IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トラストの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018118
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】充填量管理装置、充填量管理方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/41 20060101AFI20220119BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20220119BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20220119BHJP
   F16N 3/12 20060101ALI20220119BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
E04B1/41 503B
E04G21/12 105Z
E04G23/02 D
F16N3/12
G01B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116783
(22)【出願日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020120277
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】508284850
【氏名又は名称】株式会社トラスト
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博司
(72)【発明者】
【氏名】迫田 昭二
【テーマコード(参考)】
2E125
2E176
2F065
【Fターム(参考)】
2E125AA74
2E125AF01
2E125AG13
2E125BA13
2E125BD01
2E125CA84
2E176AA01
2E176BB17
2F065AA06
2F065AA09
2F065AA59
2F065BB15
2F065CC14
2F065DD03
2F065FF11
2F065GG04
2F065HH04
2F065QQ23
2F065SS13
(57)【要約】
【課題】 アンカー打設時の下穴内への、グリース又は充填樹脂の充填量を客観的に管理することができる充填量管理装置を提供する。
【解決手段】 底部押出し式の樹脂剤ボトル(6)を保持するガン本体(4)と、押し出し操作具(43)の注入操作に伴って、樹脂剤ボトル(6)の底部を押し出すように移動する押出し機構(42)と、ガン本体(4)及び押し出し機構(42)のいずれか一方に付属されるレーザー距離計(1)と、いずれか他方に規定されるか附属される被照射部(2)と、レーザー距離計(1)の測定距離に基づいて、樹脂材ボトルの底部の押出しに伴う押出し機構又は押出し板の移動距離を記録する記録装置(3)とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂剤を収容した底部押出し式の樹脂剤ボトルを保持するガン本体と、
ガン本体に付属の押し出し操作具への操作に伴って、樹脂剤ボトルの底部を押し出すように移動する押出し機構と、
保持した樹脂剤ボトルのボトル先部に連結され、樹脂剤ボトルから押出し抽出された樹脂剤を下穴内に注入する充填抽出器と、を備えた充填ガンに付属される付属式の装置であって、
前記ガン本体及び押し出し機構のいずれか一方に付属され、所定の照射方向を向いたレーザー距離計と、
前記ガン本体及び押し出し機構のいずれか他方であって、前記レーザー距離計の照射方向の先に対向して設置される照射面と、
レーザー距離計が照射面にレーザー照射することで測定される測定距離に基づいて、注入操作部の押出しに伴う押出し機構又は押出し板の移動距離を記録する記録装置と、を備えることを特徴とする樹脂充填量管理装置。
【請求項2】
前記レーザー距離計は、
充填ガンのガン前方又は後方にある樹脂剤ボトルの底部を照射方向として保持具の一部に固定されたレーザー照射部と、レーザー照射部の照射先の照射面を有して、樹脂剤ボトルの底部と連動移動する押出し機構に備えられた被照射部と、を備えてなり、
押出し機構の押出し移動に伴ってレーザー照射部と被照射部の離間移動に伴う測定距離の増加量を測定することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂充填量管理装置。
【請求項3】
前記レーザー距離計は、
充填ガンのガン前方又は後方を照射方向として保持具の一部に固定されたレーザー照射部と、レーザー照射部の照射先の照射面を有して、樹脂剤ボトルの底部と連動移動する押出し機構に備えられた被照射部と、を備えてなり、
押出し機構の押出し移動に伴ってレーザー照射部と被照射部の近接移動に伴う測定距離の減少量を測定することを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の樹脂充填量管理装置。
【請求項4】
樹脂剤を収容した底部押出し式の樹脂剤ボトルを保持するガン本体と、
ガン本体に付属の押し出し操作具の操作によって保持し樹脂剤ボトルの底部を押し出すように移動する押出し機構と、を備えた充填ガンに付属される付属式の装置であって、
前記押し出し機構、及びガン本体の一方、又は他方に付属される、
