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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181198
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】太陽光発電設備
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20221130BHJP
   H02S 20/32 20140101ALI20221130BHJP
【FI】
H02S20/10 T
H02S20/32
H02S20/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022084391
(22)【出願日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】2105423
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】507030070
【氏名又は名称】エレクトリシテ ド フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン イセゲム マイク
(72)【発明者】
【氏名】ポワヴィー ロメイン
(72)【発明者】
【氏名】マロ エチエンヌ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】太陽電池パネルの下に又はそれら太陽電池パネルの近くに位置する作物に雨水をよりよく分配し、他方でこれらの作物の水枯れの問題を回避すること。
【解決手段】太陽光追尾装置(2)によって、水平に対する太陽電池パネル(3)の傾きを変化させることが可能になり、それによって、水平方向エッジ(31)と呼ばれる、太陽電池パネルの対向する2つのエッジが、太陽電池パネル(3)の傾きに関係なく、常に水平である。この設備は、雨水を回収するための少なくとも1つの雨樋(4)を含み、この雨樋(4)は、少なくとも2つのアンカー装置(5)を使用して太陽電池パネル(3)の2つの水平方向エッジ(31)のうちの1つに沿って取り付けられ、雨樋(4)は、吊り下げられているため、その自重の作用で水平回転軸線(Y-Y’)の周りに揺動することができ、太陽電池パネル(3)の傾きに関係なく、水平を維持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光追尾装置(2)と、該太陽光追尾装置(2)に取り付けられた少なくとも1つの正方形又は長方形の太陽電池パネル(3)を含む太陽光発電設備(1)であって、
前記太陽光追尾装置(2)によって、水平に対する前記太陽電池パネル(3)の傾きを変化させることが可能なり、それによって、水平方向エッジ(31)と呼ばれる、前記太陽電池パネルの対向する2つのエッジが、前記太陽電池パネル(3)の前記傾きに関係なく常に水平であり、
当該太陽光発電設備(1)は、雨水を回収するための少なくとも1つの雨樋(4)を含み、該雨樋(4)は、少なくとも2つのアンカー装置(5)を使用して、前記太陽電池パネル(3)の2つの前記水平方向エッジ(31)のうちの1つに沿って取り付けられ、前記雨樋(4)は、吊り下げられているため、その自重の作用で水平回転軸線(Y-Y’)の周りに揺動することができ、前記太陽電池パネル(3)の前記傾きに関係なく、水平又は実質的に水平を維持する、
太陽光発電設備(1)。
【請求項2】
雨水回収の前記雨樋(4)は、第1の長手方向リム(42)及び第2の長手方向リム(43)を含み、各アンカー装置(5)は、
前記太陽電池パネル(3)上に水平ピボット(52)及び固定装置(51)が設けられた支持体(50)と、
第1の吊下げケーブル(53)であって、その第1の端部(531)で前記雨樋(4)の前記第1の長手方向リム(42)に固定される第1の吊下げケーブル(53)と、
第2の吊下げケーブル(54)であって、その第1の端部(541)で前記雨樋(4)の前記第2の長手方向リム(43)に固定される第2の吊下げケーブル(54)であり、前記第1の吊下げケーブル(53)の第2の端部(532)及び前記第2の吊下げケーブル(54)の第2の端部(542)は、前記第1の吊下げケーブル及び前記第2の吊下げケーブルの接続点(55)に固定される、第2の吊下げケーブル(54)と、
