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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181095
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ブックメーカシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/34 20120101AFI20221130BHJP
【FI】
G06Q50/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087931
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】富士本 淳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC54
(57)【要約】
【課題】イベント中に発生するベット対象のオッズが、時間経過により変化し、任意のタイミングでユーザ端末装置からベット対象に対してベット可能なブックメーカシステムに関して、処理負担及び記憶容量の確保負担を低減する。
【解決手段】ブックメーカシステム1は、時間経過に応じて変動する、複数のベット対象ごとのオッズを時間経過に対応づけて随時累積的に第1情報として記憶部に記憶する処理、及び、ベット証明情報は、前記ベット対象、当該ベット対象にベットしたオッズ、及びベットした時間の第2情報を含んでおり、ユーザ端末装置からベット証明情報を含む払い出し要求を受信すると、その受信されたベット証明情報に含まれる第2情報と、記憶部に記憶されている第1の情報とが一致する場合に、ベット証明情報が真正であると判定する処理を実行する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント中に発生するベット対象のオッズが、時間経過により変化し、任意のタイミングでユーザ端末装置から前記ベット対象に対してベットを行うと、前記ユーザ端末側にベットしたことを証明するベット証明情報を送信することが可能なブックメーカシステムであって、
前記ブックメーカシステムは、下記(A)~(B)の処理を実行するようにプログラムされたコントローラを備えている。
(A)前記時間経過に応じて変動する、前記複数のベット対象ごとのオッズを時間経過に対応づけて随時累積的に第1情報として記憶部に記憶する処理、
(B)前記ベット証明情報は、前記ベット対象、当該ベット対象にベットしたオッズ、及びベットした時間の第2情報を含んでおり、前記ユーザ端末装置から前記ベット証明情報を含む払い出し要求を受信すると、その受信された前記ベット証明情報に含まれる前記第2情報と、前記記憶部に記憶されている前記第1の情報とが一致する場合に、前記ベット証明情報が真正であると判定する処理。
【請求項2】
請求項1に記載のブックメーカシステムは、前記ベット管理サーバと、オッズ管理サーバとを備え、
前記オッズ管理サーバは、
(C)前記イベントの状況を踏まえ、前記複数のベット対象ごとに、時間経過に応じて変動する前記オッズを決定し、決定した前記オッズに基づいて、前記処理(A)を実行し、
前記ベット管理サーバは、
(D)前記オッズ管理サーバが前記(C)の処理で決定した前記複数のベット対象ごとの時間経過に応じて変動する前記オッズを取得して、前記処理(B)を実行する。
【請求項3】
請求項1のブックメーカシステムは、
前記(B)の処理において、前記ユーザ端末装置から前記ベット証明情報を含む払い出し要求を受信すると、「前記第2情報に係る前記ベット対象にベットしたオッズ」と、「前記記憶部に記憶されている、前記第1情報と、前記第2情報に係る前記ベット対象及び前記ベットした時間と、に基づき算出されたオッズ」とが一致する場合に、前記ベット証明情報が真正であると判定する処理を実行する。
【請求項4】
イベント中に発生するベット対象のオッズが、時間経過により変化し、任意のタイミングでユーザ端末装置から前記ベット対象に対してベットを行うと、前記ユーザ端末側にベットしたことを証明するベット証明情報を送信することが可能なブックメーカシステムであって、
前記ブックメーカシステムは、下記(2A)~(2B)の処理を実行するようにプログラムされたコントローラを備えている。
(2A)前記ユーザ端末装置から前記ベット対象に対するベットを受付けたタイミングでの前記オッズを記憶部に記憶する処理、
(2B)前記ベット証明情報は、ベット対象、当該ベット対象にベットしたオッズ、ベットした時間を含んでおり、前記ユーザ端末装置から前記ベット証明情報を含む払い出し要求を受信すると、「その受信された前記ベット証明情報に含まれる前記ベット対象にベットしたオッズ」と、「前記記憶部に前記(2A)の処理で記憶した前記オッズ」とが一致する場合に、前記ベット証明情報が真正であると判定する処理。
【請求項5】
請求項4に記載のブックメーカシステムは、前記処理(2A)~(2B)を行うベット管理サーバと、オッズ管理サーバとを備え、
前記オッズ管理サーバは、
(2C)前記イベントの状況を踏まえ、前記複数のベット対象ごとに、時間経過に応じて変動する前記オッズを決定する処理を実行し、
前記ベット管理サーバは、
(2D)前記(2A)の処理において、前記ユーザ端末装置から前記ベット対象に対するベットを受付けたタイミングで、前記オッズ管理サーバが前記(2C)の処理で決定した前記ベット対象の前記オッズを前記記憶部に記憶する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブックメーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サッカーの試合や大統領選挙などの成否が不確定のイベントにベット対象(サッカーの勝敗や大統領選挙の結果)を設定し、このベット対象に対するオッズを提供し、そのベット対象に対するベットを募り、ベット対象の結果・ベット額・オッズに基づき配当を付与するブックメーカシステムが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