照射先の照射面にレーザー照射することで照射面距離を測定するレーザー距離計と、
レーザー距離計によって測定された、底部の押出しに伴う押出し機構又は押出し板の移動距離を記録する記録装置と、を備えた充填量管理装置と、
保持した樹脂剤ボトルのボトル先部に連結され、樹脂剤ボトルから押出し抽出された樹脂剤を下穴内に注入する充填抽出器と、を具備してなり、
樹脂充填量管理装置の前記充填抽出器は、
目盛又は位置マーカーを有した弾性ホースと、
弾性ホースの先に取り付けられ、弾性ホース内から送られた樹脂を抽出する円筒状の抽出器本体と、
抽出器の周部であって先端から所定距離だけ軸方向後方位置に一枚又は複数枚嵌め込み固定された、円形の弾性樹脂板とからなることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂充填量管理装置の前記充填抽出器。
【請求項5】
前記充填抽出器は、目盛又は位置マーカーを有した透明樹脂製の弾性ホースと、
弾性ホースの先に取り付けられ、弾性ホース内から送られた樹脂を筒孔から抽出する円筒状の抽出器本体と、
抽出器本体の筒周部から全周方向に張り出し固定された、円形板又は多角形板状の円形板又は多角形板状の弾性樹脂板と、からなり、
前記円形板の外径、又は、前記正多角形板の最大対角線長さは、対象穴よりも大きく設定され、かつ、
前記円形板の外径、又は、前記正多角形板の最小対角線長さは、抽出器本体の最大筒径よりも大きく設定されてなり、
充填抽出器が対象穴内を対象穴に沿って進行する際に、前記弾性樹脂板の周縁片が、抽出器本体周りの全周に亘って進行方向後方へ弾性変形した弾性変形状態(S2)となることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂充填量管理装置の前記充填抽出器。
【請求項6】
前記弾性樹脂板の張り出し固定位置近傍には、弾性樹脂板の変形を規制する規制凸部が、抽出器本体の張り出し固定位置の外周方向に亘って連続的又は断続的に設けられることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂充填量管理装置の前記充填抽出器。
【請求項7】
抽出器本体の筒周部であって弾性樹脂板の取り付け位置近傍、又は前記取り付け位置よりも前方の位置には、複数の規制凸部が、前記弾性樹脂板の最小張り出し量よりも小さい突出高さで、抽出器本体の外周方向へ等間隔に離間して同一形状で突出形成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂充填量管理装置の前記充填抽出器。
【請求項8】
前記充填抽出器は、目盛又は位置マーカーを有した透明樹脂製の弾性ホースと、
弾性ホースの先に取り付けられ、弾性ホース内から送られた樹脂を筒孔から抽出する円筒状の抽出器本体と、
抽出器の円柱の周部から張り出して一枚又は複数枚設けられた、抽出器よりも大きな径の弾性樹脂板と、
抽出器本体の後部から延出する、抽出器よりも小径のガイド筒と、からなり、
ガイド筒が、弾性ホースの先部から内挿されて圧入され、ホース連結と共にホース方向を規制することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂充填量管理装置。
【請求項9】
樹脂剤を充填抽出操作可能なガン本体と、
ガン本体に連結され、外部視認可能なメモリまたは位置マーカーを有した弾性ホースと、
弾性ホースの先に接続され、筒体の抽出器本体から樹脂剤を対象穴内に抽出する充填抽出器と、を備えた樹脂充填量管理装置によって、構造体に予め形成した対象穴への樹脂剤の充填量を管理する方法であって、
充填抽出器を対象穴内に挿入して穴底方向へ進行させ、穴底付近に設置する挿入設置ステップと、
ガン本体の操作によって樹脂を抽出し、充填抽出器を、対象穴内の充填樹脂の充填圧によって対象穴方向に沿って入口方向へ逆進行させる充填逆進行ステップと、
充填逆進行ステップによる、充填抽出器の逆進行の移動量、又は、弾性ホースの対象穴からの露出量を測定する測定ステップと、を順に具備することで、樹脂充填量を測定することを特徴とする、樹脂充填量管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンクリート打設後に行うアンカー筋(あと施工アンカー、特に樹脂系アンカーを含む)の打設時に、樹脂充填ガン(グリースガン)によって対象穴(下穴)に注入する樹脂の充填量を管理する充填量管理装置、特に、樹脂充填ガンないしグリースガンへの付属装置、又はこれを備えた樹脂充填ガン、並びに、樹脂充填ガンの先に付属される充填抽出器又はその付属構造に関する。また充填量管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート打設後にあと施工アンカーを打設する方式として、アンカーを定着させる箇所のコンクリートに対象穴(下穴)を開け、この下穴内に定着樹脂剤をあらかじめ注入しておき、樹脂注入済みの下穴内にアンカーを埋め込んで定着固定する、アンカーの樹脂定着方式が存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-036562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の樹脂注入方式では、充填量の判断が作業者の感覚によるところが多く、作業者の熟練度や注入時の状況に左右されることがあるなど、充填量を客観的に管理することができなかった。