前記接続点(55)を前記水平ピボット(52)に接続する第3の吊下げケーブル(56)と、を含み、
前記少なくとも2つのアンカー装置(5)は、それらのそれぞれのピボット(52)が同軸であり、且つ前記水平回転軸線(Y-Y’)を規定するように、前記太陽電池パネル(3)に取り付けられる、請求項1に記載の太陽光発電設備(1)。
【請求項3】
雨水回収の前記雨樋(4)は、第1の長手方向リム(42)及び第2の長手方向リム(43)を含み、各アンカー装置(5)は、
前記太陽電池パネル(3)上に水平ピボット(52)及び固定装置(51)が設けられた支持体(50)と、
第1の吊下げケーブル(53)であって、その第1の端部(531)で前記雨樋(4)の前記第1の長手方向リム(42)に固定される第1の吊下げケーブル(53)と、
第2の吊下げケーブル(54)であって、その第1の端部(541)で前記雨樋(4)の前記第2の長手方向リム(43)に固定される第2の吊下げケーブル(54)であり、前記第1の吊下げケーブル(53)の第2の端部(532)及び前記第2の吊下げケーブル(54)の第2の端部(542)は、前記水平ピボット(52)に固定される、第2の吊下げケーブル(54)と、を含み、
前記少なくとも2つのアンカー装置(5)は、それらのそれぞれのピボット(52)が同軸であり、且つ前記水平回転軸線(Y-Y’)を規定するように、前記太陽電池パネル(3)に取り付けられる、請求項1に記載の太陽光発電設備(1)。
【請求項4】
前記固定装置(51)は、前記太陽電池パネル(3)の前記水平方向エッジ(31)をクランプするのを可能にするクランプ(510)を含む、請求項2又は3に記載の太陽光発電設備(1)。
【請求項5】
前記水平ピボット(52)は、回転式ダンパーピボットである、請求項2又は3に記載の太陽光発電設備(1)。
【請求項6】
前記太陽電池パネル(3)は、前記水平方向エッジ(31)に直交する、横方向エッジ(32)と呼ばれる対向する2つのエッジを含み、
支持体(50)は、第1のアーム(501)及び第2のアーム(502)を含むL字形であり、
水平ピボット(52)は、前記第1のアーム(501)の自由端に、該第1のアームに直交して固定され、
固定装置(51)は、前記第2のアーム(502)の自由端に固定され、それによって、
前記支持体(50)は、前記固定装置(51)を使用して前記太陽電池パネル(3)に固定され、前記第2のアーム(502)は、前記太陽電池パネル(3)の前記横方向エッジ(32)に平行である方向に延び、前記水平ピボット(52)は水平になる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の太陽光発電設備(1)。
【請求項7】
前記第2のアーム(502)の長さは、前記太陽電池パネル(3)が水平であるときに、前記太陽電池パネル(3)の前記水平方向エッジ(31)が前記雨樋(4)の第2の長手方向リム(43)の上に位置するような長さである、請求項6に記載の太陽光発電設備(1)。
【請求項8】
前記雨樋(4)の両端にそれぞれ固定される2つのアンカー装置(5)を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の太陽光発電設備(1)。
【請求項9】
前記雨樋(4)には、その底部に、排水コネクタ(45)が設けられた少なくとも1つの排水口(44)があり、
当該太陽光発電設備(1)は、少なくとも1つの雨水貯蔵タンク(6)と、前記雨樋の前記排水コネクタ(45)をこの貯蔵タンク(6)に接続する少なくとも1つの可撓性パイプ(61)とを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の太陽光発電設備(1)。
【請求項10】
前記雨樋(4)には、バルブを使用して随意に閉じることができる複数のスプレー孔(46)が開けられている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の太陽光発電設備(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電設備、より具体的には、農業用太陽光発電(agriphotovoltaics)の分野に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、太陽光追尾装置と、太陽光追尾装置に取り付けられた少なくとも1つの太陽電池パネルとを含む太陽光発電設備に関する。この太陽光追尾装置は、水平に対する太陽電池パネルの傾きを変えるのを可能にする。
