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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181080
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】微小流量検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20221130BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20221130BHJP
   G01F 23/292 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G01F1/00 H
C12M1/00 C
G01F23/292 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087916
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁也
(72)【発明者】
【氏名】堀 邦聡
【テーマコード(参考)】
2F014
2F030
4B029
【Fターム(参考)】
2F014FA04
2F030CA02
2F030CC01
2F030CC20
2F030CE04
2F030CF08
4B029AA02
4B029BB11
4B029BB12
4B029DF05
4B029FA15
(57)【要約】
【課題】細い流路を必要とせず、液体の微小流量を正確に検出することができる微小流量検出システムを提供する。
【解決手段】液体(L)を貯留し、外部から内部を視認可能とする透明部を含むタンク(34)と、タンクに貯留された液体の液面(La)を、透明部を介して逐次撮影するカメラ(41)と、カメラにより撮影された液面の高さの変化速度を算出し、変化速度に基づいて、タンクにおいて流入又は流出する液体の500[μL/分]以下の微小流量を算出する算出部(45)と、を備える微小流量検出システム。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留し、外部から内部を視認可能とする透明部を含むタンクと、
前記タンクに貯留された前記液体の液面を、前記透明部を介して逐次撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影された前記液面の高さの変化速度を算出し、前記変化速度に基づいて、前記タンクにおいて流入又は流出する前記液体の500[μL/分]以下の微小流量を算出する算出部と、
を備える微小流量検出システム。
【請求項2】
前記変化速度は、前記カメラにより前記液面を撮影した画像において、基準時間当たりに前記液面の高さが変化した距離に相当する画素数である、請求項1に記載の微小流量検出システム。
【請求項3】
前記算出部は、前記画像において前記基準時間に前記液面の高さが1画素分変化する場合の前記液体の流量である基準流量に、前記画素数を掛けて、前記微小流量を算出する、請求項2に記載の微小流量検出システム。
【請求項4】
前記算出部は、前記画像における水平方向の複数箇所での前記画素数の平均を前記画素数として用いる、請求項2又は3に記載の微小流量検出システム。
【請求項5】
前記基準時間は2[秒]である、請求項2~4のいずれか1項に記載の微小流量検出システム。
【請求項6】
前記算出部は、前記カメラにより撮影された前記液面の高さを算出する、請求項1~5のいずれか1項に記載の微小流量検出システム。
【請求項7】
前記液体は、細胞の培養に用いられる培養液である、請求項1~6のいずれか1項に記載の微小流量検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の微小流量を検出するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体の微小流量を検出するために、熱式流量センサが使われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-82768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱式流量センサでは、液体の微小流量を検出するために細い流路を必要とする。このため、粘度の高い液体は流路に詰まりやすく、さらに流路を洗浄しにくいといった問題がある。また、熱式流量センサは、液体に粒子や気泡が含まれている場合に、流量を誤検出するおそれがある。
【0005】
なお、シリンジポンプやチューブポンプの動作量に基づき液体の流量を推定することも可能であるが、例えば液体が適切に送られていない場合は、微小流量を正確に推定することができない。
【0006】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、細い流路を必要とせず、液体の微小流量を正確に検出することができる微小流量検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段は、微小流量検出システムであって、
