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特開2022-181214がんの処置における使用のためのIL-1β結合性抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181214
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】がんの処置における使用のためのIL-1β結合性抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/24 20060101AFI20221129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
C07K16/24
A61P35/00 ZNA
A61P35/02
A61K39/395 U
A61K45/00
A61K31/4745
A61K31/513
A61K31/282
A61P43/00 121
A61K31/7068
A61K39/395 T
A61K31/337
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022146790
(22)【出願日】2022-09-15
(62)【分割の表示】P 2019570897の分割
【原出願日】2018-05-03
(31)【優先権主張番号】62/523,458
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/529,515
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/550,307
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/550,325
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/596,054
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/649,631
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り <1> (1)発行日 :平成29年11月20日(最も早い場合)(オンライン公開)(第1回EACR-MRS合同会議の開始(平成29年11月27日)の前1週間を超えない) (2)刊行物 :「種と土壌:転移のin vivoモデル」についての第1回EACR-MRS合同会議のプログラム冊子 https://www.eacr.org/conference/seedandsoil2017 (3)公開者 :クラウディア・テゥロッタ、ダイアン・レフリー、キシミン・リウ(アニータ・リウ)、アミイ・スパイサー-ハドリントン、リサ・ハンブリー、ビクトリア・クックソン、グロリア・アロッカ、ペネロペ・オトウェル (4)公開された発明の内容:IL-1Bシグナル伝達が乳がんの骨転移を制御する
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り <2> (1)開催日 :平成29年11月27日~29日(ポスター発表:平成29年11月27日~29日) (2)集会名、開催場所 :「種と土壌:転移のin vivoモデル」についての第1回EACR-MRS合同会議 ハーナック ハウス(ドイツ国 ベルリン 16-20-14195) (3)公開者 :クラウディア・テゥロッタ、ダイアン・レフリー、アニータ・リウ(キシミン・リウ)、アミイ・スパイサー-ハドリントン、リサ・ハンブリー、ビクトリア・クックソン、グロリア・アロッカ、ペネロペ・オトウェル(代表発表者:ペネロペ・オトウェル) (4)公開された発明の内容:IL-1Bシグナル伝達が乳がんの骨転移を制御する(ポスタータイトル:乳がんの骨転移におけるIL1B/IL1R1シグナル伝達)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り <3> (1)発行日 :平成30年1月10日(オンライン公開) (2)刊行物 :第1回英国学際的乳がんシンポジウム―2018年1月15日~16日―の要約集、Breast Cancer Res Treat(2018)167:309-405 https://ukibcs.org/2018-uk-ibcs/ https://doi.org/10.1007/s10549-017-4585-x (3)公開者 :クラウディア・テゥロッタ、ダイアン・レフリー、アミイ・スパイサー-ハドリントン、アニータ・リウ、リサ・ハンブリー、ビクトリア・クックソン、グロリア・アロッカ、ペネロペ・オトウェル (4)公開された発明の内容:抗IL1B治療および標準治療薬:乳がんの骨転移を止めるための両刃の剣
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り <4> (1)開催日 :平成30年1月15日~16日(ポスター発表:平成30年1月15日~16日) (2)集会名、開催場所 :第1回英国学際的乳がんシンポジウム―2018年1月15日~16日 マンチェスター・セントラルコンベンション施設(英国 エム23ジーエックス、マンチェスター、ウィンドミルストリート) (3)公開者 :クラウディア・テゥロッタ、ダイアン・レフリー、アミイ・スパイサー-ハドリントン、アニータ・リウ、リサ・ハンブリー、ビクトリア・クックソン、グロリア・アロッカ、ペネロペ・オトウェル(代表発表者:クラウディア・テゥロッタ) (4)公開された発明の内容:抗IL1B治療および標準治療薬:乳がんの骨転移を止めるための両刃の剣
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】リゲロス-セイラン,モニカ
(72)【発明者】
【氏名】マチャバ,パトリス
(72)【発明者】
【氏名】トゥレン,トム
(72)【発明者】
【氏名】リドカー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】リビー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】オトウェル,ペネロペ
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,イー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥガン,マーガレット
(57)【要約】      (修正有)
【課題】炎症を伴うがん、特に肺がんのための新たな処置方法を提供する。
【解決手段】少なくとも部分的な炎症ベースを伴うがんの処置及び/又は防止のための、抗IL-1β抗体またはこの機能的な断片、カナキヌマブもしくはこの機能的な断片、またはゲボキズマブもしくはこの機能的な断片で処置する方法及びバイオマーカーとしての高感度C反応性タンパク質及び/又はインターロイキン6(IL-6)を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者において、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置お
よび/または防止における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片
【請求項2】
それを必要とする患者において、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置に
おける使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片。
【請求項3】
前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、肺がん、とりわけ、NSCLC、
結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳
がん、前立腺がん、頭頸部がん、膀胱がん、肝細胞癌(HCC)、卵巣がん、子宮頸がん
、子宮内膜がん、膵臓がん、神経内分泌がん、多発性骨髄腫、急性骨髄芽球性白血病(A
ML)、および胆道がんからなるリストから選択される、請求項1または2に記載の使用
【請求項4】
前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、肺がん、とりわけ、NSCLC、
結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細
胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵臓がんからな
るリストから選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項5】
前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、結腸直腸がん(CRC)である、
請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、腎細胞癌(RCC)である、請求
項1または2に記載の使用。
【請求項7】
前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、乳がんである、請求項1または2
に記載の使用。
【請求項8】
前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、肺がん、好ましくは、非小細胞肺
がん(NSCLC)である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項9】
前記患者が、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の前に、約
2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を有する、請求項1から8の
いずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記患者が、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の前に、4
mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を有する、請求項1から9のい
ずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記患者が、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の前に、1
0mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を有する、請求項1から10
のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の少なくとも約3カ月後
に評価された、前記患者の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルが、約3.5
mg/L未満へと低減している、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の少なくとも約3カ月後
に評価された、前記患者の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルが、約2.3
mg/L未満、好ましくは、約2mg/L未満、好ましくは、約1.8mg/L未満へと
低減している、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の少なくとも約3カ月後
に評価された、前記患者の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルが、ベースラ
インと比較して、少なくとも20%低減している、請求項1から11のいずれか一項に記
載の使用。
【請求項15】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の少なくとも約3カ月間
後に評価された、前記患者のインターロイキン6(IL-6)レベルが、ベースラインと
比較して、少なくとも20%低減している、請求項1から12のいずれか一項に記載の使
用。
【請求項16】
処置1回当たり約90mg~約450mgのIL-1β結合性抗体またはこの機能的な
断片を投与することを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を、2、3週間、または4週間ごと
に(毎月)投与することを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、初回の投与から、最大で2週間
、好ましくは、2週間隔てられる、請求項1から17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記IL-1β結合性抗体が、カナキヌマブである、請求項1から14のいずれか一項
に記載の使用。
【請求項20】
処置1回当たり約200mg~約450mgのカナキヌマブを、前記患者へと投与する
ことを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
処置1回当たり少なくとも150mgのカナキヌマブを、前記患者へと投与することを
含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
約200mgのカナキヌマブを、前記患者へと投与することを含む、請求項19または
21に記載の使用。
【請求項23】
カナキヌマブが、3週間ごとに投与される、請求項16から22のいずれか一項に記載
の使用。
【請求項24】
カナキヌマブが、4週間ごとに(毎月)投与される、請求項16から22のいずれか一
項に記載の使用。
【請求項25】
カナキヌマブが、皮下投与される、請求項16から24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
カナキヌマブが、あらかじめ充填されたシリンジ内に含有された液体形態で、または再
構成のための凍結乾燥形態として投与される、請求項16から25のいずれか一項に記載
の使用。
【請求項27】
それを必要とする患者において、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん、好まし
くは、肺がんの処置における使用のためのカナキヌマブであって、前記使用が、200m
gの用量のカナキヌマブを、3週間ごとに皮下投与することを含む、カナキヌマブ。
【請求項28】
前記IL-1β結合性抗体が、ゲボキズマブ(XOMA-052)である、請求項1か
ら18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
処置1回当たり90mg~270mgのゲボキズマブを、前記患者へと投与することを
含む、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
約90mg~約120mgのゲボキズマブを、前記患者へと投与することを含む、請求
項28に記載の使用。
【請求項31】
ゲボキズマブが、3週間ごとに投与される、請求項28から30のいずれか一項に記載
の使用。
【請求項32】
ゲボキズマブが、4週間ごとに(毎月)投与される、請求項28から30のいずれか一
項に記載の使用。
【請求項33】
ゲボキズマブが、皮下投与される、請求項28から32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
ゲボキズマブが、静脈内投与される、請求項28から32のいずれか一項に記載の使用
【請求項35】
それを必要とする患者において、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置に
おける使用のためのゲボキズマブであって、前記使用が、120mgの用量のゲボキズマ
ブを、4週間ごとに(毎月)静脈内投与することを含む、ゲボキズマブ。
【請求項36】
前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、肺がん、とりわけ、NSCLC、
結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細
胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵臓がんからな
るリストから選択される、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、1または複数の化学療法剤と組
み合わせて投与され、好ましくは、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が
、カナキヌマブまたはゲボキズマブである、請求項1から36のいずれか一項に記載の使
用。
【請求項38】
前記1または複数の化学療法剤が、前記がんのための標準治療剤である、請求項37に
記載の使用。
【請求項39】
前記1または複数の化学療法剤が、肺がん、とりわけ、NSCLCのための標準治療剤
である、請求項37または38に記載の使用。
【請求項40】
前記1または複数の化学療法剤が、白金ベースの化学療法または白金ベースのダブレッ
ト化学療法(PT-DC)である、請求項37から39に記載の使用。
【請求項41】
前記1または複数の化学療法剤が、チロシンキナーゼ阻害剤である、請求項37から4
0のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
前記1または複数の化学療法剤が、チェックポイント阻害剤である、請求項37から4
1のいずれか一項に記載の使用。
【請求項43】
前記1または複数の化学療法剤が、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテ
ゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびスパルタリズマブ(PDR-001)
からなる群から選択される、PD-1またはPD-L1阻害剤である、請求項37から4
2に記載の使用。
【請求項44】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、少なくとも部分的な炎症ベース
を有するがんを手術により除去した後の対象における、前記がんの再発または再燃の防止
において、単独で、または好ましくは組合せで使用される、請求項1から43のいずれか
一項に記載の使用。
【請求項45】
部分的な炎症ベースを伴う前記がんが、肺がんである、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、肺がん、とりわけ、NSCLC
のファーストライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、請求項
1から45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、肺がん、とりわけ、NSCLC
のセカンドまたはサードライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用され
る、請求項1から46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、カナキヌマブであり、前記患者
が、喫煙者である、請求項37から47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
患者の肺がんの防止における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な
断片であって、前記患者が、2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)
レベルを有する、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片。
【請求項50】
前記hsCRPレベルが、4mg/L以上である、請求項49に記載の使用。
【請求項51】
前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、カナキヌマブもしくはこの機能
的な断片、またはゲボキズマブもしくはこの機能的な断片である、請求項49から50の
いずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投
与される、請求項1から51のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
前記1または複数の化学療法剤が、結腸直腸がん(CRC)のための標準治療剤である
、請求項52に記載の使用。
【請求項54】
前記1または複数の化学療法剤が、一般的な細胞傷害剤であり、好ましくは、前記一般
的な細胞傷害剤が、FOLFOX、FOLFIRI、カペシタビン、5-フルオロウラシ
ル、イリノテカン、およびオキサリプラチンからなるリストから選択される、請求項52
または53に記載の使用。
【請求項55】
前記1または複数の化学療法剤が、VEGF阻害剤であり、好ましくは、前記VEGF
阻害剤が、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびziv-アフリベルセプトからなるリス
トから選択される、請求項52または53に記載の使用。
【請求項56】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、FOLFIRI+ベバシズマブ、またはFO
LFOX+ベバシズマブと組み合わせて投与される、請求項52から55のいずれか一項
に記載の使用。
【請求項57】
前記1または複数の化学療法剤が、チェックポイント阻害剤である、請求項52から5
6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記1または複数の化学療法剤が、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテ
ゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ(PDR-001)
からなる群から選択される、PD-1またはPD-L1阻害剤である、請求項52から5
7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、結腸直腸がんを手術により除去した後の患者
における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ましくは組合せ
で使用される、請求項52から58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、結腸直腸がんのファーストライン処置として
、単独で、または好ましくは組合せで使用される、請求項52から59のいずれか一項に
記載の使用。
【請求項61】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、結腸直腸がんのセカンドまたはサードライン
処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、請求項52から59のいず
れか一項に記載の使用。
【請求項62】
前記1または複数の化学療法剤が、腎細胞癌(RCC)のための標準治療剤である、請
求項52に記載の使用。
【請求項63】
前記1または複数の化学療法剤が、CTLA-4チェックポイント阻害剤であり、好ま
しくは、前記CTLA-4チェックポイント阻害剤が、イピリムマブである、請求項52
または62に記載の使用。
【請求項64】
前記1または複数の化学療法剤が、エベロリムスである、請求項52および62~63
のいずれか一項に記載の使用。
【請求項65】
前記1または複数の化学療法剤が、チェックポイント阻害剤である、請求項52および
62から64のいずれか一項に記載の使用。
【請求項66】
前記1または複数の化学療法剤が、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテ
ゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ(PDR-001)
からなる群から選択される、PD-1またはPD-L1阻害剤である、請求項52および
62から65のいずれか一項に記載の使用。
【請求項67】
前記チェックポイント阻害剤が、ニボルマブである、請求項52および62から66の
いずれか一項に記載の使用。
【請求項68】
前記1または複数の化学療法剤が、ニボルマブ+イピリムマブである、請求項52およ
び62から67のいずれか一項に記載の使用。
【請求項69】
前記1または複数の化学療法剤が、カボザンチニブである、請求項52および62から
68のいずれか一項に記載の使用。
【請求項70】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、腎細胞癌(RCC)を手術により除去した後
の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ましくは
組合せで使用される、請求項52および62から69のいずれか一項に記載の使用。
【請求項71】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、腎細胞癌(RCC)のファーストラインとし
て、単独で、または好ましくは組合せで使用される、請求項52および62から70のい
ずれか一項に記載の使用。
【請求項72】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、腎細胞癌(RCC)のセカンドまたはサード
ライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される、請求項52および
62~70のいずれか一項に記載の使用。
【請求項73】
前記1または複数の化学療法剤が、胃がん(食道がんを含む)のための標準治療剤であ
る、請求項52に記載の使用。
【請求項74】
前記1または複数の化学療法剤が、有糸分裂阻害剤、好ましくは、タキサンであり、好
ましくは、前記タキサンが、パクリタキセルおよびドセタキセルから選択される、請求項
52および73のいずれか一項に記載の使用。
【請求項75】
前記1または複数の化学療法剤が、パクリタキセルおよびラムシルマブである、請求項
52および73~74のいずれか一項に記載の使用。
【請求項76】
前記1または複数の化学療法剤が、チェックポイント阻害剤である、請求項52および
73から75のいずれか一項に記載の使用。
【請求項77】
前記1または複数の化学療法剤が、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテ
ゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびスパルタリズマブ(PDR-001)
からなる群から選択される、PD-1またはPD-L1阻害剤である、請求項52および
73から76のいずれか一項に記載の使用。
【請求項78】
前記チェックポイント阻害剤が、ニボルマブである、請求項76および77のいずれか
一項に記載の使用。
【請求項79】
前記1または複数の化学療法剤が、ニボルマブおよびイピリムマブである、請求項52
および73から78のいずれか一項に記載の使用。
【請求項80】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、胃がん(食道がんを含む)を手術により除去
した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ま
しくは組合せで使用される、請求項52および73から79のいずれか一項に記載の使用
【請求項81】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、胃がん(食道がんを含む)のファーストライ
ンとして、単独で、または好ましくは組合せで使用される、請求項52および73から8
0のいずれか一項に記載の使用。
【請求項82】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、胃がん(食道がんを含む)のセカンドまたは
サードライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、請求項52お
よび73~81のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん、例えば、肺がんなどの処置お
よび/または防止のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の使用に関す
る。
【0002】
開示の背景
肺がんは、男性および女性のいずれの間でも、世界中で最も一般的ながんのうちの1つ
である。肺がんは、2つの種類:小細胞肺がん(SCLC)および非小細胞肺がん(NS
CLC)へと分類される。種類は、組織学的観察および細胞学的観察に基づき識別され、
NSCLCが、肺がん症例のうちの約85%を占める。非小細胞肺がんは、扁平上皮癌、
腺癌、気管支肺胞癌、および大細胞(未分化)癌を含むがこれらに限定されない亜型へと
さらに分類される。様々な処置選択肢にもかかわらず、5年生存率は、10%~17%の
間に過ぎない。したがって、肺がんのための新たな処置選択肢を開発することが、依然と
して必要とされ続けている。
【0003】
同様に、現行の標準治療は、少なくとも部分的な炎症ベースを有する他のがんについて
は、有意な転帰の改善をもたらしているが、患者の大部分は、化学療法中に進行した患者
の生存を限定的とする、不治の疾患を有する。
【0004】
開示の概要
本開示は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん、とりわけ、肺がんの処置およ
び/または防止のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の使用に関する
。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有する、他のがんは、結腸直腸がん(CR
C)、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、前立腺がん、
頭頸部がん、膀胱がん、肝細胞癌(HCC)、卵巣がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、膵
臓がん、神経内分泌がん、多発性骨髄腫、急性骨髄芽球性白血病(AML)、および胆道
がんを含む。
【0005】
本発明の目的は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん、例えば、肺がんなどの
処置を改善する療法を提供することである。したがって、本発明は、少なくとも部分的な
炎症ベースを有するがん、例えば、肺がんなどの処置および/または防止のための、IL
-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブ、適切には、ゲボキ
ズマブの、新規の使用に関する。別の態様では、本発明は、少なくとも部分的な炎症ベー
スを有するがん、例えば、肺がんなどの処置および/または防止のための、IL-1β結
合性抗体またはこの機能的な断片の投与のための、特定の臨床的投与レジメンに関する。
別の態様では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがん
を伴う対象は、1または複数の化学療法剤を投与され、かつ/またはIL-1β結合性抗
体またはこの機能的な断片の投与に加えて、デバルキング手順を施されている/施される
【0006】
また、それを必要とするヒト対象における、少なくとも部分的な炎症ベースを有するが
ん、例えば、肺がんなどを処置または防止する方法であって、対象へと、治療有効量のI
L-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を投与するステップを含む方法も提供される
【0007】
本発明の別の態様は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん、例えば、肺がんな
どの処置のための医薬の調製のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の
使用である。
【0008】
本開示はまた、患者における少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん、例えば、肺
がんなどの処置および/または防止における使用のための、治療有効量のIL-1β結合
性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブを含む医薬組成物も提供する。
【0009】
本発明は、患者の、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含
むがんの処置および/または防止における、バイオマーカーとしての使用のための、高感
度C反応性タンパク質(hsCRP)にも関する。さらなる態様では、本発明は、IL-
1β阻害剤である、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片で処置される患者の、
少なくとも部分的な炎症ベースを有する、肺がんを含むがんの処置および/または防止に
おける、バイオマーカーとしての使用のための、高感度C反応性タンパク質(hsCRP
)に関する。
【0010】
一態様では、本発明は、それを必要とする男性患者の、少なくとも部分的な炎症ベース
を有するがん、例えば、肺がんなどの処置および/または防止における使用のための、I
L-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を提供する。
【0011】
一態様では、本発明は、それを必要とする患者の、肺がんを除外する、少なくとも部分
的な炎症ベースを有するがんの処置および/または防止における使用のための、IL-1
β結合性抗体またはこの機能的な断片を提供する。本出願で開示される、各実施形態およ
びあらゆる実施形態は、個別に、または組合せで、この態様へと適用される。
【0012】
一態様では、本発明は、それを必要とする患者の、乳がんを除外する、少なくとも部分
的な炎症ベースを有するがんの処置および/または防止における使用のための、IL-1
β結合性抗体またはこの機能的な断片を提供する。本出願で開示される、各実施形態およ
びあらゆる実施形態は、個別に、または組合せで、この態様へと適用される。
【0013】
一態様では、本発明は、それを必要とする患者の、肺がんおよび結腸直腸がんを除外す
る、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置および/または防止における使用
のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を提供する。本出願で開示され
る、各実施形態およびあらゆる実施形態は、個別に、または組合せで、この態様へと適用
される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】CANTOS試験のプロファイル。
図2図2~4。プラセボ、50mgのカナキヌマブ、150mgのカナキヌマブ、または300mgのカナキヌマブへと無作為に割り付けられた、CANTOSの参加者における、致死性がん(図2)、肺がん(図3)、および致死性肺がん(図4)の累積発生率。
図3】(上記の通り。)
図4】(上記の通り。)
図5】ハザード比(確認された肺がん患者)についてのフォレストプロット(300mg対プラセボ)。
図6】処置アームによる、3カ月目における、hsCRPの中央値の、ベースラインからの変化(確認された肺がん解析セット)。
図7-1】図7。自発的なヒト乳がんの、ヒト骨への転移についてのin vivoモデルが、乳がんの骨転移における、IL-1βシグナル伝達の、鍵となる役割を予測する。0.5cmのヒト大腿骨片2つを、8週齢の雌NOD SCIDマウス(群1つ当たりのn=10)の皮下へと植え込んだ。4週間後、ルシフェラーゼ標識化MDA-MB-231-luc2-TdTomato細胞またはT47D細胞を、後部乳腺脂肪体へと注入した。各実験は、各反復について、異なる患者に由来する骨を使用して、個別の3回にわたり実行した。組織培養フラスコ内で増殖させた腫瘍細胞と比較した、in vivoにおいて増殖させた腫瘍細胞における(a i);転移しない乳腺腫瘍と比較した、転移する乳腺腫瘍における(a ii);脂肪体内にとどまる腫瘍細胞と比較した、循環腫瘍細胞における(a iii):ならびにマッチさせた原発腫瘍と比較した骨転移における(a iv)GAPDHと比較した、IL-1B、IL-1R1、カスパーゼ1、およびIL-1Raのコピー数(dCT)の変化倍数を示すヒストグラム。IL-1βタンパク質発現の変化倍数を、(b)に示し、EMTと関連する遺伝子(E-カドヘリン、N-カドヘリン、およびJUP)のコピー数の、GAPDHと比較した変化倍数を、(c)に示す。ナイーブ骨と比較した、:P<0.01、**:P<0.001、***:P<0.0001、^^^:P<0.001。
図7-2】(上記の通り。)
図7-3】(上記の通り。)
図7-4】(上記の通り。)
図7-5】(上記の通り。)
図8】乳がん細胞への、IL-1Bの、安定的なトランスフェクション。C末端のGFPタグを伴うヒトcDNAORFプラスミドまたは対照プラスミドを使用して、MDA-MB-231乳がん細胞、MCF7乳がん細胞、およびT47D乳がん細胞に、IL-1Bを安定的にトランスフェクトした。a)は、スクランブル配列対照と比較した、IL-1β陽性腫瘍細胞ライセートからの、pg/ng単位のIL-1βタンパク質を示す。b)は、IL-1β+細胞および対照細胞10,000ずつからの、pg/ml単位の分泌IL-1βであって、ELISAにより測定されるIL-1βを示す。IL-1Bの過剰発現の、MDA-MB-231細胞およびMCF7細胞の増殖に対する効果を、それぞれ、c)およびd)に示す。示されるデータは、平均±SEM(スクランブル配列対照と比較した、:P<0.01、**:P<0.001、***:P<0.0001)である。
図9-1】図9。腫瘍に由来するIL-1βが、in vitroにおいて、上皮間葉転換を誘導する。MDA-MB-231細胞、MCF7細胞、およびT47D細胞に、高レベルのIL-1Bまたはスクランブル配列(対照)を発現するように、安定的にトランスフェクトして、内因性IL-1Bの、転移と関連するパラメータに対する効果を評価した。内因性IL-1Bの増大は、腫瘍細胞の、上皮表現型から、間葉表現型への変化を結果としてもたらした(a)。b)は、IL-1B、IL-1R1、E-カドヘリン、N-カドヘリンおよびJUPのコピー数およびタンパク質発現の、GAPDHおよびβ-カテニンのそれぞれと比較した変化倍数を示す。腫瘍細胞が、Matrigelおよび/または8μMの小孔を通じて、骨芽細胞に浸潤する能力を、(c)に示し、創傷閉鎖アッセイを使用して、細胞が、24および48時間にわたり遊走する能力を示す(d)。データを、平均±SEM、:P<0.01、**:P<0.001、***:P<0.0001として示す。
図9-2】(上記の通り。)
図10-1】図10。IL-1Bの薬理学的遮断が、in vivoにおいて、自発的なヒト骨への転移を阻害する。2つの0.5cmのヒト大腿骨片を保有する雌NOD-SCIDマウスに、MDA-MB-231Luc2-TdTomato細胞の乳腺内注入を施した。腫瘍細胞注入の1週間後、マウスを、毎日1mg/kgのIL-1Ra、14日間ごとに20mg/kgのカナキヌマブ、またはプラセボ(対照)で処置した(群1つ当たりのn=10)。腫瘍細胞注入の35日後に、全ての動物を殺した。骨転移に対する効果(a)を、in vivoにおいて、かつ、死後、速やかに、ルシフェラーゼイメージングにより評価し、ex vivoにおいて、組織学的切片上で確認した。データを、D-ルシフェリンの皮下注射の2分後における、放出された1秒間当たりの光子数として示す。循環内で検出される腫瘍細胞数に対する効果を、(b)に示す。:P<0.01、**:P<0.001、***:P<0.0001。
図10-2】(上記の通り。)
図11-1】図11。腫瘍に由来するIL-1Bが、in vivoにおいて、乳がんの骨へのホーミングを促進する。8週齢の雌BALB/cヌードマウスに、外側尾静脈を介して、対照(スクランブル配列)またはIL-1Bを過剰発現するMDA-MB-231-IL-1B+細胞を注入した。骨内および肺内の腫瘍の増殖を、in vivoにおいて、GFPイメージングにより測定し、知見は、ex vivoにおいて、組織学的切片上で確認した。a)は、骨内の腫瘍の増殖を示し;b)は、腫瘍を保有する脛骨についての、代表的μCT画像を示し、グラフは、腫瘍誘導性骨破壊に対する効果を指し示す、骨体積(BV)/組織体積(TV)比を示し;c)は、肺内で検出される腫瘍であって、細胞株の各々に由来する腫瘍の数およびサイズを示す。:P<0.01、**:P<0.001、***:P<0.0001(B=骨、T=腫瘍、L=肺)。
図11-2】(上記の通り。)
図12-1】図12。腫瘍細胞-骨細胞間相互作用が、IL-1B産生細胞の増殖を刺激する。MDA-MB-231ヒト乳がん細胞株またはT47Dヒト乳がん細胞株を、単独で、または生存ヒト骨、HS5骨髄細胞、もしくはOB1原発骨芽細胞と組み合わせて培養した。a)は、MDA-MB-231細胞またはT47D細胞を、生存ヒト骨ディスク内で培養することの、培地へと分泌されるIL-1β濃度に対する効果を示す。MDA-MB-231細胞またはT47D細胞を、HS5骨細胞と共培養することの、細胞の分取およびこれらの細胞の増殖の後における、個々の細胞型に由来するIL-1βに対する効果を、b)およびc)に示す。MDA-MB-231細胞またはT47D細胞を、OB1細胞(骨芽細胞)と共培養することの、増殖に対する効果を、d)に示す。データを、平均±SEM、:P<0.01、**:P<0.001、***:P<0.0001として示す。
図12-2】(上記の通り。)
図13-1】図13。骨微小環境内のIL-1βが、骨転移性ニッチの拡大を刺激する。40pg/mlまたは5ng/mlの組換えIL-1βを、MDA-MB-231乳がん細胞またはT47D乳がん細胞へと添加する効果を、(a)に示し、20pg/ml、40pg/ml、または5ng/mlのIL-1Bを追加することの、HS5骨髄細胞またはOB1骨芽細胞の増殖に対する効果を、それぞれ、b)およびc)に示す。(d)IL-1に駆動される骨血管系に対する変更を、10~12週齢の雌IL-1R1ノックアウトマウスに由来する脛骨の骨梁領域内のCD34染色の後で測定した。(e)1日当たり1mg/mlのIL-1Raで、31日間にわたり処置されたBALB/cヌードマウス、および(f)10μMのカナキヌマブで、4~96時間にわたり処置されたC57BL/6マウス。データを、平均±SEM、:P<0.01、**:P<0.001、***:P<0.0001として示す。
図13-2】(上記の通り。)
図14】IL-1シグナル伝達の抑制が、骨の完全性および血管系に影響を及ぼす。1日当たり1mg/kgのIL-1Rアンタゴニストで、21および31日間にわたり、毎日処置される、IL-1R1を発現しない(IL-1R1 KO)マウスである、BALB/cヌードマウス、ならびに0~96時間にわたる、10mg/kgのカナキヌマブ(イラリス)で処置されたC57BL/6マウスに由来する脛骨および血清を、骨の完全性については、μCTにより解析し、血管系については、エンドセリン1および汎VEGFについてのELISAを使用して解析した。組織体積と比較した骨体積(i)、エンドセリン1の濃度(ii)、および血清へと分泌されるVEGFの濃度に対する効果であって、a)は、IL-1R1 KOの効果を示し;b)は、アナキンラの効果を示し;c)は、カナキヌマブの効果を示す。示されるデータは、平均±SEM、対照と比較した、:P<0.01、**:P<0.001、***:P<0.0001である。
図15】腫瘍に由来するIL-1βが、病期IIおよびIIIの乳がんを伴う患者における、将来の再発および骨の再燃を予測する。病期IIおよびIIIの乳がんを伴う患者に由来する、約1300例の原発性乳がん試料であって、転移のエビデンスを伴わない試料を、17kDの活性IL-1βについて染色した。腫瘍を、腫瘍細胞集団内のIL-1βについて評定した。示されるデータは、腫瘍に由来するIL-1βと、任意の部位a)またはb)骨内における後続の再発との相関を、10年間にわたり表す、カプラン-マイヤー曲線である。
図16-1】図16。カナキヌマブPKプロファイルおよびhsCRPプロファイルのシミュレーション。a)は、カナキヌマブの濃度時間プロファイルを示す。実線およびバンド:予測区間を2.5~97.5%としてシミュレートされた、個々の濃度の中央値(300mgのQ12W(下線)、200mgのQ3W(中線)、および300mgのQ4W(上線))。b)は、3つの異なる集団:全てのCANTOS患者(シナリオ1)、確認された肺がん患者(シナリオ2)、および進行性肺がん患者(シナリオ3)、ならびに3つの異なる投与レジメンについて、3カ月目のhsCRPが、1.8mg/Lのカットオフ点未満である比率を示す。c)は、カットオフ点を2mg/Lとして、b)と同様である。d)は、3つの異なる用量について、時間経過にわたる、中央値hsCRP濃度を示す。e)は、単回投与の後における、ベースラインのhsCRPからの低減パーセントを示す。
図16-2】(上記の通り。)
図16-3】(上記の通り。)
図16-4】(上記の通り。)
図16-5】(上記の通り。)
図17】カナキヌマブと組み合わせたPDR001、エベロリムスと組み合わせたPDR001、および他の薬剤と組み合わせたPDR001を施される結腸直腸がん患者における、RNAシーケンシングによる遺伝子発現解析。ヒートマップ図中、各行は、標識化遺伝子についてのRNAレベルを表す。患者試料は、左列をスクリーニング(処置前)試料、および右列をサイクル3(処置中)試料として、垂直方向の直線により区分される。RNAレベルは、各遺伝子について、行ごとに標準化され、黒色は、RNAレベルが高い試料を表し、白色は、RNAレベルが低い試料を表す。好中球特異的遺伝子である、FCGR3B、CXCR2、FFAR2、OSM、およびG0S2は、枠囲いされる。
図18-1】図18。ゲボキズマブ処置の後における臨床データ(パネルa)、および高用量へのその外挿(パネルb、c、およびd)。患者におけるhsCRPの、ベースラインからの変化パーセント補正値を、a)に示す。hsCRPの曝露量反応関係を、6つの異なるhsCRPベースライン濃度について、b)に示す。ゲボキズマブの2つの異なる用量のシミュレーションを、b)およびc)に示す。
図18-2】(上記の通り。)
図19-1】図19。がんについての2つのマウスモデルにおける、抗IL-1ベータ処置の効果。a)、b)、およびc)は、MC38マウスモデルからのデータを示し、d)およびe)は、LL2マウスモデルからのデータを示す。
図19-2】(上記の通り。)
図19-3】(上記の通り。)
【0015】
開示の詳細な記述
多くの悪性腫瘍が、慢性炎症の領域内で生じ(1)、炎症の消失の不十分さが、腫瘍の
浸潤、進行、および転移において、主要な役割を果たすことが仮定されている(2~4)
。炎症は、特に、肺がんに対する病態生理学的関与性を有し、アスベスト、シリカ、喫煙
、および他の吸入される外部毒素により誘発された慢性気管支炎は、遷延性の炎症促進性
応答を結果としてもたらす(5,6)。肺内の炎症の活性化は、Nod様受容体タンパク
質3(NLRP3)インフラマソームの活性化により、部分的に媒介され、結果として、
慢性線維症およびがんの両方をもたらしうる過程である、インターロイキン1βの局所的
産生(IL-1β)をもたらす(7、8)。マウスモデルでは、インフラマソームの活性
化およびIL-1βの産生は、腫瘍の浸潤性、増殖、および転移性拡散を加速化させうる
(2)。例えば、IL-1β-/-マウスでは、黒色腫細胞株の局在化または静脈内接種
の後で、局所性腫瘍も、肺転移も、発生せず、データは、IL-1βが、既存の悪性腫瘍
の浸潤性に不可欠であることを示唆する(9)。したがって、IL-1βの阻害が、少な
くとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置において、補助的な役割を果たしうること
が仮定されている(10~13)。
【0016】
本発明は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、事象駆動型試験であるCANTOS試
験から生成されたデータの解析からなされる。CANTOSは、季節ごとの皮下カナキヌ
マブの投与が、hsCRPの上昇を伴う、心筋梗塞後安定の患者における、再発性心血管
事象を防止しうるのかどうかを査定するようにデザインされた。心筋梗塞および炎症性ア
テローム性動脈硬化を伴う、10,061例の登録患者は、既に診断されたがんがなく、
≧2mg/Lの高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を有した。3つの漸増カナキヌ
マブ用量(3カ月ごとに皮下に施された、50mg、150mg、および300mg)を
、プラセボと比較した。参加者は、3.7年間の中央値追跡期間にわたり、がん診断の発
生について追跡された。
【0017】
患者集団:心筋梗塞の既往歴を有し、積極的副次的防止戦略の使用にもかかわらず、≧
2mg/Lの血中hsCRPのレベルを有した場合、患者を、CANTOSへの登録に適
格とした。カナキヌマブは、全身免疫調節剤であるので、試験は、慢性もしくは再発性の
感染症、既往の悪性腫瘍以外の基底細胞皮膚癌を伴うか、免疫不全状態が疑われるか、も
しくは公知であるか、結核もしくはHIV関連疾患の既往歴を伴うか、もしくはこれらの
危険性が高いか、または進行中の全身抗炎症処置の使用を伴う参加者を、登録から除外す
るようにデザインした。
【0018】
無作為化(図1):フェーズIIb研究からの経験(19)に基づき、当初、カナキヌ
マブのために、3カ月ごとに、150mgでSCの「アンカー用量」を選択した。加えて
、IL-1βの自己誘導に関する理論的な懸念に取り組むように、2週間にわたり、2回
施され、次いで、3カ月ごとに施される、300mgの高用量もまた、当初、選択した。
2011年4月11日に、第1の患者をスクリーニングしたときに、CANTOSは、そ
れ自体、標準治療+プラセボを、標準治療+150mgのカナキヌマブまたは300mg
のカナキヌマブと比較する3アーム試験であって、参加者を、各研究アームへと、1:1
:1の比で割り付けた3アーム試験として開始された。しかし、より広範な用量反応デー
タを要請する保健局のフィードバックの後、低用量カナキヌマブアーム(3カ月ごとに5
0mgのSC)を、試験へと導入した。したがって、プロトコールは、改訂され、201
1年7月に、正式の4アーム構造が承認されたが、その採用の時期は、地域および施設に
よって変動した。
【0019】
この構造的変化に対処するため、50mg用量へと無作為に割り付けられる比率が上昇
するのに応じて、最終的にプラセボへと割り付けられる個体の比率を増大させた。したが
って、処置割り付け比を、動員された、最初の741例の参加者について、プラセボ:1
50mgのカナキヌマブ:300mgのカナキヌマブの1:1:1から、残りの9,32
0例の参加者について、プラセボ:50mgのカナキヌマブ:150mgのカナキヌマブ
:300mgのカナキヌマブそれぞれの、2:1.4:1.3:1.3へと変更した。試
験への登録は、2014年3月に完了し、全ての参加者は、2017年5月まで追跡され
た。
【0020】
プロトコールに従い、全てのCANTOSの参加者は、ベースライン、ならびに無作為
化の3、6、9、12、24、36、および48カ月間後において実施された、全血球計
算、脂質パネル、hsCRP、ならびに腎機能および肝機能の尺度を有した。
【0021】
評価項目:解析のための、目的の臨床評価項目は、試験の追跡時に診断および報告され
る、任意のがんの発生であった。任意のこのような事象について、診療記録を得、研究薬
の割り付けを知らされていないがん専門医のパネルが、がん診断を再検討した。可能な場
合、部位特異的転移についての任意のエビデンスと同様、原発巣(primary source)も記
録した。がんはまた、試験評価項目委員会により、致死性がんまたは非致死性がんとして
も分類された。
【0022】
統計学的解析:Cox比例ハザードモデルを使用して、カナキヌマブ群およびプラセボ
群におけるがんの全発生のほか、致死性がんおよび非致死性がんの発生、および部位特異
的ベースのがんの発生を解析した。プラセボにおける発生率と、漸増させるカナキヌマブ
用量にわたる、各個別のカナキヌマブ用量(用量に比例する、スコア0、1、3、および
6)、および実薬のカナキヌマブによる組合せ処置群についての発生率との間で行った比
較は、概念実証を目的とするものであり、試験を通じて、Data and Safet
y Monitoring Boardによる会合のために行われた全ての解析と呼応し
た。
【0023】
結果
CANTOSは、主要評価項目を満たすことが示され、標準治療と組み合わせて使用さ
れると、ACZ885が、既往の心発作および炎症性アテローム性動脈硬化を伴う患者に
おける、主要な心血管有害事象(MACE)の危険性を低減することを裏付けた。MAC
Eとは、心血管死、非致死性心筋梗塞、および非致死性脳卒中の混成物である。ACZ8
85は、炎症を選択的にターゲティングすることにより、既往の心発作を伴う人々におけ
る心血管性の危険性を低減することが示された。
【0024】
患者:10,061人のCANTOSの参加者の、ベースラインにおける臨床特徴を、
試験の追跡時に、がんを発症した参加者または発症しなかった参加者についての表1に提
示する。
【0025】
がんを伴うと診断されなかった参加者と比較して、肺がんを発症した参加者は、老齢(
P<0.001)であり、現在の喫煙者である可能性が高い(P<0.001)。ベース
ラインにおける中央値hsCRPレベルが、追跡時において肺がんを伴うと診断された参
加者では、がんの診断がないままであった参加者と比較して高度であった(6.0対4.