これらのベット対象は、イベントが開始される前、更にはイベントの途中においてもベットができるものがある。例えば、イベントがサッカーの試合であれば、試合開始数か月前から試合結果等のベット対象に関してベットを募る。
【0004】
このような場合、試合開始前のチームの状況(対戦成績、怪我人の有無、好不調)によって、時間経過とともにオッズが変動する。また、試合が開始されれば、試合展開により時間経過とともにオッズが変動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-157632号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0134973号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにベット対象にベットしたタイミングによりオッズが異なることになる。また、ユーザがベット対象に対するベットをする際や払出を求める際には、ベットしたタイミングのオッズに基づき払出額が決定されることから、ブックメーカの管理者側としてはユーザがベット対象にベットしたタイミングでのオッズが適正(真正)であるかの検証が重要になり、処理負担が増す。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決する、ブックメーカシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つは、イベント中に発生するベット対象のオッズが、時間経過により変化し、任意のタイミングでユーザ端末装置から前記ベット対象に対してベットを行うと、前記ユーザ端末側にベットしたことを証明するベット証明情報を送信することが可能なブックメーカシステムであって、
前記ブックメーカシステムは、下記(A)~(B)の処理を実行するようにプログラムされたコントローラを備えている。
(A)前記時間経過に応じて変動する、前記複数のベット対象ごとのオッズを時間経過に対応づけて随時累積的に第1情報として記憶部に記憶する処理、
(B)前記ベット証明情報は、前記ベット対象、当該ベット対象にベットしたオッズ、及びベットした時間の第2情報を含んでおり、前記ユーザ端末装置から前記ベット証明情報を含む払い出し要求を受信すると、その受信された前記ベット証明情報に含まれる前記第2情報と、前記記憶部に記憶されている前記第1の情報とが一致する場合に、前記ベット証明情報が真正であると判定する処理。
【0009】
上記構成によれば、ブックメーカシステム側に、ユーザ端末装置を利用する個々のユーザごと、個々のベット対象ごとに、ベット時点でのオッズを直接記憶することなく、ユーザ端末装置側から、イベントの結果を受けて払出要求があった場合にだけ、複数のベット対象ごとのオッズを時間経過に対応づけて随時累積的に記憶した第1情報を用いて、払出し時にユーザ端末装置側から送信されるベット証明情報が真正なもので払い出しを許可して良いかの判定をすればよいことになる。多数のユーザ端末装置からのベットを受付ける場合であっても、受付時のサーバでの記憶処理負担及び記憶容量の確保負担を低減することができる。特にブックメーカシステムのように短期間で処理が集中するシステムにあっては効果的である。
【0010】
また、本発明は、上記ブックメーカシステムにおいて、前記ベット管理サーバと、オッズ管理サーバとを備え、
前記オッズ管理サーバは、
(C)前記イベントの状況を踏まえ、前記複数のベット対象ごとに、時間経過に応じて変動する前記オッズを決定し、決定した前記オッズに基づいて、前記処理(A)を実行し、
前記ベット管理サーバは、
(D)前記オッズ管理サーバが前記(C)の処理で決定した前記複数のベット対象ごとの時間経過に応じて変動する前記オッズを取得して、前記処理(B)を実行する。
【0011】
ブックメーカシステムが、イベントの状況を踏まえ、時間経過に応じて変動するベット対象のオッズを決定するオッズ管理サーバを備えることにより、配当に重大な役割を果たすオッズの管理をベット管理サーバとは独立したオッズ管理サーバで管理することができる。例えば、ブックメーカシステムのベット管理サーバとオッズ管理サーバとを別会社に運営させることにより、ブックメーカシステムに対する信頼性(公平性、不正防止)を高めることができる。
【0012】
また、上記ブックメーカシステムは、
前記(B)の処理において、前記ユーザ端末装置から前記ベット証明情報を含む払い出し要求を受信すると、「前記第2情報に係る前記ベット対象にベットしたオッズ」と、「前記記憶部に記憶されている、前記第1情報と、前記第2情報に係る前記ベット対象及び前記ベットした時間と、に基づき算出されたオッズ」とが一致する場合に、前記ベット証明情報が真正であると判定する処理を実行してもよい。
【0013】
上記構成によれば、ブックメーカシステム側に、ユーザ端末装置を利用する個々のユーザごと、個々のベット対象ごとに、ベット時点でのオッズを記憶することなく、記憶部に複数のベット対象ごとに時間経過に伴い随時累積的に対応づけられたオッズを用いて、払い出し時にユーザ端末側から送信されるベット証明情報が真正なもので払い出しを許可して良いかの判定を適正・効率的にすることがきる。
【0014】
また、本発明は、イベント中に発生するベット対象のオッズが、時間経過により変化し、任意のタイミングでユーザ端末装置から前記ベット対象に対してベットを行うと、前記ユーザ端末側にベットしたことを証明するベット証明情報を送信することが可能なブックメーカシステムであって、
前記ブックメーカシステムは、下記(2A)~(2B)の処理を実行するようにプログラムされたコントローラを備えている。
(2A)前記ユーザ端末装置から前記ベット対象に対するベットを受付けたタイミングでの前記オッズを記憶部に記憶する処理、
