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特開2022-181175ラテックスのためのシードエマルション重合プロセス及びそれから作製された水性インクジェットインク組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181175
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ラテックスのためのシードエマルション重合プロセス及びそれから作製された水性インクジェットインク組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/22 20060101AFI20221130BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
C08F2/22
C08F220/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070075
(22)【出願日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】17/329,357
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】チュンリャン・ルー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・カイケンドール
(72)【発明者】
【氏名】チーミン・チェン
【テーマコード(参考)】
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011KA27
4J011KB14
4J011KB19
4J011KB29
4J100AJ02R
4J100AL03Q
4J100AL62P
4J100CA05
4J100DA25
4J100EA11
4J100FA03
4J100FA20
4J100FA34
4J100JA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ラテックスを形成するための方法を提供する。
【解決手段】方法は、水、モノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、及び第1の反応性界面活性剤を含むモノマーエマルションの第1の部分を、水及び第2の反応性界面活性剤を含む反応性界面活性剤溶液に添加して、反応混合物を形成することであって、反応性界面活性剤溶液が第2の反応性界面活性剤以外のモノマーを含まない、形成することと、モノマーが重合反応を受けて反応混合物中に樹脂シードを形成するように、開始剤溶液の第1の部分を反応混合物に添加することと、モノマーエマルションの第2の部分を樹脂シードを含む反応混合物に添加することと、開始剤溶液の第2の部分を反応混合物に添加して、樹脂粒子を含むラテックスを形成することと、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラテックスを形成するための方法であって、
(a)水、モノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、及び第1の反応性界面活性剤を含むモノマーエマルションの第1の部分を、水及び第2の反応性界面活性剤を含む反応性界面活性剤溶液に添加して、反応混合物を形成することであって、前記反応性界面活性剤溶液が前記第2の反応性界面活性剤以外のモノマーを含まない、形成することと、
(b)モノマーが重合反応を受けて前記反応混合物中に樹脂シードを形成するように、開始剤溶液の第1の部分を、前記反応混合物に添加することと、
(c)前記モノマーエマルションの第2の部分を、前記樹脂シードを含む前記反応混合物に添加することと、
(d)前記開始剤溶液の第2の部分を、前記反応混合物に添加して、樹脂粒子を含むラテックスを形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記反応性界面活性剤溶液が、前記開始剤を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(d)が、ステップ(c)の後に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記開始剤溶液の前記第2の部分の前記添加が、前記モノマーエマルションの前記第2の部分の前記添加中に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記モノマーエマルションが、スチレンと、アルキルアクリレートとを、約10:1~約1:1の(スチレン)対(アルキルアクリレート)の重量比で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モノマーエマルションが、スチレン不含である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記モノマーエマルションが、2つの異なるアルキルアクリレートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記2つの異なるアルキルアクリレートが、約5:1~約1:5の(メチル(メタ)アクリレート)対(ブチル(メタ)アクリレート)の重量比で存在する、メチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モノマーエマルションが、界面活性剤を含まず、前記反応性界面活性剤溶液が、界面活性剤を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記モノマーエマルションが、スチレン、アルキルアクリレート、メタアクリル酸、スルホン酸モノマー、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、及びアニオン性エーテルサルフェート反応性界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記スルホン酸モノマーが、スチレンスルホン酸である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モノマーエマルションが、2つの異なるアルキルアクリレート、メタアクリル酸、スルホン酸モノマー、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、及びアニオン性エーテルサルフェート反応性界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記スルホン酸モノマーが、スチレンスルホン酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モノマーエマルションが、親水性モノマーを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記親水性モノマーが、ポリ(エチレングリコール)メタクリレートである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記2つの異なるアルキルアクリレートが、メチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートである請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記モノマーエマルションが、スチレン不含である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記樹脂粒子が、約100nm以下のD50粒径、約150nm未満のD95粒径、及び約45nm以下の幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記樹脂粒子が、約75nm以下のD50粒径、約100nm未満のD95粒径、及び約35nm以下の幅を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
スチレン以外のモノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、及び反応性界面活性剤を含む反応物の重合生成物を含む樹脂粒子を含むラテックスであって、前記樹脂粒子が、約100nm以下のD50粒径、約150nm未満のD90粒径、及び約45nm以下の幅を有する、ラテックス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ラテックスは、基材上に着色剤を結合し、印刷画像を保護するために、水性インクジェットインク組成物においてしばしば使用される。高品質ラテックスは、水性インクジェットインク組成物の印刷中の噴射不安定性、噴射潜時、及びノズル詰まりを防止するために、重要である。水性インクジェットインク組成物のためのラテックスを生成するために使用される様々な重合プロセスが存在する。それにもかかわらず、品質を犠牲にすることなく、ラテックスを迅速かつ効率的に生成することは困難であった。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、水性インクジェットインク組成物中の結合剤などの様々な用途で使用するためのラテックスを形成するための方法を提供する。方法の実施形態は、小さい径及び狭い粒度分布を有する樹脂粒子を確実に達成するために、乳化及び重合プロセスに対する改善された制御を提供する。これは、得られるラテックスの高品質に寄与する。方法の実施形態は、より少数の構成成分(例えば、界面活性剤なし)及び/又はより少量の構成成分(例えば、より少量の開始剤)を必要とし、一方で、ラテックスは、非常に迅速に(例えば、5時間未満で)生成される。得られるラテックスの実施形態は、非常に安定であり、調整可能なガラス転移温度Tも有する。室温(すなわち、20℃~25℃)で樹脂粒子を含む水性インクジェットインク組成物の合体を達成するのに十分に低いT値が達成され得る。ラテックス及び水性インクジェットインク組成物もまた、本開示により包含される。