2mg/L、P<0.001)ことは、強力な炎症性構成要素により、ある特定のがんを
指し示す、既往の業績と符合する。同様のデータは、インターロイキン6についても観察
された(3.2対2.6ng/L、P<0.0001)。
【0026】
試験の追跡時に、プラセボと比較して、カナキヌマブは、hsCRPの、27~40パ
ーセント(全てのP値<0.0001)の、用量依存的低減、およびIL-6の、25~
43パーセント(全てのP値<0.0001)の用量依存的低減と関連した。カナキヌマ
ブは、LDLコレステロールまたはHDLコレステロールに対して、影響を及ぼさなかっ
た。
【0027】
全がん事象および致死性がん事象に対する効果:プラセボ群、50mgのカナキヌマブ
群、150mgのカナキヌマブ群、および300mgのカナキヌマブ群における、任意の
がんの発生率は、それぞれ、100人年当たり、1.84、1.82、1.68、および
1.72であった(プラセボ群と比較した、カナキヌマブ投与群を通じたP=0.34)
。これに対し、致死性がんについては、統計学的に有意な用量依存的効果が観察され、プ
ラセボ群、50mg群、150mg群、および300mg群における発生率が、それぞれ
、100人年当たり、0.64、0.55、0.50、および0.31であった(プラセ
ボ群と比較した、カナキヌマブ投与群を通じたP=0.001)(表2)。
【0028】
肺がんに対する効果:中央値を3.7年間とする追跡期間にわたり、カナキヌマブへの
ランダムな割り付けは、全がん死亡率の、統計学的に有意な用量依存的低減と関連した。
この評価項目(N=196)について、プラセボと対比したハザード比(95%信頼区間
、P値)は、カナキヌマブの50mg群、150mg群、および300mg群のそれぞれ
について、0.86(0.59~1.24、P=0.42)、0.78(0.54~1.
13、P=0.19)、および0.49(0.31~0.75、P=0.0009)であ
った。これらのデータは、プラセボ群、50mg群、150mg群、および300mg群
における、それぞれ、100人年当たり、0.64、0.55、0.50、および0.3
1の発生率(プラセボ群と比較した、実薬投与群を通じたP傾向=0.0007)(表2
および図2)に対応する。
【0029】
この効果は、大部分、肺がんの軽減に起因し、プラセボへと割り当てられた参加者では
、全てのがんのうちの26%、および全てのがんによる死のうちの47%が、肺がんであ
ったのに対し、カナキヌマブへと割り当てられた参加者では、全てのがんのうちの16%
、およびがんによる死のうちの34%が、肺がんであった。肺がんの発生率(N=129
)について、プラセボと対比したハザード比(95%信頼区間、P値)は、カナキヌマブ
の50mg群、150mg群、および300mg群のそれぞれについて、0.74(0.
47~1.17、P=0.20)、0.61(0.39~0.97、P=0.034、お
よび0.33(0.18~0.59、P=0.0001)であった。これらのデータは、
プラセボ群、50mg群、150mg群、および300mg群における、それぞれ、10
0人年当たり、0.49、0.35、0.30、および0.16の発生率(プラセボ群と
比較した、実薬投与群を通じたP傾向<0.0001)(表2および図3)に対応する。
【0030】
喫煙による層別化は、現在の喫煙者における、カナキヌマブの、肺がんに対する相対的
有益性が、過去の喫煙者における場合と比較して、わずかに大きいこと(現在の喫煙者に
ついてのHR:0.50、P=0.005;過去の喫煙者についてのHR:0.61、P
=0.006)を指し示した。この効果は、カナキヌマブの最高用量について、より顕著
であった(現在の喫煙者についてのHR:0.25、P=0.002;過去の喫煙者につ
いてのHR:0.44、P=0.025、表S2)。
【0031】
肺がんの死亡率(N=77)について、プラセボと対比したハザード比(95%信頼区
間、P値)は、カナキヌマブの50mg群、150mg群、および300mg群のそれぞ
れについて、0.67(0.37~1.20、P=0.18)、0.64(0.36~1
.14、P=0.13)、および0.23(0.10~0.54、P=0.0002)で
あった。これらのデータは、プラセボ群、50mg群、150mg群、および300mg
群における、それぞれ、100人年当たり、0.30、0.20、0.19、および0.
07の発生率(プラセボ群と比較した、実薬投与群を通じたP傾向=0.0002)(表
2および図4)に対応する。
【0032】
肺がんの種類が、性状不明であるか、または組織構造が、腺癌もしくは低分化大細胞が
んを指し示す患者では、カナキヌマブの有益性が明らかであった(プラセボ、カナキヌマ
ブの50mg投与群、150mg投与群、および300mg投与群における発生率は、そ
れぞれ、0.41、0.33、0.27、および0.12であった[プラセボ群と比較し
た、投与群を通じたP傾向=0.0004])。組織構造が、小細胞肺がんまたは扁平上
皮癌を指し示す症例では、カナキヌマブの効果に決定的に取り組むには、検出力が限定的
であった(表S3)。
【0033】
カナキヌマブの組合せ投与についての解析では、全肺がんについての危険性の低減は、
3カ月後において、hsCRPを、中央値以上に低減した患者について増大した。具体的
には、プラセボと比較して、3カ月後において、1.8mg/Lの中央値を超える、hs
CRPの低減を達成した患者の肺がんについて観察されるハザード比は、0.29(95
%CI:0.17~0.51、P<0.0001)であり、中央値未満の、hsCRPの
低減を達成した患者について観察される効果より良好であった(HR:0.83、95%
CI:0.56~1.22、P=0.34)。同様の効果は、3カ月間後において達成さ
れた、中央値IL-6レベルについても観察された。
【0034】
既往の非基底細胞悪性腫瘍を伴う個体を除外するように、CANTOSプロトコールを
デザインしたところ、10,061例中76例(0.8%)が、詳細な記録の精査により
、既往のがんを有したこと見出された。これらの個体の事後的な除外は、上記の結果に対
して、影響を及ぼさなかった。
【0035】
有害事象:骨髄機能に関して、血小板減少症および好中球減少症は、まれであるが、カ
ナキヌマブへと割り付けられた参加者の中では一般的であった(表3)。別の場所(20
)で報告した通り、総感染症率の増大は見られなかったが、蜂巣炎およびクロストリディ
ウム・ディフィシル(Clostridium difficile)腸炎の比率が増大
し、3つのカナキヌマブ群をプールし、プラセボと比較したところ、感染症または敗血症
へと帰せられる致死性事象が増大した(100人年当たりの発生率:0.31対0.18
、P=0.023)。感染症に罹患した参加者は、老齢の傾向があり、糖尿病を有する可
能性が高かった。この有害作用にもかかわらず、非心血管性の死亡率(HR:0.97、
95%CI:0.79~1.19、P=0.80)、および全ての原因による死亡率(H
R:0.94、95%CI:0.83~1.06、P=0.31)のいずれも、有意では
ないが、低減した。重篤な結核感染は、まれであり、カナキヌマブ処置群およびプラセボ
処置群において、同様の比率で生じた(0.06%)。注射部位反応は、カナキヌマブ群
およびプラセボ群において、同様の頻度で生じた。カナキヌマブが、関節炎、痛風、およ
び変形性関節症の有害報告の有意な低減を結果としてもたらしたことは、IL-1β阻害
の公知の効果と符合する(表4)。
【0036】
これらの無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験のデータでは、カナキヌマブによる、
3.7年間の中央値期間にわたる、IL-1βの阻害は、hsCRPの上昇を伴うアテロ
ーム性動脈硬化患者であって、既往のがんの診断を有さなかった患者における、致死性肺
がんおよび非致死性肺がんの比率を、顕著に低減した。効果は、用量依存的であり、相対
ハザードの低減は、カナキヌマブの最高用量(3カ月ごとに300mgのSC)へと無作
為に割り付けられた参加者において、全肺がんおよび致死性肺がんのそれぞれについて、
67%(P=0.0001)および77%(P=0.0002)であった。カナキヌマブ
の、肺がんの発生に対する有益な効果は、治療を開始して、数週間以内に、ここでもまた
、特にカナキヌマブの最高用量で観察された。炎症性バイオマーカーであるhsCRPお
よびインターロイキン6のレベルが高い患者は、肺がんの発生の危険性が最も高く、現在
の喫煙者と同様、最も大きな利益を得ると考えられた。これに対し、カナキヌマブの、肺
がん以外の部位特異的がんに対する効果は、有意ではなかった。しかし、300mgのS
Cによるカナキヌマブへと無作為に割り付けられた参加者について、全がん死亡率は、半
減した(P=0.0009)。
【0037】
CANTOSは、hsCRPが高値であり、現在または過去の喫煙率も高い、心筋梗塞
後患者において行われた炎症軽減試験であった(17)。これらの特徴は、CANTOS
集団に、平均より高い肺がんの危険性をもたらし、本明細書で報告される、インターロイ
キン1β阻害の、がんに対する効果に取り組む、さらなる機会をもたらした。しかし、デ
ザインにより、アテローム性動脈硬化性疾患を含まない個体またはhsCRPのレベルが
低い個体のデータは存在しない。
【0038】
カナキヌマブが、新たな肺がんの発がんおよび発症に対して、直接的な効果を及ぼした
可能性もあるが、おそらく、その可能性は低い。追跡時に肺がんを発症した患者は、研究
参加時に、平均で65歳であり、現在または過去の喫煙者が、90%を超えた。さらに、
平均追跡時間が、新たながんの軽減を裏付けるのに十分である可能性は低い。
【0039】
そうではなく、カナキヌマブ(インターロイキン1βの強力な阻害剤)は、有病であっ
たが、試験参加時に診断されなかった肺がんの進行、浸潤性、および転移性拡散の速度を
、実質的に低減した可能性がはるかに高い。この点で、臨床データは、IL-1βなどの
サイトカインが、血管新生および腫瘍の増殖を促進する場合があり、IL-1βが、既在
の悪性細胞の腫瘍浸潤性に要請されることを指し示す、既往の実験業績と符合する(2~
4、9)。マウスモデルでは、腫瘍微小環境内の高IL-1β濃度は、毒性の大きな表現
型と関連し(13)、この微小環境に由来する分泌IL-1β(または悪性細胞から直接
分泌されたIL-1β)は、腫瘍浸潤性を促進する場合があり、場合によって、腫瘍媒介
性の抑制を誘導する(2、9、21)。
【0040】
乳がんの骨転移は、不治であり、患者における予後不良と関連する。骨転移は、腫瘍細
胞が、骨髄へと播種され、骨転移性ニッチ内に生息場を占める場合に生じる。このニッチ
は、3つの相互作用ニッチ:骨芽細胞ニッチ、血管ニッチ、および造血幹細胞ニッチ(Ma
ssague and Obenauf. 2016; Weilbaecher et al., 2011により総説されている)から構成
されていると考えられる。他の臓器内の転移からのエビデンスは、血管内皮細胞の増殖お
よび新血管の発芽もまた、骨駆動性の転移形成において、腫瘍細胞の増殖を促進しうるこ
とを予測する(Carbonell et al., 2009; Kienast et al., 2010)。骨集積性の乳がん細
胞株であるMDA-IVが、親MDA-MB-231細胞と比較して高濃度のIL-1β
を産生することは、既に示されている(Nutter et al., 2014)。同様に、前立腺がんに
ついてのPC3モデルでは、IL-1β遺伝子の過剰発現が、心臓へと注入された腫瘍細
胞からの骨転移を増大させる一方で、この分子の遺伝子ノックダウンは、骨転移を低減し
た(Liu et al., 2013)。
【0041】
BalkwillおよびMantovaniが、「遺伝子損傷が、がんに「点火するマ
ッチ」であるとすれば、ある種の炎症は、「炎を燃え立たせる燃料」をもたらしうる」(
22)と書いた通り、フィルヒョウの時代以来、炎症は、がんと連関する。この仮説は、
なぜ、アスピリンならびに他の非ステロイド系抗炎症性薬剤の慢性使用が、結腸直腸がん
および肺腺癌による致死率の低減と関連するのかを、部分的に説明する(23、24)。
しかし、有効性を示すのに、10年またはこれを超える使用を要請する、これらの薬剤と
は対照的に、カナキヌマブの、肺がん発生率および肺がん死亡率に対する有益な効果は、
時間枠がはるかに短い試験において観察された。カナキヌマブの、見かけの有益な効果は
、治療を開始してから、数週間以内に観察された。インフラマソームに媒介されるIL-
1βの産生が、局所的な肺の炎症ならびにがんを誘導することが公知である、複数の、吸
入された環境毒素により誘発されるという事実(7、8)を踏まえると、肺がんについて
のデータにおける、カナキヌマブの特異性、および現在の喫煙者におけるその効果の増進
は、特に興味深い。
【0042】
試験は、がん処置研究としてはデザインしなかった。そうではなく、デザインにより、
試験は、がんの既往歴を伴わない、アテローム性動脈硬化患者を登録した。他のがん型に
は、このようなIL-1ターゲティングサイトカイン法の先行例が存在する。例えば、I
L-1受容体アンタゴニストであるアナキンラは、47例の患者による症例シリーズにお
いて、くすぶり型骨髄腫または無痛性骨髄腫の進行をわずかに低減することが報告されて
いる(25)。多様な転移性がんを伴う、52例の患者による、第2の症例シリーズでは
、IL-1αをターゲティングするヒトモノクローナル抗体が、忍容され、除脂肪体重、
食欲、および疼痛の小さな改善を示した(26)。
【0043】
結論として述べると、これらの無作為化プラセボ対照試験データは、IL-1βをター
ゲティングするモノクローナル抗体であるカナキヌマブによる自然免疫機能の阻害が、肺
がんの発生率および肺がんの死亡率を実質的に低減するというエビデンスを提示する。
【0044】
したがって、一態様では、本発明は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん、と
りわけ肺がんの処置および/または防止のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能
的な断片(本発明の薬物)、適切には、カナキヌマブまたはこの機能的な断片(本発明の
薬物中に含まれる)、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片(本発明の薬物中に含まれる
)の使用を提供する。
【0045】
一実施形態では、肺がんは、Nod様受容体タンパク質3(NLRP3)のインフラマ
ソームの活性化を部分的に介して、活性化するか、または媒介された、共時的な炎症を有
し、結果として、インターロイキン1βの局所的産生をもたらす。
【0046】
腫瘍と、腫瘍微小環境との相互作用を描出する、先端的研究は、慢性炎症が、腫瘍の発
生を促進する可能性があり、腫瘍が、炎症を刺激して、腫瘍の進行および転移を容易とす
ることを明らかにしている。細胞性および非細胞性の分泌因子を伴う炎症性微小環境は、
血管新生を誘導し、腫瘍を動員し、免疫抑制性細胞を促進し、免疫エフェクター細胞によ
り媒介される抗腫瘍免疫応答を阻害することにより、腫瘍進行のための保護区をもたらす
。腫瘍の発生および進行を支援する、主要な炎症性経路のうちの1つは、腫瘍微小環境内
の、腫瘍と、好中球およびマクロファージを含む腫瘍関連免疫抑制性細胞とにより産生さ
れる炎症促進性サイトカインであるIL-1βである。
【0047】
当技術分野では、「少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん(cancers that hav
e at least a partial inflammatory basis)」または「少なくとも部分的な炎症ベース
を有するがん(cancer having at least a partial inflammatory basis)」の意味が周
知である。一実施形態では、本明細書で使用される「少なくとも部分的な炎症ベースを有
するがん」または「少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん」という用語は、IL-
1β媒介性の炎症性応答が、転移を含むが必ずしもこれに限定されない、腫瘍の発生およ
び/または繁殖に寄与する、任意のがんを指す。このようながんは、Nod様受容体タン
パク質3(NLRP3)のインフラマソームの活性化を部分的に介して、活性化するか、
または媒介された、共時的な炎症を有し、結果として、インターロイキン1βの局所的産
生をもたらすことが、極めて一般的である。このようながんを伴う患者では、IL-1β
の発現なおまたは過剰発現は、一般に、腫瘍の部位において、とりわけ、正常組織内と比
較して、腫瘍の周囲の組織内で検出されうることが、極めて一般的である。IL-1βの
発現は、腫瘍内のほか、血清中/血漿中の、免疫染色、ELISAベースのアッセイ、I
SH、RNAシーケンシング、またはRT-PCRなど、規定の方法により検出すること
ができる。IL-1βの発現または高発現は、通例、同じ部位における正常組織である陰
性対照に照らして結論づけることもでき、正常を超えるレベルのIL-1βにより結論づ
けることもできる。同時に、または代替的に、このようながんを伴う患者は、典型的に、
正常を超えるレベルのCRPまたはhsCRP、IL-6またはTNFαにより顕示され
る慢性炎症を有することが、極めて一般的である。少なくとも部分的な炎症ベースを有す
るがんは、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(胃腸がん、
食道がん、特に、食道下部のがんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、前立腺がん、
頭頸部がん(HPV、EBV、煙草、アルコールに誘導される頭頸部がんを含む)、膀胱
がん、肝細胞癌(HCC)、膵臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、神経内分
泌がん、および胆道がん(胆管がんおよび胆嚢がんを含む)、ならびに急性骨髄芽球性白
血病(AML)、骨髄線維症、および多発性骨髄腫(MM)などの血液がんを含むがこれ
らに限定されない。
【0048】
利用可能な技法は、とりわけ、IL-1βを、正常を超えるレベルまで発現させる場合
における、組織内のほか、血清中/血漿中のIL-1βの検出および定量化を可能とする
。例えば、R&D Systems製の高感度IL-1b ELISAキットを使用する
と、健常ドナー血清試料の大部分では、IL-1βを検出することができない。
【0049】
【表1】
【0050】
したがって、健常者では、IL-1βレベルは、かろうじて検出可能であるか、または
高感度R&D IL-1β ELISAキットによるこの検査に従う検出限界をわずかに
上回る。少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、正常を超えるレベル
のIL-1βを有し、同じキットで検出しうることが予測される。健常者におけるIL-
1β発現レベルを、正常レベル(参照レベル)と理解すると、「正常を超えるレベルのI
L-1β」という用語は、参照レベルを超えるIL-1βレベルと理解される。通常、参
照レベルの少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少
なくとも20倍を、正常を超えるレベルと考える。IL-1β経路の遮断は、通常、補償
機構を誘発し、IL-1βのさらなる産生をもたらす。したがって、「正常を超えるレベ
ルのIL-1β」という用語は、IL-1β阻害剤、好ましくは、IL-1β結合性抗体
またはこの断片の投与の前または後におけるIL-1βレベルを指す。好ましくは、「正
常を超えるレベルのIL-1β」という用語は、IL-1β阻害剤の投与の前におけるI
L-1βレベルを指す。IL-1β阻害剤以外の薬剤によるがんの処置は、より多くのI
L-1βの産生を結果としてもたらしうることもまた、観察されている。したがって、「
正常を超えるレベルのIL-1β」という用語は、前記薬剤の投与の前または後における
IL-1βレベルを指す。
【0051】
免疫染色などの染色を使用して、組織調製物中の、IL-1βの発現を検出する場合、
「正常を超えるレベルのIL-1β」という用語は、特異的IL-1βタンパク質、また
はIL-1βRNA検出分子が発生させる染色シグナルが、IL-1βを発現させない周
囲組織の染色シグナルより、識別可能に強いことを指す。
【0052】
炎症の構成要素は、異なる程度でではあるが、がんの発生において遍在する。さらなる
がんは、血液悪性腫瘍、脳腫瘍、骨がん、および鼻咽頭がんを含むがこれらに限定されな
い。血液悪性腫瘍は、血液、骨髄、およびリンパ節に影響を及ぼす種類のがんである。血
液悪性腫瘍は、罹患した細胞の種類に応じて、白血病、リンパ腫、および骨髄腫と称され
る。白血病は、急性リンパ芽球性白血病(成人または小児)、急性骨髄性白血病(成人ま
たは小児)、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、および有毛細胞白血病を含む。
リンパ腫は、AIDS関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉腫およびセザリー症
候群)、ホジキンリンパ腫(成人または小児)、菌状息肉腫、非ホジキンリンパ腫(成人
または小児)、原発性中枢神経系リンパ腫、セザリー症候群、皮膚T細胞リンパ腫(菌状
息肉腫およびセザリー症候群)、およびワルデンシュトロームマクログロブリン血症(非
ホジキンリンパ腫)を含む。他の血液悪性腫瘍は、慢性骨髄増殖性新生物、ランゲルハン
ス細胞組織球症、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、および骨髄異形成
性/骨髄増殖性新生物を含む。
【0053】
原発性脳腫瘍は、未分化星状細胞腫および神経膠芽腫、髄膜腫および他の間葉腫瘍、下
垂体腫瘍、シュワン細胞腫、CNSリンパ腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、低グレード星状
細胞腫、髄芽腫を含む。原発性脊髄腫瘍は、シュワン細胞腫、髄膜腫、ならびに上衣腫、
肉腫、星状細胞腫、血管腫瘍、脊索腫、および神経芽腫を含む。
【0054】
肝臓がんは、肝細胞癌、肝内胆管癌(胆管がん)、血管肉腫(angiosarcom
aおよびhemangiosarcoma)および肝芽腫を含む。
【0055】
鼻咽頭がんは、集合的に、頭頸部がんとして公知であり、通例、頭頸部(例えば、口腔
内、鼻腔、および咽頭)内の、湿潤した粘膜表面を覆う扁平上皮内で始まる。これらの扁
平上皮がんは、頭頸部の扁平上皮がんと称することが多い。頭頸部のがんは、それらが始
まる頭部または頸部の領域:口腔、咽頭、喉頭、副鼻腔、鼻腔、唾液腺により、さらに類
別される。
【0056】
一実施形態では、本発明は、肺がんの処置および/または防止における使用のための、
IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を提供するが、この場合、肺がんの発生率
は、このような処置を施されない患者と比較して、少なくとも30%、少なくとも40%
、または少なくとも50%低減する。
【0057】
肺がんは、小細胞肺がんおよび非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer)(NSC
LC)/非小細胞肺癌(non-small cell lung carcinoma)(NSCLC)を含む。NSC
LCとは、小細胞肺癌(SCLC)以外の、任意の種類上皮肺がんであり、扁平上皮(約
30%)、または非扁平上皮(-70%;腺癌組織構造および大細胞組織構造を含む)組
織型として細分化することができる。「NSCLC」という用語は、肺腺癌(本明細書で
は、「腺癌」と称する)、低分化大細胞癌、扁平上皮(類表皮)肺癌、腺扁平上皮癌、お
よび肉腫様癌、ならびに気管支肺胞癌を含むがこれらに限定されない。肺がんはまた、肺
への転移および小細胞肺がんも含む。本発明の一実施形態では、肺がんは、小細胞肺がん
である。別の実施形態では、肺がんは、NSCLCである。一実施形態では、肺がんは、
肺腺癌である。別の実施形態では、肺がんは、肺内の低分化大細胞癌である。別の実施形
態では、肺がんは、非扁平上皮肺がんである。本発明の別の実施形態では、肺がんは、扁
平上皮(類表皮)肺癌である。さらに別の実施形態では、肺がんは、腺扁平上皮癌または
肉腫様癌または肺への転移からなる群から選択される。
【0058】
本明細書で使用される「~を処置する(treat)」、「処置(treatment)」、および「~
を処置すること(treating)」という用語は、障害、例えば、増殖性障害の進行、重症度
、および/もしくは持続期間の低減もしくは改善、または1もしくは複数の治療の投与か
ら生じる障害の、1もしくは複数の症状、適切には、1もしくは複数の弁別可能な症状の
改善を指す。具体的な実施形態では、「~を処置する」、「処置」、および「~を処置す
ること」という用語は、必ずしも、患者により弁別可能でない、腫瘍の増殖など、増殖性
障害の、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善を指す。他の実施形態では
、「~を処置する」、「処置」、および「~を処置すること」という用語は、増殖性障害
の進行の阻害であって、物理的に、例えば、弁別可能な症状の安定化による阻害、生理学
的に、例えば、物理的パラメータの安定化による阻害、または両方による阻害を指す。他
の実施形態では、「~を処置する」、「処置」、および「~を処置すること」という用語
は、腫瘍サイズまたはがん性細胞カウントの低減または安定化を指す。少なくとも部分的
な炎症ベースを有するがんに関する限りにおいて、肺がんを例に取ると、処置という用語
は、以下:肺がんの1または複数の症状を緩和すること、肺がんの進行を遅延させること
、肺がん患者における腫瘍サイズを退縮させること、肺がんによる腫瘍増殖を阻害するこ
と、全生存を延長すること、無進行生存を延長すること、肺がんによる腫瘍転移を防止す
るか、もしくは遅延させること、既存の肺がんによる腫瘍転移を軽減すること(根絶する
ことなど)、既存の肺がんによる腫瘍転移の発生もしくは負荷を軽減すること、または肺
がんの再発を防止することのうちの少なくとも1つを指す。
【0059】
NSCLCは、確立されたガイドライン、例えば、Goldstraw P. et al. The IASLC lu
ng cancer staging project: proposals for revision of the TNM stage groupings in
the forthcoming (eighth) edition of the TNM classification for lung cancer. Jour
nal of Thoracic Oncology 2016;11(1):39-51により要約された、AJCC Cancer Staging M
anual. 8th ed. New York: Springer; 2017に従い、病期分類されている。病期Iは、リ
ンパ節へと拡散していない限局腫瘍を特徴とする。病期IIは、肺の一部の周囲内に含有
されたリンパ節へと拡散した限局腫瘍を特徴とする。一般に、病期IまたはIIは、手術
による除去に適したサイズおよび位置を提示するので、初期と考えられる。
【0060】
病期IIIは、肺内に含有されない所属リンパ節、例えば、縦隔リンパ節へと拡散した
限局腫瘍を特徴とする。病期IIIは、2つの亜病期:リンパ節転移が、原発腫瘍と、肺
の同じ側にある病期IIIA、およびがんが、肺の反対側、鎖骨上方のリンパ節、肺周囲
の体液へと拡散するか、またはがんが、胸部の最重要構造へと増殖する病期IIIBへと
、さらに分けられる。病期IVは、がんの、肺の異なる区画(肺葉)、または体内の遠隔
部位、例えば、脳、骨、肝臓、および/もしくは副腎への拡散を特徴とする。
【0061】
好ましい実施形態では、患者は、早期の肺がん、とりわけ、NSCLCを有する。好ま
しい実施形態では、患者は、イメージングベースの肺がんスクリーニングの後で、肺がん
を伴うと診断されている。別の実施形態では、肺がんは、進行性肺がん、転移性肺がん、
再発性肺がん、および/または不応性肺がんである。一実施形態では、患者は、病期IA
のNSCLCを有する。一実施形態では、患者は、病期IBのNSCLCを有する。一実
施形態では、患者は、病期IIAのNSCLCを有する。一実施形態では、患者は、病期
IIBのNSCLCを有する。一実施形態では、患者は、病期IIIAのNSCLCを有
する。一実施形態では、患者は、病期IIIBのNSCLCを有する。さらなる実施形態
では、患者は、病期IVのNSCLCを有する。
【0062】
一実施形態では、患者は、現在の喫煙者と、過去の喫煙者とを含む喫煙者である。CA
NTOS試験のデータは、喫煙者における肺がんの発生率は、非喫煙者における発生率よ
り高いという、一般的な考えと符合する。現在の喫煙者および過去の喫煙者のいずれも、
処置群内のハザード比を、プラセボと比較して低減したが、喫煙による層別化は、現在の
喫煙者における、カナキヌマブの、肺がんに対する相対的有益性が、過去の喫煙者におけ
る場合と比較して大きいこと(現在の喫煙者についてのHR:0.50、P=0.005
;過去の喫煙者についてのHR:0.61、P=0.006)を指し示した。CANTO
S試験では、具体的に、現在の喫煙者は、スクリーニング時において、最近30日以内に
喫煙した者として規定される。過去の喫煙者の規定は、過去に喫煙したが、スクリーニン
グ時において、最近30日以内に喫煙しなかった者である。
【0063】
したがって、一実施形態では、対象は、喫煙者である。さらなる一実施形態では、対象
は、過去の喫煙者である。一実施形態では、本発明は、肺がんの処置および/または防止
における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を提供するが、こ
の場合、肺がんの発生率は、喫煙者について、このような処置を施されない喫煙者と比較
して、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する。
【0064】
一実施形態では、対象は、肺がんを伴う男性患者である。一実施形態では、前記男性患
者は、現在または過去の喫煙者である。
【0065】
一実施形態では、本発明は、正常を超えるレベルのC反応性タンパク質(hsCRP)
を有する患者の、肺がんを含む少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置および
/または防止における、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナ
キヌマブまたはこの機能的な断片、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片の使用を提供す
る。さらなる一実施形態では、この患者は、喫煙者である。さらなる一実施形態では、こ
の患者は、現在の喫煙者である。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有し、おそ
らく、正常を超えるhsCRPレベルを呈示する患者がいるがんは、肺がん、とりわけ、
NSCLC、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(
RCC)、乳がん、前立腺がん、頭頸部がん、膀胱がん、肝細胞癌(HCC)、卵巣がん
、子宮頸がん、子宮内膜がん、膵臓がん、神経内分泌がん、多発性骨髄腫、急性骨髄芽球
性白血病(AML)、および胆道がんを含むがこれらに限定されない。
【0066】
正常を超えるレベルのC反応性タンパク質(hsCRP)は特に、肺がん、とりわけ、
NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、
乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵
臓がんを含むがこれらに限定されないがんにおいて報告されている。
【0067】
本明細書で使用される「C反応性タンパク質」および「CRP」とは、典型的に、炎症
に対する急性期応答の指標として使用される、血清中または血漿中のC反応性タンパク質
を指す。しかしながら、CRPレベルは、がんなどの慢性疾病において上昇しうる。血清
中または血漿中のCRPレベルは、任意の濃度、例えば、mg/dl、mg/L、1L当
たりのナノモルで示すことができる。CRPのレベルは、周知の様々な方法、例えば、放
射状免疫拡散、エレクトロイムノアッセイ、免疫比濁法(例えば、粒子(例えば、ラテッ
クス)増強型免疫比濁アッセイ)、ELISA、比濁方法、蛍光偏光イムノアッセイ、お
よびレーザーネフェロメトリーにより測定することができる。CRPのための検査は、標
準的CRP検査または高感度CRP(hsCRP)検査(すなわち、例えば、イムノアッ
セイまたはレーザーネフェロメトリーを使用して、試料中の低CRPレベルを測定するこ
とが可能な高感度検査)を採用しうる。CRPレベルを検出するためのキットは、多様な
企業、例えば、Calbiotech,Inc、Cayman Chemical、Ro
che Diagnostics Corporation、Abazyme、DADE
Behring、Abnova Corporation、Aniara Corpo
ration、Bio-Quant Inc.、Siemens Healthcare
Diagnostics、Abbott Laboratoriesなどから購入する
ことができる。
【0068】
本明細書で使用される「hsCRP」という用語は、高感度CRP検査により測定され
る、血液(血清または血漿)中のCRPレベルを指す。例えば、Tina-quant
C反応性タンパク質(ラテックス)高感度アッセイ(Roche Diagnostic
s Corporation)を、対象のhsCRPレベルを定量化するために使用する
ことができる。このようなラテックス増強型免疫比濁アッセイは、Cobas(登録商標
)プラットフォーム(Roche Diagnostics Corporation)
、またはRoche/Hitachi(例えば、Modular P)アナライザー上で
解析することができる。CANTOS試験では、hsCRPレベルは、典型的に、かつ、
好ましくは、hsCRPレベルの測定における方法として使用されうる、Roche/H
itachi Modular Pアナライザー上の、Tina-quant C反応性
タンパク質(ラテックス)高感度アッセイ(Roche Diagnostics Co
rporation)により測定された。代替的に、hsCRPレベルは、別の方法、例
えば、別の承認されたコンパニオン診断キットであって、その値を、Tina-quan
t法により測定された値に照らして較正しうるキットにより測定することもできる。
【0069】
各地域の検査室は、異常な(高)CRPまたはhsCRPのためのカットオフ値であっ
て、正常な最大のCRPを計算するための、この検査室の規則に基づくカットオフ値、す
なわち、この検査室の参照基準に基づくカットオフ値を採用する。医師は、一般に、地域
の検査室に、CRP検査を依頼し、地域の検査室は、CRP値またはhsCRP値を決定
し、特定の検査室が、正常CRPを計算するのに採用する規則を使用して、すなわち、そ
の参照基準に基づき正常または異常な(低値または高値の)CRPを報告する。したがっ
て、患者が、正常を超えるレベルのC反応性タンパク質(hsCRP)を有するのかどう
かは、検定が行われる地域の検査室により決定される。
【0070】
本発明は、初めて、被験投与範囲を伴う臨床状況において、カナキヌマブが、全肺がん
および致死性肺がんのハザードの低減において効果的であることを示した。効果は、カナ
キヌマブの最高用量(300mgで、2週間にわたり2回であり、次いで、3カ月ごとに
)へと割り付けられたコホートにおいて、最も顕著である。
【0071】
さらに、本発明は、初めて、臨床状況において、IL-1β抗体であるカナキヌマブが
、hsCRPレベルを低減するのに効果的であり、hsCRPの低減が、肺がんを処置お
よび/または防止するときの効果と連関することを示した。よって、カナキヌマブまたは
ゲボキズマブなどのIL-1β抗体またはこの断片が、患者における、少なくとも部分的
な炎症ベースを有する他のがんを、処置および/または防止するとき、とりわけ、前記患
者が、正常を超えるレベルのhsCRPを有する場合に効果的であることは、妥当である
【0072】
さらに、本発明は、その中では、HsCRPレベルを、ある特定の閾値へと低減するこ
とが可能であり、それ未満では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う、よ
り多くの患者が、レスポンダーとなりうるか、またはそれ未満では、同じ患者が、副作用
は、無視できるか、または忍容可能である、本発明の薬物の、大きな治療効果から、より
多くの利益を得うる、有効な用量範囲を提供する。
【0073】
一実施形態では、本発明は、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回
投与の前に、好ましくは、2mg/L以上、3mg/L以上、4mg/L以上、5mg/
L以上、6mg/L以上、7mg/L以上、8mg/L以上、9mg/L以上、10mg
/L以上、12mg/L以上、15mg/L以上、20mg/L以上、または25mg/
L以上のレベルの高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を有する患者における、肺が
んを含む少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置および/または防止のための
、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブまたはゲボキ
ズマブの使用を提供する。好ましくは、前記患者は、4mg/L以上のhsCRPレベル
を有する。好ましくは、前記患者は、6mg/L以上のhsCRPレベルを有する。好ま
しくは、前記患者は、10mg/L以上のhsCRPレベルを有する。好ましくは、前記
患者は、20mg/L以上のhsCRPレベルを有する。さらなる一実施形態では、この
患者は、喫煙者である。さらなる一実施形態では、この患者は、現在の喫煙者である。
【0074】
一実施形態では、本発明は、本発明の薬物の初回投与の前に、好ましくは、2mg/L
以上、6mg/L以上、10mg/L以上、または20mg/L以上のレベルの高感度C
反応性タンパク質(hsCRP)を有する患者における、少なくとも部分的な炎症ベース
を有するがんの処置のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には
、カナキヌマブまたはゲボキズマブの使用を提供する。好ましい実施形態では、少なくと
も部分的な炎症ベースを有するがんは、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、
黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)
、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵臓がんからなるリストから選
択される。
【0075】
一実施形態では、本発明は、本発明の薬物の初回投与の前に、好ましくは、2mg/L
以上、6mg/L以上、10mg/L以上、または20mg/L以上のレベルの高感度C
反応性タンパク質(hsCRP)を有する患者における、CRCの処置のための、IL-
1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブまたはゲボキズマブの
使用を提供する。
【0076】
一実施形態では、本発明は、本発明の薬物の初回投与の前に、好ましくは、2mg/L
以上、6mg/L以上、10mg/L以上、または20mg/L以上のレベルの高感度C
反応性タンパク質(hsCRP)を有する患者における、RCCの処置のための、IL-
1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブまたはゲボキズマブの
使用を提供する。
【0077】
一実施形態では、本発明は、本発明の薬物の初回投与の前に、好ましくは、2mg/L
以上、6mg/L以上、10mg/L以上、または20mg/L以上のレベルの高感度C
反応性タンパク質(hsCRP)を有する患者における、膵臓がんの処置のための、IL
-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブまたはゲボキズマブ
の使用を提供する。
【0078】
一実施形態では、本発明は、本発明の薬物の初回投与の前に、好ましくは、2mg/L
以上、6mg/L以上、10mg/L以上、または20mg/L以上のレベルの高感度C
反応性タンパク質(hsCRP)を有する患者における、黒色腫の処置のための、IL-
1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブまたはゲボキズマブの
使用を提供する。
【0079】
一実施形態では、本発明は、本発明の薬物の初回投与の前に、好ましくは、2mg/L
以上、6mg/L以上、10mg/L以上、または20mg/L以上のレベルの高感度C
反応性タンパク質(hsCRP)を有する患者における、HCCの処置のための、IL-
1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブまたはゲボキズマブの
使用を提供する。
【0080】
一実施形態では、本発明は、本発明の薬物の初回投与の前に、好ましくは、2mg/L
以上、6mg/L以上、10mg/L以上、または20mg/L以上のレベルの高感度C
反応性タンパク質(hsCRP)を有する患者における、胃がん(食道がんを含む)の処
置のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブま
たはゲボキズマブの使用を提供する。
【0081】
一実施形態では、本発明は、アテローム性動脈硬化を有する患者における、肺がんの処
置および/または防止のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切に
は、カナキヌマブの使用を提供する。
【0082】
一実施形態では、本発明は、適格のCV事象を患ったことがある患者における、肺がん
の処置および/または防止のための、カナキヌマブの使用を提供する。
【0083】
本明細書で使用される「適格のCV事象」という用語は、IL-1β結合性抗体または
この機能的な断片による治療の開始に前駆する、心筋梗塞(MI)、脳卒中、不安定狭心
症、再血管形成、ステント血栓症、急性冠動脈症候群、または他の任意のCV事象(心血
管死を除外する)を含む群から選択される。
【0084】
一実施形態では、本発明は、過去に心筋梗塞を患ったことがある患者における、肺がん
の処置および/または防止のための、カナキヌマブの使用を提供する。さらなる実施形態
では、前記患者は、心筋梗塞後安定の患者である。
【0085】
IL-1β阻害剤は、カナキヌマブまたはこの機能的な断片、ゲボキズマブまたはこの
機能的な断片、アナキンラ、ジアセレイン、リロナセプト、IL-1アフィボディー(S
OBI 006、Z-FC(Swedish Orphan Biovitrum/Af
fibody))、およびルチキズマブ(ABT-981)(Abbott)、CDP-
484(Celltech)、LY-2189102(Lilly)を含むがこれらに限
定されない。
【0086】
本発明の任意の使用または方法についての、一実施形態では、前記IL-1β結合性抗
体は、カナキヌマブである。カナキヌマブ(ACZ885)は、IL-1βに駆動される
炎症性疾患の処置のために開発された、インターロイキン1βに対する、高アフィニティ
ーの、完全ヒトIgG1/kモノクローナル抗体である。カナキヌマブは、ヒトIL-1
βに結合し、これにより、このサイトカインと、その受容体との相互作用を遮断するよう
にデザインされている。カナキヌマブについては、参照によりその全体において本明細書
に組み込まれる、国際公開第02/16436号パンフレットにおいて開示されている。
【0087】
本発明の任意の使用または方法についての、他の実施形態では、前記IL-1β結合性
抗体は、ゲボキズマブである。ゲボキズマブ(XOMA-052)は、IL-1βに駆動
される炎症性疾患の処置のために開発された、インターロイキン1βに対する、高アフィ
ニティーの、完全ヒトIgG2アイソタイプモノクローナル抗体である。ゲボキズマブは
、そのシグナル伝達受容体に結合するIL-1βをモジュレートする。ゲボキズマブにつ
いては、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、国際公開第2007/0
02261号パンフレットにおいて開示されている。
【0088】
一実施形態では、前記IL-1β結合性抗体は、ヒト化インターロイキン1ベータ(I
L-1β)モノクローナル抗体である、LY-2189102である。
【0089】
一実施形態では、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片は、IL-1βを
遮断する抗体断片である、CDP-484(Celltech)である。
【0090】
一実施形態では、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片は、IL-1アフ
ィボディー(SOBI 006、Z-FC(Swedish Orphan Biovi
trum/Affibody))である。
【0091】
一実施形態では、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片は、インターロイ
キン1アルファ(IL-1α)およびインターロイキン1ベータ(IL-1β)をターゲ
ティングする二重可変ドメイン抗体である、ルチキズマブ(ABT-981)(Abbo
tt)である。
【0092】