(2B)前記ベット証明情報は、ベット対象、当該ベット対象にベットしたオッズ、ベットした時間を含んでおり、前記ユーザ端末装置から前記ベット証明情報を含む払い出し要求を受信すると、「その受信された前記ベット証明情報に含まれる前記ベット対象にベットしたオッズ」と、「前記記憶部に前記(2A)の処理で記憶した前記オッズ」とが一致する場合に、前記ベット証明情報が真正であると判定する処理。
【0015】
上記構成によれば、ユーザ端末装置において管理(記憶)されているベット証明情報に含まれるベット対象にベットしたオッズと、ベットされたタイミングでブックメーカの管理者側の記憶部に記憶されたオッズとが一致するかを判定することにより、イベントのベット対象の結果に基づき払い出しを求めた際に、ベット証明情報が真正であるかを適正・効率的に判定することができる。
【0016】
また、上記ブックメーカシステムは、前記処理(2A)~(2B)を行うベット管理サーバと、オッズ管理サーバとを備え、
前記オッズ管理サーバは、
(2C)前記イベントの状況を踏まえ、前記複数のベット対象ごとに、時間経過に応じて変動する前記オッズを決定する処理を実行し、
前記ベット管理サーバは、
(2D)前記(2A)の処理において、前記ユーザ端末装置から前記ベット対象に対するベットを受付けたタイミングで、前記オッズ管理サーバが前記(2C)の処理で決定した前記ベット対象の前記オッズを前記記憶部に記憶してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ブックメーカシステムの使用態様の説明図である。
図2】ブックメーカシステムの一例を示したブロック図である。
図3】スポーツブック管理サーバのブロック図である。
図4】ユーザ端末装置のブロック図である。
図5】オッズ管理サーバで実行されるオッズ変動処理のフローチャートである。
図6】オッズテーブルの説明図である。
図7】オッズテーブルをグラフ化した説明図である。
図8】第1実施形態に係る、スポーツブック管理サーバとユーザ端末装置と資金管理装置との間における処理態様の説明図である。
図9】第1実施形態に係る、スポーツブック管理サーバとユーザ端末装置と資金管理装置との間における処理態様の説明図である。
図10】第2実施形態に係る、スポーツブック管理サーバとユーザ端末装置と資金管理装置との間における処理態様の説明図である。
図11】第2実施形態に係る、スポーツブック管理サーバとユーザ端末装置と資金管理装置との間における処理態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明のブックメーカシステム1の実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。実施形態では、時間経過によりオッズが変化するイベント(リアルタイムでオッズが変化する。一般にライブベットと称される)として、サッカーの試合結果(第1ベット対象)と、そのサッカーの試合での先取チーム(第2ベット対象)とを例示し(図1参照)、イベントに任意のタイミングでベット可能なブックメーカシステムに基づき説明する。
【0019】
具体的には、第1ベット対象では、チームA対チームBのサッカーの試合において、チームAの勝利、チームBの勝利、引分けがそれぞれベット対象となる。また、第2ベット対象では、そのサッカーの試合で先にゴールを決めるチームとして、チームAの先取、チームBの先取、先取するチーム無し(スコア0-0)がそれぞれベット対象となる。
【0020】
(構成例)
まず始めに、スポーツブック管理サーバ10(ベット管理サーバに相当)及びオッズ管理サーバ20を含むブックメーカシステム1について説明する。図2は、ブックメーカシステム1の一例を示したブロック図である。ブックメーカシステム1は、スポーツブック管理サーバ10及びオッズ管理サーバ20を含み、ブックメーカシステム1は、インターネットを介して、ユーザ端末装置30(ユーザ毎)と、資金管理装置40と接続可能とされている。資金管理装置40は、ネットワークを介してユーザなどが使用する決済機関(銀行、金融機関など)が管理する管理口座を有している。
【0021】
(スポーツブック管理サーバ10)
スポーツブック管理サーバ10、スポーツブックが運営するサーバであり、オッズ管理サーバ20やユーザ端末装置30や資金管理装置40との通信、通信情報の記憶、制御等を実行する基幹サーバである。
【0022】
スポーツブック管理サーバ10は、図3に示すように、演算処理装置601(CPU:コントローラに相当)、読出し専用メモリ602(ROM)、主メモリ603(RAM:記憶部に相当)、通信インターフェース604、その他、入出力装置(I/O)、及び必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置である。
【0023】
スポーツブック管理サーバ10の主メモリ603(RAM)では、例えば、ベットしたユーザのユーザID、ユーザIDに対応する所持クレジット(スポーツベットの運営者が設定するイベントでベット可能な専用の通貨)や下記処理で必要な情報が管理記憶される。
【0024】
(オッズ管理サーバ20)
オッズ管理サーバ20は、スポーツブック管理サーバ10と同様の構成をしており、演算処理装置(コントローラに相当)が実施される各イベントの各ベット対象の各オッズを決定し、オッズ管理サーバ20が備える記憶装置22に記憶している。本実施形態では、ブックメーカの運営者がオッズ管理サーバ20を管理・運営している。実施されるイベントのベット対象のオッズは、時間経過により変動する。例えば、サッカーの試合結果(第1ベット対象)や、サッカーの試合での先取チーム(第2ベット対象)に関するベット対象のオッズは、過去の戦績、選手の状況、ベット状況(ベット対象へのベット数やベット額の合計)、ホームかアウェーか、試合状況(得点、怪我人、退場者など)など、過去・リアルタイムの情報を踏まえて、独自のプログラムによりリアルタイムで変動する。この時間経過により変動する、ベット対象のオッズは、スポーツブック管理サーバ10及び各ユーザ端末装置30に提供可能とされている。
