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  • 特開-医薬製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181202
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】医薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20221130BHJP
   A61K 31/51 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221130BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K31/51
A61K9/20
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/48
A61K47/04
A61K47/02
A61P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084565
(22)【出願日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2021087723
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517129485
【氏名又は名称】アリナミン製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】西 晶子
(72)【発明者】
【氏名】山内 理嗣
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076DD21
4C076DD22
4C076DD27
4C076DD28
4C076DD29
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC83
4C086GA07
4C086GA10
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA24
4C206KA01
(57)【要約】
【課題】イブプロフェン及びビタミンB1類を含む医薬製剤を提供する。
【解決手段】イブプロフェン、及びビタミンB1類を含有する固形製剤と、乾燥剤とを容器中に含むことを特徴とする、医薬製剤。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イブプロフェン、及びビタミンB1類を含有する固形製剤と、乾燥剤とを容器中に含むことを特徴とする、医薬製剤。
【請求項2】
ビタミンB1類が、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、チアミン塩化物塩酸塩又はチアミン硝化物である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
乾燥剤が、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、天然ゼオライト、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、塩化マグネシウム、活性炭、及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
容器が瓶である、請求項1~3いずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
固形製剤がPTP包装されたものである、請求項1~3いずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
固形製剤が、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤又はカプセル剤である、請求項1~5いずれか1項に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イブプロフェン及びビタミンB1類を含む医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェンは、プロピオン酸系に分類される非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAID)の1種であり、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することにより、プロスタグランジンの生成を抑制し、解熱鎮痛作用を示す。
また、チアミン硝化物などのビタミンB1類は、糖質からのエネルギー産生および神経の機能維持に有益であり、疲労回復など生体に対する様々な作用を有することが知られている。
【0003】
特許文献1は、チアミン類の安定化を解決課題とするもので、イブプロフェン、チアミン類およびトレハロースを含有するチアミン類含有固形製剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-23001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イブプロフェンと、チアミン硝化物等のビタミンB1類を同時に配合する固形製剤を、瓶などの容器中で保存すると、チアミン硝化物由来の臭い、とりわけチアミン硝化物由来の分解臭が発生する。
本発明は、イブプロフェン及びビタミンB1類を含有する固形製剤において、製剤中のビタミンB1類由来の臭いを低減させた医薬製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、イブプロフェン及びビタミンB1類を含有する固形製剤と、乾燥剤とを容器中に含む医薬製剤とすることにより、ビタミンB1類由来の臭いを低減させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1] イブプロフェン、及びビタミンB1類を含有する固形製剤と、乾燥剤とを容器中に含むことを特徴とする、医薬製剤。
[2] ビタミンB1類が、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、チアミン塩化物塩酸塩又はチアミン硝化物である、[1]に記載の医薬製剤。