【0005】
そこで本発明では、アンカー打設時の下穴内への、グリース又は充填樹脂の充填量を客観的に管理することができる充填量管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために以下の手段を講じている。なお下記の各用語に続けて記載する数字、アルファベット又はこれらの組み合わせ文字列は、後述する図面にて対応する構成部位を参照するために便宜的に付した符号であり、これらによって構成の形態、概念を限定するものではない。
【0007】
〔1〕(押し出し機構式のガン本体に取り付けるレーザー距離計)
樹脂剤を収容した底部押出し式の樹脂剤ボトル(6)を保持するガン本体(4)と、
ガン本体に付属の押し出し操作具(43)への注入操作に伴って、樹脂剤ボトル(6)の底部を押し出すように移動する押出し機構(42)と、
保持した樹脂剤ボトルのボトル先部に連結され、樹脂剤ボトルから押出し抽出された樹脂剤を下穴内に注入する充填抽出器(5)と、
前記ガン本体(4)及び押し出し機構(42)のいずれか一方に付属されるレーザー距離計(1)と、
前記ガン本体(4)及び押し出し機構(42)のいずれか他方に規定されるか附属される被照射部(2)と、
レーザー距離計(1)が照射面(2)にレーザー照射することで測定される測定距離に基づいて、樹脂材ボトルの底部の押出しに伴う押出し機構又は押出し板の移動距離を記録する記録装置(3)と、を備えることを特徴とする樹脂充填量管理装置。
レーザー距離計によって樹脂剤ボトルの底部の押し出し移動量をレーザー距離計によって実測定して記録することで、樹脂剤ボトルの内容物減少量に基づいて、正確な樹脂注入力を管理することができる。
【0008】
〔2〕(押し出し機構の移動量の増加差分の測定)
本発明の樹脂充填量管理装置のレーザー距離計は、
充填ガンのガン前方又は後方を照射方向として保持具の一部に固定されたレーザー照射部(1)と、レーザー照射部の照射先の照射面を有して、樹脂剤ボトルの底部と連動移動する押出し機構に備えられた被照射部と、を備えてなり、
押出し機構の押出し移動に伴ってレーザー照射部と被照射部の離間移動に伴う測定距離の増加量を測定することを特徴とする。
上記は、後述の実施例2(図7図9)の構成に相当する。樹脂剤ボトルの底部に接触して押し出す押出し板48の後ろを被照射部2の照射面21とし、照射面21の後方に、レーザー距離計1を対向状態でガン本体に固定させることで、押し出し板48の、ガン本体の後部からの離間動作に伴う確実な距離測定を行うことができる(図9)。
【0009】
〔3〕(押し出し機構の移動量の減少差分の測定)
本発明の樹脂充填量管理装置のレーザー距離計は、
充填ガンのガン前方又は後方を照射方向として保持具の一部に固定されたレーザー照射部と、レーザー照射部の照射先の照射面を有して、樹脂剤ボトルの底部と連動移動する押出し機構に備えられた被照射部と、を備えてなり、
押出し機構の押出し移動に伴ってレーザー照射部と被照射部の近接移動に伴う測定距離の減少量を測定することを特徴とする。
【0010】
〔4〕(弾性樹脂板52)
本発明の樹脂充填量管理装置は、
樹脂剤を収容した底部押出し式の樹脂剤ボトルを保持するガン本体と、
ガン本体に付属の押し出し操作具の操作によって保持し樹脂剤ボトルの底部を押し出すように移動する押出し機構と、を備えた充填ガンに付属される付属式の装置であって、
前記押し出し機構、及びガン本体の一方、又は他方に付属される、
照射先の照射面にレーザー照射することで照射面距離を測定するレーザー距離計と、
レーザー距離計によって測定された、底部の押出しに伴う押出し機構又は押出し板の移動距離を記録する記録装置と、を備えた充填量管理装置と、
保持した樹脂剤ボトルのボトル先部に連結され、樹脂剤ボトルから押出し抽出された樹脂剤を下穴内に注入する充填抽出器と、を具備してなり、
樹脂充填量管理装置の前記充填抽出器は、
外部視認可能な目盛又は位置マーカーを有した弾性ホース(46)と、
弾性ホース(46)の先に取り付けられ、弾性ホース(46)からの樹脂(G)を抽出する円筒状の抽出器本体(51)と、
抽出器の先端から所定距離だけ軸方向後方寄りの位置に、一枚又は複数枚、交換可能に固定された、円形板状又は多角形板状の弾性樹脂板(52)とからなることを特徴とする。
【0011】
なお前記構成においては、さらに、径又は形状又は厚さのうち少なくともいずれかが異なる複数の弾性樹脂板からなる弾性樹脂板セットを具備し、
前記弾性樹脂板(52)は、この弾性樹脂板セットから選択された、対象穴の断面形状に対応する一枚又は複数枚からなり、
この対応する一枚又は複数枚の弾性樹脂板(52)は、抽出器の挟み込み機構によって、抽出器の先端から所定距離だけ軸方向後方寄りの位置に、交換可能に挟み込み固定されるものとしてもよい。
【0012】
〔5〕
前記樹脂充填量管理装置の前記充填抽出器は、
目盛又は位置マーカーを有した透明樹脂製の弾性ホース(46)と、
弾性ホース(46)の先に取り付けられ、弾性ホース(46)からの樹脂(G)を抽出する円筒状の抽出器本体(51)と、
抽出器本体(51)の筒周部の後部(後端または後端近傍)から全周方向へ所定の張り出し量で張り出し固定された、円形板又は正多角形板の弾性樹脂板(52)と、からなり、
前記弾性樹脂板(52)の、円形板の外径、又は、正多角形板の最大対角線長さは、対象穴(下穴)よりも大きく設定され、かつ、
前記弾性樹脂板(52)の、円形板の外径、又は、正多角形板の最小対角線長さは、抽出器本体(51)の最大筒径よりも大きく設定されてなり、