本発明は、初めて、臨床状況において、IL-1β抗体であるカナキヌマブが、hsC
RPレベルを低減するのに効果的であり、hsCRPの低減が、肺がんを処置および/ま
たは防止するときの効果と連関することを示した。IL-1β抗体またはこの機能的な断
片などのIL-1β阻害剤を、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者に
おける、hsCRPレベルを、効果的に低減しうる用量範囲で投与する場合、前記がんの
処置効果が、おそらく、達成されうる。特定のIL-1β阻害剤、好ましくは、IL-1
β抗体またはこの機能的な断片の用量範囲であって、hsCRPレベルを、効果的に低減
しうる用量範囲は、公知であるか、または臨床状況において調べることができる。
【0093】
したがって、一実施形態では、本発明は、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断
片を、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんを伴う患
者へと、処置1回当たり約30mg~約750mgの範囲、好ましくは、処置1回当たり
約60mg~約400mg、代替的に、100mg~600mg、100mg~450m
g、100mg~300mg、代替的に、150mg~600mg、150mg~450
mg、150mg~300mg、好ましくは、処置1回当たり150mg~300mg;
代替的に、処置1回当たり約90mg~約300mg、または約90mg~約200mg
、代替的に、処置1回当たり少なくとも150mg、少なくとも180mg、少なくとも
300mg、少なくとも250mg、少なくとも300mgの範囲で投与することを含む
。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含む
がんを伴う患者は、各処置を、2週間ごとに、3週間ごとに、4週間ごとに(毎月)、6
週間ごとに、隔月で(2カ月ごとに)、または季節ごとに(3カ月ごとに)施される。本
出願で使用され、特に、この文脈で使用される、「処置1回当たり」という用語は、来院
により、または自己投与により、または医療ケア従事者の介助を介する投与により施され
る薬物の総量として理解されたい。処置1回当たりに施される薬物の総量は、患者へと、
1日以内、好ましくは、半日以内、好ましくは、4時間以内、好ましくは、2時間以内に
投与することが通常であり、好ましい。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有す
るがんは、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを
含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、A
ML、多発性骨髄腫、および膵臓がんを含むがこれらに限定されない。
【0094】
好ましい一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺が
んを含むがんを伴う患者は、処置1回当たり約90mg~約450mgの用量の、IL-
1β結合性抗体またはこの機能的な断片を施される。一実施形態では、少なくとも部分的
な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、本発明の薬物を、毎月施される。一実施形態で
は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、本発明の薬物を、3週間
ごとに施される。一実施形態では、肺がんを伴う患者は、本発明の薬物を、毎月施される
。一実施形態では、肺がんを伴う患者は、本発明の薬物を、3週間ごとに施される。一実
施形態では、本発明の薬物の範囲は、少なくとも150mg、または少なくとも200m
gである。一実施形態では、本発明の薬物の範囲は、180mg~450mgである。
【0095】
一実施形態では、前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、乳がんである。
一実施形態では、前記がんは、結腸直腸がんである。一実施形態では、前記がんは、胃が
んである。一実施形態では、前記がんは、RCCである。一実施形態では、前記がんは、
黒色腫である。一実施形態では、前記がんは、膵臓がんである。
【0096】
実際は、場合によって、医師、患者、または薬物/施設の利用の限界に起因して、時間
間隔が、厳密に保持されるわけではない。したがって、時間間隔は、通常、±5日間、±
4日間、±3日間、±2日間または、好ましくは、±1日間の間で変動しうる。
【0097】
一実施形態では、本発明は、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を、少なく
とも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんを伴う患者へと、10
0mg~約750mgの総用量、代替的に、100mg~600mg、100mg~45
0mg、100mg~300mg、代替的に、150mg~600mg、150mg~4
50mg、150mg~300mgの総用量、代替的に、少なくとも150mg、少なく
とも180mg、少なくとも250mg、少なくとも300mgの総用量で、2週間、3
週間、4週間、6週間、8週間、または12週間、好ましくは、4週間の期間にわたり投
与することを含む。一実施形態では、本発明の薬物の総用量は、180mg~450mg
である。
【0098】
一実施形態では、本発明の薬物の総用量は、上記で規定された期間にわたり、複数回、
好ましくは、2、3、または4回投与される。一実施形態では、本発明の薬物は、上記で
規定された期間にわたり、1回投与される。
【0099】
場合によって、少なくとも部分的な炎症ベースを有する、肺がんを含むがんを伴うと診
断された患者の炎症を速やかに低減することが所望である。ヒト単核血液、ヒト血管内皮
、およびin vitroの血管平滑筋細胞、ならびにIL-1が、それ自身の遺伝子発
現および循環IL-1βレベルを誘導することが示されている、in vivoのウサギ
では、IL-1βの自己誘導が示されている(Dinarello et al. 1987, Warner et al. 1
987aおよび Warner et al. 1987b)。
【0100】
第1の用量の投与に続く、第1の用量の投与の2週間後における、第2の用量の投与に
よる、2週間にわたるこの誘導期間は、IL-1β経路の自己誘導が、処置の開始時に、
十分に阻害されることを確保するためのものである。この初期の高用量投与により達成さ
れる、IL-1β関連遺伝子発現の完全な抑制であって、CANTOSにおいて使用され
た、季節ごとの投与期間の全体にわたり持続することが実証された、連続カナキヌマブ処
置の効果とカップリングされた抑制は、IL-1βリバウンドの潜在的可能性を最小化す
るためのものである。加えて、急性炎症の状況下におけるデータは、誘導を通じて達成さ
れうる、カナキヌマブの初期高用量は、安全であり、IL-1βの潜在的な自己誘導に関
する懸念を解消し、IL-1βに関する遺伝子発現の、より大幅な早期抑制を達成する機
会をもたらすことを示唆する。
【0101】
したがって、一実施形態では、本発明は、上記で記載された投与スケジュールを保ちな
がら、とりわけ、本発明の薬物の2回目の投与は、初回の投与から、最大で2週間、好ま
しくは、2週間隔てられることを想定する。次いで、3回目およびさらなる投与は、2週
間ごと、3週間ごと、4週間ごと(毎月)、6週間ごと、隔月(2カ月ごと)、または季
節ごと(3カ月ごと)のスケジュールに従う。
【0102】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体は、カナキヌマブであり、この場合、カナキヌ
マブは、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんを伴う
患者へと、処置1回当たり約100mg~約750mg、代替的に、100mg~600
mg、100mg~450mg、100mg~300mg、代替的に、処置1回当たり1
50mg~600mg、150mg~450mg、150mg~300mg、代替的に、
約200mg~400mg、200mg~300mg、代替的に、処置1回当たり少なく
とも150mg、少なくとも200mg、少なくとも250mg、少なくとも300mg
の範囲で投与される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであ
って、肺がんを含むがんを伴う患者は、各処置を、2週間ごとに、3週間ごとに、4週間
ごとに(毎月)、6週間ごとに、隔月で(2カ月ごとに)、または季節ごとに(3カ月ご
とに)施される。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、肺がん、と
りわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(R
CC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、
および膵臓がんを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、肺がんを伴う患者は、
カナキヌマブを、毎月または3週間ごとに施される。一実施形態では、カナキヌマブの、
好ましい用量範囲は、処置1回当たり200mg~450mg、さらに好ましくは、30
0mg~450mg、さらに好ましくは、350mg~450mgである。一実施形態で
は、肺がんを伴う患者のための、カナキヌマブの、好ましい用量範囲は、3週間ごとに、
または毎月、200mg~450mgである。一実施形態では、肺がんを伴う患者のため
の、カナキヌマブの、好ましい用量は、3週間ごとに、200mgである。一実施形態で
は、肺がんを伴う患者のための、カナキヌマブの、好ましい用量は、毎月、200mgで
ある。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、カナ
キヌマブを、毎月または3週間ごとに施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎
症ベースを有するがんを伴う患者は、200mg~450mgの用量範囲のカナキヌマブ
を、毎月または3週間ごとに施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベース
を有するがんを伴う患者は、200mgの用量のカナキヌマブを、毎月または3週間ごと
に施される。
【0103】
適切な上記の用量および投与は、本発明に従う、カナキヌマブの機能的な断片の使用に
適用される。
【0104】
一実施形態では、本発明は、カナキヌマブを、少なくとも部分的な炎症ベースを有する
がんであって、肺がんを含むがんを伴う患者へと、100mg~約750mgの総用量、
代替的に、100mg~600mg、100mg~450mg、100mg~300mg
、代替的に、150mg~600mg、150mg~450mg、150mg~300m
g、好ましくは、150mg~300mg、好ましくは、300mg~450mg;代替
的に、少なくとも150mg、少なくとも200mg、少なくとも250mg、少なくと
も300mg、好ましくは、少なくとも300mgで、2週間、3週間、4週間、6週間
、8週間、または12週間、好ましくは、4週間の期間にわたり投与することを含む。一
実施形態では、カナキヌマブは、上記で規定された期間にわたり、複数回、好ましくは、
2、3、または4回投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、上記で規定された期
間にわたり、1回投与される。一実施形態では、カナキヌマブの好ましい総用量は、20
0mg~450mg、さらに好ましくは、300mg~450mg、さらに好ましくは、
350mg~450mgである。
【0105】
一実施形態では、本発明は、上記で記載された投与スケジュールを保ちながら、とりわ
け、カナキヌマブの2回目の投与は、初回の投与から、最大で2週間、好ましくは、2週
間隔てられることを想定する。
【0106】
一実施形態では、本発明は、150mgの用量のカナキヌマブを、2週間ごとに、3週
間ごとに、または毎月、投与することを含む。
【0107】
一実施形態では、本発明は、300mgの用量のカナキヌマブを、2週間ごとに、3週
間ごとに、毎月、6週間ごとに、隔月で(2カ月ごと)、または季節ごとに(3カ月ごと
に)投与することを含む。
【0108】
一実施形態では、本発明は、300mgの用量のカナキヌマブを、1カ月間当たり1回
(毎月)投与することを含む。さらなる一実施形態では、本発明は、上記で記載された投
与スケジュールを保ちながら、とりわけ、300mgのカナキヌマブの2回目の投与は、
初回の投与から、最大で2週間、好ましくは、2週間隔てられることを想定する。
【0109】
本発明の一実施形態では、カナキヌマブは、それを必要とする患者へと、2週間の期間
にわたり、2回、次いで、3カ月ごとに300mgで投与される。
【0110】
一実施形態では、前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、乳がんである。
一実施形態では、前記がんは、結腸直腸がんである。一実施形態では、前記がんは、胃が
んである。一実施形態では、前記がんは、腎癌である。一実施形態では、前記がんは、黒
色腫である。
【0111】
一実施形態では、本発明は、ゲボキズマブを、少なくとも部分的な炎症ベースを有する
がんであって、肺がんを含むがんを伴う患者へと、処置1回当たり約30mg~約450
mg、代替的に、処置1回当たり90mg~450mg、90mg~360mg、90m
g~270mg、90mg~180mg;代替的に、処置1回当たり120mg~450
mg、120mg~360mg、120mg~270mg、120mg~180mg、代
替的に、処置1回当たり150mg~450mg、150mg~360mg、150mg
~270mg、150mg~180mg、代替的に、処置1回当たり180mg~450
mg、180mg~360mg、180mg~270mg;代替的に、処置1回当たり約
60mg~約360mg、約60mg~約180mg;代替的に、処置1回当たり少なく
とも150mg、少なくとも180mg、少なくとも240mg、少なくとも270mg
の範囲で投与することを含む。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有する
がんであって、肺がんを含むがんを伴う患者は、処置を、2週間ごとに、3週間ごとに、
毎月(4週間ごとに)、6週間ごとに、隔月で(2カ月ごとに)、または季節ごとに(3
カ月ごとに)施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんで
あって、肺がんを含むがんを伴う患者は、1カ月間当たり、少なくとも1回、好ましくは
、1回の処置を施される。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、肺
がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細
胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性
骨髄腫、および膵臓がんを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、ゲボキズマブ
の好ましい範囲は、150mg~270mgである。一実施形態では、ゲボキズマブの好
ましい範囲は、60mg~180mg、さらに好ましくは、60mg~90mgである。
一実施形態では、ゲボキズマブの好ましい範囲は、90mg~270mg、さらに好まし
くは、90mg~180mgである。一実施形態では、好ましいスケジュールは、3週間
ごと、または毎月である。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、6
0mg~90mg施される。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、毎月、60mg
~90mg施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴
う患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、約90mg~約360mg、90mg~約2
70mg、120mg~270mg、90mg~180mg、120mg~180mg、
120mg、または90mg施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベース
を有するがんを伴う患者は、ゲボキズマブを、毎月、約90mg~約360mg、90m
g~約270mg、120mg~270mg、90mg~180mg、120mg~18
0mg、120mg、または90mg施される。
【0112】
一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、ゲボキズ
マブを、3週間ごとに、約120mg施される。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブ
を、毎月、約120mg施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有
するがんを伴う患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、約90mg施される。一実施形
態では、患者は、ゲボキズマブを、毎月、約90mg施される。一実施形態では、少なく
とも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、約
180mg施される。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、毎月、約180mg施
される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、ゲ
ボキズマブを、3週間ごとに、約200mg施される。一実施形態では、患者は、ゲボキ
ズマブを、毎月、約200mg施される。
【0113】
適切な上記の用量および投与は、本発明に従う、ゲボキズマブの機能的な断片の使用に
適用される。
【0114】
一実施形態では、本発明は、ゲボキズマブを、肺がんを伴う患者へと、90mg~45
0mg、90mg~360mg、90mg~270mg、90mg~180mgの総用量
、代替的に、120mg~450mg、120mg~360mg、120mg~270m
g、120mg~180mg、代替的に、150mg~450mg、150mg~360
mg、150mg~270mg、150mg~180mg、代替的に、180mg~45
0mg、180mg~360mg、180mg~270mg、代替的に、少なくとも90
mg、少なくとも120mg、少なくとも150mg、少なくとも180mgで、2週間
、3週間、4週間、6週間、8週間、または12週間、好ましくは、4週間の期間にわた
り投与することを含む。一実施形態では、ゲボキズマブは、上記で規定された期間にわた
り、複数回、好ましくは、2、3、または4回投与される。一実施形態では、ゲボキズマ
ブは、上記で規定された期間にわたり、1回投与される。一実施形態では、ゲボキズマブ
の好ましい総用量は、180mg~360mgである。一実施形態では、肺がんを伴う患
者は、1カ月間当たり、ゲボキズマブによる、少なくとも1回、好ましくは、1回の処置
を施される。
【0115】
一実施形態では、本発明は、上記で記載された投与スケジュールを保ちながら、とりわ
け、ゲボキズマブの2回目の投与は、初回の投与から、最大で2週間、好ましくは、2週
間隔てられることを想定する。
【0116】
一実施形態では、本発明は、60mgの用量のゲボキズマブを、2週間ごとに、3週間
ごとに、または毎月、投与することを含む。
【0117】
一実施形態では、本発明は、90mgの用量のゲボキズマブを、2週間ごとに、3週間
ごとに、または毎月、投与することを含む。
【0118】
一実施形態では、本発明は、180mgの用量のゲボキズマブを、2週間ごとに、3週
間(±3日間)ごとに、毎月、6週間ごとに、隔月で(2カ月ごとに)、または季節ごと
に(3カ月ごとに)投与することを含む。
【0119】
一実施形態では、本発明は、180mgの用量のゲボキズマブを、1カ月間当たり1回
(毎月)投与することを含む。さらなる一実施形態では、上記で記載された投与スケジュ
ールを保ちながら、180mgのゲボキズマブの2回目の投与は、初回の投与から、最大
で2週間、好ましくは、2週間隔てられることを想定する。
【0120】
一実施形態では、前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、乳がんである。
一実施形態では、前記がんは、結腸直腸がんである。一実施形態では、前記がんは、胃が
んである。一実施形態では、前記がんは、腎癌である。一実施形態では、前記がんは、黒
色腫である。
【0121】
一実施形態では、本発明は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺
がんを含むがんの処置および/または防止における使用のための、IL-1β結合性抗体
またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブを提供するが、この場合、少なくとも
部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんの危険性は、初回投与から
3カ月後において、処置を施されない患者と比較して、少なくとも30%、少なくとも4
0%、少なくとも50%低減する。好ましい一実施形態では、初回投与の用量は、300
mgである。さらに好ましい一実施形態では、初回投与の用量は、300mgであり、こ
れに続き、2週間以内における、300mgの2回目の投与が行われる。好ましくは、結
果は、3週間ごとに投与される、200mgのカナキヌマブの用量で達成される。好まし
くは、結果は、毎月投与される、200mgのカナキヌマブの用量で達成される。
【0122】
一実施形態では、本発明は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺
がんを含むがんの処置および/または防止における使用のための、IL-1β結合性抗体
またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブを提供するが、この場合、肺がんによ
る死亡の危険性は、処置を施されない患者と比較して、少なくとも30%、少なくとも4
0%、または少なくとも50%低減する。好ましくは、結果は、3週間ごとに投与される
、200mgのカナキヌマブの用量で、または毎月投与される、300mgのカナキヌマ
ブの用量で、好ましくは、少なくとも1年間にわたるもので、好ましくは、最大で3年間
にわたるもので達成される。
【0123】
一実施形態では、本発明は、肺がんの処置および/または防止における使用のための、
IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブを提供するが、
この場合、腺癌または低分化大細胞癌の発生率は、このような処置を施されない患者と比
較して、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する。好ま
しくは、結果は、300mgの用量のカナキヌマブの毎月の投与、または、好ましくは、
3週間ごとにまたは毎月投与される、200mgのカナキヌマブの用量で、好ましくは、
少なくとも1年間にわたるもので、好ましくは、最大で3年間にわたるもので達成される
【0124】
一実施形態では、本発明は、がんの処置および/または防止における使用のための、I
L-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブを提供するが、こ
の場合、がんによる死亡の全危険性は、このような処置を施されない患者と比較して、少
なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する。好ましくは、結
果は、好ましくは、少なくとも1年間にわたり、好ましくは、最大で3年間にわたり、毎
月投与される300mgもしくは200mgのカナキヌマブの用量で、または好ましくは
3週間ごとに好ましくは皮下投与される200mgのカナキヌマブの用量で達成される。
【0125】
一実施形態では、本発明は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置におけ
る使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマ
ブまたはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片を提供する
が、この場合、前記がんによる死亡の危険性は、処置を施されない患者と比較して、少な
くとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する。好ましくは、結果
は、3週間ごとにまたは毎月投与される、200mgのカナキヌマブの用量で、好ましく
は、少なくとも1年間にわたるもので、好ましくは、最大で3年間にわたるもので達成さ
れる。好ましくは、結果は、3週間ごとに、または毎月投与される、120mgのゲボキ
ズマブの用量で、好ましくは、少なくとも1年間にわたるもので、好ましくは、最大で3
年間にわたるもので達成される。好ましくは、結果は、3週間ごとに、または毎月投与さ
れる、90mgのゲボキズマブの用量で、好ましくは、少なくとも1年間にわたるもので
、好ましくは、最大で3年間にわたるもので達成される。
【0126】
一実施形態では、本発明は、肺がんの処置および/または防止における使用のためのカ
ナキヌマブを提供するが、この場合、カナキヌマブの最高用量(300mgで、2週間に
わたり2回であり、次いで、3カ月ごとに)へと無作為に割り付けられた参加者では、効
果は、用量依存的であり、相対ハザードの低減は、全肺がんおよび致死性肺がんのそれぞ
れについて、67%および77%であった。
【0127】
一実施形態では、本発明は、肺がんの処置および/または防止における使用のためのカ
ナキヌマブを提供するが、この場合、初回投与から、数週間以内に、カナキヌマブの、肺
がんの発生に対する、有益な効果が観察される。好ましい一実施形態では、初回投与の用
量は、300mgである。さらに好ましい一実施形態では、初回投与の用量は、300m
gであり、これに続き、2週間以内における、300mgの2回目の投与が行われる。さ
らに好ましい一実施形態では、200mgの用量のカナキヌマブは、3週間ごとに、また
は毎月、投与される。
【0128】
一態様では、本発明は、患者の、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって
、肺がん、とりわけ、NSCLCを含むがんの処置における使用のための、IL-1β結
合性抗体またはこの機能的な断片を提供するが、この場合、処置の有効性は、前記患者に
おけるhsCRPの、既往の処置と比較した低減と相関する。一実施形態では、本発明は
、患者の、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がん、とりわけ、N
SCLCを含むがんの処置における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能
的な断片を提供するが、この場合、前記患者のCRPレベル、より正確には、hsCRP
レベルは、好ましくは、本発明の投与レジメンに従う適正用量における、前記IL-1β
結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与から、約6カ月後、または、好ましくは、
約3カ月後において、15mg/L未満、10mg/L未満、好ましくは、6mg/L未
満、好ましくは、4mg/L未満、好ましくは、3mg/L未満、好ましくは、2.3m
g/L未満、好ましくは、2mg/L未満、1.8mg/L未満へと低減した。典型的に
、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸
直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌
(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵臓がんを含むがこ
れらに限定されない。
【0129】
一実施形態では、前記IL-1β結合性抗体は、カナキヌマブまたはこの機能的な断片
である。好ましい一実施形態では、カナキヌマブの初回投与の適正用量は、300mgで
ある。好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、300mgの用量で、毎月投与される
。好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、300mgの用量で、毎月投与され、初回
投与から2週間後に追加投与を伴う。好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、200
mgの用量で投与される。好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量
で、3週間ごとに、または毎月投与される。好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、
200mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、皮下投与される。
【0130】
一実施形態では、前記IL-1β結合性抗体は、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片
である。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブの初回投与の適正用量は、180mgで
ある。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、60mg~90mgの用量で投与され
る。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、60mg~90mgの用量で、3週間ご
とに、または毎月投与される。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、120mgの
用量で、3週間または4週間ごとに(毎月)投与される。好ましい一実施形態では、ゲボ
キズマブは、静脈内投与される。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、90mgの
用量で、3週間または4週間ごとに(毎月)、静脈内投与される。一実施形態では、少な
くとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、
約120mg施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを
伴う患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、約180mg施される。一実施形態では、
患者は、ゲボキズマブを、毎月、約180mg施される。一実施形態では、少なくとも部
分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、約200
mg施される。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、毎月、約200mg施される
。ゲボキズマブは、皮下投与されるか、または、好ましくは、静脈内投与される。
【0131】
さらに好ましくは、前記患者のhsCRPレベルは、本発明の投与レジメンに従う、本
発明の薬物の初回投与の後において、10mg/L未満、好ましくは、6mg/L未満、
好ましくは、4mg/L未満、好ましくは、3mg/L未満、好ましくは、2.3mg/
L未満、好ましくは、2mg/L未満、1.8mg/L未満へと低減した。好ましい一実
施形態では、カナキヌマブの初回投与の適正用量は、少なくとも150mg、好ましくは
、少なくとも200mgである。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブの初回投与の適
正用量は、90mgである。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブの初回投与の適正用
量は、120mgである。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブの初回投与の適正用量
は、180mgである。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブの初回投与の適正用量は
、200mgである。
【0132】
一実施形態では、前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、乳がんである。
一実施形態では、前記がんは、結腸直腸がんである。一実施形態では、前記がんは、胃が
んである。一実施形態では、前記がんは、腎癌である。一実施形態では、前記がんは、黒
色腫である。
【0133】
一態様では、本発明は、患者の、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって
、肺がん、とりわけ、NSCLCを含むがんの処置における使用のための、IL-1β結
合性抗体またはこの機能的な断片を提供するが、この場合、前記患者のhsCRPレベル
は、好ましくは、本発明の投与レジメンに従う適正用量における、前記IL-1β結合性
抗体またはこの機能的な断片の初回投与から、約6カ月後、または、好ましくは、約3カ
月後において、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の直前における
hsCRPレベルと比較して、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%
、または少なくとも40%低減した。さらに好ましくは、前記患者のhsCRPレベルは
、本発明の投与レジメンに従う、本発明の薬物の初回投与の後において、少なくとも15
%、少なくとも20%、少なくとも30%低減した。
【0134】
一態様では、本発明は、患者の、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって
、肺がん、とりわけ、NSCLCを含むがんの処置における使用のための、IL-1β結
合性抗体またはこの機能的な断片を提供するが、この場合、前記患者のIL-6レベルは
、好ましくは、本発明の投与レジメンに従う適正用量における、前記IL-1β結合性抗
体またはこの機能的な断片の初回投与から、約6カ月後、または、好ましくは、約3カ月
後において、初回投与の直前のIL-6レベルと比較して、少なくとも15%、少なくと
も20%、少なくとも30%、または少なくとも40%低減した。本明細書で使用される
「約」という用語は、3カ月間から±10日間または変動6カ月間から±15日間の変動
を含む。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、肺がん、とりわけ、
NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、
乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵
臓がんを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、前記IL-1β結合性抗体は、
カナキヌマブまたはこの機能的な断片である。好ましい一実施形態では、カナキヌマブの
初回投与の適正用量は、300mgである。好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、
300mgの用量で、毎月投与される。好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、30
0mgの用量で、毎月投与され、初回投与から2週間後に追加投与を伴う。好ましい一実
施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量で投与される。好ましい一実施形態では
、カナキヌマブは、200mgの用量で、3週間ごとに、または毎月投与される。好まし
い一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、
皮下投与される。別の実施形態では、前記IL-1β結合性抗体は、ゲボキズマブまたは
この機能的な断片である。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブの初回投与の適正用量
は、180mgである。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、60mg~90mg
の用量で投与される。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、60mg~90mgの
用量で、3週間ごとに、または毎月投与される。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブ
は、120mgの用量で、3週間または4週間ごとに(毎月)投与される。好ましい一実
施形態では、ゲボキズマブは、静脈内投与される。好ましい一実施形態では、ゲボキズマ
ブは、120mgの用量で、3週間または4週間ごとに(毎月)、静脈内投与される。好
ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、90mgの用量で、3週間または4週間ごとに
(毎月)、静脈内投与される。
【0135】
hsCRPのレベルの低減およびIL-6のレベルの低減は、処置の有効性を指し示す
ように、または予後診断マーカーとして、個別に使用することもでき、組合せで使用する
こともできる。
【0136】
一実施形態では、前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、乳がんである。
一実施形態では、前記がんは、結腸直腸がんである。一実施形態では、前記がんは、胃が
んである。一実施形態では、前記がんは、腎癌である。一実施形態では、前記がんは、黒
色腫である。
【0137】
一態様では、本発明は、高感度C反応性タンパク質(hsCRP)が、≧2mg/Lで
ある患者における、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がん、とり
わけ、NSCLCを含むがんの処置および/または防止における使用のための、IL-1
β結合性抗体またはこの機能的な断片を提供するが、この場合、抗体は、カナキヌマブで
あり、患者は、少なくとも5年間にわたり、がんによる死の可能性が低減する。さらなる
一実施形態では、患者は、少なくとも5年間にわたり、がんによる死の可能性が、少なく
とも51%低減する。
【0138】
一態様では、本発明は、患者における肺がんの防止における、IL-1β結合性抗体ま
たはこの機能的な断片の使用を提供する。本明細書で使用される「~を防止する(preven
t)」、「~を防止すること(preventing)」、または「防止(prevention)」という用
語は、それがなければ、肺がんを発症する危険性が高い対象における、肺がんの発生の防
止または遅延を意味する。好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量
で投与される。好ましい一実施形態では、カナキヌマブは、100mg~200mg、好
ましくは、200mgの用量で、3週間ごとに、毎月、6週間ごとに、隔月、または季節
ごとに、好ましくは、皮下投与される。別の実施形態では、前記IL-1β結合性抗体は
、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片である。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブ
は、30mg~90mgの用量で投与される。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは
、30mg~90mgの用量で、3週間ごとに、毎月、6週間ごとに、隔月、または季節
ごとに投与される。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、60mg~120mgの
用量で、3週間ごとに、毎月、6週間ごとに、隔月、または季節ごとに、好ましくは、静
脈内投与される。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、90mgの用量で、3週間
ごとに、毎月、6週間ごとに、隔月、または季節ごとに、好ましくは、静脈内投与される
。好ましい一実施形態では、ゲボキズマブは、120mgの用量で、3週間ごとに、毎月
、6週間ごとに、隔月、または季節ごとに、好ましくは、皮下投与される。
【0139】
危険性因子は、年齢、遺伝子の突然変異、喫煙、例えば、職業に起因する、長期にわた
る、吸入可能有害物質への曝露を含むがこれらに限定されない。
【0140】
一実施形態では、前記患者は、60歳を超える、62歳を超える、または65歳を超え
る、または70歳を超える。一実施形態では、前記患者は、男性である。別の実施形態で
は、前記患者は、女性である。一実施形態では、前記患者は、喫煙者、とりわけ、現在の
喫煙者である。喫煙者は、CANTOS試験の規定より広く、1日当たり5本を超える煙
草を吸う者(現在の喫煙者)、または喫煙歴を有する者(過去の喫煙者)と理解すること
ができる。通常、喫煙歴は、のべ、5年間を超える、または10年間を超える。通常、喫
煙期間中には、1日当たり、10本を超える煙草、または20本を超える煙草が吸われて
いた。
【0141】
一実施形態では、前記患者は、慢性気管支炎を有する。一実施形態では、前記患者は、
長期(5年間を超える、なおまたは10年間を超える)にわたり、例えば、職業に起因し
て、アスベスト、シリカ、喫煙、および他の吸入される外部毒素など、吸入される外部毒
素へと曝露されたか、または曝露されていたか、または曝露され続けている。患者が、上
記で言及された1つの状態、または2つの状態のうちのいずれか、3つの状態のうちのい
ずれか、4つの状態のうちのいずれか、5つの状態のうちのいずれかまたは6つの状態の
うちのいずれかの組合せを有する場合、このような患者は、肺がんを発症する可能性が高
い。本発明は、このような患者の肺がんの防止における、IL-1β結合性抗体またはこ
の機能的な断片、適切には、カナキヌマブもしくはこの機能的な断片、またはゲボキズマ
ブもしくはこの機能的な断片の使用を想定する。好ましい一実施形態では、喫煙者である
、このような男性患者は、65歳を超える、または70歳を超える。一実施形態では、現
在または過去の喫煙者である、このような男性患者は、65歳を超える、または70歳を
超える。一実施形態では、喫煙者である、このような女性患者は、65歳を超える、また
は70歳を超える。さらなる一実施形態では、前記患者は、1日当たり、10本を超える
、20本を超える煙草、もしくは30本を超える煙草、もしくは40本を超える煙草を喫
煙するか、または、過去において、これらを喫煙していた。
【0142】
一実施形態では、本発明は、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の投与の前
に評価された高感度C反応性タンパク質(hsCRP)が、2mg/L以上または3mg
/L以上または4mg/L以上または5mg/L以上、6mg/L以上、8mg/L以上
、9mg/L以上または10mg/L以上である対象における肺がんの防止における使用
のためのIL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブもしく
はこの機能的な断片、またはゲボキズマブもしくはこの機能的な断片を提供する。好まし
い一実施形態では、前記対象は、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の投与の
前に評価される、6mg/L以上のhsCRPレベルを有する。好ましい一実施形態では
、前記対象は、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の投与の前に評価された、
10mg/L以上のhsCRPレベルを有した。一実施形態では、前記IL-1β結合性
抗体は、カナキヌマブもしくはこの機能的な断片、またはゲボキズマブもしくはこの機能
的な断片である。さらなる一実施形態では、前記対象は、喫煙者である。さらなる一実施
形態では、前記対象は、65歳を超える。さらなる一実施形態では、前記対象は、アスベ
スト、シリカ、または喫煙などの毒素を、10年間を超えて吸入している。
【0143】
一実施形態では、本発明は、対象における、少なくとも部分的な炎症ベースを有するが
んであって、肺がんを含むがんの再発または再燃の防止における使用のための、IL-1
β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブもしくはこの機能的な断
片、またはゲボキズマブもしくはこの機能的な断片を提供するが、この場合、前記対象は
、がんまたは肺がんを、手術により除去されている(切除後)。典型的に、少なくとも部
分的な炎症ベースを有するがんは、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色
腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前
立腺がん、膀胱がん、多発性骨髄腫、および膵臓がんを含むがこれらに限定されない。好
ましい実施形態では、前記患者は、手術後における標準的な化学療法による(本発明の薬
物による処置以外の)処置であって、としての処置を完了し、かつ/または標準的な放射
線療法による処置を完了している。手術後における標準的な化学療法という用語は、標準
的な低分子化学療法剤、および/または抗体、特に、チェックポイント阻害剤を含む。さ
らに好ましい一実施形態では、カナキヌマブまたはゲボキズマブは、少なくとも部分的な
炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんの再発または再燃の防止における単
剤療法として投与される。一実施形態では、カナキヌマブまたはゲボキズマブは、手術後
において、前記患者へと、放射線療法と組み合わせて、または化学療法、特に、標準的化
学療法と組み合わせて投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、特に、単剤療法と
して投与される場合に、毎月、200mgの用量で、好ましくは、皮下投与される。一実
施形態では、カナキヌマブは、特に、化学療法、特に、標準治療化学療法と組み合わせて
、特に、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤などのチェックポイント阻害剤と組み合
わせて投与される場合に、3週間ごとに、または毎月、200mgの用量で、好ましくは
、皮下投与される。一実施形態では、ゲボキズマブは、特に、少なくとも部分的な炎症ベ
ースを有するがんであって、肺がんまたは結腸直腸がん、RCCまたは胃がんを含むがん
の再発または再燃の防止において、単剤療法として、他の薬物と組み合わせて投与される
場合に、毎月、60mg~180mgの用量で、毎月、90mg~120mg、または6
0mg~90mg、好ましくは、120mgの用量で、好ましくは、静脈内投与される。
一実施形態では、ゲボキズマブは、特に、化学療法、特に、標準治療化学療法と組み合わ
せて、特に、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤などのチェックポイント阻害剤と組
み合わせて投与される場合に、3週間ごとに、60mg~180mg、90mg~120
mg、または60mg~90mg、好ましくは、120mgの用量で、好ましくは、静脈
内投与される。
【0144】
一実施形態では、前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、乳がんである。
一実施形態では、前記がんは、結腸直腸がんである。一実施形態では、前記がんは、胃が
んである。一実施形態では、前記がんは、腎癌である。一実施形態では、前記がんは、黒
色腫である。
【0145】
一実施形態では、カナキヌマブは、3カ月ごとに、50mg~300mg、50~15
0mg、75mg~150mg、100mg~150mg、50mg、150mg、また
は300mgの用量で投与される。防止の態様では、カナキヌマブは、それを必要とする
患者へと、50mg、150mg、または300mg、好ましくは、150mgの用量で
、毎月、隔月、または3カ月ごとに投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、それ
を必要とする患者へと、肺がんの防止のために、150mgの用量で、3カ月ごとに投与
される。
【0146】
一実施形態では、前記ゲボキズマブは、3カ月ごとに、30mg~180mg、30m
g~120mg、30mg~90mg、60mg~120mg、60mg~90mg、3
0mg、60mg、90mg、または180mgの用量で投与される。
【0147】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌ
マブまたはゲボキズマブは、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う前記患者
へと、手術の前に(ネオアジュバント化学療法)、または手術の後で(アジュバント化学
療法)投与される。一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片は、
前記患者へと、放射線療法の前に、これと共時的に、またはこの後で投与される。
【0148】
一態様では、本発明は、それを必要とする患者の少なくとも部分的な炎症ベースを有す
るがんの処置における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適
切には、カナキヌマブまたはゲボキズマブを提供するが、この場合、前記IL-1β結合
性抗体またはこの機能的な断片は、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される
。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、肺がん、とりわけ、NSC
LC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん
、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵臓がん
を含むがこれらに限定されない。
【0149】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌ
マブまたはゲボキズマブは、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0150】
理論に束縛されることを望まずに述べると、典型的ながんの発症は、2つの段階を要請
すると考えられている。第1に、遺伝子の変化は、もはや調節下に置かれない細胞の成長
と増殖とを結果としてもたらす。第2に、異常な腫瘍細胞は、免疫系の監視を回避する。
炎症は、第2段階において、重要な役割を果たす。したがって、CANTOS試験からの
臨床データにより、初めて裏付けられた通り、初期または早期における炎症のコントロー
ルは、がんの発症を停止させうる。したがって、IL-1β経路を遮断して、炎症を低減
することは、一般的な利益、特に、主に、悪性細胞の成長および増殖を直接阻害すること
である、標準治療に加えた処置の有効性の改善を有することが予測される。一実施形態で
は、1または複数の化学療法剤は、少なくとも部分的な炎症ベースを有する前記がんの標
準治療剤である。
【0151】
チェックポイント阻害剤は、IL-1β阻害剤と異なる機構を介して、免疫系を抑制解
除する。したがって、IL-1β阻害剤、特に、IL-1β結合性抗体またはこの機能的
な断片の、標準的なチェックポイント阻害剤療法への追加は、特に、腫瘍微小環境におけ
る免疫応答を、さらに活性化させるであろう。
【0152】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、ニボルマブおよびイピリムマブである
【0153】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、カボザンチニブまたは薬学的に許容さ
れるこの塩である。
【0154】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、アテゾリズマブ+ベバシズマブである
【0155】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、FOLFIRI+ベバシズマブ、また
はFOLFOX+ベバシズマブである。
【0156】
化学療法剤は、細胞傷害薬および/または細胞増殖抑制薬(それぞれ、悪性細胞を死滅
させるか、またはそれらの増殖を阻害する薬物)のほか、チェックポイント阻害剤である
。一般に公知の化学療法剤は、白金剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサ
リプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、リポプラチン、サトラプラチン、ピコプラチ
ン)、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、
ペメトレキセド、エダトレキサート)、有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル、アル
ブミン結合性パクリタキセル、ドセタキセル(Taxotere、Docecad))、
アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン塩酸塩、イホスファミド、
メルファラン、チオテパ)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリス
チン、ビンデシン、ビノレルビン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、テ
ニポシド、トポテカン、イリノテカン、カンプトテシン、ドキソルビシン)、抗腫瘍性抗
生剤(例えば、マイトマイシンC)、および/またはホルモン調節剤(例えば、アナスト
ロゾール、タモキシフェン)を含むがこれらに限定されない。化学療法のために使用され
る抗がん剤の例は、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、メトトレキサ
ート、5-フルオロウラシル(5-FU)、ドキソルビシン(Adriamycin(登
録商標))、プレドニゾン、タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、パクリ
タキセル(Taxol(登録商標))、アルブミン結合性パクリタキセル(nab-パク
リタキセル、Abraxane(登録商標))、ロイコボリン、チオテパ(Thiopl
ex(登録商標))、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、ドセタキセ
ル(Taxotere(登録商標))、ビノレルビン(ナベルビン(登録商標))、ゲム
シタビン(Gemzar(登録商標))、イホスファミド(Ifex(登録商標))、ペ
メトレキセド(Alimta(登録商標))、トポテカン、メルファラン(L-Pam(
登録商標))、シスプラチン(Cisplatin(登録商標)、Platinol(登
録商標))、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、オキサリプラチン
(Eloxatin(登録商標))、ネダプラチン(Aqupla(登録商標))、トリ
プラチン、リポプラチン(Nanoplatin(登録商標))、サトラプラチン、ピコ
プラチン、カルムスチン(BCNU;BiCNU(登録商標))、メトトレキサート(F
olex(登録商標)、Mexate(登録商標))、エダトレキサート、マイトマイシ
ンC(Mutamycin(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(
登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ビンブラスチン(Ve
lban(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、ビンデシ
ン(Eldisine(登録商標))、フェンレチニド、トポテカン、イリノテカン(C
amptosar(登録商標))、9-アミノ-カンプトテシン[9-AC]、ビアント
ラゾール、ロソキサントロン、エトポシド、およびテニポシドを含む。
【0157】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片のための、好ましい組
合せパートナーは、有糸分裂阻害剤、好ましくは、ドセタキセルである。一実施形態では
、カナキヌマブのための、好ましい組合せパートナーは、有糸分裂阻害剤、好ましくは、
ドセタキセルである。一実施形態では、ゲボキズマブのための、好ましい組合せパートナ
ーは、有糸分裂阻害剤、好ましくは、ドセタキセルである。一実施形態では、前記組合せ
は、肺がん、とりわけ、NSCLCの処置のために使用される。
【0158】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片のための、好ましい組
合せパートナーは、白金剤、好ましくは、シスプラチンである。一実施形態では、カナキ
ヌマブのための、好ましい組合せパートナーは、白金剤、好ましくは、シスプラチンであ
る。一実施形態では、ゲボキズマブのための、好ましい組合せパートナーは、白金剤、好
ましくは、シスプラチンである。一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、白金ベ
ースのダブレット化学療法(PT-DC)である。
【0159】
化学療法は、単一の抗がん剤(薬)の投与、または抗がん剤(薬)の組合せ、例えば、
カルボプラチンおよびタキソール;ゲムシタビンおよびシスプラチン;ゲムシタビンおよ
びビノレルビン;ゲムシタビンおよびパクリタキセル;シスプラチンおよびビノレルビン
;シスプラチンおよびゲムシタビン;シスプラチンおよびパクリタキセル(Taxol)
;シスプラチンおよびドセタキセル(Taxotere);シスプラチンおよびエトポシ
ド;シスプラチンおよびペメトレキセド;カルボプラチンおよびビノレルビン;カルボプ
ラチンおよびゲムシタビン;カルボプラチンおよびパクリタキセル(Taxol);カル
ボプラチンおよびドセタキセル(Taxotere);カルボプラチンおよびエトポシド
;カルボプラチンおよびペメトレキセドの、一般に投与される組合せのうちの1つの投与
を含みうる。一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、白金ベースのダブレット化
学療法(PT-DC)である。
【0160】
別のクラスの化学療法剤は、増殖促進性受容体、とりわけ、VEGF-R、EGFR、
PFGF-R、およびALK、またはこれらの下流のメンバーであって、それらの突然変
異または過剰産生が、部位における腫瘍形成を結果としてもたらすか、またはこれに寄与
するシグナル伝達経路のメンバーを特異的にターゲティングする阻害剤、とりわけ、チロ
シンキナーゼ阻害剤(ターゲティング療法)である。米国食品医薬品局(FDA)により
承認されたターゲティング療法薬であって、肺がんのターゲティング処置のための、例示
的なターゲティング療法薬は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、クリゾチ
ニブ(Xalkori(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、
ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、アファチニブマレイン酸塩(Gilotr
if(登録商標))、セリチニブ(LDK378/Zykadia(商標))、エベロリ
ムス(Afinitor(登録商標))、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))
、オシメルチニブ(Tagrisso(商標))、ネシツムマブ(Portrazza(
商標))、アレクチニブ(Alecensa(登録商標))、アテゾリズマブ(Tece
ntriq(商標))、ブリガチニブ(Alunbrig(商標))、トラメチニブ(M
ekinist(登録商標))、ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標))、ス
ニチニブ(Sutent(登録商標))、およびセツキシマブ(Erbitux(登録商
標))を含むがこれらに限定されない。
【0161】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの断片、適切には、カナキヌマブまた
はゲボキズマブと組み合わされる、1または複数の化学療法剤は、NSCLCおよびSC
LCを含む肺がんのための標準治療剤である薬剤である。標準治療は、例えば、Amer
ican Society of Clinical Oncology(ASCO)g
uideline on the systemic treatment of pa
tients with stage IV non-small-cell lung
cancer(NSCLC)、またはAmerican Society of Cl
inical Oncology(ASCO)guideline on Adjuva
nt Chemotherapy and Adjuvant Radiation T
herapy for Stages I-IIIA Resectable Non-
Small Cell Lung Cancerから見出すことができる。
【0162】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの断片、適切には、カナキヌマブまた
はゲボキズマブと組み合わされる、1または複数の化学療法剤は、白金含有剤または白金
ベースのダブレット化学療法(PT-DC)である。一実施形態では、前記組合せは、肺
がん、とりわけ、NSCLCの処置のために使用される。一実施形態では、1または複数
の化学療法剤は、チロシンキナーゼ阻害剤である。好ましい一実施形態では、前記チロシ
ンキナーゼ阻害剤は、VEGF経路阻害剤またはEGF経路阻害剤である。一実施形態で
は、前記組合せは、肺がん、とりわけ、NSCLCの処置のために使用される。
【0163】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの断片、適切には、カナキヌマブまた
はゲボキズマブと組み合わされる、1または複数の化学療法剤は、チェックポイント阻害
剤である。さらなる一実施形態では、前記チェックポイント阻害剤は、ニボルマブまたは
ペンブロリズマブである。さらなる一実施形態では、前記チェックポイント阻害剤は、ア
テゾリズマブである。さらなる一実施形態では、前記チェックポイント阻害剤は、PDR
-001(スパルタリズマブ)である。一実施形態では、前記チェックポイント阻害剤は
、デュルバルマブである。一実施形態では、前記チェックポイント阻害剤は、アベルマブ
である。免疫チェックポイントをターゲティングする免疫療法であって、チェックポイン
ト阻害剤としてもまた公知の免疫療法は、今日、がん治療におけるキー薬剤として出現し
つつある。免疫チェックポイント阻害剤は、受容体の阻害剤の場合もあり、リガンドの阻
害剤の場合もある。阻害標的の例は、共阻害分子(例えば、PD-1阻害剤(例えば、抗
PD-1抗体分子)、PD-L1阻害剤(例えば、抗PD-L1抗体分子)、PD-L2
阻害剤(例えば、抗PD-L2抗体分子)、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗
体分子)、TIM-3阻害剤(例えば、抗TIM-3抗体分子))、共刺激分子の活性化
剤(例えば、GITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体分子))、サイトカイン(例
えば、IL-15受容体アルファ(IL-15Ra)の可溶性形態と複合体化させたIL
-15)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4の阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗
体分子)、またはこれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない。
【0164】
PD-1阻害剤
本発明の一態様では、IL-1β阻害剤またはこの機能的な断片は、PD-1阻害剤と
併せて投与される。ある一実施形態では、PD-1阻害剤は、PDR001(スパルタリ
ズマブ)(Novartis)、ニボルマブ(Bristol-MyersSquibb
)、ペンブロリズマブ(Merck & Co)、ピジリズマブ(CureTech)、
MEDI0680(Medimmune)、REGN2810(Regeneron)、
TSR-042(Tesaro)、PF-06801591(Pfizer)、BGB-
A317(Beigene)、BGB-108(Beigene)、INCSHR121
0(Incyte)、またはAMP-224(Amplimmune)から選択される。
【0165】
一実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体である。一実施形態では、PD-
1阻害剤は、参照によりその全体において組み込まれる、2015年7月30日において
公開され、「Antibody Molecules to PD-1 and Use
s Thereof」と題する、米国特許出願公開第2015/0210769号明細書
において記載されている抗PD-1抗体分子である。
【0166】
一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、配列番号506のアミノ酸配列を含むVHと
、配列番号520のアミノ酸配列を含むVLとを含む。一実施形態では、抗PD-1抗体
分子は、配列番号506のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号516のアミノ酸配列を
含むVLとを含む。
【0167】
【表2】
【0168】
一実施形態では、抗PD-1抗体は、スパルタリズマブである。
【0169】
一実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブである。
【0170】
一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、ペンブロリズマブである。
【0171】
一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、ピジリズマブである。
【0172】
一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、AMP-514としてもまた公知の、MED
I0680(Medimmune)である。MEDI0680および他の抗PD-1抗体
は、参照によりそれらの全体において組み込まれる、米国特許第9,205,148号明
細書および国際公開第2012/145493号パンフレットにおいて開示されている。
他の例示的な抗PD-1分子は、REGN2810(Regeneron)、PF-06
801591(Pfizer)、BGB-A317/BGB-108(Beigene)
、INCSHR1210(Incyte)、およびTSR-042(Tesaro)を含
む。
【0173】
さらなる公知の抗PD-1抗体については、例えば、参照によりそれらの全体において
組み込まれる、国際公開第2015/112800号パンフレット、国際公開第2016
/092419号パンフレット、国際公開第2015/085847号パンフレット、国
際公開第2014/179664号パンフレット、国際公開第2014/194302号
パンフレット、国際公開第2014/209804号パンフレット、国際公開第2015
/200119号パンフレット、米国特許第8,735,553号明細書、米国特許第7
,488,802号明細書、米国特許第8,927,697号明細書、米国特許第8,9
93,731号明細書、および米国特許第9,102,727号明細書において記載され
ている抗PD-1抗体を含む。
【0174】
一実施形態では、抗PD-1抗体は、結合について、本明細書で記載される抗PD-1
抗体のうちの1つと競合し、かつ/またはこれと同じ、PD-1上のエピトープに結合す
る抗体である。
【0175】
一実施形態では、PD-1阻害剤は、例えば、参照によりその全体において組み込まれ
る、米国特許第8,907,053号明細書において記載されている、PD-1シグナル
伝達経路を阻害するペプチドである。一実施形態では、PD-1阻害剤は、定常領域(例
えば、免疫グロブリン配列のFc領域)へと融合させたイムノアデシン(例えば、PD-
L1またはPD-L2の細胞外部分またはPD-1結合性部分を含むイムノアデシン)で
ある。一実施形態では、PD-1阻害剤は、AMP-224(例えば、参照によりそれら
の全体において組み込まれる、国際公開第2010/027827号パンフレットおよび
国際公開第2011/066342号パンフレットにおいて開示されている、B7-DC
Ig(Amplimmune))である。
【0176】
PD-L1阻害剤
本発明の一態様では、IL-1β阻害剤またはこの機能的な断片は、PD-L1阻害剤
と併せて投与される。一部の実施形態では、PD-L1阻害剤は、FAZ053(Nov
artis)、アテゾリズマブ(Genentech/Roche)、アベルマブ(Me
rckSeronoandPfizer)、デュルバルマブ(MedImmune/As
traZeneca)、またはBMS-936559(Bristol-MyersSq
uibb)から選択される。
【0177】
一実施形態では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子である。一実施形態では
、PD-L1阻害剤は、参照によりその全体において組み込まれる、2016年4月21
日において公開され、「Antibody Molecules to PD-L1 a
nd Uses Thereof」と題する、米国特許出願公開第2016/01081
23号明細書において開示されている抗PD-L1抗体分子である。
【0178】
一実施形態では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号606のアミノ酸配列を含むVH
と、配列番号616のアミノ酸配列を含むVLとを含む。一実施形態では、抗PD-L1
抗体分子は、配列番号620のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号624のアミノ酸配
列を含むVLとを含む。
【0179】
【表3】
【0180】
一実施形態では、抗PD-L1抗体分子は、MPDL3280A、RG7446、RO
5541267、YW243.55.S70、またはTECENTRIQ(商標)として
もまた公知のアテゾリズマブ(Genentech/Roche)である。アテゾリズマ
ブおよび他の抗PD-L1抗体は、参照によりその全体において組み込まれる、米国特許
第8,217,149号明細書において開示されている。
【0181】
一実施形態では、抗PD-L1抗体分子は、MSB0010718Cとしてもまた公知
のアベルマブ(Merck Serono and Pfizer)である。アベルマブ
および他の抗PD-L1抗体は、参照によりその全体において組み込まれる、国際公開第
2013/079174号パンフレットにおいて開示されている。
【0182】
一実施形態では、抗PD-L1抗体分子は、MEDI4736としてもまた公知のデュ
ルバルマブ(MedImmune/AstraZeneca)である。デュルバルマブお
よび他の抗PD-L1抗体は、参照によりその全体において組み込まれる、米国特許第8
,779,108号明細書において開示されている。
【0183】
一実施形態では、抗PD-L1抗体分子は、MDX-1105、または12A4として
もまた公知のBMS-936559(Bristol-Myers Squibb)であ
る。BMS-936559および他の抗PD-L1抗体は、参照によりそれらの全体にお
いて組み込まれる、米国特許第7,943,743号明細書および国際公開第2015/
081158号パンフレットにおいて開示されている。
【0184】
さらなる公知の抗PD-L1抗体については、例えば、参照によりそれらの全体におい
て組み込まれる、国際公開第2015/181342号パンフレット、国際公開第201
4/100079号パンフレット、国際公開第2016/000619号パンフレット、
国際公開第2014/022758号パンフレット、国際公開第2014/055897
号パンフレット、国際公開第2015/061668号パンフレット、国際公開第201
3/079174号パンフレット、国際公開第2012/145493号パンフレット、
国際公開第2015/112805号パンフレット、国際公開第2015/109124
号パンフレット、国際公開第2015/195163号パンフレット、米国特許第8,1
68,179号明細書、米国特許第8,552,154号明細書、米国特許第8,460
,927号明細書、および米国特許第9,175,082号明細書において記載されてい
る抗PD-L1抗体を含む。
【0185】
一実施形態では、抗PD-L1抗体は、結合について、本明細書で記載される抗PD-
L1抗体のうちの1つと競合し、かつ/またはこれと同じ、PD-L1上のエピトープに
結合する抗体である。
【0186】
LAG-3阻害剤
本発明の一態様では、IL-1β阻害剤またはこの機能的な断片は、LAG-3阻害剤
と併せて投与される。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、LAG525(Nov
artis)、BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)、
TSR-033(Tesaro)、IMP731またはGSK2831781、およびI
MP761(Prima BioMed)から選択される。
【0187】
一実施形態では、LAG-3阻害剤は、抗LAG-3抗体分子である。一実施形態では
、LAG-3阻害剤は、参照によりその全体において組み込まれる、2015年9月17
日において公開され、「Antibody Molecules to LAG-3 a
nd Uses Thereof」と題する、米国特許出願公開第2015/02594
20号明細書において開示されている、抗LAG-3抗体分子である。
【0188】
一実施形態では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号706のアミノ酸配列を含むVH
と、配列番号718のアミノ酸配列を含むVLとを含む。一実施形態では、抗LAG-3
抗体分子は、配列番号724のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号730のアミノ酸配
列を含むVLとを含む。
【0189】
【表4】
【0190】
一実施形態では、抗LAG-3抗体分子は、BMS986016としてもまた公知のB
MS-986016(Bristol-Myers Squibb)である。BMS-9
86016および他の抗LAG-3抗体は、参照によりそれらの全体において組み込まれ
る、国際公開第2015/116539号パンフレットおよび米国特許第9,505,8
39号明細書において開示されている。一実施形態では、抗LAG-3抗体分子は、例え
ば、表Dにおいて開示されている、BMS-986016の1または複数のCDR配列(
または、集合的に、CDR配列の全て)、重鎖可変領域配列もしくは軽鎖可変領域配列、
または重鎖配列もしくは軽鎖配列を含む。
【0191】
一実施形態では、抗LAG-3抗体分子は、IMP731またはGSK2831781
(GSK and Prima BioMed)である。IMP731および他の抗LA
G-3抗体は、参照によりそれらの全体において組み込まれる、国際公開第2008/1
32601号パンフレットおよび米国特許第9,244,059号明細書において開示さ
れている。一実施形態では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、表Dにおいて開示されて
いる、IMP731の1または複数のCDR配列(または、集合的に、CDR配列の全て
)、重鎖可変領域配列もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖配列もしくは軽鎖配列を含
む。
【0192】
さらなる公知の抗LAG-3抗体については、例えば、参照によりそれらの全体におい
て組み込まれる、国際公開第2008/132601号パンフレット、国際公開第201
0/019570号パンフレット、国際公開第2014/140180号パンフレット、
国際公開第2015/116539号パンフレット、国際公開第2015/200119
号パンフレット、国際公開第2016/028672号パンフレット、米国特許第9,2
44,059号明細書、米国特許第9,505,839号明細書において記載されている
抗LAG-3抗体を含む。
【0193】
一実施形態では、抗LAG-3抗体は、結合について、本明細書で記載される抗LAG
-3抗体のうちの1つと競合し、かつ/またはこれと同じ、LAG-3上のエピトープに
結合する抗体である。
【0194】
一実施形態では、抗LAG-3阻害剤は、例えば、参照によりその全体において組み込
まれる、国際公開第2009/044273号パンフレットにおいて開示されている、可
溶性LAG-3タンパク質、例えば、IMP321(Prima BioMed)である
【0195】
【表5】
【0196】
TIM-3阻害剤
本発明の一態様では、IL-1β阻害剤またはこの機能的な断片は、TIM-3阻害剤
と併せて投与される。一部の実施形態では、TIM-3阻害剤は、MGB453(Nov
artis)またはTSR-022(Tesaro)である。
【0197】
一実施形態では、TIM-3阻害剤は、抗TIM-3抗体分子である。一実施形態では
、TIM-3阻害剤は、参照によりその全体において組み込まれる、2015年8月6日
において公開され、「Antibody Molecules to TIM-3 an
d Uses Thereof」と題する、米国特許出願公開第2015/021827
4号明細書において開示されている、抗TIM-3抗体分子である。
【0198】
一実施形態では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号806のアミノ酸配列を含むVH
と、配列番号816のアミノ酸配列を含むVLとを含む。一実施形態では、抗TIM-3
抗体分子は、配列番号822のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号826のアミノ酸配
列を含むVLとを含む。
【0199】
本明細書で記載される抗体分子は、参照によりその全体において組み込まれる、米国特
許出願公開第2015/0218274号明細書において記載されている、ベクター、宿
主細胞、および方法により作り出すことができる。
【0200】
【表6】
【0201】
一実施形態では、抗TIM-3抗体分子は、TSR-022(AnaptysBio/
Tesaro)である。一実施形態では、抗TIM-3抗体分子は、TSR-022の1
または複数のCDR配列(または、集合的に、CDR配列の全て)、重鎖可変領域配列も
しくは軽鎖可変領域配列、または重鎖配列もしくは軽鎖配列を含む。一実施形態では、抗
TIM-3抗体分子は、例えば、表Fにおいて開示されている、APE5137またはA
PE5121の1または複数のCDR配列(または、集合的に、CDR配列の全て)、重
鎖可変領域配列もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖配列もしくは軽鎖配列を含む。A
PE5137、APE5121、および他の抗TIM-3抗体は、参照によりその全体に
おいて組み込まれる、国際公開第2016/161270号パンフレットにおいて開示さ
れている。
【0202】
一実施形態では、抗TIM-3抗体分子は、抗体クローンである、F38-2E2であ
る。一実施形態では、抗TIM-3抗体分子は、F38-2E2の1または複数のCDR
配列(または、集合的に、CDR配列の全て)、重鎖可変領域配列もしくは軽鎖可変領域
配列、または重鎖配列もしくは軽鎖配列を含む。
【0203】
さらなる公知の抗TIM-3抗体については、例えば、参照によりそれらの全体におい
て組み込まれる、国際公開第2016/111947号パンフレット、国際公開第201
6/071448号パンフレット、国際公開第2016/144803号パンフレット、
米国特許第8,552,156号明細書、米国特許第8,841,418号明細書、およ
び米国特許第9,163,087号明細書において記載されている抗TIM-3抗体を含
む。
【0204】
一実施形態では、抗TIM-3抗体は、結合について、本明細書で記載される抗TIM
-3抗体のうちの1つと競合し、かつ/またはこれと同じ、TIM-3上のエピトープに
結合する抗体である。
【0205】
【表7】
【0206】
GITRアゴニスト
本発明の一態様では、IL-1β阻害剤またはこの機能的な断片は、GITRアゴニス
トと併せて投与される。一部の実施形態では、GITRアゴニストは、GWN323(N
VS)、BMS-986156、MK-4166もしくはMK-1248(Merck)
、TRX518(Leap Therapeutics)、INCAGN1876(In
cyte/Agenus)、AMG228(Amgen)、またはINBRX-110(
Inhibrx)である。
【0207】
一実施形態では、GITRアゴニストは、抗GITR抗体分子である。一実施形態では
、GITRアゴニストは、参照によりその全体において組み込まれる、2016年4月1
4日において公開され、「Compositions and Methods of
Use for Augmented Immune Response and Ca
ncer Therapy」と題する、国際公開第2016/057846号パンフレッ
トにおいて記載されている、抗GITR抗体分子である。
【0208】
一実施形態では、抗GITR抗体分子は、配列番号901のアミノ酸配列を含むVHと
、配列番号902のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
【0209】
【表8】
【0210】
一実施形態では、抗GITR抗体分子は、BMS 986156またはBMS9861
56としてもまた公知のBMS-986156(Bristol-Myers Squi
bb)である。BMS-986156および他の抗GITR抗体については、例えば、参
照によりそれらの全体において組み込まれる、米国特許第9,228,016号明細書お
よび国際公開第2016/196792号パンフレットにおいて開示されている。一実施
形態では、抗GITR抗体分子は、例えば、表Hにおいて開示されている、BMS-98
6156の1または複数のCDR配列(または、集合的に、CDR配列の全て)、重鎖可
変領域配列もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖配列もしくは軽鎖配列を含む。
【0211】
一実施形態では、抗GITR抗体分子は、MK-4166またはMK-1248(Me
rck)である。MK-4166、MK-1248、および他の抗GITR抗体について
は、例えば、参照によりそれらの全体において組み込まれる、米国特許第8,709,4
24号明細書、国際公開第2011/028683号パンフレット、国際公開第2015
/026684号パンフレット、およびMahne et al. Cancer Res. 2017; 77(5):1108-11
18において開示されている。
【0212】
一実施形態では、抗GITR抗体分子は、TRX518(Leap Therapeu
tics)である。TRX518および他の抗GITR抗体については、例えば、参照に
よりそれらの全体において組み込まれる、米国特許第7,812,135号明細書、米国
特許第8,388,967号明細書、米国特許第9,028,823号明細書、国際公開
第2006/105021号パンフレット、およびPonte J et al. (2010) Clinical Imm
unology; 135:S96において開示されている。
【0213】
一実施形態では、抗GITR抗体分子は、INCAGN1876(Incyte/Ag
enus)である。INCAGN1876および他の抗GITR抗体については、例えば
、参照によりそれらの全体において組み込まれる、米国特許出願公開第2015/036
8349号明細書および国際公開第2015/184099号パンフレットにおいて開示
されている。
【0214】
一実施形態では、抗GITR抗体分子は、AMG 228(Amgen)である。AM
G 228および他の抗GITR抗体については、例えば、参照によりそれらの全体にお
いて組み込まれる、米国特許第9,464,139号明細書および国際公開第2015/
031667号パンフレットにおいて開示されている。
【0215】
一実施形態では、抗GITR抗体分子は、INBRX-110(Inhibrx)であ
る。INBRX-110および他の抗GITR抗体については、例えば、参照によりそれ
らの全体において組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0022284号明細書
および国際公開第2017/015623号パンフレットにおいて開示されている。
【0216】
一実施形態では、GITRアゴニスト(例えば、融合タンパク質)は、MEDI187
3としてもまた公知のMEDI 1873(MedImmune)である。MEDI 1
873および他のGITRアゴニストについては、例えば、参照によりそれらの全体にお
いて組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0073386号明細書、国際公開第
2017/025610号パンフレット、およびRoss et al. Cancer Res 2016; 76(14 S
uppl): Abstract nr 561において開示されている。一実施形態では、GITRアゴニスト
は、グルココルチコイド誘導性TNF受容体リガンド(GITRL)MEDI 1873
の、IgG Fcドメイン、機能的多量体化ドメイン、および受容体結合性ドメインのう
ちの1または複数を含む。
【0217】
さらなる公知のGITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)については、例えば、
参照によりそれらの全体において組み込まれる、国際公開第2016/054638号パ
ンフレットにおいて記載されているGITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)を含
む。
【0218】
一実施形態では、抗GITR抗体は、結合について、本明細書で記載される抗GITR
抗体のうちの1つと競合し、かつ/またはこれと同じ、GITR上のエピトープに結合す
る抗体である。
【0219】
一実施形態では、GITRアゴニストは、GITRシグナル伝達経路を活性化させるペ
プチドである。一実施形態では、GITRアゴニストは、定常領域(例えば、免疫グロブ
リン配列のFc領域)へと融合させたイムノアデシン結合性断片(例えば、GITRLの
細胞外部分またはGITR結合性部分を含むイムノアデシン結合性断片)である。
【0220】
【表9】
【0221】
IL15/IL-15Ra複合体
本発明の一態様では、IL-1β阻害剤またはこの機能的な断片は、IL-15/IL
-15Ra複合体と併せて投与される。一部の実施形態では、IL-15/IL-15R
a複合体は、NIZ985(Novartis)、ATL-803(Altor)、また
はCYP0150(Cytune)から選択される。
【0222】
一実施形態では、IL-15/IL-15Ra複合体は、ヒトIL-15Raの可溶性
形態と複合体化させたヒトIL-15を含む。複合体は、IL-15Raの可溶性形態に
共有結合的または非共有結合的に結合させたIL-15を含みうる。特定の実施形態では
、ヒトIL-15を、IL-15Raの可溶性形態へと、非共有結合的に結合させる。特
定の実施形態では、参照によりその全体において組み込まれる、国際公開第2014/0
66527号パンフレットにおいて記載されている通り、組成物のヒトIL-15は、表
I中の配列番号1001のアミノ酸配列を含み、ヒトIL-15Raの可溶性形態は、表
I中の配列番号1002のアミノ酸配列を含む。本明細書で記載される分子は、参照によ
りその全体において組み込まれる、国際公開第2007/084342号パンフレットに
おいて記載されている、ベクター、宿主細胞、および方法により作り出すことができる。
【0223】
【表10】
【0224】
一実施形態では、IL-15/IL-15Ra複合体は、ALT-803、IL-15
/IL-15Ra Fc融合タンパク質(IL-15N72D:IL-15RaSu/F
c可溶性複合体)である。ALT-803については、参照によりその全体において組み
込まれる、国際公開第2008/143794号パンフレットにおいて開示されている。
一実施形態では、IL-15/IL-15Ra Fc融合タンパク質は、表Jに開示され
ている配列を含む。
【0225】
一実施形態では、IL-15/IL-15Ra複合体は、IL-15Raのsushi
ドメイン(CYP0150、Cytune)へと融合させたIL-15を含む。IL-1
5Raのsushiドメインは、IL-15Raのシグナルペプチドの後の第1のシステ
イン残基で始まり、前記シグナルペプチドの後の第4のシステイン残基で終わるドメイン
を指す。IL-15Raのsushiドメインへと融合させたIL-15の複合体につい
ては、参照によりそれらの全体において組み込まれる、国際公開第2007/04606
号パンフレットおよび国際公開第2012/175222号パンフレットにおいて開示さ
れている。一実施形態では、IL-15/IL-15Ra sushiドメイン融合体は
、表Jに開示されている配列を含む。
【0226】
【表11】
【0227】
CTLA-4阻害剤
本発明の一態様では、IL-1β阻害剤またはこの機能的な断片は、CTLA-4の阻
害剤と併せて投与される。一部の実施形態では、CTLA-4阻害剤は、抗CTLA-4
抗体またはこの断片である。例示的な抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブ(旧称:チ
シリムマブ、CP-675,206);およびイピリムマブ(MDX-010、Yerv