[3] 乾燥剤が、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、天然ゼオライト、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、塩化マグネシウム、活性炭、及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる1種以上である、[1]又は[2]に記載の医薬製剤。
[4] 容器が瓶である、[1]~[3]いずれか1項に記載の医薬製剤。
[5] 固形製剤がPTP包装されたものである、[1]~[3]いずれか1項に記載の医薬製剤。
[6] 固形製剤が、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤又はカプセル剤である、[1]~[5]いずれか1項に記載の医薬製剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、イブプロフェン及びビタミンB1類を含む医薬製剤であって、ビタミンB1類由来の臭いを低減した医薬製剤を提供することができる。また、複雑な工程を経ることなく、簡便かつ安価に、イブプロフェン及びビタミンB1類を含み、かつ製剤中のビタミンB1類由来の臭いが低減された医薬製剤が提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例3~6及び比較例2にかかる医薬製剤についての、においセンサーによるにおいの評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における「イブプロフェン」は、日本薬局方に準拠したイブプロフェンであり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
本発明の固形製剤中に含まれる「イブプロフェン」の含量は、特に限定されないが、例えば、固形製剤全体の1~60質量%、好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~40質量%である。
【0010】
本発明における「ビタミンB1類」は、ビタミンB1及びその誘導体、それらの薬学的に許容される塩、並びにビタミンB1及びその誘導体及びそれらの薬学的に許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物を含む。
ビタミンB1類としては、例えば、チアミン硝化物、チアミン塩化物塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、ジセチアミン塩酸塩水和物、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミンなどが挙げられ、好ましくは、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、チアミン塩化物塩酸塩又はチアミン硝化物であり、より好ましくは、チアミン硝化物である。ビタミンB1類は、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。例えば、日本薬局方に準拠したフルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、チアミン塩化物塩酸塩又はチアミン硝化物を用いることができる。
本発明の固形製剤中に含まれる「ビタミンB1類」の含量は、特に限定されないが、例えば、固形製剤全体の0.05~20質量%、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.2~10質量%である。
【0011】
本発明の固形製剤に含まれるビタミンB1類とイブプロフェンの質量比は、特に限定されないが、例えば、ビタミンB1類の1質量部に対して、イブプロフェンが、例えば、その下限として1質量部以上、好ましくは3質量部以上であり、その上限として200質量部以下、好ましくは80質量部以下である。
【0012】
本発明における固形製剤には、本発明の効果を阻害しない限り、ビタミンB1類及びイブプロフェン以外の有効成分、例えば、イブプロフェン以外の解熱鎮痛剤、鼻炎用薬、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、去痰剤、気管支拡張剤、胃粘膜保護剤、カフェイン類、ビタミンB1類以外のビタミン類、催眠鎮静剤、喀痰溶解剤、抗炎症剤、抗コリン剤、生薬類、漢方処方などを配合してもよい。
【0013】
イブプロフェン以外の解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン(アセチルサリチル酸)、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、エテンザミド、サザピリン、ラクチルフェネチジン、ケトプロフェン、イソプロピルアンチピリン、ロキソプロフェンナトリウムなどが例示できる。
鼻炎用薬として、プソイドエフェドリン塩酸塩、dl-マレイン酸クロルフェニラミン、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、グリチルリチン酸ジカリウムなどが例示できる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、タンニン酸ジフェンヒドラミン、酒石酸アリメマジン、塩酸イソチペンジル、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、塩酸ジフェテロール、リン酸ジフェテロール、トリプロリジン塩酸塩水和物、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、ナパジシル酸メブヒドロリン、マレイン酸カルビノキサミン、塩酸イプロヘプチン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸フェネタジン、クレマスチンフマル酸塩、メキタジンなどが例示できる。
麻薬性鎮咳剤としては、例えば、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩などが例示できる。
非麻薬性鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド、イソアミニル、エプラジノン、オキセラジン、クロフェダノール、クロブチノール、クロペラスチン、ジブナート、ジメモルファン、チペピジン、デキストロメトルファン、ノスカピン、ヒドロコタルニン、ペントキシベリン、ベンプロペリン及びホミノベン、並びにそれらの塩及び水和物が挙げられ、それらの塩及び水和物としては、例えば、塩酸アロクラミド、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、チペピジンクエン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩、ペントキシベリンクエン酸塩及びそれらの水和物が例示できる。
去痰剤としては、例えば、グアヤコールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、グアイフェネシン、クエン酸チペピジン、L-カルボシステイン、塩化アンモニウム、l-メントール、アンモニア・ウイキョウ精、クレゾールスルホン酸カリウム、アンブロキソール塩酸塩などが例示できる。
気管支拡張剤としては、例えば、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリンサッカリン塩、塩酸トリメトキノール、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸メトキシフェナミン、l-塩酸メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン塩酸塩、アミノフィリン、ジプロフィリン、テオフィリン、プロキシフィリンなどが例示できる。
胃粘膜保護剤としては、例えば、グリシン、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウムなどが例示できる。
カフェイン類としては、例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン水和物、無水カフェインなどが例示できる。
ビタミンB1類以外のビタミン類としては、例えば、ビタミンB類又はその誘導体若しくはそれらの塩、例えばリボフラビン、ビタミンC類又はその誘導体若しくはそれらの塩、例えばアスコルビン酸、ビタミンP(ヘスペリジン)又はその誘導体若しくはそれらの塩などが例示できる。
催眠鎮静剤として、例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素などが例示できる。
喀痰溶解剤としては、例えば、塩化リゾチーム、L-エチルシステイン塩酸塩、塩酸メチルシステインなどが例示できる。
抗炎症剤としては、例えば、塩化リゾチーム、セラプターゼ、グリチルリチン酸及びその塩、トラネキサム酸及びその塩などが例示できる。
抗コリン剤としては、例えば、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなどが例示できる。
生薬類としては、例えば、マオウ、ナンテンジツ、オウヒ、オンジ、カンゾウ、キキョウ、シャゼンシ、シャゼンソウ、セキサン、セネガ、バイモ、ウイキョウ、オウバク、オウレン、ガジュツ、カミツレ、ケイヒ、ゲンチアナ、ゴオウ、獣胆(ユウタン含む)、シャジン、ショウキョウ、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ビャクジュツ、ジリュウ、チクセツニンジン、ニンジンなどが例示できる。
漢方処方としては、例えば、葛根湯、葛根湯加桔梗、桂皮湯、香蘇散、柴胡桂皮湯、小柴胡湯、小青竜湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯、麻黄湯などが例示できる。
【0014】
本発明における固形製剤は、上記有効成分の他、本発明の効果を阻害しない限り、製剤技術分野において慣用の薬学的に許容される担体又は添加剤をさらに含有していてもよい。
担体又は添加剤としては、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、矯味剤、香料などが挙げられる。これら担体又は添加剤は、製剤技術分野において慣用の量が用いられる。
【0015】
賦形剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギコデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプンなどのデンプン類;乳糖水和物、精製白糖、果糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、マルチトール、粉末還元麦芽糖水アメ、ラクチトールなどの糖又は糖アルコール類;無水リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、ヒドロキシプロピルスターチなどが用いられ、好ましくは、クロスカルメロースナトリウム、L-HPCである。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリビニルピロリドン、コポリビドン、アラビアゴム末、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、デキストリン、部分アルファー化デンプン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール部分けん化物などが用いられ、好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルクなどが用いられ、好ましくは、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムである。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用レーキ色素、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、酸化チタンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、炭酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、アミノ酸及びそれらの塩などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、トコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類などが挙げられる。