充填抽出器が対象穴内を対象穴に沿って進行する際(さらに言えば、対象穴の穴底まで挿入設置された後、樹脂の充填によって対象穴内を対象穴に沿って入口方向へ逆進行するとき)に、前記弾性樹脂板(52)の周縁片が、抽出器本体(51)周りの全周に亘って進行方向後方へ弾性変形した弾性変形状態(S2)となることを特徴とする。
【0013】
弾性樹脂板(52)の張り出し片が、抽出器本体(51)と対象穴(下穴)とのすき間に弾性変形状態で介在することで、抽出器本体(51)が対象穴(下穴)の穴中心寄りに保持されたまま対象穴を進行することとなる。つまり弾性樹脂板(52)の弾性反力によって、対象穴(下穴)内を進行する抽出器本体(51)の進行中の穴内位置の偏りが抑制され、対象穴内への抽出器本体(51)の引っ掛かりによって進行不能状態となることが抑制される。
【0014】
〔6〕
前記弾性樹脂板(52)の張り出し固定位置近傍には、弾性樹脂板(52)の過度の変形(所定閾値の屈曲角度以上の変形、例えば、屈曲角度45度以上の屈曲変形、又は塑性変形ないし破断による変形)を規制する規制凸部(511)が、抽出器本体(51)の張り出し固定位置の外周方向に亘って連続的又は断続的に設けられることを特徴とする。
例えば後述の実施例5~11に示すように、弾性樹脂板(52)の張り出し固定位置の前部に、複数個の半球状又は小板状の規制凸部(511)が、弾性樹脂板(52)と近接して抽出器本体(51)の周側面に等間隔に固設される。また、弾性樹脂板(52)の張り出し固定位置の後部に、円板の規制凸部(53)が、弾性樹脂板(52)と接して、弾性樹脂板(52)を抽出器本体(51)と共に前後方向へ挟み込むように設けられる。複数個の半球状又は小板状の規制凸部(511)、または円板の規制凸部(53)が規制凸部に該当する。
【0015】
〔7〕
或いは、抽出器本体(51)の筒周部であって弾性樹脂板(52)の取り付け位置近傍、又は前記取り付け位置よりも前方の位置には、複数の規制凸部(511)が、前記弾性樹脂板(52)の最小張り出し量よりも小さい突出高さで、抽出器本体(51)外周方向へ等間隔に離間して同一形状で突出形成されることを特徴とする。
複数の規制凸部(511)が、抽出器本体(51)と対象穴(下穴)とのすき間に介在することで、抽出器本体(51)が対象穴(下穴)の穴中心寄りに保持されたまま対象穴を進行することとなる。つまり対象穴(下穴)の断面における抽出器本体(51)の位置の偏りが抑制され、対象穴内への抽出器本体(51)の引っ掛かりによって進行不能状態となることを抑制できる。
【0016】
(弾性ホース(46)の材質、ショア硬度)
さらに、弾性ホース(46)がJIS
K6253によるショア硬度A50°以下のニトリルゴム又はシリコンゴムを主材としてなることを特徴としてもよい。
【0017】
〔8〕(ガイド筒54)
樹脂充填量管理装置の前記充填抽出器は、
目盛又は位置マーカーを有した透明樹脂製の弾性ホース(46)と、
弾性ホース(46)の先に取り付けられ、弾性ホース(46)からの樹脂(G)を筒孔から抽出する円筒状の抽出器本体(51)と、
抽出器本体(51)の筒周部から全周方向に張り出し固定された、円形板又は多角形板状の弾性樹脂板(52)と、
抽出器本体(51)の後部から延出する、抽出器よりも小径のガイド筒(54)と、
からなり、
ガイド筒が、弾性ホース(46)の先部から内挿されて圧入され、ホース連結と共にホース方向を規制することを特徴とする。
【0018】
〔9〕
本発明の樹脂充填量管理方法は、樹脂剤を充填抽出操作可能なガン本体(4)と、
ガン本体(4)に連結され、外部視認可能なメモリまたは位置マーカーを有した弾性ホース(46)と、
弾性ホースの先に接続され、筒体の抽出器本体から樹脂剤を対象穴内に抽出する充填抽出器(5)と、を備えた樹脂充填量管理装置によって、構造体に予め形成した対象穴への樹脂剤の充填量を管理する方法であって、
充填抽出器を対象穴内に挿入して穴底方向へ進行させ、穴底付近に設置する挿入設置ステップと、
ガン本体(4)の操作によって樹脂を抽出し、充填抽出器を、対象穴内の充填樹脂の充填圧によって対象穴方向に沿って入口方向へ逆進行させる充填逆進行ステップと、
充填逆進行ステップによる、充填抽出器の逆進行の移動量、又は、弾性ホース(46)の対象穴からの露出量を測定する測定ステップと、を順に具備することで、樹脂充填量を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明では上記手段を講じることにより、アンカー打設時の下穴内への、グリース又は充填樹脂の充填量を客観的に管理することができる充填量管理装置を提供するものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1の充填量管理装置のうちガン付属管理装置の構成を示す斜視図。
図2】実施例1の充填量管理装置のうちガン付属管理装置の取り付け前の状態を示す斜視図。
図3】実施例1の充填量管理装置のうちガン付属管理装置の取り付け後の状態を示す斜視図。
図4図3の実施例1の充填量管理装置においてさらに樹脂ボトルの取り付け後の状態を示す平面図。
図5図3の実施例1の充填量管理装置においてさらに樹脂ボトルの取り付け後の状態を示す側面図。
図6】実施例1の充填量管理装置の押出し前状態(a)、押出し中状態(b)の一部断面構造を示す側面視説明図。
図7】本発明の実施例2の充填量管理装置のガン、ガン付属管理装置、及び樹脂ボトルの構成を示す斜視図。
