(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181203
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】シミュレーションした人類摂取動作に基づく咬合荷重生成のシステム、および、方法
(51)【国際特許分類】
A61C 7/00 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A61C7/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022084693
(22)【出願日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】63/192,686
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516089577
【氏名又は名称】洪 澄祥
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】洪 澄祥
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA20
4C052JJ10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シミュレーションした人類摂取動作に基づく咬合荷重生成のシステム、および、方法を提供する。
【解決手段】咬合荷重を生成するシステムが提供され、システムは、荷重器具230、および、コントローラーを有する。荷重器具は、3個の荷重伝送素子232、および、3個のアクチュエーター231を有する。荷重伝送素子は、それぞれ、患者の上下前歯間、および、患者の口の左右両側上の上下奥歯間で定位するのに適する。荷重伝送素子は、互いに隔てられる。アクチュエーターは、それぞれ、荷重伝送素子に結合される。コントローラーが設置されて、3個のアクチュエーターを制御して、単独、且つ、順々に、3個の荷重伝送素子を作動させ、3個の荷重伝送素子の連続動作間に、休息期間を有し、3個のアクチュエーターから、患者の前歯、左奥歯、および、右奥歯の歯周組織に、振動エネルギーを伝送する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
咬合荷重を生成するシステムであって、荷重器具、および、コントローラーを有し、
前記荷重器具は、第一、第二、および、第三荷重伝送素子、および、3個のアクチュエーターを有し、前記第一荷重伝送素子は、患者の口の上下前歯間に定位させるのに適し、前記第二荷重伝送素子、および、前記第三荷重伝送素子は、 前記患者の口の左右両側上の上下奥歯間にそれぞれ定位するのに適し、前記第一、前記第二、および、第三荷重伝送素子は、互いに隔てられ、前記3個のアクチュエーターは、それぞれ、前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子に結合され、
前記コントローラーは、前記3個のアクチュエーターを制御して、前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子を、単独、且つ、順々に、作動させて、前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子の連続動作間に、休息期間を有し、前記3個のアクチュエーターから、振動エネルギーを、前記前歯、前記左奥歯、および、前記右奥歯の前記患者の歯周組織に伝送することを特徴とする咬合荷重を生成するシステム。
【請求項2】
さらに、
前記患者の摂取動作の順序、および、持続時間を検出し、前記患者の摂取動作は、前記上下前歯による食物の切断、口の前記左右両側の前記上下奥歯による食物の咀嚼、および、食物の嚥下を有し、且つ、検出データを前記コントローラーに送信して、前記コントローラーが、前記患者の実際の摂取動作がない状況下で、前記検出器具の前記検出データにしたがって、前記3個のアクチュエーターを制御する検出器具を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出器具はさらに、食物を切断時の前記上下前歯、および、食物を咀嚼時の口の前記左右両側上の前記上下奥歯の咬合力、および、頻度を検出することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記荷重器具はさらに、
前記患者の上下歯列弓間の空間中に装着するのに適し、且つ、前記上下歯列弓の前記形状と一致するU字型構造を有し、厚さが、近心端から遠心端に徐々に減少し、前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子が挿入されるとともに、互いに隔てられるマウスピースを有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子はそれぞれ、前記マウスピース中に延伸する第一部分、および、前記マウスピース外側に残る第二部分を有し、前記3個のアクチュエーターは、それぞれ、前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子の前記第二部分と接触し、且つ、前記3個のアクチュエーターはそれぞれ、振動モーターであることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記3個のアクチュエーター、および、前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子の前記第二部分は、前記コントローラーを埋め込んだケーシング中で受け入れられ、且つ、前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子の前記第二部分のそれぞれの一端は、防振マウントを設置することを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記荷重器具はさらに、