oy(登録商標))を含む。
【0228】
一実施形態では、本発明は、肺がん、とりわけ、NSCLCの処置における使用のため
の、IL-1β抗体またはこの機能的な断片を提供するが、この場合、前記IL-1β抗
体またはこの機能的な断片は、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与され、前記
1または複数の化学療法剤は、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズ
マブ、アベルマブ、デュルバルマブ、PDR-001(スパルタリズマブ)、およびイピ
リムマブからなる群から選択されるチェックポイント阻害剤である。一実施形態では、1
または複数の化学療法剤は、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマ
ブ、アベルマブ、デュルバルマブ、PDR-001(スパルタリズマブ)、ペンブロリズ
マブからなる群から選択されるPD-1阻害剤またはPD-L-1阻害剤である。典型的
に、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、肺がん、とりわけ、NSCLC、結
腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞
癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵臓がんを含むが
これらに限定されない。さらなる一実施形態では、IL-1β抗体は、カナキヌマブまた
はこの機能的な断片である。さらなる一実施形態では、IL-1β抗体は、カナキヌマブ
またはこの機能的な断片である。一実施形態では、カナキヌマブは、300mgの用量で
、毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量で、3週間ごと
に、または毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、皮下投与される。さらな
る一実施形態では、IL-1β抗体は、カナキヌマブまたはこの機能的な断片であり、好
ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマ
ブ、およびPDR-001(スパルタリズマブ)から選択されるPD-1阻害剤またはP
D-L1阻害剤、特に、アテゾリズマブ、と組み合わせて投与され、カナキヌマブは、P
D-1阻害剤またはPD-L1阻害剤と同時に投与される。さらなる一実施形態では、I
L-1β抗体は、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片である。一実施形態では、ゲボキ
ズマブは、3週間ごとに、90mg~約360mg、90mg~約270mg、120m
g~270mg、90mg~180mg、120mg~180mg、120mg、または
90mg、または60mg~90mgの用量で投与される。一実施形態では、ゲボキズマ
ブまたはこの機能的な断片であり、3週間ごとに、120mgの用量で投与される。一実
施形態では、ゲボキズマブは、毎月、90mg~約360mg、90mg~約270mg
、120mg~270mg、90mg~180mg、120mg~180mg、120m
g、または90mg、または60mg~90mgの用量で投与される。一実施形態では、
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、120mgの用量で、4週間ごとに(毎月)投
与される。一実施形態では、ゲボキズマブは、皮下投与されるか、または、好ましくは、
静脈内投与される。
【0229】
さらなる一実施形態では、IL-1β抗体は、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片で
あり、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュ
ルバルマブ、およびPDR-001/スパルタリズマブから選択されるPD-1阻害剤ま
たはPD-L1阻害剤、特に、アテゾリズマブ、と組み合わせて投与され、ゲボキズマブ
は、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤と同時に投与される。
【0230】
一実施形態では、前記患者は、腫瘍によるEGFRまたはALKのゲノム異常を伴うか
、または伴わない、FDAで承認された試験により決定される、高PD-L1発現[Tu
mor Proportion Score(TPS)≧50%)]を有する腫瘍を有す
る。一実施形態では、前記患者は、FDAで承認された試験により決定されるPD-L1
発現(TPS≧1%)を有する腫瘍を有する。
【0231】
「~と組み合わせた」という用語は2つまたはこれを超える薬物を、逐次的に、または
同時に投与することとして理解される。代替的に、「~と組み合わせた」という用語は、
2つまたはこれを超える薬物を、薬物の有効な治療濃度が、大部分の時間にわたり、患者
の体内で重複することが予測されるように投与することとして理解される。本発明の薬物
および1または複数の組合せパートナー(例えば、「治療剤」または「共薬剤」ともまた
称される、別の薬物)は、同時に、独立に投与することもでき、とりわけ、組合せパート
ナーが、協同的効果、例えば、相乗的効果を示すことを、これらの時間間隔が可能とする
場合は、時間間隔以内に、個別に投与することもできる。本明細書で活用される「共投与
」または「組合せ投与」などの用語は、選択された組合せパートナーの、それを必要とす
る単一の対象(例えば、患者)への投与を包摂することを意味し、薬剤が、必ずしも、同
じ投与経路により、または同時に投与されるわけではない処置レジメンを含むことを意図
する。薬物は、患者へと、個別の実体として、同時に、共時的に、または逐次的に、具体
的な時間制限なしに投与されるが、この場合、このような投与は、治療有効レベルの2つ
の化合物を、患者の体内にもたらし、処置レジメンは、本明細書で記載される状態または
障害の処置における、薬物組合せの有益な効果をもたらすであろう。後者はまた、カクテ
ル療法、例えば、3つまたはこれを超える有効成分の投与にも適用される。
【0232】
一実施形態では、本発明は、肺がんの処置における使用のための、IL-1β結合性抗
体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブもしくはこの機能的な断片、または
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片を提供するが、この場合、肺がんは、進行性肺がん
、転移性肺がん、再発性肺がん、および/または不応性肺がんである。一実施形態では、
肺がんは、転移性NSCLCである。
【0233】
一実施形態では、本発明は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんのファースト
ライン処置としての使用のための、IL-1β抗体またはこの機能的な断片、適切には、
カナキヌマブもしくはこの機能的な断片、またはゲボキズマブもしくはこの機能的な断片
を提供する。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんは、肺がん、とりわ
け、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC
)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、およ
び膵臓がんを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、本発明は、少なくとも部分
的な炎症ベースを有するがんであって、肺がん、とりわけ、NSCLCを含むがんのファ
ーストライン処置としての使用のための、とりわけ、IL-1βまたはIL-1受容体を
発現または過剰発現させる患者のための、IL-1β抗体またはこの機能的な断片、適切
には、カナキヌマブもしくはこの機能的な断片、またはゲボキズマブもしくはこの機能的
な断片を提供する。「ファーストライン処置」という用語は、前記患者が、1または複数
の他の化学療法剤に対する耐性を発現させる前に、IL-1β抗体またはこの機能的な断
片を施されることを意味する。好ましくは、1または複数の他の化学療法剤は、白金ベー
スの単剤療法もしくは組合せ療法、チロシン阻害剤療法、チェックポイント阻害剤療法な
どのターゲティング療法、またはこれらの任意の組合せである。ファーストライン処置と
して、カナキヌマブまたはゲボキズマブなどのIL-1β抗体またはこの機能的な断片は
、患者へと、単剤療法として投与される場合もあり、好ましくは、1または複数の低分子
化学療法剤を伴うか、または伴わない、チェックポイント阻害剤、特に、PD-1阻害剤
またはPD-L1阻害剤、特に、アテゾリズマブ、と組み合わせて投与される場合もある
【0234】
好ましい一実施形態では、カナキヌマブまたはこの断片は、1つのチェックポイント阻
害剤と組み合わせた、肺がん、とりわけ、NSCLCのファーストライン処置として使用
される。ファーストライン処置として、IL-1β抗体またはこの機能的な断片は、患者
へと、単剤療法として投与される場合もあり、好ましくは、1または複数の化学療法剤、
とりわけ、肺がん、とりわけ、NSCLCのためのFDA承認療法などの標準治療と組み
合わせて投与される場合もある。好ましい一実施形態では、カナキヌマブまたはこの断片
は、1つのチェックポイント阻害剤、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブおよび
PDR-001/スパルタリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、ならびにアテゾリズ
マブ、好ましくは、アテゾリズマブから選択されるチェックポイント阻害剤と組み合わせ
た、肺がん、とりわけ、NSCLCのファーストライン処置として使用される。好ましい
一実施形態では、前記チェックポイント阻害剤は、ペンブロリズマブである。好ましい一
実施形態では、前記チェックポイント阻害剤は、スパルタリズマブである。さらに好まし
い一実施形態では、上記の組合せの上に、少なくとも1つの化学療法剤、好ましくは、シ
スプラチンなどの白金剤、またはドセタキセルなどの有糸分裂阻害剤を追加する。一実施
形態では、カナキヌマブは、200mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、その後、
または、好ましくは、チェックポイント阻害剤と同時に、好ましくは、皮下投与される。
【0235】
好ましい一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの断片は、1つのチェックポイント阻
害剤、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブおよびPDR-001/スパルタリズ
マブ、アベルマブ、デュルバルマブ、ならびにアテゾリズマブ、好ましくは、アテゾリズ
マブから選択されるPD-1/PD-L1阻害剤と組み合わせた、肺がん、とりわけ、N
SCLCのファーストライン処置として使用される。好ましい一実施形態では、前記チェ
ックポイント阻害剤は、ペンブロリズマブである。好ましい一実施形態では、前記チェッ
クポイント阻害剤は、スパルタリズマブである。さらに好ましい一実施形態では、上記の
組合せの上に、少なくとも1つの化学療法剤、好ましくは、シスプラチンなどの白金剤、
またはドセタキセルなどの有糸分裂阻害剤を追加する。一実施形態では、ゲボキズマブは
、60mg~90mgの用量で、3週間ごとに、または120mgの用量で、3もしくは
4週間ごとに、または90mgの用量で、3もしくは4週間ごとに、その後、または、好
ましくは、チェックポイント阻害剤と同時に、好ましくは、静脈内投与される。
【0236】
一実施形態では、本発明は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺
がん、とりわけ、NSCLCを含むがんのセカンドまたはサードライン処置としての使用
のための、IL-1β抗体またはこの機能的な断片、適切には、カナキヌマブもしくはこ
の機能的な断片、またはゲボキズマブもしくはこの機能的な断片を提供する。「セカンド
またはサードライン処置」という用語は、IL-1β抗体またはこの機能的な断片が、1
または複数の他の化学療法剤による処置時またはこの後において、がんの進行、とりわけ
、肺がん、とりわけ、NSCLCのためのFDA承認療法時またはこの後において、疾患
の進行を伴う患者へと投与されることを意味する。好ましくは、1または複数の他の化学
療法剤は、白金ベースの単剤療法もしくは組合せ療法、チロシン阻害剤療法、チェックポ
イント阻害剤療法などのターゲティング療法、またはこれらの任意の組合せである。セカ
ンドまたはサードライン処置として、IL-1β抗体またはこの機能的な断片は、患者へ
と、単剤療法として投与される場合もあり、好ましくは、同じ1または複数の化学療法剤
を伴う早期処置の継続を含む、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される場合
もある。
【0237】
セカンドまたはサードライン処置としての使用のために、カナキヌマブまたはゲボキズ
マブなどのIL-1β抗体またはこの機能的な断片は、患者へと、単剤療法として投与さ
れる場合もあり、好ましくは、1または複数の低分子化学療法剤を伴うか、または伴わな
い、チェックポイント阻害剤、特に、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤、特に、ア
テゾリズマブと組み合わせて投与される場合もある。
【0238】
好ましい一実施形態では、カナキヌマブまたはこの断片は、1つのチェックポイント阻
害剤、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブおよびPDR-001/スパルタリズ
マブ(Novartis)、イピリムマブ、ならびにアテゾリズマブ、好ましくは、アテ
ゾリズマブから選択されるチェックポイント阻害剤と組み合わせた、肺がん、とりわけ、
NSCLCのセカンドまたはサードライン処置として使用される。好ましい一実施形態で
は、前記チェックポイント阻害剤は、ペンブロリズマブである。好ましい一実施形態では
、前記チェックポイント阻害剤は、スパルタリズマブである。さらに好ましい一実施形態
では、上記の組合せの上に、少なくとも1つの化学療法剤、好ましくは、シスプラチンな
どの白金剤、またはドセタキセルなどの有糸分裂阻害剤を追加する。一実施形態では、カ
ナキヌマブは、200mgの用量で、3週間ごとに、その後、または、好ましくは、チェ
ックポイント阻害剤と同時に、好ましくは、皮下投与される。
【0239】
好ましい一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの断片は、1つのチェックポイント阻
害剤、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブおよびPDR-001/スパルタリズ
マブ(Novartis)、およびアテゾリズマブ、好ましくは、アテゾリズマブから選
択されるPD-1/PD-L1阻害剤と組み合わせた、肺がん、とりわけ、NSCLCま
たは結腸直腸がんのセカンドまたはサードライン処置として使用される。さらに好ましい
一実施形態では、上記の組合せの上に、少なくとも1つの化学療法剤、好ましくは、シス
プラチンなどの白金剤、またはドセタキセルなどの有糸分裂阻害剤を追加する。一実施形
態では、ゲボキズマブは、60mg~90mgの用量で、3週間ごとに、または120m
gの用量で、3または4週間ごとに、その後、またはチェックポイント阻害剤と同時に、
好ましくは、静脈内投与される。
【0240】
一実施形態では、本発明は、各病期のための標準治療に続くアジュバント療法としての
、対象における肺がんの処置における使用のための、IL-1β抗体またはこの機能的な
断片を提供するが、この場合、患者は、高危険性NSCLC(病期1B、病期2、または
病期3A)を有し、この場合、肺がんは、手術により除去されている(手術による切除)
。一実施形態では、前記アジュバント処置は、少なくとも6カ月間、好ましくは、少なく
とも1年間、好ましくは、1年間にわたり続く。一実施形態では、前記IL-1β抗体ま
たはこの機能的な断片は、ゲボキズマブである。一実施形態では、前記IL-1β抗体ま
たはこの機能的な断片は、カナキヌマブである。一実施形態では、カナキヌマブは、30
0mgの用量で、毎月、好ましくは、少なくとも1年間にわたり投与される。一実施形態
では、カナキヌマブは、200mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好ましくは、
皮下、好ましくは、少なくとも1年間にわたり投与される。
【0241】
一実施形態では、本発明は、手術による肺がんの除去に続くアジュバント療法としての
、対象における肺がんの処置における使用のための、カナキヌマブまたはこの機能的な断
片を提供する。好ましくは、前記患者は、標準的化学療法による処置、例えば、4サイク
ルにわたるシスプラチンベースの化学療法を完了している。一実施形態では、カナキヌマ
ブは、毎月、200mgの用量で、好ましくは、少なくとも1年間にわたり投与される。
一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好
ましくは、皮下、好ましくは、少なくとも1年間にわたり投与される。一実施形態では、
本発明は、単独で、または、好ましくは、標準治療と組み合わせた、患者におけるNSC
LCのファーストライン処置としての使用のための、IL-1β抗体またはこの機能的な
断片を提供するが、この場合、前記患者は、病期3B(化学療法/放射線療法に適さない
)または病期4の疾患を有する。一実施形態では、前記IL-1β抗体またはこの機能的
な断片は、ゲボキズマブである。一実施形態では、前記IL-1β抗体またはこの機能的
な断片は、カナキヌマブである。一実施形態では、カナキヌマブは、毎月、少なくとも3
00mgの用量で、好ましくは、毎月、300mgの用量で投与される。一実施形態では
、カナキヌマブは、200mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好ましくは、皮下
投与される。一実施形態では、本発明は、患者のNSCLCの処置における使用のための
、IL-1β抗体またはこの機能的な断片を提供するが、この場合、前記患者は、1また
は複数のチェックポイント阻害剤、好ましくは、PD-1/PD-L1阻害剤、好ましく
は、アテゾリズマブによる処置時またはこの後において、疾患の進行を有する。一実施形
態では、前記患者は、1または複数のチェックポイント阻害剤、好ましくは、PD-1阻
害剤、好ましくは、アテゾリズマブ以外の、1または複数の化学療法剤による処置時また
はこの後において、疾患の進行を有する。一実施形態では、前記PD-1阻害剤は、ニボ
ルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびPD
R-001(スパルタリズマブ)から選択される。一実施形態では、前記IL-1β抗体
またはこの機能的な断片は、ゲボキズマブである。一実施形態では、前記IL-1β抗体
またはこの機能的な断片は、カナキヌマブである。一実施形態では、カナキヌマブは、毎
月、少なくとも300mgの用量で、好ましくは、毎月、300mgの用量で投与される
。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200mg~300mgの用量で投
与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ごとに、または、好ましくは、
毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量で、3週間ごとに
投与される。IL-1β抗体またはこの機能的な断片、特に、カナキヌマブまたはゲボキ
ズマブは、単剤療法として、または、好ましくは、同じ1または複数の化学療法剤を伴う
早期処置の継続を含む、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0242】
一実施形態では、本発明は、単剤療法としての、または、好ましくは、標準治療と組み
合わせた、患者における結腸直腸がん(CRC)または胃腸がんの処置における使用のた
めの、IL-1β抗体またはこの機能的な断片を提供する。一実施形態では、前記IL-
1β抗体またはこの機能的な断片は、ゲボキズマブである。一実施形態では、ゲボキズマ
ブは、処置1回当たり60mg~90mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマブは
、好ましくは、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、
ゲボキズマブは、処置1回当たり120mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマブ
は、好ましくは、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では
、前記IL-1β抗体またはこの機能的な断片は、カナキヌマブである。一実施形態では
、カナキヌマブは、毎月、少なくとも300mgの用量で、好ましくは、毎月、300m
gの用量で投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200mg~
300mgの用量で投与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ごとに、
または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、3週間ごとに
、200mg投与される。
【0243】
好ましい実施形態では、抗PD-1抗体分子は、PDR001/スパルタリズマブであ
る。
【0244】
好ましい実施形態では、抗PD-1抗体分子は、ペンブロリズマブである。
【0245】
好ましい実施形態では、抗PD-1抗体分子は、アテゾリズマブである。
【0246】
好ましい実施形態では、抗PD-1抗体分子は、ニボルマブである。
【0247】
ある特定の実施形態では、本発明は、腎細胞癌(RCC)の処置における使用のための
、IL-1β抗体またはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブまたはこの機能的な
断片、適切には、カナキヌマブまたはこの機能的な断片を提供する。本明細書で使用され
る「腎細胞癌(RCC)」という用語は、腎皮質内の腎尿細管の上皮から生じる腎臓がん
を指し、原発性腎細胞癌、局所進行性腎細胞癌、切除不能腎細胞癌、転移性腎細胞癌、不
応性腎細胞癌、および/または抗がん薬耐性腎細胞癌を含む。
【0248】
本出願を通じて開示される全ての開示される使用であって、用量および投与レジメン、
組合せ、投与経路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、腎細
胞癌の処置へと適用されうる。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200
mg~400mgの用量で投与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ご
とに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、200
mgの用量で、3週間ごとに、好ましくは、皮下投与される。一実施形態では、ゲボキズ
マブは、処置1回当たり90mg~200mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマ
ブは、好ましくは、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態で
は、ゲボキズマブは、120mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好ましくは、静
脈内投与される。
【0249】
一実施形態では、本発明は、腎細胞癌(RCC)の処置における使用のための、ゲボキ
ズマブまたはこの機能的な断片を提供するが、この場合、ゲボキズマブまたはこの機能的
な断片は、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、化学
療法剤は、腎細胞癌(RCC)のための標準治療剤である。一実施形態では、1または複
数の化学療法剤は、エベロリムス(Afinitor(登録商標))、アルデスロイキン
(proleukin(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、
アキシチニブ(Inlyta(登録商標))、カボザンチニブ(Cabometyx(登
録商標))、レンバチニブメシル酸塩(Lenvima(登録商標))、ソラフェニブト
シル酸塩(Nexavar(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、
パゾパニブ塩酸塩(Votrient(登録商標))、スニチニブリンゴ酸塩(Sute
nt(登録商標))、テムシロリムス(Torisel(登録商標))、イピリムマブ、
およびチボザニブ(FOTIVDA(登録商標))から選択される。患者状態に応じて、
少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの化学療法剤を、上記のリスト
から選択して、ゲボキズマブと組み合わせることができる。
【0250】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、CTLA-4チェックポイント阻害剤
であり、好ましくは、前記CTLA-4チェックポイント阻害剤は、イピリムマブである
。一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、エベロリムスである。
【0251】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、チェックポイント阻害剤であり、好ま
しくは、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤であり、好ましくは、ニボルマブ、ペン
ブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ
(PDR-001)からなる群から選択される。
【0252】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、ニボルマブである。一実施形態では、
1または複数の化学療法剤は、ニボルマブ+イピリムマブである。
【0253】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、カボザンチニブである。
【0254】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、アテゾリズマブ+ベバシズマブである
【0255】
一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、腎細胞癌(RCC)を、手
術により除去した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で
、または好ましくは組合せで使用される。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能
的な断片は、腎細胞癌(RCC)のファーストライン処置において、単独で、または好ま
しくは組合せで使用される。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、
腎細胞癌(RCC)のセカンドまたはサードライン処置において、単独で、または好まし
くは組合せで使用される。
【0256】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片について上記で開示した実施形態は、カナキヌマ
ブまたはこの機能的な断片についても、適切に適用可能である。
【0257】
ある特定の実施形態では、本発明は、結腸直腸がん(CRC)の処置における使用のた
めの、IL-1β抗体またはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブまたはこの機能
的な断片、適切には、カナキヌマブまたはこの機能的な断片を提供する。本明細書で使用
される「結腸直腸がん(CRC)」という用語であって、大腸がんおよび結腸がんとして
もまた公知の用語は、結腸および/または直腸、特に、結腸および/または直腸の上皮か
ら生じる新生物を意味し、結腸腺癌、直腸腺癌、転移性結腸直腸がん(mCRC)、進行
性結腸直腸がん、不応性結腸直腸がん、不応性転移性マイクロサテライト安定性(MSS
)結腸直腸がん、切除不能結腸直腸がん、および/または抗がん薬耐性結腸直腸がんを含
む。患者のうちの最大25%が、診察時に、転移性疾患を伴うと診断され、患者のうちの
50%が、生涯のある時点で、転移を発症しうる。
【0258】
本出願を通じて開示される全ての開示される使用であって、用量および投与レジメン、
組合せ、投与経路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、CR
Cの処置へと適用されうる。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200m
g~400mgの用量で投与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ごと
に、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、200m
gの用量で、3週間ごとに、好ましくは、皮下投与される。一実施形態では、ゲボキズマ
ブは、処置1回当たり90mg~200mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマブ
は、好ましくは、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では
、ゲボキズマブは、120mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好ましくは、静脈
内投与される。
【0259】
一実施形態では、本発明は、結腸直腸がん(CRC)の処置における使用のための、ゲ
ボキズマブまたはこの機能的な断片を提供するが、この場合、ゲボキズマブまたはこの機
能的な断片は、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、
化学療法剤は、CRCのための標準治療剤である。一実施形態では、1または複数の化学
療法剤は、イリノテカン塩酸塩(Camptosar(登録商標))、カペシタビン(ゼ
ローダ(登録商標))、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標))、5-FU
(フルオロウラシル)、ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)、FU-LV/FL(5
-FU+ロイコボリン)、トリフルリジン/チピラシル塩酸塩(Lonsurf(登録商
標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、レゴラフェニブ(Stivarga
(登録商標))、FOLFOXIRI(ロイコボリン、5-フルオロウラシル[5-FU
]、オキサリプラチン、イリノテカン)、FOLFOX(ロイコボリン、5-FU、オキ
サリプラチン)、FOLFIRI(ロイコボリン、5-FU、イリノテカン)、Cape
Ox(カペシタビン+オキサリプラチン)、XELIRI(カペシタビン(ゼローダ(登
録商標))+イリノテカン塩酸塩)、XELOX(カペシタビン(ゼローダ(登録商標)
)+オキサリプラチン)、FOLFOX+ベバシズマブ(Avastin(登録商標))
、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登
録商標))、FOLFIRI+ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、FOLF
IRI+セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、およびFOLFIRI+Ziv
-アフリベルセプト(Zaltrap)から選択される。患者状態に応じて、少なくとも
1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの化学療法剤を、上記のリストから選択し
て、ゲボキズマブと組み合わせることができる。
【0260】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、一般的な細胞傷害剤であり、好ましく
は、前記一般的な細胞傷害剤は、FOLFOX、FOLFIRI、カペシタビン、5-フ
ルオロウラシル、イリノテカン、およびオキサリプラチンからなるリストから選択される
【0261】
通例、CRCの初期療法は、フルオロウラシル、およびオキサリプラチン(FOLFO
X)、フルオロウラシル、およびイリノテカン(FOLFIRI)、またはカペシタビン
、およびオキサリプラチン(XELOX)を組み合わせる、ダブレット化学療法レジメン
の細胞傷害性バックボーンを伴う。ベバシズマブは、典型的に、化学療法と、最前衛で組
み合わせることが推奨される。野生型RAS腫瘍を伴う患者には、抗EGFR薬(セツキ
シマブおよび/またはパニツムマブ)は、バックボーン化学療法と組み合わせた、初期生
物学的療法のための、代替的な選択肢を表す。
【0262】
本明細書で使用される「FOLFOX」という用語は、オキサリプラチン、薬学的に許
容されるその塩、および前出のうちのいずれかの溶媒和物から選択される、少なくとも1
つのオキサリプラチン化合物;5-フルオロウラシル、薬学的に許容されるその塩、およ
び前出のうちのいずれかの溶媒和物から選択される、少なくとも1つの5-フルオロウラ
シル(5-FUとしてもまた公知である)化合物;ならびにフォリン酸(ロイコボリンと
してもまた公知である)、レボフォリン酸塩(フォリン酸のレボアイソフォーム)、前出
のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、および前出のうちのいずれかの溶媒和物から
選択される、少なくとも1つのフォリン酸化合物を含む組合せ療法(例えば、化学療法)
を指す。本明細書で使用される「FOLFOX」という用語は、これらの成分の任意の特
定の量または投与レジメンに限定されることを意図しない。
【0263】
本明細書で使用される「FOLFIRI」という用語は、イリノテカン、薬学的に許容
されるその塩、および前出のうちのいずれかの溶媒和物から選択される、少なくとも1つ
のイリノテカン化合物;5-フルオロウラシル、薬学的に許容されるその塩、および前出
のうちのいずれかの溶媒和物から選択される、少なくとも1つの5-フルオロウラシル(
5-FUとしてもまた公知である)化合物;ならびにフォリン酸(ロイコボリンとしても
また公知である)、レボフォリン酸塩(フォリン酸のレボアイソフォーム)、前出のうち
のいずれかの薬学的に許容される塩、および前出のうちのいずれかの溶媒和物から選択さ
れる、少なくとも1つの化合物を含む組合せ療法(例えば、化学療法)を指す。本明細書
で使用される「FOLFIRI」という用語は、これらの成分の任意の特定の量または投
与レジメンに限定されることを意図しない。そうではなく、本明細書で使用される「FO
LFIRI」は、これらの成分の、任意の特定の量中または投与レジメン中の全ての組合
せを含む。
【0264】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、VEGF阻害剤(例えば、VEGFR
(例えば、VEGFR-1、VEGFR-2、またはVEGFR-3)またはVEGFの
うちの1または複数の阻害剤)である。
【0265】
部分的な炎症ベースを伴うがんの処置における使用のための、IL-1β結合性抗体ま
たはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブと組み合わせて使用しうる、例示的なV
EGFR経路阻害剤は、例えば、ベバシズマブ(rhuMAbVEGFまたはAVAST
IN(登録商標)としてもまた公知である)、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標
))、ziv-アフリベルセプト(Zaltrap(登録商標))、セジラニブ(REC
ENTIN(商標)、AZD2171)、レバチニブ(Lenvima(登録商標))、
バタラニブコハク酸塩、アキシチニブ(INLYTA(登録商標));ブリバニブアラニ
ンエステル(BMS-582664、(S)-((R)-1-(4-(4-フルオロ-2
-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-5-メチルピロロ[2,1-f][1
,2,4]トリアジン-6-イルオキシ)プロパン-2-イル)2-アミノプロパン酸塩
);ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標));パゾパニブ(VOTRIENT(登
録商標));スニチニブリンゴ酸塩(SUTENT(登録商標));セジラニブ(AZD
2171、CAS:288383-20-1);バルガテフ(BIBF1120、CAS
:928326-83-4);フォレチニブ(GSK1363089);テラチニブ(B
AY57-9352、CAS:332012-40-5);アパチニブ(YN968D1
、CAS:811803-05-1);イマチニブ(GLEEVEC(登録商標));ポ
ナチニブ(AP24534、CAS:943319-70-8);チボザニブ(AV95
1、CAS:475108-18-0);レゴラフェニブ(BAY73-4506、CA
S:755037-03-7);ブリバニブ(BMS-540215、CAS:6497
35-46-6);バンデタニブ(CAPRELSA(登録商標)、またはAZD647
4);モテサニブ二リン酸塩(PCT公開第02/066470号パンフレットにおいて
記載されている、AMG706、CAS:857876-30-3、N-(2,3-ジヒ
ドロ-3,3-ジメチル-1H-インドール-6-イル)-2-[(4-ピリジニルメチ
ル)アミノ]-3-ピリジンカルボキサミド);セマキサニブ(SU5416)、リンフ
ァニブ(ABT869、CAS:796967-16-3);カボザンチニブ(XL18
4、CAS:849217-68-1);レスタウルチニブ(CAS:111358-8
8-4);N-[5-[[[5-(1,1-ジメチルエチル)-2-オキサゾイル]メチ
ル]チオ]-2-チアゾイル]-4-ピペリジンカルボキサミド(BMS38703、C
AS:345627-80-7);(3R,4R)-4-アミノ-1-((4-((3-
メトキシフェニル)アミノ)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル
)メチル)ピペリジン-3-オール(BMS690514);N-(3,4-ジクロロ-
2-フルオロフェニル)-6-メトキシ-7-[[(3aα,5β,6aα)-オクタヒ
ドロ-2-メチルシクロペンタ[c]ピロール-5-イル]メトキシ]-4-キナゾリン
アミン(XL647、CAS:781613-23-8);4-メチル-3-[[1-メ
チル-6-(3-ピリジニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]
アミノ]-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-ベンズアミド(BHG712
、CAS:940310-85-0);およびエンドスタチン(ENDOSTAR(登録
商標))を含む。
【0266】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、抗VEGF抗体である。一実施形態で
は、1または複数の化学療法剤は、低分子量の抗VEGF阻害剤である。
【0267】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、VEGF阻害剤であり、ベバシズマブ
、ラムシルマブ、およびziv-アフリベルセプトからなるリストから選択される。好ま
しい一実施形態では、VEGF阻害剤は、ベバシズマブである。
【0268】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、FOLFIRI+ベバシズマブ、また
はFOLFOX+ベバシズマブである。
【0269】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、チェックポイント阻害剤、好ましくは
、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤であり、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリ
ズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ(PD
R-001)からなる群から選択される。好ましい一実施形態では、1または複数の化学
療法剤は、ペンブロリズマブである。好ましい一実施形態では、1または複数の化学療法
剤は、ニボルマブである。
【0270】
好ましい一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、アテゾリズマブである。さら
に好ましい一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、アテゾリズマブおよびコビメ
チニブである。
【0271】
好ましい一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、ラムシルマブである。好まし
い一実施形態では、前記患者は、転移性CRCを有する。
【0272】
好ましい一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、ziv-アフリベルセプトで
ある。好ましい一実施形態では、前記患者は、転移性CRCを有する。
【0273】
好ましい一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、チロシンキナーゼ阻害剤であ
る。一実施形態では、前記チロシンキナーゼ阻害剤は、EGF経路阻害剤、好ましくは、
表皮増殖因子受容体(EGFR)の阻害剤である。好ましくは、EGFR阻害剤は、エル
ロチニブ(Tarceva(登録商標))、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))
、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登
録商標))、ネシツムマブ(Portrazza(登録商標))、ダコミチニブ、ニモツ
ズマブ、イマガツズマブ、オシメルチニブ(Tagrisso(登録商標))、ラパチニ
ブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))のうちの1または複数から
選択される。一実施形態では、前記EGFR阻害剤は、セツキシマブである。一実施形態
では、前記EGFR阻害剤は、パニツムマブである。
【0274】
一実施形態では、EGFR阻害剤は、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4
-(ジメチルアミノ)ブト-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]
イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド(Compound A40
)、またはPCT公開第2013/184757号パンフレットに開示されている化合物
である。
【0275】
一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、CRCを、手術により除去
した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ま
しくは組合せで使用される。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、
CRCのファーストライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される
。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、CRCのセカンドまたはサ
ードライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される。
【0276】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片について上記で開示した実施形態は、カナキヌマ
ブまたはこの機能的な断片についても、適切に適用可能である。
【0277】
ある特定の実施形態では、本発明は、胃がんの処置における使用のための、IL-1β
抗体またはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片、適切に
は、カナキヌマブまたはこの機能的な断片を提供する。
【0278】
本明細書で使用される「胃がん」という用語は、胃腸がんおよび食道がん(胃食道がん
)、特に、食道下部のがんを包摂し、原発性胃がん、転移性胃がん、不応性胃がん、切除
不能胃がん、および/または抗がん薬耐性胃がんを指す。「胃がん」という用語は、遠位
