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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181075
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】真空レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/142 20140101AFI20221130BHJP
   B23K 26/12 20140101ALI20221130BHJP
【FI】
B23K26/142
B23K26/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087908
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 剛久
(72)【発明者】
【氏名】溜 智遥
(72)【発明者】
【氏名】川崎 憲治
(72)【発明者】
【氏名】周田 直樹
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CB07
4E168EA17
4E168FB03
4E168FB05
4E168FB06
(57)【要約】
【課題】金属蒸気およびスパッタが光学系に付着する事態を抑えること。
【解決手段】真空レーザ加工装置21は、レーザ光Lを照射する光学系および照射されるレーザ光Lを通す照射室4を有するレーザ光照射部20と、レーザ光照射部20の照射室4が接続されてレーザ光Lによって施工される加工対象物100が配置される施工室5と、施工室5の内部を真空状態とする真空装置部6と、照射室4のレーザ光Lの出口である照射口4aにおいてレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するガスノズル8baを有するガス供給部8と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射する光学系および照射される前記レーザ光を通す照射室を有するレーザ光照射部と、
前記レーザ光照射部の前記照射室が接続されて前記レーザ光によって施工される加工対象物が配置される施工室と、
前記施工室の内部を真空状態とする真空装置部と、
前記照射室の前記レーザ光の出口において前記レーザ光に向けてクロスジェットガスを噴射するガスノズルを有するガス供給部と、
を備える、真空レーザ加工装置。
【請求項2】
前記ガスノズルは、前記レーザ光の光軸を間において複数配置される、請求項1に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項3】
前記ガスノズルは、前記レーザ光の光軸の周りを囲んで配置される、請求項1または2に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項4】
前記ガスノズルは、前記レーザ光の照射方向に向けて傾斜して配置される、請求項2または3に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項5】
前記ガスノズルは、前記レーザ光の光軸に対して10度以上70度以下に傾斜して配置される、請求項4に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項6】
前記ガスノズルは、前記レーザ光の光軸に沿って複数配置される、請求項1に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項7】
複数の前記ガスノズルの間に設けられ、前記レーザ光を通過させるレーザ光通過孔を有する仕切板を備える、請求項6に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項8】
前記ガスノズルは、前記レーザ光の光軸に対して直交してクロスジェットガスを噴射する態様で設けられる、請求項1、6、7のいずれか1項に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項9】
前記ガスノズルは、前記レーザ光への噴射位置において、前記レーザ光の径よりも大きい幅を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項10】
前記照射室の前記レーザ光の出口を囲むように前記施工室に設けられ、前記レーザ光を前記施工室に通過させるレーザ光通過孔を有し、前記ガス供給部の前記ガスノズルが配置される除去室を備える、請求項1から9のいずれか1項に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項11】
前記除去室の内部の気圧P1と、前記施工室の内部の気圧P2とが、P2×10≦P1の関係を満たす、請求項10に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項12】
前記ガスノズルから噴射されたクロスジェットガスを前記施工室の外部に排出するガス排出部を備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項13】
前記ガス排出部は、前記真空装置部に調整弁を介して接続される、請求項12に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項14】
前記真空装置部は、前記施工室に接続される真空排気管と、前記真空排気管に設けられる真空ポンプと、前記真空排気管における前記真空ポンプの上流側に配置された捕集部と、を備える、請求項1から13のいずれか1項に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項15】
前記照射室の内部に前記ガス供給部のクロスジェットガスよりも高圧の補助ガスを噴射する補助ガス供給部を備える、請求項1から14のいずれか1項に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項16】
前記レーザ光照射部を収容する収容容器を備え、前記収容容器を前記施工室の内部に配置する、請求項1から15のいずれか1項に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項17】
前記施工室に対して着脱可能に設けられ、前記施工室と連通して前記加工対象物の一部が配置される補助施工室をさらに備える、請求項1から16のいずれか1項に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項18】
前記補助施工室は、前記加工対象物を出し入れ可能に開閉する扉を有する、請求項17に記載の真空レーザ加工装置。
【請求項19】
前記補助施工室は、前記加工対象物を支持する支持機構を有する、請求項17または18に記載の真空レーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、真空レーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に、レーザ光の透過窓に金属蒸気が付着することを抑制することにより、高品質の溶接を安定して行うことを目的としたレーザ溶接装置が開示されている。このレーザ溶接装置は、低真空雰囲気下で、レーザ光により溶接を行うレーザ溶接装置であって、レーザ光の光軸に沿って、溶接部と所定の間隔を設けて配置され、上端には透過窓が設けられ、下端は雰囲気制御域内に開口しているシールドガス筒と、シールドガス筒の透過窓側からシールドガス筒内部へシールドガスを導入するシールドガス供給手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5234471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属蒸気は、比較的軽く、特許文献1に記載されたシールドガスによってレーザ光の透過窓への付着を抑制することが可能である。しかし、溶接において施工対象から飛散するスパッタは、金属蒸気と比較して数グラムと重いため、溶接部からシールドガス筒へ侵入し、レーザ光の透過窓に付着するおそれがある。
