が第2下固定部36B上に固定されている。第2下支持部34は、下フランジ16Dよりも長尺とされている。
【0039】
第2本体部材36のコ字の内側の第2下支持部34と対向する位置には、第2上支持部32が配置されている。第2上支持部32は、第2中間部36A及び第2上連結部36Cと直交するように延在され、中央部が第2上連結部36Cと交差するように配置されている。第2上支持部32には、貫通孔36Hに対応する位置に、第2締結部材38の先端が回転可能に取り付けられている。第2締結部材38は、棒状とされ、外周に雄ねじ38Nが形成されている。第2締結部材38は、貫通孔36Hの雌ねじと螺合されており、一方向に回転させることにより、第2上支持部32が第2中間部36Aにガイドされつつ第2下支持部34へ近づく方向へ移動し、逆方向に回転させることにより、第2中間部36Aにガイドされつつ第2下支持部34から離れる方向へ移動する。第2本体部材36と第2締結部材38により、第2締結機構が構成されている。第2締結機構において、第2締結部材38が配置されている側、すなわち配管12に対して上側が操作側となる。
【0040】
第2上支持部32には、上フランジ14Dのフランジ面14Eに当接する上支持面32Aが形成されている。上支持面32Aは、上フランジ14Dの延在方向と同方向に延在している。
【0041】
第2下支持部34には、下フランジ16Dのフランジ面16Eに当接する下支持面34Aが形成されている。下支持面34Aは、下フランジ16Dの延在方向と同方向に延在している。
【0042】
第2中間部36Aのコ字が見える側面には、位置合わせ目盛り37が設けられている。位置合わせ目盛り37は、配管12の径に応じた上サドル14及び下サドル16を使用して、上フランジ14Dと下フランジ16Dを第2上支持部32と第2下支持部34で挟持した場合の、上支持面32Aが配置される位置をマークしたものである。位置合わせ目盛り37は、3種類の配管径に対応した位置に設けられている。
【0043】
第2中間部36Aの幅は、第2上支持部32及び第2下支持部34の軸方向Sの長さよりも短く、第2上支持部32、及び第2下支持部34は、第1中間部26Aの外側から見たときに視認可能に配置されている。
【0044】
次に、本実施形態のクランプ具18を用いて、配管12に上サドル14と下サドル16を保持する手順について説明する。
【0045】
図3に示すように、まず、配管12の上側に上サドル14を配置し、上サドル14の第1上フランジ14Cの上に第1クランプ本体20の第1上支持部22を載せ、上サドル14の第1上フランジ14Dの上に第2クランプ本体30の第2上支持部32を載せる。これにより、上サドル14を介して、配管12上に第1クランプ本体20及び第2クランプ本体30が仮置きされる。
【0046】
このとき、第1本体部材26の第1調整部42と第2本体部材36の第2調整部52を第1調整部42が上に配置されるようにして重ね合わせ、配管12の径に合わせて第1本体部材26と第2本体部材36の間隔を調整する。調整した位置で連結ネジ58のネジ部58Aを第1調整部42側から挿入し、第1長孔44、第2孔54へ挿通してナット56へ螺合させ、頭部58Bと第2調整部52の間に第1調整部42を挟み込んで締結する。これにより、第1本体部材26と第2本体部材36が連結される。このように、第1調整部42と第2調整部52を連結させることにより、第1クランプ本体20と第2クランプ本体30の間隔を配管12に合わせた位置に保持することができる。
【0047】
次に、上サドル14に対向させて下側に下サドル16を配置し、第1クランプ本体20の下支持面24Aに下サドル16の下フランジ16Cを載せると共に、第2クランプ本体30の下支持面34Aに下サドル16の下フランジ16Dを載せる。
【0048】
このとき、上サドル14の位置を、第1中間部26Aが上フランジ14Cの軸方向Sの中央に配置されるように調整し、第2中間部36Aが上フランジ14Dの軸方向Sの中央に配置されるように調整する。また、下サドル16の位置を、第1中間部26Aが下フランジ16Cの軸方向Sの中央に配置されるように調整し、第2中間部36Aが下フランジ16Dの軸方向Sの中央に配置されるように調整する。
【0049】
次に、第1締結部材28を貫通孔26Hの雌ねじに螺合させつつ回転させて、第1上支持部22と第1下支持部24とを近づけると共に、第2締結部材38を貫通孔36Hの雌ねじに螺合させつつ回転させて、第2上支持部32と第2下支持部34とを近づけて、上サドル14と下サドル16を配管12に仮保持する。
【0050】
そして、上サドル14の上フランジ14Cと下サドル16の下フランジ16C、上サドル14の上フランジ14Dと下サドル16の下フランジ16Dが平行に配置されているか否かを側方から確認し、両者が平行に配置されるように、上サドル14、下サドル16の位置を調整する。
【0051】