【0025】
具体的には、オッズ管理サーバ20は、実施されるイベントのベット対象のオッズをリアルタイムに変動させるために、監視装置21と接続されている。例えば、監視装置21は、イベントの開催地であるサッカーの試合会場に設けられ、サッカーのフィールドを俯瞰・網羅的に撮像する複数の撮像装置(カメラなど)を備えている。そして、この撮像装置からの撮像データを、オッズ管理サーバ20へ送信する。また、監視装置21は、各選手・サッカーボール等に取り付けられ、GPS全地球測位システム(GPS)により各選手・サッカーボールの位置情報を送信する通信装置と通信可能とされている。監視装置21は、この通信装置からの各選手・サッカーボールの位置情報(イベントの状況に相当)を受信し、各選手・サッカーボールの位置情報を、オッズ管理サーバ20へ送信する。このようにして集めた様々な情報に基づき、オッズ管理サーバ20は、独自のプログラムにより各イベントの各ベット対象のオッズをリアルタイムで変動させる。
【0026】
なお、本実施形態では、スポーツブック管理サーバ10とオッズ管理サーバ20とを分けた例で説明しているが、スポーツブック管理サーバ10とオッズ管理サーバ20とは同じサーバであってもよい。
【0027】
また、本実施形態では、スポーツブック管理サーバ10を管理するブックメーカの運営者が、オッズ管理サーバ20によって実施されるイベントのベット対象のオッズを決定・設定しているが(スポーツブック管理サーバ10の管理者とオッズ管理サーバ20の管理者が同じ)、オッズ管理サーバ20の管理は、スポーツブック管理サーバ10を管理するブックメーカの運営者とは別個独立した組織・機関が行ってもよい。
【0028】
(ユーザ端末装置30)
ユーザ端末装置30は、インターネットを介してデータ通信可能な情報処理装置であって、例えば、スマートフォン、携帯モバイル、通信機能を有するパーソナルコンピュータ(PC)、携帯ゲーム機などである。ここで言う「情報処理装置」とは、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、表示部401、操作部、通信部等を具備している装置である(図4参照)。
【0029】
(資金管理装置40)
資金管理装置40は、金融機関、カード決済事業者、仮想通貨取引事業者、電子財布事業者らがそれぞれ管理する装置であり、各ユーザから預かった金額の記録、および追加の預かり金が入った場合の加算、資金から消費した場合の減算、ある通貨(例えば米ドル)から別の通貨(例えば、ユーロ)への交換を行う為替機能を有する。また、資金管理装置40は、ユーザの指示により、自身の資金管理装置40における資金口座から、ブックメーカシステム1の管理者が有する金融機関システムの銀行口座への送金を可能としている。
【0030】
(スポーツブックの処理フロー)
次に、図1に示すように、時間経過によりオッズが変化するイベントとしてサッカーの試合を例示し、その結果をベット対象(第1ベット対象)として、本実施形態のブックメーカシステム1の処理態様について説明する。なお、サッカーの試合では、サッカーの試合の結果(第1ベット対象)だけでなく、例えば、そのサッカーの試合での先取チーム(第2ベット対象)などもベット対象にすることができる。
【0031】
(オッズ管理サーバ20でのオッズ変動処理)
オッズ管理サーバ20では、各イベントで実施される各ベット対象のオッズが時間経過に伴い逐次決定される。ここでは、図5を参照して、サッカーの試合結果をベット対象(第1ベット対象)として、時間経過に伴うオッズ変動の決定プロセスを例示して説明する。
【0032】
サッカーの試合結果をベット対象(第1ベット対象)では、チームA対チームBのサッカーの試合において、「チームAの勝利」、「チームBの勝利」、「引分け」に対して時間経過に伴いそれぞれのオッズが決定・更新されることになる。
【0033】
まず、チームA対チームBのサッカーの試合の日程が組まれた段階から第1ベット対象へのベットの受付を開始することから、オッズ管理サーバ20は、ベット対象(第1ベット対象)の各種情報を踏まえて、ベットの受付を開始する際にユーザ等に提示する、ベット対象(第1ベット対象)に対する各オッズを最初に決定する(S11)。具体的には、オッズ管理サーバ20は、「チームAの勝利」、「チームBの勝利」、「引分け」に対するそれぞれオッズを、過去の戦績、選手のコンディション、過去のベット状況(ベット対象へのベット数やベット額の合計)、ホームかアウェーかなど、過去・現在の情報を踏まえて、独自のプログラムにより決定する。例えば、ベットの受付を開始する際(TIME 1)の、ベット対象(第1ベット対象)に対する各オッズとして、「チームAの勝利」のオッズ「1.2倍」、「チームBの勝利」のオッズ「2.2倍」、「引分け」のオッズ「2.0倍」が決定される(図6参照)。なお、図6に示す「TIME 数字」は、オッズ管理サーバ20での管理時間を示しており、ベット対象に対するベット開始からベット終了までの間、所定時間間隔でカウントされる。
【0034】
そして、オッズ管理サーバ20は、記憶装置22のオッズテーブル(図6参照:第1情報に相当)に、S11の処理で決定された、ベット対象(第1ベット対象)に対する各オッズである、「チームAの勝利」のオッズ「1.2倍」、「チームBの勝利」のオッズ「2.2倍」、「引分け」のオッズ「2.0倍」を、それぞれ時間(TIME 1)に対応させて記憶する(S12)。
【0035】
次に、オッズ管理サーバ20は、所定時間が経過したか否かを判断する(S13)。例えば、サッカーの試合が始まる前であれば、日単位、1時間単位、10分単位等で所定時間を設定してもよい。また、所定時間が経過したか否かを判断する代わりに、ベット対象(第1ベット対象)の各種情報が更新されたか否かを判断してもよい。一方、サッカーの試合が始まった後であれば、1秒単位、0.1秒単位で所定時間が経過したか否かを判断してもよい。そして、オッズ管理サーバ20は、所定時間が経過していないと判断した場合(S13:NO)、所定時間待ちとなる。
【0036】