【0005】
本開示は上述した課題を解決するものであり、金属蒸気およびスパッタがレーザ光を照射する光学系に付着する事態を抑えることのできる真空レーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る真空レーザ加工装置は、レーザ光を照射する光学系および照射される前記レーザ光を通す照射室を有するレーザ光照射部と、前記レーザ光照射部の前記照射室が接続されて前記レーザ光によって施工される加工対象物が配置される施工室と、前記施工室の内部を真空状態とする真空装置部と、前記照射室の前記レーザ光の出口において前記レーザ光に向けてクロスジェットガスを噴射するガスノズルを有するガス供給部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、金属蒸気およびスパッタがレーザ光を照射する光学系に付着する事態を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の概略図である。
図2図2は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の部分断面概略図である。
図3図3は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図4図4は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図5図5は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図6図6は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図7図7は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図8図8は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図9図9は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図10図10は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図11図11は、実施形態2に係る真空レーザ加工装置の概略図である。
図12図12は、実施形態2に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図13図13は、実施形態2に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図14図14は、実施形態2に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図15図15は、実施形態2に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図16図16は、実施形態2に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
図17図17は、実施形態3に係る真空レーザ加工装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記実施形態における構成要素は、適宜組み合わせが可能である。
【0010】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の概略図である。図2は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の部分断面概略図である。図3から図9は、実施形態1に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態1の真空レーザ加工装置21は、加工対象物100にレーザ光Lを照射して、加工対象物100を加工することが可能な装置となっている。真空レーザ加工装置21は、例えば、加工対象物100である第一配管100aと第二配管100bとの接合部分にレーザ光Lを照射し、相互を接合する。真空レーザ加工装置21は、レーザ光照射部20と、施工室5と、真空装置部6と、ガス供給部8と、を備える。
【0012】
レーザ光照射部20は、レーザ発振器1、光ファイバケーブル2、レーザヘッド3、および照射室4を含む。レーザ発振器1は、加工対象物100に対して照射するためのレーザを発振する。光ファイバケーブル2は、レーザ発振器1で発振したレーザをレーザヘッド3に伝搬する。レーザヘッド3は、光ファイバケーブル2によって伝搬されたレーザを、光軸Sを中心とするレーザ光Lとして加工対象物100に照射する。レーザヘッド3は、光学系として、内部に集光レンズなど(図示省略)が設けられ、かつレーザ光Lの照射部に保護窓3aが設けられる。照射室4は、レーザ照射ノズルとも言い、レーザヘッド3の照射部に固定された筒状部材であり、レーザヘッド3の保護窓3aを透過したレーザ光Lが通過する。照射室4は、照射口4aの内径H3(図2参照)を、レーザ光Lが干渉しない範囲で極力小さい寸法とする。照射室4は、その内径を、レーザ光Lの外形に沿ってレーザ光Lの照射口4aに向かって窄まる形状であってもよい。
【0013】
施工室5は、チャンバとも言い、密閉容器である。施工室5は、レーザ光照射部20の照射室4の照射口4aが接続される開口部5aを有する。従って、施工室5は、レーザ光Lが内部に照射される。施工室5は、照射されたレーザ光Lによって加工される加工対象物100が内部に配置される。施工室5は、内部に移動機構7が配置される。移動機構7は、施工室5の内部において、加工対象物100を互いに直交する多軸に基づいて移動(回転移動やスライド移動)させる。従って、加工対象物100は、移動機構7によって位置を変更されつつレーザ光Lによって加工される。施工室5は、開口部5aの内径H3(図2参照)を、レーザ光Lが干渉しない範囲で極力小さい寸法とする。
【0014】
真空装置部6は、施工室5の密閉容器の内部空間を真空にする。真空装置部6は、真空排気管6a、真空ポンプ6b、真空弁6c、および捕集部6dを含む。真空排気管6aは、施工室5の内部から外部に通じる配管である。真空ポンプ6bは、真空排気管6aに設けられ、真空排気管6aを介して施工室5の内部の空気を排気する。真空弁6cは、真空排気管6aにおける真空ポンプ6bによる排気の上流側に配置され、真空排気管6aの開度を調整する。捕集部6dは、真空排気管6aにおける真空ポンプ6bによる排気の上流側であって真空排気管6aの下流側に配置され、真空排気管6aを通過する異物(主にスパッタ)を捕集する。捕集部6dは、例えば、フィルタ式やサイクロン式がある。真空装置部6は、図示しない制御装置によって真空ポンプ6bの排気および真空弁6cの開放が制御されることによって、施工室5の内部空間を真空レーザ加工に必要な1/100気圧以下の真空にする。また、真空装置部6は、捕集部6dによって、異物を除去し、異物による真空ポンプ6bの故障などを防ぐ。
【0015】
