(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181134
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】標識器具
(51)【国際特許分類】
A01B 69/02 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A01B69/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087997
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】521226978
【氏名又は名称】株式会社大和測量設計クリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】飯田 啓司
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA01
2B043AB06
2B043CA01
2B043CB01
(57)【要約】
【課題】付設される標識の間隔を動的に調節可能な、使い勝手の良い標識器具を提供する。
【解決手段】農耕作業の際の目印として用いられる、標識器具Xであって、圃場に設置される器具本体1と、器具本体1に付設される複数の標識部2と、を備え、器具本体1は、標識部2を固定するための固定部11を有し、固定部11は、標識部2の間隔を調節可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農耕作業の際の目印として用いられる、標識器具であって、
圃場に設置される器具本体と、前記器具本体に付設される複数の標識部と、を備え、
前記器具本体は、前記標識部を固定するための固定部を有し、
前記固定部は、前記標識部の間隔を調節可能に構成されている、標識器具。
【請求項2】
前記器具本体は、略紐状である、請求項1に記載の標識器具。
【請求項3】
前記固定部は、前記器具本体に所定の間隔を空けて複数設けられている、請求項1または2に記載の標識器具。
【請求項4】
前記標識部は、正面視した際に面状の広がりとして視認される標識本体と、前記固定部によって固定される支持部と、を含む、請求項1~3の何れかに記載の標識器具。
【請求項5】
前記標識本体は、略薄板状である、請求項4に記載の標識器具。
【請求項6】
前記支持部は、略棒状である、請求項4または5に記載の標識器具。
【請求項7】
前記固定部は、前記支持部が挿通される挿通孔部を含む、請求項6に記載の標識器具。
【請求項8】
前記挿通孔部は、紐状体から形成されている輪である、請求項7に記載の標識器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に農耕作業を補助するための標識器具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水田における農作業の一つとして、「代掻き」が行われてきた。代掻きとは、水を張った田において、土を細かく砕き、かき混ぜることで土の表面を平らにする作業である。
【0003】
近現代においては、この代掻きにトラクタ等の農業機械を用いることで、作業効率が飛躍的に向上した。しかし、田を一面隈なく耕すには、農業機械を用いてもなお、端から直線的に何度も往復して行う必要がある。
【0004】
このとき、耕した後の田は一面が泥水状になるため、どこまでを耕したかが分からなくなってしまう、という問題があった。
【0005】
このような問題点を解決するために、農耕作業の際、その作業方向の目印とする目的で、種々の標識方法が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、圃場の両岸に、農作業機の進行方向に対して横断する方向にロープを張設し、該ロープに適宜間隔を置いて標識を付設するマーキング方法、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のマーキング方法では、各農耕作業者が、作業箇所の大きさに合わせて、該ロープに付設される標識の間隔を決定し、これに基づいた器具をその都度製作する手間がかかる。
【0009】
本発明は上記の実状に鑑みてなされたものであり、付設される標識の間隔を動的に調節可能な、使い勝手の良い標識器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、農耕作業の際の目印として用いられる、標識器具であって、
圃場に設置される器具本体と、前記器具本体に付設される複数の標識部と、を備え、
前記器具本体は、前記標識部を固定するための固定部を有し、
前記固定部は、前記標識部の間隔を調節可能に構成されている、標識器具である。
【0011】
本発明によれば、標識部の間隔が調節可能に構成されていることで、一つの器具を、異なる大きさを持つ複数の作業箇所で用いることが可能となる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記器具本体は、略紐状である。
【0013】
このような構成とすることで、器具本体を巻き取る、結ぶ等の操作が可能になり、器具の取り回しやすさや、収納のコンパクトさ等の面で、使い勝手が向上する。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記固定部は、前記器具本体に所定の間隔を空けて複数設けられている。