【0003】
一態様では、ラテックスを形成するための方法が提供される。実施形態では、そのような方法は、水、モノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、及び第1の反応性界面活性剤を含むモノマーエマルションの第1の部分を、水及び第2の反応性界面活性剤を含む反応性界面活性剤溶液に添加して、反応混合物を形成することであって、反応性界面活性剤溶液が第2の反応性界面活性剤以外のモノマーを含まない、形成することと、モノマーが重合反応を受けて反応混合物中に樹脂シードを形成するように、開始剤溶液の第1の部分を反応混合物に添加することと、モノマーエマルションの第2の部分を樹脂シードを含む反応混合物に添加することと、開始剤溶液の第2の部分を反応混合物に添加して、樹脂粒子を含むラテックスを形成することと、を含む。
【0004】
別の態様では、ラテックスが提供される。実施形態では、このようなラテックスは、スチレン以外のモノマー、酸性モノマー、多官能性モノマー、及び反応性界面活性剤を含む反応物の重合生成物を含む樹脂粒子を含み、樹脂粒子は、約100nm以下のD50粒径、約150nm未満のD90粒径、及び約45nm以下の幅を有する。
【0005】
本開示の他の主要な特徴及び利点は、以下の図面、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を検討すると当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ラテックス
【0007】
一態様では、ラテックスを形成するための方法が提供される。ラテックスの樹脂粒子は、様々なモノマーから合成されて、樹脂粒子を構成するポリマー材料を形成する。モノマーの種類、したがってポリマー材料は特に限定されない。ただし、例として、以下のモノマー及びこれらの組み合わせを使用することができる(例えば、「(メタ)アクリレート」のような「(メタ)」の使用は、アクリレート及びメタアクリレートの両方を指す):スチレン;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、及びブチルメタアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;β-カルボキシエチルアクリレート(β-CEA)、フェニルアクリレート、メチルアルファクロロアクリレート;ブタジエン;イソプレン;メタアクリロニトリル;アクリロニトリル;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、及びビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルベンゾエート、及びビニルブチレートなどのビニルエステル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、及びメチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン;塩化ビニリデン及びクロロフッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;N-ビニルインドール;N-ビニルピロリドン;メタアクリレート;アクリルアミド;メタアクリルアミド;ビニルピリジン;ビニルピロリドン;ビニル-N-メチルピリジニウムクロリド;ビニルナフタレン;P-クロロスチレン;塩化ビニル;臭化ビニル;フッ化ビニル;エチレン;プロピレン;ブチレン;並びにイソブチレン。実施形態では、ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用されるモノマーは、スチレン及びアルキルアクリレートを含む。実施形態では、ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用されるモノマーは、2つの異なるアルキルアクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレート)を含む。いくつかの実施形態では、スチレンは使用されない。アルキルアクリレートの使用及びスチレンの排除は、ラテックスを含む水性インクジェットインク組成物のフィルム形成及び合体を促進するラテックスを提供するのに有用である。
【0008】
モノマーがスチレン/アルキルアクリレート又は2つの異なるアルキルアクリレートのいずれかを含む実施形態では、異なるモノマーの重量比は、所望のT、例えば、以下に記載した範囲内のT値を達成するように調整され得る。実施形態では、(スチレン)対(アルキルアクリレート)の重量比は、10:1~1:1、8:1~2:1、及び7:1~3:1である。実施形態では、第1のアルキルアクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート)対第2のアルキルアクリレート(例えば、ブチル(メタ)アクリレート)の重量比は、5:1~1:5、3:1~1:3、及び2:1~1:2である。これらの重量比は、樹脂粒子が形成されるモノマーエマルション中の各モノマーの重量比を指す。それらはまた、本方法におけるモノマーの変換率が99.9%を超えると判定されたため、樹脂粒子中の各モノマーの重量の比を指す。
【0009】
酸性モノマーが、(メタ)アクリル酸モノマー、スルホン酸モノマー、スルホネートモノマー、及びこれらの組み合わせを含む、ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用されてもよい。例示的な酸性モノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、ジメチルアクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホネート、シアノアクリル酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリジン酢酸、プロピリジン酢酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、スチリルアクリル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、ビニル安息香酸、N-ビニルスクシンアミジン酸、メサコン酸、メタアクロイルアラニン、アクリロイルヒドロキシグリシン、スルホエチルメタアクリル酸、スルホプロピルアクリル酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリル酸、2-メタアクリロイルオキシメタン-1-スルホン酸、3-メタアクリロイルオキシプロパン-1-スルホン酸、3-(ビニルオキシ)プロパン-1-スルホン酸、エチレンスルホン酸、ビニル硫酸、4-ビニルフェニル硫酸、エチレンホスホン酸、ビニルリン酸、ビニル安息香酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの酸性モノマーはまた、その塩、例えば、スルホン酸の塩も包含する。
【0010】
実施形態では、ラテックスの樹脂粒子を形成するために、各々が異なるpK値を有する2つの異なる酸性モノマーが使用される。2つの異なる酸性モノマーのpK値は、少なくとも2単位、少なくとも3単位、少なくとも4単位、又は少なくとも5単位互いに異なっていてもよい。実施形態では、2つの異なる酸性モノマーは、0.1~10の範囲のより高いpKを有する酸性モノマーとより低いpKを有する酸性モノマーとの重量比で、樹脂粒子を形成するために使用されるモノマーエマルション中に存在する。これは、0.5~8及び1~6の範囲を含む。実施形態では、樹脂粒子を形成するために使用される2つの異なる種類の酸性モノマーは、メタアクリル酸及びスルホン酸を含む。
【0011】
親水性モノマーが、ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用されてもよい。用語「親水性モノマー」は、上に記載される「酸性モノマー」と区別される。すなわち、選択された酸性モノマーもまた親水性であってもよいが、これらの用語は、異なる、化学的に別々の種のモノマーを指す。親水性モノマーは、それらから形成されるラテックスの凍結融解安定性、並びに水性インクジェットインク組成物の潜時を改善するのに有用である。親水性モノマーは、概して、単官能性であり、すなわち、単一の重合性基を含む。例示的な親水性モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート、及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、200g/mol~2000g/molの分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、及び200g/mol~2000g/molの分子量を有するポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。両方の場合において、これは、500g/mol~1000g/molの分子量を含む。これらの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)を使用して決定され得る。実施形態では、樹脂粒子を形成するために使用される親水性モノマーは、ポリ(エチレングリコール)メタアクリレートを含む。
【0012】
