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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181172
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】遮断デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/06 20060101AFI20221130BHJP
   H01H 9/32 20060101ALI20221130BHJP
   H01H 9/34 20060101ALI20221130BHJP
   H01H 33/08 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H01H33/06
H01H9/32
H01H9/34
H01H33/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022067978
(22)【出願日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】21175695.2
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508161584
【氏名又は名称】エービービー・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】ABB S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Vittor Pisani, 16, I-20124, MILANO, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・マネクトラ
(72)【発明者】
【氏名】ズーチー・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラース・ヨンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリア・ビアテル
(72)【発明者】
【氏名】アレッシオ・ベルガミーニ
【テーマコード(参考)】
5G027
【Fターム(参考)】
5G027AA03
5G027BA09
5G027BC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磨耗に対してより強靱であり、材料の損失がより少ない、電流を中断するための遮断デバイスを提供する。
【解決手段】導電性外側部材(50)と、遮断軸(48)に対して外側部材(50)の内側に径方向に配置された導電性内側部材(52)と、遮断軸(48)に対して外側部材(50)と内側部材(52)との間に径方向に配置された電気絶縁性または半導電性の遮断部材(26)とを備え、この場合、遮断部材が、開始位置から、外側部材(50)と内側部材(52)との間の電流を中断するために外側部材(50)内の空間(59)から遮断部材(26)が突起する突起位置まで、遮断軸(48)に沿って移動するように配置され、遮断部材(26)が、内側管状要素と外側管状要素とを備え、この場合、外側管状要素が、内側管状要素の外面に接合され、それによって外側管状要素と内側管状要素との間に凹部を画定する、遮断デバイス。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を中断するための遮断デバイス(10)であって、
導電性外側部材(50)と、
遮断軸(48)に対して前記導電性外側部材(50)の内側に径方向に配置された導電性内側部材(52)と、
前記遮断軸(48)に対して前記導電性外側部材(50)と前記導電性内側部材(52)との間に径方向に配置された電気絶縁性又は半導電性の遮断部材(26)と、を備え、
前記遮断部材(26)は、開始位置から、前記遮断部材(26)によって前記導電性外側部材(50)と前記導電性内側部材(52)との間の電流を中断するために前記導電性外側部材(50)内の空間(59)から前記遮断部材(26)が突起する突起位置まで、前記遮断軸(48)に沿って移動するように配置されるものであり、
前記遮断部材(26)が内側管状要素(28)と外側管状要素(36)とを備え、前記外側管状要素(36)が前記内側管状要素(28)の外面(34)に接合されることによって、前記外側管状要素(36)と前記内側管状要素(28)との間に凹部(46)を画定する、遮断デバイス(10)。
【請求項2】
前記外側管状要素(36)が、前記内側管状要素(28)の前記外面(34)の接合領域(44)において前記内側管状要素(28)に接合され、前記内側管状要素(28)が、第1の突起端部(30)を備え、前記外側管状要素(36)が第2の突起端部(38)を備え、前記第2の突起端部(38)が、前記遮断軸(48)に関連して前記第1の突起端部(30)と前記接合領域(44)との間に位置する、請求項1に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項3】
前記第2の突起端部(38)が、前記遮断軸に関連して前記接合領域(44)と前記第1の突起端部(30)との間の実質的に中間に位置する、請求項2に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項4】
