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特開2022-181110スクリーン印刷版及びスクリーン印刷版の製造方法
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  • 特開-スクリーン印刷版及びスクリーン印刷版の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181110
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】スクリーン印刷版及びスクリーン印刷版の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41N 1/24 20060101AFI20221130BHJP
   B41C 1/14 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B41N1/24
B41C1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087953
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】300071823
【氏名又は名称】株式会社ボンマーク
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 昭二
(72)【発明者】
【氏名】馬場 泰行
【テーマコード(参考)】
2H084
2H114
【Fターム(参考)】
2H084AA32
2H084BB07
2H084BB08
2H084CC10
2H114AB02
2H114AB04
2H114AB05
2H114AB13
2H114BA10
2H114DA04
2H114DA53
2H114DA56
2H114GA11
(57)【要約】
【課題】印刷パターンが微細になっても価格の上昇を抑えることができるスクリーン印刷版を提供する。
【解決手段】スクリーン印刷版1は、枠2、ポリエステルメッシュ3、及び複合シート4を備える。複合シート4は、ポリエステルメッシュ3を介して枠2に設けられる。複合シート4は、印刷パターンに対応する開口パターンが形成されたポリイミドシート5と、格子状のニッケルシート6とを備える。ニッケルシート6の表面6bは、繊維が編まれることによって形成される凹凸がなく平坦である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と、
樹脂メッシュと、
前記樹脂メッシュを介して前記枠に設けられた複合シートと、
を備え、
前記複合シートは、
印刷パターンに対応する開口パターンが形成された樹脂シートと、
前記樹脂シートの第1表面に設けられた格子状のニッケルシートと、
を備え、
前記ニッケルシートの第2表面は、前記第1表面と同じ方向を向き、
前記第2表面は、繊維が編まれることによって形成される凹凸がなく平坦であるスクリーン印刷版。
【請求項2】
前記樹脂メッシュは、前記樹脂シートの第3表面に固定され、
前記第3表面は、前記第1表面が向く方向とは反対の方向を向く請求項1に記載のスクリーン印刷版。
【請求項3】
枠と、
前記枠に設けられ、印刷パターンに対応する開口パターンが形成された樹脂シートと、
前記樹脂シートの第1表面に設けられ、前記開口パターンを前記第1表面側から覆う格子状のニッケルシートと、
を備え、
前記ニッケルシートの第2表面は、前記第1表面と同じ方向を向き、
前記第2表面は、繊維が編まれることによって形成される凹凸がなく平坦であるスクリーン印刷版。
【請求項4】
前記ニッケルシートは、格子状に配置された縦桟及び横桟を備え、
前記縦桟の幅及び前記横桟の幅は、それぞれ0.023mmより小さい値であり、
前記縦桟の間隔及び前記横桟の間隔は、それぞれ0.040mmより小さい値である請求項1から請求項3の何れか一項に記載のスクリーン印刷版。
【請求項5】
格子状のニッケルシートをめっきによって作製する第1工程と、
前記第1工程の後、樹脂シートを前記ニッケルシートに固定し、複合シートを作製する第2工程と、
枠に樹脂メッシュを張る第3工程と、
前記第3工程の後、前記複合シートを前記樹脂メッシュに固定する第4工程と、
前記第4工程の後、前記樹脂メッシュのうち前記複合シートと重なっている部分の一部を除去する第5工程と、
前記第5工程の後、前記樹脂シートにレーザを照射することにより、印刷パターンに対応する開口パターンを前記樹脂シートに形成する第6工程と、
を備えたスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項6】