矯味剤としては、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、スクラロース、ステビアエキスなどが挙げられる。
香料としては、例えば、L-メントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。
【0016】
本発明における固形製剤は、例えば、錠剤(素錠、コーティング錠、フィルムコーティング錠、糖衣錠、薄層糖衣錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠などを含む)、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤又はカプセル剤であり、好ましくは錠剤である。例えば、本発明における固形製剤が錠剤の場合、固形製剤は、多層錠又は有核錠であってもよく、例えば二層錠である。
【0017】
本発明において、多層錠は、異なる組成を有する2層又は3層以上から形成される錠剤であり、二層錠は、異なる組成を有する2層から形成される錠剤であり、有核錠はいずれかの層を核とし、もう一方の層で少なくとも核の一部を包含して形成される錠剤である。
【0018】
本発明の固形製剤において、イブプロフェン及びビタミンB1類は、必要に応じて他の有効成分及び添加剤を含む造粒物であってもよい。例えば、イブプロフェンとビタミンB1類は、同一造粒物中に含まれてもよく、あるいは別々造粒物であってもよい。
【0019】
本発明の固形製剤は、常法、例えば、造粒ハンドブック(日本粉体工業技術協会編、オーム社)、経口投与製剤の処方設計(京都大学大学院薬学研究科教授橋田充編、薬業時報社)、粉体の圧縮成形技術(粉体工学・製剤と粒子設計部会編、日刊工業新聞社)、製剤機械技術ハンドブック(第2版、製剤機械技術研究会設立20周年記念出版編集委員会編、製剤機械技術研究会)のような刊行物に記載されている方法を用いて製造することができる。
【0020】
例えば、本発明の固形製剤を錠剤に製剤化する場合、上記有効成分と慣用の薬学的に許容される担体又は添加剤を混合し、必要に応じて造粒した後、製剤一般に用いられる各種打錠機(例えば、ロータリー式打錠機など)を使用して打錠し、錠剤とすることができる。また、本発明の固形製剤をカプセル剤に製剤化する場合、上記有効成分と慣用の薬学的に許容される担体又は添加剤を混合し、必要に応じて造粒した後、カプセルに充填しカプセル剤とすることができる。造粒方法は特に限定されず、公知の方法(押し出し造粒、転動造粒、撹拌造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒、破砕造粒、溶融造粒等)を用いればよい。
【0021】
本発明における固形製剤は、通常配合されるコーティング基剤を用いて常法によりコーティングされてもよい。例えば、錠剤を、コーティング基剤を用いてコーティングし、フィルムコーティング錠としてもよい。
コーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポビドン、コポリビドン、ポリビニルアルコール部分けん化物、ポリビニルアルコール共重合体、マクロゴールなどの水溶性基剤、エチルセルロースなどの水不溶性基剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、カルボキシビニルポリマーなどの腸溶性基剤、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテートなどの胃溶性基剤、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウ、セラック、マクロゴール類、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
また、本発明において、コーティング基剤は、1種であっても2種以上であってもよい。
さらに、コーティングにコーティング添加剤を用いてもよい。コーティング添加剤としては、例えば、遮光剤、流動化剤、着色剤、可塑剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、コポリビドン、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベートなどが挙げられる。
【0022】
本発明における乾燥剤は、イブプロフェン及びビタミンB1類とともに保存した際に、ビタミンB1類由来の臭いを低減できるものであれば、特に限定されない。また、その形状も限定されず、例えば、板状や袋状のシート型、円柱状(錠剤型)に成形されたもの等が挙げられ、円柱状のものにペーパーラッピングやフィルムコーティングを施したものでもよい。
【0023】
乾燥剤としては、例えば、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、天然ゼオライト、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、塩化マグネシウム、活性炭、酸化マグネシウム等が挙げられ、乾燥剤は、1種であっても2種以上であってもよい。好ましくは、乾燥剤は、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウム及び活性炭から選択される1種以上であり、より好ましくは、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)である。乾燥剤の吸湿率は、例えば、相対湿度90%で20.0%以上、好ましくは30.0%以上である。
【0024】
乾燥剤は種々市販されており、例えば、株式会社東海化学工業所製のシブレット、MS-タブレット、MS-セラムW、トーカイゲル、デシカイト25、アルプシート、山仁薬品株式会社製のドライヤーン(登録商標)分包品、ドライヤーン(登録商標)タブレット、ドライヤーン(登録商標)シート、品川化成株式会社製のセカード、アロシート、ゼオシート、株式会社OZO化学技研製のOZO、株式会社アイディ製のアイディシート、アイディパッキング乾燥剤等が挙げられる。
【0025】
本発明の医薬製剤に含まれる乾燥剤の量は、特に限定されないが、例えば、ビタミンB1類の1質量部に対して、0.05~100質量部、好ましくは0.15~50質量部である。