上サポート部、および、下サポート部を有し、前記上下前歯間の空間中に装着するのに適し、前記第一荷重伝送素子が設置されて、前記上下サポート部間に挿入される第一歯部分と、
上サポート部、および、下サポート部を有し、前記患者の口の前記左側の前記上下奥歯間の空間中に装着するのに適し、前記第二荷重伝送素子が設置されて、前記上下サポート部間に挿入される前記第二歯部分、および、
上サポート部、および、下サポート部を有し、前記患者の口の前記右側の前記上下奥歯間の空間中に装着するのに適し、前記第三荷重伝送素子が設置されて、前記上下サポート部間に挿入される第三歯部分、を有し、
前記第一、第二、および、第三歯部分は互いに隔てられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子はそれぞれ、軸であり、且つ、前記第一、第二、あるいは、第三歯部分と接触する圧力荷重部を有し、前記3個のアクチュエーターは、それぞれ、前記の3個の軸に結合されることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記の各アクチュエーターは、回転モーターであり、前記圧力荷重部は、楕円断面を有することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記の各アクチュエーターは、回転モーターであり、前記圧力荷重部は、円形断面を有し、突起を有することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記の各アクチュエーターは、振動モーターであることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記第一、第二、および、第三荷重伝送素子はそれぞれ、前記第一、第二、あるいは、第三歯部分と接触する圧力荷重部を有し、且つ、前記3個のアクチュエーターはそれぞれ、前記の各自圧力荷重部近くに位置することを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
咬合荷重を生成する方法であって、
検出器具により、患者の摂取動作の順序、および、持続時間を検出し、前記患者の摂取動作は、前記患者の口の上下前歯による食物の切断、口の左右両側の上下奥歯による食物の咀嚼、および、食物の嚥下を有し、
前記検出器具がさらに、食物を切断時の前記上下前歯、および、食物の咀嚼時の口の前記左右両側の前記上下奥歯の咬合力、および、頻度を検出する工程と、
前記検出器具から、検出データをコントローラーに送信する工程と、
荷重器具の3個の荷重伝送素子を、それぞれ、前記患者の口の前記上下前歯間、および、前記患者の口の前記左右両側の前記上下奥歯間に定位させ、前記3個の荷重伝送素子が、互いに隔てられる工程、および、
前記コントローラーにより、3個のアクチュエーターを制御して、前記3個の伝送素子を、単独、且つ、順々に作動させ、前記3個の荷重伝送素子の連続動作間に、休息期間を有して、前記3個のアクチュエーターから、振動エネルギーを、前記前歯、前記左奥歯、および、前記右奥歯の前記患者の歯周組織に伝送し、前記コントローラーが設置されて、前記患者の実際の摂取動作がない状況下で、前記検出データにしたがって、前記3個のアクチュエーターを制御する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記荷重器具はさらに、
前記患者の上下歯列間の空間中に装着するのに適し、且つ、前記上下歯列弓の前記形状と一致するU字型構造を有し、前記3個の荷重伝送素子が挿入されるとともに、互いに隔てられるマウスピースを有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記荷重器具はさらに、それぞれ、前記上下前歯間の空間中、前記患者の口の前記左側の前記上下奥歯間の空間中、および、前記患者の口の前記右側の前記上下奥歯間の空間中に装着するのに適した3個の歯部分を有し、前記3個の歯部分は互いに隔てられ、前記3個の荷重伝送素子は、それぞれ、前記の3個の歯部分と接触することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月25日に出願された米国仮出願番号63/192686号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、歯、および、歯周組織上で、咬合荷重(occlusal loading)を生成するシステム、および、方法に関するものであって、特に、シミュレーションした人類摂取動作(simulated human ingestion actions)に基づいて、歯、および、歯周組織に対し、咬合荷重を生成するシステム、および、方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の技術に用いられる装置は、振動エネルギーを、口腔外ソース(extraoral source)から、患者の口中の歯に伝送する。たとえば、加振源を有するU字型咬合板が患者の口中に入れて、その後、患者は、咬合板を噛み締めるとともに、装置をハンズフリーで、毎日、20分使用する。
【0004】
