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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181118
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】塞ぎ材のシール構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/684 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
E04B1/684 B
E04B1/684 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087965
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】村山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】藤森 藍
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA04
2E001FA32
2E001GA01
2E001GA07
2E001HF02
2E001MA02
2E001MA04
2E001MA06
2E001MA11
2E001MA15
(57)【要約】
【課題】建物の外壁材と枠体の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材の端部同士の連結部で、互いに対向する塞ぎ材の端部同士の間の箇所にシーリング材を容易に充填する。
【解決手段】塞ぎ材2のシール構造3は、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dで、互いの間に隙間2Eをあけて対向する塞ぎ材2の端部同士の間の箇所をシールする。シール受け材50は、隙間2Eを室内側において塞ぐ。バックアップ材60は、隙間2Eに、塞ぎ材2の端部の外縁部26に沿って形成されてシール受け材50により室内側において塞がれるシール充填部64を区画する。シーリング材70は、シール受け材50及びバックアップ材60により受けられて、シール充填部64に充填される。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に配置される枠体と建物の躯体の室外側に配置される外壁材との間の隙間を塞ぐ塞ぎ材の端部同士の連結部に設けられて、互いの間に隙間をあけて対向する前記塞ぎ材の端部同士の間の箇所をシールする塞ぎ材のシール構造であって、
前記塞ぎ材の端部同士の間の隙間を室内側において塞ぐシール受け材と、
前記塞ぎ材の端部同士の間で前記シール受け材の室外側の位置から前記シール受け材まで配置されて、前記塞ぎ材の端部同士の間の隙間に、前記塞ぎ材の端部の外縁部に沿って形成されて前記シール受け材により室内側において塞がれるシール充填部を区画するバックアップ材と、
前記シール受け材及び前記バックアップ材により受けられて、前記シール充填部に充填されたシーリング材と、
を備えた塞ぎ材のシール構造。
【請求項2】
請求項1に記載された塞ぎ材のシール構造において、
前記シール受け材は、前記塞ぎ材の端部と前記躯体の間及び前記塞ぎ材の端部と前記枠体の間に挟まれて、前記塞ぎ材の端部同士の間の隙間の室内側に配置される塞ぎ材のシール構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された塞ぎ材のシール構造において、
前記塞ぎ材は、室内側に向かって開放されて前記シール充填部に連続し、前記シール受け材により室内側において塞がれる室内側溝部を有し、
前記シーリング材は、前記シール充填部から前記室内側溝部の内部まで配置されて、前記シール受け材により受けられた状態で、前記室内側溝部の前記シール受け材により塞がれた箇所に充填された塞ぎ材のシール構造。
【請求項4】
請求項3に記載された塞ぎ材のシール構造において、
前記塞ぎ材は、室内側に向かって前記シール受け材まで突出して、前記室内側溝部を区画する突片を有し、
前記バックアップ材は、前記突片に沿って配置されて、前記シーリング材を受ける受け面を有する塞ぎ材のシール構造。
【請求項5】
請求項4に記載された塞ぎ材のシール構造において、
前記突片と前記受け面は、互いに位置を合致させて室内外方向に沿って配置される塞ぎ材のシール構造。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載された塞ぎ材のシール構造において、
