(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181108
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】情報入力装置、情報入力プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0346 20130101AFI20221130BHJP
G06F 3/04812 20220101ALI20221130BHJP
G06F 3/0482 20130101ALI20221130BHJP
A61B 90/90 20160101ALI20221130BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G06F3/0346 422
G06F3/0481 120
G06F3/0482
A61B90/90
A61C19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087951
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】521226912
【氏名又は名称】株式会社ムロヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】冨田 明男
【テーマコード(参考)】
4C052
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
4C052AA08
4C052LL07
5B087AA07
5B087AB14
5B087AC02
5B087BC12
5B087BC13
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5B087DE07
5E555AA08
5E555AA11
5E555BA22
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5E555BC17
5E555BE01
5E555CA42
5E555CB03
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5E555CC07
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5E555DC45
5E555DC60
5E555DD06
5E555EA22
5E555FA02
5E555FA08
5E555FA09
(57)【要約】
【課題】情報の入力を簡単な動作で確実に行える情報入力装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報入力装置は、ユーザの動作を撮影する撮影部2と、撮影部2で撮影された撮影画像を表示する表示部3と、特定の情報を複数の選択画像に関連付けて記憶する記憶部7と、制御部9とを備える。制御部9は、複数の選択画像11を表示部3に表示する選択画像表示手段と、撮影画像中のユーザの特定部分6a、6bを認識する特定部分認識手段と、特定部分認識手段により認識された特定部分6a、6bの座標に追跡画像12,13を表示する追跡画像表示手段と、追跡画像12、13と選択画像11の重なりを検出する重なり検出手段と、重なり検出手段が追跡画像12、13と選択画像11の重なりを検出すると選択画像11を確定表示する確定表示手段と、確定表示された選択画像11に関連付けされた情報を出力する出力手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの動作を撮影する撮影部と、
前記撮影部で撮影された撮影画像を表示する表示部と、
特定の情報を複数の選択画像に関連付けて記憶する記憶部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記複数の選択画像を前記表示部に表示する選択画像表示手段と、
前記撮影画像中のユーザの特定部分を認識する特定部分認識手段と、
前記特定部分認識手段により認識された前記特定部分の座標に追跡画像を表示する追跡画像表示手段と、
前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出する重なり検出手段と、
前記重なり検出手段が前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出すると前記選択画像を確定表示する確定表示手段と、
前記確定表示された前記選択画像に関連付けされた情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
前記選択画像は、当該選択画像に関連付けされた特定の情報に対応する表示を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