液体を貯留し、外部から内部を視認可能とする透明部を含むタンクと、
前記タンクに貯留された前記液体の液面を、前記透明部を介して逐次撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影された前記液面の高さの変化速度を算出し、前記変化速度に基づいて、前記タンクにおいて流入又は流出する前記液体の500[μL/分]以下の微小流量を算出する算出部と、
を備える。
【0008】
上記構成によれば、タンクは、液体を貯留し、外部から内部を視認可能とする透明部を含んでいる。カメラは、前記タンクに貯留された前記液体の液面を、前記透明部を介して逐次撮影する。このため、カメラにより前記液体の液面を撮影した画像を処理することにより、液面の高さを逐次算出することができ、ひいては液面の高さの変化速度を算出することができる。なお、液面の高さの変化速度は、基準時間当たりに液面の高さが変化した距離や、液面を撮影した画像において基準時間当たりに液面の高さが変化した距離に相当する画素数等を含む。
【0009】
そして、算出部は、前記カメラにより撮影された前記液面の高さの変化速度を算出し、前記変化速度に基づいて、前記タンクにおいて流入又は流出する前記液体の500[μL/分]以下の微小流量を算出する。このため、タンクの断面積を、液面の高さの変化をカメラで捉えることができる大きさにすればよく、熱式流量センサと比較して細い流路を必要としない。その結果、粘度の高い液体であってもタンクに詰まることを抑制することができ、さらにタンクの洗浄をしやすくなる。
【0010】
さらに、液面の高さの変化速度に基づいて、すなわちタンク内の液体の量の変化に基づいて、液体の微小流量を算出している。このため、液体に粒子や気泡が含まれている場合であっても、液体の微小流量を正確に算出することができる。しかも、タンク内の液体の量が実際に変化したことに基づき液体の流量を算出しているため、液体が適切に送られていない場合に誤った流量を算出することを抑制することができる。したがって、シリンジポンプやチューブポンプの動作量に基づき液体の流量を推定する場合と比較して、算出した流量の信頼性を向上させることができる。また、酸性、アルカリ性、導電性等の液体の性質にかかわらず、液体の微小流量を安定して算出することができる。
【0011】
第2の手段では、前記変化速度は、前記カメラにより前記液面を撮影した画像において、基準時間当たりに前記液面の高さが変化した距離に相当する画素数である。こうした構成によれば、前記カメラにより前記液面を撮影した画像を処理することにより、容易に前記液面の高さの変化速度を算出することができる。
【0012】
液体の既知の流量、タンクの断面積、基準時間、及び撮影画像の1画素に相当する距離に基づいて、撮影画像において基準時間に前記液面の高さが1画素分変化する場合の液体の流量である基準流量を、予め算出しておくことができる。
【0013】
この点、第3の手段では、前記算出部は、前記画像において前記基準時間に前記液面の高さが1画素分変化する場合の前記液体の流量である基準流量に、前記画素数を掛けて、前記微小流量を算出する。したがって、基準流量に、基準時間当たりに前記液面の高さが変化した距離に相当する画素数を掛けることにより、液体の微小流量を容易に算出することができる。
【0014】
第4の手段では、前記算出部は、前記画像における水平方向の複数箇所での前記画素数の平均を前記画素数として用いる。こうした構成によれば、基準時間当たりに前記液面の高さが変化した距離に相当する画素数が、撮影時のノイズや液面の揺れ等に起因してばらつくことを抑制することができる。したがって、液体の微小流量を安定して算出することができる。
【0015】
具体的には、第5の手段のように、前記基準時間は2[秒]である、といった構成を採用することができる。こうした構成によれば、2[秒]という比較的短い時間毎に、液体の微小流量を算出することができる。
【0016】
第6の手段では、前記算出部は、前記カメラにより撮影された前記液面の高さを算出する。こうした構成によれば、微小流量検出システムにより、液体の微小流量を算出する機能、及び液面の高さを算出する機能を兼ねることができる。
【0017】
細胞の培養に用いられる培養液の微小流量を熱式流量センサにより検出する場合は、熱式流量センサ等を洗浄及び滅菌処理する必要がある。しかし、熱式流量センサ等に含まれる電子部品を滅菌処理した場合は、微小流量の検出精度を保証することが困難となる。
【0018】
この点、第7の手段では、第1~第6のいずれか1つの手段に記載の微小流量検出システムにおいて、前記液体は、細胞の培養に用いられる培養液である。こうした構成によれば、上述したように、熱式流量センサと比較して、タンクの洗浄をしやすくなるとともに、タンクを滅菌処理したとしても流量の検出に影響はなく、微小流量の検出精度を保証することができる。さらに、タンクを使い捨てにする場合に、熱式流量センサを使い捨てにする場合と比較して、ランニングコストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】細胞培養システムを示す模式図。