多官能性モノマーが、ラテックスの樹脂粒子、すなわち、2つ以上の重合性基(例えば、2つ、3つ、4つ)を含むものを形成するために使用されてもよい。これらは、樹脂粒子内の架橋を促進するため有用である。例示的な多官能性モノマーとしては、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、例えば、200g/mol~2000g/molの分子量を有するポリ(エチレングリコール)ジアクリレートなどの二官能性モノマーが挙げられる。これらの二官能性モノマーはまた、上記のように親水性であるとみなされてもよい。他の親水性二官能性モノマーとしては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどのエーテル結合を含むアルキル鎖と結合したジアクリレート化合物、及びこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物、ポリオキシエチレン(2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレートなどの芳香族基及びエーテル結合を含む鎖と結合したジアクリレート化合物、並びにこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物が挙げられる。他の例示的な二官能性モノマーとしては、イソプレン及びブタジエンなどのジエン化合物、ジビニルベンゼン及びジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,10-ドデカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの、アルキル鎖と結合したジアクリレート化合物、並びにこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物が挙げられる。多官能性モノマーには、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレートなど、及びこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物が含まれる。
【0013】
反応性界面活性剤が、ラテックスの樹脂粒子を形成するために使用されてもよい。好適な反応性界面活性剤は、それらが樹脂粒子に組み込まれるような重合性(及びしたがって反応性)基を含む。例示的な反応性界面活性剤としては、Hitenol BC10-25などの市販のHitenol BCシリーズのものなどのアニオン性エーテルサルフェート反応性界面活性剤が挙げられる。他の好適な反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、Hitenol BC-10、BC-20、BC-2020、BC-30;Hitenol AR-10、AR-20、AR10-25、AR-2020を含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム;Noigen RN-10、RN-20、RN-30、RN-40、RN-5065を含む非イオン性ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;及びE-sperse RX-201、RX-202、RX-203、RS-1596、RS-1616、RS-1617、RS-1618、RS-1684を含むEthoxから入手可能な反応性界面活性剤が挙げられる。
【0014】
連鎖移動剤が、ラテックスを形成するために使用されてもよい。連鎖移動剤は、メルカプタン又はチオールであり得る。好適な連鎖移動剤としては、n-ドデシルメルカプタン(n-dodecylmercaptan、NDM)、n-ドデカンチオールド(n-dodecanethiol、DDT)、tert-ドデシルメルカプタン、1-ブタンチオール、2-ブタンチオール、オクタンチオール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。四臭化炭素、四塩化炭素、及びこれらの組み合わせなどのハロゲン化炭素が、連鎖移動剤として使用されてもよい。
【0015】
ラテックスを形成する際、上に記載されるモノマーのうちのいずれも、溶媒を含むモノマーエマルション中で使用することができる。水は、溶媒として一般に使用されるが、水溶性又は水混和性有機溶媒(例えば、エタノール)も含まれ得る。モノマーの種類及びそれらの相対量は、樹脂粒子/ラテックスの特性を調整するために選択されてもよい。
【0016】
酸性モノマーが、1.5重量%~15重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用されてもよい。(ここで、重量%は、(酸性モノマーの総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)100を指す)。この範囲は、5重量%~10重量%を含む。上記のように、異なるpK値を有する2つの異なる種類の酸性モノマーを、上に記載される重量比で使用してもよい。親水性モノマーが、0重量%~10重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用されてもよい。(重量%は、酸性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)この範囲は、0.1重量%~8重量%、及び1重量%~8重量%を含む。二官能性モノマーを含む多官能性モノマーが、0.01~5重量%、0.1重量%~5重量%、又は0.1重量%~1重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用されてもよい。(重量%は、酸性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)他のモノマー(例えば、スチレン、アルキルアクリレート)が、70重量%~97重量%の範囲の量で存在してもよい。(重量%は、酸性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)この範囲は、75重量%~90重量%を含む。上記のように、これらのモノマーは、上記の重量比で使用され得る。
【0017】
合わせて、酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマー(例えば、親水性多官能性モノマー)の量が、1.5重量%~20重量%の範囲でモノマーエマルション中に存在してもよい。(ここで、重量%は、(酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマーの総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)100を指す。)この範囲は、2重量%~20重量%、及び5重量%~20重量%を含む。
【0018】
反応性界面活性剤が、1.5重量%~6.5重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用されてもよい。(ここで、重量%は、(反応性界面活性剤の総重量)/(反応性界面活性剤モノマーを含むモノマーエマルション中のモノマーの総重量)100を指す。)この範囲は、1.5重量%~5重量%を含む。
【0019】
連鎖移動剤が、モノマーエマルション中に存在してもよく、様々な好適な量、例えば、約0.25重量%~約2.5重量%で使用されてもよい。(ここで、重量%は、(連鎖移動剤の総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)100を指す。)
【0020】
実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒(例えば、水)、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、酸性モノマー、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、及び反応性界面活性剤を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、1種類又は異なる種類の様々なモノマーが使用され得る。同様に、1種類又は異なる種類の溶媒が使用され得る。実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒(例えば、水)、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、2つの異なる種類の酸性モノマー(例えば、メタアクリル酸及びスルホン酸)、二官能性モノマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート)、及び反応性界面活性剤を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒(例えば、水)、第1のアルキルアクリレート(例えば、メチルメタクリレート)、第2のアルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、酸性モノマー、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、及び反応性界面活性剤を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、1種類又は異なる種類の様々なモノマーが使用され得る。同様に、1種類又は異なる種類の溶媒が使用され得る。実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒(例えば、水)、第1のアルキルアクリレート(例えば、メチルメタクリレート)、第2のアルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、2つの異なる種類の酸性モノマー(例えば、メタアクリル酸及びスルホン酸)、二官能性モノマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート)、及び反応性界面活性剤を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態のうちのいずれにおいても、親水性モノマーが含まれ得る(例えば、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)。これらの実施形態のうちのいずれにおいても、連鎖移動剤が含まれ得る。これらの実施形態のうちのいずれかにおいても、上に記載されるような様々な量のモノマー及び連鎖移動剤が使用され得る。残りは、溶媒からなっていてもよい。