前記ユーザの特定部分は、ユーザが所持する物体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報入力装置。
【請求項4】
前記追跡画像は、前記特定部分の外形と同一又は近似する形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報入力装置。
【請求項5】
前記特定部分認識手段が認識した特定部分の色情報を検出する色情報検出手段と、
前記色情報検出手段が検出した色情報が所定の閾値と比較して前記特定部分の座標を確定する座標確定手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報入力装置。
【請求項6】
前記制御部は、情報入力処理前に、前記特定部分認識手段が認識した特定部分の色情報を前記所定の閾値とする閾値設定手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の情報入力装置。
【請求項7】
前記ユーザの特定部分は、第1特定部分と第2特定部分からなり、
前記確定表示手段は、前記第1特定部分の前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出すると、前記選択画像の選択状態を表示し、前記第2特定部分の前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出すると、前記選択画像の確定状態を表示することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の情報入力装置。
【請求項8】
複数の選択画像を表示部に表示する選択画像表示手段と、
撮影画像中のユーザの特定部分を認識する特定部分認識手段と、
前記特定部分認識手段により認識された前記特定部分の座標に追跡画像を表示する追跡画像表示手段と、
前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出する重なり検出手段と、
前記重なり検出手段が前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出すると前記選択画像を確定表示する確定表示手段と、
前記確定表示された前記選択画像に関連付けされた情報を出力する出力手段として機能させるための情報入力プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報入力プログラムを記憶したコンピュータにより読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーソナルコンピュータや情報端末等に非接触で情報を入力する情報入力装置、情報入力プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータや情報端末等に情報を入力する場合、キーボードやマウス等の入力機器を使用したり、タッチパネル上の特定の部分に指をタッチ操作することが行われている。ウイルスや細菌の感染を防止するには、入力機器やタッチパネルに直接接触することを避けることが望ましい。
【0003】
例えば、歯科医院では、患者の治療時に、トレイに並べられたミラー、バキューム、ピンセット、探針、エクスカベータ、充填器等の器具をディスポーザブル手袋を嵌めた手に持って患者の口腔内で使用する。手には患者の唾液や洗浄液が付着するため、コンピュータの電子カルテ等に入力する場合は、入力機器やタッチパネルに直接接触することはできないため、入力情報を音声で助手や歯科衛生士に伝えて入力してもらうことが行われている。
【0004】
特許文献1には、仮想空間内のメニュー空間を手で掴む動作を撮像し、手の動きや位置を認識して、手がいずれのメニュー空間を掴んだか判定する情報入力装置が記載されている。特許文献2には、使用者の手を撮像し、手の形状を認識して使用者が手の形状で指示した特定の操作を判別する非接触情報入力装置が記載されている。
【0005】
特許文献1や特許文献2の情報入力装置では、手で掴む動作や、手を特定の形状にする動作が必要であり、手の位置や動作速度によっては認識ができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-75991号公報
【特許文献2】特開2005-50177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、情報の入力を簡単な動作で確実に行える情報入力装置、情報入力プログラム及び記憶媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明に係る情報入力装置は、
ユーザの動作を撮影する撮影部と、