前記シール充填部の外側に設けられ、前記シール充填部内で前記シール受け材により受けられる前記シーリング材の端部を覆う覆いシール部を備えた塞ぎ材のシール構造。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載された塞ぎ材のシール構造において、
前記シール受け材よりも室外側に位置して、前記外壁材と前記塞ぎ材の間の箇所をシールする室外側シール部を備えた塞ぎ材のシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁材と枠体の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材の端部同士の間の箇所をシールする塞ぎ材のシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部にサッシの枠体を配置したときに、建物の外壁材と枠体の間に隙間が生じることがある。外壁材と枠体の間の隙間には塞ぎ材が配置されて、外壁材と枠体の間の隙間が塞ぎ材により塞がれる。塞ぎ材は、長手方向に分割されて、外壁材と枠体の間の隙間に並べて設けられる。塞ぎ材の端部同士の連結部では、塞ぎ材の端部同士が隙間をあけた状態で隣り合い、互いに対向する塞ぎ材の端部同士の間の箇所にシーリング材が充填される。また、このようなシーリング材によるシール構造に用いられる部品として、従来、水切目地に取り付けられて不定形のシール材を保持する水切目地のシール受材が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の水切目地のシール受材では、2つの水切板の端部の間の目地にシール受材が配置され、シール材がシール受材に受けられて水切目地に充填される。ところが、従来の水切目地のシール受材では、シール材は、水切目地の室内側の端部で、シール受材によって受けられない。そのため、シール材が水切目地から流れ出す虞があり、シール材の充填に手間が掛かる。従って、水切目地での止水性を安定して確保する観点から、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7-2950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、建物の外壁材と枠体の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材の端部同士の連結部で、互いに対向する塞ぎ材の端部同士の間の箇所にシーリング材を容易に充填して、塞ぎ材の端部同士の連結部での止水性を安定して確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の開口部に配置される枠体と建物の躯体の室外側に配置される外壁材との間の隙間を塞ぐ塞ぎ材の端部同士の連結部に設けられて、互いの間に隙間をあけて対向する前記塞ぎ材の端部同士の間の箇所をシールする塞ぎ材のシール構造であって、
前記塞ぎ材の端部同士の間の隙間を室内側において塞ぐシール受け材と、
前記塞ぎ材の端部同士の間で前記シール受け材の室外側の位置から前記シール受け材まで配置されて、前記塞ぎ材の端部同士の間の隙間に、前記塞ぎ材の端部の外縁部に沿って形成されて前記シール受け材により室内側において塞がれるシール充填部を区画するバックアップ材と、
前記シール受け材及び前記バックアップ材により受けられて、前記シール充填部に充填されたシーリング材と、
を備えた塞ぎ材のシール構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建物の外壁材と枠体の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材の端部同士の連結部で、互いに対向する塞ぎ材の端部同士の間の箇所にシーリング材を容易に充填して、塞ぎ材の端部同士の連結部での止水性を安定して確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のサッシと塞ぎ材を示す正面図である。
図2図1のX-X線で切断した本実施形態のサッシ、塞ぎ材、及び、建物を示す縦断面図である。
図3】本実施形態の塞ぎ材のシール構造を示す斜視図である。
図4】本実施形態の塞ぎ材のシール構造の一部を除いた塞ぎ材の端部同士の連結部を示す斜視図である。
図5図4に示す2つの塞ぎ材のうちの一方の塞ぎ材を示す斜視図である。
図6図5に示す塞ぎ材のシール構造を分解して示す斜視図である。