【0021】
少なくともいくつかの実施形態では、モノマーエマルションは、スチレン不含である(すなわち、含まない)。
【0022】
少なくとも実施形態では、モノマーエマルションは、界面活性剤不含である(すなわち、含まない)。ここで、「界面活性剤」は、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsulfate、SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム;ジアルキルベンゼンアルキルサルフェート;パルミチン酸;アルキルジフェニルオキシドジスルホネート;及び分岐状ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの非反応性fで非重合性のアニオン性界面活性剤を指す。「界面活性剤」はまた、アルキルベンジルジメチル塩化アンモニウム、ジアルキルベンゼンアルキル塩化アンモニウム、ラウリルトリメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルジメチル臭化アンモニウム、塩化ベンザルコニウム、セチル臭化ピリジニウム、トリメチル臭化アンモニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、及びドデシルベンジルトリエチル塩化アンモニウムなどの非反応性で非重合性のカチオン性界面活性剤を指す。「界面活性剤」はまた、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、並びにポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーなどの非反応性で非重合性の非イオン性界面活性剤を指す。したがって、モノマーエマルションは、これらの界面活性剤のうちのいずれも不含であり得る(すなわち、含まない)。
【0023】
ラテックスを形成するための処理ステップは、上記のモノマーエマルションのうちのいずれかの第1の部分を、ある期間にわたって、供給速度で反応性界面活性剤溶液に添加することを含む。反応性界面活性剤溶液に添加されるモノマーエマルションの第1の部分とは、ラテックスを形成するための方法で使用されるモノマーエマルションの総量の一部を指している。この第1の部分は、モノマーエマルションの総量の1体積%~20体積%の範囲の量であり得る。これには、2体積%~15体積%、5体積%~10体積%が含まれる。以下に記載のように、モノマーエマルションの残りの部分は、方法の後のステップで使用される。モノマーエマルションの第1の部分が添加される供給速度は、1Lの総反応体積に基づいて1mL/分~10mL/分の範囲であり得る。モノマーエマルションの第1の部分が添加される時間は、5分~100分の範囲内にあり得る。
【0024】
反応性界面活性剤溶液は、溶媒及び反応性界面活性剤を含む。上に記載される溶媒のうちのいずれも及び反応性界面活性剤のうちのいずれもが使用され得る。1種類又は異なる種類の溶媒及び/又は反応性界面活性剤が使用され得る。反応性界面活性剤溶液中の反応性界面活性剤は、モノマーエマルション中に存在し得る反応性界面活性剤と比較して、同じ種類又は異なる種類であってもよい。反応性界面活性剤溶液は、緩衝液を更に含んでもよい。重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び水酸化アンモニウムなどの様々な緩衝液が使用され得る。反応性界面活性剤は、1重量%~10重量%の範囲の量で使用され得る。(ここで、重量%は、(反応性界面活性剤の総重量)/(反応性界面活性剤溶液の総重量)100を指す。)この範囲は、2重量%~5重量%を含む。緩衝液は、0.25重量%~2.5重量%の範囲の量で使用され得る。(重量%は、上に記載されるものと同様の意味を有する。)
【0025】
実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、溶媒(例えば、水)、反応性界面活性剤、並びに任意選択的に緩衝液を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、1種類又は異なる種類のこれらの構成成分が使用され得る。これらの実施形態のうちのいずれにおいても、上に記載されるように、反応性界面活性剤及び緩衝液の量が使用され得る。残りは、溶媒からなっていてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、上に記載される界面活性剤のうちのいずれも不含である(すなわち、含まない)。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、溶液中に存在する反応性界面活性剤モノマー以外のいかなるモノマーも不含である(すなわち、含まない)。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、開始剤不含である(すなわち、含まない)。
【0026】
反応性界面活性剤溶液へのモノマーエマルションの第1の部分の添加は、不活性ガス(例えば、窒素)下で、及び高温(例えば、50℃~90℃の範囲の温度などの室温よりも高い)で実施され得る。これは、モノマーエマルションの第1の部分を添加する前に、不活性ガスでパージし、反応性界面活性剤溶液を加熱し、モノマーエマルションの第1の部分の添加中に継続することによって達成され得る。
【0027】
次いで、開始剤溶液の第1の部分を、ある時間にわたって、ある供給速度で、モノマーエマルション/反応性界面活性剤溶液の組み合わせた第1の部分(すなわち、「反応混合物」)に添加する。反応混合物に添加される開始剤溶液の第1の部分は、ラテックスを形成するための方法で使用される開始剤溶液の総量の一部を指す。この第1の部分は、開始剤溶液の総量の10体積%~90体積%の範囲の量であり得る。これには、12体積%~85体積%及び15体積%~75体積%が含まれる。以下に記載のように、開始剤溶液の残りの部分は、方法の後のステップで使用される。この供給速度は、1Lの総反応体積に基づいて、1mL/分~10mL/分の範囲にあり得る。開始剤溶液が添加される時間は、0.1分~10分、0.5分~5分、及び0.5分~3分の範囲内であり得る。開始剤溶液の添加は、上記のように、高温及び不活性ガス下で実行され得る。開始剤の存在下で、モノマーエマルションのモノマーは、重合反応を経て、反応混合物において樹脂シード粒子を形成する。
【0028】
開始剤溶液は、開始剤及び上記の溶媒のうちのいずれかを含む。1種類又は異なる種類の溶媒及び/又は開始剤が使用され得る。好適な開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate、APS)、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムなどの水溶性開始剤、並びにVAZO 64(商標)、2-メチル2-2’-アゾビスプロパンニトリル、VAZO 88(商標)、2-2’-アゾビスイソブチルアミド無水物などのVazo過酸化物を含む有機過酸化物及びアゾ化合物を含む有機可溶性開始剤、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。使用され得る他の水溶性開始剤としては、アゾアミジン化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-2-プロペニルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロ-リド、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジ-ヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。開始剤は、0.1重量%~2.5重量%の範囲の量で使用され得る。(ここで、重量%は、(開始剤の総重量)/(開始剤溶液の総重量)100を指す。)
【0029】
次いで、モノマーエマルションの第2の部分を、今度は樹脂シードを含む反応混合物に、一定時間かけてある供給速度で添加する。この第2の部分の量は、ラテックスを形成するための方法で使用されるモノマーエマルションの総量の残りの部分であり得る。この供給速度及び時間は、第1の部分について上記した範囲内であり得るが、それらは第1の部分に使用されるものと同じである必要はない。第2の部分の添加は、上記のように、高温及び不活性ガス下で実行され得る。
【0030】
開始剤溶液の第2の部分も反応混合物に添加される。この第2の部分の量は、ラテックスを形成するための方法で使用される開始剤溶液の総量の残りの部分であり得る。開始剤溶液の第2の部分は、上記のモノマーエマルションの第2の部分の添加中に、断続的(すなわち、別個の部分で)又は連続的に(すなわち、供給速度で)添加され得る。開始剤溶液の配分を含むこれらの実施形態は、所望の径を有する樹脂粒子を達成するために必要な開始剤の総量又は総反応時間を有意に低減することができる。代替的に、開始剤溶液の第2の部分は、ある供給速度及び時間で添加され得るが、モノマー溶液の第2の部分の添加が完了した後である。この場合、供給速度及び時間は、開始剤溶液の第1の部分の添加について上記した範囲内であり得るが、それらは同じである必要はない。開始剤溶液の第2の部分の添加は、上記のように、高温及び不活性ガス下で実行され得る。