図2】培養液の液面を撮影する態様を示す模式図。
図3】培養液の液面高さの変化を示す模式図。
図4図2の培養液の液面を撮影した画像。
図5図3の培養液の液面を撮影した画像。
図6図4の画像を二値化処理した画像。
図7図5の画像を二値化処理した画像。
図8】培養液の液面を撮影した画像と検出領域とを示す図。
図9図8の画像を二値化処理した画像。
図10】1画素に対応する画像と実物の大きさとの関係を示す模式図。
図11】培養液減少前の二値化処理画像の一例を示す模式図。
図12】培養液減少後の二値化処理画像の一例を示す模式図。
図13】流量500[μL/分]における撮影周期毎の画素変化数の測定結果を示すグラフ。
図14】流量300[μL/分]における撮影周期毎の画素変化数の測定結果を示すグラフ。
図15】流量200[μL/分]における撮影周期毎の画素変化数の測定結果を示すグラフ。
図16】変更例の微小流量検出システムにより培養液の液面を撮影した画像。
図17図16の画像を二値化処理した画像。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、細胞を培養する細胞培養システムに具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、細胞培養システム10は、圧力制御送液部20、細胞培養槽50、混合器60、マスフロコントローラ(MFC)61~63、制御部45、表示部70、ポンプ90等を備えている。
【0022】
圧力制御送液部20(流量調節部)は、空気供給源21、流量比例弁24、絞り弁27、滅菌フィルタ31、タンク34、圧力センサ37、カメラ41、ライト48、流量センサ85等を備えている。
【0023】
空気供給源21(気体の供給源)は、所定圧力の空気(気体)を供給する。空気供給源21は、配管22,23によりタンク34に接続されている。配管22には、流量比例弁24が設けられている。流量比例弁24は、入力信号に比例して開度を調節可能であり、空気供給源21から供給される空気の流量を調節する。流量比例弁24は制御部45によって制御される。
【0024】
配管22と配管23とは、接続部25において接続されている。配管23には、滅菌フィルタ31が設けられている。滅菌フィルタ31は、配管23を介してタンク34へ流れる空気を滅菌する。タンク34は、ガラス等の透明の材質により有底円筒状に形成されており、気密性であり、培養液L(液体)を貯留(収納)している。すなわち、タンク34は、外部から内部を視認可能としている。タンク34の内径は、例えば10[mm]である。配管23は、タンク34の上部に接続されている。すなわち、配管23は、タンク34において培養液Lの液面よりも高い位置に接続されており、培養液Lと接していない。なお、タンク34の形状は、有底円筒状に限らず、任意である。上記では、タンク34全体が透明部に相当しているが、タンク34が外部から内部を視認可能とする透明部を含んでいればよい。
【0025】
培養液Lには、例えば重炭酸塩等、pH6~8の範囲において遊離してpH緩衝機能を有する試薬が添加されている。重炭酸塩としては、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等を採用することができる。その他、培養液Lには、血管を有する細胞組織B(細胞)が活動するために必要な養分として、血清、アミノ酸、ビタミン、糖類等が添加されている。なお、培養液Lには、pHを目視で確認するためにフェノールレッド等の指示薬が添加されている。
【0026】
圧力センサ37は、タンク34の下部における培養液Lの圧力P1を検出する。カメラ41は、例えば100万画素のカラーカメラであり、撮影画像を制御部45へ送信する。カメラ41は、タンク34に貯留された培養液Lの液面を、タンク34を介して逐次(例えば2[秒]毎に)撮影する。ライト48は、白色光を照射する周知のライトであり、タンク34に対してカメラ41と反対側に配置されている。すなわち、ライト48は、タンク34に貯留された培養液Lの液面を、タンク34の背後からカメラ41へ向けて照らす。
【0027】
接続部25には、配管26が接続されている。接続部25は、配管26により空気の排出部28に接続されている。配管26には、絞り弁27が設けられている。絞り弁27(絞り部)は、例えば微少な流量を調節するニードル弁であり、排出部28へ排出される空気の流量を制限(調節)する。絞り弁27の開度は、タンク34内の空気の圧力(タンク34内の圧力)を目標圧力にすべく、所定開度に設定されている。タンク34内の空気の目標圧力に応じて、絞り弁27の開度を変更してもよい。排出部28へ流れた空気は圧力制御送液部20の外部(大気)へ排出される。
【0028】