このような従来の振動装置は、変化する可能性がある頻度と振幅範囲内で操作し、歯列矯正の歯の移動を高めて、矯正器(aligner)の貼合性を増加させるとともに、歯の周辺の骨再形成(bone remodeling)を増強することが主張されている。このような概念は、動的荷重(dynamic loading)、あるいは、循環力(cyclic force)が、静的力よりも、さらに大きい骨再形成を生成するとともに、歯の移動は、周辺の歯槽骨を再構築することにより完成することである。骨再形成において、骨形成の工程は、骨再形成における制限要素であり、循環力は、骨形成を加速することができる。
【0005】
別の例において、棒状の振動装置は、上下歯間に挟まれることにより、適所で保たれる。振動棒は、異なる位置に移動して、指定の歯と接触することができる。装置は、プログラミングされて、ユーザーに、振動棒を特定の歯に移動させるように指示して、集中したエネルギーをそれらの歯に伝送する。
【0006】
患者が振動装置を噛み締めることが必要とされる咬合板の問題は、噛む力が安定しないこと、および、筋肉疲労を生じることである。振動棒は、重力だけを用いて、装置を固定することを主張している。振動棒の位置、および、歯当たりの位置を変化させることにより、両側顎に伝送される力を調整する。伝送される実際の力はさらに、患者が棒を噛み締める力に基づく。このほか、現有の振動装置の振動パターン(vibration pattern)は、人類が実際に咀嚼する方法と異なり、容易に、患者に不快感を与えるとともに、歯の移動を遅くする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来の問題を考慮して、本発明は、患者の咀嚼、および、嚥下の習慣的な順序、および、持続時間にしたがって、振動力を生成して、歯、および、歯周組織に対する咬合荷重効果(occlusal loading effect)をシミュレートするシステム、および、方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、咬合荷重を生成するシステムを提供する。システムは、荷重器具(loading appliance)、および、コントローラーを有する。荷重器具は、第一荷重伝送素子、第二荷重伝送素子、第三荷重伝送素子、および、3個のアクチュエーターを有する。第一荷重伝送素子は、患者の口の上下前歯間で定位するのに適する。第二、および、第三荷重伝送素子は、それぞれ、患者の口の左右両側の上下奥歯間で定位するのに適する。第一、第二、および、第三荷重伝送素子は、互いに隔てられる。3個のアクチュエーターは、それぞれ、第一、第二、および、第三荷重伝送素子に結合される。コントローラーが設置されて、3個のアクチュエーターを制御して、第一、第二、および、第三荷重伝送素子を、単独、且つ、順々に作動させ、第一、第二、および、第三荷重伝送素子の連続動作間に、休息期間を有し、3個のアクチュエーターから、患者の前歯、左奥歯、および、右奥歯の歯周組織に、振動エネルギーを伝送する。
【0009】
いくつかの実施形態において、システムはさらに、検出器具を有する。検出器具が設置されて、患者の摂取動作(ingestion action)の順序、および、持続時間を検出し、摂取動作は、上下前歯による食物の切断、口の左右両側の上下奥歯による食物の咀嚼、および、食物の嚥下を有し、且つ、検出データをコントローラーに伝送するので、コントローラーは、検出器具の検出データにしたがって、患者の実際の摂取動作がない状況下で、3個のアクチュエーターを制御する。
【0010】
いくつかの実施形態において、検出器具は、さらに、食物を切断時の上下前歯、および、食物咀嚼時の口の左右両側の上下奥歯の咬合力、および、頻度を検出する。
【0011】
いくつかの実施形態において、荷重器具はさらに、マウスピースを有し、患者の上下歯列弓間の空間に装着するのに適し、且つ、上下歯列弓の形状と一致するU字型構造を有する。マウスピースの厚さは、マウスピースの近心端(mesial end)から遠心端(distal end)に徐々に減少する。第一、第二、および、第三荷重伝送素子は、マウスピース中に挿入されるとともに、互いに隔てられる。
【0012】
いくつかの実施形態において、第一、第二、および、第三荷重伝送素子はそれぞれ、マウスピース中に延伸する第一部分、および、マウスピース外部に残る第二部分を有し、3個のアクチュエーターは、それぞれ、第一、第二、および、第三荷重伝送素子の第二部分と接触し、且つ、3個のアクチュエーターはそれぞれ、振動モーターである。
【0013】
いくつかの実施形態において、3個のアクチュエーター、および、第一、第二、および、第三荷重伝送素子の第二部分は、コントローラーを埋め込んだケーシング中に受け入れられ、且つ、第一、第二、および、第三荷重伝送素子の第二部分のそれぞれの一端は、防振マウント(vibration absorbing mount)を設置する。
【0014】
いくつかの実施形態において、荷重器具はさらに、第一歯部分(teeth segment)、第二歯部分、および、第三歯部分を有する。第一歯部分は、上サポート部、および、下サポート部を有し、上下前歯間の空間に装着するのに適し、第一荷重伝送素子が設置されて、第一歯部分の上下サポート部間に挿入される。第二歯部分は、上サポート部、および、下サポート部を有し、患者の口の左側の上下奥歯間の空間に装着するのに適し、第二荷重伝送素子が設置されて、第二歯部分の上下サポート部間に挿入される。第三歯部分は、上サポート部、および、下サポート部を有し、患者の口の右側の上下奥歯間の空間に装着するのに適し、第三荷重伝送素子が設置されて、第三歯部分の上下サポート部間に挿入される。第一、第二、および、第三歯部分は、互いに隔てられる。