前記撮影部で撮影された撮影画像を表示する表示部と、
特定の情報を複数の選択画像に関連付けて記憶する記憶部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記複数の選択画像を前記表示部に表示する選択画像表示手段と、
前記撮影画像中のユーザの特定部分を認識する特定部分認識手段と、
前記特定部分認識手段により認識された前記特定部分の座標に追跡画像を表示する追跡画像表示手段と、
前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出する重なり検出手段と、
前記重なり検出手段が前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出すると前記選択画像を確定表示する確定表示手段と、
前記確定表示された前記選択画像に関連付けされた情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
前記選択画像は、当該選択画像に関連付けされた特定の情報に対応する表示を含むことが好ましい。
【0010】
前記ユーザの特定部分は、ユーザが所持する物体であることが好ましい。
【0011】
前記追跡画像は、前記特定部分の外形と同一又は近似する形状を有することが好ましい。
【0012】
前記特定部分認識手段が認識した特定部分の色情報を検出する色情報検出手段と、
前記色情報検出手段が検出した色情報が所定の閾値と比較して前記特定部分の座標を確定する座標確定手段とをさらに備えることが好ましい。
【0013】
前記制御部は、情報入力処理前に、前記特定部分認識手段が認識した特定部分の色情報を前記所定の閾値とする閾値設定手段を備えることが好ましい。
【0014】
前記ユーザの特定部分は、第1特定部分と第2特定部分からなり、
前記確定表示手段は、前記第1特定部分の前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出すると、前記選択画像の選択状態を表示し、前記第2特定部分の前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出すると、前記選択画像の確定状態を表示することが好ましい。
【0015】
本発明に係る情報入力プログラムは、
複数の選択画像を表示部に表示する選択画像表示手段と、
撮影画像中のユーザの特定部分を認識する特定部分認識手段と、
前記特定部分認識手段により認識された前記特定部分の座標に追跡画像を表示する追跡画像表示手段と、
前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出する重なり検出手段と、
前記重なり検出手段が前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出すると前記選択画像を確定表示する確定表示手段と、
前記確定表示された前記選択画像に関連付けされた情報を出力する出力手段として機能させるための情報入力プログラムである。
【0016】
本発明に係る情報入力プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体は、
複数の選択画像を表示部に表示する選択画像表示手段と、
撮影画像中のユーザの特定部分を認識する特定部分認識手段と、
前記特定部分認識手段により認識された前記特定部分の座標に追跡画像を表示する追跡画像表示手段と、
前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出する重なり検出手段と、
前記重なり検出手段が前記追跡画像と前記選択画像の重なりを検出すると前記選択画像を確定表示する確定表示手段と、
前記確定表示された前記選択画像に関連付けされた情報を出力する出力手段として機能させるための情報入力プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示部に表示された選択画像に、撮影画像中のユーザの特定部分の追跡画像を重ねるだけで、選択画像に関連付けられた特定の情報が出力されるので、情報の入力を簡単な動作で確実に行えるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報入力装置のブロック図。
【
図6】ミラー柄部の直線成分の両側の近傍エリアを示す図。
【
図8】ミラー部のキャリブレーション処理の手順を示す図。
【
図9】ミラー柄部のキャリブレーション処理の手順を示す図。
【
図10】ミラー柄部のキャリブレーション処理の他の実施例の手順を示す図。
【