また、イブプロフェン及びビタミンB1類を含有する固形製剤1質量部に対しては、例えば、0.001~5質量部、好ましくは0.001~3質量部、より好ましくは0.002~2質量部である。
【0026】
本発明における容器としては、固形製剤を密閉、気密又は密封可能なものであれば特に限定されず、好ましくは密閉容器である。例えば、当該技術分野で公知の形状を有し、当該技術分野で公知の材料から形成された容器を用いることができる。容器としては、例えば、瓶、缶、箱、ボトル、ピロー包装、スティック包装、PTP(プレススルーパック)包装及びSP(ストリップ)包装、CF(コールドフォーム)包装等が挙げられ、好ましくは瓶、ピロー包装、スティック包装、PTP包装、SP包装である。本発明の固形製剤は、1種の容器で包装されていてもよく、あるいは2種以上の容器を組み合わせて包装されていてもよい。
【0027】
容器の材料は、特に限定されないが、例えば、ガラス、金属、紙又はプラスチック等であり、これらを1種または2種以上を適宜組み合わせて複合構造又は多層構造として用い得る。また、紙などの透湿性を有する部材については透湿防止処理が施されていることが好ましい。当該容器は、透明、半透明及び不透明のいずれでもよい。
【0028】
イブプロフェン及びビタミンB1類を含有する固形製剤、及び乾燥剤を容器に収容する方法は、特に限定されず、容器内への固形製剤及び乾燥剤の投入等の適当な手段により、固形製剤を容器内に配置することで達成できる。
【0029】
本発明の一態様における容器は瓶である。容器が瓶の場合、瓶内に固形製剤及び乾燥剤(好ましくは円柱状(錠剤型))を投入し、必要に応じて栓をし、次いで適当な蓋で密閉してもよく、あるいは瓶内に固形製剤を投入し、蓋の裏側(内キャップ)に乾燥剤を格納した蓋で密閉してもよい。
【0030】
容器にピロー包装を用いる場合、ピロー包装内に固形製剤及び乾燥剤(好ましくは板状や袋状のシート型)を封入し、密閉し得る。
【0031】
本発明の別の態様において、固形製剤はスティック包装、PTP包装又はSP包装されている。固形製剤が、スティック包装、PTP包装又はSP包装されている場合、当該一次包装された固形製剤と乾燥剤をピロー包装等の容器に封入して、密閉してもよい。さらに、ピロー包装等の容器で二次包装したものを箱に投入して、三次包装してもよい。
【実施例0032】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0033】
(実施例1)
下記表1の区分Aに示した処方に従って各成分を混合して造粒し、第1群造粒物、第2群造粒物及び第3群造粒物をそれぞれ得た。得られた第1群造粒物、第2群造粒物及び第3群造粒物を、区分Bに示した処方に従って各成分と混合した。得られた混合物を打錠機に投入し、素錠を得た。得られた素錠を区分Cに示した処方に従ってコーティングし、コーティング錠を得た。得られたコーティング錠30錠と、乾燥剤としてシリカアルミナゲル(株式会社東海化学工業所製シブレット)0.8gをガラス瓶に入れて閉栓し、医薬製剤を得た。
(実施例2)
下記表1の区分Aに示した処方に従って各成分を混合して造粒し、1層目造粒物及び2層目造粒物をそれぞれ得た。得られた1層目造粒物及び2層目造粒物をそれぞれ、区分Bに示した処方に従って各成分と混合し、1層目混合物及び2層目混合物を得た。得られた1層目混合物及び2層目混合物を打錠機に投入し、積層に打錠して、素錠を得た。得られた素錠を区分Cに示した処方に従ってコーティングし、コーティング錠を得た。得られたコーティング錠30錠と、乾燥剤としてシリカアルミナゲル(株式会社東海化学工業所製シブレット)0.8gをガラス瓶に入れて閉栓し、医薬製剤を得た。
(比較例1)
下記表1の区分Aに示した処方に従って各成分を混合して造粒し、第1群造粒物、第2群造粒物及び第3群造粒物をそれぞれ得た。得られた第1群造粒物、第2群造粒物及び第3群造粒物を、区分Bに示した処方に従って各成分と混合した。得られた混合物を打錠機に投入し、素錠を得た。得られた素錠を区分Cに示した処方に従ってコーティングし、コーティング錠を得た。得られたコーティング錠30錠をガラス瓶に入れて閉栓し、医薬製剤を得た。
【表1】
【0034】
(試験例1)
上記で得られた医薬製剤を40℃にて3か月保存した。保存後の製剤について、6名の試験者により官能試験を実施し、においについて評価した。評価は、10段階で行い、開始時のにおいを5として、開始時よりにおいが強い場合は5より大きい値、弱い場合は5より小さい値とした。結果を表2に示す。
【表2】
【0035】
表2に示すとおり、乾燥剤なし(比較例1)ではにおいが増強したが、乾燥剤あり(実施例1および2)では開始時の状態を保ち、においの変化が抑制された。
【0036】
(実施例3~6)
下記表3の区分Aに示した処方に従って各成分を混合して造粒し、第1群造粒物、第2群造粒物及び第3群造粒物をそれぞれ得た。得られた第1群造粒物、第2群造粒物及び第3群造粒物を、区分Bに示した処方に従って各成分と混合した。得られた混合物を打錠機に投入し、素錠を得た。得られた素錠を区分Cに示した処方に従ってコーティングし、コーティング錠を得た。得られたコーティング錠9錠と、乾燥剤としてシリカアルミナゲル(株式会社東海化学工業所製シブレット)0.8g(実施例3)、A型シリカゲル(株式会社東海化学工業所製シリカゲルAPP1G)1.0g(実施例4)、B型シリカゲル(株式会社東海化学工業所製シリカゲルBPP1G)1.0g(実施例5)又はゼオライト(株式会社東海化学工業所製乾燥ゼオライト袋4A1G)1.0g(実施例6)のいずれかをガラス瓶に入れて閉栓し、医薬製剤を得た(実施例3~6)。一方、比較例2として得られたコーティング錠9錠をガラス瓶に入れて閉栓し、医薬製剤を得た(比較例2)。
【表3】
【0037】
(試験例2)
上記実施例3~6、比較例2の医薬製剤を50℃にて8週間保存した。保存後の製剤について、においセンサー(αM.O.S社製αPrometheus)により、においを評価した。結果を図1に示す。
【0038】
図1に示すとおり、乾燥剤を入れることで50℃にて8週間保存後の製剤のにおいは、乾燥剤なしの製剤と比べて開始時との距離が近く、においの変化が抑制された。
【産業上の利用可能性】
【0039】
イブプロフェン及びビタミンB1類を含有する固形製剤において、当該固形製剤を乾燥剤と容器中に含む医薬製剤とすることにより、保存中のビタミンB1類由来の臭いを低減することができ、においの変化が抑制された医薬製剤を提供することができる。
図1