【0015】
いくつかの実施形態において、各第一、第二、および、第三荷重伝送素子は軸であり、且つ、第一、第二、あるいは、第三歯部分と接触する圧力荷重部(pressure loading part)を有し、3個のアクチュエーターは、それぞれ、三個の軸に結合される。
【0016】
いくつかの実施形態において、各アクチュエーターは、回転モーターであり、且つ、圧力荷重部は、楕円断面を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、各アクチュエーターは、回転モーターであり、圧力荷重部は、円形断面を有し、突起を有する。
【0018】
いくつかの実施形態において、各アクチュエーターは、振動モーターである。
【0019】
いくつかの実施形態において、各第一、第二、および、第三荷重伝送素子は、第一、第二、あるいは、第三歯部分と接触する圧力荷重部を有し、且つ、3個のアクチュエーターは、それぞれ、各自圧力荷重部の近くに位置する。
【0020】
本発明の別の実施形態は、咬合荷重を生成する方法を提供する。本方法は、荷重器具の3個の荷重伝送素子を、それぞれ、患者の口の上下前歯間、および、患者の口の左右両側の上下奥歯間に定位させ、3個の荷重伝送素子が、互いに隔てられる工程、および、コントローラーにより、3個のアクチュエーターを制御して、3個の伝送素子を、単独、且つ、順々に作動させ、3個の荷重伝送素子の連続動作間に、休息期間を有し、3個のアクチュエーターから、患者の前歯、左奥歯、および、右奥歯の歯周組織に、振動エネルギーを伝送する工程、を有する。
【0021】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、検出器具により、患者の摂取動作の順序、および、持続時間を検出し、摂取動作が、上下前歯による食物の切断、口の左右両側の上下奥歯による食物の咀嚼、および、食物の嚥下を有する工程と、検出データを、検出器具からコントローラーに伝送し、コントローラーが設置されて、患者の実際の摂取動作がない状況下で、検出データにしたがって、3個のアクチュエーターを制御する工程、を有する。
【0022】
いくつかの実施形態において、検出器具はさらに、食物を切断時の上下前歯、および、咀嚼時の口の左右両側の上下奥歯の咬合力、および、頻度を検出し、且つ、検出データはさらに、各摂取動作の咬合力と咬合頻度を有する。
【0023】
いくつかの実施形態において、荷重器具はさらに、マウスピースを有し、患者の上下歯列弓間の空間に装着するのに適し、且つ、上下歯列弓の形状と一致するU字型構造を有する。3個の荷重伝送素子は、マウスピース中に挿入されるとともに、互いに隔てられる。
【0024】
いくつかの実施形態において、荷重器具はさらに、それぞれ、上下前歯間の空間中、患者の口の左側の上下奥歯間の空間中、および、患者の口の右側の上下奥歯間の空間中に装着するのに適する三個の歯部分を有し、三個の歯部分は、互いに分離され、3個の荷重伝送素子は、それぞれ、3個の歯部分と接触する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付図面を参照し、以下の詳細な記述を読めば、本発明がよく理解できる。本産業の標準的技法にしたがい、強調できることは、各種特徴は、尺寸通りに描かれておらず、且つ、説明目的のためだけに用いられることである。実際、各種特徴の尺寸は、討論をはっきりとさせるため、任意で拡大、あるいは、縮小することができる。
【0026】
【0027】
【
図2】いくつかの実施形態による咬合荷重を生成するシステムを説明するブロック図である。
【0028】
【
図3】いくつかの実施形態による荷重器具の平面図と断面図である。
【0029】
【
図4】患者が
図3の荷重器具を着用する状態を示す図である。
【0030】
【
図5】いくつかの実施形態による奥歯部分の荷重伝送素子を示す図である。
【0031】
【
図6】いくつかの実施形態による奥歯部分の荷重伝送素子を示す図である。
【0032】
【
図7】いくつかの実施形態による圧力荷重部の異なる配置の断面、および、それらがどのように機能するかを示す図である。
【0033】
【
図8】いくつかの実施形態による咬合荷重を生成する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
咬合荷重を生成するシステム、および、方法の実施形態が以下で詳細に討論される。しかし、理解できることは、実施形態は、多くの適当な発明概念を提供し、幅広く、様々な具体的状況の中で具体化される。討論される特定の実施形態は、単に、特定の方法で、実施形態を使用することを説明することを目的とするとともに、本発明の範囲を制限するものではない。
【0035】
別に定義されない限り、ここで用いられる全用語 (技術、および、科学用語を含む)は、当業者により普通に理解されるものと同じ意義を有する。さらに理解できることは、たとえば、辞書により通常定義される用語は、相関技術の上下文中で、同じ意味を有すると解釈されるべきであり、特に定義されない限り、理想化、または、過度に正式な意味として解釈されない。
【0036】
さらに、記述を容易にするために、空間的相対用語、たとえば、 “下” “下方” “下部” “上” “上方” “上部” 等が用いられて、図面中で説明される一素子、あるいは、特徴ともう一つの素子、あるいは、特徴間の関係を記述する。空間的相対用語は、図面中で示される方位に加えて、使用中、あるいは、操作中の装置の異なる方位を包含することを目的とする。装置は正しい方向に置かれ(90度、あるいは、その他の方位で回転)、且つ、ここで用いられる空間的相対記述子は同様に解釈される。