前記第2の突起端部(38)が、前記遮断軸(48)に関連して前記第1の突起端部(30)よりも前記接合領域(44)の近くに位置する、請求項2に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項5】
前記第2の突起端部(38)が、前記遮断軸(48)に関連して前記接合領域(44)よりも前記第1の突起端部(30)の近くに位置する、請求項2に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項6】
前記内側管状要素(28)を受け入れるための内側空洞(54)と、前記外側管状要素(36)を受け入れるための外側空洞(56)とを備えるアーク放電室(16)をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項7】
前記突起位置において、前記内側管状要素(28)の前記第1の突起端部(30)が、前記内側空洞(54)の底部に当接するように配置され、前記外側管状要素(36)の前記第2の突起端部(38)が、前記外側空洞(56)の底部に当接するように配置され、及び/又は前記凹部(46)の底部が、前記外側空洞(56)から前記内側空洞(54)を分離する前記アーク放電室(16)の壁の先端に当接するように配置される、請求項2に従属する請求項6に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項8】
前記遮断部材(26)が、前記遮断部材(26)が前記開始位置から移動したときに前記アーク放電室(16)を通気するための少なくとも1つの通気開口部(22、24;24A、24B)をさらに備え、各通気開口部は、前記空洞(54、56)の1つに通じる、請求項6又は7に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項9】
少なくとも1つの第1の径方向通気開口部(24A)が、前記内側空洞(54)に通じる、請求項8に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項10】
少なくとも1つの第2の径方向通気開口部(24B)が、前記外側空洞(56)に通じる、請求項8又は9に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項11】
各径方向通気開口部が、通気チャネル(58A、58B)を介して空洞(54,56)に通じる、請求項9又は10に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項12】
前記導電性外側部材(50)及び/又は前記導電性内側部材(52)が、導電性チューブである、請求項1から11のいずれか一項に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項13】
前記導電性外側部材(50)、前記導電性内側部材(52)、前記内側管状要素(28)及び前記外側管状要素(36)が、前記遮断軸(48)と実質的に同心である、請求項11に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項14】
前記開始位置から前記突起位置に前記遮断部材(26)を強制するように配置されたアクチュエータ(70)をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の遮断デバイス(10)。
【請求項15】
前記導電性外側部材(50)及び前記導電性内側部材(52)を選択的に電気的に接続解除するように構成された移動可能な接点要素(60)を備える接点配置をさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の遮断デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、遮断デバイスに関する。特に、電流を中断するための遮断デバイスが、提供される。
【背景技術】
【0002】
配電システムなどの数多くの分野では、遮断デバイスが重要である。
【0003】
欧州特許第3709325号は、管状遮断デバイスの形態の1つのタイプの遮断デバイスを開示しており、この遮断デバイスは、導電性外側部材の内側に径方向に配置された導電性内側部材と、外側部材と内側部材との間に径方向に配置された電気絶縁性又は半導電性の遮断チューブとを備える。遮断チューブは、導電性部材を互いに分離すると共に、導電性部材を互いに分離することによって発生するアークを伸展させる。
【0004】
この遮断デバイスは、通常は良好に機能する。しかし、時間を経ると、デバイス内の要素の材料損失により、電気アークの伸展効果は徐々に低減される。これは、アーク中断時間の増加を招くことがある。最終的に、遮断不良が起こる可能性がある。
【0005】
したがって、改良された遮断デバイスが、必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つの目的は、磨耗に対してより強靱であり、材料の損失がより少ない、電流を中断するための遮断デバイスを提供することである。
【0007】
本開示のさらなる目的は、電流の高速中断をもたらす、電流を中断するための遮断デバイスを提供することである。
【0008】
本開示のさらなる目的は、確実な電流の中断をもたらす、電流を中断するための遮断デバイスを提供することである。
【0009】
本開示のなおさらなる目的は、電流を中断するために複数回使用され得る、電流を中断するための遮断デバイスを提供することである。