図7】本実施形態のシーリング材を含む塞ぎ材のシール構造を示す斜視図である。
図8】本実施形態のシーリング材を含む塞ぎ材のシール構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の塞ぎ材のシール構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の塞ぎ材のシール構造では、建物用の2つの塞ぎ材の端部同士の連結部をシーリング材により塞いでシールする。2つの塞ぎ材の端部は、連結部に設けられた塞ぎ材のシール構造により、互いに連結される。以下では、建物用のサッシを例にとり、塞ぎ材のシール構造について説明する。塞ぎ材のシール構造及びサッシは、建物の壁部に設置されて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に配置される。
【0010】
図1は、本実施形態のサッシ1と塞ぎ材2を示す正面図であり、建物10の外壁部11に設置されたサッシ1と塞ぎ材2を室外側からみて模式的に示している。
図示のように、建物10は、外壁部11に形成された開口部12と、外壁部11に設置された外壁材13と、開口部12に設置されたサッシ1と、複数の塞ぎ材2(上塞ぎ材2A、下塞ぎ材2B、縦塞ぎ材2C)と、塞ぎ材2のシール構造3を備えている。外壁材13は、外壁部11の室外側の表面部に設置されて、開口部12及び塞ぎ材2を囲む。
【0011】
なお、建物10に設けた塞ぎ材2のシール構造3及びサッシ1を正面からみたときに、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。室内外方向は、建物10に設けた塞ぎ材2のシール構造3及びサッシ1における室内外方向(屋内外方向)である。このように、塞ぎ材2のシール構造3及びサッシ1に関する方向は、建物10に設けた状態での方向で特定する。また、塞ぎ材2のシール構造3及びサッシ1に関して室内側、室外側とは、建物10に設けた状態での室内側、室外側である。
【0012】
サッシ1は、サッシ窓であり、パネル体1Aと、パネル体1Aを囲む枠体4を備えている。枠体4は、開口部を形成する方形状の開口枠(サッシ枠)であり、建物10の方形状の開口部12に配置される。パネル体1Aは、方形状のガラスパネル体(例えば、板ガラス、複層ガラス、又は、合わせガラス)であり、枠体4の開口部に配置されて、枠体4に取り付けられている。例えば、サッシ1は、固定窓であり、パネル体1Aは、枠体4に嵌め込まれて固定される。
【0013】
枠体4は、互いに組み合わされた4つの枠5~7(上枠5、下枠6、一対の縦枠7)を有している。枠5~7は、枠体4を構成する枠材であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。上枠5と下枠6は、枠体4の上下の横枠であり、枠体4の上部と下部で左右方向(横方向)に延びる。一対の縦枠7は、枠体4の左右の側部に位置する側枠であり、枠体4の側部で上下方向(縦方向)に延びる。上枠5、下枠6、及び、左右の縦枠7の端部同士が接続されて、枠5~7が枠組みされている。
【0014】
サッシ1及び枠体4は、建物10の外壁材13に対して建物10の開口部12側に位置し、外壁材13から離隔して配置されている。そのため、枠体4と外壁材13の間には、隙間14が形成される。隙間14は、枠体4の外周部と開口部12の縁部(外壁材13の開口部12側の縁部)との間に位置し、開口部12の縁部に沿って延びる。また、隙間14は、枠体4を囲んで、枠体4の外側で枠体4(枠5~7)に沿って延びる。
【0015】
塞ぎ材2(2A~2C)は、枠体4と外壁材13の間の隙間14に配置されて、隙間14を塞ぐ。塞ぎ材2は、見切縁であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。塞ぎ材2は、建物10の外壁材13に対して建物10の開口部12側に位置し、開口部12で、開口部12の縁部及び枠体4に沿って延びる。
【0016】
塞ぎ材2の上塞ぎ材2A、下塞ぎ材2B、及び、左右の縦塞ぎ材2Cは、それぞれの端部同士が接続されて、方形状に配置され、枠体4と外壁材13の間の方形状の隙間14を塞ぐ。上塞ぎ材2Aは、上枠5に沿って配置されて、左右方向に延び、上枠5と上枠5の上方の外壁材13の間の隙間14を塞ぐ。下塞ぎ材2Bは、下枠6に沿って配置されて、左右方向に延び、下枠6と下枠6の下方の外壁材13の間の隙間14を塞ぐ。縦塞ぎ材2Cは、縦枠7のそれぞれに沿って配置されて、上下方向に延び、縦枠7と縦枠7の側方の外壁材13の間の隙間14を塞ぐ。