ガス供給部8は、クロスジェットガスを供給する。ガス供給部8は、ガス貯留部8a、ガス供給管8b、およびガス弁8cを含む。ガス貯留部8aは、圧縮空気(ドライエア)、窒素、もしくは不活性ガス(アルゴン:Ar、ヘリウム:He、二酸化炭素:CO)などのガスを貯留する。ガス供給管8bは、ガス貯留部8aから施工室5の内部空間に至り設けられ、ガス貯留部8aのガスを施工室5の内部空間に供給する。ガス供給管8bは、施工室5の内部の端部にガスノズル8baが設けられる。ガス弁8cは、ガス供給管8bに設けられ、図示しない制御装置によってガス供給管8bの開度を調整する。従って、ガス供給部8は、ガス貯留部8aに貯留したガスをガス供給管8bのガスノズル8baからクロスジェットガスとして施工室5の内部空間に供給する。なお、ガス供給部8は、施工室5の内部空間を真空にする真空装置部6の機能を妨げないような気圧でクロスジェットガスを施工室5の内部空間に供給するように制御される。言い換えれば、真空装置部6は、ガス供給部8によるクロスジェットガスの供給があっても、施工室5の内部空間を真空にするように制御される。
【0016】
ガス供給部8は、ガス供給管8bのガスノズル8baが、施工室5の内部の開口部5aの直近において、レーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するように構成される。ガスノズル8baは、レーザ光Lが干渉しない範囲で極力レーザ光Lの近くに配置される。施工室5の内部の開口部5aは、レーザ光照射部20の照射室4の照射口4aが接続されるため、ガス供給部8は、ガス供給管8bのガスノズル8baが、照射室4の照射口4aにおいて、レーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するように構成される。ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに対して交差する向きに配置される。従って、ガス供給部8は、レーザ光Lの光軸Sに交差する方向にクロスジェットガスを噴射する。図1に示す形態の真空レーザ加工装置21では、ガス供給部8は、ガスノズル8baがレーザ光Lの光軸Sに対して直交する向きに配置され、レーザ光Lの光軸Sに直交してクロスジェットガスを噴射する。
【0017】
このように、実施形態1の真空レーザ加工装置21は、レーザ光Lを照射する光学系および照射されるレーザ光Lを通す照射室4を有するレーザ光照射部20と、レーザ光照射部20の照射室4が接続されてレーザ光Lによって施工される加工対象物100が配置される施工室5と、施工室5の内部を真空状態とする真空装置部6と、照射室4のレーザ光Lの出口である照射口4aにおいてレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するガスノズル8baを有するガス供給部8と、を備える。
【0018】
従って、実施形態1の真空レーザ加工装置21によれば、照射室4の照射口4aにおいてレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するため、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することを阻止する。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、金属蒸気およびスパッタがレーザ光Lを照射する光学系に付着する事態を抑えることができる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる。これにより、この真空レーザ加工装置21は、安定した真空レーザ溶接が可能になり、施工品質、施工能率を改善することができる。なお、クロスジェットガスは、金属蒸気およびスパッタを吹き飛ばして除去することと、施工室5の真空度(1/100気圧以下)を担保するため、0.1MPa以上の圧力で、10L/min以上且つ真空ポンプ排気量の1/10以下とすることが好ましい。
【0019】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図2に示すように、ガスノズル8baは、レーザ光Lへの噴射位置において、レーザ光Lの径H2よりも大きい幅H1を有する。この真空レーザ加工装置21の場合、ガスノズル8baは、ノズル形が、幅H1を有するスリット形状や、幅H1を有する円形状や、幅H1を有する楕円形状や、幅H1を有する多角形状を含む。
【0020】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、ガスノズル8baの幅H1をレーザ光Lの径H2よりも大きくすることで、レーザ光Lの全範囲に向けてクロスジェットガスを噴射する。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止する効果を顕著に得られる。
【0021】
なお、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、さらに、ガスノズル8baは、照射室4の照射口4aおよび施工室5の開口部5aの内径H3よりも大きい幅H1を有することが好ましい。従って、この真空レーザ加工装置21によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0022】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図3に示すように、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを間において複数配置される。図3では、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを間において対向して配置される。なお、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを中心として3以上配置されてもよい。
【0023】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、照射室4の照射口4aにおいて、レーザ光Lの光軸Sを間においた複数方向からレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するため、レーザ光Lが照射される照射口4aをクロスジェットガスで遮る。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0024】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図4に示すように、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを間において複数配置される形態について、レーザ光Lの照射方向に向けて傾斜して配置される。
【0025】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、レーザ光Lの光軸Sを間においた複数方向からレーザ光Lの照射方向に向けてクロスジェットガスを噴射するため、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタを、レーザ光Lが照射される照射口4aからより遠ざける。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0026】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図4に示すように、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを間において複数配置される形態について、レーザ光Lの照射方向に向け、レーザ光Lの光軸Sに対して10度以上70度以下の角度θで傾斜して配置される。