前記第4工程では、前記樹脂シートを前記樹脂メッシュに固定する請求項5に記載のスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項7】
格子状のニッケルシートをめっきによって作製する第1工程と、
枠に樹脂シートを張る第2工程と、
前記第2工程の後、前記ニッケルシートを前記樹脂シートに固定する第3工程と、
前記第3工程の後、前記樹脂シートにレーザを照射することにより、印刷パターンに対応する開口パターンを前記樹脂シートに形成する第4工程と、
を備えたスクリーン印刷版の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクリーン印刷版とスクリーン印刷版の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、スクリーン印刷版が記載されている。特許文献1に記載されたスクリーン印刷版は、ステンレスメッシュを備える。ステンレスメッシュは、ポリエステルメッシュを介して枠に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6603837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステンレスメッシュは、メッシュを表す数値が大きくなるほど網目が小さくなる。印刷パターンが微細になると、当該数値が大きいステンレスメッシュを使用しなければならない。しかし、当該数値が大きいステンレスメッシュは高価であるため、ステンレスメッシュを使用するスクリーン印刷版も高価になるといった問題があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、印刷パターンが微細になっても価格の上昇を抑えることができるスクリーン印刷版を提供することである。本開示の他の目的は、このようなスクリーン印刷版の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るスクリーン印刷版は、枠と、樹脂メッシュと、樹脂メッシュを介して枠に設けられた複合シートと、を備える。複合シートは、印刷パターンに対応する開口パターンが形成された樹脂シートと、樹脂シートの第1表面に設けられた格子状のニッケルシートと、を備える。ニッケルシートの第2表面は、第1表面と同じ方向を向く。第2表面は、繊維が編まれることによって形成される凹凸がなく平坦である。
【0007】
本開示に係るスクリーン印刷版は、枠と、枠に設けられ、印刷パターンに対応する開口パターンが形成された樹脂シートと、樹脂シートの第1表面に設けられ、開口パターンを第1表面側から覆う格子状のニッケルシートと、を備える。ニッケルシートの第2表面は、第1表面と同じ方向を向く。第2表面は、繊維が編まれることによって形成される凹凸がなく平坦である。
【0008】
本開示に係るスクリーン印刷版の製造方法は、格子状のニッケルシートをめっきによって作製する第1工程と、第1工程の後、樹脂シートをニッケルシートに固定し、複合シートを作製する第2工程と、枠に樹脂メッシュを張る第3工程と、第3工程の後、複合シートを樹脂メッシュに固定する第4工程と、第4工程の後、樹脂メッシュのうち複合シートと重なっている部分の一部を除去する第5工程と、第5工程の後、樹脂シートにレーザを照射することにより、印刷パターンに対応する開口パターンを樹脂シートに形成する第6工程と、を備える。
【0009】
本開示に係るスクリーン印刷版の製造方法は、格子状のニッケルシートをめっきによって作製する第1工程と、枠に樹脂シートを張る第2工程と、第2工程の後、ニッケルシートを樹脂シートに固定する第3工程と、第3工程の後、樹脂シートにレーザを照射することにより、印刷パターンに対応する開口パターンを樹脂シートに形成する第4工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、印刷パターンが微細になってもスクリーン印刷版の価格の上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1におけるスクリーン印刷版の例を示す図である。
図2図1に示すスクリーン印刷版の断面を示す図である。
図3】ニッケルシートを拡大した図である。
図4図3のA-A断面を示す図である。
図5】実施の形態1におけるスクリーン印刷版の製造方法の例を示すフローチャートである。
図6】スクリーン印刷版の顕微鏡写真を示す。
図7】実施の形態1におけるスクリーン印刷版の他の例を示す図である。
図8図7に示すスクリーン印刷版の断面を示す図である。