【0017】
塞ぎ材2は、塞ぎ材2の長手方向に分割されて、枠体4と外壁材13の間の隙間14に塞ぎ材2の長手方向に並べて設けられる。枠体4の上方、下方、及び、側方の隙間14のそれぞれで、塞ぎ材2の端部同士が連結部2Dで連結される。塞ぎ材2の端部は、塞ぎ材2の長手方向における端部であり、連結部2Dは、2つの塞ぎ材2の端部が互いに連結される部分である。連結部2Dで、2つの塞ぎ材2の端部は、シーリング材により、互いに連結されて、塞ぎ材2の長手方向に連続して配置される。塞ぎ材2のシール構造3は、塞ぎ材2(ここでは、上塞ぎ材2A)の端部同士の連結部2Dに設けられる。以下、上塞ぎ材2Aである塞ぎ材2のシール構造3について説明する。
【0018】
図2は、図1のX-X線で切断した本実施形態のサッシ1、塞ぎ材2(上塞ぎ材2A)、及び、建物10を示す縦断面図であり、連結部2Dの箇所で切断した塞ぎ材2のシール構造3を示している。
図示のように、サッシ1の枠体4(上枠5)は、建物10の躯体15に対して建物10の開口部12側(下側)に配置されて、開口部12に設置される。躯体15は、板状の外壁材13の室内側で左右方向に延びる胴縁であり、建物10の開口部12の縁部(上縁部)に沿って配置されている。枠体4は、躯体15に隣接して配置されて、躯体15に固定されている。外壁材13は、躯体15の室外側に配置されている。
【0019】
塞ぎ材2は、建物10の躯体15及び枠体4の室外側に位置し、躯体15から枠体4まで配置されて、躯体15及び枠体4に取り付けられている。また、塞ぎ材2は、中空状の本体部20と、本体部20に設けられた外面部21と、板状の壁部22を有している。塞ぎ材2の本体部20は、枠体4の室外側に配置されて、枠体4に取り付けられ、枠体4から室外側に向かって突出している。
【0020】
塞ぎ材2の外面部21は、本体部20の外壁材13と対向する対向面部(ここでは、上面部)であり、外壁材13の開口部12側の部分(縁部)と対向して配置される。外面部21と外壁材13は、互いの間に隙間をあけた状態で、上下方向において対向する。塞ぎ材2の壁部22は、外面部21の室内側の縁部に位置し、外面部21から建物10の開口部12の反対側(上側)に向かって突出している。塞ぎ材2の壁部22は、躯体15の室外側で、躯体15と外壁材13の間に配置されて、躯体15に取り付けられている。
【0021】
塞ぎ材2の壁部22の室外側には、室外側シール部30が設けられている。室外側シール部30は、外壁材13と対向する塞ぎ材2の外面部21と外壁材13の縁部の間に設けられて、塞ぎ材2の外面部21及び外壁材13の縁部に密着する。また、室外側シール部30は、壁部22から室外側に離隔して配置されて、塞ぎ材2の外面部21及び外壁材13の縁部に沿って延びる。室外側シール部30により、塞ぎ材2の外面部21と外壁材13の縁部の間の箇所がシールされる。
【0022】
図3は、本実施形態の塞ぎ材2のシール構造3を示す斜視図であり、2つの塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dを示している。図4は、本実施形態の塞ぎ材2のシール構造3の一部を除いた塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dを示す斜視図である。
図示のように、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dでは、2つの塞ぎ材2の端部は、互いの間に隙間2Eをあけた状態で、塞ぎ材2の長手方向において隣り合い、互いに対向して配置される。連結部2Dは、隣り合う2つの塞ぎ材2の端部の間に位置し、塞ぎ材2のシール構造3は、互いの間に隙間2Eをあけて対向する塞ぎ材2の端部同士の間の箇所をシールする。塞ぎ材2のシール構造3により、隣り合う塞ぎ材2の端部同士の間の隙間2E及び連結部2Dがシールされて、2つの塞ぎ材2の端部が互いに連結される。
【0023】
塞ぎ材2のシール構造3は、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dに設けられた止水テープ40、シール受け材50、バックアップ材60、及び、シーリング材70を備えている。連結部2Dでは、隣り合う2つの塞ぎ材2の本体部20、外面部21、及び、壁部22は、それぞれ互いの間に隙間2Eをあけて対向する。止水テープ40は、帯状の止水材であり、2つの塞ぎ材2の壁部22及び建物10の躯体15の室外側に設けられて、接着により、2つの塞ぎ材2の壁部22に装着されるとともに、塞ぎ材2の壁部22よりも上側の躯体15に装着される。止水テープ40は、一方の塞ぎ材2の壁部22から他方の塞ぎ材2の壁部22まで配置されて、2つの塞ぎ材2の壁部22同士の間の隙間2Eを塞いで止水する。