【0027】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、レーザ光Lの光軸Sを間においた複数方向からレーザ光Lの照射方向に向け、レーザ光Lの光軸Sに対して10度以上70度以下の角度θでクロスジェットガスを噴射するため、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタを、レーザ光Lが照射される照射口4aから遠ざけつつ、レーザ光Lが照射される照射口4aをクロスジェットガスで遮る。角度θがレーザ光Lの光軸Sに対して10度以上だと、金属蒸気およびスパッタをレーザ光Lが照射される照射口4aから遠ざける効果が顕著に得られる。一方、角度θがレーザ光Lの光軸Sに対して70度以下だと、レーザ光Lが照射される照射口4aをクロスジェットガスで遮る効果が顕著に得られる。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0028】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図5に示すように、ガスノズル8bbは、レーザ光Lの光軸Sの周りを囲んで配置される。
【0029】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、照射室4の照射口4aにおいて、レーザ光Lの光軸Sの周りからレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するため、レーザ光Lが照射される照射口4aをクロスジェットガスで遮る。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。なお、この場合、ガスノズル8bbは、レーザ光Lの光軸Sを連続して囲むように形成されていても、レーザ光Lの光軸Sを断続して囲むように形成されていてもよい。また、この真空レーザ加工装置21の場合、ガスノズル8bbは、レーザ光Lの照射方向に向けて傾斜して配置され、好ましくは、レーザ光Lの光軸Sに対して10度以上70度以下の角度θ(図4参照)で傾斜して配置されていることが、顕著な効果を得るうえで好ましい。
【0030】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図6に示すように、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに沿って複数配置される。図6では、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに沿って光軸Sに向く同方向で配置される。なお、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに沿って光軸Sに向く多方向で配置されてもよい。なお、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに沿って等間隔または不当間隔で配置される。
【0031】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、レーザ光Lの光軸Sに沿った複数方向からレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するため、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタを、レーザ光Lが照射される照射口4aからより遠ざける。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0032】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図7に示すように、ガスノズル8baがレーザ光Lの光軸Sに沿って複数配置される形態について、複数のガスノズル8baの間に仕切板9を備える。仕切板9は、レーザ光Lを通過させるレーザ光通過孔9aを有する。
【0033】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、仕切板9によって光学系側への金属蒸気およびスパッタの飛散をさらに低減する。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0034】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図1図6図7などに示すように、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを間に置いて対向しない場合、レーザ光Lの光軸Sに対して直交してクロスジェットガスを噴射する態様で設けられることが好ましい。
【0035】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタを、レーザ光Lが照射される照射口4aから遠ざけるようにレーザ光Lの光軸Sと直交する方向に吹き飛ばす。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0036】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図8に示すように、ガス排出部10を備える。ガス排出部10は、ガスノズル8baから噴射されたクロスジェットガスを吸引し施工室5の外部に排出する。ガス排出部10は、ガス排出管10a、ガス排出ポンプ(真空ポンプ6b)、調整弁10b、および捕集部6dを含む。ガス排出管10aは、施工室5の内部から外部に通じる配管である。ガス排出管10aは、施工室5の内部の吸引ノズル10aaが、ガスノズル8baに対してレーザ光Lの光軸Sを挟んで向き合って設けられる。吸引ノズル10aaは、レーザ光Lが干渉しない範囲で極力レーザ光Lの近くに配置される。吸引ノズル10aaは、ガスノズル8baに向き合う位置において、ガスノズル8baと同様に、レーザ光Lの径H2よりも大きい幅を有する(図2参照)。吸引ノズル10aaは、ノズル形が、前記幅を有するスリット形状や、前記幅を有する円形状や、前記幅を有する楕円形状や、前記幅を有する多角形状を含む。また、実施形態のガス排出部10では、ガス排出管10aは、施工室5の外部の端部が、真空装置部6の真空排気管6aにおける真空弁6cの上流側に接続される。この場合、ガス排出管10aが接続された真空排気管6aの上流側にさらに真空弁6eが設けられる。このように、実施形態のガス排出部10では、真空装置部6に調整弁10bを介して接続されており、ガス排出ポンプは、真空ポンプ6bが適用され、真空排気管6aの一部を介して施工室5の内部の空気を排気する。さらに、実施形態のガス排出部10では、捕集部6dを有する。調整弁10bは、ガス排出管10aに配置され、ガス排出管10aの開度を調整する。ガス排出部10は、図示しない制御装置によって真空ポンプ6bの排気、調整弁10bの開放、および真空弁6c,6eの開放が制御されることによって、ガスノズル8baから噴射されたクロスジェットガスを吸引し施工室5の外部に排出する。なお、図には明示しないが、ガス排出部10は、ガス排出管10aが真空装置部6の真空排気管6aに接続されず真空装置部6とは独立し、調整弁10bの下流側に、捕集部とガス排気ポンプが設けられていてもよい。真空装置部6とは独立した場合、ガス排出部10は、施工室5の内部空間を真空レーザ加工に必要な1/100気圧以下の真空に維持できるように、図示しない制御装置によってガス排気ポンプの排気、および調整弁10bの開放が制御される。ガス排出径であるガス排出管10aと、真空排気系である真空排気管6aとを並列して調整弁10bおよび真空弁6eを設けることで真空度の制御を容易に行える。
【0037】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、クロスジェットガスによって照射口4aからより遠ざけられる金属蒸気およびスパッタを、ガス排出部10によって吸引し施工室5の外部に排出する。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。また、この真空レーザ加工装置21によれば、ガス排出部10が、真空装置部6に調整弁10bを介して接続されることで、部品点数を削減でき、構成を簡素化できる。