【背景技術】
【0003】
農業用太陽光発電(agriphotovoltaics)とは、太陽光電力の生産と農業生産とを同じ場所(surface)で組み合わせた層状生産を行うことを指す。
【0004】
太陽電池パネル及び作物の共存は、これら2つのタイプの生産の間で光を共有することを意味する。これを行うために、太陽電池パネル(又はソーラーパネル)は太陽光追尾装置に取り付けられ、これにより、太陽の位置を最もよく追跡するために、太陽電池パネルのそれぞれの傾きを変えることができる。
【0005】
これらの太陽電池パネルを向き合わせすることができるという事実は、雹、大雨、晩霜の影響のいくつかを制限することによって、又は暑く乾燥した夏の間にこれらの植物を過度の日光から保護することによって、良好な植物成長のための好ましい条件を再現することも可能にする。
【0006】
さらに、公式の統計によれば、農業は、水域又は河川から引き込まれる略全ての水を消費する。これらの引き込まれる水の影響は重大である。何故なら、それらは主に夏の3か月間に集中するためである。この期間は、農業がこの地域の水消費量の最大80%を占める(represent)可能性がある。
【0007】
夏の間、水量が少ない時期の水資源の不足に対処するために、当局は、水の使用を制限又は一時停止するための例外的な措置を講じることを余儀なくされることがある。農業は、例えば飲料水の取水と比較して、水の収集の優先事項とは見なされていないため、雨水は益々貴重な資源になりつつある。従って、雨水の回収が最も重要である。
【0008】
雨水管理に関連する主な問題は、太陽電池パネルが太陽光追尾装置に取り付けられる農業用太陽光発電設備自体の構造から生じる。雨が降ると、雨水は傾斜した太陽電池パネル上を流れ、これらのパネルの近くにある作物の特定の領域に雨水が集中するため、水の供給に不均一性が生じたり、農地に溝が形成され(gullying:溝形成)たりすることさえある。
【0009】
従って、作物に水を均一に分配することが望ましいだろう。
【0010】
逆に、水量の低い(水域のレベルが最も低い)期間の水枯れ(drought:干ばつ)の問題を解決することが望ましいだろう。
【0011】
従来技術から、雨の場合にそれら太陽電池パネルを垂直位置にするために太陽電池パネルの向きを制御することを推奨する解決策が既に知られている。こうして、水は、太陽電池パネルの近くにある作物に均一に分配されて落ちる。この解決策は、作物への水の供給における均一性の欠如の問題を解決し、土地の溝形成を回避するが、水枯れの問題には対応していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記の問題を解決することであり、特に、太陽電池パネルの下に又はそれら太陽電池パネルの近くに位置する作物に雨水をよりよく分配し、他方でこれらの作物の水枯れの問題を回避することである。
【0013】
本発明の別の目的は、農地面積を縮小することなく、及び太陽電池パネル及びそれら太陽電池パネルが取り付けられる太陽光追尾装置の動作を妨げることなく、この問題を首尾よく解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この効果のために、本発明は、太陽光追尾装置と、太陽光追尾装置に取り付けられた少なくとも1つの正方形又は長方形の太陽電池パネルとを含む太陽光発電設備に関する。この太陽光追尾装置によって、水平に対する太陽電池パネルの傾きを変化させることが可能になり、それによって、水平方向エッジと呼ばれる、太陽電池パネルの対向する2つのエッジが、太陽電池パネルの傾きに関係なく、常に水平又は実質的に水平である。
【0015】
本発明によれば、この設備は、雨水を回収するための少なくとも1つの雨樋(gutter)を含み、この雨樋は、少なくとも2つのアンカー装置を使用して、太陽電池パネルの2つの水平方向エッジのうちの1つに沿って取り付けられ、雨樋は、吊り下げられているため、その自重の作用で水平回転軸線の周りに揺動することができ、太陽電池パネルの傾きに関係なく、水平又は実質的に水平を維持する。