【0024】
図5は、図4に示す2つの塞ぎ材2のうちの一方の塞ぎ材2を示す斜視図であり、図6は、図5に示す塞ぎ材2のシール構造3を分解して示す斜視図である。
図示のように、シール受け材50は、所定の厚み(例えば、0.5mm)の板材(シール受け板)であり、塞ぎ材2の室内側に配置される。塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dで、シール受け材50は、互いに対向する2つの塞ぎ材2の端部のそれぞれに取り付けられて、塞ぎ材2の端部に接触する。シール受け材50は、建物10の躯体15及び枠体4の室外側に配置され(図2参照)、塞ぎ材2の端部と躯体15の間、及び、塞ぎ材2の端部と枠体4の間に挟まれて、塞ぎ材2の端部同士の間の隙間2Eの室内側に配置される。
【0025】
シール受け材50は、塞ぎ材2の壁部22と躯体15の間、及び、塞ぎ材2の本体部20と枠体4の間に挟み込まれる。2つの塞ぎ材2の端部に設けられたシール受け材50は、それぞれ躯体15から枠体4まで配置され、連結部2Dで互いに接触して(図4参照)、塞ぎ材2の端部同士の間の隙間2Eを室内側(躯体15及び枠体4側)において塞ぐ。隙間2Eは、シール受け材50の室外側に位置し、塞ぎ材2の長手方向において連続する2つのシール受け材50により、室内側の空間(躯体15及び枠体4側の空間)から仕切られる。
【0026】
塞ぎ材2の端部同士の連結部2D及び塞ぎ材2のシール構造3の箇所で(図2参照)、室外側シール部30は、シール受け材50よりも室外側に位置して、外壁材13と塞ぎ材2の間の箇所をシールする。また、室外側シール部30により、外壁材13とシーリング材70の間の箇所がシールされる。室外側シール部30により、室外側シール部30から室内側(シール受け材50側)への水の流入が阻止されて、塞ぎ材2の端部同士の間の箇所(連結部2D)がシールされる。従って、室外側シール部30は、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dで、塞ぎ材2のシール構造3の一部を構成する。外壁材13の室外側面から室外側シール部30まで流れた水は、室外側シール部30から室外側に向かって流れる。
【0027】
塞ぎ材2は、本体部20に形成された中空部23と、室内側に向かって開放された室内側溝部24と、室内側溝部24を区画する突片25と、塞ぎ材2の端部の外縁部26を有している(図5図6参照)。中空部23及び室内側溝部24は、塞ぎ材2の長手方向に延び、塞ぎ材2の端部で連結部2Dに向かって開口する。室内側溝部24は、凹状の空所部(凹部)であり、シール受け材50と対向する塞ぎ材2の室内側部に形成されている。また、室内側溝部24は、中空部23の室内側に位置し、塞ぎ材2の外面部21と壁部22が交わる角部(塞ぎ材2の室内側部で外壁材13側に位置する角部)に沿って延びる。
【0028】
シール受け材50が位置する塞ぎ材2の端部で、室内側溝部24は、シール受け材50に接触して、シール受け材50により室内側において塞がれる。突片25は、板状のヒレ部であり、中空部23から室内側に向かってシール受け材50まで突出して、室内側溝部24を区画する。突片25は、塞ぎ材2の外面部21から離隔して、外面部21と対向する。突片25と外面部21は、室内側溝部24の両側の溝壁部であり、室内側に向かって突出して、互いの間に室内側溝部24を区画する。塞ぎ材2の端部の外縁部26は、シール受け材50よりも室外側で、塞ぎ材2の端部の外側の縁に位置する部分(縁部)であり、塞ぎ材2の端部に位置する外面部21の縁部を含む。
【0029】
バックアップ材60は、シーリング材70を支持するブロック状の支持材であり、シール受け材50の室外側に配置されて、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dでシーリング材70を受ける。また、バックアップ材60は、塞ぎ材2の中空部23内に挿入された挿入部61と、シーリング材70を支持する支持部62と、支持部62に形成された平面状の受け面63を有している。挿入部61は、バックアップ材60の基部であり、中空部23内に配置されて、中空部23の内部に嵌め込まれる。挿入部61の嵌め込みにより、バックアップ材60は、互いに対向する2つの塞ぎ材2の端部のそれぞれに取り付けられる。
【0030】