細胞培養槽50(培養槽)は、中空の直方体状に形成されており、内部に培養液Lを貯留(収納)している。なお、細胞培養槽50の形状は、中空の直方体状に限らず、中空の円柱状等であってもよい。
【0029】
細胞培養槽50の内部には、細胞収納部51が設置(収納)されている。細胞収納部51は、上底のない中空の直方体状に形成されている。細胞収納部51の内部には、上記細胞組織Bが収納されている。なお、細胞収納部51の形状は、上底のない中空の直方体状に限らず、上底のない中空の円柱状等であってもよい。
【0030】
送液配管42A,42B(供給配管)は、タンク34に貯留された培養液Lの中と細胞収納部51(細胞培養槽50)とを接続している。すなわち、送液配管42A,42Bは、細胞培養槽50の外部から内部へ培養液Lを供給する。送液配管42Aは、タンク34に貯留された培養液Lの中に挿入されており、タンク34内において送液配管42の下端は培養液Lの液面よりも低い位置にある。
【0031】
送液配管42A,42Bには、電磁弁46、チェック弁47等が設けられている。電磁弁46は、送液配管42Aを開閉する。電磁弁46は、制御部45によって制御される。チェック弁47(逆止弁)は、電磁弁46(タンク34)から細胞収納部51(細胞培養槽50)への培養液Lの流通を許容し、細胞収納部51(細胞培養槽50)から電磁弁46(タンク34)への培養液Lの流通を禁止する。
【0032】
細胞培養槽50には、タンク34から送液配管42A,42Bを介して培養液Lが送液(供給)される。詳しくは、送液配管42Bを介して細胞収納部51へ培養液Lが直接送液される。これにより、細胞組織B内に培養液Lの流路Bpが形成され、細胞組織B内に培養液Lの流れが生じる。流路Bp内を流れた培養液Lは、破線矢印で示すように細胞収納部51の外部へ流出する。細胞組織Bは、例えば血管を有する動物細胞組織である。細胞組織Bは、培養液Lにより培養され、所定の生体機能を発現する。その際に、細胞の活動により細胞培養槽50内の培養液Lの溶存酸素濃度DO及びpHが変化する。
【0033】
細胞組織Bの培養時において、細胞組織Bの血管を損傷しないように、培養液Lは損傷圧力Pd[mmHg]よりも低い圧力(加圧)で細胞培養槽50の細胞収納部51へ送液される。損傷圧力Pdは、細胞組織Bが損傷し始める所定の圧力(例えば5~10[mmHg])であり、細胞組織Bの種類によって変化する。また、細胞組織Bが所定の生体機能を発現するためには、目標流量の培養液Lを送液する流量制御送液ではなく、目標圧力で培養液Lを送液する圧力制御送液とすることが望ましい。この理由は、実際の動物の動物細胞組織では、心臓により血液が送液されており、流量制御送液よりも圧力制御送液に近いためである。
【0034】
さらに、細胞組織Bが所定の生体機能を発現するためには、細胞組織Bに作用する圧力が安定していることが望ましい。なお、培養液Lを損傷圧力Pd[mmHg]よりも低い圧力(加圧)で細胞収納部51へ送液する場合、培養液Lの流量は培養流量Fg[mL/分]よりも小さくなる。培養流量Fg(第2流量)は、例えば1~3[mL/分]である。本実施形態では、500[μL/分]以下の微小流量で培養液Lを、細胞収納部51へ送液する。なお、タンク34の内径(断面積)及びカメラ41の画素数(解像度)は、培養液Lを例えば100[μL/分](500[μL/分]以下)の流量で送液した場合に、タンク34内の培養液Lの液面の高さの変化をカメラ41で捉えることができるように設定されている。
【0035】
細胞培養槽50に貯留された培養液Lの中には、酸素濃度センサ81、pHセンサ82、及び温度センサ83が挿入されている。酸素濃度センサ81(状態センサ)は、細胞培養槽50内の培養液Lの溶存酸素濃度DO(状態)を検出する。pHセンサ82(状態センサ)は、細胞培養槽50内の培養液LのpH(状態)を検出する。pHセンサ82により培養液LのpHを検出する際には、pHセンサ82から基準液(内部液)が培養液Lへ若干漏れ出すことがある。温度センサ83(状態センサ)は、細胞培養槽50内の培養液Lの温度(状態)を検出する。また、細胞組織Bの流路Bp(細胞組織B)の中には、圧力センサ84が挿入されている。圧力センサ84は、流路Bp内の培養液Lの圧力、すなわち送液配管42Bにより細胞収納部51(細胞培養槽50)へ供給される培養液Lの圧力を検出する。
【0036】
細胞培養槽50には、ヒータ52が設けられている。ヒータ52(状態調節部)は、細胞培養槽50内に貯留された培養液Lを加熱する。ヒータ52は、制御部45によって制御される。なお、細胞培養槽50の内部の培養液Lは、図示しないスターラにより撹拌されている。
【0037】
細胞培養槽50は、返液配管43によりタンク34に接続されている。返液配管43には、ポンプ90及びチェック弁92が設けられている。ポンプ90は、細胞培養槽50から返液配管43を介してタンク34へ培養液Lを圧送する。ポンプ90の駆動状態は、制御部45により制御される。チェック弁92(逆止弁)は、ポンプ90からタンク34への培養液Lの流通を許容し、タンク34からポンプ90への培養液Lの流通を禁止する。返液配管43は、タンク34において培養液Lの液面よりも低く、且つ送液配管42Aの下端よりも高い位置に接続されている。