【0037】
以下の実施形態は、シミュレーションした人類の摂取動作のために、歯、および、歯周組織の咬合荷重効果を生成するシステムに関し、摂取動作の順序とタイミングの検出から得られたパラメータにしたがって、このような荷重の伝送を制御する。咬合荷重効果は、振動による咬合荷重効果を有する。このようなシステムの長所は後に説明する。実施形態のいくつかの変化が記述される。各種図面、および、実施形態において、共通する素子は同じ参照番号を用いる。
【0038】
いくつかの実施形態によると、このようなシステムは、検出器具(detection appliance )、および、荷重器具(loading appliance)を有する。まず、検出器具は、摂取動作の順序、および、持続時間を検出し、摂取動作は、前歯による食物の切断、歯列弓の左右両側の奥歯による食物の咀嚼、および、食物の嚥下を有する。休息の時間は嚥下の時間を提供する。その後、実際の摂取がない状況下で、荷重器具は、これらの摂取動のために、歯周組織、および、歯槽骨上の咬合荷重効果をシミュレートする。
【0039】
荷重器具の操作は、検出器具により検出される摂取動作の計算順序、および、持続時間から得られるパラメータにより制御される。この方法で操作する時、荷重器具は、患者の咀嚼、および、嚥下の習慣的な順序、および、持続時間にしたがって、咬合荷重効果をシミュレートする振動力を、前歯、左奥歯、および、右奥歯の歯周組織に、個別に送信する。
【0040】
一般的に、
図1に示されるように、人類の摂取は、食物の切断、口の左右両側の食物の咀嚼、および、嚥下の動作を有する。正常な順序は、上下前歯による食物の切断から開始され、その後、食物の切断片は、舌により、口の一側に移動して、上下大臼歯、および、小臼歯により咀嚼される。同時に、歯周組織上の咬合荷重は、神経を刺激して、唾液腺に唾液を分泌させる。咀嚼中に、唾液と咀嚼した食物が混合されて、柔らかく、且つ、滑らかな食塊を形成する。舌は、口の一側で食物をキープして、一定時間咀嚼し、その後、食物を、もう一側に移動させて、咀嚼する働きをする。最後に、嚥下動作は、食塊を食道に送る。
【0041】
ある人は、習慣的に、嚥下の前、口の一側だけで、食物を咀嚼する。摂取過程で、左側咀嚼、右側咀嚼、および、嚥下工程の順序は、患者によって異なる。これは、時間とともに発展した習慣のせいである。人類の咀嚼頻度は、1Hz~2Hzであり、毎回の咀嚼時間は、13~35秒である。人類の第一大臼歯の一般的な咀嚼力は、30Nから150Nであり、且つ、最大咬合荷重は、300N~800Nである。
【0042】
よって、自然の咬合荷重効果をシミュレートするシステムは、まず、患者の摂取習慣を検出するとともに、その後、得られた検出データを用いて、シミュレートされた咬合荷重効果の歯周組織への伝送を制御することができる。人類の咀嚼習慣を再現するこのようなシステム (咬合荷重効果は加振源により生成されるので、振動力生成システムとも称される)は、各種歯科用途(以下でさらに詳細に記述する)に適用されることがすでに知られている。
【0043】
図2は、いくつかの実施形態による咬合荷重を生成するシステム200を説明するブロック図である。システム200は、検出器具210、コントローラー220、および、荷重器具230を有する。追加特徴、あるいは、コンポーネンツがシステム200に追加される、および/または、以下で記述される特徴のいくつかは、その他の実施形態中で代替、あるいは、削除することができる。
【0044】
検出器具210を用いて、摂取動作の順序、および、持続時間を検出し、摂取動作は、前歯による食物の切断、歯列弓の左右両側上の奥歯による食物の咀嚼、および、食物の嚥下 (上記のように)を有する。いくつかの実施形態において、検出器具210はさらに、食物切断時の上下前歯の咬合力と咬合頻度、および、食物咀嚼時の口の左右両側の上下奥歯の咬合力と咬合頻度を検出する。各種タイプの検出装置を用いることができる。
【0045】
一例において、検出器具210は、圧力センサー内蔵の口内(intraoral)装置である。この口内装置の詳細な設計は、US8226581、および、US10485642等の従来の技術を参照する。検出方法は、患者が、正常な条件下で、ある食物を食べる、咀嚼する、および、飲み込むとともに、顎筋のタイミング、および、移動を記憶することである。その後、食物を食べない状況下で、検出器具210を患者の口中に設置するとともに、患者に、記憶した動きを繰り返させて、切断、咀嚼、および、嚥下動作を実行する。これらの動作から、検出器具210上の咬合荷重、および、頻度が、圧力センサーにより検出、および、記録されるとともに、これらの動作の順序、および、持続時間は、検出されたデータから計算され、検出されたデータは、嚥下の回数を含む。
【0046】
別の例において、検出器具210は、センサーを有する口外装置であり、センサーは、耳と顎関節(temporomandibular joint)に近い皮膚と接触して、摂取動作期間中の骨顆(condyles)の移動を検出する。これらの動作は、摂取期間の骨顆の移動の差異を分析することにより検出される。たとえば、前歯が食物を切断する時、二個の骨顆は、一緒に移動して、咬合動作を実行する傾向にある。しかし、口の一側での咀嚼時、作業側の骨顆の移動方式は、下顎のもう一側上の骨顆との移動方式と異なる。嚥下時、上下の歯は一緒に噛みがちであり、且つ、舌は同時に、押す動作をする。このような検出器具210は、骨顆の移動を記録するとともに、差異を分析して、切断、左側咀嚼、右側咀嚼、および、嚥下動作の順序と持続時間を確定する。この口外装置の詳細な設計は、従来の技術、たとえば、US20110276312A1を参照する。