バックアップ材60の挿入部61は、中空部23内で、塞ぎ材2の端部の端面から中空部23の奥側に離隔して、塞ぎ材2の端部の端面よりも中空部23の奥側の位置に配置される。バックアップ材60の支持部62は、塞ぎ材2の端部同士の間の隙間2Eで、室内外方向Sに沿って延び、シール受け材50の室外側の位置からシール受け材50まで配置されて、シール受け材50に接触する。2つの塞ぎ材2の端部に設けられたバックアップ材60の支持部62は、それぞれ挿入部61から塞ぎ材2の長手方向に突出し、隙間2Eで互いに接触して、塞ぎ材2の長手方向において連続する。2つのバックアップ材60は、それぞれの支持部62により、塞ぎ材2の端部同士の間の隙間2Eに、シーリング材70が充填されるシール充填部64を区画する。
【0031】
シール充填部64は、2つの塞ぎ材2の端部、バックアップ材60の支持部62、及び、シール受け材50により囲まれた凹状の空間(シール充填空間)であり、シール受け材50の室外側に位置する。シール充填部64は、2つの塞ぎ材2の端部の外縁部26に沿って形成されて、シール受け材50により室内側において塞がれる。バックアップ材60の支持部62は、シール充填部64の底部に位置して、シール充填部64の底部を区画する。シール充填部64は、バックアップ材60の支持部62の上側、室外側、及び、下側に連続して形成されて、塞ぎ材2の端部の外縁部26に沿って延び、塞ぎ材2の外部に向かって開放されている。シール受け材50は、シール充填部64を室内側の空間(躯体15及び枠体4側の空間)から仕切り、シール充填部64の室内側の箇所(端部)を塞ぐ。
【0032】
塞ぎ材2の室内側溝部24は、塞ぎ材2の端部で、シール充填部64に向かって開口して、シール充填部64と連通している。室内側溝部24は、塞ぎ材2の長手方向において、シール充填部64に連続して配置されて、シール充填部64に繋がる。塞ぎ材2の突片25は、塞ぎ材2の端部で、バックアップ材60の支持部62に並べて配置されて、バックアップ材60の支持部62に接触する。
【0033】
バックアップ材60の受け面63は、支持部62の上面であり、シール充填部64内で、突片25に沿って配置されて、シーリング材70を受ける。突片25と受け面63は、シール受け材50の室外側の位置からシール受け材50まで配置されて、互いに平行に延びる。また、受け面63は、塞ぎ材2の長手方向において、突片25と連続して、突片25に並べて配置される。突片25と受け面63は、互いに位置を合致させて、室内外方向S(ここでは、水平方向)に沿って配置される。
【0034】
図7図8は、本実施形態のシーリング材70を含む塞ぎ材2のシール構造3を示す斜視図であり、図3に示す2つの塞ぎ材2のうちの一方の塞ぎ材2を示している。
図示のように、シーリング材70は、不定形のシール材であり、2つの塞ぎ材2の端部のそれぞれで、塞ぎ材2の中空部23内に充填される。シーリング材70は、中空部23内で、バックアップ材60の挿入部61に受けられて、中空部23を埋める。また、シーリング材70は、シール受け材50及びバックアップ材60の支持部62により受けられて、シール充填部64に充填される。その状態で、シーリング材70は、シール充填部64及び2つの塞ぎ材2の端部同士の間の隙間2Eを埋める(図3参照)。
【0035】
シーリング材70は、シール充填部64の室内側(シール受け材50側)の箇所で、シール受け材50により受けられて、シール受け材50に密着する。また、シーリング材70は、2つの塞ぎ材2の端部の外縁部26に密着する。シーリング材70は、シール充填部64から塞ぎ材2の中空部23の内部まで配置されて、中空部23の内面部に密着する。シーリング材70は、バックアップ材60の挿入部61及び支持部62に密着する。バックアップ材60の支持部62は、シール充填部64のシーリング材70に囲まれて、シーリング材70内に埋まる。
【0036】
シーリング材70は、シール充填部64から塞ぎ材2の室内側溝部24の内部まで配置されて、室内側溝部24の内部でシール受け材50により受けられた状態で、室内側溝部24のシール受け材50により塞がれた箇所に充填される。室内側溝部24のシール受け材50により塞がれた箇所は、室内側溝部24の内部におけるシール受け材50の室外側に位置する箇所であり、塞ぎ材2の端部側に位置して、シール充填部64に連続する。シーリング材70は、室内側溝部24のシール受け材50により塞がれた箇所の全体、又は、シール充填部64側の部分に充填される。また、シーリング材70は、バックアップ材60の受け面63により、シール充填部64から室内側溝部24の内部に向かって誘導されて、室内側溝部24のシール受け材50により塞がれた箇所を埋める。