図9】実施の形態1におけるスクリーン印刷版の製造方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して詳細な説明を行う。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるスクリーン印刷版1の例を示す図である。図2は、図1に示すスクリーン印刷版1の断面を示す図である。
【0014】
図1及び図2に示す例では、スクリーン印刷版1は、枠2、ポリエステルメッシュ3、及び複合シート4を備える。ポリエステルメッシュ3は、樹脂メッシュの一例である。複合シート4は、ポリエステルメッシュ3を介して枠2に設けられる。ポリエステルメッシュ3は、複合シート4の周囲に配置される。ポリエステルメッシュ3によって複合シート4に張力が付与される。
【0015】
複合シート4は、ポリイミドシート5、及び格子状のニッケルシート6を備える。ポリイミドシート5に、印刷パターンに対応する開口パターンが形成される。ポリイミドシート5の一方の表面5aは、被印刷物が対向する印刷面である。ポリイミドシート5のもう一方の表面5bは、表面5aが向く方向とは反対の方向を向く。
【0016】
ニッケルシート6は、ポリイミドシート5の表面5bに設けられる。ニッケルシート6の一方の表面6aは、ポリイミドシート5に対向する。ニッケルシート6のもう一方の表面6bは、印刷の際にスキージが接触するスキージ面である。表面6bは、表面6aが向く方向とは反対の方向を向く。表面6bは、表面5bが向く方向と同じ方向を向く。
【0017】
図3は、ニッケルシート6を拡大した図である。図3は、ニッケルシート6を表面6b側から見た図を示す。図4は、図3のA-A断面を示す図である。図3に示すX軸及びY軸は、表面6bに沿う軸である。Y軸は、X軸に直交する。ニッケルシート6には、X軸方向及びY軸方向の双方に整列する無数の開口6cが形成されている。
【0018】
ニッケルシート6は、ポリエステルメッシュ3或いはステンレスメッシュのように繊維を編み込んで作製されたものではない。ニッケルシート6は、めっきによって作製される。このため、ニッケルシート6の表面6a及び表面6bには、繊維が編まれることによって形成される凹凸がない。表面6a及び表面6bは、平坦である。
【0019】
一例として、ニッケルシート6は、多数の縦桟7及び多数の横桟8を備える。縦桟7と横桟8とは一体的に形成されている。多数の開口6cは、縦桟7と横桟8とが格子状に配置されることによって形成される。なお、本実施の形態に示す例において、格子状とは、縦桟7と横桟8とが直交する場合に限定されない。格子状には、縦桟7と横桟8とが90度より大きい角度或いは90度より小さい角度で交差する場合も含まれる。
【0020】
図4(a)は、縦桟7の断面形状が矩形である例を示す。図4(b)は、縦桟7の断面形状がきのこ形である例を示す。縦桟7の断面形状は、一部に曲線が含まれていても良い。縦桟7の断面形状は、図4に示す例に限定されない。例えば、縦桟7の断面形状として、特開2019-25828号公報に例示されている断面形状が採用されても良い。横桟8の断面形状は、縦桟7の断面形状と同じであることが好ましい。
【0021】
ニッケルシート6は、縦桟7或いは横桟8が印刷方向に対して特定の角度を有するようにポリイミドシート5に設けられる。印刷方向は、印刷の際にスキージが移動する方向である。上記特定の角度は、-29°~+29°の間に含まれる角度であることが好ましい。一例として、ニッケルシート6は、縦桟7の印刷方向に対する角度が22.5°となるように配置される。
【0022】
なお、図2に示す例では、複合シート4のうちポリイミドシート5のみがポリエステルメッシュ3に固定される。ポリエステルメッシュ3は、ニッケルシート6に接触していない。具体的に、ポリエステルメッシュ3は、ポリイミドシート5の表面5aの縁部に固定される。他の例として、複合シート4のうちニッケルシート6のみがポリエステルメッシュ3に固定されても良い。かかる場合、ポリエステルメッシュ3は、ニッケルシート6の表面6bの縁部に固定される。
【0023】
次に、図5も参照し、スクリーン印刷版1を製造する方法について説明する。図5は、実施の形態1におけるスクリーン印刷版1の製造方法の例を示すフローチャートである。
【0024】
先ず、S101において、ニッケルシート6を作製する第1工程を行う。ニッケルシート6は、めっきによって作製される。具体的に、第1工程では、先ず、ステンレス製の母材を用意する。次に、その母材上に、開口6cに対応する多数のレジストを形成する。当該レジストは、母材上に、縦方向及び横方向の双方に整列するように配置される。次に、電解めっきを行うことにより、母材上にニッケル層を形成する。そして、レジストを除去した後に当該ニッケル層を母材から剥離することにより、図3及び図4に示すような格子状のニッケルシート6を作製することができる。