【0016】
本発明のこれらの特徴により、雨樋は振り子式システムであり、恒久的に水平位置を維持する。このため、1つ又は複数の太陽電池パネルの傾きに関係なく、雨樋は、雨水を回収し、太陽電池パネルの上を流れる水の流れが一点に集中して土壌の溝形成を引き起こすのを防ぐことができる。
【0017】
本発明の他の有利で非限定的な特徴によれば、単独で又は組み合わせて、以下を行う。
【0018】
- 雨水回収の雨樋は、第1の長手方向リム及び第2の長手方向リムを含み、各アンカー装置は、太陽電池パネル上に水平ピボット及び固定装置が設けられた支持体と;第1の吊下げケーブルであって、その第1の端部で雨樋の第1の長手方向リムに固定される第1の吊下げケーブルと;第2の吊下げケーブルであって、その第1の端部で雨樋の第2の長手方向リムに固定される第2の吊下げケーブルであり、第1の吊下げケーブルの第2の端部及び第2の吊下げケーブルの第2の端部は、第1のケーブル及び第2のケーブルの接続点に固定される、第2の吊下げケーブルと;接続点を水平ピボットに接続する第3の吊下げケーブルと;を含み、少なくとも2つのアンカー装置は、それらのそれぞれのピボットが同軸であり、且つ水平回転軸線を規定するように、太陽電池パネルに取り付けられる。
【0019】
- 雨水回収の雨樋は、第1の長手方向リム及び第2の長手方向リムを含み、各アンカー装置は、太陽電池パネル上に水平ピボット及び固定装置が設けれた支持体と;第1の吊下げケーブルであって、その第1の端部で雨樋の第1の長手方向リムに固定される第1の吊下げケーブルと;第2の吊下げケーブルであって、その第1の端部で雨樋の第2の長手方向リムに固定される第2の吊下げケーブルであり、第1の吊下げケーブルの第2の端部及び第2の吊下げケーブルの第2の端部は水平ピボットに固定される、第2の吊下げケーブルと;を含み、少なくとも2つのアンカー装置は、それらそれぞれのピボットが同軸であり、且つ水平回転軸線を規定するように、太陽電池パネルに取り付けられる。
【0020】
- 固定装置は、太陽電池パネルの水平方向エッジをクランプするのを可能にするクランプを含む。
【0021】
- 水平ピボットは回転式ダンパーピボットである。
【0022】
- 太陽電池パネルは、水平方向エッジに直交する、横方向エッジと呼ばれる対向する2つのエッジを含み、支持体は、第1のアーム及び第2のアームを含むL字形であり、水平ピボットは、第1のアームの自由端に、その第1のアームに直交して固定され、固定装置は、第2のアームの自由端に固定され、それによって、支持体は、固定装置を使用して太陽電池パネルに固定され、第2のアームは、太陽電池パネルの横方向エッジに平行である方向に延び、水平ピボットは水平になる。
【0023】
- 第2のアームの長さは、太陽電池パネルが水平であるときに、太陽電池パネルの水平方向エッジが雨樋の第2の長手方向リムの上に位置するような長さである。
【0024】
- 設備は、雨樋の両端にそれぞれ固定される2つのアンカー装置を含む。
【0025】
- 雨樋には、その底部に、排水コネクタが設けられた少なくとも1つの排水口があり、太陽光発電設備は、少なくとも1つの雨水貯蔵タンクと、雨樋の排水コネクタをこの貯蔵タンクに接続する少なくとも1つの可撓性パイプとを含む。
【0026】
- 上記の雨樋には、バルブを使用してオプションで閉じることができる複数のスプレー孔が開けられている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、以下の説明から明らかになろう。その説明は、純粋に例示として与えられ、限定するものではなく、添付の図面を参照して読むべきである。
図1】本発明による太陽光発電設備を正面から見た斜視図である。
図2】本発明による太陽光発電設備を背面から見た斜視図である。
図3】太陽電池パネルが水平である場合の、本発明による太陽光発電設備の一部の実施形態の正面図である。
図4図3と同様の図であり、設備上の雨の流れを示す図である。
図5図3と同様の図であり、太陽電池パネルを第1の方向に傾けたときの設備上の雨の流れを示す図である。
図6図3と同様の図であり、太陽電池パネルを第1の方向とは反対の第2の方向に傾けたときの、設備上の雨の流れを示す図である。