図11】ミラー柄部のキャリブレーションエリアの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る情報入力装置1の構成を示す。情報入力装置1は、歯科医院における歯科治療ユニットのサイドテーブルに設けられ、歯科医や歯科衛生士等のユーザが患者の電子カルテにカルテ番号、歯周ポケットや歯牙動揺度、カリエス進行度の測定値、所見や、処置内容、処方内容の定型文選択入力等の必要情報を入力するのに適している。情報入力装置1は、撮像部2と、表示部3と、制御部4とを備えている。
【0021】
撮像部2は、ビデオカメラ、デジタルカメラ、一眼レフカメラ等のカメラである。撮像部2は、歯科治療ユニットのサイドテーブルに三脚で固定したり、サイドテーブルを支持するアームに取り付けたり、サイドテーブルに設置したモニターの上部に固定して、歯科医や歯科衛生士等のユーザの手元の動作、具体的にはユーザが所持する歯科器具を撮像することができるようになっている。撮像部2のHDMI(登録商標)端子は、ケーブルによりキャプチャー装置5を介して制御部4のUSB端子に接続される。
【0022】
ユーザが所持する歯科器具としては、サイドテーブル上のバットに置かれる、ミラー、ピンセット、エキスカベータ、充填器、探針のいずれか、特に円形のミラー部6aと直線形のミラー柄部6bの特徴部分を有するミラー6が好ましい。
【0023】
表示部3は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイで、治療又は処置中にユーザが見ることができるように、サイドテーブルの上方に設けられている。表示部3は、制御部4とケーブルで接続されている。
【0024】
制御部4は、デスクトップ型、ノートブック型のパーソナルコンピュータであり、記憶部7、メモリ8及び中央演算処理部(CPU)9を有している。
【0025】
記憶部7は、ハードディスク(HDD)、SSD等であり、所定のプログラムを記憶する主記憶部7aと、特定の情報を複数の選択画像に関連付けて記憶する選択画像記憶部7bとを備えている。情報入力処理等を行うプログラムは、記録媒体からコピーしたり、インターネット、クラウドからダウンロードして、主記憶部7aに記憶する。
【0026】
選択画像としては、撮影画像中の特定部分と区別できる形状であればよく、例えば特定部分が円や直線の場合は、矩形が好ましい。特定の情報が0,1~9の数字であれば、各数字に対応させて選択画像の10個の表示座標を記憶する。
【0027】
メモリ8は、RAMであり、カメラ画像データ、ミラー円成分座標、ミラー直線成分座標、確定データ及びキャリブレーション値をそれぞれ記憶する部分8a、8b、8c、8d、8eを有する。
【0028】
中央演算処理部9は、主記憶部7aから読み出したプログラムに従って所定の処理を行う。中央演算処理部9は、本発明の選択画像表示手段、特定部分認識手段、追跡画像表示手段、重なり検出手段、確定表示手段、出力手段を構成する。
【0029】
次に、情報入力装置1の動作を
図3-5に示すフローチャートに沿って説明する。
【0030】
図3-5は、情報入力装置1により、歯科医、歯科衛生士等のユーザがミラー6を所持して電子カルテにカルテ番号を入力するフローの動作を示している。このフローは、メインのループ1と、ミラー部6aの円成分の検出処理を行うループ2と、ミラー柄部6bの直線成分の検出処理を行うループ3を備えている。
【0031】
(情報入力処理)
情報入力処理では、0,1-9の数字からなるカルテ番号の情報をミラー6を使用して非接触で入力する。
【0032】
<ループ1>
ループ1は、0,1-9の数字に関連付けられた選択画像の選択と確定を行う。ステップ1で、撮像部2からカメラ画像が入力されると、ステップ2でカメラ画像を表示部3に表示する。
図2は、ミラー6を所持したユーザの手が表示されている。ステップ3では、キャリブレーションモードか否かを判断する。キャリブレーションモードは、ミラー部6aの円成分と、ミラー柄部6bの直線成分とを検出するときのミラー部6aとミラー柄部6bのカラー値の閾値を設定するモードである。キャリブレーションモードは、ループ1の始めに1回行えばよい。このキャリブレーションモードにつては後に詳述する。
【0033】
キャリブレーションモードでなければ、ステップ4で選択画像として選択矩形11を表示部3に表示する。
図2は、10個の選択矩形11の画像と、これらの選択矩形11の枠内に0から9の数字が表示されている。
【0034】
ステップ5では、カメラ画像のデータを第1メモリ8aに出力する。第1メモリ8aに出力されるカメラ画像データは、ループ2で使用する。
【0035】
ステップ6で、第2メモリ8bからミラー円成分座標が入力され、ステップ7で、カメラ画像のミラー円成分座標にミラー追跡円12をレンダリング表示する。
図2では、ミラー部6aの画像の周りに円形の追跡円12が表示されている。追跡円12は、ユーザがミラー6を移動させると、これに追従して追跡円12が移動する。
【0036】