【0038】
細胞培養システム10において、培養液Lに接触する部分は、洗浄及び滅菌処理されている。
【0039】
制御部45(算出部)は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータである。制御部45は、カメラ41により培養液Lの液面を撮影した画像に基づいて、タンク34内の培養液Lの液面の高さを検出する。制御部45は、培養液Lの液面の高さが所定高さよりも下がった場合に、ポンプ90により培養液Lを圧送させる。そして、制御部45は、培養液Lの液面の高さが所定高さよりも上がった場合に、ポンプ90による培養液Lの圧送を停止させる。制御部45は、目標圧力で培養液Lを細胞培養槽50へ送液すべく、流量比例弁24を制御する。すなわち、圧力制御送液部20は、送液配管42A,42Bに流れる培養液Lの流量を調節する。そして、制御部45は、カメラ41により撮影された培養液Lの液面の高さの変化速度を算出し、変化速度に基づいて、タンク34において流出する培養液Lの500[μL/分]以下の微小流量Q1を算出する。制御部45が培養液Lの液面の高さを検出する方法、及び培養液Lの微小流量Q1を算出する方法については、後述する。なお、タンク34、カメラ41、及び制御部45により、微小流量検出システムが構成されている。
【0040】
制御部45は、圧力制御送液部20を制御してタンク34から送液配管42A,42Bを介して培養液Lを細胞培養槽50へ送液する際に、所定条件に基づき算出した目標流量の空気が供給されるように流量比例弁24を制御する。制御部45は、タンク34内の圧力Pvが平衡するまで、その状態を5[S]以下の所定時間(例えば3[S])維持する。本実施形態では、略1[S]で、圧力Pvが平衡する。その結果、培養液Lが目標圧力で細胞培養槽50へ送液される。
【0041】
空気供給源21から空気を供給し始めてから、タンク34の内部の圧力Pvを平衡させるまでの時間は、タンク34の容積が大きいほど、絞り弁27の有効断面積が大きいほど、タンク34の内部の目標圧力が高いほど、長くなる。この点、血管を有する細胞組織Bの培養では、損傷圧力Pd[mmHg]よりも低い微圧で細胞培養槽50へ培養液Lを送液する必要があるため、タンク34の内部の目標圧力を非常に低く設定している。したがって、圧力Pvが平衡するまでの時間は非常に短くなる。
【0042】
制御部45は、タンク34から送液配管42A,42Bを介して培養液Lを細胞培養槽50へ送液する際に、タンク34の内部の圧力を平衡させた状態における空気供給源21から供給される空気の流量とタンク34の内部の圧力との所定の相関関係に基づいて、タンク34の内部の目標圧力に対応する目標流量の空気が供給されるように流量比例弁24を制御した状態でタンク34の内部の圧力を平衡させる。換言すれば、制御部45は、タンク34の内部の圧力を平衡させた状態における空気供給源21から供給される空気の流量とタンク34の内部の圧力との所定の相関関係に基づいて、タンク34の内部の目標圧力に対応する目標流量の空気が供給されるように流量比例弁24を制御した状態でタンク34の内部の圧力を平衡させて、タンク34から送液配管42A,42Bを介して培養液Lを細胞培養槽50へ送液させる。
【0043】
酸素ボンベ(図示略)、二酸化炭素ボンベ(図示略)、及び窒素ボンベ(図示略)から供給される酸素、二酸化炭素、及び窒素は、それぞれMFC61~63を介して混合器60へ供給される。MFC61~63(状態調節部)は、それぞれ酸素、二酸化炭素、及び窒素の流量を調節する。MFC61~63は、制御部45によって制御される。混合器60は、これらの気体を混合する。混合器60は、細胞培養槽50に接続されている。そして、混合器60において混合された酸素、二酸化炭素、及び窒素は、ガス配管65を介して細胞培養槽50へ供給される。なお、細胞培養槽50へ供給された気体は、細胞培養槽50のガス排出口あるいは隙間から細胞培養槽50の外部へ排出される。
【0044】
表示部70は、タッチパネル(液晶パネル+タッチパッド)により構成されている。表示部70(圧力受付部、流量受付部、確認受付部)は、画像を表示するとともに、ユーザによるタッチ操作を受け付ける。タッチ操作は、表示されたボタン(アイコン)を押す操作、数値の入力等を含む。
【0045】
図2は、培養液Lの液面Laを撮影する態様を示す模式図である。図2は、ポンプ90により培養液Lが圧送され、培養液Lの液面の高さが所定高さよりも上がって、ポンプ90による培養液Lの圧送が停止された状態を示している。
【0046】
図3は、培養液Lの液面Laの高さの変化を示す模式図である。破線で示す液面Laは、図2における液面Laを示している。図3は、タンク34から送液配管42A,42Bを介して培養液Lが細胞培養槽50へ送液され、実線で示す液面Laの高さが所定高さよりも下がって、ポンプ90による培養液Lの圧送が開始される状態を示している。