【0010】
本開示のさらに別の目的は、前述の目的のいくつか又はすべてを組み合わせて解決する、電流を中断するための遮断デバイスを提供することである。
【0011】
1つの態様によれば、電流を中断するための遮断デバイスであって、
導電性外側部材と、
遮断軸に対して外側部材の内側に径方向に配置された導電性内側部材と、
遮断軸に対して外側部材と内側部材との間に径方向に配置された電気絶縁性又は半導電性の遮断部材とを備え、
遮断部材が、開始位置から、遮断部材によって外側部材と内側部材との間の電流を中断するために外側部材内の空間から遮断部材が突起する突起位置まで、遮断軸に沿って移動するように配置され、
遮断部材が、内側管状要素と外側管状要素とを備え、この場合、外側管状要素が、内側管状要素の外面に接合され、それによって外側管状要素と内側管状要素との間に凹部を画定する、遮断デバイスが、提供される。
【0012】
凹部は、より具体的には、外側管状要素の内面と内側管状要素の外面との間に画定され得る。
【0013】
外側管状要素は、内側管状要素の外面の接合領域において内側管状要素に接合され得る。接合領域は、より具体的には、遮断軸周りの内側管状要素の外面の円筒形部分として形成され得る。
【0014】
内側管状要素は、追加的に、第1の突起端部を備えることができ、外側管状要素は、第2の突起端部を備えることができる。
【0015】
第1の突起端部は、遮断軸に対して垂直である第1の平面内に置かれてもよく、第2の突起端部は、遮断軸に対して垂直である第2の平面内に置かれてもよく、凹部の底部は、遮断軸に対してこれも垂直である第3の平面内に位置してもよい。
【0016】
内側管状要素は、第1の突起端部と、外側管状要素が内側管状要素に接合される領域との間の長さであってもよい第1の突起長さを有することができる。外側管状要素は、同様にして、第2の突起端部と、外側管状要素が内側管状要素に接合される領域との間の長さである第2の突起長さを有することができる。それにより、内側管状要素の第1の突起長さは、第1の平面と第3の平面との間の遮断軸に沿った内側管状要素の長さであってもよく、外側管状要素の第2の突起長さは、第2の平面と第3の平面との間の遮断軸に沿った外側管状要素の長さであってもよい。
【0017】
第2の突起端部は、遮断軸に関連して第1の突起端部と接合領域との間に位置することができる。
【0018】
第2の突起端部は、1つの変形形態では、遮断軸に関連して接合領域と第1の突起端部との間の実質的に中間に位置することができる。第2の突起端部は、それによって、第1の突起端部と、外側管状要素が内側管状要素に接合される領域との間の実質的に中ほどに置かれ得る。それにより、第2の突起端部を有する第2の平面は、第1の平面と第3の平面との間の本質的に中ほどに位置することができる。第2の平面と第1の平面との間の距離は、それによって、第1の平面と第3の平面との間の距離と本質的に同じであってもよい。
【0019】
第2の突起端部は、別の変形形態では、遮断軸に関連して第1の突起端部よりも接合領域の近くに位置することができる。それにより、第2の突起端部を有する第2の平面は、第1の平面よりも第3の平面の近くに置かれ得る。第2の平面と第3の平面との間の距離は、その結果、第2の平面と第1の平面との間の距離より小さくなり得る。
【0020】
第2の突起端部は、さらなる変形形態では、遮断軸に関連して接合領域よりも第1の突起端部の近くに位置することができる。第2の平面は、それによって、凹部の底部を有する第3の平面よりも第1の突起端部を有する第1の平面の近くに位置することができる。これはまた、第2の平面と第1の平面との間の距離が、第2の平面と第3の平面との間の距離より小さくなり得ることを意味する。
【0021】
遮断デバイスは、さらに、内側管状要素を受け入れるための内側空洞と、外側管状要素を受け入れるための外側空洞とを備えるアーク放電室を備えることができる。内側空洞は、より具体的には、内側管状要素の第1の突起長さを受け入れるように成形されてもよく、外側空洞は、外側管状要素の第2の突起長さを受け入れるように成形されてもよい。空洞は、セラミック又はポリマー本体であってもよい、電気絶縁性材料の本体で形成された空洞であってもよく、この場合、ポリマーは、熱硬化性又は熱可塑性のポリマー、たとえばポリオキシメチレン(POM)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)及び/又はポリオレフィン、たとえばポロプロピレン(PP)もしくはポリメチルペンテン(PMP)もしくは別のそのようなポリマーであってもよい。
【0022】
内側空洞及び外側空洞の存在により、これらの間に壁も形成され、この壁は、内側管状要素と外側管状要素との間の凹部と対合する。より具体的には、壁の先端が、凹部の底部と対合するように適合され得る。
【0023】
さらに、突起位置において、内側管状要素の第1の突起端部が、内側空洞の底部に当接するように配置され、外側管状要素の第2の突起端部が、外側空洞の底部に当接するように配置され、及び/又は凹部の底部が、外側空洞から内側空洞を分離する壁の先端に当接するように配置されることも可能である。
【0024】
デバイスは、さらに、遮断部材が開始位置から移動したときにアーク放電室を通気するための少なくとも1つの通気開口部を備えることができ、この場合、各通気開口部は、空洞の1つに通じる。この場合、少なくとも1つの第1の径方向通気開口部が内側空洞に通じることが、可能である。追加的に、又はその代わりに、少なくとも1つの第2の径方向通気開口部が外側空洞に通じることが、可能である。各径方向通気開口部は、追加的に、通気チャネルを介して空洞に通じることができる。