図8】実施例2の充填量管理装置のガン、ガン付属管理装置、及び樹脂ボトルの取付け後の状態を示す斜視図。
図9】実施例2の充填量管理装置の押出し前状態(a)、押出し中状態(b)の一部断面構造を示す側面視説明図。
図10】本発明の実施例3の充填量管理装置のガン、ガン付属管理装置、樹脂ボトル、及び充填抽出器の取付け後の状態を示す斜視図。
図11】実施例3の充填量管理装置のガン、ガン付属管理装置、樹脂ボトル、及び充填抽出器の取付け後の状態を示す平面図。
図12】実施例3の充填量管理装置による樹脂注入工程の第一状態(注入前状態1)を示す断面説明図。
図13】実施例3の充填量管理装置による樹脂注入工程の第二状態(注入前状態2)を示す断面説明図。
図14】実施例3の充填量管理装置による樹脂注入工程の第三状態(注入状態1)を示す断面説明図。
図15】実施例3の充填量管理装置による樹脂注入工程の第四状態(注入状態2)を示す断面説明図。
図16】実施例3の充填量管理装置による樹脂注入工程の第五状態(注入後状態1)を示す断面説明図。
図17】実施例3の充填量管理装置による樹脂注入工程の第六状態(アンカー設置状態)を示す断面説明図。
図18】本発明の実施例4の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面視半断面図(a)及び正面図(b)。
図19】本発明の実施例5の充填量管理装置のガン、ガン付属管理装置、及び樹脂ボトルの構成を示す斜視図。
図20】実施例5の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の斜視図。
図21】実施例5の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の構成を示す分解斜視図。
図22】実施例5の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の構成を示す軸断面説明図。
図23】実施例5の充填量管理装置による樹脂注入工程の第二状態(a)、第三状態(b)、第四状態(c)を示す断面説明図。
図24】実施例5の充填量管理装置による樹脂注入工程の第五状態(注入後状態1)、第六状態(アンカー設置状態)を示す断面説明図。
図25図23のα-α部の部分拡大図。
図26】本発明の実施例6の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の斜視図。
図27】実施例6の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の構成を示す軸断面説明図。
図28】本発明の実施例7の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)。
図29】本発明の実施例8の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)。
図30】本発明の実施例9の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)。
図31】本発明の実施例10の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)。
図32】本発明の実施例11の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の構成を示す分解斜視図。
図33】実施例11の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)。
図34】実施例11の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の構成を示す軸断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明を実施するための形態例について実施例として示す各図とともに説明する。
本発明は、鉄筋コンクリート構造物などの母材に、アンカー筋を埋め込むために下穴(H)を形成し、この下穴(H)内に、アンカー筋を固定するための樹脂剤(G)を充填する際に使用する。具体的には、底部押出し式の樹脂剤ボトル(6)を保持することのできる樹脂注入用のガンと、このガンに付属させるガン付属管理装置と、このガンの先部に取り付ける充填抽出器型の充填量管理装置と、からなる。
【0022】
アンカー筋を埋設する構造材(C)としては、コンクリート材、レンガ材、石材、アスファルト面などの固化済の高圧縮強度材、ないし、固化前のコンクリート部材があげられる。
【0023】
(充填量管理装置)
本発明の充填量管理装置は、
樹脂剤を収容した底部押出し式の樹脂剤ボトル(6)を保持するガン本体(4)と、
ガン本体に付属の押し出し操作具(43)への注入操作に伴って、樹脂剤ボトル(6)の底部を押し出すように移動する押出し機構(42)と、
保持した樹脂剤ボトルのボトル先部に連結され、樹脂剤ボトルから押出し抽出された樹脂剤を下穴内に注入する充填抽出器(5)とからなる充填ガン、並びに、
前記ガン本体(4)及び押し出し機構(42)のいずれか一方に付属されるレーザー距離計(1)と、
前記ガン本体(4)及び押し出し機構(42)のいずれか他方に規定されるか附属される被照射部(2)と、
レーザー距離計(1)が照射面(2)にレーザー照射することで測定される測定距離に基づいて、樹脂材ボトルの底部の押出しに伴う押出し機構又は押出し板の移動距離を記録する記録装置(3)とからなるガン付属管理装置、を備えることを特徴とする。