【0047】
図2,3に示すように、カメラ41の画角θ及び配置は、培養液Lの液面Laの高さが変化したとしても、液面Laがカメラ41の視野に入るように設定されている。
【0048】
図4は、図2の培養液Lの液面Laを撮影した画像である。図5は、図3の培養液Lの液面Laを撮影した画像である。なお、図4,5では、培養液Lの液面のうち最も高い位置を液面Laとしているが、培養液Lの液面のうち最も低い位置を液面Laとしてもよい。
【0049】
図6は、図4の画像を二値化処理した画像である。図7は、図5の画像を二値化処理した画像である。制御部45は、例えば画像の濃度が閾値よりも低い(明るい)部分を白(値1)にし、画像の濃度が閾値よりも高い(暗い)部分を黒(値0)にすることで、二値化処理を実行する。閾値の設定により、培養液Lの液面のうち最も高い位置を液面Laとするか、培養液Lの液面のうち最も低い位置を液面Laとするか、選択することができる。なお、いずれを選択した場合も、培養液Lの液面Laの高さを検出する精度は同様である。
【0050】
図8は、培養液Lの液面Laを撮影した画像と検出領域Sとを示す図である。検出領域Sの横幅xは、例えばカメラ41の50画素に相当している。検出領域Sの縦幅zは、液面Laの高さが変化したとしても、液面Laがカメラ41の視野に入る画素数に相当している。図9は、図8の画像を二値化処理した画像である。
【0051】
図10は、1画素に対応する画像と実物の大きさとの関係を示す模式図である。本実施形態では、1画素に対応する画像が、実物の0.018[mm]×0.018[mm]の大きさ(距離)に相当している。なお、1画素に対応する画像と実物の大きさとの関係は、カメラ41と撮影対象との距離やカメラの解像度等に応じて変化するが、予め測定しておくことができる。
【0052】
図11は、培養液L減少前の二値化処理画像の一例を示す模式図である。図12は、培養液L減少後の二値化処理画像の一例を示す模式図である。二値化処理画像において、カメラ41による撮影時のノイズや液面Laの揺れ等により、培養液Lの液面Laの高さは位置(画素列番号)によって異なる。
【0053】
このため、例えば画素列番号7の位置で液面Laの高さを検出したとすると、図11図12とで液面Laの高さが同じ高さとして検出される。したがって、培養液Lの液面Laの高さを正確に検出することができない。
【0054】
そこで、制御部45は、検出領域Sにおいて、培養液Lに対応する黒色の画素の数を合計した合計数Tbを算出し、合計数Tbを画素列数Gx(本実施形態ではGx=50)で割ることにより、培養液Lの液面Laの平均高さに対応する平均画素数Ghを算出する。すなわち、制御部45は、撮影画像における水平方向の複数箇所での液面Laの高さに対応する画素数の平均を、液面Laの高さに対応する画素数として用いる。そして、制御部45は、平均画素数Ghを液面Laの高さを表すパラメータとして用いる。具体的には、制御部45は、平均画素数Ghが、所定高さに対応する画素数Grよりも小さくなった場合に、ポンプ90により培養液Lを圧送させ、画素数Grよりも大きくなった場合に、ポンプ90による培養液Lの圧送を停止させる。
【0055】
また、制御部45は、培養液Lの液面Laの高さの変化速度を算出し、変化速度に基づいて、タンク34において流出する培養液Lの500[μL/分]以下の微小流量Q1を算出する。詳しくは、制御部45は、カメラ41による撮影周期Δt[秒](基準時間、例えば2[秒])において、液面Laの高さが変化した距離に相当する画素数である画素変化数ΔGh(画素数、変化速度)を算出する。制御部45は、平均画素数Ghの前回値Gh(n-1)から今回値Gh(n)を引くことにより、画素変化数ΔGhを算出する{ΔGh=Gh(n-1)-Gh(n)}。そして、制御部45は、撮影周期Δtに液面Laの高さが1画素分変化する場合の培養液Lの流量である基準流量Q0[μL/分]に、画素変化数ΔGhを掛けて、微小流量Q1を算出する(Q1=Q0×ΔGh)。
【0056】
基準流量Q0[μL/分]は、以下のように予め算出しておくことができる。まず、タンク34から送液配管42A,42Bを介して細胞培養槽50へ送液される培養液Lの流量を、既知の流量Q2[μL/分]に調節する。培養液Lの流量が流量Q2[μL/分]の場合、タンク34内の培養液Lは1[分]にQ2[μL]([mm^3])減少する。a^2はaの2乗を表し、a^3はaの3乗を表す。タンク34の流路断面積をS[mm^2]とすると、この場合に培養液Lの液面Laの高さが変化する距離ΔhはQ2/S[mm]である(Δh=Q2/S)。上述したように、1画素に対応する画像は実物の0.018[mm]に相当する。このため、距離Δhを0.018[mm]で割れば、流量Q2[μL/分]の場合に1[分](60[秒])に変化する液面Laの高さに対応する画素数Gh1を算出することができる(Gh1=Δh/0.018)。流量Q2[μL/分]の場合に、撮影周期Δt[秒]に変化する液面Laの高さに対応する画素数Gh2は、Gh2=Gh1×Δt/60となる。そして、Q2:Gh2=Q0:1の関係が成立するため、Q0[μL/分]=Q2/Gh2となる。