調整した状態で、第1締結部材28及び第2締結部材38を、さらに回転させて、第1上支持部22と第1下支持部24とを近づけると共に、第2上支持部32と第2下支持部34とを近づけて、配管12の軸方向Sから見える位置合わせ用目盛り27、37の対応する配管12の径に応じたマーク位置に、第1上支持部22と第2上支持部32が配置されるようにする。これにより、上サドル14と下サドル16が配管12に押圧された状態で保持される。そして、上サドル14と下サドル16に通電して加熱し、上サドル14と下サドル16を配管12に融着する。これにより、上サドル14と下サドル16とを、枝管14Bと枝管16Bの軸が同軸となるように位置合わせした状態で、配管12に固定することができる。
【0052】
上サドル14と下サドル16を配管12に融着した後、第1締結部材28及び第2締結部材38の各々の締結を緩めると共に、連結ネジ58とナット56の螺合を解除して第1調整部42と第2調整部52の連結状態を解除し、クランプ具18を上サドル14及び下サドル16から取り外す。
【0053】
その後、治具60を用いて配管12の穿孔を行う。
図8に示されるように、治具60は、軸部66、カッター部62、及び保持部64を有している。軸部66は円筒棒状とされ、先端に円筒状のカッター部62が取り付けられている。保持部64は、枝管14Bの外周と係合可能とされた螺合部64A及び、軸部66を挿通する挿通部64Bを有している。軸部66は、挿通部64Bに挿通されており、カッター部62は保持部64の螺合部64A側に配置されている。
【0054】
治具60を用いて穿孔する際には、保持部64を、枝管14Bの外周と螺合させ、軸部66を回転させつつカッター部62を下へ移動させて、配管12の上部を穿孔し孔H1を形成する。この穿孔後に治具60の軸部66内から穿孔時の切片を取り除く。その後、再度軸部66を回転させつつカッター部62を下へ移動させて、配管12の下壁における枝管16Bに対応する部分を穿孔し孔H2を形成する(
図9参照)。
【0055】
本実施形態では、上サドル14の枝管14Bの軸と下サドル16の枝管16Bの軸とが、同軸となるように軸合わせされているので、治具60を用いて、枝管14Bと枝管16Bに対応する配管12の壁に、適切に穿孔を行うことができる。
【0056】
穿孔後に、枝管14Bに蓋15を取り付けて開口を塞ぐと共に、枝管16Bに
図9に示す水抜き管50を連結させる。なお、水抜き管50は、下サドル16を配管12に取り付ける前に、予め枝管16Bに連結させておいてもよい。
【0057】
本実施形態のクランプ具18を用いることにより、簡易な作業で配管に上サドル14及び下サドル16の両方を同時に保持することができる。これにより、簡易に2個の枝管14B、16Bを配管12に設置することができる。
【0058】
また、クランプ具18の取り付け作業時に、第1調整部42と第2調整部52を連結させて、第1クランプ本体20と第2クランプ本体30との間隔を保持することができるので、上サドル14と下サドル16を位置合わせしつつ配管12へ押圧保持する作業を行いやすくすることができる。
【0059】
また、本実施形態のクランプ具18は、第1調整部42と第2調整部52の相対位置を調整することにより、第1クランプ本体20と第2クランプ本体30の間隔を調整できるので、第1クランプ本体20と第2クランプ本体30とを離れた位置から互いに近づけて、両者を配管の径に応じた間隔に保持することができる。また、第1長孔44により、第1調整部42と第2調整部52の連結位置を変えられるので、径の異なる配管にも用いることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、第1長孔44により第1調整部42と第2調整部52の連結位置を変えて、第1クランプ本体20と第2クランプ本体30の間隔を調整したが、第1長孔44に代えて複数の締結用孔を設けて間隔を調整してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、配管12の上側で、第1クランプ本体20と第2クランプ本体30を連結させたが、配管12の下側で、第1クランプ本体20と第2クランプ本体30を連結させてもよいし、上下の両方で連結させてもよい。
【符号の説明】
【0062】
14 上サドル
14A サドル本体
14B 枝管
14C 上フランジ
14D 上フランジ
16 下サドル
16A サドル本体
16B 枝管
16C 下フランジ
16D 下フランジ
18 クランプ具
20 第1クランプ本体
22 第1上支持部
24 第1下支持部
26 第1本体部材(第1締結機構)
28 第1締結部材(第1締結機構)
30 第2クランプ本体
32 第2上支持部
34 第2下支持部
36 第2本体部材(第2締結機構)
38 第2締結部材(第2締結機構)
42 第1調整部(連結部)
44 第1長孔(調整機構)
52 第2調整部(連結部)
58 連結ネジ(連結部、調整機構)