使用の際は、充填ガンに樹脂剤ボトル(6)を装着して樹脂剤ボトル(6)を保持した状態とする。
【0024】
(ガン付属管理装置)
ガン付属管理装置は、前記ガン本体(4)、押し出し操作具(43)、押し出し機構(42)、及び充填抽出器(5)を備えた充填ガンに付属される付属式の装置であって、図1に示すように、レーザー距離計1と、被照射部2と、記録装置3とから構成され、ガンに付属して取り付けることで、充填量を注入ボトル側で管理する装置である。
(充填抽出構造)
充填抽出構造は、外部視認可能なメモリ又は位置マーカーを有した弾性ホースと、その先に取り付けられる、筒体の抽出器本体を有した充填抽出器とからなる。
【実施例0025】
図1~6に示す本発明の実施例1の充填量管理装置は、
樹脂剤を収容した底部押出し式の樹脂剤ボトル(6)を保持するガン本体(4)と、
ガン本体に付属の押し出し操作具(43)への注入操作に伴って、樹脂剤ボトル(6)の底部を押し出すように移動する押出し機構(42)と、
保持した樹脂剤ボトルのボトル先部に連結され、樹脂剤ボトルから押出し抽出された樹脂剤を下穴内に注入する充填抽出器(5)と、
前記ガン本体(4)及び押し出し機構(42)のいずれか一方に付属されるレーザー距離計(1)と、
前記ガン本体(4)及び押し出し機構(42)のいずれか他方に規定されるか附属される被照射部(2)と、
レーザー距離計(1)が照射面(2)にレーザー照射することで測定される測定距離に基づいて、樹脂材ボトルの底部の押出しに伴う押出し機構又は押出し板の移動距離を記録する記録装置(3)と、を備える。
【0026】
レーザー距離計によって樹脂剤ボトルの底部の押し出し移動量をレーザー距離計によって実測定して記録することで、樹脂剤ボトルの内容物減少量に基づいて、正確な樹脂注入力を管理することができる。
【0027】
そして、実施例1においては、レーザー距離計は、
充填ガンのガン前方又は後方を照射方向として保持具の一部に固定されたレーザー照射部と、レーザー照射部の照射先の照射面を有して、樹脂剤ボトルの底部と連動移動する押出し機構に備えられた被照射部と、を備えてなり、
押出し機構の押出し移動に伴ってレーザー照射部と被照射部の近接移動に伴う測定距離の減少量を測定することを特徴とする。
【0028】
本発明の樹脂充填量管理装置は、
樹脂剤を収容した底部押出し式の樹脂剤ボトルを保持するガン本体と、
ガン本体に付属の押し出し操作具の操作によって保持し樹脂剤ボトルの底部を押し出すように移動する押出し機構と、を備えた充填ガンに付属される付属式の装置であって、
前記押し出し機構、及びガン本体の一方、又は他方に付属される、
照射先の照射面にレーザー照射することで照射面距離を測定するレーザー距離計と、
レーザー距離計によって測定された、底部の押出しに伴う押出し機構又は押出し板の移動距離を記録する記録装置と、を備えた充填量管理装置と、
保持した樹脂剤ボトルのボトル先部に連結され、樹脂剤ボトルから押出し抽出された樹脂剤を下穴内に注入する充填抽出器と、を具備してなり、さらに充填先部において、充填抽出量を管理可能な充填抽出構造を有する。
【0029】
樹脂充填量管理装置の充填抽出構造における充填抽出器は、
外部視認可能な目盛又は位置マーカーを有した弾性ホース(46)と、
弾性ホース(46)の先に取り付けられ、弾性ホース(46)からの樹脂(G)を抽出する円筒状の抽出器本体(51)と、
抽出器の先端から所定距離だけ軸方向後方寄りの位置に、一枚又は複数枚、交換可能に固定された、円形板状又は多角形板状の弾性樹脂板(52)とからなることを特徴とする。
【0030】
特に、傾斜周部12の下端と接する面取り部120の外境界端122は、アンカー筋Aの径ADに対して102%~120%の範囲内の径122Dの縁円を形成する(図2)。
【実施例0031】
図7~9に示す本発明の実施例2の充填量管理装置においては、後部のエアータンク47によって保持部の押し出し板48を前方移動させるエアー式の充填ガンと、先細り円筒状の吐出器61を備えた樹脂材ボトルとを具備する。
【0032】
つまり実施例2の樹脂充填量管理装置のレーザー距離計は、
充填ガンのガン前方又は後方を照射方向として保持具の一部に固定されたレーザー照射部(1)と、レーザー照射部の照射先の照射面を有して、樹脂剤ボトルの底部と連動移動する押出し機構に備えられた被照射部と、を備えてなり、
押出し機構の押出し移動に伴ってレーザー照射部と被照射部の離間移動に伴う測定距離の増加量を測定することを特徴とする。
上記は、後述の実施例2(図7図9)の構成に相当する。樹脂剤ボトルの底部に接触して押し出す押出し板48の後ろを被照射部2の照射面21とし、照射面21の後方に、レーザー距離計1を対向状態でガン本体に固定させることで、押し出し板48の、ガン本体の後部からの離間動作に伴う確実な距離測定を行うことができる(図9)。
【実施例0033】
図10~17に示す本発明の実施例3の充填量管理装置においては、保持部先側に連結した弾性ホース(46)46と、弾性ホース(46)46の先部に取り付けた弾性樹脂板付きの円柱状の連結器とを備える。具体的には、弾性ホース(46)の先に取り付けられ、弾性ホース(46)からの樹脂(G)を抽出する円筒状の抽出器本体(51)と、
抽出器の周部であって先端から所定距離だけ軸方向後方位置に一枚又は複数枚嵌め込み固定された、円形の弾性樹脂板(52)と、弾性張出部上下に傾斜周部12,13を有する。そして、図12~に示す手順によって注入が行われる。