食道、胃食道接合部、および/または胃の腺癌、消化管カルチノイド腫瘍、ならびに消化
管間質腫瘍を含む。好ましい実施形態では、胃がんは、胃食道がんである。
【0279】
本出願を通じて開示される全ての使用であって、用量および投与レジメン、組合せ、投
与経路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、胃がんの処置へ
と適用されうる。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200mg~400
mgの用量で投与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ごとに、または
、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量で
、3週間ごとに、好ましくは、皮下投与される。一実施形態では、ゲボキズマブは、処置
1回当たり90mg~200mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマブは、好まし
くは、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、ゲボキズ
マブは、120mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好ましくは、静脈内投与され
る。
【0280】
一実施形態では、本発明は、胃がんの処置における使用のための、ゲボキズマブまたは
この機能的な断片を提供するが、この場合、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、1
または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、化学療法剤は、胃
がんのための標準治療剤である。一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、カルボ
プラチン+パクリタキセル(Taxol(登録商標))、シスプラチン+5-フルオロウ
ラシル(5-FU)、ECF(エピルビシン(Ellence(登録商標))、シスプラ
チン、および5-FU)、DCF(ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、シ
スプラチン、および5-FU)、シスプラチン+カペシタビン(ゼローダ(登録商標))
、オキサリプラチン+5-FU、オキサリプラチン+カペシタビン、イリノテカン(Ca
mptosar(登録商標))、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、ドセタ
キセル(Taxotere(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録
商標))、FU-LV/FL(5-フルオロウラシル+ロイコボリン)、およびXELI
RI(カペシタビン(Xeloda(登録商標))+イリノテカン塩酸塩)から選択され
る。患者状態に応じて、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの化学
療法剤を、上記のリストから選択して、ゲボキズマブと組み合わせることができる。
【0281】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、パクリタキセルおよびラムシルマブで
ある。さらなる一実施形態では、前記組合せは、転移性胃食道がんのセカンドライン処置
のために使用される。
【0282】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、チェックポイント阻害剤であり、好ま
しくは、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤であり、好ましくは、ニボルマブ、ペン
ブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ
(PDR-001)からなる群から選択される。
【0283】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、ニボルマブである。一実施形態では、
1または複数の化学療法剤は、ニボルマブ+イピリムマブである。さらなる一実施形態で
は、前記組合せは、転移性胃食道がんのファーストまたはセカンドライン処置のために使
用される。
【0284】
一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、胃がんを、手術により除去
した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ま
しくは組合せで使用される。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、
胃がんのファーストライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される
。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、胃がんのセカンドまたはサ
ードライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される。
【0285】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片について上記で開示した実施形態は、カナキヌマ
ブまたはこの機能的な断片についても、適切に適用可能である。
【0286】
ある特定の実施形態では、本発明は、黒色腫の処置における使用のための、IL-1β
抗体またはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片、適切に
は、カナキヌマブまたはこの機能的な断片を提供する。「黒色腫」という用語は、本明細
書で使用される通り、「悪性黒色腫」および「皮膚黒色腫」を含み、神経堤に由来するメ
ラニン細胞から生じる悪性腫瘍を指す。大半の黒色腫は、皮膚内で生じるが、それらはま
た、粘膜表面から生じる場合もあり、神経堤細胞が遊走する他の部位において生じる場合
もある。本明細書で使用される「黒色腫」という用語は、原発性黒色腫、局所進行性黒色
腫、切除不能黒色腫、BRAF V600突然変異性黒色腫、NRAS突然変異体黒色腫
、転移性黒色腫(切除不能BRAF V600突然変異性黒色腫または転移性BRAF
V600突然変異性黒色腫を含む)、不応性黒色腫(再発性BRAF V600突然変異
体黒色腫または不応性BRAF V600突然変異体黒色腫(例えば、前記黒色腫は、B
RAFi/MEKi組合せ療法の失敗の後で再発性であるか、またはBRAFi/MEK
i組合せ療法に対して不応性である)、抗がん薬耐性黒色腫(BRAFi/MEKi組合
せ処置に対して耐性のBRAF突然変異体黒色腫を含む)、および/またはがん免疫療法
(IO)不応性黒色腫を含む)を含む。
【0287】
本出願を通じて開示される全ての使用であって、用量および投与レジメン、組合せ、投
与経路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、黒色腫の処置へ
と適用されうる。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200mg~400
mgの用量で投与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ごとに、または
、好ましくは、毎月、好ましくは、皮下投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、
200mgの用量で、3週間または4週間ごとに投与される。一実施形態では、ゲボキズ
マブは、処置1回当たり90mg~200mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマ
ブは、好ましくは、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月、好ましくは、静脈内投与
される。一実施形態では、ゲボキズマブは、90mgの用量で、3週間ごとに、または毎
月投与される。一実施形態では、ゲボキズマブは、120mgの用量で、3週間ごとに、
または毎月投与される。
【0288】
一実施形態では、本発明は、黒色腫の処置における使用のための、ゲボキズマブまたは
この機能的な断片を提供するが、この場合、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、1
または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、化学療法剤は、黒
色腫のための標準治療剤である。一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、テモゾ
ロミド、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、ビ
ンブラスチン、アルデスロイキン(Proleukin(登録商標))、コビメチニブ(
Cotellic(登録商標))、ダカルバジン、タリモジーン・ラハーパレプベック(
Imlygic(登録商標))、(peg)インターフェロンアルファ2b(Intro
n A(登録商標)/Sylatron(商標))、トラメチニブ(Mekinist(
登録商標))、ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標))、トラメチニブ(Me
kinist(登録商標))+ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標))、ペン
ブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標
))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商
標))+イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、およびVemurafenib(
Zelboraf(登録商標))から選択される。黒色腫の処置のために現在開発されつ
つある他の医薬は、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、およびアテゾ
リズマブ(Tecentriq(登録商標))+ベバシズマブ(Avastin(登録商
標))を含む。患者状態に応じて、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも
3つの化学療法剤を、上記のリストから選択して、ゲボキズマブと組み合わせることがで
きる。
【0289】
現在開発中の免疫療法は、従来型の処置が無効な患者を含む黒色腫がん患者に、著明な
利益をもたらし始めている。近年、PD-1/PD-L1間相互作用の2つの阻害剤であ
る、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))およびニボルマブ(Opdiv
o(登録商標))が、黒色腫における使用のために承認された。しかし、結果は、単剤の
PD-1阻害剤で処置された多くの患者が、処置から十分な利益を得ていないことを指し
示す。
【0290】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、ニボルマブである。
【0291】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、イピリムマブである。
【0292】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、ニボルマブおよびイピリムマブである
【0293】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、トラメチニブである。
【0294】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、ダブラフェニブである。
【0295】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、トラメチニブおよびダブラフェニブで
ある。
【0296】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、ペンブロリズマブである。
【0297】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、アテゾリズマブである。
【0298】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、アテゾリズマブ(Tecentriq
(登録商標))+ベバシズマブである。
【0299】
一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、黒色腫を、手術により除去
した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ま
しくは組合せで使用される。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、
黒色腫のファーストライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される
。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、黒色腫のセカンドまたはサ
ードライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される。
【0300】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片について上記で開示した実施形態は、カナキヌマ
ブまたはこの機能的な断片についても、適切に適用可能である。
【0301】
IL-1βに関して、肺がんの発症において観察されたことと同様に、IL-1βが、
黒色腫の発症においても、同様の役割を果たすことは、妥当である。
【0302】
IL-1β前駆体を発現する腫瘍細胞は、不活性の前駆体を、活性のサイトカインへと
プロセシングするために、まず、カスパーゼ1を活性化させなければならない。カスパー
ゼ1の活性化は、ヌクレオチド結合性ドメインおよびロイシンリッチリピート含有タンパ
ク質3(NLRP3)インフラマソームによる、プロカスパーゼ1の自己触媒反応を要請
する(Dinarello, C. A. (2009). Ann Rev Immunol, 27, 519-550)。後期ヒト黒色腫細
胞内では、NLRP3インフラマソームの構成的活性化を介する、活性IL-1βの自発
的な分泌が観察される(Okamoto, M. et al The Journal of Biological Chemistry, 285
, 6477-6488)。ヒト血液単球と異なり、これらの黒色腫細胞は、外因性刺激を要請しな
い。これに対し、中期黒色腫細胞内のNLRP3の機能性は、活性IL-1βを分泌する
ために、IL-1αによる、IL-1受容体の活性化を要請する。黒色腫細胞からの、I
L-1βの自発的な分泌は、カスパーゼ1の阻害、またはインフラマソームの構成要素で
あるASCを指向する低分子干渉RNAの使用により低減した。黒色腫細胞培養物からの
上清は、マクロファージの走化性を増強し、in vitroにおける血管新生を促進し
たが、いずれも、黒色腫細胞を、カスパーゼ1の阻害剤で前処理することにより、または
IL-1受容体の遮断により防止された(Okamoto, M. et al The Journal of Biologica
l Chemistry, 285, 6477-6488)。さらに、ヒト黒色腫腫瘍試料についてのスクリーンに
おいて、生検16例中14例では、IL-1βについて、1,000を超えるコピー数が
存在したのに対し、IL-1αを発現した例は見られなかった(Elaraj, D. M. et al, C
linical Cancer Research, 12, 1088-1096)。まとめると、これらの発見は、IL-1媒
介性自己炎症、とりわけ、ヒト黒色腫の発症および進行に寄与するものとしてのIL-1
βを含意する。
【0303】
したがって、一態様では、本発明は、患者における黒色腫の処置および/または防止に
おける使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を提供する。一実施
形態では、患者は、2mg/L以上、または4mg/L以上の高感度C反応性タンパク質
(hsCRP)を有する。
【0304】
一実施形態では、処置1回当たり約90mg~約450mgのIL-1β結合性抗体ま
たはこの機能的な断片を、黒色腫患者へと、好ましくは、2、3、または4週間(毎月)
ごとに投与する。
【0305】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体は、カナキヌマブである。好ましくは、300
mgのカナキヌマブを、毎月投与する。さらに、カナキヌマブの2回目の投与は、初回の
投与から、最大で2週間、好ましくは、2週間隔てられる。さらに、カナキヌマブは、皮
下投与される。さらに、カナキヌマブは、あらかじめ充填されたシリンジ内に含有された
液体形態で、または再構成のための凍結乾燥形態として投与される。
【0306】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体は、ゲボキズマブ(XOMA-052)である
。さらに、ゲボキズマブは、皮下投与されるか、または静脈内投与される。
【0307】
少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんである、肺がんの処置における、IL-1
βの有効性についての臨床エビデンスを、初めて提示したのは、CANTOSから得られ
たデータである。さらに、肺がんは、Nod様受容体タンパク質3(NLRP3)のイン
フラマソームの活性化を部分的に介して、活性化するか、または媒介された、共時的な炎
症を有し、結果として、インターロイキン1βの局所的産生をもたらす。黒色腫が、IL
-1βの、がんの発症における関与の点で、同様の機構を共有することは、妥当である。
したがって、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、とりわけ、カナキヌマブが
、黒色腫の処置において有効であることは、妥当である。
【0308】
本出願で、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、とりわけ、カナキヌマブま
たはゲボキズマブの使用に関して、特に、カナキヌマブまたはゲボキズマブの投与レジメ
ンに関して、特に、患者のhsCRPレベルおよび処置によるその低減に関して、特に、
肺がんの処置および/または防止における、hsCRPの、バイオマーカーとしての使用
に関して開示される、全ての教示は、黒色腫の処置および/または防止においても、当業
者により同様に適用可能であるか、または、容易に改変されうる。
【0309】
ある特定の実施形態では、本発明は、膀胱がんの処置における使用のための、IL-1
β抗体またはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片、適切
には、カナキヌマブまたはこの機能的な断片を提供する。本明細書で使用される「膀胱が
ん」という用語は、膀胱扁平上皮癌、膀胱腺癌、膀胱小細胞癌、および尿路上皮(細胞)
癌、すなわち、膀胱癌、尿管癌、腎盂癌、および尿道癌を指す。用語は、非筋肉浸潤(N
MI)型、または表在形態のほか、筋肉浸潤(MI)型への言及を含む。用語にはまた、
原発性膀胱がん、局所進行性の膀胱がん、切除不能膀胱がん、転移性膀胱がん、不応性膀
胱がん、再発性膀胱がん、および/または抗がん薬耐性膀胱がんへの言及も含まれる。本
出願を通じて開示される全ての使用であって、用量および投与レジメン、組合せ、投与経
路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、膀胱がんの処置へと
適用されうる。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200mg~400m
gの用量で投与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ごとに、または、
好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量で、
3週間ごとに、好ましくは、皮下投与される。一実施形態では、ゲボキズマブは、処置1
回当たり90mg~200mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマブは、好ましく
は、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、ゲボキズマ
ブは、120mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好ましくは、静脈内投与される
【0310】
膀胱がんの処置レジメンは、早期膀胱がんのための膀胱内療法のほか、放射線療法を伴
う化学療法および放射線療法を伴わない化学療法を含む。
【0311】
一実施形態では、本発明は、膀胱がんの処置における使用のための、ゲボキズマブまた
はこの機能的な断片を提供するが、この場合、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、
1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、化学療法剤は、
膀胱がんのための標準治療剤である。一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、シ
スプラチン、シスプラチン+フルオロウラシル(5-FU)、マイトマイシン+5-FU
、ゲムシタビン+シスプラチン、MVAC(メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソ
ルビシン(アドリアマイシン)+シスプラチン)、CMV(シスプラチン、メトトレキサ
ート、およびビンブラスチン)、カルボプラチン+パクリタキセルまたはドセタキセル、
ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ドキソ
ルビシン、5-FU、メトトレキサート、ビンブラスチン、イホスファミド、ペメトレキ
セド、チオテパ、バルルビシン、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、
アベルマブ(Bavencio(登録商標))、デュルバルマブ(Imfinzi(登録
商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、およびニボルマブ(O
pdivo(登録商標))から選択される。
【0312】
患者状態に応じて、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの化学療
法剤を、上記のリストから選択して、ゲボキズマブと組み合わせることができる。
【0313】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、チェックポイント阻害剤であり、好ま
しくは、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤であり、好ましくは、ニボルマブ、ペン
ブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ
(PDR-001)からなる群から選択される。
【0314】
一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、膀胱がんを、手術により除
去した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において使用される。一実施
形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、膀胱がんのファーストライン処置に
おいて使用される。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、膀胱がん
のセカンドまたはサードライン処置において使用される。
【0315】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片について上記で開示した実施形態は、カナキヌマ
ブまたはこの機能的な断片についても、適切に適用可能である。
【0316】
ある特定の実施形態では、本発明は、前立腺がんの処置における使用のための、IL-
1β抗体またはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片、適
切には、カナキヌマブまたはこの機能的な断片を提供する。本明細書で使用される「前立
腺がん」という用語は、腺房腺癌、導管腺癌、前立腺扁平上皮がん、前立腺小細胞がんを
指し、アンドロゲン遮断/去勢感受性前立腺がん、アンドロゲン遮断/去勢耐性前立腺が
ん、原発性前立腺がん、局所進行性前立腺がん、切除不能前立腺がん、転移性前立腺がん
、不応性前立腺がん、再発性前立腺がん、および/または抗がん薬耐性前立腺がんを含む
【0317】
本出願を通じて開示される全ての使用であって、用量および投与レジメン、組合せ、投
与経路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、前立腺がんの処
置へと適用されうる。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200mg~4
00mgの用量で投与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ごとに、ま
たは、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用
量で、3週間ごとに、好ましくは、皮下投与される。一実施形態では、ゲボキズマブは、
処置1回当たり90mg~200mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマブは、好
ましくは、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、ゲボ
キズマブは、120mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好ましくは、静脈内投与
される。
【0318】
一実施形態では、本発明は、前立腺がんの処置における使用のための、ゲボキズマブま
たはこの機能的な断片を提供するが、この場合、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は
、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、化学療法剤は
、前立腺がんのための標準治療剤である。一実施形態では、1または複数の化学療法剤は
、アビラテロン、アパルタミド、ビカルタミド、カバジタキセル、デガレリクス、ドセタ
キセル、ドセタキセル+プレドニゾン、エンザルタミド(Xtandi(登録商標))、
フルタミド、ゴセレリン酢酸塩、ロイプロリド酢酸塩、ケトコナゾール、アミノグルテチ
ミド、ミトキサントロン塩酸塩、ニルタミド、シプリューセルT、二塩化ラジウム223
、エストラムスチン、リリモジーン・ガルバシレプベック/リリモジーン・ガルフォリベ
ック(PROSTVAC(登録商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商
標))、ペンブロリズマブ+エンザルタミドから選択される。
【0319】
患者状態に応じて、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの化学療
法剤を、上記のリストから選択して、ゲボキズマブと組み合わせることができる。
【0320】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、チェックポイント阻害剤であり、好ま
しくは、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤であり、好ましくは、ニボルマブ、ペン
ブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ
(PDR-001)からなる群から選択される。
【0321】
一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、前立腺がんを、手術により
除去した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において使用される。一実
施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、前立腺がんのファーストライン処
置において使用される。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、前立
腺がんのセカンドまたはサードライン処置において使用される。
【0322】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片について上記で開示した実施形態は、カナキヌマ
ブまたはこの機能的な断片についても、適切に適用可能である。
【0323】
ある特定の実施形態では、本発明は、乳がんの処置における使用のための、IL-1β
抗体またはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片、適切に
は、カナキヌマブまたはこの機能的な断片を提供する。本明細書で使用される「乳がん」
という用語は、乳管(浸潤性乳管癌および非浸潤性乳管癌(DCIS)を含む乳管癌)、
乳腺(浸潤性小葉癌および非浸潤性小葉癌(LCIS)を含む小葉癌)において生じる乳
がん、炎症性乳がん、血管肉腫を含み、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がん、プロ
ゲステロン受容体陽性(PR+)乳がん、Herceptin受容体陽性(HER2+)
乳がん、Herceptin受容体陰性(HER2-)乳がん、ER陽性/HER2陰性
乳がん、およびトリプルネガティブ乳がん(TNBC;HER2-、ER-、かつPR-
である乳がん)を含むがこれらに限定されない。
【0324】
本出願を通じて開示される全ての使用であって、用量および投与レジメン、組合せ、投
与経路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、乳がんの処置へ
と適用されうる。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200mg~400
mgの用量で投与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ごとに、または
、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量で
、3週間ごとに、好ましくは、皮下投与される。一実施形態では、ゲボキズマブは、処置
1回当たり90mg~200mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマブは、好まし
くは、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、ゲボキズ
マブは、120mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好ましくは、静脈内投与され
る。
【0325】
乳がんの処置レジメンは、早期乳がんのための膀胱内療法のほか、放射線療法を伴う化
学療法および放射線療法を伴わない化学療法を含む。
【0326】
一実施形態では、本発明は、乳がんの処置における使用のための、ゲボキズマブまたは
この機能的な断片を提供するが、この場合、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、1
または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、化学療法剤は、乳
がんのための標準治療剤である。一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、アベマ
シクリブ、メトトレキサート、アブラキサン(パクリタキセルのアルブミン安定化ナノ粒
子製剤)、ado-トラスツズマブエムタンシン、アナストロゾール(パミドロン酸二ナ
トリウム)、カペシタビン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩
、エピルビシン塩酸塩、エリブリンメシル酸塩、エキセメスタン、フルオロウラシル注射
剤、フルベストラント、ゲムシタビン塩酸塩、ゴセレリン酢酸塩、イキサベピロン、ラパ
チニブトシル酸塩、レトロゾール、メゲストロール酢酸塩、メトトレキサート、ネラチニ
ブマレイン酸塩、オラパリブ、パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、タモキシフ
ェン、チオテパ、トレミフェン、ビンブラスチン硫酸塩、AC(ドキソルビシン塩酸塩(
アドリアマイシン)およびシクロホスファミド)、AC-T(ドキソルビシン塩酸塩(ア
ドリアマイシン)、シクロホスファミドおよびパクリタキセル)、CAF(シクロホスフ
ァミド、ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン)およびフルオロウラシル)、CMF
(シクロホスファミド、メトトレキサートおよびフルオロウラシル)、FEC(フルオロ
ウラシル、エピルビシン塩酸塩、シクロホスファミド)、TAC(ドセタキセル(Tax
otere)、ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン)、シクロホスファミド)、パ
ルボシクリブ、アベマシクリブ、リボシクリブ、エベロリムス、トラスツズマブ(Her
ceptin(登録商標))、ado-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(
登録商標))、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Ist
odax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット
(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、p
xd101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商
標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(mgcd0103)、アベキ
シノスタット(pci-24781)、エンチノスタット(ms-275)、プラシノス
タット(sb939)、レスミノスタット(4sc-201)、ジビノスタット(itf
2357)、キシノスタット(jnj-26481585)、kevetnn、cudc
-101、ar-42、テフィノスタット(chr-2835)、chr-3996、4
sc202、cg200745、ロクリノスタット(acy-1215)、スルフォラフ
ァン、またはニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバル
マブスパルタリズマブ(PDR-001)、およびイピリムマブなどのチェックポイント
阻害剤から選択される。
【0327】
患者状態に応じて、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの化学療
法剤を、上記のリストから選択して、ゲボキズマブと組み合わせることができる。
【0328】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、チェックポイント阻害剤であり、好ま
しくは、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤であり、好ましくは、ニボルマブ、ペン
ブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ
(PDR-001)からなる群から選択される。
【0329】
好ましい一実施形態では、IL-1β抗体またはこの機能的な断片、好ましくは、カナ
キヌマブまたはゲボキズマブは、1または複数の化学療法剤と組み合わせて使用され、こ
の場合、前記薬剤は、抗Wnt阻害剤、好ましくは、バンチクツマブである。この実施形
態は、乳腺腫瘍の転移の阻害において、特に、有用である。
【0330】
一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、乳がんを、手術により除去
した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ま
しくは組合せで使用される。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、
乳がんのファーストライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される
。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、乳がんのセカンドまたはサ
ードライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される。一実施形態で
は、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、TNBCの処置において、単独で、または
好ましくは組合せで使用される。
【0331】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片について上記で開示した実施形態は、カナキヌマ
ブまたはこの機能的な断片についても、適切に適用可能である。
【0332】
ある特定の実施形態では、本発明は、膵臓がんの処置における使用のための、IL-1
β抗体またはこの機能的な断片、適切には、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片、適切
には、カナキヌマブまたはこの機能的な断片を提供する。
【0333】
本明細書で使用される「膵臓がん」という用語は、膵内分泌腫瘍および膵外分泌腫瘍を
指し、膵管上皮から生じる腺癌、適切には、膵管腺癌(PDAC)、または膵島細胞から
生じる新生物を含み、ガストリノーマ、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、お
よびソマトスタチノーマなどの膵神経内分泌腫瘍(pNET)を含む。膵臓がんは、原発
性膵臓がん、局所進行性膵臓がん、切除不能膵臓がん、転移性膵臓がん、不応性膵臓がん
、および/または抗がん薬耐性膵臓がんでありうる。
【0334】
本出願を通じて開示される全ての使用であって、用量および投与レジメン、組合せ、投
与経路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、膵臓がんの処置
へと適用されうる。一実施形態では、カナキヌマブは、処置1回当たり200mg~40
0mgの用量で投与され、この場合、カナキヌマブは、好ましくは、3週間ごとに、また
は、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、カナキヌマブは、200mgの用量
で、3週間ごとに、好ましくは、皮下投与される。一実施形態では、ゲボキズマブは、処
置1回当たり90mg~200mgの用量で投与され、この場合、ゲボキズマブは、好ま
しくは、3週間ごとに、または、好ましくは、毎月投与される。一実施形態では、ゲボキ
ズマブは、120mgの用量で、3週間ごとに、または毎月、好ましくは、静脈内投与さ
れる。
【0335】
一実施形態では、本発明は、膵臓がんの処置における使用のための、ゲボキズマブまた
はこの機能的な断片を提供するが、この場合、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、
1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、化学療法剤は、
胃がんのための標準治療剤である。一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、na
b-パクリタキセル(パクリタキセルのアルブミン安定化ナノ粒子製剤;Abraxan
e(登録商標))、ドセタキセル、カペシタビン、エベロリムス(Afinitor(登
録商標))、エルロチニブ塩酸塩(Tarceva(登録商標))、スニチニブリンゴ酸
塩(Sutent(登録商標))、フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン塩酸塩
、イリノテカン、マイトマイシンC、FOLFIRINOX(ロイコボリンカルシウム(
フォリン酸)、フルオロウラシル、イリノテカン塩酸塩、およびオキサリプラチン)、ゲ
ムシタビン+シスプラチン、ゲムシタビン+オキサリプラチン、ゲムシタビン+nab-
パクリタキセル、およびOFF(オキサリプラチン、フルオロウラシル、およびロイコボ
リンカルシウム(フォリン酸))から選択される。患者状態に応じて、少なくとも1つ、
少なくとも2つ、または少なくとも3つの化学療法剤を、上記のリストから選択して、ゲ
ボキズマブと組み合わせることができる。
【0336】
一実施形態では、1または複数の化学療法剤は、チェックポイント阻害剤であり、好ま
しくは、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤であり、好ましくは、ニボルマブ、ペン
ブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ
(PDR-001)からなる群から選択される。
【0337】
一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、膵臓がんを、手術により除
去した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好
ましくは組合せで使用される。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は
、膵臓がんのファーストライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用さ
れる。一実施形態では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、膵臓がんのセカンドま
たはサードラインにおいて、単独で、または好ましくは組合せで使用される。
【0338】
ゲボキズマブまたはこの機能的な断片について上記で開示した実施形態は、カナキヌマ
ブまたはこの機能的な断片についても、適切に適用可能である。
【0339】
一態様では、本発明は、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片と、少なくとも
1つの薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、患者における、少なくとも
部分的な炎症ベースを有するがんであり、肺がんを含むがんの処置および/または防止に
おける使用のための医薬組成物を提供する。好ましくは、医薬組成物は、治療有効量のI
L-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を含む。
【0340】
本発明の一態様では、カナキヌマブまたはこの機能的な断片は、静脈内投与される。本
発明の一態様では、カナキヌマブまたはこの機能的な断片は、好ましくは、皮下投与され
る。
【0341】
本発明の一態様では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、皮下投与される。本発
明の一態様では、ゲボキズマブまたはこの機能的な断片は、好ましくは、静脈内投与され
る。
【0342】
カナキヌマブは、50~200mg/mlの濃度のカナキヌマブ、50~300mMの
スクロース、10~50mMのヒスチジン、および0.01~0.1%の界面活性剤を含
む再構成製剤であって、製剤のpHが、5.5~7.0である製剤により投与されうる。
カナキヌマブは、50~200mg/mlの濃度のカナキヌマブ、270mMのスクロー
ス、30mMのヒスチジンおよび0.06%ポリソルベート20、または80を含む再構
成製剤であって、製剤のpHが、6.5である製剤により投与されうる。
【0343】
カナキヌマブは、50~200mg/mlの濃度のカナキヌマブ、クエン酸塩、ヒスチ
ジン、およびコハク酸ナトリウムからなる群から選択される緩衝液系、スクロース、マン
ニトール、ソルビトール、アルギニン塩酸塩からなる群から選択される安定化剤、および
界面活性剤を含む液体製剤であって、製剤のpHが、5.5~7.0である製剤によって
もまた、投与されうる。カナキヌマブは、50~200mg/mlの濃度のカナキヌマブ
、50~300mMのマンニトール、10~50mMのヒスチジン、および0.01~0
.1%の界面活性剤を含む液体製剤であって、製剤のpHが、5.5~7.0である製剤
によってもまた、投与されうる。カナキヌマブは、50~200mg/mlの濃度のカナ
キヌマブ、270mMのマンニトール、20mMのヒスチジン、および0.04%のポリ
ソルベート20またはポリソルベート80を含む液体製剤であって、製剤のpHが、6.