ステップ8では、追跡円12が選択矩形11に重なるか否かを判断する。これは、追跡円12の中心座標が選択矩形11の範囲内にあるか否かに基づいて行う。
【0037】
ステップ8で、追跡円12が選択矩形11に重ならないと判断し、ステップ9-1で選択矩形11が選択状態でないと判断すると、ステップ1に戻り、ステップ8で追跡円12が選択矩形11に重なるまで繰り返す。
【0038】
ステップ8で、追跡円12が選択矩形11に重なると判断し、ステップ9で、選択矩形11が選択状態でないと判断すると、ステップ10で重なった選択矩形11でない他の選択矩形11が選択状態か否かを判断する。
【0039】
ステップ10で他の選択矩形11が選択状態でなければ、ステップ12で、重なった選択矩形11に選択状態をマーキング表示し、ステップ13に移行する。
図2では、選択矩形11の選択状態は選択矩形11の枠が太く表示されている。
【0040】
ステップ10で他の選択矩形11が選択状態にあることは、ユーザが他の選択矩形11が選択状態にあるにもかかわらず、選択状態にない選択矩形11に追跡円12を重ならせた場合が考えられる。このような場合、ステップ11で当該他の選択矩形11の選択状態のマーキングをリセットし、ステップ12で重なった選択矩形11に選択状態をマーキング表示し、ステップ13に移行する。
【0041】
なお、ステップ8で、追跡円12が選択矩形11に重ならないと判断し、ステップ9-1で選択矩形11が選択状態であると判断した場合、またステップ8で、追跡円12が選択矩形11に重なると判断し、ステップ9で、選択矩形11が選択状態であると判断した場合、既に選択矩形11の選択が終わっているので、ステップ13に移行する。
【0042】
図4のステップ13では、カメラ画像のデータを第1メモリ8aに出力する。第1メモリ8aに出力されるカメラ画像データは、ループ3で使用する。
【0043】
ステップ14で、第3メモリ8cからミラー直線成分座標が入力され、ステップ15で、カメラ画像のミラー直線成分座標にミラー追跡直線13をレンダリング表示する。
図2では、ミラー柄部6bの画像に沿って2本の直線からなる追跡直線13が表示されている。追跡直線13は、ユーザがミラー6を移動させると、これに追従して移動する。
【0044】
ステップ16では、追跡直線13が選択矩形11に重なるか否かを判断する。これは、追跡直線13の中心座標が選択矩形11の範囲内にあるか否かに基づいて行う。
【0045】
ステップ16で、追跡直線13が選択矩形11に重ならないと判断すると、ステップ1に戻り、ステップ16で追跡直線13が選択矩形11に重なるまで繰り返す。
【0046】
ステップ16で、追跡直線13が選択矩形11に重なると判断すると、ステップ17で重なった選択矩形11に確定状態をマーキング表示し、ステップ18に移行する。
図2では、選択矩形11の確定状態は選択矩形11内がハッチングで表示されている。
【0047】
ステップ18では、確定状態にある選択矩形11に対応する数字を確定データとして第4メモリ8dに出力する。第4メモリ8dに出力された確定データは、ステップ19で、表示部3の確定データ表示部14に表示される。
図2では、確定データ表示部14に、既に入力された情報として、791852が表示されている。
【0048】
確定データの表示を終えると、ステップ20で確定状態のマーキングをリセットして、ループ1の始めのステップ1に戻り、同じステップを繰り返す。
【0049】
<ループ2>
図3に示すループ2は、ミラー部6aの円成分検出処理を行う。ステップ21で第5メモリ8eからキャリブレーション値が入力され、ステップ22で第1メモリ8aからカメラ画像データが入力される。
【0050】
ステップ23で、カメラ画像データに基づき円成分の認識処理を行い、円成分を検出したか否かを判断する。円成分を検出しなければ、ステップ21に戻り、円成分を検出するまで認識処理を行う。
【0051】
円成分の認識処理は、主記憶部7aにダウンロード又はインストールした画像認識プログラムを実行する。まず、グレースケールコンバータにより、カメラ画像データを白黒画素データに変換し、カメラ画像データの各ピクセルを0~255の整数データに置き換える。続いて、白黒画素データにCannyエッジ検出アルゴリズムを適用して二値化し、輪郭(エッジ)を検出する。次に、ハフ(Hough)変換により円成分を検出する。
【0052】
ステップ23で円成分を検出すると、ステップ24で円成分検出部のRGB値(Red、Green、Blueの3個の0~255の整数データ)それぞれの平均値を検出し、キャリブレーション値と比較してカラーマッチングを行う。カラーマッチングしなければ、ミラー部6aの円成分ではないので、ステップ21に戻り、ミラー部6aの円成分を検出するまで、カラーマッチング処理を行う。
【0053】