【0034】
実施例3の充填量管理装置による樹脂注入方法における、各樹脂注入工程について説明する。
本発明の樹脂充填量管理方法は、樹脂剤を充填抽出操作可能なガン本体(4)と、
ガン本体(4)に連結され、外部視認可能なメモリまたは位置マーカーを有した弾性ホース(46)と、
弾性ホースの先に接続され、筒体の抽出器本体から樹脂剤を対象穴内に抽出する充填抽出器(5)と、を備えた樹脂充填量管理装置によって、構造体に予め形成した対象穴への樹脂剤の充填量を管理する方法であって、
充填抽出器を対象穴内に挿入して穴底方向へ進行させ、穴底付近に設置する挿入設置ステップと、
ガン本体(4)の操作によって樹脂を抽出し、充填抽出器を、対象穴内の充填樹脂の充填圧によって対象穴方向に沿って入口方向へ逆進行させる充填逆進行ステップと、
充填逆進行ステップによる、充填抽出器の逆進行の移動量、又は、弾性ホース(46)の対象穴からの露出量を測定するステップと、を順に具備することで、樹脂充填量を測定することを特徴とする。
【0035】
図12は、樹脂注入方法における樹脂注入工程の第一状態(注入前状態1)を示す断面説明図である。
【0036】
図13は、樹脂注入方法における樹脂注入工程の第二状態(注入前状態2)を示す断面説明図である。
【0037】
図14は、樹脂注入方法における樹脂注入工程の第三状態(注入状態1)を示す断面説明図である。
【0038】
図15は、樹脂注入方法における樹脂注入工程の第四状態(注入状態2)を示す断面説明図である。
【0039】
図16は、樹脂注入方法における樹脂注入工程の第五状態(注入後状態1)を示す断面説明図である。
【0040】
図17は、樹脂注入方法における樹脂注入工程の第六状態(アンカー設置状態)を示す断面説明図である。
【実施例0041】
図18に示す本発明の実施例4の充填抽出器型充填量管理装置は、位置マーカーなどで初期位置及び注入完了位置をマーキング可能な弾性ホース(46)と、弾性ホース(46)の先部に取り付けられる筒型の充填抽出器(5)とからなる。図8ではこのうち充填抽出器(5)の半断面図及び正面図(抽出口方向から見た端面図)を示す。実施例4の充填抽出器は、弾性ホース(46)46にホース接続可能な多段状の基端接続部(54)を有した細径の抽出軸(510)と、抽出軸(510)の先端を突出させて先部側に周着固定された抽出器本体(51)と、抽出器本体(51)の後部であって抽出軸(510)に周着された円筒状の後方張り出し部(53)と、後方張り出し部(53)及び抽出器本体(51)に挟まれて、抽出器本体(51)の外周に張り出した円板状の弾性樹脂板(52)とを備える。
【0042】
図18に示す本発明の実施例4の充填抽出器セットにおける充填抽出器は、側面視半断面図(a)及び正面図(b)に示す形態からなる。
【0043】
本実施例においても、実施例3と同様、充填抽出器からの樹脂剤の吐出及び弾性樹脂板の穴内張り出し、並びに弾性ホース(46)46の弾性によって、樹脂剤の穴内注入に伴う充填抽出器の上方移動現象が自動的に起こり、この際に弾性ホース(46)46の周面に記載された位置マーカー又は目盛によって、弾性ホース(46)46の移動量を計測できるものとなっている。
【0044】
本発明は、充填ガンの押し出しアームに取り付け可能なレーザー距離計と、レーザー距離計による測定距離に基づく充填量などのデータを演算表示する表示部と、前記データを記憶する記憶装置と、を備えた計測装置であって、レーザー距離計は、アタッチメントによって押し出しアームへ取り付けられることで、押し出しアームの移動とともに一体的に移動し、かつ、レーザー距離計の照射部を、充填ガン本体の非可動部の検知面にレーザー照射し、照射面からの距離を非接触測定する。
【0045】
表示部は、日時、初期充填量、設定値(移動距離)、充填量(吹き出し量)などを表示する。
【実施例0046】
図19図25は、実施例5の充填量管理装置に付属する充填抽出器セット、乃至その先の充填抽出器の構成と、これによる樹脂注入方法の各工程における状態を示すものである。
【0047】
図19に示すように、本発明の実施例5の充填量管理装置のガン、ガン付属管理装置、及び樹脂ボトルの構成は、。
【0048】
図20に示すように、実施例5の充填抽出器は、。
【0049】
図21に示すように、実施例5の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の構成を示す分解斜視図。
【0050】
図22に示すように、実施例5の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の構成を示す軸断面説明図。
【0051】
本実施例における樹脂充填量管理方法は、樹脂剤を充填抽出操作可能なガン本体(4)と、
ガン本体(4)に連結され、外部視認可能なメモリまたは位置マーカーを有した弾性ホース(46)と、
弾性ホースの先に接続され、筒体の抽出器本体から樹脂剤を対象穴内に抽出する充填抽出器(5)と、を備えた樹脂充填量管理装置によって、構造体に予め形成した対象穴への樹脂剤の充填量を管理する方法であって、
充填抽出器を対象穴内に挿入して穴底方向へ進行させ(図23(a))、穴底付近に設置する(図23(b))挿入設置ステップと、
ガン本体(4)の操作によって樹脂を抽出し、充填抽出器を、対象穴内の充填樹脂の充填圧によって対象穴方向に沿って入口方向へ逆進行させる(図23(c)、図25)充填逆進行ステップと、