【0037】
室内側溝部24の内部で、シーリング材70は、シール受け材50及び室内側溝部24の内面部に密着する。シーリング材70により、塞ぎ材2の端部同士の間の箇所(連結部2D)、室内側溝部24、及び、塞ぎ材2とシール受け材50の間の箇所がシールされる。これにより、シール受け材50から室内側(躯体15及び枠体4側)への水の流入が阻止される。水は、室外側に向かって流れる。
【0038】
シール充填部64の外側には、覆いシール部71が設けられる。覆いシール部71は、2つの塞ぎ材2の端部にわたって塗布された不定形のシーリング材であり、塞ぎ材2の外面部21及びシール充填部64のシーリング材70から塞ぎ材2の壁部22に沿って突出する。2つの塞ぎ材2の端部のそれぞれで、覆いシール部71は、塞ぎ材2の外面部21と壁部22の間の入隅部に充填されて、入隅部を埋める。室内側に位置するシーリング材70の端部は、シール充填部64内でシール受け材50により受けられる。覆いシール部71は、シーリング材70の端部を覆って、塞ぎ材2に密着する。また、覆いシール部71は、シール充填部64内のシーリング材70、シール受け材50、及び、止水テープ40に密着する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の塞ぎ材2のシール構造3では、シール充填部64の室内側の箇所で、シール受け材50によりシーリング材70を受けており、シール充填部64から室内側へのシーリング材70の流出を阻止することができる。そのため、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dで、互いに対向する塞ぎ材2の端部同士の間の箇所にシーリング材70を容易に充填して、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dでの止水性を安定して確保することができる。また、塞ぎ材2の端部同士の間の隙間2Eをシーリング材70により確実に埋めて、連結部2Dの止水性を向上させることができる。
【0040】
シール受け材50は、塞ぎ材2の端部と躯体15の間、及び、塞ぎ材2の端部と枠体4の間に挟まれる。これにより、塞ぎ材2の端部同士の間の隙間2Eの室内側にシール受け材50を安定して配置でき、シール受け材50によりシーリング材70を安定して受けることができる。
【0041】
塞ぎ材2の室内側溝部24に充填されたシーリング材70により、塞ぎ材2とシール受け材50の間の箇所を確実にシールして、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dの止水性を向上させることができる。また、塞ぎ材2の突片25に沿って配置されたバックアップ材60の受け面63により、シーリング材70をシール充填部64から室内側溝部24の内部に向かって誘導して、シーリング材70を室内側溝部24の内部に容易に充填することができる。突片25と受け面63は、互いに位置を合致させて室内外方向Sに沿って配置される。そのため、受け面63により、シーリング材70をシール充填部64から室内側溝部24の内部に向かって円滑に誘導して、シーリング材70を室内側溝部24の内部に確実に充填することができる。
【0042】
覆いシール部71により、シール充填部64のシーリング材70とシール受け材50の間の箇所への水の浸入、及び、室内側溝部24内のシーリング材70とシール受け材50の間の箇所への水の浸入を抑制することができる。これにより、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dの止水性を向上させることができる。また、室外側シール部30の箇所とシール受け材50の箇所の2箇所のシールにより、塞ぎ材2の端部同士の連結部2Dの止水性を向上させることができる。
【0043】
なお、塞ぎ材2の突片25とバックアップ材60の受け面63は、室内外方向Sに対して傾斜していてもよい。また、突片25と受け面63は、突片25の厚み方向の位置が互いにずれていてもよく、面一な状態に配置してもよい。塞ぎ材2のシール構造3は、下塞ぎ材2Bの端部同士の連結部2Dと縦塞ぎ材2Cの端部同士の連結部2Dのいずれか一方又は両方に設けてもよい。シール受け材50の形状は、特に限定されず、枠体4、塞ぎ材2、及び、躯体15の形状に対応して様々な形状に形成される。サッシ1は、固定窓以外のサッシ窓(例えば、開閉窓)であってもよい。枠体4は、サッシ1以外の枠体であってもよく、例えば、建具の枠体、又は、カーテンウォールユニットの枠体であってもよい。