【0031】
モノマーエマルションの第2の部分の添加及び追加量の開始剤溶液の添加は、モノマー間の更なる重合反応を可能にして、樹脂シードをラテックスの樹脂粒子に成長させる。
【0032】
「保持」時間は、上記のステップのうちのいずれかの間、すなわち、任意の構成成分を添加することなく反応混合物が単に所望の温度(例えば、高温)に保持される時間に含まれ得る。これらの時間は、1分~2時間、例えば、1分~1時間及び1分~20分の範囲にあり得る。方法は、例えば、1時間~5時間又は1時間~3時間の範囲の最終保持を含み得る。最終保持のために使用される温度は、方法の他のステップ中に使用される温度よりも高い可能性があり、例えば、高温よりも高い温度であり得る。最終保持におけるこの温度は、70℃~100℃又は75℃~95℃の範囲にあり得る。
【0033】
上記のステップの結果は、樹脂粒子を含むラテックスである。任意選択的に、形成されるラテックスは、凝固、溶解、及び沈殿、濾過、洗浄、又は乾燥などの標準的な技術によって処理され得る。
【0034】
少なくとも実施形態では、本方法は、上に記載される界面活性剤のうちのいずれ(反応性界面活性剤モノマー以外)の使用も伴わないことに留意されたい。
【0035】
本方法は、モノマーエマルションを形成すること、反応性界面活性剤溶液を形成すること、及び/又は開始剤溶液を形成することを更に含み得る。各々は、所望の構成成分を所望の量で組み合わせて、混合することによって形成され得る。
【0036】
上記のように、本方法によって形成されたラテックスは、樹脂粒子を含む。樹脂粒子の組成は、モノマーの選択及びそれらの相対量、並びに上に記載される重合生成物を生成する選択されたモノマー間の重合反応に依存する。したがって、様々なモノマーの組み合わせを含む反応物の様々な重合生成物に基づくものを含む、様々な組成が包含される。上記のように、モノマーの選択は特に限定されない。しかしながら、実施形態では、樹脂粒子は、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、酸性モノマー、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、及び反応性界面活性剤を含む反応物の重合生成物(例えば、コポリマー)を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、1種類又は異なる種類の様々なモノマーが存在し得る。実施形態では、樹脂粒子は、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、2つの異なる種類の酸性モノマー(例えば、メタアクリル酸及びスルホン酸)、二官能性モノマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート)、及び反応性界面活性剤を含む反応物の重合生成物を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、樹脂粒子は、第1のアルキルアクリレート(例えば、メチルメタクリレート)、第2のアルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、酸性モノマー、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、及び反応性界面活性剤を含む反応物の重合生成物を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、樹脂粒子は、溶媒(例えば、水)、第1のアルキルアクリレート(例えば、メチルメタクリレート)、第2のアルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、2つの異なる種類の酸性モノマー(例えば、メタアクリル酸及びスルホン酸)、二官能性モノマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート)、及び反応性界面活性剤を含む反応物の重合生成物を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態の各々では、反応物は、親水性モノマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)メタクリレートを含み得る。これらの実施形態の各々では、開始剤は、樹脂粒子中の各ポリマー鎖の開始及び末端に組み込まれてもよい。これらの実施形態の各々では、樹脂は、多官能性/二官能性モノマーに起因して架橋され得る。これらの実施形態の各々では、モノマーは、上に記載される量で樹脂粒子中に存在し得る。例えば、酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマーの量は一緒に、樹脂粒子中1.5重量%~20重量%の範囲にあってもよい。上記のように、この重量%は、(酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマーの総重量)/(反応性界面活性剤を除く樹脂粒子中のモノマーの総重量)100を指す。
【0037】
本発明のラテックスの樹脂粒子は、それらの径によって特徴付けることができる。樹脂粒子の径は、D50粒径として報告することができ、これは、直径を指し、この場合、サンプルの50%(体積に基づいて)が、当該直径値未満の直径を有する粒子から構成されている。D50粒径は、Malvern Zetasizer Nano ZSを使用して測定することができる。この器具は、レーザー光散乱技術を使用し、運動(ブラウン運動)中の各粒子から生成されたドップラー偏移光が測定される。これらの偏移によって生成される信号は、粒子の径に比例する。信号は、粒径及び粒度分布に数学的に変換される。分析は、外部プローブを使用して、又はプローブを固定サンプルチャンバに挿入することによって実施され得る。実施形態では、D50粒径は、100nm以下、90nm以下、80nm以下、75nm以下、又は40nm~100nmの範囲、若しくは50nm~80nmの範囲である。
【0038】
同様に、本発明のラテックスの樹脂粒子は、それらの粒度分布によって特徴付けられ得る。粒度分布は、ナノ粒子分析装置を使用して測定されたピークの幅として報告され得る。実施形態では、幅は、45nm以下、40nm以下、35nm以下、又は25nm~35nmの範囲である。
【0039】
小さい径及び狭い粒度分布により、本発明のラテックスの樹脂粒子は、大きい粒子不含である(すなわち、含まない)と更に特徴付けられ得る。これは、150nm未満、125nm未満、又は100nm未満のD95値によって証明され得る。D95値は、直径を指し、この場合、サンプルの95%(体積に基づいて)が、当該直径値未満の直径を有する粒子から構成される。また、Malvern Zetasizer Nano ZSを使用してD95値を測定することができる。
【0040】
本ラテックスはまた、それらのT値によって特徴付けることができ、示差走査熱量測定(Differential Scanning calorimetry、DSC)機器を使用して測定することができる。実施形態では、Tは、約20℃~100℃の範囲である。これには、35℃~80℃、50℃~80℃、20℃~50℃、及び25℃~45℃の範囲が含まれる。
【0041】
水性インクジェットインク組成物
【0042】
上に記載されるラテックスのうちのいずれも、水性インクジェットインク組成物を提供するために使用されてもよい。樹脂粒子は、1重量%~10重量%の範囲の量で、水性インクジェットインク組成物中に存在し得る。(ここで、重量%は、(樹脂粒子の総重量))/(水性インクジェットインク組成物の総重量)100を指す。)この範囲は、5重量%~10重量%を含む。以下に記載される水性インクジェットインク組成物を形成するために、様々な他の構成成分を使用することができる。
【0043】
溶媒系
【0044】
水性インクジェットインク組成物は、水に基づく溶媒系を含む。溶媒系は、水のみからなることができるか、若しくは水と水溶性及び/又は水混和性有機溶媒との混合物を含むことができる。水溶性及び水混和性有機溶媒は、本明細書では、共溶媒又は保湿剤と称され得る。好適なこのような有機溶媒としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、長鎖アルコール、一級脂肪族アルコール、二級脂肪族アルコール、1,2-アルコール、1,3-アルコール、1,5-アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、メトキシル化グリセロール、及びエトキシル化グリセロールが挙げられる。例示的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、3-メトキシブタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び2,4-ヘプタンジオールが挙げられる。他の好適な溶媒としては、アミド、エーテル、尿素、置換尿素、例えば、チオ尿素、エチレン尿素、アルキル尿素、アルキルチオ尿素、ジアルキル尿素、及びジアルキルチオ尿素など、カルボン酸及びこれらの塩、例えば、2-メチルペンタン酸、2-エチル-3-プロピルアクリル酸、2-エチル-ヘキサン酸、3-エトキシプロピオン酸など、エステル、有機硫化物、有機スルホキシド、スルホン(スルホランなど)、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ(cellusolve)、エーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エーテル誘導体、ヒドロキシエーテル、アミノアルコール、ケトン、N-メチルピロリジノン、2-ピロリジノン、シクロヘキシルピロリドン、アミド、スルホキシド、ラクトン、高分子電解質、メチルスルホニルエタノール、イミダゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ベタイン、糖、例えば、1-デオキシ-D-ガラクチトール、マンニトール、イノシトールなど、置換及び非置換ホルムアミド、並びに置換及び非置換アセトアミドが挙げられる。これらの有機溶媒の組み合わせを使用してもよい。