充填逆進行ステップによる、充填抽出器の逆進行の移動量、又は、弾性ホース(46)の対象穴からの露出量を測定するステップと、を順に具備することで、樹脂充填量を測定する((図23(c))測定ステップと、を具備することを特徴とする。
【0052】
そしてその後、測定ステップの後、充填抽出器(5)を対象穴から抜き取る(図24(d))抜き取りステップと、
抜き取った後の適正量の樹脂充填量が充填された対象穴にアンカー筋ARを打設する(図24(e)打設ステップと、を具備する。
【0053】
最初に行う挿入設置ステップは、図23(a)(b)に示すように、樹脂充填前の状態において、実施例5の充填量管理装置による樹脂注入工程の第二状態(a)から第三状態(b)にするステップである。穴底HEに当たるまで器具又は弾性ホースを用いて充填抽出器を対象穴内に進行させる。このとき、円板状の弾性樹脂板(52)の周縁片が対象穴より大きく設定されているため、弾性樹脂板(52)の周縁片が穴入口側へ曲がった弾性変形状態となる。また、弾性樹脂板によって、充填抽出器の先側寄りの充填空間と、充填抽出器よりも基部側すなわち弾性ホース寄りの非充填空間とが区切られる。
【0054】
挿入設置ステップの次に行う充填逆進行ステップは、図23(c)に示すように、ガン本体(4)の操作によって樹脂を抽出し、充填抽出器を、対象穴内の充填樹脂の充填圧によって対象穴方向に沿って入口方向へ逆進行させるステップである。本ステップにおいては、ガン本体(4)からの操作によって、充填抽出器の筒孔510内からその先側である底穴方向へ樹脂が充填される。充填空間内へ樹脂充填が進むことで、図23(c)またはその部分拡大図である図25に示すように、充填空間内の樹脂充填圧によって充填抽出器の抽出器本体(51)の先端面51E、及び弾性樹脂板の先面が押し返されて、充填抽出器が穴底から穴入口側へ逆進行する。これに伴い、充填空間内へ、必要な充填量の充填剤が隙間なく充填されていく。このとき、抽出器側部と対象穴側面との隙間にも充填剤が充填されていき、充填空間のエアーは弾性樹脂板(52)と対象穴との隙間から、穴入口へ放出される。
【0055】
そしてこの充填逆進行ステップのステップ前後乃至ステップ中に、充填逆進行ステップによる、充填抽出器の逆進行の移動量、又は、弾性ホース(46)の対象穴からの露出量を測定する測定ステップを行う。具体的には、挿入設置ステップ後の第三状態(図23b)で構造体表面CFから露出する弾性ホース(46)の露出境界のホース表面に位置マーカーを取り付ける。樹脂剤を充填して逆進行するにしたがって、弾性ホースの構造体表面CFからの露出量が増えるにしたがって、位置マーカーが構造体表面CFから遠ざかるように逆進行していく。この逆進行長さを計測することで、充填量を管理する。
【0056】
そして、対象穴のサイズに応じた充填量が確保されたことを確認した後、図24(d)の第五状態のように、充填抽出器を抜き出し(注入後状態1)、図24(e)の第六状態のように、必要量の樹脂充填完了後の対象穴へ、アンカー筋を打設する。
【実施例0057】
図26及び図27は、本発明の実施例6の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の斜視図、及び、充填抽出器の構成を示す軸断面説明図である。
【実施例0058】
図28は、本発明の実施例7の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)である。
【実施例0059】
図29は、本発明の実施例8の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)である。
【実施例0060】
図30は、本発明の実施例9の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)である。
【実施例0061】
図31は、本発明の実施例10の充填量管理装置の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)である。
【実施例0062】
図32図33、及び図34は、本発明の実施例11の充填量管理装置の充填抽出器セットにおける、充填抽出器の構成を示す分解斜視図、充填抽出器の側面図(a)及び正面図(b)、及び、充填抽出器の構成を示す軸断面説明図である。
【0063】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更、変形、構成要素の一部省略、一部抽出、公知物又は他の実施例の構成要素との置換、各実施例の構成同士の組合せ、構成部材の長さの比率又は大きさの変更、材質の変更、複数部品の組合せ構成化又は一体構成化、方式の変更などが可能である。
【符号の説明】
【0064】
レーザー距離計(1)
レーザー照射部(121)(122)
被照射部(2)
照射面(211)
記録装置(3)(3M)
ガン本体(4)
押出し機構(42)
押出し棒(421)
押出し板(422)
押し出し操作具(43)
操作レバー(431)
弾性ホース(46)
位置マーカー(第一位置マーカー、第二位置マーカー)(461)(462)
目盛(46M)
充填抽出器(5)
抽出器本体(51)
弾性樹脂板(52)
ガイド筒(54)
樹脂剤ボトル(6)
底部(62)
ボトル先部(6T)
樹脂剤(G)
下穴(H)
測定距離(X1)(X2)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34