【0038】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図9に示すように、補助ガス供給部11を備える。補助ガス供給部11は、照射室4の内部にガス供給部8のクロスジェットガスよりも高圧の補助ガスを噴射する。補助ガス供給部11は、補助ガス貯留部11a、補助ガス供給管11b、および補助ガス弁11cを含む。補助ガス貯留部11aは、圧縮空気(ドライエア)、窒素、もしくは不活性ガス(アルゴン:Ar、ヘリウム:He、二酸化炭素:CO)などのガスを貯留する。補助ガス供給管11bは、補助ガス貯留部11aから照射室4の内部空間に至り設けられ、補助ガス貯留部11aの補助ガスを照射室4の内部空間に供給する。補助ガス供給管11bは、照射室4の内部の端部に補助ガスノズル11baが設けられる。補助ガス弁11cは、補助ガス供給管11bに設けられ、図示しない制御装置によって補助ガス供給管11bの開度を調整する。従って、補助ガス供給部11は、補助ガス貯留部11aに貯留したガスを補助ガス供給管11bの補助ガスノズル11baから補助ガスとして照射室4の内部空間に供給する。
【0039】
補助ガス供給部11は、補助ガス供給管11bの補助ガスノズル11baが、照射室4の内部で保護窓3aの直近において、レーザ光Lに向けて補助ガスを噴射するように構成される。補助ガスノズル11baは、レーザ光Lが干渉しない範囲で極力レーザ光Lの近くに配置される。補助ガスノズル11baは、レーザ光Lの光軸Sに対して交差する向きに配置される。従って、補助ガス供給部11は、レーザ光Lの光軸Sに交差する方向にク補助ガスを噴射する。図9に示す形態の真空レーザ加工装置21では、補助ガス供給部11は、補助ガスノズル11baがレーザ光Lの光軸Sに対して直交する向きに配置され、レーザ光Lの光軸Sに直交して補助ガスを噴射する。補助ガスノズル11baは、レーザ光Lへの噴射位置において、ガスノズル8baと同様に、レーザ光Lの径よりも大きい幅を有する(図2参照)。補助ガスノズル11baは、ノズル形が、前記幅を有するスリット形状や、前記幅を有する円形状や、前記幅を有する楕円形状や、前記幅を有する多角形状を含む。なお、補助ガス供給部11は、施工室5の内部空間を真空にする真空装置部6の機能を妨げないような気圧で補助ガスを照射室4の内部空間に供給するように制御される。言い換えれば、真空装置部6は、補助ガス供給部11による補助ガスの供給があっても、施工室5の内部空間を真空にするように制御される。
【0040】
従って、この真空レーザ加工装置21によれば、照射室4の内部にガス供給部8のクロスジェットガスよりも高圧の補助ガスを噴射するため、照射室4の気圧を施工室5よりも高くして、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射室4に侵入する事態を防ぐ。このため、この真空レーザ加工装置21によれば、金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0041】
また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、図10に示すように、補助施工室15を備える。補助施工室15は、筒形状(実施形態では円筒形状)の一端が開放し他端が閉塞して形成されている。補助施工室15は、開放した一端が施工室5に形成されたフランジ部16に対して着脱可能に設けられ、フランジ部16に取り付けられた状態で施工室5の内部と自身の内部とが連通する。また、補助施工室15は、本体部15aと扉15bとを有する。本体部15aは、補助施工室15の開放した一端側を構成し、上記の如くフランジ部16に着脱可能に設けられている。扉15bは、補助施工室15の閉塞した他端側を構成し、本体部15aと相互に、補助施工室15がなす円筒形状を斜めにカットした形状に形成されている。扉15bは、補助施工室15がなす円筒形状の円形状に沿って本体部15aに対して回転移動が可能に設けられ、当該回転移動によって、本体部15aを開閉する。補助施工室15は、扉15bによって本体部15aが閉じられることで気密性を有し、連通した状態の施工室5と共に真空度が確保される。また、補助施工室15は、扉15bによって本体部15aが開かれることで、連通した状態の施工室5に加工対象物100を挿入したり、施工室5にある加工対象物100を取り出したりすることができる。また、補助施工室15は、その内部であって本体部15aに支持機構17が設けられる。支持機構17は、施工室5に配置されて本体部15a側に延在する加工対象物100の一部を支持する。支持機構17は、施工室5の内部に配置された移動機構7による加工対象物100の移動を案内する。なお、図10に示す真空レーザ加工装置21において、真空装置部6は、その設置位置が先に説明した図1から図9とは異なるが、補助施工室15を示すための便宜上のものであり、先に説明した構成と実質的に同様である。
【0042】
このように、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、施工室5に対して着脱可能に設けられ、施工室5と連通して加工対象物100の一部が配置される補助施工室15を備える。従って、この真空レーザ加工装置21によれば、例えば、加工対象物100が施工室5に収まらないような長い配管である場合、施工室5に収まらない加工対象物100の一部を補助施工室15に収容できる。この結果、この真空レーザ加工装置21は、加工対象物100全体を施工室5と同様の真空度の雰囲気中に配置でき、当該真空度の雰囲気中で加工を実施できる。また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、補助施工室15は、加工対象物100を出し入れ可能に開閉する扉15bを有する。従って、この真空レーザ加工装置21によれば、加工対象物100の出し入れを補助施工室15を介して実施できる。また、実施形態1の真空レーザ加工装置21では、補助施工室15は、加工対象物100を支持する支持機構17を有する。従って、この真空レーザ加工装置21によれば、施工室5から補助施工室15に延在する加工対象物100を支持機構17によって支持し、加工対象物100を安定して加工を実施できる。
【0043】
[実施形態2]
図11は、実施形態2に係る真空レーザ加工装置の概略図である。図12から図15は、実施形態2に係る真空レーザ加工装置の他の例の概略図である。
【0044】
実施形態2の真空レーザ加工装置22は、実施形態1の真空レーザ加工装置21に対し、除去室12を備える点が異なる。従って、実施形態2の真空レーザ加工装置22において、実施形態1の真空レーザ加工装置21と同等部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図11に示すように、除去室12は、施工室5の内部に配置される。除去室12は、照射室4のレーザ光Lの出口である照射口4aを囲むように箱状に形成される。除去室12は、レーザ光Lを施工室5に通過させるレーザ光通過孔12aを有する。従って、除去室12は、照射室4と施工室5の間に介在される。除去室12は、レーザ光通過孔12aの内径を、レーザ光Lが干渉しない範囲で極力小さい寸法とする。また、除去室12は、レーザ光Lと関わらない場所に、ガス排出孔12bが貫通して設けられる。なお、除去室12の箱状は、照射口4aを囲む円筒状や角筒状の筒部にガス排出孔12bが貫通して設けられ、筒部の端部にレーザ光通過孔12aが貫通する蓋部が形成される。
【0046】