一方、オッズ管理サーバ20が、所定時間が経過したと判断した場合(S13:YES)、オッズ管理サーバ20は、ベット対象(第1ベット対象)の各種情報を踏まえて、ベット対象(第1ベット対象)に対する各オッズを決定する(S14)。
【0037】
具体的には、サッカーの試合が始まる前であれば、選手のコンディションの変化、新加入選手の有無、その他の新たな情報を踏まえて、独自のプログラムにより決定する。例えば、チームBにおいて、有力な選手が加入した、或いは、チームAにおいてレギュラー選手の怪我が判明したなどの新情報があれば、これらの新情報を踏まえて、時間(TIME 1000)に対応する各オッズとして、「チームAの勝利」のオッズ「1.5倍」、「チームBの勝利」のオッズ「1.9倍」、「引分け」のオッズ「2.0倍」が決定される(図6参照)。
【0038】
この場合、例えば、オッズ管理サーバ20は、記憶装置22のオッズテーブル(図6参照)に、S14の処理で決定された、ベット対象(第1ベット対象)に対する各オッズである、「チームAの勝利」のオッズ「1.5倍」、「チームBの勝利」のオッズ「1.9倍」、「引分け」のオッズ「2.0倍」を、それぞれ時間(TIME 1000)に対応させて記憶する(S15)。
【0039】
また、サッカーの試合が始まった後であれば、監視装置21が稼働し、サッカーのフィールドを俯瞰・網羅的に撮像する複数の撮像装置からの撮像データ(試合映像)及び、通信装置からの各選手・サッカーボールの位置情報等を受信する。そして、撮像データ及び位置情報に係る状況データを受信した、オッズ管理サーバ20は、画像解析・位置情報解析ソフト・独自のプログラムを使用して、サッカーの試合状況を分析する。例えば、試合展開により、時間(TIME 43123)のタイミングでチームAが先制した場合、オッズ管理サーバ20は、独自のプログラムを使用して、サッカーの試合状況を踏まえて、時間(TIME 43123)に対応する各オッズとして、「チームAの勝利」のオッズ「1.8倍」、「チームBの勝利」のオッズ「2.6倍」、「引分け」のオッズ「2.1倍」が決定される(図6参照)。
【0040】
この場合、例えば、オッズ管理サーバ20は、記憶装置22のオッズテーブル(図6参照)に、S14の処理で決定された、ベット対象(第1ベット対象)に対する各オッズである、、「チームAの勝利」のオッズ「1.8倍」、「チームBの勝利」のオッズ「2.6倍」、「引分け」のオッズ「2.1倍」を、それぞれ時間(TIME 43123)に対応させて記憶する(S15)。
【0041】
次に、オッズ管理サーバ20は、サッカーの試合のベット対象(第1ベット対象)へのベットの受付が終了したかを判定する(S16)。そして、サッカーの試合のベット対象(第1ベット対象)へのベットの受付が終了していない場合(S16:NO)、S13の処理に戻る。即ち、S13~S16の処理を、所定時間間隔で実行することにより、サッカーの試合状況を踏まえて、記憶装置22のオッズテーブル(図6参照)に、「チームAの勝利」のオッズ、「チームBの勝利」のオッズ、「引分け」のオッズが、それぞれ時間経過に対応付けられて逐次累積的に決定・記憶されていくことになる。また、記憶装置22のオッズテーブル(図6参照)に従い、図7に示すように、「チームAの勝利」のオッズが時間経過に対応付けられて逐次グラフ化されて記憶される。
【0042】
一方、サッカーの試合のベット対象(第1ベット対象)へのベットの受付が終了した場合(S16:YES)、本処理を終了する。
【0043】
(スポーツブックベット処理)
次に、図1に示すように、時間経過によりオッズが変化するイベントとして、サッカーの試合結果(第1ベット対象)を例示して、図8及び図9を参照して、本実施形態のブックメーカシステム1の処理態様について説明する。
【0044】
まず、ブックメーカの運営者は、スポーツブック管理サーバ10により、「チームA vs チームB」のサッカーの試合に対する第1ベット対象へのベットの受付を開始する(図1参照)。この際、第1ベット対象としては、「チームAの勝利」、「チームBの勝利」、「引分け」が設定され、オッズ管理サーバ20では、第1ベット対象の各種情報を踏まえて、ベットの受付を開始する際にユーザ等に提示する、各オッズが決定される(S11参照)。
【0045】
なお、本実施形態では、スポーツブック管理サーバ10を管理するブックメーカの運営者が、オッズ管理サーバ20によって実施されるイベントのベット対象のオッズを決定・設定しているが(スポーツブック管理サーバ10の管理者とオッズ管理サーバ20の管理者が同じ)、オッズ管理サーバ20の管理は、スポーツブック管理サーバ10を管理するブックメーカの運営者とは別個独立した組織・機関が行ってもよい。また、各イベントの各ベット対象の各オッズは、リアルタイムでスポーツブック管理サーバ10や各ユーザ端末装置30において共有可能とされている。即ち、スポーツブック管理サーバ10やユーザ端末装置30は、オッズ管理サーバ20で決定された、各イベントの各ベット対象に対する各オッズをリアルタイムで取得することができる。
【0046】
第1ベット対象へのベットの受付が開始されるに際して、ユーザは、ブックメーカの運営者が提供するイベントの第1ベット対象等にベットするための資金をデポジットするために、ユーザ端末装置30を使用して、自己の管理口座がある資金管理装置40から、ブックメーカの運営者の管理口座がある資金管理装置40への入金指示をする(S101)。この入金指示を受けた資金管理装置40は、ブックメーカの運営者の管理口座がある資金管理装置40のブックメーカの運営者の管理口座に入金処理をする(S301)。
【0047】
そして、入金処理が終わったら、資金管理装置40は、スポーツブック管理サーバ10に入金確認報告をする(S302)。この入金確認報告を受けて、スポーツブック管理サーバ10は、管理テーブルにおいて、入金をしたユーザに対応するユーザIDの所持するクレジットとして加算する(入金額記憶:S201)。例えば、ユーザID(Y1112)を有するユーザが1300ドルをデポジットした場合、スポーツブック管理サーバ10のRAMが記憶している管理テーブルのユーザID(Y1112)が所持するクレジットに1300ドルを加算する。