【0047】
さらに別の例において、検出器具210は、食事の時に、装着できる口内装置である。たとえば、食物の摂取時に、埋め込みセンサーを有する咀嚼式歯科矯正器具(masticatory appliance)を装着して、切断、咀嚼、および、嚥下動作を検出して、たとえば、これらの動作の順序と持続時間などの検出データを獲得し、検出データは、嚥下の回数、および、これらの動作の咬合荷重、および、頻度を有する。この口内装置の詳細な設計は、従来の技術、たとえば、US6613001を参照することができる。
【0048】
その他の例において、検出器具210の検出方法は、食事の時に撮影した患者のビデオクリップに基づく。ビデオベースの顔検出、および、追跡技術はすでに、医療診断中に用いられている。顔の特徴識別、および、動き追跡の工程を用いて、ビデオクリップを分析して、摂取の動作を検出する。タイミング情報を用いて、切断、咀嚼、および、嚥下動作の順序と持続時間を計算する。たとえば、携帯電話アプリケーションは、電話のカメラを制御して、食物摂取時、患者の顔の画像を捕捉する。その後、患者の顔の特徴の動きを分析して、患者の摂取動作の順序と持続時間を確定する。最後に、これらの検出データは、有線、あるいは、無線の方式で、コントローラー220に送信される。
【0049】
コントローラー220は、たとえば、検出データを処理(たとえば、信号変換、計算等)、および、分析することにより、検出器具210からの検出データにしたがって、制御パラメータを得る (上記の装置や方法の一つ、あるいは、組み合わせにより検出される)とともに、その後、制御パラメータにしたがって、荷重器具230の個別の荷重伝送素子232を制御する (以下で記述される)。制御パラメータは、荷重器具230により実行されるシミュレートされた摂取動作の順序と持続時間、および、シミュレートされた摂取の各動作の咬合荷重、および、頻度を有する。制御パラメータを選択して、実際の摂取がない状況下で、これらの摂取動作のために、荷重器具230が、歯周組織、および、歯槽骨上の咬合荷重効果をシミュレートできるようにする。
【0050】
いくつかの実施形態において、コントローラー220は、処理ユニット (図示しない)、および、メモリユニット221を有するコンピュータデバイスである。処理ユニットは、いくつかの方法で実現され、たとえば、マイクロコード、あるいは、ソフトウェア命令を用いてプログラミングされて、ここで示される機能を実行する専用のハードウェア、あるいは、汎用ハードウェアで実施され、汎用ハードウェアは、たとえば、単一プロセッサ、マルチプロセッサ、あるいは、並列計算が可能であるその他の適当な回路コンポーネンツ等である。メモリユニット221は、リードオンリメモリ (ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等である。コントローラー220のさらなる詳細は、従来の技術として知られており、ここで記述しない。
【0051】
荷重器具230を用いて、前歯、左奥歯、および、右奥歯の歯周組織、および、歯槽骨の咬合荷重効果をシミュレートし、咬合荷重効果は、加振源(コントローラー220により制御される)により生成されるシミュレートされた摂取の動作によるものである。荷重器具230は、検出された摂取動作の順序、および、持続時間にしたがって、振動力を伝送し、摂取動作は、前歯による食物の切断、右側の奥歯による食物の咀嚼、左側の奥歯による食物の咀嚼、および、食塊の嚥下を有する。また、検出された咬合力、および、摂取動作の頻度にしたがって、荷重器具230は、振動力を伝送する。
【0052】
いくつかの応用において、患者の検出されたパターン平均値を用いた荷重器具230を用いて、治療を提供する。この治療の応用は、咀嚼機能が悪化した患者に有益である。治療の目標は、脳内で、さらなる神経学的反応(neurological response)を刺激、あるいは、励起することである。
【0053】
いくつかの応用において、多くの患者の検出されたパターンの平均値が、制御パラメータに用いられる。この場合、荷重器具230を用いて、時間とともに生じた異常パターンを有する患者の咀嚼習慣を治療、あるいは、調整する (つまり、患者を、異なる摂取習慣を採用するように訓練して、以前の習慣を改善することができる)。
【0054】
いくつかの応用において、歯列矯正治療期間中、荷重器具230の装着は、歯の移動を加速させる。これは、以下の歯の移動のセオリーに基づく。咬合力による歯周組織上の圧力は、静水圧効果(hydrostatic pressure effect)により、周囲の歯槽骨に分散される。近接する歯からの分散された力は、最終的に、歯間の歯槽骨の網状骨領域(cancellous bone region)で出会うとともに、衝突して、その領域の骨の微小破壊(bone microfracture)を引き起こす。これらの微小破壊が、歯の移動の加速を可能にする。
【0055】
いくつかの実施形態において、
図2に示されるように、荷重器具230は、複数のアクチュエーター231 (すなわち、加振源)、複数の荷重伝送素子232、および、一つ以上の支持部材233を有する。荷重器具230の各種配置の例は以下のように示される。
【0056】
図3は、いくつかの実施形態による荷重器具230の平面図 (
図3(A)を参照)、および、断面図 (
図3(B)を参照)である。
図3の例において、荷重器具230は、3個のアクチュエーター231、3個の荷重伝送素子232、および、一つの支持部材233を有する。
【0057】
支持部材233は、患者の上下歯列弓間の空間に装着するのに適し(