5である製剤によってもまた、投与されうる。
【0344】
皮下投与される場合、カナキヌマブは、患者へと、あらかじめ充填されたシリンジ内に
含有された液体形態で、または再構成のための凍結乾燥形態として投与されうる。
【0345】
一態様では、本発明は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がん
を含むがんの、IL-1β阻害剤、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片による
処置および/または防止における、バイオマーカーとしての使用のための、高感度C反応
性タンパク質(hsCRP)を提供する。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有
するがんは、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がん
を含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、
AML、多発性骨髄腫、および膵臓がんを含むがこれらに限定されない。CANTOS試
験集団内の、ベースラインにおけるhsCRPレベルが、追跡時において肺がんを伴うと
診断された参加者では、がんの診断がないままであった参加者と比較して高度であった(
6.0対4.2mg/L、P<0.001)ことは、強力な炎症性構成要素により、ある
特定のがんを指し示す、既往の業績と符合する。したがって、hsCRPのレベルは、I
L-1β阻害剤である、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片で処置すべきなの
が、肺がんの診断がなされた患者なのか、肺がんの診断がなされなかった患者なのか、肺
がんを発症する危険性がある患者なのかの決定において、おそらく、関与性である。好ま
しい実施形態では、前記IL-1β結合性抗体またはこの断片は、カナキヌマブもしくは
この断片、またはゲボキズマブもしくはこの断片である。同様にhsCRPのレベルは、
IL-1β阻害剤である、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片で処置すべきな
のが、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者なのか、診断がなされた患
者なのか、診断がなされなかった患者なのかの決定において、おそらく、関与性である。
好ましい実施形態では、前記IL-1β結合性抗体は、カナキヌマブまたはゲボキズマブ
である。
【0346】
したがって、本発明は、IL-1β阻害剤である、IL-1β結合性抗体またはこの機
能的な断片による、患者の、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺が
んを含むがんの処置および/または防止における、バイオマーカーとしての使用のための
、高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を提供するが、この場合、前記患者は、IL
-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の投与の前に評価される、高感度C反応性タン
パク質(hsCRP)のレベルが、2mg/L以上または3mg/L以上または4mg/
L以上または5mg/L以上または6mg/L以上、7mg/L以上、8mg/L以上、
9mg/L以上または10mg/L以上、12mg/L以上、15mg/L以上、20m
g/L以上、または25mg/L以上であれば、処置および/または防止に適格である。
好ましい実施形態では、前記患者は、4mg/L以上のhsCRPレベルを有する。好ま
しい実施形態では、前記患者は、6mg/L以上のhsCRPレベルを有する。好ましい
実施形態では、前記患者は、10mg/L以上のhsCRPレベルを有する。
【0347】
カナキヌマブの組合せ投与についての、プラセボと比較した解析では、3カ月後におい
て、1.8mg/Lの中央値を超える、hsCRPの低減を達成した参加者の肺がんにつ
いて観察されるハザード比は、0.29(95%CI:0.17~0.51、P<0.0
001)であり、中央値未満の、hsCRPの低減を達成した参加者について観察される
効果より良好であった(HR:0.83、95%CI:0.56~1.22、P=0.3
4)。
【0348】
したがって、一態様では、本発明は、IL-1β阻害剤である、IL-1β結合性抗体
またはこの機能的な断片、とりわけ、カナキヌマブまたはゲボキズマブによる処置の継続
または中止について、医師を誘導する、予後診断バイオマーカーとしてのhsCRPの低
減の程度の使用に関する。一実施形態では、本発明は、IL-1β阻害剤である、IL-
1β結合性抗体またはこの機能的な断片の、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん
であって、肺がんを含むがんの処置および/または防止における使用であって、IL-1
β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の、少なくとも3カ月後、好ましくは、
3カ月後において、hsCRPのレベルが、少なくとも0.8mg/L、少なくとも1m
g/L、少なくとも1.2mg/L、少なくとも1.4mg/L、少なくとも1.6mg
/L、少なくとも1.8mg/L、少なくとも3mg/Lまたは少なくとも4mg/Lに
低減する場合に、このような処置または防止が、継続される使用を提供する。一実施形態
では、本発明は、IL-1β阻害剤である、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断
片の、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんの処置お
よび/または防止における使用であって、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片
を、適切な用量で伴う処置の開始から、約3カ月後において、hsCRPのレベルが、0
.8mg/L未満、1mg/L未満、1.2mg/L未満、1.4mg/L未満、1.6
mg/L未満、1.8mg/L未満に低減する場合に、このような処置または防止が、中
止される使用を提供する。さらなる実施形態では、カナキヌマブの適切な用量は、3カ月
ごとに投与される、50mg、150mg、または300mgである。さらなる実施形態
では、カナキヌマブの適切な用量は、2週間にわたり、2回投与され、次いで、3カ月ご
とに投与される300mgである。一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機
能的な断片は、カナキヌマブまたはこの機能的な断片であり、この場合、前記カナキヌマ
ブは、200mgの用量で、3週間ごとに、または200mgの用量で、毎月投与される
。一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片は、ゲボキズマブまた
はこの機能的な断片であり、この場合、前記ゲボキズマブは、60mg~90mgまたは
120mgの用量で、3週間ごとに、または毎月投与される。
【0349】
一態様では、本発明は、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片、とりわけ、カ
ナキヌマブまたはゲボキズマブによる処置の継続または中止について、医師を誘導する、
予後診断バイオマーカーとしてのhsCRPレベルの低減の使用を提供する。一実施形態
では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片による、このような処置および/ま
たは防止は、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与から、少なくとも
3カ月後において評価されるhsCRPのレベルが、10mg/L未満、8mg/L未満
に低減する、5mg/L未満に低減する、3.5mg/L未満に低減する、3mg/L未
満、2.3mg/L未満、2mg/L未満、または1.8mg/L未満に低減する場合に
される。一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片による、このよ
うな処置および/または防止は、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投
与から、少なくとも3カ月後において評価されるhsCRPのレベルが、3.5mg/m
l未満、3mg/L未満、2.3mg/L未満、2mg/L未満、または1.8mg/L
未満に低減しない場合に中止される。さらなる実施形態では、カナキヌマブの適切な用量
は、2週間にわたり、2回投与され、次いで、3カ月ごとに投与される300mgである
。一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片は、カナキヌマブまた
はこの機能的な断片であり、この場合、前記カナキヌマブは、200mgの用量で、3週
間ごとに、または200mgの用量で、毎月、または300mgの用量で、毎月投与され
る。一実施形態では、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片は、ゲボキズマブま
たはこの機能的な断片であり、この場合、前記ゲボキズマブは、60mg~90mgまた
は120mgの用量で、3週間ごとに、または毎月投与される。
【0350】
一態様では、本発明は、それを必要とする患者の、少なくとも部分的な炎症ベースを有
するがんの処置における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片で
あって、前記患者における血管新生を阻害するのに十分な用量で投与される、IL-1β
結合性抗体またはこの機能的な断片を提供する。理論に束縛されることを望まないが、I
L-1β経路の阻害は、腫瘍の増殖および腫瘍の転移の鍵となる事象である、血管新生の
阻害または軽減をもたらしうることが仮定される。したがって、臨床的状況では、血管新
生の阻害は、腫瘍の退縮、腫瘍の増殖が見られないこと(安定)、転移の防止、または転
移の遅延により測定することができる。典型的に、少なくとも部分的な炎症ベースを有す
るがんは、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを
含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、多
発性骨髄腫、および膵臓がんを含むがこれらに限定されない。
【0351】
一実施形態では、前記がんは、肺がん、とりわけ、NSCLCである。一実施形態では
、前記がんは、乳がんである。一実施形態では、前記がんは、結腸直腸がんである。一実
施形態では、前記がんは、胃がんである。一実施形態では、前記がんは、腎癌である。一
実施形態では、前記がんは、黒色腫である。
【0352】
一実施形態では、血管新生を阻害するのに十分な前記用量は、処置1回当たり約30m
g~約750mg、代替的に、100mg~600mg、100mg~450mg、10
0mg~300mg、代替的に、150mg~600mg、150mg~450mg、1
50mg~300mg、好ましくは、150mg~300mg;代替的に、処置1回当た
り少なくとも150mg、少なくとも180mg、少なくとも250mg、少なくとも3
00mgの範囲で投与される、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を含む。一
実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがん
を伴う患者は、各処置を、2週間ごとに、3週間ごとに、4週間ごとに(毎月)、6週間
ごとに、隔月で(2カ月ごとに)、または季節ごとに(3カ月ごとに)施される。一実施
形態では、本発明の薬物の範囲は、90mg~450mgである。一実施形態では、前記
本発明の薬物は、毎月投与される。一実施形態では、前記本発明の薬物は、3週間ごとに
投与される。
【0353】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体は、血管新生を阻害するのに十分な用量で投与
されるカナキヌマブであり、この場合、前記用量は、処置1回当たり約100mg~約7
50mg、代替的に、100mg~600mg、100mg~450mg、100mg~
300mg、代替的に、150mg~600mg、150mg~450mg、150mg
~300mg、代替的に、処置1回当たり少なくとも150mg、少なくとも200mg
、少なくとも250mg、少なくとも300mgの範囲である。一実施形態では、少なく
とも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんを伴う患者は、各処置
を、2週間ごとに、3週間ごとに、4週間ごとに(毎月)、6週間ごとに、隔月で(2カ
月ごとに)、または季節ごとに(3カ月ごとに)施される。一実施形態では、肺がんを伴
う患者は、カナキヌマブを、毎月施される。一実施形態では、カナキヌマブの、好ましい
用量範囲は、200mg~450mg、さらに好ましくは、300mg~450mg、さ
らに好ましくは、350mg~450mgである。一実施形態では、カナキヌマブの、好
ましい用量範囲は、3週間ごとに、または毎月、200mg~450mgである。一実施
形態では、カナキヌマブの、好ましい用量は、3週間ごとに、200mgである。一実施
形態では、カナキヌマブの、好ましい用量は、毎月、200mgである。一実施形態では
、カナキヌマブは、皮下投与または静脈内投与され、好ましくは、皮下投与される。
【0354】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体は、血管新生を阻害するのに十分な用量で投与
されるゲボキズマブであり、この場合、前記用量は、処置1回当たり約30mg~約45
0mg、代替的に、90mg~450mg、90mg~360mg、90mg~270m
g、90mg~180mg;代替的に、120mg~450mg、120mg~360m
g、120mg~270mg、120mg~180mg、代替的に、150mg~450
mg、150mg~360mg、150mg~270mg、150mg~180mg;代
替的に、180mg~450mg、180mg~360mg、180mg~270mg;
代替的に、処置1回当たり少なくとも150mg、少なくとも180mg、少なくとも2
40mg、少なくとも270mgの範囲である。一実施形態では、少なくとも部分的な炎
症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんを伴う患者は、処置を、2週間ごとに
、3週間ごとに、毎月、6週間ごとに、隔月で(2カ月ごと)、または季節ごとに(3カ
月ごとに)に施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんで
あって、肺がんを含むがんを伴う患者は、1カ月間当たり、少なくとも1回、好ましくは
、1回の処置を施される。一実施形態では、ゲボキズマブの好ましい範囲は、150mg
~270mgである。一実施形態では、ゲボキズマブの好ましい範囲は、60mg~18
0mg、さらに好ましくは、60mg~90mgである。一実施形態では、好ましいスケ
ジュールは、3週間ごとである。一実施形態では、好ましいスケジュールは、毎月である
。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、60mg~90mg施され
る。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、毎月、60mg~90mg施される。一
実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、ゲボキズマブ
を、3週間ごとに、約90mg~約360mg、90mg~約270mg、120mg~
270mg、90mg~180mg、120mg~180mg、120mg、または90
mg施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者
は、ゲボキズマブを、毎月、約90mg~約360mg、90mg~約270mg、12
0mg~270mg、90mg~180mg、120mg~180mg、120mg、ま
たは90mg施される。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、90
mg、180mg、190mg、または200mg施される。一実施形態では、患者は、
ゲボキズマブを、毎月、90mg、180mg、190mg、または200mg施される
。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、毎月または3週間ごとに、120mg施さ
れる。一実施形態では、ゲボキズマブは、皮下投与または静脈内投与され、好ましくは、
静脈内投与される。
【0355】
本出願を通じて開示される全ての使用であって、用量および投与レジメン、組合せ、投
与経路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、血管新生阻害の
実施形態へと適用されうる。好ましい一実施形態では、IL-1β抗体またはこの機能的
な断片は、1または複数の化学療法剤と組み合わせて使用され、この場合、前記薬剤は、
抗Wnt阻害剤、好ましくは、バンチクツマブである。
【0356】
理論に束縛されることを望まないが、IL-1β経路の阻害は、腫瘍の転移の阻害また
は軽減をもたらしうることが仮定される。今日までのところ、カナキヌマブの、転移に対
する効果についての報告はなされていない。実施例3に提示されるデータは、IL-1β
が、原発部位において、転移部位と比較して異なる転移促進性機構を活性化させることを
裏付ける:乳がん細胞による、IL-1βの内因性産生は、上皮間葉転換(EMT)、浸
潤、遊走、および臓器特異的ホーミングを促進する。腫瘍細胞が、骨環境に到達すると、
腫瘍細胞と、骨芽細胞または骨髄細胞との接触は、3つの細胞型全てからの、IL-1β
の分泌を増大させる。これらの高濃度のIL-1βは、播種された腫瘍細胞の、明白な転
移への増殖を刺激することにより、骨転移性ニッチの増殖を引き起こす。これらの転移促
進過程は、カナキヌマブなどの、抗IL-1β処置の投与により阻害される。
【0357】
したがって、IL-1βを、IL-1β結合性抗体でターゲティングすることは、確立
された腫瘍からの新たな転移の播種を防止し、骨内に既に播種された腫瘍細胞を、休眠状
態に保持することにより、転移へと進行する危険性があるがん患者のための、新規の治療
法を表す。記載されるモデルは、骨転移を探索するようにデザインされたものであり、デ
ータは、IL-1βの発現と、骨へのホーミングとの強い連関を示すが、他の部位への転
移におけるIL-1βの関与を除外しない。
【0358】
したがって、一態様では、本発明は、それを必要とする患者の、少なくとも部分的な炎
症ベースを有するがんの処置における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機
能的な断片であって、前記患者における転移を阻害するのに十分な用量で投与される、I
L-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を提供する。典型的に、少なくとも部分的な
炎症ベースを有するがんは、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃
がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺が
ん、膀胱がん、多発性骨髄腫、および膵臓がんを含むがこれらに限定されない。
【0359】
一実施形態では、転移を阻害するのに十分な前記用量は、処置1回当たり約30mg~
約750mg、代替的に、100mg~600mg、100mg~450mg、100m
g~300mg、代替的に、150mg~600mg、150mg~450mg、150
mg~300mg、好ましくは、150mg~300mg;代替的に、処置1回当たり少
なくとも150mg、少なくとも180mg、少なくとも250mg、少なくとも300
mgの範囲で投与される、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を含む。一実施
形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんを伴
う患者は、各処置を、2週間ごとに、3週間ごとに、4週間ごとに(毎月)、6週間ごと
に、隔月で(2カ月ごとに)、または季節ごとに(3カ月ごとに)施される。一実施形態
では、本発明の薬物の範囲は、90mg~450mgである。一実施形態では、前記本発
明の薬物は、毎月投与される。一実施形態では、前記本発明の薬物は、3週間ごとに投与
される。
【0360】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体は、転移を阻害するのに十分な用量で投与され
るカナキヌマブであり、この場合、前記用量は、処置1回当たり約100mg~約750
mg、代替的に、100mg~600mg、100mg~450mg、100mg~30
0mg、代替的に、150mg~600mg、150mg~450mg、150mg~3
00mg、代替的に、処置1回当たり少なくとも150mg、少なくとも200mg、少
なくとも250mg、少なくとも300mgの範囲である。一実施形態では、少なくとも
部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺がんを含むがんを伴う患者は、各処置を、
2週間ごとに、3週間ごとに、4週間ごとに(毎月)、6週間ごとに、隔月で(2カ月ご
とに)、または季節ごとに(3カ月ごとに)施される。一実施形態では、がんを伴う患者
は、カナキヌマブを、毎月施される。一実施形態では、カナキヌマブの、好ましい用量範
囲は、200mg~450mg、さらに好ましくは、300mg~450mg、さらに好
ましくは、350mg~450mgである。一実施形態では、カナキヌマブの、好ましい
用量範囲は、3週間ごとに、または毎月、200mg~450mgである。一実施形態で
は、カナキヌマブの、好ましい用量は、3週間ごとに、200mgである。一実施形態で
は、カナキヌマブの、好ましい用量は、毎月、200mgである。一実施形態では、カナ
キヌマブは、皮下投与または静脈内投与され、好ましくは、皮下投与される。
【0361】
一実施形態では、IL-1β結合性抗体は、転移を阻害するのに十分な用量で投与され
るゲボキズマブであり、この場合、前記用量は、処置1回当たり約30mg~約450m
g、代替的に、90mg~450mg、90mg~360mg、90mg~270mg、
90mg~180mg;代替的に、120mg~450mg、120mg~360mg、
120mg~270mg、120mg~180mg、代替的に、150mg~450mg
、150mg~360mg、150mg~270mg、150mg~180mg;代替的
に、180mg~450mg、180mg~360mg、180mg~270mg;代替
的に、処置1回当たり少なくとも150mg、少なくとも180mg、少なくとも240
mg、少なくとも270mgの範囲である。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベ
ースを有するがんであって、肺がんを含むがんを伴う患者は、処置を、2週間ごとに、3
週間ごとに、毎月、6週間ごとに、隔月で(2カ月ごと)、または季節ごとに(3カ月ご
とに)施される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって
、肺がんを含むがんを伴う患者は、1カ月間当たり、少なくとも1回、好ましくは、1回
の処置を施される。一実施形態では、ゲボキズマブの好ましい範囲は、150mg~27
0mgである。一実施形態では、ゲボキズマブの好ましい範囲は、60mg~180mg
、さらに好ましくは、60mg~90mgである。一実施形態では、好ましいスケジュー
ルは、3週間ごとである。一実施形態では、好ましいスケジュールは、毎月である。一実
施形態では、患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、60mg~90mg施される。一
実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、毎月、60mg~90mg施される。一実施形
態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、ゲボキズマブを、3
週間ごとに、約90mg~約360mg、90mg~約270mg、120mg~270
mg、90mg~180mg、120mg~180mg、120mg、または90mg施
される。一実施形態では、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを伴う患者は、ゲ
ボキズマブを、毎月、約90mg~約360mg、90mg~約270mg、120mg
~270mg、90mg~180mg、120mg~180mg、120mg、または9
0mg施される。一実施形態では、患者は、ゲボキズマブを、3週間ごとに、90mg、
180mg、190mg、または200mg施される。一実施形態では、患者は、ゲボキ
ズマブを、毎月、90mg、180mg、190mg、または200mg施される。一実
施形態では、患者は、ゲボキズマブを、毎月または3週間ごとに、120mg施される。
一実施形態では、ゲボキズマブは、皮下投与または静脈内投与され、好ましくは、静脈内
投与される。
【0362】
本出願を通じて開示される全ての使用であって、用量および投与レジメン、組合せ、投
与経路、ならびにバイオマーカーを含むがこれらに限定されない使用は、転移阻害の実施
形態へと適用されうる。好ましい一実施形態では、IL-1β抗体またはこの機能的な断
片は、1または複数の化学療法剤と組み合わせて使用され、この場合、前記薬剤は、抗W
nt阻害剤、好ましくは、バンチクツマブである。
【0363】
IL-1βは、IL-6およびTNF-αなど、様々な炎症促進性サイトカインの遺伝
子発現の誘導を駆動することが公知である。CANTOS試験では、カナキヌマブの投与
が、IL-6の、25~43パーセントの用量依存的低減と関連することが観察された(
全てのP値<0.0001)。したがって、本発明はまた、少なくとも部分的な炎症ベー
スを有するがんであって、肺がんを含むがこれらに限定されないがんの処置および/また
は防止における使用のためのIL-6阻害剤も提供する。一部の実施形態では、IL-6
阻害剤は、IL-6に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、シルツキシマブ(Syl
vant(登録商標))、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、エルシリモマブ
、ゲリリズマブ、WBP216(MEDI 5117としてもまた公知である)、または
これらの断片などのIL-6抗体、EBI-031(Eleven Biotherap
eutics)、FB-704A(Fountain BioPharma Inc)、
OP-R003(Vaccinex Inc)、IG61、BE-8、PPV-06(P
eptinov)、SBP002(Solbec)、トラベクテジン(Yondelis
(登録商標))、C326/AMG-220、オラムキセプト、PGE1およびこの誘導
体、PGI2およびこの誘導体、ならびにシクロホスファミドからなる群から選択される
。本発明の別の実施形態は、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんであって、肺が
んを含むがんの処置および/または防止における使用のためのIL-6受容体(IL-6
R)(CD126)阻害剤を提供する。一部の実施形態では、IL-6R阻害剤は、IL
-6Rに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、トシリズマブ(Actemra(登録
商標))、サリルマブ(Kevzara(登録商標))、ボバルリズマブ、PM1、AU
K12-20、AUK64-7、AUK146-15、MRA、サトラリズマブ、SL-
1026(SomaLogic)、LTA-001(Common Pharma)、B
CD-089(Biocad Ltd)、APX007(Apexigen/Epito
mics)、TZLS-501(Novimmune)、LMT-28、国際公開第20
07143168号パンフレットおよび国際公開第2012118813号パンフレット
において開示されている抗IL-6R抗体、マジンドリンA、マジンドリンB、ならびに
AB-227-NAからなる群から選択される。
【0364】
本明細書で使用されるカナキヌマブは、INN番号8836下で規定され、以下の配列

軽鎖
【0365】
【化1】
重鎖:
【0366】
【化2】
を有する。
【0367】
INN番号9310下で規定される、本明細書で使用されるカナキヌマブは、以下の配
列:
重鎖(heavy chain/chaine lourde/cadena pesa
da)
【0368】
【化3】
軽鎖(light chain/chaine legere/cadena lige
ra)
【0369】
【化4】
を有する。
【0370】
「IL-1β結合性抗体」とは、IL-1βに、特異的に結合し、結果として、IL-
1βの、その受容体への結合を阻害またはモジュレートし、さらに結果として、IL-1
βの機能を阻害することが可能な、任意の抗体を意味する。
【0371】
本明細書で使用される、抗体の「機能的断片」という用語は、抗原(例えば、IL-1
β)に特異的に結合する能力を保持する、抗体の部分または断片を指す。抗体の「機能的
断片」という用語の中に包摂される結合性断片の例は、単鎖Fv(scFv)、Fab断
片、Vドメイン、Vドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインからなる一価断
片;ヒンジ領域において、ジスルフィド架橋により連結された、2つのFab断片を含む
二価断片である、F(ab)2断片;VドメインおよびCH1ドメインからなるFd断
片;抗体の単一のアームのVドメインおよびVドメインからなるFv断片;Vドメ
インからなるdAb断片(Ward et al., 1989);および単離された相補性決定領域(C
DR);ならびにペプチド足場上に配置された、1または複数のCDRである。
【0372】
本発明の、他の特徴、目的、および利点は、明細書および図面、ならびに特許請求の範
囲から明らかとなるであろう。
【0373】
以下の実施例は、上記で記載した本発明を例示するが、これらは、いかなる形であれ、
本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例0374】
下記の実施例は、本発明の理解の一助となるように明示されるものであり、いかなる形
であれ、その範囲を限定することを意図するものではなく、そのように解釈すべきでもな
い。
【0375】
[実施例1]
病期II~IIIAおよびIIIB(T>5cm N2)の、完全切除(R0)非小細胞
肺がん(NSCLC)を伴う成人対象におけるアジュバント療法としての、カナキヌマブ
の有効性および安全性を、プラセボと対比して査定する、フェーズIII、多施設、無作
為化、二重盲検、プラセボ対照研究
このプロスペクティブ、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照フェーズIII研
究の目的は、AJCC/UICC v.8による病期II~IIIAおよび病期IIIB
(T>5cm N2)の、完全切除(R0)NSCLC対象のための標準治療に続くアジ
ュバント療法としてのカナキヌマブの有効性および安全性を査定することである。
【0376】
研究デザイン
このフェーズIII研究である、CACZ885T2301は、完全切除(R0)NS
CLCのAJCC/UICC v.8による病期II~IIIAおよびIIIB(T>5
cmおよびN2)の疾患を伴う成人対象を登録する。対象は、それらのNSCLCのため
の、標準治療のアジュバント処置であって、シスプラチンベースの化学療法および縦隔放
射線療法(適切な場合)を含むアジュバント処置を完了してから、本研究のために、スク
リーニングまたは無作為化される。対象は、それらのNSCLCの、手術による完全な切
除を受け、R0状態(病理学的再検査における断端陰性)を確認した後で、適切な場合、
アジュバントである、シスプラチンベースのダブレット化学療法(および、適切な場合、
病期IIIA N2またはIIIB N2の疾患のための放射線療法)を完了した後で、
かつ、全ての参加基準が満たされた後でスクリーニングされうる。R0状態を達成するの
に、対象に、手術前のネオアジュバント化学療法または放射線療法を施していてはならな
い。約1500例の対象を、カナキヌマブまたは対応するプラセボへと、1:1に無作為
化する。
【0377】
投与レジメン
研究は、二重盲検である。全ての適格対象を、以下の2つの処置アーム:
・18サイクルにわたる、21日ごとのサイクルの1日目の、s.c.における、20
0mgのカナキヌマブ
・18サイクルにわたる、21日ごとのサイクルの1日目の、s.c.におけるプラセ

のうちの1つへと、1:1の比で無作為化する。
【0378】
【化5】
【0379】
無作為化は、AJCC/UICC v.8による病期:T>5cm、N2疾患を伴う、
IIA対IIB対IIIA対IIIB;組織構造:扁平上皮対非扁平上皮;ならびに地域
:西欧および北米対東アジア対世界の他の地域(RoW)により層別化する。対象は、そ
れらが、18サイクルを完了するか、あるいはいずれが最初に生じるのであれ、以下:治
験責任医師により決定される疾患の再発、さらなる処置を不可能にする、許容不可能な毒
性、治験責任医師もしくは対象の裁量による処置の中止、または死もしくは追跡からの離
脱のうちのいずれか1つを経るまで、割り当てられた処置を継続する。アジュバント処置
の1年間の持続は、疾患の再発を起こす中程度または高度の危険性を有する対象において
、許容可能な有益性をもたらすことを前提とする。疾患の再発が、処置フェーズ中に観察
されない場合、対象は、疾患の再発、対象による同意の取り下げ、対象の、追跡からの離
脱、死、または治験依頼者による、最長で5年間にわたる研究の打ち切りまで追跡される
。研究による処置を中止する全ての対象は、最終の全生存(OS)解析もしくは死、追跡
からの離脱、または生存追跡についての同意の取り下げまで、12週間ごとに、生存につ
いて追跡される。
【0380】
標準治療は、がんを含まない断端を伴うNSCLCの完全な切除を含む。全ての病期I
IB~IIIAおよびIIIB(T>5cm N2)の疾患対象には、4サイクルにわた
るシスプラチンベースのダブレット化学療法が要請される(忍容されない場合であって、
少なくとも2サイクルにわたるアジュバント化学療法が要請される場合を除く)が、T(
>4~5cm)を伴う病期IIAには、化学療法が、推奨されるが、必須ではない。全て
の病期IIIA N2およびIIIB(T>5cm N2)の疾患対象には、縦隔リンパ