【0057】
ここで、流量Q2[μL/分]=500、流路断面積S[mm^2]=1/4・π・D^2、タンク34の内径D[mm]=10を、上記Q0[μL/分]を算出する式に当てはめると、基準流量Q0[μL/分]=42.39となる。このとき、上記画素数Gh2=11.80となる。すなわち、流量Q2[μL/分]=500である場合は、撮影周期Δt[秒]において液面Laの高さが変化した距離に相当する画素数である画素変化数ΔGhは11.80となる。
【0058】
図13は、流量500[μL/分]における撮影周期2[秒]毎の画素変化数ΔGhの測定結果を示すグラフである。実線L1は、画素変化数ΔGhの理論値を示しており、画素変化数は11.80である。測定された画素変化数ΔGhは、11.80付近で推移しており、理論値に略一致している。
【0059】
同様に、図14は、流量300[μL/分]における撮影周期2[秒]毎の画素変化数ΔGhの測定結果を示すグラフである。実線L2は、画素変化数ΔGhの理論値を示しており、画素変化数は7.08である。測定された画素変化数ΔGhは、7.08付近で推移しており、理論値に略一致している。
【0060】
同様に、図15は、流量200[μL/分]における撮影周期2[秒]毎の画素変化数ΔGhの測定結果を示すグラフである。実線L3は、画素変化数ΔGhの理論値を示しており、画素変化数は4.72である。測定された画素変化数ΔGhは、4.72付近で推移しており、理論値に略一致している。
【0061】
したがって、制御部45は、基準流量Q0[μL/分]に、画素変化数ΔGhを掛けることにより、微小流量Q1を正確に算出することができる。
【0062】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0063】
・タンク34は、培養液Lを貯留し、外部から内部を視認可能とするように透明の材質により形成されている。カメラ41は、タンク34に貯留された培養液Lの液面Laを、タンク34(透明部)を介して逐次撮影する。このため、カメラ41により培養液Lの液面Laを撮影した画像を処理することにより、液面Laの高さを逐次算出することができ、ひいては液面Laの高さの変化速度を算出することができる。
【0064】
・制御部45は、カメラ41により撮影された液面Laの高さの変化速度を算出し、変化速度に基づいて、タンク34において流出する培養液Lの500[μL/分]以下の微小流量Q1を算出する。このため、タンク34の流路断面積Sを、液面Laの高さの変化をカメラ41で捉えることができる大きさにすればよく、熱式流量センサと比較して細い流路を必要としない。その結果、粘度の高い液体であってもタンク34に詰まることを抑制することができ、さらにタンク34の洗浄をしやすくなる。
【0065】
・液面Laの高さの変化速度に基づいて、すなわちタンク34内の培養液Lの量の変化に基づいて、培養液Lの微小流量Q1を算出している。このため、培養液Lに粒子や気泡が含まれている場合であっても、培養液Lの微小流量Q1を正確に算出することができる。しかも、タンク34内の培養液Lの量が実際に変化したことに基づき培養液Lの流量を算出しているため、培養液Lが適切に送られていない場合に誤った流量を算出することを抑制することができる。したがって、シリンジポンプやチューブポンプの動作量に基づき培養液Lの流量を推定する場合と比較して、算出した微小流量Q1の信頼性を向上させることができる。また、酸性、アルカリ性、導電性等の培養液Lの性質にかかわらず、培養液Lの微小流量Q1を安定して算出することができる。
【0066】
・変化速度は、カメラ41により液面Laを撮影した画像において、撮影周期Δt当たりに液面Laの高さが変化した距離に相当する画素数(画素変化数)である。こうした構成によれば、カメラ41により液面Laを撮影した画像を処理することにより、容易に液面Laの高さの変化速度を算出することができる。
【0067】
・制御部45は、画像において撮影周期Δtに液面Laの高さが1画素分変化する場合の培養液Lの流量である基準流量Q0に、画素変化数ΔGhを掛けて、微小流量Q1を算出する。したがって、基準流量Q0に、撮影周期Δt当たりに液面Laの高さが変化した距離に相当する画素変化数ΔGhを掛けることにより、培養液Lの微小流量Q1を容易に算出することができる。
【0068】
・制御部45は、画像における水平方向の複数箇所での画素変化数の平均を画素変化数ΔGhとして用いる。こうした構成によれば、撮影周期Δt当たりに液面Laの高さが変化した距離に相当する画素変化数が、カメラ41による撮影時のノイズや液面Laの揺れ等に起因してばらつくことを抑制することができる。したがって、培養液Lの微小流量Q1を安定して算出することができる。
【0069】
・撮影周期Δt(基準時間)は2[秒]である。こうした構成によれば、2[秒]という比較的短い時間毎に、培養液Lの微小流量を算出することができる。