【0045】
好適な水溶性及び/又は水混和性有機溶媒としては、4~7の炭素数を有する炭化水素のグリコールが挙げられる。このようなグリコールの例としては、1,2-ペンタンジオール;1,2-ヘキサンジオール;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;3-メチル-1,3-ブタンジオール;1,2-ブタンジオール;2,4-ペンタンジオール;1,7-ヘプタンジオール;3-メチル-1,5-ペンタンジオール;トリメチロールプロパン;エチレン尿素;1,2,6-ヘキサントリオール;1,2,3-ブタントリオール;ソルビトール;尿素;ジエチレングリコール;1,2,4-ブタントリオール;グリセロール;ジグリセロール;トリエチレングリコール;ポリエチレングリコール200;及びポリエチレングリコール600が挙げられる。
【0046】
実施形態では、溶媒系は、水、1,2-アルコール(例えば、1,2-ヘキサンジオール)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、及びグリセロールを含む。
【0047】
水及び有機溶媒を含む溶媒系では、水対有機溶媒の重量比、並びに異なる有機溶媒の種類及び相対量は、所望の表面張力、粘度などの水性インクジェットインク組成物のある特定の特性を達成するように選択されてもよい。実施形態では、水対有機溶媒の重量比は、90:10~51:49である。1つを超える有機溶媒が使用される場合、これらの重量比は、有機溶媒の総量を指す。水がラテックス、着色剤などに存在し得るため、これらの重量比は、水の総量を指す。
【0048】
同様に、様々な総量の溶媒系が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、溶媒系は、50重量%~95重量%、60重量%~90重量%、又は65重量%~90重量%の量で存在する。(ここで、重量%は、(溶媒系の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)100を指す。)実施形態では、存在する水の総量は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも80重量%、又は50重量%~95重量%の範囲である。(ここで、重量%は、(水の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)100を指す。)
【0049】
水溶性樹脂
【0050】
水溶性樹脂は、水性インクジェットインク組成物において使用され得るが、いくつかの実施形態では、水溶性樹脂が使用されない。種類及び量はまた、所望の粘度を達成するように選択されてもよい。例示的な水溶性樹脂としては、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンが挙げられる。水溶性樹脂の分子量は、1000g/mol~10,000g/molの範囲にあり得る。実施形態では、水溶性樹脂は、3000g/mol~9000g/mol、3000g/mol~7000g/mol、3000g/mol~5000g/mol、又は4000g/molの範囲の分子量を有するポリエチレングリコールである。これらの分子量の値は、ゲル浸透クロマトグラフィを使用して決定することができる。実施形態では、水性インクジェットインク組成物の総固形分含有量(一般にラテックス、水溶性樹脂、及び着色剤によって提供される)が5重量%~15重量%、6重量%~12重量%、又は7重量%~10重量%であるように水溶性樹脂の量が選択される。(ここで、重量%は、(固形分の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)100を指す。)
【0051】
水性インクジェットインク組成物は、スチレン-アクリルコポリマー及びビニルピロリドンコポリマー、ウレタン又はポリウレタン分散液、並びにアクリル-ウレタンハイブリッド分散液などのアクリルポリマーを含む他の結合剤樹脂を更に含んでもよい。使用され得るより具体的な結合剤樹脂としては、Joncryl 661、Joncryl 8003、Joncryl 8078、Joncryl 8082、Joncryl 537、Joncryl H538、Joncryl H538、HPD 71Eの名称を含むJoncrylなどのJohnson Polymers(BASF)から入手可能なものが挙げられる。他の例示的な水溶性樹脂としては、Rhohm&Haasから入手可能なRhoplex I-1955、Rhoplex I-2426D、Rhoplex I-62、Rhoplex I-98、Rhoplex E-1691が挙げられる。他には、DSM Corporationから入手可能なLucidene 190、Lucidene 400、及びLucidene 243;NeoCryl A-1110、NeoCryl A-2092、NeoCryl A-639、NeoRad R-440、NeoRad R-441、NeoRez N-55、972、PVP K-15、PVP K-30、PVP K-60、PVP K-85という名称で、ISPから入手可能な、Ganex P-904LC、PVP/VA W-63である。実施形態では、そのような結合剤樹脂は使用されない。
【0052】
着色剤
【0053】
水性インクジェットインク組成物は着色剤を含み得る。着色剤には、顔料、染料、及びこれらの組み合わせが含まれる。好適な染料の例としては、アニオン性染料、カチオン性染料、非イオン性染料、及び双性イオン性染料が挙げられる。好適な染料の具体例としては、食用色素のブラックNo.1、食用色素のブラックNo.2、食用色素のレッドNo.40、食用色素のブルーNo.1、食用色素のイエローNo.7など食用色素、FD&C染料、アシッドブラック染料(No.1、7、9、24、26、48、52、58、60、61、63、92、107、109、118、119、131、140、155、156、172、194)、アシッドレッド染料(No.1、8、32、35、37、52、57、92、115、119、154、249、254、256)、アシッドブルー染料(No.1、7、9、25、40、45、62、78、80、92、102、104、113、117、127、158、175、183、193、209)、アシッドイエロー染料(No.3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、73、114、128、151)、ダイレクトブラック染料(No.4、14、17、22、27、38、51、112、117、154、168)、ダイレクトブルー染料(No.1、6、8、14、15、25、71、76、78、80、86、90、106、108、123、163、165、199、226)、ダイレクトレッド染料(No.1、2、16、23、24、28、39、62、72、236)、ダイレクトイエロー染料(No.4、11、12、27、28、33、34、39、50、58、86、100、106、107、118、127、132、142、157)、リアクティブレッド染料(No.4、31、56、180)、リアクティブブラック染料(No.31)、リアクティブイエロー染料(No.37)などのリアクティブ染料、アントラキノン染料、モノアゾ染料、ジスアゾ染料、各種フタロシアニンスルホン酸塩を含むフタロシアニン誘導体、アザ(18)アヌレン、ホルマザン銅錯体、及びトリフェノジオキサジンが挙げられる。
【0054】
好適な顔料の例としては、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、及びイエロー顔料が挙げられる。顔料は、有機粒子又は無機粒子であり得る。好適な無機顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。しかしながら、コバルトブルー(CoO-Al)、クロムイエロー(PbCr0)、及び酸化鉄などの他の無機顔料が好適であり得る。好適な有機顔料としては、例えば、ジアゾ顔料及びモノアゾ顔料などアゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーンなどフタロシアニン顔料)、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、及びキノフタロン顔料)、不溶性染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート及び酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、並びにPR168などのアントアントロン顔料が挙げられる。フタロシアニンブルー及びグリーンの代表例としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、及びそれらの誘導体(ピグメントブルー15、ピグメントグリーン7、及びピグメントグリーン36)が挙げられる。