【0048】
その後、第1ベット対象に対するベットの受付の開始後、ユーザ(ユーザID:Y1112)は、「チームA vs チームB」のサッカーの試合開始前の第1ベット対象の各オッズの情報を知るために、ユーザ端末装置30を操作して、オッズ管理サーバ20にアクセスして、アクセスしたタイミングでの第1ベット対象の各オッズの情報を取得する(S102)。例えば、オッズ管理サーバ20にアクセスしたタイミングが「TIME 12368」であれば、第1ベット対象に対する各オッズとして、「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」、「チームBの勝利」のオッズ「1.4倍」、「引分け」のオッズ「1.5倍」の情報が得られる。
【0049】
そして、オッズ管理サーバ20から、第1ベット対象の各オッズの情報を受信した、ユーザ端末装置30は、表示部401に、現在の第1ベット対象の各オッズの情報を表示する(S103)。例えば、表示部401に、第1ベット対象の各オッズとして、「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」、「チームBの勝利」のオッズ「1.4倍」、「引分け」のオッズ「1.5倍」であることが表示される。
【0050】
そして、ユーザは、表示された第1ベット対象のオッズの情報に基づき、ユーザ端末装置30を操作してベットする対象、ベット額を決定する。この決定により、ユーザ端末装置30は、ベット対象、ベット額、及び、ユーザIDを含むベット情報を、スポーツブック管理サーバ10に送信する(S104)。
【0051】
例えば、ユーザが、「チームAの勝利」に「100ドル」をベットした場合、ベット対象が「チームAの勝利」、ベット額が「100ドル」、及びユーザID(Y1112)を含むベット情報が、スポーツブック管理サーバ10に送信される。
【0052】
そして、ユーザ端末装置30から送信されたベット情報を受信した、スポーツブック管理サーバ10は、ベット情報を受信した日時とともに、ベット対象、ベット額、及び、ユーザIDを主メモリ603に記憶する(S202)。
【0053】
次に、スポーツブック管理サーバ10は、オッズ管理サーバ20にアクセスして、S202の処理で記憶した、ベット情報を受信した日時でのベット対象のオッズを取得する(S203)。例えば、ベット情報を受信した日時が「TIME 12410」であれば、ベット対象に対するオッズとして、「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」の情報を取得する(図6参照)。
【0054】
次に、スポーツブック管理サーバ10は、ベット対象に対するベットを受付けた旨を証明するベット証明情報(ユーザID、ベット情報を受信した時間(ベットした時間)、ベット対象、ベット対象のオッズ、ベット額)を、S104の処理でベット情報を送信したユーザ端末装置30に送信する(S204)。具体的には、、『ユーザID(Y1112)のユーザが、「TIME 12410」の時間に、「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」に対して、ベット額「100ドル」をベットした情報』を含む、ベット証明情報を、ユーザID(Y1112)を持つユーザ端末装置30に送信する。
【0055】
この際、スポーツブック管理サーバ10は、RAMが記憶している管理テーブルのユーザID(Y1112)が所持するクレジットから「100ドル」を減算する。即ち、ユーザID(Y1112)が所持するクレジット「1300ドル」から「100ドル」が減算され、ユーザID(Y1112)が所持するクレジットは、「1200ドル」に更新される。
【0056】
次に、S204の処理によりベット証明情報を受信したユーザ端末装置30は、ベット証明情報をRAMに記憶する(S105)。例えば、『ユーザID(Y1112)のユーザが、「TIME 12410」の時間に、「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」に対して、ベット額「100ドル」をベットした』内容(第2情報に相当)を、ユーザ端末装置30のRAMに記憶する。
【0057】
また、「チームA vs チームB」のサッカーの試合が始まった場合、ユーザ端末装置30、及び、スポーツブック管理サーバ10において、上記S102~S105の処理、及び、上記S202~S204の処理を行うことにより、「チームA vs チームB」のサッカーの試合中においても、第1ベット対象(「チームAの勝利」、「チームBの勝利」、「引分け」)に対してベットが可能である。
【0058】
次に、サッカーの試合が始まり、チームAが先制し、そのままサッカーの試合が終了した(図1参照)。その結果、スコアは「A 1-0 B」で「チームAの勝利」が確定した。これに伴い、スポーツブック管理サーバ10は、第1ベット対象の結果(「A 1-0 B」で「チームAの勝利」)の情報を取得する(S205)。
【0059】
そして、スポーツブック管理サーバ10は、第1ベット対象の結果(「A 1-0 B」で「チームAの勝利」)から、ユーザが当選したか否かを判定する(S206)。例えば、スポーツブック管理サーバ10が、主メモリ603に記憶している多数のユーザIDの情報、及び、ベット対象の情報から、第1ベット対象において、「チームAの勝利」にベットしたユーザID(Y1112)を当選したものと判定する。
【0060】
そして、第1ベット対象において、「チームAの勝利」にベットしたユーザID(Y1112)に対応するユーザ端末装置30に、当選通知を送信する(S207)。
【0061】
そして、当選通知を受信したユーザ端末装置30では、表示部401に、当選通知が表示される(S106)。例えば、第1ベット対象において、「チームAの勝利」の結果により当選した旨の通知が表示される。