ステップ24でカラーマッチングすると、ステップ25でミラー円成分の座標値をメモリに出力して、ループ2のステップ21に戻り、同じステップを繰り返す。これにより、ユーザが所持するミラー6の動きに追従してミラー円成分座標が時系列で更新される。
【0054】
<ループ3>
ループ3は、ミラー柄部6bの直線成分検出処理を行う。ステップ31で第4メモリ8dからキャリブレーション値が入力され、ステップ32で第1メモリ8aからカメラ画像データが入力される。
【0055】
ステップ33で、カメラ画像データに基づき直線成分の認識処理を行い、直線成分を検出したか否かを判断する。直線成分を検出しなければ、ステップ31に戻り、直線成分を検出するまで認識処理を行う。
【0056】
直線成分の認識処理は、円成分の認識処理と同様に、まず、グレースケールコンバータにより、カメラ画像データを白黒画素データに変換し、カメラ画像データの各ピクセルを0~255の整数データに置き換える。続いて、白黒画素データにCannyエッジ検出アルゴリズムを適用して二値化し、輪郭(エッジ)を検出する。次に、ハフ(Hough)変換により直線成分を検出する。
【0057】
ステップ33で直線成分を検出すると、ステップ34で直線成分の両側の近傍エリアのRGB値(Red、Green、Blueの3個の0~255の整数データ)それぞれの平均値を検出し、当該RGB値をキャリブレーション値と比較してカラーマッチングを行う。
図6は、ミラー柄部6bの直線成分S1、S2のそれぞれの両側の近傍エリアSa、Sbを示している。両側の近傍エリアのいずれもカラーマッチングしなければ、ミラー柄部6bの直線成分ではないので、ステップ21に戻り、ミラー柄部6bの直線成分を検出するまで、カラーマッチング処理を行う。
【0058】
ステップ34で両側の近傍エリアのうち少なくともいずれかがカラーマッチングすると、ステップ35でミラー直線成分の座標値を第3メモリ8cに出力して、ループ3のステップ31に戻り、同じステップを繰り返す。これにより、ユーザが所持するミラー6の動きに追従してミラー直線成分座標が時系列で更新される。
【0059】
図7を参照して情報入力処理の手順を説明すると、
図7(a)は、表示部3に表示されたミラー6のカメラ画像である。
図7(b)では、表示部3に選択矩形11が表示されるとともに、ミラー6のカメラ画像のミラー部6aに追跡円12が表示され、ミラー柄部6bに追跡直線13が表示されている。ユーザがミラー6を動かすと、ミラー部6aに追跡円12が追従し、ミラー柄部6bに追跡直線13が追従して、表示される。ユーザは、ミラー6を動かし、追跡円12を所望の選択矩形11に近づけて、
図7(c)に示すように、追跡円12を選択矩形11に重ねると、選択矩形11が選択状態に変化する。続いて、ユーザがミラー6を動かし、
図7(d)に示すように、追跡直線13を選択状態にある選択矩形11に重ねると、選択矩形11が確定状態に変化する。
【0060】
以上のように、情報入力処理では、0,1~9の数字によりカルテ番号を入力するのに、ユーザがミラー6を使用して、ミラー部6aの追跡円12を選択矩形11に重ねることにより0.1~9の数字に関連付けられた選択矩形11を選択し、ミラー柄部6bの追跡直線13を選択矩形11に重ねることにより確定することで、0,1~9の数字からなカルテ番号を入力することができる。
【0061】
(キャリブレーション処理)
図5は、キャリブレーション処理を示す。キャリブレーション処理は、ループ1の情報入力処理、ループ2の円成分検出処理、ループ3の直線成分検出処理を行う前に、カメラ画像に現れるミラー6のミラー部6aとミラー柄部6bのRGBカラー値の許容範囲(閾値)をキャリブレーション値として設定するものである。
【0062】
まず、ミラー部6aのキャリブレーション処理を説明すると、ステップ41で、表示部3にキャリブレーション選択矩形21をレンダリング表示する。
図8では、表示部3の右下にミラー部6aのキャリブレーション選択矩形21が表示されている。
【0063】
ステップ42で、表示部3にキャリブレーションガイド円22をレンダリング表示する。
図8では、表示部3の中央に、キャリブレーションガイド円22と、その中に矩形の検出部23とが表示されている。
【0064】
ステップ43で、カメラ画像を第1メモリ8aに出力し、ステップ44で第2メモリ8bからミラー円成分座標が入力される。ステップ45で、ミラー追跡円12をレンダリング表示する。
図8(a)では、ミラー追跡円12が太線で表示されている。
【0065】
ステップ46で、ミラー追跡円12がキャリブレーションガイド円22に重なるか否かを判断する。これは、ミラー追跡円12の中心座標がキャリブレーションガイド円22の範囲内にあるか否かに基づいて行う。
図8(b)は、ミラー追跡円12がキャリブレーションガイド円22に重なった状態を示している。
【0066】
ステップ46で、ミラー追跡円12がキャリブレーションガイド円22に重ならないと判断すると、ループ1のステップ1~3、3-1、3-2を経て、ステップ41戻り、同じステップを繰り返す。