図4を参照)、且つ、上下歯列弓の形状と一致するU字型構造を有するマウスピースである。また、二個の制限構造2330は、マウスピースの上下表面から突出するとともに、マウスピースの前歯領域の内外辺縁に沿って設置される。支持部材233が口内に入れられるとき、患者の上下前歯は、二個の制限構造2330間に定位され (
図4に示される)、支持部材233が装着時に滑り落ちるのを防止するのを手助けする (すなわち、装着安定度を改善する)。いくつかの実施形態において、マウスピースの厚さTは、
図3(B)、および、
図4に示されるように、マウスピースの近心端 (すなわち、前側)から、遠心端 (すなわち、後側)に徐々に減少する。したがって、支持部材233が口内に入れられるとき、顎を開いたままにする支柱として機能し、患者が姿勢を保持する間、顎筋を休ませることができる。支持部材233は、口内のデンタルユースに適当なシリコン材で形成される。
【0058】
3個の荷重伝送素子232は、細長く平坦なプレート(たとえば、ステンレス鋼、チタン合金、あるいは、その他の適当な剛体材料等の材料で形成される)であり、且つ、荷重伝送素子232の前側から、取り外し可能な方式で、支持部材233に挿入される。3個の荷重伝送素子232は、互いに隔てられるとともに、それぞれ、支持部材233の前歯領域、右奥歯領域、および、左奥歯領域に対応して配置される。3個のアクチュエーター231はそれぞれ、3個の荷重伝送素子232に結合(たとえば、接触)されて、振動力を提供し、個別に、荷重伝送素子232を作動させる。この例において、各アクチュエーター231は、振動モーター、たとえば、偏心した荷重モーター(eccentric weight motor)である。しかし、その他の適当な振動アクチュエーターを用いることもできる。
【0059】
上記の配置により、コントローラー220の制御下で、個別の荷重伝送素子232 (および、それらの対応するアクチュエーター231)は、単独で、且つ、順々に、前歯、左奥歯、および、右奥歯の歯周組織、および、歯槽骨上の咬合荷重効果(すなわち、振動力を生成する)をシミュレートし、荷重伝送素子232の連続動作間 (および、全動作後)に、休息期間を有する。
【0060】
いくつかの実施形態において、
図3に示されるように、各荷重伝送素子232は、支持部材233中に延伸する第一部分、および、支持部材233外側に残る第二部分を有する。3個のアクチュエーター231は、それぞれ、3個の荷重伝送素子232の第二部分と接触する。さらに、アクチュエーター231、および、荷重伝送素子232の第二部分は、コントローラー220、および/または、別のコンポーネンツ、たとえば、バッテリー (
図3で、図示しない)を埋め込んだケーシング240中に受け入れられる。ケーシング240はさらに、その外側表面に、ディスプレイ、ボタンなどを有して(図示しない)、患者の操作を便利にする。この例において、対応するアクチュエーター231に近い各荷重伝送素子232の一端は、さらに、防振マウント234 (たとえば、弾性ばね、あるいは、その他の適当な振動ダンパー)を設置して、荷重伝送素子232間の振動干渉を減少させる。このほか、
図4はさらに、ケーシング240と支持部材233間の界面に、遮蔽部材242(たとえば、ゴムで形成される)が挿入されて、唾液がケーシング240に進入するのを防止することを示す。
【0061】
多くの変化、および/または、修正が、本開示の実施形態に実施される。たとえば、支持部材233は、
図3、および、
図4に示される単一のマウスピースに制限されず、複数の別々の歯部分、たとえば、第一歯部分 (前歯部分とも称される)、第二歯部分 (左奥歯部分とも称される)、および、第三歯部分 (右奥歯部分とも称される)を有することも可能であり、それらは、それぞれ、上下前歯間の空間中、患者の口の左側の上下奥歯間の空間中、および、患者の口の右側の上下奥歯間の空間中に装着するのに適する。
【0062】
各第一、第二、および、第三歯部分(つまり、3個の支持部材233)は、上の歯をサポートする上サポート部233U、および、下の歯をサポートする下サポート部233L (例えば、
図5、あるいは、
図6を参照)を有し、上サポート部233U、および、下サポート部233Lは、別の部分であるか、あるいは、一体成型される。3個の荷重伝送素子232は、それぞれ、第一、第二、および、第三歯部分と接触する。たとえば、各荷重伝送素子232は、各自歯部分の上サポート部233Uと下サポート部233L間に挿入される。
【0063】
このほか、各荷重伝送素子232は、各種実施方式を有する。
図5の例において、荷重伝送素子232は軸であり、且つ、各自歯部分 (支持部材233)と接触する圧力荷重部232Pを有し、たとえば、圧力荷重部232Pは、各自歯部分の上サポート部233Uと下サポート部233L間に挿入、あるいは、定位する。圧力荷重部232Pと反対の軸の一端は、アクチュエーター231 (図示しない)、たとえば、振動モーター、あるいは、回転モーターに結合される。この方法で、回転軸が、圧力荷重部232Pを回転させる、あるいは、振動軸が、圧力荷重部232Pを振動させ、これにより、 対応する歯部分により、振動力を、上下の歯、および、歯周組織に生成する。
【0064】
図6の例において、アクチュエーター231 (たとえば、振動モーター、あるいは、回転モーター)が、圧力荷重部232Pの近くに設置されると共に、電源制御ワイヤ235が、アクチュエーター231と口外コントローラー220を接続する(
図2を参照)。口内アクチュエーター231は、回転、あるいは、振動して、荷重伝送素子232を作動させる。
【0065】