除去室12は、その内部にガス供給部8のガス供給管8bが貫通して設けられてガスノズル8baが配置される。ガスノズル8baは、実施形態1の真空レーザ加工装置21と同様に、レーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射する。ガスノズル8baは、レーザ光Lが干渉しない範囲で極力レーザ光Lの近くに配置される。ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに対して交差する向きに配置され、レーザ光Lの光軸Sに交差する方向にクロスジェットガスを噴射する。図11に示す形態の真空レーザ加工装置22では、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに対して直交する向きに配置され、レーザ光Lの光軸Sに直交してクロスジェットガスを噴射する。そして、除去室12の内部でレーザ光Lに噴射されたクロスジェットガスは、ガス排出孔12bから除去室12の外部である施工室5に排出される。
【0047】
このように、実施形態2の真空レーザ加工装置22は、レーザ光Lを照射する光学系および照射されるレーザ光Lを通す照射室4を有するレーザ光照射部20と、レーザ光照射部20の照射室4が接続されてレーザ光Lによって施工される加工対象物100が配置される施工室5と、施工室5の内部を真空状態とする真空装置部6と、照射室4のレーザ光Lの出口である照射口4aを囲むように施工室5の内部に設けられ、レーザ光Lを施工室5に通過させるレーザ光通過孔12aを有する除去室12と、除去室12の内部であって照射室4のレーザ光Lの出口である照射口4aにおいてレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するガスノズル8baを有するガス供給部8と、を備える。
【0048】
従って、実施形態2の真空レーザ加工装置22によれば、除去室12の内部であって、照射室4の照射口4aにおいてレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するため、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが除去室12を経て照射口4aから照射室4の内部に侵入することを阻止する。このため、この真空レーザ加工装置22によれば、金属蒸気およびスパッタがレーザ光Lを照射する光学系に付着する事態を抑えることができる。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる。これにより、この真空レーザ加工装置22は、安定した真空レーザ溶接が可能になり、施工品質、施工能率を改善することができる。実施形態2の真空レーザ加工装置22は、除去室12の内部で照射室4の照射口4aにおいてレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するため、実施形態1の真空レーザ加工装置21と比較し、金属蒸気およびスパッタがレーザ光Lを照射する光学系に付着する事態をより抑えることができる。なお、クロスジェットガスは、金属蒸気およびスパッタを吹き飛ばして除去することと、施工室5の真空度(1/100気圧以下)を担保するため、0.1MPa以上の圧力で、10L/min以上且つ真空ポンプ排気量の1/10以下とすることが好ましい。
【0049】
なお、実施形態2の真空レーザ加工装置22は、図11に示すように、ガスノズル8baが照射口4aよりもレーザ光通過孔12aの間近に配置される。従って、この真空レーザ加工装置22によれば、金属蒸気およびスパッタがレーザ光通過孔12aから除去室12の内部に侵入する事態を防ぎ、金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止する。
【0050】
また、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、図2を参照するように、ガスノズル8baは、レーザ光Lへの噴射位置において、レーザ光Lの径H2よりも大きい幅H1を有する。この真空レーザ加工装置22の場合、ガスノズル8baは、ノズル形が、幅H1を有するスリット形状や、幅H1を有する円形状や、幅H1を有する楕円形状や、幅H1を有する多角形状を含む。
【0051】
従って、この真空レーザ加工装置22によれば、ガスノズル8baの幅H1をレーザ光Lの径H2よりも大きくすることで、レーザ光Lの全範囲に向けてクロスジェットガスを噴射する。このため、この真空レーザ加工装置22によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止する効果を顕著に得られる。
【0052】
なお、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、さらに、ガスノズル8baは、照射室4の照射口4a、施工室5の開口部5a、およびレーザ光通過孔12aの径よりも大きい幅を有することが好ましい。従って、この真空レーザ加工装置22によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0053】
また、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、除去室12の内部の気圧P1と、施工室5の内部の気圧P2とが、P2×10≦P1の関係を満たす。
【0054】
気圧P1と気圧P2との関係は、図11に示す形態の場合、ガス供給部8によるクロスジェットの供給量、真空装置部6の真空ポンプ6bの排気量、施工室5の真空度(1/100気圧以下)、および除去室12のレーザ光通過孔12aの開口面積を考慮し、除去室12のガス排出孔12bの開口面積を適宜設定することによって満たされる。
【0055】
従って、この真空レーザ加工装置22によれば、除去室12の内部の気圧P1を施工室5の内部の気圧P2よりも大きくし、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが除去室12を経て照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止する。このため、この真空レーザ加工装置22によれば、金属蒸気およびスパッタがレーザ光Lを照射する光学系に付着する事態をより抑えることができる。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止する効果を顕著に得られる。
【0056】
また、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、図12(および図13図14)に示すように、ガス排出部10を備える。ガス排出部10は、ガスノズル8baから噴射されたクロスジェットガスを除去室12の内部から吸引し施工室5の外部に排出する。ガス排出部10は、ガス排出管10a、ガス排出ポンプ(真空ポンプ6b)、調整弁10b、および捕集部6dを含む。ガス排出管10aは、除去室12の内部から施工室5の外部に通じる配管である。ガス排出管10aは、施工室5の内部の吸引ノズル10aaが、ガスノズル8baに対してレーザ光Lの光軸Sを挟んで向き合って設けられる。吸引ノズル10aaは、レーザ光Lが干渉しない範囲で極力レーザ光Lの近くに配置される。吸引ノズル10aaは、ガスノズル8baに向き合う位置において、ガスノズル8baと同様に、レーザ光Lの径H2よりも大きい幅を有する(図2参照)。吸引ノズル10aaは、ノズル形が、前記幅を有するスリット形状や、前記幅を有する円形状や、前記幅を有する楕円形状や、前記幅を有する多角形状を含む。また、実施形態のガス排出部10では、ガス排出管10aは、施工室5の外部の端部が、真空装置部6の真空排気管6aにおける真空弁6cの上流側に接続される。この場合、ガス排出管10aが接続された真空排気管6aの上流側にさらに真空弁6eが設けられる。このように、実施形態のガス排出部10では、真空装置部6に調整弁10bを介して接続されており、ガス排出ポンプは、真空ポンプ6bが適用され、真空排気管6aの一部を介して施工室5の内部の空気を排気する。さらに、実施形態のガス排出部10では、捕集部6dを有する。調整弁10bは、ガス排出管10aに配置され、ガス排出管10aの開度を調整する。ガス排出部10は、図示しない制御装置によって真空ポンプ6bの排気、調整弁10bの開放、および真空弁6c,6eの開放が制御されることによって、ガスノズル8baから噴射されたクロスジェットガスを吸引し施工室5の外部に排出する。なお、図には明示しないが、ガス排出部10は、ガス排出管10aが真空装置部6の真空排気管6aに接続されず真空装置部6とは独立し、調整弁10bの下流側に、捕集部とガス排気ポンプが設けられていてもよい。真空装置部6とは独立した場合、ガス排出部10は、施工室5の内部空間を真空レーザ加工に必要な1/100気圧以下の真空に維持できるように、図示しない制御装置によってガス排気ポンプの排気、および調整弁10bの開放が制御される。ガス排出径であるガス排出管10aと、真空排気系である真空排気管6aとを並列して調整弁10bおよび真空弁6eを設けることで真空度の制御を容易に行える。