【0067】
ステップ46で、ミラー追跡円12がキャリブレーションガイド円22に重なると判断すると、ステップ47で、キャリブレーション開始のマーキング表示を行う。
図8(b)では、キャリブレーションガイド円22の色が変化している。
【0068】
ステップ48で、検出円の大きさを測定し、ステップ49で検出部23内にあるミラー部6aの画像のカラー値を検出する。具体的には、ミラー部6aの画像の画素を走査し、全ての画素のRGB値(Red、Green、Blueの3個の0~255の整数データ)それぞれの平均値を求める。ステップ50で、キャリブレーション値を第5メモリ8eに出力する。キャリブレーション値は、RGB値(Red、Green、Blueの3個の0~255の整数データ)それぞれの平均値を中心とする所定の範囲の閾値とする。例えば、RGBのうちRの平均値を100とした場合、100±50をRのキャリブレーション値とする。G、Bについても同様に、キャリブレーション値をそれぞれ定める。
【0069】
ステップ51で、キャリブレーション終了のマーキング表示を行う。
図8(c)では、キャリブレーションガイド円22が元の色に変化している。
【0070】
ステップ52で所定時間、ウェイティング(待機)し、ステップ53で、キャリブレーションガイド円22のマーキング表示をリセットしてキャリブレーション処理を終了し、ループ1のステップ1に戻る。
【0071】
次に、ミラー柄部6bのキャリブレーション処理を説明する。ステップ61で、表示部3にキャリブレーション選択矩形31をレンダリング表示する。
図9では、表示部3の右下にミラー柄部6bのキャリブレーション選択矩形31が表示されている。
【0072】
ステップ62で、表示部3にキャリブレーションガイド矩形32a、32bをレンダリング表示する。
図9では、表示部3の中央に、2つのキャリブレーションガイド矩形32a、32bと、その間に矩形の検出部33とが表示されている。
【0073】
ステップ63で、カメラ画像を第1メモリ8aに出力し、ステップ64で第3メモリ8cからミラー柄部6bの直線成分座標が入力される。ステップ65で、ミラー追跡直線13a、13bをレンダリング表示する。
図9(a)では、2つのミラー追跡直線13a、13bが太線で表示されている。
【0074】
ステップ66で、2つのミラー追跡直線13a、13bのうち一方の追跡直線13aがキャリブレーションガイド矩形32aに重なるか否か、ステップ67で他方のミラー追跡直線13bがキャリブレーションガイド矩形32bに重なるか否かを判断する。これは、ミラー追跡直線13a、13bの中心座標がガイド矩形32a、32bの範囲内にあるか否かに基づいて行う。
図9(b)は、各ミラー追跡直線13a、13bがキャリブレーションガイド矩形32a、32bに重なった状態を示している。
【0075】
ステップ66、67で、ミラー追跡直線13a、13bがキャリブレーションガイド矩形32a、32bに重ならないと判断すると、ループ1のステップ1~3、3-1を経て、ステップ61戻り、同じステップを繰り返す。
【0076】
ステップ66、67で、ミラー追跡直線13a、13bがキャリブレーションガイド矩形32a、32bに重なると判断すると、ステップ68で、キャリブレーション開始のマーキング表示を行う。
図9(b)では、キャリブレーションガイド矩形32a、32bの色が変化している。
【0077】
ステップ69で検出部33内にあるミラー柄部6bの画像のカラー値を検出する。具体的には、ミラー柄部6bの画像の画素を走査し、全ての画素のRGB値(Red、Green、Blueの3個の0~255の整数データ)それぞれの平均値を求める。ステップ70で、キャリブレーション値を第5メモリ8eメモリに出力する。キャリブレーション値は、RGB値(Red、Green、Blueの3個の0~255の整数データ)それぞれの平均値を中心とする所定の範囲の閾値とする。例えば、RGBのうちRの平均値を100とした場合、100±50をRのキャリブレーション値とする。G、Bについても同様に、キャリブレーション値をそれぞれ定める。
【0078】
ステップ71で、キャリブレーション終了のマーキング表示を行う。
図9(c)では、キャリブレーションガイド矩形32a、32bが元の色に変化している。
【0079】
ステップ72で所定時間、ウェイティング(待機)し、ステップ73で、キャリブレーションガイド矩形32a、32bのマーキング表示をリセットしてキャリブレーション処理を終了し、ループ1のステップ1に戻る。
【0080】
以上のように、キャリブレーション処理では、ミラー6のミラー部6aとミラー柄部6bのカラー値を測定してキャリブレーション値として第5メモリ8eに記憶し、ループ2の円成分検出処理、ループ3の直線成分検出処理においてキャリブレーション値を閾値として使用するので、ミラー6の円成分と直線成分を精度よく検出することができる。