図7】太陽電池パネルが水平である場合の、本発明による太陽光発電設備の一部の代替の実施形態の正面図である。
図8図7と同様の図であり、太陽電池パネルを第1の方向に傾けたときの設備上の雨の流れを示す図である。
図9図7と同様の図であり、太陽電池パネルを第1の方向とは反対の第2の方向に傾けたときの、設備上の雨の流れを示す図である。
図10】設備に雨水貯蔵タンクが含まれ、太陽電池パネルを第1の方向に傾けたときの設備の端面図である。
図11】設備に雨水貯蔵タンクが含まれ、太陽電池パネルを第1の方向とは反対の第2の方向に傾けたときの設備の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで、本発明による太陽光発電設備について、図1図2図10、及び図11と併せて説明する。
【0029】
以下の説明及び特許請求の範囲では、「水平」及び「垂直」という用語は、図1及び図2に示されるように、地上基準フレーム又は設備1の通常の設置位置に関して考慮すべきである。
【0030】
この太陽光発電設備1は、太陽光追尾装置2と、この太陽光追尾装置に取り付けられた少なくとも1つの太陽電池パネル(又はソーラーパネル)3とを含む。
【0031】
太陽光追尾装置2は、太陽の位置を追跡するために、水平に対する1つ又は複数のソーラーパネル3の傾きを変化させることを可能にする装置である。
【0032】
このような太陽光追尾装置2は、例えば、地面に立てられた支持脚20と、アクチュエータ21とを含み、アクチュエータ21の本体及びロッドがそれぞれ、一方が支持脚20に固定され、他方が太陽電池パネル3の背面に固定される。
【0033】
そのような太陽光追尾装置2は、当業者によく知られており、これ以上詳細に説明しない。
【0034】
太陽電池パネル3は、正方形又は長方形であり、4つのエッジを有する。
【0035】
太陽光追尾装置2を作動させると、1日中太陽電池パネル3を、図10に示されるように、パネルが例えば東に向けられている垂直又は略垂直の位置から、図11に示されるように、太陽電池パネル3が例えば西に向けられている垂直又は略垂直の位置に移動させることができ、太陽の位置を追跡するために一連の中間位置全体を占めることができる。
【0036】
パネル3は、その移動中に、太陽電池パネル3の対向する2つのエッジが水平又は実質的に水平を維持するように、追尾装置2に取り付けられる。結果として、慣例により、それら対向する2つのエッジは、以下の説明及び特許請求の範囲で「水平方向エッジ」31と呼ばれる。太陽電池パネル3の他の対向する2つのエッジは、「横方向エッジ」と呼ばれ、参照符号32が付与される。「実質的に水平」という用語は、このエッジ31がオプションで水平から最大15°まで離れることができることを意味するものとする。
【0037】
太陽光発電設備1は、少なくとも1つの雨水回収の雨樋4も含む。
【0038】
図1に最もよく示されるように、各雨樋4は中央の長手方向軸線X-X’に沿って延びる。その雨樋4は、好ましくは、半円形の断面を有する。その雨樋4は、その2つの端部のそれぞれが端部仕切り41によって閉じられる。最後に、各雨樋4には、2つの平行な長手方向リム、それぞれ第1の長手方向リム42及び第2の長手方向リム43がある。
【0039】
各雨樋4は、太陽電池パネル3の水平方向エッジ31のうちの1つに沿って取り付けられる。換言すると、各雨樋4は、その長手方向リム42、43がパネル3の水平方向エッジ31に平行又は実質的に平行になるように取り付けられる。
【0040】
有利には、図2図10及び図11に示されるように、設備は、太陽電池パネル3の水平方向エッジ31のそれぞれに沿ってそれぞれ取り付けられた2つの雨樋4を含む。
【0041】
さらに、各雨樋4は、少なくとも2つのアンカー(anchoring)装置5を使用して、パネル3の水平方向エッジ31に沿って取り付けられる。これらの2つのアンカー装置5は、好ましくは、雨樋4の両端に、又はこれらの両端の近くに配置される。長い雨樋4の場合に、雨樋を可能な限り均一に支持し、その変形を回避するために、雨樋に沿って分布した3つ以上のアンカー装置5を使用することも想定できる。
【0042】
次に、アンカー装置5の第1の実施形態について、図3と併せてより詳細に説明する。
【0043】