【0057】
なお、ガス排出部10を有する真空レーザ加工装置22の場合、上述した気圧P1と気圧P2との関係は、ガス供給部8によるクロスジェットの供給量、真空装置部6の真空ポンプ6bの排気量、施工室5の真空度(1/100気圧以下)、および除去室12のレーザ光通過孔12aの開口面積を考慮し、調整弁10bによる開度を適宜設定することによって満たされる。
【0058】
従って、この真空レーザ加工装置22によれば、除去室12の内部において、クロスジェットガスによって照射口4aからより遠ざけられる金属蒸気およびスパッタを、ガス排出部10によって吸引し施工室5の外部に排出する。このため、この真空レーザ加工装置22によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。また、この真空レーザ加工装置22によれば、ガス排出部10が、真空装置部6に調整弁10bを介して接続されることで、部品点数を削減でき、構成を簡素化できる。
【0059】
また、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、図13に示すように、ガスノズル8baは、除去室12の内部において、レーザ光Lの光軸Sに沿って複数配置される。図13では、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに沿って光軸Sに向く同方向で配置される。なお、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに沿って光軸Sに向く多方向で配置されてもよい。なお、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに沿って等間隔または不当間隔で配置される。
【0060】
従って、この真空レーザ加工装置22によれば、レーザ光Lの光軸Sに沿った複数方向からレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するため、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタを、レーザ光Lが照射される照射口4aからより遠ざける。このため、この真空レーザ加工装置22によれば、金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0061】
また、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、図14に示すように、除去室12の内部において、ガスノズル8baがレーザ光Lの光軸Sに沿って複数配置される形態について、複数のガスノズル8baの間に仕切板9を備える。仕切板9は、レーザ光Lを通過させるレーザ光通過孔9aを有する。
【0062】
従って、この真空レーザ加工装置22によれば、仕切板9によって光学系側への金属蒸気およびスパッタの飛散をさらに低減する。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0063】
また、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sに対して直交してクロスジェットガスを噴射する態様で設けられることが好ましい。
【0064】
従って、この真空レーザ加工装置22によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタを、レーザ光Lが照射される照射口4aから遠ざけるようにレーザ光Lの光軸Sと直交する方向に吹き飛ばす。このため、この真空レーザ加工装置22によれば、金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0065】
なお、図には明示しないが、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを間において複数配置されてもよい(図3および図4参照)。例えば、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを間において対向して配置される。なお、複数のガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを中心として3以上配置されてもよい。また、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sの周りを囲んで配置されてもよい(図5参照)。なお、この場合、ガスノズル8baは、レーザ光Lの光軸Sを連続して囲むように形成されていても、レーザ光Lの光軸Sを断続して囲むように形成されていてもよい。
【0066】
従って、この真空レーザ加工装置22によれば、照射室4の照射口4aにおいて、レーザ光Lの光軸Sを間においた複数方向からレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するため、レーザ光Lが照射される照射口4aをクロスジェットガスで遮る。このため、この真空レーザ加工装置22によれば、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。また、この真空レーザ加工装置22の場合、ガスノズル8baは、レーザ光Lの照射方向に向けて傾斜して配置され、好ましくは、レーザ光Lの光軸Sに対して10度以上70度以下の角度θで傾斜して配置されていることが、顕著な効果を得るうえで好ましい。
【0067】
また、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、図15に示すように、補助ガス供給部11を備える。補助ガス供給部11は、照射室4の内部にガス供給部8のクロスジェットガスよりも高圧の補助ガスを噴射する。補助ガス供給部11は、補助ガス貯留部11a、補助ガス供給管11b、および補助ガス弁11cを含む。補助ガス貯留部11aは、圧縮空気(ドライエア)、窒素、もしくは不活性ガス(アルゴン:Ar、ヘリウム:He、二酸化炭素:CO)などのガスを貯留する。補助ガス供給管11bは、補助ガス貯留部11aから照射室4の内部空間に至り設けられ、補助ガス貯留部11aの補助ガスを照射室4の内部空間に供給する。補助ガス供給管11bは、照射室4の内部の端部に補助ガスノズル11baが設けられる。補助ガス弁11cは、補助ガス供給管11bに設けられ、図示しない制御装置によって補助ガス供給管11bの開度を調整する。従って、補助ガス供給部11は、補助ガス貯留部11aに貯留したガスを補助ガス供給管11bの補助ガスノズル11baから補助ガスとして照射室4の内部空間に供給する。
【0068】