キナクリドンの代表例としては、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19、及びピグメントバイオレット42が挙げられる。アントラキノンの代表例としては、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194、ピグメントレッド177、ピグメントレッド216、及びピグメントレッド226が挙げられる。ペリレンの代表例としては、ピグメントレッド123、ピグメントレッド149、ピグメントレッド179、ピグメントレッド190、ピグメントレッド189、及びピグメントレッド224が挙げられる。チオインジゴイドの代表例としては、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36、及びピグメントバイオレット38が挙げられる。複素環イエローの代表例としては、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー65、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー90、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー117、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、及びピグメントイエロー213が挙げられる。このような顔料は、BASF Corporation、Engelhard Corporation、及びSun Chemical Corporationなど多くの供給元から粉末又はプレスケーキの形態で市販されている。使用可能なブラック顔料の例としては、炭素顔料が挙げられる。炭素顔料は、許容可能な光学濃度及び印刷特性を提供する、任意の市販の炭素顔料であり得る。本システム及び方法での使用に好適な炭素顔料は、カーボンブラック、グラファイト、ガラス状炭素、木炭、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このような炭素顔料は、チャンネル法、コンタクト法、ファーネス法、アセチレン法、又はサーマル法など様々な既知の方法で製造することができ、Cabot Corporation、Columbian Chemicals Company、Evonik、及びE.I.DuPont de Nemours and Companyのようなそのような供給業者から市販されている。好適なカーボンブラック顔料としては、MONARCH(登録商標)1400、MONARCH(登録商標)1300、MONARCH(登録商標)1100、MONARCH(登録商標)1000、MONARCH(登録商標)900、MONARCH(登録商標)880、MONARCH(登録商標)800、MONARCH(登録商標)700、CAB-O-JET(登録商標)200、CAB-O-JET(登録商標)300、CAB-O-JET(登録商標)450、REGAL(登録商標)、BLACK PEARLS(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、MOGUL(登録商標)、及びVULCAN(登録商標)顔料などCabot社製の顔料、RAVEN(登録商標)5000及びRAVEN(登録商標)3500などColumbian社製の顔料、カラーブラックFW200、FW2、FW2V、FW1、FW18、FW5160、FW5170、スペシャルブラック6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4、PRINTEX(登録商標)U、PRINTEX(登録商標)140U、PRINTEX(登録商標)V、及びPRINTEX(登録商標)140VなどEvonik社製の顔料が挙げられるが、これらに限定されない。他の顔料としては、CAB-O-JET 352K、CAB-O-JET 250C、CAB-O-JET 260M、CAB-O-JET 270Y、CAB-O-JET 465M、CAB-O-JET 470Y、及びCAB-O-JET 480V(Cabot Corporationから入手可能)が挙げられる。
【0055】
上記の顔料リストは、未改質顔料微粒子、小分子付着顔料微粒子、及びポリマー分散型顔料微粒子を含む。
【0056】
水性インクジェットインク組成物を形成する際、着色剤は、着色剤及び溶媒(例えば、水)を含む着色剤分散液として提供されてもよい。着色剤は、粒子の形態であってもよく、20nm~500nm、20nm~400nm、又は30nm~300nmの平均粒径を有し得る。
【0057】
様々な量の着色剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。しかしながら、一般に、水性インクジェットインク組成物の総固形分含有量(一般にラテックス、水溶性樹脂、及び着色剤によって提供される)が5重量%~約15重量%、6重量%~12重量%、又は7重量%~10重量%であるように量が選択される。(ここで、重量%は、(固形分の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)100を指す。)
【0058】
界面活性剤
【0059】
上に記載されるラテックスとは異なり、水性インクジェットインク組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。好適な界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)、Dextrol OC-40、Strodex PK 90、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ミレス硫酸ナトリウム、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウムシリーズなど)、非イオン性界面活性剤(Surfynol(登録商標)104シリーズ、Surfynol(登録商標)400シリーズ、Dynol(商標)604、Dynol(商標)607、Dynol(商標)810、EnviroGem(登録商標)360、Tergitol(商標)15-s-7、Tergitol(商標)15-s-9、TMN-6、TMN-100x、及びTergitol(商標)NP-9、Triton(商標)X-100などの二級アルコールエトキシレートシリーズ)、及びカチオン性界面活性剤(Chemguard S-106A、Chemguard S-208M、Chemguard S-216M)が挙げられる。PolyFox(商標) TMPF-136A、156A,151N,Chemguard S-761p、S-764p、Silsurf(登録商標)A008,Siltec(登録商標)C-408、BYK 345、346、347、348、及び349、ポリエーテルシロキサンコポリマーTEGO(登録商標)Wet-260、270 500などのいくつかのフッ素化又はシリコーン界面活性剤を使用することができる。Chemguard S-500及びChemguard S-111などのアルキルベタインフルオロ界面活性剤又はアルキルアミンオキシドフルオロ界面活性剤などのいくつかの両性フッ素化界面活性剤も使用することができる。
【0060】
様々な量の界面活性剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、界面活性剤は、0.01重量%~2重量%の範囲の量で存在する。(ここで、重量%は、(界面活性剤の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)100を指す。)2種類以上の界面活性剤が使用される場合、これらの量は、界面活性剤の総量を指す。
【0061】
添加剤
【0062】
様々な添加剤を水性インクジェットインク組成物中で使用して、その特性を調整することができる。好適な添加剤としては、殺生物剤、殺真菌剤、安定剤、酸又は塩基、リン酸塩、カルボン酸塩、亜硫酸塩、アミン塩、緩衝液などのpH調整剤、EDTA(ethylenediamine tetra acetic acid、エチレンジアミン四酢酸)などの金属イオン封鎖剤、消泡剤、及び湿潤剤のうちの1つ以上が挙げられる。
【0063】
様々な量の添加剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、添加剤は、0.01重量%~5重量%の範囲の量で存在する。(ここで、重量%は、(添加剤の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)100を指す。)2種類以上の添加剤が使用される場合、これらの量は、添加剤の総量を指す。
【0064】
少なくとも実施形態では、本水性インクジェットインク組成物は、凝固剤不含(すなわち、含まない)、凝集剤不含(すなわち、含まない)、可塑剤不含である(すなわち、含まない)。実施形態では、インク組成物は、N-メチルピロリドンなどの任意のピロリドンベースの溶媒を不含(すなわち、含まない)、Texanol及びTexanolイソブチレートを不含であるすなわち、含まない)。
【0065】
同様に、本発明の水性インクジェットインク組成物は、本発明のラテックスによって提供される樹脂以外の樹脂を不含であり得る(すなわち、含まない)。単一種類のラテックス(単一種類の樹脂粒子を含む)が、使用され得る。
【0066】