【0025】
次に、S102において、複合シート4を作製する第2工程を行う。第2工程では、先ず、ポリイミドシート5の表面5bに接着剤を塗布する。接着剤が塗布されたポリイミドシート5を第1工程で作製したニッケルシート6に固定することにより、複合シート4を作製することができる。
【0026】
次に、S103において、枠2にポリエステルメッシュ3を張る第3工程を行う。ポリエステルメッシュ3は、枠2の内側全体を覆うように枠2に張られる。なお、第3工程は、第2工程の後に行われなくても良い。例えば、第3工程は、第2工程の前に行われても良い。第3工程は、第1工程の前に行われても良い。
【0027】
第2工程及び第3工程の後、S104において、枠2に張られたポリエステルメッシュ3に第2工程で作製した複合シート4を固定する第4工程を行う。これにより、複合シート4がポリエステルメッシュ3を介して枠2に支持される。例えば、ポリイミドシート5の表面5aの縁部がポリエステルメッシュ3に接着固定される。ポリイミドシート5のうち開口パターンが形成されている部分は、ポリエステルメッシュ3に接着固定されない。第4工程では、ニッケルシート6の表面6bの縁部がポリエステルメッシュ3に接着固定されても良い。
【0028】
次に、S105において、ポリエステルメッシュ3のうち複合シート4と重なっている部分の一部を除去する第5工程を行う。第5工程では、ポリエステルメッシュ3のうち、ポリイミドシート5に接着固定された部分より内側に配置されている部分が切り取られる。ポリエステルメッシュ3の当該一部が除去されることにより、複合シート4に対してポリエステルメッシュ3による張力が付与される。
【0029】
次に、S106において、ポリイミドシート5に、印刷パターンに対応する開口パターンを形成する第6工程を行う。第6工程では、ポリイミドシート5に対して表面5a側からレーザが照射される。レーザの出力が適切に設定されることにより、レーザによってポリイミドシート5が焼き切られる。この時、ニッケルシート6がレーザによって焼き切られることがないようにレーザの出力が設定される。第6工程では、開口パターンを形成するために、UVレーザ或いはDUVレーザが用いられることが好ましい。
【0030】
以上の手順により、図1及び図2に示すようなスクリーン印刷版1を製造することができる。図6は、スクリーン印刷版1の顕微鏡写真を示す。図6は、第6工程において、ポリイミドシート5に開口パターンが形成された状態を示す。
【0031】
なお、S106の後に、ニッケルシート6に形成された開口6cのうち、ポリイミドシート5に形成された開口パターンに対向していない開口6cを乳剤等で埋める第7工程を行っても良い。当該第7工程は、S106の前に行われても良い。
【0032】
本実施の形態に示す例では、スクリーン印刷版1において、格子状のニッケルシート6が用いられる。ニッケルシート6はめっきによって作製されるため、繊維を編み込んで作製されるメッシュシート、例えばステンレスメッシュシートのように、メッシュを表す数値が大きくなることによってその価格が急激に上昇することはない。本実施の形態に示す例であれば、印刷パターンが微細になってもスクリーン印刷版1の価格の上昇を抑えることができる。
【0033】
例えば、ステンレスメッシュシートは、500メッシュになるとその価格が急激に上昇する。一方、ニッケルシート6をめっきによって作製することにより、840メッシュ相当のものでもその価格を比較的安価に抑えることができる。したがって、本実施の形態に示すスクリーン印刷版1は、500メッシュ相当或いはそれ以上のニッケルシート6を備える場合に特に有効な手段となる。
【0034】
なお、500メッシュより一段粗い400メッシュのステンレスメッシュシートは、線径が0.023mmであり、間隔が0.040mmであるものが多い。したがって、ニッケルシート6は、その縦桟7の幅w1が0.023mmより小さい値である場合に特に効果が期待できる。また、ニッケルシート6は、その縦桟7の幅w1が0.023mmより小さい値であり、且つ縦桟7の間隔w2が0.040mmより小さい値である場合に更に効果が期待できる。なお、横桟8の幅は縦桟7の幅と同じであることが好ましい。横桟8の間隔は縦桟7の間隔と同じであることが好ましい。
【0035】
図7は、実施の形態1におけるスクリーン印刷版1の他の例を示す図である。図8は、図7に示すスクリーン印刷版1の断面を示す図である。
【0036】
図7及び図8に示す例では、スクリーン印刷版1は、枠2、ポリイミドシート5、及び格子状のニッケルシート6を備える。図7及び図8に示すスクリーン印刷版1は、図1及び図2に示すスクリーン印刷版1のようにポリエステルメッシュ3を備えていない。図7及び図8に示すスクリーン印刷版1では、ポリイミドシート5が、枠2の内側全体を覆うように枠2に設けられる。