【0081】
図10は、ミラー柄部6bのキャリブレーション処理の他の実施例を示す。このキャリブレーション処理では、1つのキャリブレーションガイド矩形32を設け、2つのミラー追跡直線13aと13bの間の四角形の領域をミラー柄部6bのキャリブレーションエリアかつ動的検出部6cとしている。
【0082】
図11(a)に示すように、ミラー追跡直線13aの両端点、中点をそれぞれA1、B1、C1とし、ミラー追跡直線13bの両端点、中点をそれぞれA2、B2、C2とし、ミラー追跡直線13aの両端点A1、B1を通る垂線がミラー追跡直線13bと交わる点をそれぞれD、E、ミラー追跡直線13aの中点C1を通る垂線がミラー追跡直線13bと交わる点をFとし、線分A1D、B1E、C1F、A1C1、FC2の長さをそれぞれ、l、m、n、α、βとし、ミラー柄部6bの幅の閾値を最小閾値Tmin、最大閾値Tmaxとするとき、
(A)ミラー追跡直線13a、13bがキャリブレーションガイド矩形32内にある
(B)Tmin < l < Tmax
(C)Tmin < m < Tmax
(D)Tmin < n < Tmax
(E)0 ≦ β< α
を同時に満たすとき、キャリブレーションを行うものとする。
【0083】
キャリブレーションエリア6cを導出するには、
図11(b-1)に示すように、点Dが線分A2B2上に無いとき、線分A2B2の点A2を通る垂線が線分A1B1と交わる点をGとし、
図11(b-2)に示すように、点Eが線分A2B2上に無いとき、線分A2B2の点B2を通る垂線が線分A1B1と交わる点をHとして、
(1)
図11(c-1)に示すように、線分A1B1上に点Gだけが存在するとき、点G,B1,E,A2を頂点する四角形の内側をキャリブレーションエリア6cとし、
(2)
図11(c-2)に示すように、線分A1B1上に点Hだけが存在するとき、点A1,H,B2,Dを頂点する四角形の内側をキャリブレーションエリア6cとし、
(3)
図11(c-3)に示すように、線分A1B1上に点G、Hが存在するとき、点G,H,B2,A2を頂点する四角形の内側をキャリブレーションエリア6cとし、
(4)
図11(c-4)に示すように、線分A1B1上に点G、Hが存在しないとき、点A1,B1,E,Dを頂点する四角形の内側をキャリブレーションエリア6cとする。
キャリブレーションエリア6cは、着色して明示する。
【0084】
前記A-Eの条件を同時に満たすと判断すると、
図10(b)に示すように、キャリブレーションガイド矩形32の色を変化させて、キャリブレーション開始のマーキング表示を行う。ここで、キャリブレーションエリアかつ動的検出部6cの全ての画素を走査して、RGB値(Red、Green、Blueの3個の0~255の整数データ)それぞれの平均値を求め、それぞれのキャリブレーション値を出力する。次に、
図10(c)に示すように、キャリブレーションガイド矩形32を元の色に戻して、キャリブレーション終了のマーキング表示を行う。
【0085】
本発明は、以上の実施形態に限るものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の要旨を逸脱することなく、適宜修正し変更することができる。
【0086】
例えば、前記実施形態では、ユーザが所持するミラー6の特定部分として、ミラー部6aとミラー柄部6bを特定し、ミラー部6aで選択画像11を選択状態とし、ミラー柄部6bで選択画像11を確定状態としているが、ミラー部6aとミラー柄部6bのいずれか一方だけで、確定状態としてもよい。あるいは、ミラー部6aが円で表示されたときに選択状態とし、ミラー6をひねってミラー部6aが楕円又は直線で表示されたときに確定状態としてもよい。
【0087】
また、前記実施形態では、ユーザの特定部分として、ユーザが所持するミラー6のミラー部6aとミラー柄部6bとしたが、ミラー6に限らず、他の器具としてもよいし、ユーザの指先、ユーザが装着した手袋のマーク等としてもよい。
【0088】
さらに、前記実施形態では、情報入力装置で入力する情報として、歯科用電子カルテの数字からなるカルテ番号としたが、記号やアルファベットを含む情報でもよい。この場合、記号やアルファベットに対応する選択矩形を表示部に表示する必要がある。
【符号の説明】
【0089】
1 情報入力装置
2 撮影部
3 表示部
4 制御部
5 キャプチャー装置
6 ミラー
6a ミラー部
6b ミラー柄部
7 記憶部
8 メモリ
9 中央演算処理部
11 選択矩形
12 追跡円
13 追跡直線
14 確定データ表示部
21 キャリブレーション選択矩形
22 キャリブレーションガイド円
23 検出部
31 キャリブレーション選択矩形
32a、32b キャリブレーションガイド矩形
33 検出部