【0025】
外側部材、内側部材、内側管状要素、及び外側管状要素は、遮断軸と実質的に同心であってもよい。
【0026】
遮断デバイスは、遮断部材を開始位置から突起位置に強制するように配置されたアクチュエータをさらに備えることができる。
【0027】
遮断デバイスは、追加的に、移動可能な接点要素を備える接点配置を備えることができ、この接点配置は、外側部材及び内側部材を選択的に電気的に接続解除するように構成される。接点配置は、より具体的には、開始位置から突起位置に向かう遮断部材の移動中、外側部材及び内側部材を電気的に接続解除するように構成され得る。
【0028】
遮断部材は、外側部材と内側部材との間に電位障壁を提供する。遮断部材の形状により、アークは、遮断部材を開始位置から突起位置に移動させることによって効果的に捕捉され得る。
【0029】
遮断部材が開始位置から移動するにつれて、内側部材と外側部材との間のアーク経路は長くなる。遮断部材は、より具体的には、第1の突起長さの2倍及び第2の突起長さの2倍の合計に少なくとも対応する距離でアークの長さを伸張する。それにより、アーク電圧が、高速で上昇し得る。アーク経路の伸張された長さは、最終的にアークを消失させ得る。それにより、遮断デバイスを備える回路が、開かれ得る。遮断部材の開始位置及び突起位置は、したがって、遮断デバイスの閉位置及び開位置それぞれに対応することができる。
【0030】
遮断デバイスは管状要素を有する遮断部材を備えているため、遮断デバイスは、管状遮断器を構成する。遮断デバイスは、AC及びDC用途、たとえば低電圧及び中電圧範囲内で使用され得る。遮断デバイスは、能動型又は受動型(すなわち適用される回路源以外の補助電力を必要としない)であってもよい。本開示による遮断デバイスは、たとえば、切り替えデバイス、電源デバイス、転流スイッチ、断路器、受働型DC遮断器、受働型AC遮断器、ロードスイッチ又は電流制限器として実装され得る。
【0031】
遮断部材は、さらに、突起位置から開始位置まで遮断軸に沿って後方に移動するように配置され得る。遮断デバイスは、複数回電流を中断するように構成され得る。
【0032】
遮断部材は、セラミック及び/又はポリマーで作製されてもよく、この場合、ポリマーは、熱硬化性又は熱可塑性のポリマー、たとえばPOM、PMMA、PI、PA、PP及び/又はPMP、もしくは別のそのようなポリマーであってもよい。追加的に、内側管状要素が1つの絶縁性又は半導性の材料で形成され、外側管状要素が別の絶縁性又は半導性の材料で形成されることも可能である。遮断部材は、電気絶縁性又は半導電性であってもよいが、導電性ではない。
【0033】
内側部材は、電気回路の内側電気接点に接続されてもよく、外側部材は、電気回路の外側電気接点に接続されてもよい。外側部材及び内側部材は、さまざまな形状、たとえば、チューブ、バー、又はロッドのものであってもよい。外側部材及び内側部材は、同じタイプの形状又は異なるタイプの形状のものであってもよい。
【0034】
外側部材及び/又は内側部材は、導電性チューブであってもよい。
【0035】
外側部材、内側部材、及び遮断部材は、遮断軸と実質的に同心であっても、又は同心であってもよい。この場合、三軸遮断デバイスが、形成される。
【0036】
接点配置は、開始位置から突起位置に向かう遮断部材の移動中、外側部材及び内側部材を電気的に接続解除するように構成され得る。遮断部材は、外側部材及び内側部材を電気的に接続解除するために、開始位置から突起位置に移動しているときに接点配置の移動可能な接点要素を押すか、又は別の形で作動させることができる。
【0037】
本開示のさらなる詳細、利点及び態様は、図を併用して以下の実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】遮断デバイスの概略斜視図。
図2】遮断デバイスの遮断部材の概略側部断面図。
図3図2の遮断部材を含む遮断デバイスの第1のバージョンの一部の概略側部断面図。
図4】遮断デバイスの導電性内側部材と導電性外側部材を相互接続するために使用される機構の概略拡大部分図。
図5】遮断部材を作動させるために使用されるアクチュエータの概略図。
図6A】遮断部材が開始位置から突起位置に移動する遮断デバイスの第2のバージョンの一部の概略側部断面図。
図6B】遮断部材が開始位置から突起位置に移動する遮断デバイスの第2のバージョンの一部の別の概略側部断面図。
図6C】遮断部材が開始位置から突起位置に移動する遮断デバイスの第2のバージョンの一部の別の概略側部断面図。
図6D】遮断部材が開始位置から突起位置に移動する遮断デバイスの第2のバージョンの一部の別の概略側部断面図。
図6E】遮断部材が開始位置から突起位置に移動する遮断デバイスの第2のバージョンの一部の別の概略側部断面図。
図6F】遮断部材が開始位置から突起位置に移動する遮断デバイスの第2のバージョンの一部の別の概略側部断面図。
図7】遮断デバイスの第3のバージョンの一部の概略側部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下では、電流を中断するための遮断デバイスが、説明される。同じ又は類似の構造的特徴を示すために、同じ参照番号が使用される。
【0040】