図7は、いくつかの実施形態による圧力荷重部232Pの異なる配置の断面、および、それらがどのように機能するかを示す図である。
【0066】
図7(A)の例において、圧力荷重部232Pは、楕円断面を有する。回転時、楕円断面の圧力荷重部232Pは、実線に示される方向で、上下サポート部233U、および、233Lを同時に押す。点線は、90度回転後の圧力荷重部232Pの位置を示す。この時、荷重は最大である。0度から90度で、圧力は徐々に増加し、90度から180度で、圧力は減少する。
【0067】
さらに特に、最初、上下の歯は、荷重器具の上に載っている (荷重器具を噛み締めず、よって、咀嚼筋がリラックスしている)。上下の歯上の咬合圧は、同時に、徐々に増加して、それらを押す。最大圧力点に到達した後、咬合圧は、歯が最初の安静位(rest position)に戻るまで、徐々に減少する。すでに認められていることは、荷重器具が、咬合荷重効果を上下の歯に同時に適用することは、患者にとって自然なことであり、もっと快適なことである。
【0068】
図7(B)の例において、圧力荷重部232Pは、円形断面を有し、突起Pを有する。回転時、圧力荷重部232Pは、順に、上下サポート部233U、および、233Lに当たる。
図7(C)の例において、円形断面の圧力荷重部232Pは、垂直方向で振動して(たとえば、振動モーターにより駆動される)、順に、上下サポート部233U、および、233Lに当たる。理解すべきことは、
図7(B)、および、
図7C中の圧力荷重部232P (あるいは、荷重伝送素子232)は、異なる時間で、上下の歯に当たっているが、それらがまだ用いられて、歯周組織、および、歯槽骨の咬合荷重効果をシミュレートする。
【0069】
図8は、いくつかの実施形態による咬合荷重を生成する方法800のフローチャートである。方法800は、操作810から開始され、患者の実際の摂取動作の順序、および、持続時間が、検出器具210(例えば、
図2を参照する)により検出される。いくつかの実施形態において、検出器具210は、さらに、食物を切断時の上下前歯、および、食物を咀嚼時の口の左右両側の上下奥歯の咬合力と頻度を検出する。その後、方法800は、操作820を実行し、コントローラー220 (たとえば、
図2)が、検出器具210の検出データにしたがって、制御パラメータを得る。最後に、方法800は、操作830を実行し、コントローラー220は、制御パラメータにしたがって、荷重器具230 (例えば、
図2、および、
図3を参照する)を制御して、前歯、左奥歯、および、右奥歯の歯周組織に、個別で、且つ、順々に、咬合荷重効果をシミュレートする力を生成する。
【0070】
注意すべきことは、荷重器具230が用いられて、時間とともに生じた異常パターンを有する患者の咀嚼習慣を治療、あるいは、調整するいくつかの状況において、多くの患者の摂取パターンの平均値が、制御パラメータに用いられる。これらの制御パラメータ(たとえば、シミュレートされた摂取動作の順序と時間、および、各シミュレートされた摂取動作の咬合力と咬合頻度)はさらに、歯科医により直接、コントローラー220上で設定されるので、(実際の摂取動作の)検出操作が省略される。
【0071】
総合すると、本発明の実施形態は、シミュレーションした人類の摂取動作に基づいた歯、および、歯周組織上で、咬合荷重効果を生成することができるシステム、および、方法を提供する。咬合荷重効果は、振動による咬合荷重効果を有する。提供される振動パターンはさらに、人類の実際の咀嚼方式に符合するので、患者の不快感が減少する。さらに、歯の移動を加速する以外に、開示されるシステム、および、方法は、多くの他の歯科用途、たとえば、患者の咀嚼習慣の治療、あるいは、調整にも適用可能である。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態、および、それらの長所が詳細に記述されているが、注意すべきことは、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、各種変化、置換、および、修正が可能であることである。たとえば、当業者なら理解できるように、ここで開示される多くの特徴、機能、プロセス、および、材料は、本発明の範囲内で変化する。さらに、本発明の範囲は、明細書中で記述される特定の実施形態のプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、および、ステップに制限することを意図しない。当業者なら、本発明から分かるように、現行の、あるいは、将来発展するプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、あるいは、ステップは、ここで開示される対応する実施形態が、ほぼ同じ機能を実行する、あるいは、ほぼ同じ結果を達成すれば、本発明にしたがって用いることができる。したがって、本発明の保護範囲は、このようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、あるいは、ステップを有する。さらに、添付のクレームの範囲は、広義の解釈が認められるべきであり、このような修正、および、類似する配置すべてを包含する。
【符号の説明】
【0073】
200…システム
210…検出器具
220…コントローラー
221…メモリユニット
230…荷重器具
231…アクチュエーター
232…荷重伝送素子
232P…圧力荷重部
233…支持部材
2330…制限構造
233L…下サポート部
233U…上サポート部
234…防振マウント
235…電源制御ワイヤ
240…ケーシング
242…遮蔽部材
800…方法
810、820、830…操作
P…突起
T…厚さ
【外国語明細書】