【0037】
ポリイミドシート5に、印刷パターンに対応する開口パターンが形成される。ポリイミドシート5の一方の表面5aは、被印刷物が対向する印刷面である。ポリイミドシート5のもう一方の表面5bは、表面5aが向く方向とは反対の方向を向く。
【0038】
ニッケルシート6は、ポリイミドシート5の表面5bに設けられる。ニッケルシート6は、開口パターンの全体を表面5b側から覆うように配置される。ニッケルシート6の一方の表面6aは、ポリイミドシート5に対向する。ニッケルシート6のもう一方の表面6bは、印刷の際にスキージが接触するスキージ面である。表面6bは、表面6aが向く方向とは反対の方向を向く。表面6bは、表面5bが向く方向と同じ方向を向く。
【0039】
図7及び図8に示すスクリーン印刷版1に備えられたニッケルシート6は、図1及び図2に示すスクリーン印刷版1に備えられたニッケルシート6と同様である。即ち、ニッケルシート6には、図3及び図4に示すように、X軸方向及びY軸方向の双方に整列する無数の開口6cが形成される。また、ニッケルシート6の表面6a及び表面6bには、繊維が編まれることによって形成される凹凸がない。表面6a及び表面6bは、平坦である。例えば、多数の開口6cは、縦桟7と横桟8とが格子状に配置されることによって形成される。
【0040】
次に、図9も参照し、スクリーン印刷版1を製造する他の方法について説明する。図9は、実施の形態1におけるスクリーン印刷版1の製造方法の他の例を示すフローチャートである。
【0041】
先ず、S201において、ニッケルシート6を作製する第1工程を行う。S201に示す第1工程は、図5のS101に示す第1工程と同様である。即ち、第1工程では、図3及び図4に示すような格子状のニッケルシート6がめっきによって作製される。
【0042】
次に、S202において、枠2にポリイミドシート5を張る第2工程を行う。ポリイミドシート5は、枠2の内側全体を覆うように枠2に張られる。なお、第2工程は、第1工程の後に行われなくても良い。第2工程は、第1工程の前に行われても良い。
【0043】
第1工程及び第2工程の後、S203において、枠2に張られたポリイミドシート5に第1工程で作製したニッケルシート6を固定する第3工程を行う。例えば、第3工程では、表面5bに接着剤が塗布されたポリイミドシート5にニッケルシート6が貼り合わされる。
【0044】
次に、S204において、ポリイミドシート5に、印刷パターンに対応する開口パターンを形成する第4工程を行う。S204に示す第4工程は、図5のS106に示す第6工程と同様である。即ち、S204に示す第4工程では、ポリイミドシート5に対して表面5a側からレーザが照射される。レーザの出力が適切に設定されることにより、レーザによってポリイミドシート5が焼き切られる。この時、ニッケルシート6がレーザによって焼き切られることがないようにレーザの出力が設定される。開口パターンは、ポリイミドシート5のうちニッケルシート6が貼り合わされた部分にのみ形成される。
【0045】
以上の手順により、図7及び図8に示すようなスクリーン印刷版1を製造することができる。
【0046】
なお、S204の後にニッケルシート6に形成された開口6cのうち、ポリイミドシート5に形成された開口パターンに対向していない開口6cを乳剤等で埋める第5工程を行っても良い。当該第5工程は、S204の前に行われても良い。
【0047】
図7から図9に示す例であっても、スクリーン印刷版1において、格子状のニッケルシート6が用いられる。このため、印刷パターンが微細になってもスクリーン印刷版1の価格の上昇を抑えることができる。
【0048】
本実施の形態に示す各例において、ポリイミドシート5は、ポリイミド(PI)からなる樹脂シートの好適な例である。スクリーン印刷版1は、ポリイミドシート5の代わりに他の材料からなる樹脂シートを備えても良い。例えば、スクリーン印刷版1は、樹脂シートとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、或いはポリスチレン(PS)といった高分子材料からなるシートを備えても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 スクリーン印刷版
2 枠
3 ポリエステルメッシュ
4 複合シート
5 ポリイミドシート
5a~5b 表面
6 ニッケルシート
6a~6b 表面
6c 開口
7 縦桟
8 横桟
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9