【0044】
以上のとおり、塞ぎ材のシール構造は、
建物の開口部に配置される枠体と建物の躯体の室外側に配置される外壁材との間の隙間を塞ぐ塞ぎ材の端部同士の連結部に設けられて、互いの間に隙間をあけて対向する前記塞ぎ材の端部同士の間の箇所をシールする塞ぎ材のシール構造であって、
前記塞ぎ材の端部同士の間の隙間を室内側において塞ぐシール受け材と、
前記塞ぎ材の端部同士の間で前記シール受け材の室外側の位置から前記シール受け材まで配置されて、前記塞ぎ材の端部同士の間の隙間に、前記塞ぎ材の端部の外縁部に沿って形成されて前記シール受け材により室内側において塞がれるシール充填部を区画するバックアップ材と、
前記シール受け材及び前記バックアップ材により受けられて、前記シール充填部に充填されたシーリング材と、
を備えた塞ぎ材のシール構造である。
従って、建物の外壁材と枠体の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材の端部同士の連結部で、互いに対向する塞ぎ材の端部同士の間の箇所にシーリング材を容易に充填して、塞ぎ材の端部同士の連結部での止水性を安定して確保することができる。
【0045】
前記シール受け材は、前記塞ぎ材の端部と前記躯体の間及び前記塞ぎ材の端部と前記枠体の間に挟まれて、前記塞ぎ材の端部同士の間の隙間の室内側に配置される。
従って、塞ぎ材の端部同士の間の隙間の室内側にシール受け材を安定して配置でき、シール受け材によりシーリング材を安定して受けることができる。
【0046】
前記塞ぎ材は、室内側に向かって開放されて前記シール充填部に連続し、前記シール受け材により室内側において塞がれる室内側溝部を有し、
前記シーリング材は、前記シール充填部から前記室内側溝部の内部まで配置されて、前記シール受け材により受けられた状態で、前記室内側溝部の前記シール受け材により塞がれた箇所に充填される。
塞ぎ材の室内側溝部に充填されたシーリング材により、塞ぎ材とシール受け材の間の箇所を確実にシールして、塞ぎ材の端部同士の連結部の止水性を向上させることができる。
【0047】
前記塞ぎ材は、室内側に向かって前記シール受け材まで突出して、前記室内側溝部を区画する突片を有し、
前記バックアップ材は、前記突片に沿って配置されて、前記シーリング材を受ける受け面を有する。
バックアップ材の受け面により、シーリング材をシール充填部から室内側溝部の内部に向かって誘導して、シーリング材を室内側溝部の内部に容易に充填することができる。
【0048】
前記突片と前記受け面は、互いに位置を合致させて室内外方向に沿って配置される。
バックアップ材の受け面により、シーリング材をシール充填部から室内側溝部の内部に向かって円滑に誘導して、シーリング材を室内側溝部の内部に確実に充填することができる。
【0049】
塞ぎ材のシール構造は、前記シール充填部の外側に設けられ、前記シール充填部内で前記シール受け材により受けられる前記シーリング材の端部を覆う覆いシール部を備える。
覆いシール部により、シール充填部のシーリング材とシール受け材の間の箇所への水の浸入を抑制して、塞ぎ材の端部同士の連結部の止水性を向上させることができる。
【0050】
塞ぎ材のシール構造は、前記シール受け材よりも室外側に位置して、前記外壁材と前記塞ぎ材の間の箇所をシールする室外側シール部を備える。
室外側シール部の箇所とシール受け材の箇所の2箇所のシールにより、塞ぎ材の端部同士の連結部の止水性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0051】
1・・・サッシ、1A・・・パネル体、2・・・塞ぎ材、2A・・・上塞ぎ材、2B・・・下塞ぎ材、2C・・・縦塞ぎ材、2D・・・連結部、2E・・・隙間、3・・・塞ぎ材のシール構造、4・・・枠体、5・・・上枠、6・・・下枠、7・・・縦枠、10・・・建物、11・・・外壁部、12・・・開口部、13・・・外壁材、14・・・隙間、15・・・躯体、20・・・本体部、21・・・外面部、22・・・壁部、23・・・中空部、24・・・室内側溝部、25・・・突片、26・・・外縁部、30・・・室外側シール部、40・・・止水テープ、50・・・シール受け材、60・・・バックアップ材、61・・・挿入部、62・・・支持部、63・・・受け面、64・・・シール充填部、70・・・シーリング材、71・・・覆いシール部、S・・・室内外方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8