【0062】
次に、この当選通知を見たユーザは、当選金の払出し受けるために、ユーザ端末装置30を操作して、スポーツブック管理サーバ10に払出要求を送信する(S107)。この払出要求には、S105の処理でRAMに記憶した、ベット証明情報(ユーザID(Y1112)のユーザが、「TIME 12410」の時間に、「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」に対して、ベット額「100ドル」をベットした内容)が含まれている。
【0063】
そして、払出要求を受信したスポーツブック管理サーバ10は、払出要求のベット証明情報に含まれるベット対象にベットしたオッズを、第2オッズとして主メモリ603に記憶する(S208)。例えば、ベット証明情報に含まれる「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」が、第2オッズとして主メモリ603に記憶される。
【0064】
また、スポーツブック管理サーバ10は、払出要求のベット証明情報に含まれるベット対象、ベットした日時、及び、オッズ管理サーバ20の記憶装置22のオッズテーブル(図6参照)を参照し算出されたオッズを第1オッズとして主メモリ603に記憶する(S209)。例えば、オッズテーブル(図6参照)を参照し、ベット証明情報に含まれる「チームAの勝利」と「TIME 12410」の時間に対応するオッズである「2.0倍」が、第1オッズとして主メモリ603に記憶される。
【0065】
次に、スポーツブック管理サーバ10は、主メモリ603に記憶された第2オッズと第1オッズとが一致するか否かを判定し、第2オッズと第1オッズとが一致する場合は、払出要求のベット証明情報が真正であると判定し、払出額算出処理を実行する(S210)。例えば、上記のように、第2オッズの「2.0倍」と第1オッズの「2.0倍」とが一致することから、S107の処理によりユーザ端末装置30から送信された、払出要求含まれるベット証明情報が真正であると判定される。そして、真正と判定されたベット証明情報から、払出額が算出される。例えば、ベット証明情報に含まれるベット額「100ドル」にオッズ「2.0倍」を乗算した値である「200ドル」が払出額として算出される。
【0066】
そして、S210の処理で算出された払出額をユーザに払い出す、払出処理が実行される(S211)。具体的には、スポーツブック管理サーバ10は、ユーザIDの所持するクレジットに、S210の処理で算出された払出額を加算する処理を行う。例えば、上記態様であれば、ユーザID(Y1112)の所持するクレジット「1200ドル」に、S210の処理で算出された払出額である「200ドル」を加算する処理を行う。即ち、ユーザID(Y1112)が所持するクレジットは、「1400ドル」に更新される。
【0067】
また、S211の払出処理では、スポーツブック管理サーバ10は、S210の処理で算出された払出額を、払出要求をしてきたユーザ端末装置30に通知する。
【0068】
そして、払出額の通知を受信した、ユーザ端末装置30は、表示部401に、払出額(「200ドル」)及び払出額がユーザID(Y1112)の所持するクレジットに加算された旨を表示する(S108)。
【0069】
その後、ユーザは、デポジットしていたクレジットを換金するために、ユーザ端末装置30を使用して、現在の所持するクレジット「1400ドル」を、自己の管理口座がある資金管理装置40に入金する換金要求をスポーツブック管理サーバ10に送信する(S109)。この換金要求を受信したスポーツブック管理サーバ10は、ブックメーカの運営者の管理口座がある資金管理装置40から、ユーザの管理口座に振込むように振込依頼をする(S212)。そして、この振込依頼を受けた資金管理装置40は、ブックメーカの運営者の管理口座がある資金管理装置40から、ユーザの管理口座に振込処理をする(S303)。
【0070】
そして、振込処理が終わったら、資金管理装置40は、ユーザ端末装置30に振込完了報告をする(S304)。この振込完了報告を受けた、ユーザ端末装置30は、表示部401に振込が完了した旨の通知を表示する(S110)。例えば、「1400ドル」の振込が完了した旨の通知が表示部401に表示される。
【0071】
上記構成によれば、ブックメーカシステム1側に、ユーザ端末装置30を利用する個々のユーザ(ユーザID)ごと、個々のベット対象ごとに、ベット時点でのオッズを直接記憶することなく、ユーザ端末装置30から、イベントのベット対象の結果を受けて払出要求があった場合にだけ、オッズ管理サーバ20が管理するオッズテーブルを参照して、払出要求時にユーザ端末装置30から送信されるベット証明情報が真正なもので払い出しを許可して良いかの判定をすればよいことになる。多数のユーザ端末装置30からのベットを受付ける場合であっても、受付時のスポーツブック管理サーバ10での記憶処理負担及びスポーツブック管理サーバ10での記憶容量の確保負担を低減することができる。特にブックメーカシステム1のように短期間で処理が集中するシステムにあっては効果的である。
【0072】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、スポーツブック管理サーバ10は、S104の処理によりユーザ端末装置30から送信されたベット情報を受信した日時でのベット対象のオッズを主メモリ603に記憶させていないが、S104の処理によりユーザ端末装置30から送信されたベット情報を受信した日時でのベット対象のオッズを主メモリ603に記憶させてもよい。この場合における処理対応を第2実施形態として図10及び図11を参照して説明する。なお、第1実施形態と同じ処理の説明は省略する。
【0073】