【0015】
このような構成とすることで、器具本体に付設される標識部の間隔は、標識部が固定される固定部間の間隔の数として簡易的に認識することができる。
そして、所定の間隔の数は、長さの情報に変換することができる。
即ち、使用者が、標識部の間隔長を簡易的に認識し、これを段階的に調節することが可能になる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記標識部は、正面視した際に面状の広がりとして視認される標識本体と、前記固定部によって固定される支持部とを含む。
【0017】
このような構成とすることで、標識部の視認性が向上する。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記標識本体は、略薄板状である。
【0019】
このような構成とすることで、不使用時における標識部の収納を、コンパクトに行うことが可能となる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記支持部は、略棒状である。
【0021】
このような構成とすることで、標識部を地面に突き立てて固定することができる。また、このことによって標識本体を地面から高い位置に置くことができる。即ち、標識部の固定性と視認性を向上させることができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記固定部は、前記支持部が挿通される挿通孔部を含む。
【0023】
このような構成とすることで、簡易な構成の下、標識部を固定することができる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記挿通孔部は、紐状体から形成されている輪である。
【0025】
このような構成とすることで、挿通孔部を簡易に形成することができる。また、器具本体が略紐状であれば、挿通孔部を含む固定部と、器具本体とを、単一の紐状体から形成することも可能となり、製造が容易になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、付設される標識の間隔を動的に調節可能な、使い勝手の良い標識器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係る標識器具の概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る標識器具の分解図であって、(A)器具本体の平面図と、(B)~(E)固定部の拡大図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る標識器具の分解図であって、標識部の(A)正面図、(B)側面図、(C)斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る標識器具の使用方法の一例を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る標識器具の使用方法の一例を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る標識器具の使用方法の一例を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る標識器具における標識部の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、
図1~
図7を用いて、本発明の実施形態に係る標識器具について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号Xは、本実施形態に係る標識器具を示す。
加えて、これらの図において、二重波線部は、図中に収まらない部分を省略したことを示す。
【0029】
図1に示すように、標識器具Xは、器具本体1と、標識部2と、を備えている。
【0030】
図2(A)に示すように、器具本体1は、所定の長さを有する紐状体から形成されており、複数の固定部11を有している。
【0031】
図2(B)~
図2(E)には固定部11の拡大図を示した。固定部11は、挿通孔部11aを含み、紐状体から形成されている。
なお、挿通孔部11aを含む固定部11は、紐状体から形成されていなくても良い。
例えば、金属や樹脂等の素材から形成された輪状体等も用いることができる。
【0032】
そして、
図2(B)~
図2(E)には、固定部11が取りうる構成も、いくつか例示した。
まず、(B)、(D)は器具本体1とは別に形成された固定部11が、それぞれ紐状留め具sまたは輪状留め具rによって、器具本体1に固定される例である。
【0033】
また、(C)、(E)は器具本体1を形成する単一の紐状体が、複数の固定部11をも形成する例である。そして、(C)は紐状留め具sによって、(E)は輪状留め具rによって、それぞれ固定部11の形を維持する。
なお、固定部11の固定または形状維持の方法は、使用に耐えうる強度を伴うものであれば、上記に限定されない。
【0034】
図3に示すように、標識部2は、標識本体21と、支持部22と、を有している。
【0035】
図3(A)に示すように、標識本体21は、略円形状である。また、蛍光色等の視認性の良い色で塗装されていると好ましい。