このアンカー装置5は、雨樋4をそのアンカー装置5から吊り下げることができるように構成される。こうして、この雨樋4は、その自重の作用で、水平回転軸線Y-Y’の周りに揺動することができ、それによって、その雨樋4は、太陽電池パネル3に対して移動することができ、太陽電池パネル3の傾きに関係なく、水平又は実質的に水平(すなわち、15°以内)である安定した平衡位置に留まることができる。換言すると、雨樋4は、振り子のように太陽電池パネル3に固定される。
【0044】
回転軸線Y-Y’は、雨樋4の長手方向軸線X-X’に対して平行である。
【0045】
アンカー装置5は、太陽電池パネル3に固定するための装置51と、同様にピボット52とが設けられた支持体50を含む。アンカー装置5は、2つの吊下げケーブル、すなわち第1のケーブル53及び第2のケーブル54も含む。
【0046】
第1のケーブル53は、その第1の端部531で第1の長手方向リム42に固定され、その第2の端部532で2本のケーブルの接続点55に固定される一方、第2のケーブル54は、その第1の端部541で第2の長手方向リム43に固定され、その第2の端部542で2本のケーブルの同じ接続点55に固定される。
【0047】
最後に、アンカー装置5は、接続点55を水平ピボット52に接続する第3の吊下げケーブル56を含む。この第3のケーブル56は、図5に最もよく示される。
【0048】
この実施形態は、雨樋4の旋回運動中に、第2の吊下げケーブル54(すなわち、太陽電池パネルに最も近いケーブル)が、支持体50、又は太陽電池パネル3にさえも潜在的に接触するのを防ぐことができるので、好ましい。
【0049】
しかしながら、図に示されていない代替の実施形態によれば、2本のケーブル53、54の第2の端部532、542をそれぞれ水平ピボット52に直接固定することも可能である。この場合に、ケーブル53、54の長さを調整して、それらケーブル53、54が、雨樋の傾きに関係なく、支持体50又はパネル3と接触しないように注意する必要がある。
【0050】
少なくとも2つのアンカー装置は、それらのそれぞれのピボット52が整列して同軸になり、一緒になって、雨樋4が旋回できる水平回転軸線(Y-Y’)を規定するように、ソーラーパネルに固定される。
【0051】
固定装置51は、例えば、インターロック、ねじ込み、又は溶接によって支持体50に固定されるか、又はこの支持体50と一体に形成され、支持体50は、クランプ510等の固定端部を含み、これにより、太陽電池パネル3の水平方向エッジ31を把持することが可能になる。クランプ510は、この固定装置51及びパネル3を堅固に接続することができる他の任意の装置、例えば、ねじ及びボルトによる固定又はピン(図示せず)を使用したクランプ固定510によって置き換えることもできる。
【0052】
好ましくは、支持体50は、2つのアーム、すなわち、第1のアーム501及び第2のアーム502を含むL字型プレートの形態を有する。
【0053】
好ましくは、パネル3上の固定装置51は、第2のアーム502の自由端に固定され、それによって、固定装置51がパネル3に取り付けられると、第2のアーム502は、パネル32の横方向エッジに対して平行な方向に延びる。さらに、水平ピボット52は、好ましくは、第1のアーム501の自由端に、第1のアームに直交して固定される。このため、支持体50が太陽電池パネル3に固定されるときに、ピボット52は水平である。
【0054】
第3のケーブル56は、水平ピボット52に取り付けられ、それによって、雨樋4がその水平ピボット52の周りを、従って回転軸線X-X’の周りを自由に又は略自由に旋回できるようにする。
【0055】
しかしながら、代替の実施形態によれば、ピボット52は、ブレーキ機構を組み込むように設計された回転式ダンパーピボットであり得る。そのような回転式ダンパーピボットは、太陽光発電設備1が猛烈な風を受けたときに、雨樋4が大き過ぎるスイング振幅を受けるのを防ぐことができる。このようにして、雨樋4又はそのアンカー装置5への損傷が回避され、良好な雨水回収が保証される。いくつかのタイプの回転式ダンパーピボットを使用することができ、例えば、機械的、磁気的、又は粘性の流体ダンパーを含むピボットであり、後者の解決策が好ましい。
【0056】
有利には、第2のアーム502の長さは、太陽電池パネル3が水平であるときに、太陽電池パネル3の水平方向エッジ31が雨樋4の第2の長手方向リム43より上になるように寸法が決められ、それにより、この向きに関係なく、雨水回収が最大になることを保証する。