実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、溶媒系と、樹脂粒子と、着色剤と、任意選択的に水溶性樹脂及び添加剤のうちの1つ以上と、を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、溶媒系と、樹脂粒子と、着色剤と、水溶性樹脂と、任意選択的に添加剤と、を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態のうちのいずれにおいても、添加剤は、安定剤、界面活性剤、消泡剤、湿潤剤、及び殺生物剤から選択され得る。これらの実施形態のうちのいずれにおいても、構成成分は、本明細書に開示される溶媒系、樹脂粒子、着色剤、水溶性樹脂、及び本明細書に記載の添加剤のうちのいずれかから選択され得る。これらの実施形態のうちのいずれにおいても、上に記載されるなに構成成分の量が使用され得る。これらの実施形態のうちのいずれにおいても、単一の種類の樹脂粒子が使用され得る。
【0067】
水性インクジェットインク組成物は、所望の構成成分を所望の量で組み合わせて、混合することによって形成され得る。例示的な方法は、開示されるラテックス(又は樹脂粒子)のうちのいずれかを着色剤分散液に添加して、第1の混合物を形成することと、溶媒系及び添加剤を含む第2の混合物を第1の混合物に添加して、水性インクジェットインク組成物を形成することと、を含む。混合及び/又は加熱を、方法中に使用してもよい。水性インクジェットインク組成物を、使用前に濾過してもよい。
【0068】
水性インクジェットインク組成物は、印刷された画像を形成するために使用されてもよい。実施形態では、このような方法は、開示された水性インクジェットインク組成物のうちのいずれかの液滴を基材上に射出して、その上に画像を形成することを含む。このような方法は、インクジェット印刷装置にインク組成物を組み込むことを更に含み得る。印刷装置は、サーマルインクジェットプロセスを用いることができ、ノズル内のインク組成物は、画像的パターンで選択的に加熱され、それによってインク組成物の液滴が画像的パターンで射出される。代替的に、印刷装置は音響インクジェットプロセスを用いることができ、インク組成物の液滴は、音響ビームによって画像的パターンで射出される。更に別の実施形態では、印刷装置は圧電インクジェットプロセスを用いることができ、インク組成物の液滴は、圧電振動要素の振動によって画像的パターンで射出される。任意の好適な基材が用いられ得る。
【0069】
方法は、中間転写部材上に画像的パターンでインク液滴を射出することと、溶媒を部分的又は完全に除去するために画像を加熱することと、中間転写部材から最終記録基材に画像的パターンでインク組成物を転写することと、を含み得る。中間転写部材は、最終記録シートの温度よりも高く、印刷装置内のインク組成物の温度よりも低い温度まで加熱されてもよい。オフセット又は間接印刷プロセスはまた、例えば、米国特許第5,389,958号に開示されており、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0070】
最終記録シートとして、任意の好適な基材又は記録シートを用いることができる。例示的な基材としては、McCoy(登録商標)Gloss#100コーティング基材、Xerox(登録商標)Bold非コーティング基材、Kodak写真紙、Sterling(登録商標)Ultra Web Matte(オフセットコーティング)、TrueJet(登録商標)Gloss Text(Inkjet処理コーティング)、及びMcCoy(登録商標)Silk(オフセットコーティング)が挙げられる。
【実施例0071】
以下の実施例は、本開示の様々な種を更に定義するために提示される。これらの実施例は、例示のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。本明細書で使用するとき、「室温」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
実施例1(対照)
【0072】
3.2グラムの(MontelloからのHitenol BC1025)と、72グラムの脱イオン水と、0.8gのNaHCOとの反応性界面活性剤溶液を、ガラス反応器中で混合することによって調製した。次いで、反応物を窒素で30分間パージした。次いで、反応器を250rpmで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。次いで、反応器を85℃まで加熱し、そこで保持した。別に、0.2グラムの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を、5グラムの脱イオン水に溶解し、反応器に添加した。
【0073】
別に、モノマーエマルションを次の様式で調製した。64gのスチレン、10gのブチルアクリレート、6gのメタアクリル酸、1.2gの1-ドデカンチオール(DDT)、0.24gのPEGDA 250、1.6gのHitenol BC 1025、及び30gの脱イオン水を断続的混合により混合してエマルションを形成した。その乳化混合物を3時間ゆっくりと反応器に供給し、反応を15時間続けた。
【0074】
Malvern Nano-ZSを使用して、樹脂粒子の寸法を分析した。次のパラメータ、すなわち、D50=76nm、及びD95=108nm、ピークの幅=33nmが観察された。
【0075】
示差走査熱量測定(DSC)TA Instruments Discovery DSC 2500を使用してTを測定した。ラテックスのTは76℃であった。
実施例2
【0076】
500mLの丸底反応器で、2.8グラムの(MontelloからのHitenol BC 1025)と、72グラムの脱イオン水と、0.4gのNaHCOとの反応性界面活性剤溶液を、250rpmで撹拌し、窒素で連続的にパージすることによって、調製した。次いで、反応器を最大85℃まで加熱し、そこで保持した。開始剤又は開始剤溶液は添加しなかった。
【0077】
別に、モノマーエマルションを次の様式で調製した:すなわち、62gのスチレン、10gのブチルアクリレート、6gのメタアクリル酸、1.0gのスチレンスルホン酸、1.2gの1-ドデカンチオール(DDT)、0.24gのPEGDA 250、1.36gのHitenol BC 1025、及び32gの脱イオン水を混合してエマルションを形成した。
【0078】
9.1g(8%)のモノマーエマルションをゆっくりと反応器に供給し、次いで1~5分間保持した。次いで、10gのAPS溶液(0.5g/mL)を1分かけて供給し、次いで10分間保持した。次いで、モノマーエマルションの残りを60分かけて反応器に供給した。次いで、APS溶液の残り(2~4g)を反応器に供給し、次いで1時間保持した。温度を85℃~90℃に上げ、3時間保持した。
【0079】
Malvern Nano-ZSを使用して、樹脂粒子の寸法を分析した。次のパラメータ、すなわち、D50=67nm、及びD95=98nm、ピークの幅=31nmが観察された。
実施例3
【0080】
実施例2のプロセスを次のように修正して繰り返した。9.1gのモノマーエマルションを供給し、次いで1~5分間保持した後、2~4gのAPS溶液を1分間かけて供給し、次いで10分間保持した。残りのモノマーエマルションの供給中に、APS溶液の残り(10g)を添加した。残りのAPS溶液を、残りのモノマーエマルションの供給と一緒に、断続的又は連続的に添加した実験を行った。
実施例4
【0081】
実施例2のプロセスを次のように修正して繰り返した。モノマーエマルションは、次の構成成分、すなわち、40gのメチルメタクリレート、33gのブチルアクリレート、6gのメタアクリル酸、1.0gのスチレンスルホン酸、1.2gの1-ドデカンチオール(DDT)、0.24gのPEGDA 250、1.36gのHitenol BC 1025、及び32gの脱イオン水を有していた。
実施例5
実施例2のプロセスを次のように修正して繰り返した。モノマーエマルションは、次の構成成分、すなわち、41gのメチルメタクリレート、25gのブチルアクリレート、6gのメタアクリル酸、1.0gのスチレンスルホン酸、1.2gの1-ドデカンチオール(DDT)、0.24gのPEGDA 250、1.36gのHitenol BC 1025、6gのポリエチレングリコールメタクリレート750、及び32gの脱イオン水を有していた。親水性ポリエチレングリコールメタクリレートの添加により、実施例1及び2(沈殿が観察された)と比較して、ラテックスの凍結融解安定性が改善された(3回の凍結融解サイクル後に沈殿は観察されなかった)。
【0082】
「例示的な」という語は、例、事例、又は例示としての役割を果たすことを意味するために本明細書で使用される。「例示的な」として本明細書で記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に比べて好ましい又は有利であると解釈されない。更に、本開示の目的のために、特に指定がない限り、「a」又は「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0083】
本開示におけるパラメータの全ての数値は、およそを意味する「約」という用語によって始められる。これは、当業者に理解されるような関連パラメータの測定に固有の変動を包含する。これはまた、開示された数値及び開示された数値を四捨五入した値の正確な値も包含する。
【0084】
本開示の例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示される。網羅的であること、又は本開示を開示される正確な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして修正及び変形が可能であるか、又は本開示の実施から取得されてもよい。本開示の原理を説明するために、及び本開示の実用的な用途として、当業者が様々な実施形態において本開示を利用することを可能にするために、かつ企図される特定の用途に適した様々な修正を用いて、実施形態が選択及び記載された。本開示の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されることが意図される。