なお、色だけでなく、視認性の良い模様等が塗装されていても良い。また、標識本体21は、正面視した際に面状の広がりとして視認される形状であれば、特に限定されない。
【0036】
図3(B)に示すように、標識本体21は、略薄板状に形成されている。
また、支持部22は、標識本体21に連結されている一端から他端にかけて、緩やかに先細る形状となっている。
【0037】
図3(C)に示すように、支持部22は、略薄板状かつ略棒状に形成されている。
なお、支持部22は、略薄板状に形成されていなくても良い。
例えば、支持部22を略錐体形状等にすると、標識部を地面に突き立てることがより容易になる。
【0038】
以下、
図4~
図6を用いて、標識器具Xの使用方法について説明する。
【0039】
まず、使用者は、
図4に示すように、器具本体1を、作業箇所である圃場F1の両岸に設置する。
即ち、使用者は、一対の器具本体1を、両岸の固定部11の位置を揃えつつ、直線状に設置する。
【0040】
次に、使用者は、標識部2を、各固定部11に設置する。
【0041】
このようにすることで、使用者は、農耕作業の際、農業機械Mが通った場所と、次に進むべき方向を明確に認識することができる(d1~d5)。
【0042】
また、
図5には、上記とは別の圃場F2における使用方法を示した。
まず、使用者は、上記と同様に器具本体1を、作業箇所である圃場F2の両岸に設置する。
【0043】
次に、使用者は、標識部2を、適切な個数の固定部11を空けながら、各固定部11に設置する。
【0044】
このようにすることで、各圃場や機械に適した作業経路(この例ではd6~d10)を作成することができる。
即ち、圃場や農業機械Mの大きさが異なる場合にも、本標識器具Xを、各圃場や機械に合わせた形で使用することができる。
【0045】
また、
図6には、上記とは別の圃場F3における使用方法を示した。
まず、使用者は、圃場F3の一辺の長さL1を測定する。
なお、固定部11が、器具本体1に所定の間隔(例えば、50cmや1m等)を空けて複数設けられていることから、長さL1の測定に、器具本体1を用いることも可能である。
【0046】
次に、使用者は、長さL1を測定した辺と交わる二辺に、器具本体1を上記と同様に設置する。
【0047】
このようにすることで、一つの標識部2が付設される間隔L2を定めることにより、おおよそ一定の面積をもつ単位面積区画Aを次々と作成、認識することができる。
【0048】
このことにより、単位面積(L1とL2の積)あたりの施肥量や、植える苗の量(苗箱量)といった、農業における重要な数量を、作業をしながらも簡易に確認することが可能となる。
なお、この場合の単位面積としては一反歩(約10アール)が多く用いられるが、長さL2を調整することで、これも適宜変更可能である。
【0049】
本実施形態によれば、固定部11が、標識部2の間隔を調節可能に構成されていることで、使用者は、本標識器具Xを、様々な大きさの作業箇所で用いることが可能となる。
【0050】
また、器具本体1が、略紐状であることで、本標識器具Xの取り回しやすさや、収納のコンパクトさ等の面で、使い勝手が向上する。
【0051】
また、固定部11が、器具本体1に所定の間隔を空けて複数設けられていることで、使用者は、器具本体1に付設される標識部2の間隔長を簡易的に認識し、これを段階的に調節することが可能になる。
【0052】
また、標識部2が、正面視した際に面状の広がりとして視認される標識本体21と、固定部11に固定される支持部22を含むことで、標識本体21の視認性が向上する。
【0053】
また、標識本体21が、略薄板状であることで、不使用時における標識部2の収納を、コンパクトに行うことが可能となる。
【0054】
また、支持部22が略棒状であることで、標識部2を地面に突き立てて固定することができ、これにより標識本体21を地面から高い位置に置くことができる。即ち、標識部2の固定性と視認性が向上する。
【0055】
また、固定部11が、支持部22を挿通するための挿通孔部11aを含むことで、簡易な構成の下、標識部2を固定することができる。
【0056】
また、挿通孔部11aが、紐状体から形成されている輪であることで、挿通孔部11aを簡易に形成することができ、製造が容易になる。
【0057】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0058】
例えば、
図7(A)に示すように、標識本体21に連番の数字が記載されていても良い。このようにすることで、作業順序や作業方向をより明確に認識することが可能になる。
【0059】
また、
図7(B)に示した例では、標識本体21に十字が大きく描かれていることで、標識本体21の視認性が向上し、作業方向の調整がより容易になる。
【0060】
さらに、
図7(C)に示した例では、標識本体21に防鳥効果があるとされる目玉模様が大きく描かれていることで、視認性が向上するとともに、本標識器具Xの不使用時には、防鳥用具として標識部2を単体で用いることも可能である。
【0061】
なお、本標識器具Xは農耕作業時に限らず、簡易的な駐車場や避難所を作るときのような場面においても、標識として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
X 標識器具
1 器具本体
11 固定部
11a 挿通孔部
2 標識部
21 標識本体
22 支持部
s 紐状留め具
r 輪状留め具
M 農業機械
F1 圃場
F2 圃場
F3 圃場
A 単位面積区画