図1は、電流を中断するように構成された遮断デバイス10の斜視図を概略的に表す。遮断デバイス10は、AC及びDC用途に、たとえば低電圧及び中電圧範囲において使用され得る。
【0041】
この例の遮断デバイス10は、端部セクション12と壁14とを備えて、遮断部材受け入れ構造が配置される容積部を提供する。遮断部材受け入れ構造は、遮断部材を受け入れるために提供され、電気絶縁性材料の本体として形成される。端部セクション12、壁14、及び遮断部材受け入れ構造は一緒になって、アーク放電室16を形成する。遮断デバイス10は、さらに、外側電気接点18と内側電気接点20とを備える。複数の軸方向通気開口部22が、端部セクション12内に形成され、複数の径方向通気開口部24が、壁14内に形成される。少なくとも遮断部材受け入れ構造は、たとえば、セラミック、又は熱硬化性もしくは熱可塑性のポリマー、たとえばポリオキシメチレン(POM)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)及び/又はポリオレフィン、たとえばポロプロピレン(PP)もしくはポリメチルペンテン(PMP)もしくは別のそのようなポリマーのようなポリマーであってもよい、電気絶縁性材料で作製され得る。追加的に、端部セクション12及び壁14が同じ材料で作製されることも可能である。
【0042】
図2は、遮断デバイス10において使用される電気絶縁性又は半導電性の遮断部材26の側部断面図を表す。遮断部材26は、内側管状要素28と外側管状要素36とを備える。両方の要素は、したがって、チューブとして形成され、内側管状要素28は内面32と外面34とを有し、外側管状要素36は内面40と外面42とを有し、この場合、内面は管状要素の内部にあり、外面は管状要素の外部にある。両方の管状要素は、さらに、遮断軸48を中心にして置かれる。その意図は、遮断部材26、それによって管状要素28及び36が、電流中断動作を実行しているときに遮断軸48に沿って移動することである。
【0043】
内側管状要素28は、第1の突起端部30を備え、この第1の突起端部30は、遮断軸48に対して垂直である第1の平面内に置かれる。外側管状要素36は、第2の突起端部38を備え、この第2の突起端部38は、遮断軸48に対してこれも垂直である第2の平面内に置かれる。
【0044】
外側管状要素36は、内側管状要素28の外面34の接合領域44において内側管状要素28に接合され、この場合、接合領域44は、遮断軸48周りの外面の円筒形状部分として形成され得る。それにより、円形形状の凹部46が、内側管状要素28と外側管状要素36との間に画定される。凹部46は、より具体的には、外側管状要素36の内面40と内側管状要素28の外面34との間に画定される。
【0045】
第2の突起端部38は、遮断軸48に関連して第1の突起端部30と接合領域44との間に位置する。第2の突起端部38を有する第2の平面は、それによって、第1の突起端部30を有する第1の平面と、内側管状要素28と外側管状要素36との間の凹部46の底部が位置する第3の平面との間に、遮断軸48に沿って置かれる。この例では、第2の突起端部38は、第1の突起端部30と、外側管状要素36が内側管状要素28に接合される領域との間の実質的に中ほどに置かれ、すなわち第2の突起端部を有する第2の平面は、第1の平面と第3の平面との間の中ほどに位置する。第2の平面と第1の平面との間の距離は、したがって、第2の平面と第3の平面との間の距離と本質的に同じである。
【0046】
内側管状要素28はまた、第1の突起端部30と、外側管状要素36が内側管状要素28に接合される接合領域44との間の長さである第1の突起長さを有し、外側管状要素36は、第2の突起端部38と、外側管状要素36が内側管状要素28に接合される接合領域44との間の長さである第2の突起長さを有する。言い換えれば、内側管状要素28の第1の突起長さは、第1の突起端部30を有する第1の平面と凹部46の底部を有する第3の平面との間の、遮断軸48に沿った長さであり、外側管状要素36の第2の突起長さは、第2の突起端部38を有する第2の平面と凹部46の底部を有する第3の平面との間の、遮断軸48に沿った長さである。
【0047】
遮断部材26は、セラミック、又は熱硬化性もしくは熱可塑性のポリマー、たとえばPOM、PMMA、PI、PA、PP、及び/又はPMPもしくは別のそのようなポリマーのようなポリマーであってもよい絶縁材料で作製され得る。あるいは、遮断部材は、半導電性材料で作製されてもよい。また、内側管状要素が1つの絶縁性又は半導電性の材料で作製され、外側管状要素が別の絶縁性又は半導電性材料で作製されることも可能である。遮断部材26の内側管状要素28及び外側管状要素36は、追加的に、いずれも円形断面を有することができる。図2でも分かるように、遮断部材26は、遮断軸48と同心である。
【0048】
図3は、アーク放電室16と遮断部材26とを備える遮断デバイスの一部の側部断面図を表し、この場合、遮断部材は、突起位置になりつつある。アーク放電室16は、空気、気体、又は他の流体によって充填され得る。
【0049】