【0057】
実際に、図4に示されるように、太陽電池パネル3が水平に配置される場合に、雨水は雨樋4に直接落下し(矢印aを参照)、太陽電池パネル3は雨樋4の開口部を覆い隠さない。
【0058】
太陽電池パネル3が図5に示す第1の傾きに従って向き合わせされ、雨樋4がパネル3よりも低い高さにある場合に、雨水は雨樋4に直接落下し続け(矢印aを参照)、パネル3上を流れる水も雨樋4に流れ込み、矢印b1、b2、b3はそれぞれ、水がより高速に流れる(矢印b1は小雨を表し、逆に矢印b3は大雨を表す)ことを表す。
【0059】
最後に、図6に示されるように、太陽電池パネル3が第2の傾きに向き合わせされ、雨樋4がパネル3よりも高い高さに配置される場合に、次に、雨は雨樋4に直接落下し続け(矢印aを参照)、パネル3上を流れる水(矢印c)は、他方の雨樋4が他方の水平方向エッジ31に存在する場合に、パネル3の他方の水平方向エッジ31及び他方の雨樋4に向けて排出される。
【0060】
さらに、接続点55とピボット52との間の距離を様々に調整できることに留意されたい。換言すると、第3のケーブル56の長さ又は第1のアーム501の長さは、雨樋4をパネル3に近づけたり遠ざけたりするように、調整することができる。
【0061】
このため、図3図6に示される本発明の第1の実施形態では、第1のアーム501の長さは、図7図9に示される本発明の第2の実施形態の第1のアーム501の長さよりも短く、第3のケーブル56の長さは2つの場合で同一である。
【0062】
図3図6の実施形態では、パネル3の水平方向エッジ31と雨樋4の底部との間の距離が大きいため、雨水回収にはあまり最適ではない。しかしながら、パネル3の回転は、雨樋4の動きを妨げない。
【0063】
逆に、図7図9の実施形態では、パネル3の水平方向エッジ31と雨樋4の底部との間の距離が小さいため、雨水回収には最適である。しかしながら、この場合に、特に、図9に示されるように、雨樋4がパネル3よりも高い高さになるように太陽電池パネル3が傾けられたときに、支持体50は雨樋4に当接する可能性が高い。この最後の場合に、支持体50の旋回経路は、第2のアーム502が雨樋4の容積の内側に移動するようなものであることが実際に分かり得る。
【0064】
さらに、直接落下する、又は太陽電池パネル3上を流れる雨水の軌道は、図7図8、及び図9においてそれぞれ、図4図5、及び図6で前述したのと同じである(矢印の同一の参照符号)。
【0065】
さらに、前に開示したように、特に、太陽光発電設備1が設置される土地の不規則性によっては、太陽電池パネル3のエッジ31及び雨樋4が厳密に水平ではない可能性がある。しかしながら、雨樋4を可能な限り水平に近づけるために、第3の吊下げケーブル56の長さ又は少なくとも1つのアンカー装置5のアーム502の長さを調整することが可能である。
【0066】
さらに、有利には、雨樋で回収した雨水資源を可能な限り管理するために、本発明による太陽光発電設備1は、少なくとも1つの貯蔵タンク6も含む。
【0067】
この貯蔵タンク6は、有利には、追尾装置2の近く、例えば、太陽電池パネル3の下に配置される。さらに、各雨樋4には、その底部に、排水コネクタ45によって雨樋の外部に向けて延びる少なくとも1つの排水口44が設けられる。可撓性パイプ61は、タンク6を雨樋4に、より正確にはコネクタ45に接続する。
【0068】
次に、回収した水は、作物を灌漑するための装置で使用することができる。
【0069】
最後に、図8にのみ示される代替の実施形態によれば、雨樋4の壁を貫通する複数の小さなスプレー孔46を設けることが可能である。これにより、降水量が多い場合に水の流れを調整することが可能になる。
【0070】
図に示していないバルブは、これらのスプレー孔46の前に配置することもでき、これらの孔を開閉するためにコマンドで動かすことができる。そのようなスプレー孔46は、シャワーヘッドと同様に雨樋4に含まれる水を分配することを可能にし、水を、太陽電池パネル3の下を含む地面全体に可能な限り分配し、概して、その太陽電池パネル3の下に少量の水を分配する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】