この場合、図10に示すように、S202の処理後、スポーツブック管理サーバ10は、オッズ管理サーバ20にアクセスして、S202の処理で記憶した、ベット情報を受信した日時でのベット対象のオッズを取得し、取得したベット対象のオッズを第1オッズとして主メモリ603に記憶する(S2203)。例えば、ベット情報を受信した日時が「TIME 12410」であれば、ベット対象に対するオッズとして、「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」の情報を取得する(図6参照)。そして、取得した「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」の情報を第1オッズとして主メモリ603に記憶する。
【0074】
その後、S107の処理(図11参照)によって、ユーザ端末装置30がスポーツブック管理サーバ10に、ベット証明情報を含む払出要求を送信すると、スポーツブック管理サーバ10は、ベット証明情報に含まれる「チームAの勝利」のオッズ「2.0倍」を、第2オッズとして主メモリ603に記憶する(S2208)。
【0075】
そして、S2208の処理後、スポーツブック管理サーバ10は、S2208の処理で記憶した第2オッズと、S2203の処理で記憶した第1オッズとが一致するか否かを判定し、第2オッズと第1オッズとが一致する場合は、払出要求のベット証明情報が真正であると判定し、払出額算出処理を実行する(S2210)。例えば、上記のように、第2オッズの「2.0倍」と第1オッズの「2.0倍」とが一致することから、S107の処理によりユーザ端末装置30から送信された、払出要求含まれるベット証明情報が真正であると判定される。そして、真正と判定されたベット証明情報から、払出額が算出される。例えば、ベット証明情報に含まれるベット額「100ドル」にオッズ「2.0倍」を乗算した値である「200ドル」が払出額として算出される。その後の処理は第1実施形態と同様である。
【0076】
上記構成によれば、ユーザ端末装置30において管理(記憶)されているベット証明情報に含まれるベット対象にベットした第2オッズと、ベットされたタイミングでブックメーカの管理者側のスポーツブック管理サーバ10の主メモリ603に記憶された第1オッズとが一致するかを判定することにより、イベントのベット対象の結果に基づき払出要求をした際に、ベット証明情報が真正であるかを適正・効率的に判定することができる。
【0077】
(その他の実施形態)
上記実施形態において、ベット証明情報には、ユーザ端末装置30に割り当てられたシリアル番号又は電子認証情報などを含んでいてもよい。
【0078】
第1実施形態では、オッズ管理サーバ20は、サッカーの試合状況を踏まえて、記憶装置22のオッズテーブル(図6参照)に、「チームAの勝利」のオッズ、「チームBの勝利」のオッズ、「引分け」のオッズを、それぞれ時間経過に対応付けられて逐次累積的に決定・記憶しているが、このオッズテーブルは、スポーツブック管理サーバ10がオッズ管理サーバ20と逐次共有してもよいし、必要なタイミングでダウンロードしてスポーツブック管理サーバ10の主メモリ603において記憶してもよい。
【0079】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、スポーツブック管理サーバ10を管理するブックメーカの運営者が、オッズ管理サーバ20によって実施されるイベントのベット対象のオッズを決定・設定しているが(スポーツブック管理サーバ10の管理者とオッズ管理サーバ20の管理者が同じ)、オッズ管理サーバ20の管理は、スポーツブック管理サーバ10を管理するブックメーカの運営者とは別個独立した組織・機関が行ってもよい。
【0080】
このように、ブックメーカシステム1が、オッズを管理するオッズ管理サーバ20を備えることにより、配当に重大な役割を果たすオッズの管理を、スポーツブック管理サーバ10とは独立したオッズ管理サーバ20で管理することができる。例えば、ブックメーカシステム1のスポーツブック管理サーバ10とオッズ管理サーバ20とを別会社に運営させることにより、ブックメーカシステム1に対する信頼性(公平性、不正防止)を高めることができる。
【0081】
上記ブックメーカシステム1では、同時期に複数種類のイベント或いは複数のベット対象を並列的して実施してもよい。例えば、上記第1ベット対象(サッカーの試合(チームA vs チームB)の結果)や第2ベット対象(サッカーの試合(チームA vs チームB)での先取チーム)をベット対象とするとともに、試合開始後の最初のコーナーキックを蹴るのはどちらのチームか、試合開始後の最初のイエローカードが出るのはどちらのチームか、誰が得点を決めるか、特定の選手が得点を決めるか否かなどを同時期に並列的に実施してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、ベット対象となるイベントとして、サッカーの試合を例示して説明したが、スポーツに限らず、時間経過によりオッズが変化するイベント中に、任意のタイミングでベット可能なイベントであれば、事象の成否(大統領選挙の結果、天気など)であってもよい。
【0083】
また、本実施形態のブックメーカシステム1では、スポーツブック管理サーバ10及び資金管理装置40の各機能を別々に説明したが、これらは同一のサーバにより同一の組織(スポーツベット運営側)で行ってもよい。また、スポーツベット運営側が、ペイメント機構を備え、上記ブックメーカシステムを一体的に管理運営してもよいし、それぞれ別個の組織が管理運営してもよい。これらの組織・運営・構成は、ブックメーカシステムが運営される地域の法・規律に従い便宜変更される。
【0084】
上記実施形態では管理口座は資金管理装置40が管理するものを例示しているが、スポーツブック管理サーバ10が管理する、デポジット対象である所持するクレジットを、管理口座に相当するものとしてもよい。
【0085】
本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
1 ブックメーカシステム
10 スポーツブック管理サーバ
20 オッズ管理サーバ
30 ユーザ端末装置
40 資金管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11