アーク放電室16内の遮断部材受け入れ構造は、遮断部材26の内側管状要素28を受け入れるための内側空洞54と、遮断部材26の外側管状要素を受け入れるために外側空洞56とを備える。空洞54及び56は、したがって、電気絶縁性材料の本体内に形成されてもよく、この材料は、上記で言及したように、セラミック、又は熱硬化性もしくは熱可塑性のポリマー、たとえばPOM、PMMA、PI、PA、PP、及び/又はPMPなどのようなポリマーであってもよい。両方の空洞は、遮断部材26の対応する管状要素の突起長さに対応する深さを有ししてリング形状にされ得る。内側空洞54は、より具体的には、内側管状要素28の第1の突起長さを受け入れるように成形され得る。内側空洞54は、それによって、内側管状要素28の第1の突起長さに対応する、遮断軸48に沿った方向の深さを有することができる。内側空洞54の底部はまた、この場合、端部セクション12によっても形成され得る。外側空洞56は、同様にして、外側管状要素36の第2の突起長さを受け入れるように成形され得る。外側空洞56は、それによって、遮断部材26の外側管状要素の第2の突起長さに対応する、遮断軸48に沿った方向の深さを有することができる。内側空洞54及び外側空洞56を設けることにより、これらの間に壁も形成され、この壁は、内側管状要素28と外側管状要素36との間の凹部46と対合する。
【0050】
アーク放電室16内には、さらに、アーク中断が行われたときにアーク放電室16を通気するための少なくとも1つの通気開口部22、24Aが存在し、この場合、各通気開口部は、対応する空洞に通じている。図3の例で分かるように、第1のグループの軸方向通気開口部22は、内側空洞54の底部に通じている。第1のグループの径方向通気開口部24Aもまた、対応する通気チャネル58Aを介して内側空洞54に通じていることも分かる。各径方向通気開口部は、それによって、通気チャネルを介して空洞に通じることができる。第1のグループの径方向通気開口部内の少なくとも1つの第1の通気開口部は、したがって、内側空洞54に通じている。
【0051】
軸方向通気開口部22及び径方向通気開口部24Aのそれぞれは、貫通孔によって構築される。軸方向通気開口部22は、アーク放電室16の内部から端部セクション12を貫通して延びる。径方向通気開口部24Aは、アーク放電室16の内部から通気チャネル58Aを介して壁14を貫通して延びる。通気開口部22、24Aは、遮断部材26が開始位置から移動し始めたときにアーク放電室16内の容積部を通気するように構成される。
【0052】
これも図3で分かるように、遮断デバイス10は、遮断部材26に加えて、導電性外側部材50と導電性内側部材52とを備え、これらの部材はすべて、チューブとして成形されてもよく、又は管状要素を有してもよい。したがって、遮断デバイス10は、管状遮断器と呼ばれ得る。
【0053】
内側部材52は、遮断軸48に対して外側部材50の内側に径方向に配置される。遮断部材26は、遮断軸48に対して外側部材50と内側部材52との間に径方向に配置される。
【0054】
この例では、外側部材50及び内側部材52のそれぞれは、遮断軸48と同心である導電性チューブである。外側部材50及び内側部材52のそれぞれは、円形断面を有する。アーク中断部材の要素も管状であるため、遮断デバイス10は、したがって三軸遮断デバイスである。しかし、外側部材50及び内側部材52の一方又は両方が、チューブ以外の形状をとることができる。外側部材50は、外側電気接点18に接続され、内側部材52は、内側電気接点20(図示せず)に接続される。
【0055】
図3に示すように、空間59が、外側部材50と内側部材52との間に画定される。空間59は、遮断部材26の初期又は開始位置のための空間であり、遮断部材は、外側部材50及び内側部材52が互いに電気接触することによって回路遮断器が閉じられているときにこの空間内に載置する。遮断部材26は、次いで、アークを中断するために、開始位置から突起位置に移動しているときにこの空間59からアーク放電室16内に移動される。
【0056】
図4で分かるように、遮断デバイス10は、さらに、接点配置を備える。接点配置は、外側部材50及び内側部材52を選択的に電気的に接続解除するように構成される。外側部材50は、このために、タップ点66が装備された外側部材先端を備え、内側部材52は、第1の接点パッド64が装備された内側部材先端を備える。また、移動可能な接点要素60が、タップ点66において外側部材50に接合され、タップ点66の周りで枢動可能である。移動可能な接点要素60は、第2の接点パッド62を備え、遮断部材が開始位置にあるとき、移動可能な接点要素60は、空間59を覆い、第2の接点パッド62は、第1の接点パッド64と接触している。遮断部材が突起位置に移動される場合、遮断部材は、移動可能な接点要素60を上方向に押し出し、接点要素60をタップ点66の周りで第1の方向に枢動させる。これは、さらに、接点パッド62及び64を互いに分離させる。また、閉鎖要素69が移動可能な接点要素60に接続されており、この閉鎖要素69は、接点パッド62及び64を互いに接続するために、接点要素60をタップ点66の周りで反対の第2の方向に枢動させるように作動され得る。
【0057】
外側部材先端及び内側部材先端のそれぞれは、アーク放電室16に隣接して位置決めされる。
【0058】
遮断デバイス10は、アクチュエータをさらに備える。アクチュエータは、遮断部材26を開始位置から離れるように強制するためのさまざまなタイプのものであってもよい。アクチュエータの1つの例が、図5に概略的に示される。ここでは、アクチュエータ70は、トムソンドライブの形態の弾道アクチュエータとして例示されている。アクチュエータ70は、トムソンコイル72と、電機子74と、電機子弛緩クッション76と、遮断部材(図示せず)に接合されたアクチュエータ78とを備える。トムソンコイル72及び電機子74は、遮断部材26の弾道的移動にエネルギーを提供するように配置される。