【0070】
・制御部45は、カメラ41により撮影された液面Laの高さを算出する。こうした構成によれば、微小流量検出システム(タンク34、カメラ41、及び制御部45)により、培養液Lの微小流量Q1を算出する機能、及び液面Laの高さを算出する機能を兼ねることができる。
【0071】
・培養液Lは、細胞の培養に用いられる培養液である。この場合も、熱式流量センサと比較して、タンク34の洗浄をしやすくなるとともに、タンク34を滅菌処理したとしても流量の検出に影響はなく、微小流量Q1の検出精度を保証することができる。さらに、タンク34を使い捨てにする場合に、熱式流量センサを使い捨てにする場合と比較して、ランニングコストを下げることができる。
【0072】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0073】
図16は、変更例の微小流量検出システムにより培養液Lの液面Laを撮影した画像である。この変更例では、ライト48は、タンク34に貯留された培養液Lの液面Laの一部を、タンク34の背後から照らしている。図17は、図16の画像を二値化処理した画像である。この場合は、検出領域Sを、液面Laが照らされている範囲に設定する。こうした構成によれば、実施形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、液面Laが良好に撮影されるように調節することができる。
【0074】
・微小流量検出システムは、タンク34において流出する培養液Lの微小流量のみを検出し、培養液Lの液面Laの高さを液面センサにより検出することもできる。また、微小流量検出システムは、タンク34において流入する培養液Lの微小流量を検出することもできる。
【0075】
・制御部45は、検出領域Sのうち一部の画素列において、培養液Lに対応する黒色の画素の数を合計した合計数Tbを算出し、合計数Tbを画素列の数で割ることにより、培養液Lの液面Laの平均高さに対応する平均画素数Ghを算出してもよい。また、制御部45は、検出領域Sのうち複数の画素列において、培養液Lの液面Laの高さに対応する画素数Gh(n)をそれぞれ算出し、算出した画素数Gh(n)を平均して平均画素数Ghを算出してもよい。また、制御部45は、検出領域Sのうち1つの画素列において、培養液Lの液面Laの高さに対応する画素数を算出し、この画素数を培養液Lの液面Laの高さとして用いることもできる。
【0076】
・検出領域Sの下端に対応する液面Laの下端高さh0に、1画素に対応する距離0.018[mm]に平均画素数Ghを掛けた加算高さh1を足して、液面Laの高さh2を算出することもできる(h2[mm]=h0+h1)。その場合は、制御部45は、培養液Lの液面Laの高さh2が所定高さZr[mm]よりも下がった場合に、ポンプ90により培養液Lを圧送させ、液面Laの高さが所定高さZr[mm]よりも上がった場合に、ポンプ90による培養液Lの圧送を停止させる。
【0077】
・基準流量Q0[μL/分]を以下のように算出することもできる。すなわち、タンク34から送液配管42A,42Bを介して細胞培養槽50へ送液される培養液Lの流量を、既知の流量Q2[μL/分]に調節する。この状態において、撮影周期Δtにおける画素変化数ΔGhを算出し、流量Q2[μL/分]を画素変化数ΔGhで割って基準流量Q0[μL/分]を算出する(Q0=Q2/ΔGh)。こうした構成によれば、タンク34の流路断面積S等が分からない場合であっても、基準流量Q0[μL/分]を算出することができる。
【0078】
・制御部45は、検出領域S内に高さの基準となる基準画素を設定し、基準画素から液面Laに対応する画素までの画素数の変化に基づいて、画素変化数ΔGh(画素数、変化速度)を算出することもできる。
【0079】
・制御部45は、培養液Lの液面Laの高さの変化速度として、撮影周期Δt(基準時間)当たりに液面Laの高さが変化した距離Δz[mm]を採用することもできる。この場合、制御部45は、撮影周期Δtに液面Laの高さが1[mm]変化する場合の培養液Lの流量を基準流量Qzとし、基準流量Qzに距離Δz[mm]を掛けて微小流量Q1を算出する(Q1=Qz×Δz)。こうした構成によっても、上記実施形態に準じた作用効果を奏することができる。なお、基準流量Qzは、予め算出しておくことができる。
【0080】
・微小流量検出システムは、培養液Lに限らず、薬液や、純水、その他の液体の微小流量を検出することができる。
【0081】
なお、上記の各変更例を組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0082】
10…細胞培養システム、20…圧力制御送液部、34…タンク、41…カメラ、45…制御部(算出部)、48…ライト、50…細胞培養槽。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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