補助ガス供給部11は、補助ガス供給管11bの補助ガスノズル11baが、照射室4の内部で保護窓3aの直近において、レーザ光Lに向けて補助ガスを噴射するように構成される。補助ガスノズル11baは、レーザ光Lが干渉しない範囲で極力レーザ光Lの近くに配置される。補助ガスノズル11baは、レーザ光Lの光軸Sに対して交差する向きに配置される。従って、補助ガス供給部11は、レーザ光Lの光軸Sに交差する方向にク補助ガスを噴射する。図15に示す形態の真空レーザ加工装置22では、補助ガス供給部11は、補助ガスノズル11baがレーザ光Lの光軸Sに対して直交する向きに配置され、レーザ光Lの光軸Sに直交して補助ガスを噴射する。補助ガスノズル11baは、レーザ光Lへの噴射位置において、ガスノズル8baと同様に、レーザ光Lの径よりも大きい幅を有する(図2参照)。補助ガスノズル11baは、ノズル形が、前記幅を有するスリット形状や、前記幅を有する円形状や、前記幅を有する楕円形状や、前記幅を有する多角形状を含む。なお、補助ガス供給部11は、施工室5の内部空間を真空にする真空装置部6の機能を妨げないような気圧で補助ガスを照射室4の内部空間に供給するように制御される。言い換えれば、真空装置部6は、補助ガス供給部11による補助ガスの供給があっても、施工室5の内部空間を真空にするように制御される。
【0069】
従って、この真空レーザ加工装置22によれば、照射室4の内部にガス供給部8のクロスジェットガスよりも高圧の補助ガスを噴射するため、照射室4の気圧を除去室12よりも高くして、施工によって生じる金属蒸気およびスパッタが照射室4に侵入する事態を防ぐ。このため、この真空レーザ加工装置22によれば、金属蒸気およびスパッタが照射口4aから照射室4の内部に侵入することをより阻止できる。この結果、この真空レーザ加工装置22は、金属蒸気およびスパッタによる光学系への汚れ付着、損傷を防止できる効果を顕著に得られる。
【0070】
また、実施形態2の真空レーザ加工装置22では、図16に示すように、実施形態1の真空レーザ加工装置21と同様に補助施工室15を備える。従って、この真空レーザ加工装置22によれば、真空レーザ加工装置21と同様の効果が得られる。
【0071】
[実施形態3]
図17は、実施形態3に係る真空レーザ加工装置の概略図である。
【0072】
実施形態3の真空レーザ加工装置23は、実施形態1,2の真空レーザ加工装置21,22に対し、収容容器13および移動機構14を備える点が異なる。従って、実施形態3の真空レーザ加工装置23において、実施形態1,2の真空レーザ加工装置21,22と同等部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
収容容器13は、レーザ光照射部20を収容する。図17に示す真空レーザ加工装置23は、レーザ光照射部20において、光ファイバケーブル2の一部、レーザヘッド3、および照射室4を内部に収容する構成であるが、レーザ発振器1や光ファイバケーブル2を収容してもよい。収容容器13は、施工室5の内部に配置される。図17において、収容容器13は、その内部に光ファイバケーブル2の一部、レーザヘッド3、および照射室4が固定される。収容容器13は、照射室4を固定する部分に、照射室4の照射口4aに対応する部分が開口した開口部13aが形成される。従って、収容容器13は、開口部13aにレーザ光Lが通過し、外部に照射される。収容容器13は、開口部13aのみが開口する。収容容器13は、開口部13aが形成された部分に、除去室12が固定される。除去室12を有する構成は実施形態2の真空レーザ加工装置22と同様である。
【0074】
移動機構14は、施工室5の内部において、収容容器13を互いに直交する多軸に基づいて移動させる。従って、収容容器13は、移動機構14によって位置を変更されつつレーザ光Lを照射する。
【0075】
図17に示す形態の真空レーザ加工装置23は、収容容器13の内部に光ファイバケーブル2の一部、レーザヘッド3、および照射室4が収容される。このため、光ファイバケーブル2の他の一部は、収容容器13の外部において施工室5の内部に配置され、施工室5の外部に引き出されてレーザ発振器1に接続される。ここで、真空レーザ加工装置23は、収容容器13が移動機構14によって施工室5の内部に移動可能に設けられるため、光ファイバケーブル2も収容容器13と共に移動する。このため、真空レーザ加工装置23は、光ファイバケーブル2が折れ曲がったり張り詰めたりすることで損傷がないように、少なくとも施工室5に配置される部分が可動スリーブ2aに挿通される。可動スリーブ2aは、例えば、蛇腹状に形成されて収容容器13が移動しても伸縮や湾曲が自在に構成される。可動スリーブ2aは、施工室5に配置される光ファイバケーブル2を挿通し、光ファイバケーブル2が挿通される収容容器13の部分に一端が固定され、光ファイバケーブル2が挿通される施工室5の部分に他端が固定される。光ファイバケーブル2は、可動スリーブ2aに挿通されつつ、収容容器13および施工室5に対して自由な状態で配置される。従って、真空レーザ加工装置23は、収容容器13が移動しても光ファイバケーブル2に負荷が掛かることを防止する。
【0076】
また、図17に示す形態の真空レーザ加工装置23は、照射室4のレーザ光Lの出口である照射口4aにおいて、レーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するガスノズル8baが配置される。このガスノズル8baも、レーザ光Lに対して固定されるため、収容容器13と共に移動する。このため、真空レーザ加工装置23は、ガスノズル8baを有するガス供給管8bにおける少なくとも施工室5に配置される部分が可動部8bcで構成される。可動部8bcは、例えば、蛇腹状に形成されて収容容器13が移動しても伸縮や湾曲が自在に構成される。従って、真空レーザ加工装置23は、収容容器13が移動してもガス供給管8bに負荷が掛かることを防止する。
【0077】
なお、図17に示す真空レーザ加工装置23は、実施形態2の真空レーザ加工装置22のように除去室12を有する構成として示しているが、実施形態1の真空レーザ加工装置21のように除去室12を有さない構成であってもよい。また、図には明示しないが、実施形態3の真空レーザ加工装置23では、上述した真空レーザ加工装置21,22と同様に補助施工室15を備えることで、同様の効果が得られる。
【0078】
このように、実施形態3の真空レーザ加工装置23は、レーザ光Lを照射する光学系および照射されるレーザ光Lを通す照射室4を有するレーザ光照射部20と、レーザ光照射部20の照射室4が接続されてレーザ光Lによって施工される加工対象物100が配置される施工室5と、施工室5の内部を真空状態とする真空装置部6と、照射室4のレーザ光Lの出口である照射口4aにおいてレーザ光Lに向けてクロスジェットガスを噴射するガスノズル8baを有するガス供給部8と、レーザ光照射部20(図17では光ファイバケーブル2の一部、レーザヘッド3、および照射室4)を収容する収容容器13を備え、収容容器13を施工室5の内部に配置する。
【0079】
従って、実施形態3の真空レーザ加工装置23によれば、レーザ光照射部20を施工室5の内部で収容容器13に収容することで、光学系を施工室5の内部で移動可能に構成できる。この結果、この真空レーザ加工装置23によれば、光学系と加工対象物100とを互いに相対移動させることができ加工の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0080】
1 レーザ発振器
2 光ファイバケーブル
4 照射室
4a 照射口
5 施工室
6 真空装置部
6a 真空排気管
6b 真空ポンプ
6c 真空弁
6d 捕集部
8 ガス供給部
8ba,8bb ガスノズル
9 仕切板
9a レーザ光通過孔
10 ガス排出部
11 補助ガス供給部
12 除去室
12a レーザ光通過孔
13 収容容器
15 補助施工室
15a 扉
17 支持機構
20 レーザ光照射部
21,22,23 真空レーザ加工装置
100 加工対象物
L レーザ光
S 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
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