【0059】
次に、遮断デバイスの動作が図6A~Fを参照して説明され、これらの図は、アークを中断するときの、遮断デバイスの一部内の遮断部材26の移動を示している。
【0060】
これらの図では、わずかに変更された遮断デバイスが、使用される。遮断部材の外側管状要素36が、図2及び3に示される第1の例よりも短いことが分かる。この例では、第2の突起端部は、第1の突起端部30よりも、外側管状要素36が内側管状要素28に接合される領域の近くに置かれ、すなわち、第2の突起端部を有する第2の平面は、第1の突起端部30を有する第1の平面よりも、凹部の底部を有する第3の平面の近くに置かれる。第2の平面と第3の平面との間の距離は、したがって、第2の平面と第1の平面との間の距離より小さい。さらに、第1のグループの軸方向通気開口部22及び第1のグループの通気チャネル58Aを有する径方向通気開口部24Aに加えて、この場合、デバイスの壁内に少なくとも1つの第2の径方向通気開口部を備える第2のグループの径方向通気開口部24Bも存在し、この通気開口部は、通気チャネル58Bを介して外側空洞56に通じている。導電性外側部材50と外側電気接点18との間の接続も示される。
【0061】
しかし、概要の目的で、アクチュエータならびに移動可能な接点要素を備えた接点配置は、省略されている。
【0062】
遮断部材26は、突起した位置に到達するために、図6A~Fにおいて上方向に遮断軸48に沿って開始位置から移動するように構成される。
【0063】
遮断部材26は、それによって、アクチュエータ70によって開始位置から遮断軸48に沿って突起位置まで移動し、ここで、遮断部材26は、アーク放電室16内に突起する。
【0064】
最初、遮断部材26は、これが導電性外側部材50と導電性内側部材52との間の空間59内に含まれる開始位置にある。次いで、電流中断が望まれるとき、遮断部材26は、アクチュエータによって開始位置から遮断軸48に沿って移動される。何らかの時点で、内側管状要素28は、接点配置の接点要素を、これが導電性内側部材52から分離されるように移動させ、それによって導電性外側部材50と導電性内側部材52との間にアークAを生じさせる。図6Aを参照されたい。
【0065】
アークは、アーク放電室16内に過圧を発生させる。過圧は、通気開口部22、24A、及び24Bによって放出される。さらに、通気開口部22、24A、24Bからのアーク放電室16の通気は、遮断部材26が移動し始めるとすぐに行われる。
【0066】
開始位置から突起位置への遮断部材26の移動中、遮断部材26は、したがって、接点配置の移動可能な接点要素60を電気的に接続された状態から電気的に接続解除された状態に押し出す。外側部材50は、それによって、内側部材52から電気的に接続解除され、アークAは、外側部材50と内側部材52との間で点火される。しかし、「押出し部材」としての遮断部材26の使用は、接点配置によって外側部材50及び内側部材52を電気的に接続解除するいくつかの方法の1つにすぎないことを、ここで認識されたい。
【0067】
遮断部材26の内側管状要素28は、次いで、アーク放電室16に入り始め、より具体的にはアーク放電室16の内側空洞54に入り始める。これは、内側部材52と外側部材50との間のアークAを、第1の突起端部30の周りを通るように伸張させる。図6Bを参照されたい。
【0068】
遮断部材26が遮断軸に沿って移動され続けるにつれて、内側管状要素28は内側空洞54にますます入っていく。それにより、アークは、内側部材52の先端から進み、内側管状要素28の内面32に沿って通り、第1の突起端部30を回り、次いで、内側管状要素28の外面34に沿って戻る。外側管状要素36がアーク放電室にまだ入っていない場合、アークは、その後、外側部材50の先端まで続く。図6Cを参照されたい。この移動は、したがって、アークAをさらに伸張させるか、又は伸展させる。
【0069】
遮断軸に沿って移動が続くと、外側管状要素36は、次いで、外側空洞56に入り始め、それによってアークAを内側部材52の先端から進め、内側管状要素28の内面32を通過させ、第1の突起端部30を回らせ、内側管状要素28の外面34に沿って戻し、内側管状要素28と外側管状要素36との間の凹部46に入れ、内側空洞54及び外側空洞56を分離する壁の先端を回らせ、外側管状要素36の内面40に沿って続け、第2の突起端部38で方向転換させ、次いで、外側管状要素36の外面42に沿って続け、外側部材50の先端と接触させる。図6Dを参照されたい。
【0070】
図6Eは、遮断部材が突起位置に到達しつつあるとき、すなわち、内側管状要素28の第1の突起端部30が内側空洞54の底部に近づきつつあり、外側管状要素36の第2の突起端部38が外側空洞56の底部に近づきつつあるときのアークAの同じ経路を示す。
【0071】
最終的に、遮断部材26は、図6Fに示される突起した位置に到達する。この場合、第1の突起端部30は、内側空洞54の底部に到達し、これに当接しており、第2の突起端部38は、外側空洞56の底部に到達し、これに当接しており、内側管状要素28と外側管状要素36との間の凹部46の底部は、内側空洞54と外側空洞56との間の壁の先端を受け入れ、これに当接しており、それによってアークを中断する。内側管状要素28の第1の突起端部30は、内側空洞54の底部とこうして当接し、外側管状要素36の第2の突起端部38は、外側空洞の底部に当接し、凹部46の底部は、空洞54と56を分離する壁の先端に当接する。それにより、アークは切断され、電流は停止され得る。代替策として、第1の突起端部、第2の突起端部、及び凹部の底部の遮断部材の部分の1つ又は2つだけが、突起した位置においてアーク放電室の対応する部分に実際に当接することが、可能である。
【0072】
遮断部材26は、次いで、遮断デバイス10の再使用のために突起位置から開始位置に戻され得る。戻り移動は、たとえば、手動で、又はアクチュエータ70もしくは接点配置の閉鎖要素69によって行われ得る。
【0073】
上記で説明され、図6A~Fで分かるように、アークAは、内側部材52から、遮断部材26の第1及び第2の突起端部上を移動させられ、外側部材50に戻される。遮断部材26は、それによって、外側部材50と内側部材52との間のアーク経路を長くし、この伸張された長さ上をアークに通らせる。
【0074】
すなわち、遮断部材26は、アークをかなりの距離にわたって伸張させ、この距離は、第1の突起長さの2倍及び第2の突起長さの2倍の合計に対応する。いくつかの実装態様では、突起位置におけるアークのこの応力作用により、アークは消失する。突起位置は、それによって、遮断部材26によって外側部材50と内側部材52との間の電流を中断するための遮断部材26の1つの位置を構成する。
【0075】
径方向通気開口部24は、気体が両方の空洞54及び56から、アーク放電室16から流出することを可能にする。径方向通気開口部24A及び24Bならびに軸方向通気開口部22は、したがって、アークが移動し、アーク放電室16内側の過剰な圧力を回避することを可能にする。
【0076】
内側管状要素及び外側管状要素を備える遮断部材が2つの同軸に配置された導電性部材間に挿入されることが、こうして分かる。このチューブは、アーク放電室に入り、ここでアークは引き伸ばされ、アーク放電室の空洞壁間で伸展され、最終的に中断される。
【0077】
内側及び外側の第2の管状要素として遮断部材を実装することにより、遮断デバイスの電気寿命は、1つだけの管状要素が使用される場合と比べて改善される。
【0078】
遮断デバイス10は、試作され、電流5Aから6kAにおいて100Vから10kVの範囲内のDC電流をうまく中断することが証明されている。この試作はまた、遮断デバイス10が最大2kVまでの電圧において複数回電流を中断できることを証明した。さらに、この試作は、アーク放電室16が、性能を大きく変化させずに長さと直径の両方において低減され得ることを証明した。
【0079】
公称電流の中断中、内側管状要素は、まずアーク放電室に入り、アーク電圧は、一例として、約1.2kVまで上昇することができ、公称電流は、一例として、少なくとも400Aから500Aに降下することができる。次いで、外側管状要素はアーク放電室に入り始め、この例によるアーク電圧は、内側管状要素と一緒に2kV超まで上昇する。外側管状要素がアーク放電室に入った瞬間、電流は公称電流(1kA)を大きく下回って降下するため、内側管状要素上のアーク溶損、すなわち材料損失は、深刻ではない。その上、1つだけの管状要素が使用される場合と比べ、アーク放電時間全体は短くなるため、外側管状要素上のアーク溶損もそれほど深刻ではなくなる。したがって、電気寿命が、延長される。
【0080】
さらに、内側管状要素及び外側管状要素と共に遮断部材を使用することにより、アーク放電室内で、1つだけの管状要素が使用されるよりも高くアーク電圧を上昇させることも可能になり得る。これは、一例として、外側管状要素の長さに応じて、1.2~2.0倍の範囲で高くなり得る。あるいは、管状部材の溶損は減じられる。これはまた、遮断デバイスのサイズの最小限の増大によって達成され得る。
【0081】
内側管状要素及び外側管状要素を有する遮断部材の使用は、したがって、DC電流のより高速な中断を可能にし、公称電流における耐電圧を改善するために、追加のアーク長さを提供し、より高いアーク電圧の上昇を可能にする。
【0082】
遮断デバイス10の耐電圧能力は、遮断部材26のストローク長さによって主に決まる。電流中断能力は、アーク圧力に耐える遮断部材26の強さによって主に決まる。ストロークの長さ、遮断部材26の速度、遮断部材26の厚さ及び長さなどが、実装態様に応じて変えられてもよい。
【0083】
上記で分かるように、外側管状要素の突起長さは、変えられ得る。遮断部材の外側管状要素の突起長さは、たとえば、前に与えられた例と比べて伸張され得る。図7の例で分かるように、第2の突起端部は、遮断軸に関連して接合領域よりも第1の突起端部の近くに位置することができ、すなわち、第2の突起端部を有する第2の平面は、凹部の底部を有する第3の平面よりも、第1の突起端部を有する第1の平面の近くに位置し得る。それにより、第2の平面と第1の平面との間の距離は、第2の平面と第3の平面との間の距離より小さくなり得る。
【0084】
図7で観察され得る別の相違は、内側空洞54に通じる第1のグループの径方向通気開口部が存在せず、外側空洞56に通じる第2のグループの径方向通気開口部24Bならびに軸方向通気開口部22のみが存在することである。
【0085】
本開示は例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本発明は上記で説明されたものに限定されないことが、理解されよう。たとえば、部分の寸法が必要に応じて変えられてもよいことが、理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
【外国語明細書】