節への放射線療法が、示唆されるが、要請されない。全ての対象は、研究への参加に適格
であるのに、NSCLCの、手術による完全な切除がなされていなければならず、断端は
、病理学的に再検査され、陰性と記録されなければならない。比較は、有効性:DFS、
OS、LCSS、および生活の質についての尺度(EQ-5D-5LおよびEORTC
QLQ-C30/LC13)ならびに安全性について、アームの間で行う。
【0381】
初回の疾患の再発の検出は、身体検査と、治験責任医師により決定される、放射線によ
る腫瘍の測定とを含む臨床査定により行う。放射線エビデンスが決定的でない場合は、生
検を実施して、再発を確認するものとする。スクリーニング/ベースラインでは、以下の
評価:臨床的に適応である場合、胸部、腹部、および骨盤のCTまたはMRI、脳のMR
Iおよび全身骨の走査が要請される。その後におけるイメージング評価は、1年目の12
週間ごと(±7日間)(処置フェーズ)に続き、2および3年目において、サイクル1の
1日目に、次いで、26週間ごと、ならびに4および5年目(処置後監視フェーズ)にお
いて、毎年行う。全ての研究フェーズにわたる、イメージング評価の間の間隔は、サイク
ル18の1日目における、最終回の規定用量の投与の前に、研究による処置を、一時的に
中断するのか、恒久的に中止するのか、規定外の評価を実施するのかに関わらず、上記で
記載した通りに尊重されるものとする。対象が、再発以外の理由で、研究による処置を中
止する場合も、再発の評価は、疾患の再発、対象による同意の取り下げ、対象の、追跡か
らの離脱、死、または治験依頼者による研究の打ち切りまで、規定の来院に従い継続する
ものとする。
【0382】
主要目的および鍵となる副次的目的:
主要目的
主要目的は、地域の治験責任医師評価により決定される、カナキヌマブアームにおける
無病生存(DFS)を、プラセボアームにおけるDFSと対比して比較することである。
【0383】
統計学的仮説、モデル、および解析法
DFSについての比例ハザードモデルを仮定し、以下の統計学的仮説:
Ha1(対立仮説):Θ1<0と対比させた、H01(帰無仮説):Θ1≧0
[仮説中、Θ1は、プラセボ(対照)アームと対比させた、カナキヌマブ(被験)アーム
の、DFSについての対数によるハザード比である]
を検定して、有効性についての主要目的に取り組む。
【0384】
この仮説を検定し、2つの処置群を比較する主要有効性解析は、2.5%の全体的片側
有意水準の、層別化されたログランク検定からなる。層別化は、以下の無作為化層別化因
子:T>5cm N2疾患を伴う、AJCC/UICC v.8による病期IIA対II
B対IIIA対IIIB;組織構造:扁平上皮対非扁平上皮;ならびに地域:西欧および
北米対東アジア対世界の他の地域(RoW)に基づく。DFSについてのハザード比は、
ログランク検定と同じ層別化因子を使用して、層別化Coxモデルから、その95%信頼
区間と共に計算される。
【0385】
鍵となる副次的目的
鍵となる副次的目的は、カナキヌマブによる処置が、プラセボアームと比較して、全生
存であるOSを延長するのかどうかを決定することである。OSは、無作為化日から、任
意の原因に起因する死亡の日までの時間として規定される。対象が、死亡したことが知ら
れていない場合、OSは、対象が生きていることが知られていた最後の日付(カットオフ
当日付またはカットオフ日の前)で打ち切られる。OSについての比例ハザードモデルを
仮定し、DFSが、統計学的に有意である場合に限り、以下の統計学的仮説:
Ha2(対立仮説):Θ2<0と対比させた、H02(帰無仮説):Θ2≧0
[仮説中、Θ2は、プラセボ(対照)アームと対比させた、カナキヌマブ(被験)アーム
の、OSについての対数によるハザード比である]
を検定する。これらの仮説を検定する解析は、2.5%の全体的片側有意水準の、層別化
されたログランク検定からなる。層別化は、以下の無作為化層別化因子:T>5cm N
2疾患を伴う、AJCC/UICC v.8による病期IIA対IIB対IIIA対II
IB;組織構造:扁平上皮対非扁平上皮;ならびに地域:西欧および北米対東アジア対世
界の他の地域(RoW)に基づく。
【0386】
OSの分布は、カプラン-マイヤー法を使用して推定され、カプラン-マイヤー曲線、
中央値、および中央値の95%信頼区間が、各処置群について提示される。OSについて
のハザード比は、層別化Coxモデルを使用して、その95%信頼区間と共に、計算され
る。
【0387】
副次的目的
1.肺がん特異的生存を、プラセボアームと対比したカナキヌマブアームにおいて比較
すること:
肺がん特異的生存(LCSS)は、無作為化日から、肺がんに起因する死亡の日まで
の時間として規定される。解析は、無作為化された処置群と、無作為化において割り当て
られた層とに従うFAS集団に基づく。LCSSの分布は、カプラン-マイヤー法を使用
して推定され、カプラン-マイヤー曲線、中央値、および中央値の95%信頼区間が、各
処置群について提示される。LCSSについてのハザード比は、層別化Coxモデルを使
用して、その95%信頼区間と共に、計算される。
2.カナキヌマブの安全性プロファイルを特徴付けること
AE、ECG、および検査値異常の頻度
3.カナキヌマブ療法の薬物動態を特徴付けること
カナキヌマブの血清濃度-時間プロファイル、および集団PKモデルに基づく、適切
な個別のPKパラメータ
4.カナキヌマブの免疫原性(抗薬物抗体、ADA)の、罹患率および発生率を特徴付
けること
抗カナキヌマブ抗体の血清濃度
5.カナキヌマブ対プラセボの、PROに対する効果であって、機能および健康に関連
する生活の質を含む効果を評価すること(QLQ-LC13を組み込んだEORTC Q
LQ-C30およびEQ-5D)
QLQ-LC13の問診票に従う、疼痛、咳、および呼吸困難についての、決定的な
増悪症状スコアが、10ポイントとなるまでの時間は、目的の主要PRO変数である。E
Q-5D-5Lから導出される有用性と併せた、QLQ-C30に従う、全般的な健康状
態/QoL、息切れ、および疼痛における、決定的な増悪までの時間は、目的の副次的P
RO変数である。
European Organization for Research and
Treatment of Cancerによる、コアとなる、生活の質についての問
診票である、EORTC-QLQC30(version 3.0)、およびその肺がん
特異的モジュールである、QLQLC13(version 1.0)は、対象の機能、
疾患に関連する症状、健康に関連する生活の質、および健康状態についてのデータを収集
するのに使用される。EQ-5D-5Lは、医療経済学研究において使用しうる有用性の
算定を目的として使用される。EORTC QLQ-C30/LC13ならびにEQ-5
D-5Lは、肺がんを伴う対象についての臨床試験において、頻繁に使用され、アジュバ
ント状況(Bezjak et al 2008)において、既に使用されている、信頼でき、かつ、妥当
な尺度である。
【0388】
[実施例2A]
IL-1βシグナル伝達の遮断は、骨微小環境内の血管を変更する
背景:本発明者らは、近年、インターロイキン1β(IL-1β)を、乳がん患者が骨
転移を発症する危険性を増大させていること予測するための潜在的なバイオマーカーとし
て同定した。加えて、本発明者らは、IL-1β活性の遮断が、骨内に播種された乳がん
細胞からの骨転移の発症を阻害し、腫瘍内血管新生を低減することを示した。本発明者ら
は、IL-1βとIL-1Rとの間の相互作用もまた、骨微小環境内の新血管の形成を促
進し、この部位における転移の発症を刺激することを仮定する。
【0389】
目的:IL-1β活性を遮断することの、骨内の血管形成に対する効果を探索する。
【0390】
方法:IL-1R阻害の、骨梁内の血管系に対する効果を、1mg/kgのIL-1R
アンタゴニスト(アナキンラ)で、21/31日間にわたり処置されたマウス、IL-1
β抗体であるカナキヌマブ(イラリス)で、0~96時間にわたり処置されたマウス、ま
たは遺伝子操作されたIL-1R1ノックアウト(KO)マウスにおいて決定した。CD
34およびエンドムチンについての免疫組織化学の後で、血管系を視覚化し、血管内皮増
殖因子(VEGF)およびエンドセリン1の、血清中濃度および/または骨髄中濃度を、
ELISAにより決定した。骨体積に対する効果を、マイクロコンピュータ断層法(uC
T)により測定した。
【0391】
結果:カナキヌマブ(イラリス)は、新血管の長さの、0.09mm(対照)から、0
.06mm(24時間にわたるイラリス)への有意な減少(P=0.0319)を引き起
こした。IL-1R1 KOマウスおよびアナキンラで処置されたマウスは、平均新血管
長の減少傾向を裏付けた。IL-1Rの阻害は、骨梁体積の増大を結果としてもたらした
。アナキンラは、31日間にわたり処置されたマウスにおける、エンドセリン1濃度の6
9%の低下(P=0.0269)、および21日間にわたり処置されたマウスにおける、
VEGF濃度の22%の低下(P=0.0104)を引き起こした。カナキヌマブ(イラ
リス)は、96時間にわたり処置されたマウスにおける、VEGF濃度の46%の低減、
およびエンドセリン1濃度の47%の低減を引き起こした。
【0392】
結論:これらのデータは、IL-1R活性が、骨内の新血管系の形成において、重要な
役割を果たし、その活性の薬理学的な阻害が、乳がん骨転移のための新規の処置としての
潜在的可能性を有することを裏付ける。
【0393】
[実施例2B]
IL-1Bシグナル伝達は、乳がんの骨転移を調節する
乳がんの骨転移は、不治であり、患者における予後不良と関連する。骨へのホーミング
および定着の後、乳がん細胞は、微小環境からのシグナルが、播種されたこれらの細胞の
増殖を刺激して、明白な転移を形成するまで、依然として休眠している。本発明者らは、
近年、インターロイキン1β(IL-1β)を、乳がん患者が転移を発症する危険性を増
大させていること予測するための潜在的なバイオマーカーとして同定し、骨内の腫瘍細胞
の休眠時における、IL-1シグナル伝達の役割を確立した。本発明者らは、腫瘍に由来
し、微小環境に依存的なIL-1Bが、乳がんの転移および骨内の増殖において、大きな
役割を果たすことを仮定する。
【0394】
ここでは、本発明者らは、乳がんの骨転移における、IL-1Bシグナル伝達の役割に
ついての、本発明者らの発見を報告する:ヒト乳がんの、ヒト骨への自発的な転移につい
てのマウスモデルを使用して、本発明者らは、臨床的に利用可能な抗IL-1Bモノクロ
ーナル抗体であるイラリスの投与が、骨転移を著明に低減する一方、原発腫瘍の増殖を増
大させることを見出した。これに対し、受容体アンタゴニストの組換え形態であるアナキ
ンラを使用するIL1R1の遮断は、原発乳がんの発症に影響を及ぼさずに、ヒト骨内の
乳がんの転移の発生を遅延させた。これらの発見は、IL1シグナル伝達が、乳がんの進
行において、原発部位と、転移部位とで、異なる機能を果たしうることを示唆する。本発
明者らのデータは、腫瘍細胞の播種および骨内の増殖における、腫瘍由来のIL-1シグ
ナル伝達および微小環境に由来するIL-1シグナル伝達の両方に対する役割:IL-1
B/IL-1R1の、イラリスまたはアナキンラによる阻害が、骨回転および新血管形成
を低減し、骨の微小環境の、乳がん細胞の増殖に対する許容性を低下させることをさらに
強調する。加えて、ヒト乳がん細胞内の、IL1BまたはIL1Rの過剰発現は、in
vivoの循環へと直接注入された腫瘍細胞からの骨転移を増大させた。これらのデータ
は、IL-1B/IL-1R1シグナル伝達が、骨転移の形成において、重要な役割を果
たし、その活性を薬理学的に阻害することが、乳がんの骨転移のための新規の処置として
の潜在的可能性を有することを裏付ける。
【0395】
[実施例2C]
IL1b-Wntシグナル伝達のターゲティングは、骨微小環境内の乳がんの定着を防止
する
腫瘍細胞の、骨髄への播種は、乳がんにおける初期事象であるが、これらの細胞は、最
終的な定着の前に、骨環境内で、多年にわたり休眠したままの場合がある。骨転移のため
の処置は、治癒的ではないので、播種された細胞が、転移性病変となることを防止する、
新たなアジュバント治療が、臨床転帰を改善するのに有効な治療選択肢でありうる。乳腺
腫瘍内のがん幹細胞(CSC)は、転移が可能な細胞であるというエビデンスが存在する
が、どの骨髄由来因子が、休眠CSCの生存および最終的な定着を支援するのかについて
は、ほとんど知られていない。初代ヒト骨髄細胞および患者由来乳がん細胞のin vi
tro培養物、ならびにマウスへと植え込まれたヒト乳がん細胞のin vivo転移モ
デルを使用して、本発明者らは、骨内の、CSCコロニー形成を調節するシグナル伝達経
路について探索した。
【0396】
本発明者らは、骨微小環境への曝露が、in vitroの、17例の患者由来初期乳
がん中15例において、乳腺CSCコロニー形成を刺激し、in vivoにおいて、大
腿骨内に注入された乳がん細胞のコロニー形成の、3~4倍の増大を促進する(p<0.
05)ことを裏付ける。さらに、本発明者らは、ヒト骨髄により分泌されるIL1bが、
Wntの分泌を誘導する、細胞内NFkBシグナル伝達を介して、乳腺CSCコロニー形
成を誘導することを確立する。重要なことであるが、本発明者らは、IL1bシグナル伝
達(IL1b中和抗体またはIL1Rアンタゴニストであるアナキンラを使用して)、ま
たはWntシグナル伝達(Frizzled受容体5/10に結合する治療様抗体である
、バンチクツマブを使用して)を阻害することが、in vitroにおける、骨髄によ
る、CSC活性の誘導(アナキンラ;p<0.0001、バンチクツマブ;p<0.01
)を反転させ、およびin vivoにおける自発的な骨転移を防止する(IL1b中和
抗体;p<0.02、バンチクツマブ;p<0.01)ことを示す。これらのデータは、
IL-1b-Wnt阻害剤が、播種されたCSCが、骨内で、転移性コロニーとなること
を防止し、乳がんにおける、魅力的なアジュバント療法の機会を表すことを指し示す。I
L-1b(アナキンラおよびカナキヌマブ)をターゲティングする薬物は、他の適応のた
めに、FDAで承認されており、抗Wnt処置(バンチクツマブ)は、がんを対象とする
臨床試験中であることは、これを、乳がん患者における、実現可能な治療的標的としてい
る。
【0397】
[実施例2C]
骨微小環境内の乳がんの定着を防止する、IL1β-Wntシグナル伝達のターゲティン

腫瘍細胞の、骨髄への播種は、乳がんにおける初期事象であるが、これらの細胞は、臨
床的な骨転移の発症の前に、骨環境内で、多年にわたり休眠したままの場合がある。乳腺
腫瘍内のがん幹細胞(CSC)は、転移が可能な細胞であるというエビデンスが存在する
が、骨環境の、CSCの調節に対する効果については探索されていない。本発明者らは、
2つのモデル:初代ヒト骨髄細胞および患者由来乳がん細胞のin vitro培養物、
ならびにルシフェラーゼ/tdTomato標識化乳がん細胞の、免疫不全マウスへの、
in vivo大腿骨内注入を使用して、これを研究した。骨環境から単離された後のC
SC活性は、腫瘍様塊のコロニー形成を使用して測定した。
【0398】
本発明者らは、骨微小環境への曝露が、in vitroの、17例の患者由来初期乳
がん中15例において、乳腺CSCコロニー形成を刺激し、in vivoにおいて、マ
ウス大腿骨の骨髄へと注入された乳がん細胞のコロニー形成の、3~4倍の増大を促進す
る(p<0.05)ことを裏付ける。さらに、本発明者らは、ヒト骨髄により分泌される
IL1bが、乳がん細胞内のWntシグナル伝達の誘導を介して、乳腺CSCコロニー形
成を誘導することを確立する。本発明者らは、IL1βシグナル伝達(IL1β中和抗体
またはIL1Rアンタゴニストであるアナキンラを使用して)、またはWntシグナル伝
達(Frizzled受容体5/10に結合する治療様抗体である、バンチクツマブを使
用して)を阻害することが、in vitroにおける、骨髄による、CSC活性の誘導
(アナキンラ;p<0.0001、バンチクツマブ;p<0.01)を反転させ、および
in vivoにおける自発的な骨転移を防止する(IL1β中和抗体;p<0.02、
バンチクツマブ;p<0.01)ことを示す。
【0399】
これらのデータは、IL-1β-Wnt阻害剤が、播種されたCSCが、骨内で、転移
性コロニーとなることを防止することが可能であり、乳がんにおける、アジュバント療法
の機会と考えられるべきであることを指し示す。IL-1β(アナキンラおよびカナキヌ
マブ)に対して、臨床的に利用可能な薬物は、他の適応のために、認可を受けており、抗
Wnt処置(バンチクツマブ)は、臨床試験中であることは、この経路を、乳がん患者に
おける、実現可能な治療的標的としている。
【0400】
[実施例2D]
抗IL1B治療および標準治療剤:乳がんの骨転移を止めるための諸刃の刃
乳がんの骨転移は、不治であり、患者における予後不良と関連する。骨へのホーミング
および定着の後、乳がん細胞は、微小環境からのシグナルが、播種されたこれらの細胞の
増殖を刺激して、明白な転移を形成するまで、依然として休眠している。本発明者らは、
近年、インターロイキン1β(IL-1β)を、乳がん患者が転移を発症する危険性を増
大させていること予測するための潜在的なバイオマーカーとして同定し、骨内の腫瘍細胞
の休眠時における、IL-1シグナル伝達の役割を確立した。本発明者らは、腫瘍に由来
し、微小環境に依存的なIL-1Bが、乳がんの転移および骨内の増殖において、大きな
役割を果たすことを仮定する。
【0401】
ここでは、本発明者らは、乳がんの骨転移における、IL-1Bシグナル伝達の役割に
ついての、本発明者らの発見を報告する。ヒト乳がんの、ヒト骨への自発的な転移につい
てのマウスモデルを使用して、本発明者らは、臨床的に利用可能な抗IL-1Bモノクロ
ーナル抗体であるイラリス、または受容体アンタゴニストの、臨床的に利用可能な組換え
形態であるアナキンラの投与が、骨転移を低減すること(1秒間当たりの光子数の平均値
:プラセボの3.60×10、アナキンラの4.83×10、イラリスの6.01×
10)を見出した。ヒト乳がん細胞内のIL-1BまたはIL-1R1の過剰発現が、
骨内の、腫瘍細胞の播種および増殖の増強を結果としてもたらしたことは、この発見と符
合する(対照、IL-1B過剰発現細胞、およびIL-1R過剰発現細胞のそれぞれにお
いて、12.5、75および50%の、骨内に腫瘍を伴う動物がもたらされた)。標準治
療剤および/または骨吸収抑制薬の使用は、乳がんに罹患した患者のための処置戦略であ
る。ここでは、本発明者らは、乳がん転移の同系モデルにおいて、抗IL1B処置(アナ
キンラ)を、標準治療剤(ドキソルビシン)および/または骨吸収抑制剤(ゾレドロン酸
)と組み合わせる。本発明者らの実験は、三元処置が、乳がんの転移を著明に弱めること
を示す(p=0.0084)。
【0402】
結論として述べると、これらのデータは、IL-1B/IL-1R1シグナル伝達が、
骨転移の形成において、重要な役割を果たし、単独で、または標準治療と組み合わせて、
その活性を薬理学的に阻害することが、骨転移のための新規の処置としての潜在的可能性
を有することを裏付ける。
【0403】
[実施例3]
腫瘍由来IL-1βは、転移において、示差的な腫瘍促進機構を誘導する
材料および方法
細胞培養物
ヒト乳がんMDA-MB-231-Luc2-TdTomato(Calliper
Life Sciences、Manchester UK)、MDA-MB-231(
親)MCF7、T47D(European Collection of Authe
nticated Cell Cultures(ECACC))、MDA-MB-23
1-IV(Nutter et al., 2014)のほか、骨髄HS5(ECACC)およびヒト初代骨
芽細胞OB1を、DMEM+10%FCS(Gibco、Invitrogen、Pai
sley、UK)中で培養した。全ての細胞株を、5%C02下の加湿インキュベーター
内で培養し、>20の小継代で使用した。
【0404】
腫瘍細胞のトランスフェクション:
ヒトIL1BまたはヒトIL1R1を、C末端のGFPタグ(OriGene Tec
hnologies Inc.、Rockville MD)と共に含有するORFプラ
スミド(それぞれ、受託番号:NM_000576およびNM_0008777.2)を
形質導入されたコンピテント大腸菌(E.Coli)から精製されたプラスミドDNAを
使用して、遺伝子であるIL1BまたはIL1R1を過剰発現するように、ヒトMDA-
MB-231細胞、MCF7細胞、およびT47D細胞に、安定的にトランスフェクトし
た。プラスミドDNAの精製は、PureLink(商標)HiPure Plasmi
d Miniprep Kit(ThemoFisher)を使用して実施し、ヒト細胞
へと導入する前に、Lipofectamine II(ThermoFisher)を
一助として、UV分光法により、DNAを定量化した。対照細胞には、IL-1Bまたは
IL-1R1をコードする配列を伴わない、同じプラスミドから単離されたDNAをトラ
ンスフェクトした。
【0405】
in vitro研究
in vitro研究は、0~5ng/mlの組換えIL-1β(R&D syste
ms、Wiesbaden、Germany)±50μMのIL-1Ra(Amgen、
Cambridge、UK)の追加を伴い、かつ、これを伴わずに実行した。
【0406】
細胞を、10%または1%のFCSを伴う新鮮な培地へと移した。細胞の増殖は、1/
400mm血球計(Hawkley、Lancing UK)を使用する、手作業によ
る細胞のカウンティングを介して、24時間ごとに、最大で、120時間にわたり、また
はXcelligence RTCA DP Instrument(Acea Bio
sciences,Inc)を使用して、72時間を超えてモニタリングした。腫瘍細胞
の浸潤は、基底膜(20% Matrigel;Invitrogen)を伴うか、また
は伴わない、小孔サイズを8μmとする、6mmのtranswellプレート(Cor
ning Inc)を使用して評価した。腫瘍細胞を、内側チャンバーへと、DMEM+
1%FCS中に、親細胞ならびにMDA-MB-231派生細胞について、2.5×10
個の密度で播種し、T47D細胞について、5×10個の密度で播種し、5%のFC
Sを補充された、5×10個のOB1骨芽細胞を、外側チャンバーへと添加した。播種
の24時間後および48時間後に、細胞を、膜の上面から取り出し、小孔を通じて浸潤し
た細胞を、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色してから、Leica DM
7900光学顕微鏡上でイメージングし、手作業でカウントした。
【0407】
細胞の遊走は、創傷閉鎖を解析することにより探索した:細胞を、6ウェル組織培養プ
レート(Costar;Corning,Inc)内の、0.2%のゼラチン上へと播種
し、コンフルエンシーに達したら、10μg/mlのマイトマイシンCを添加して、細胞
の増殖を阻害し、単層を横切って、50μmのスクラッチを施した。創傷閉鎖の百分率は
、CTR7000倒立顕微鏡およびLAS-AF v2.1.1ソフトウェア(Leic
a Applications Suite;Leica Microsystems、
Wetzlar、Germany)を使用して、24時間後および48時間後に測定した
。全ての増殖、浸潤、および遊走の実験は、Xcelligence RTCA DP測
定器およびRCTA Software(Acea Biosystems,Inc)を
使用して繰り返した。
【0408】
ヒト骨との共培養研究のために、5×10個のMDA-MB-231細胞またはT4
7D細胞を、組織培養プレート上、または0.5cmのヒト骨ディスクへと、24時間
にわたり播種した。培地を除去し、IL-1βの濃度について、ELISAにより解析し
た。HS5細胞またはOB1細胞との共培養のために、1×10個のMDA-MB-2
31細胞またはT47D細胞を、2×10個のHS5細胞またはOB1細胞と共に、プ
レート上で培養した。24時間後に、細胞を、FACSにより分取し、カウントし、IL
-1β濃度を解析するために、溶解させた。細胞を、24時間ごとに、120時間にわた
り、回収、分取、およびカウントした。
【0409】
動物
ヒト骨移植片を使用する実験は、10週齢の雌NOD SCIDマウスにおいて実行し
た。IL-1β/IL-1R1過剰発現下の骨ホーミング実験では、6~8週齢の雌BA
LB/cヌードマウスを使用した。IL-1βの、骨微小環境に対する効果を探索するた
めに、10週齢の雌C57BL/6マウス(Charles River、Kent、U
K)またはIL-1R1-/-マウス(Abdulaal et al., 2016)を使用した。マウスを
、不断給餌および不断給水を伴う、12時間:12時間の明/暗期に維持した。実験は、
University of Sheffield、UKによる、プロジェクトライセン
ス40/3531号下で、英国本国の当局による承認を受けて実行した。
【0410】
患者の同意、および骨ディスクの調製
全ての患者は、本研究への参加の前に、説明同意文書を提出した。ヒト骨試料は、Sh
effield Musculoskeletal Biobank、Universi
ty of Sheffield、UKによる、HTAライセンス12182号下で回収
した。骨梁コアは、Isomat 4000 Precision saw(Buehl
er)を、Precision diamond wafering blade(Bu
ehler)と共に使用して、股関節置換術を受ける女性患者の大腿骨頭から調製した。
その後、骨穿孔器を使用して、直径5mmのディスクを切り出してから、周囲温度の滅菌
PBS中に保存した。
【0411】
in vivo研究
ヒト乳がんの、ヒト骨インプラントへの転移をモデル化するために、イソフルオラン麻
酔剤下で、2つのヒト骨ディスクを、10週齢の雌NOD SCIDマウス(群1つ当た
りのn=10)の皮下へと植え込んだ。骨の植込みに続き、マウスに、飲用水へと添加さ
れた、0.003mg vetergesicおよびSeptrinの注射液を、1週間
にわたり施した。マウスを、4週間にわたり放置してから、20%のMartigel/
79%のPBS/1%のトルエンブルー中に1×10個のMDA-MB-231 Lu
c2-TdTomato細胞、MCF7 Luc2細胞、またはT47D Luc2細胞
を、2つの後部乳腺脂肪体へと注入した。原発腫瘍の増殖および転移の発生は、30mg
/mlのD-ルシフェリン(Invitrogen)の皮下注射に続き、IVIS(ルミ
ノール)システム(Caliper Life Sciences)を使用して、毎週モ
ニタリングした。実験の終了時に、乳腺腫瘍、循環腫瘍細胞、血清、および骨転移を切除
した。既に記載されている通り、RNAを、リアルタイムPCRによる後段の解析のため
に処理し、細胞溶解物を、タンパク質解析のために採取し、全組織を、組織学のために採
取した(Nutter et al., 2014;Ottewell et al., 2014a)。
【0412】
NOD SCIDマウスにおける治療研究のために、プラセボ(対照)、毎日1mg/
kgのIL-1Ra(アナキンラ(登録商標))、または14日ごとに10mg/kgの
皮下カナキヌマブを、腫瘍細胞の注入の7日後から投与した。BALB/cマウスおよび
C57BL/6マウスにおいて、1mg/kgのIL-1Raを、毎日、21もしくは3
1日間にわたり投与するか、または10mg/kgのカナキヌマブを、単回の皮下注射と
して投与した。その後、腫瘍細胞、血清、および骨を、後段の解析のために取り出した。
【0413】
5×10個のMDA-MB-231 GFP(対照)細胞、MDA-MB-231-
IV細胞、MDA-MB-231-IL-1B陽性細胞、または MDA-MB-231
-IL-1R1陽性細胞の、6~8週齢の雌BALB/cヌードマウス(群1つ当たりの
n=12)の側脈への注入に続き、骨転移について探索した。骨内および肺内の腫瘍の増
殖は、生存動物におけるGFPイメージングにより、毎週モニタリングした。腫瘍細胞を
注入した28日後に、マウスを殺処分し、この時点で、後肢、肺、および血清を、取り出
し、記載される通り、マイクロコンピュータ断層法(μCT)、組織学、ならびに骨回転
マーカーおよび循環サイトカインのためのELISA解析のために処理した(Holen et a
l., 2016)。
【0414】
循環腫瘍細胞の単離
全血液を、10,000gで、5分間にわたり遠心分離し、ELISAアッセイのため
に、血清を取り出した。細胞ペレットを、5mlのFSM溶解液(Sigma-Aldr
ich、Pool、UK)中に再懸濁させて、赤血球を溶解させた。残りの細胞を、再ペ
レット化させ、PBS中で、3回にわたり洗浄し、PBS/10%FCSによる溶液中に
再懸濁させた。群1つ当たり10匹ずつのマウスに由来する試料をプールしてから、Mo
Flow High performance cell sorter(Beckma
n Coulter、Cambridge UK)を、470nM laser lin
e from Coherent I-90C tenable argon ion(
Coherent、Santa Clara、CA)と共に使用して、TdTomato
陽性腫瘍細胞を単離した。TdTomato蛍光は、555LPダイクロイックロングパ
スフィルターおよび580/30nmバンドパスフィルターにより検出した。細胞の回収
および解析は、Summit 4.3ソフトウェアを使用して実施した。分取の後、細胞
を、速やかに、RNA保護細胞試薬(Ambion、Paisley、Renfrew、
UK)中に入れ、RNA抽出の前に、-80℃で保存した。
【0415】
マイクロコンピュータ断層法によるイメージング:
マイクロコンピュータ断層法(μCT)による解析は、x線管(電圧:49kV;電流
:200uA)および0.5mmのアルミニウムフィルターを装備したSkyscan
1172 x-ray-computed μCT scanner(Skyscan、
Aartselar、Belgium)を使用して実行した。既に記載されている通り、
ピクセルサイズを、5.86μmへと設定し、近位脛骨の上部から、走査を開始した(Ot
tewell et al., 2008a;Ottewell et al., 2008b)。
【0416】
骨組織学および腫瘍体積の測定:
骨腫瘍面積を、既に記載されている通り、Leica RMRB正立顕微鏡およびOs
teomeasureソフトウェア(Osteometrics,Inc.、Decau
ter、USA)およびコンピュータ化された画像解析システムを使用して、マウス1匹
当たり、3つずつの、非連続で、H&E染色された、5μmの脱灰脛骨の組織学的切片上
で測定した(Ottewell et al., 2008a)。
【0417】
ウェスタンブロット法:
哺乳動物細胞溶解キット(Sigma-Aldrich、Poole、UK)を使用し
て、タンパク質を抽出した。30μgのタンパク質を、4~15%のプレキャストポリア
クリルアミドゲル(BioRad、Watford、UK)上に泳動させ、Immobi
lonニトロセルロース膜(Milsoipore)へと転写した。1%カゼイン(Ve
ctor Laboratories)で、非特異的結合をブロッキングしてから、希釈
率を1:1000とするヒトN-カドヘリンに対するウサギモノクローナル抗体(D4R
1H)、希釈率を1:500とするE-カドヘリンに対するウサギモノクローナル抗体(
24E10)、もしくは希釈率を1:500とするガンマ-カテニンに対するウサギモノ
クローナル抗体(2303)(Cell Signaling)、または希釈率を1:1
000とするマウスモノクローナルGAPDH(ab8245)(AbCam、Camb
ridge UK)を伴う、4℃で、16時間にわたるインキュベーションを行った。二
次抗体は、抗ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼまたは抗マウス西洋ワサビペルオキシダ
ーゼ(HRP;1:15,000)であり、HRPは、Supersignal化学発光
検出キット(Pierce)により検出した。バンドの定量化は、Quantity O
nceソフトウェア(BioRad)を使用して実行し、GAPDHに照らして正規化し
た。
【0418】
遺伝子解析
RNeasyキット(Qiagen)を使用して、全RNAを抽出し、Supersc
ript III(Invitrogen AB)を使用して、cDNAへと逆転写した
。IL-1B(Hs02786624)、IL-1R1(Hs00174097)、CA
SP(カスパーゼ1)(Hs00354836)、IL1RN(Hs00893626)
、JUP(ジャンクションプラコグロビン/ガンマ-カテニン)(Hs00984034
)、N-カドヘリン(Hs01566408)、およびE-カドヘリン(Hs10139
33)の相対mRNA発現を、ハウスキーピング遺伝子である、グリセルアルデヒド-3
-三リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH;Hs02786624)と比較し、ABI
7900 PCRSystem(Perkin Elmer、Foster City、
CA)およびTaqman universal master mix(Thermo
fisher、UK)を使用して評価した。CT値を、Data Assist V3.
01ソフトウェア(Applied Biosystems)へと挿入することにより、
処置群間の遺伝子発現の変化倍数を解析し、CT値が≦25である遺伝子だけについて、
遺伝子発現の変化を解析した。
【0419】
乳がん患者に由来する腫瘍内の、IL-1βおよびIL-1R1についての評価
IL-1βおよびIL-1R1発現を、臨床試験であるAZUREに組み入れられた1
,300例の患者から採取された、原発性乳腺腫瘍のコアを含有する組織マイクロアレイ
(TMA)上で評価した(Coleman et al 2011)。試料は、転移のエビデンスを伴わない
、病期IIおよびIIIの乳がんを伴う患者から、処置前に採取した。その後、患者を、
10年間にわたり、ゾレドロン酸の追加を伴うか、または伴わない、標準的アジュバント
療法へと無作為化した(Coleman et al 2011)。TMAを、IL-1β(ab2105、
1:200の希釈率、Abcam)およびIL-1R1(ab59995、1:25の希
釈率、Abcam)について染色し、組織病理学者の指示の下、腫瘍細胞内または関連す
る間質内のIL-1β/IL-1R1について、盲検的に評定した。次いで、腫瘍内また
は間質内のIL-1β、またはIL-1R1を、疾患の再発(任意の部位)、または、特
異的に、骨中(±他の部位)における疾患の再発へと連関させた。
【0420】
IL-1β経路は、ヒト乳がんの、ヒト骨への転移過程において、上方調節される
ヒト乳がんの、ヒト骨インプラントへの自発的な転移についてのマウスモデルを使用し
て、IL-1β経路が、異なる転移段階を通じて、どのように変化するのかを探索した。
このモデルを使用したところ、トリプルネガティブ(MDA-MB-231)乳がん細胞
およびエストロゲン受容体陽性(ER陽性)(T47D)乳がん細胞のいずれにおいても
、IL-1β経路と関連する遺伝子の発現レベルが、転移過程の各段階において、段階的
に上昇した:IL-1βシグナル伝達経路(IL-1B、IL-1R1、CASP(カス
パーゼ1)、およびIL-1Ra)と関連する遺伝子は、in vitroにおいて増殖
させた、MDA-MB-231細胞およびT47D細胞のいずれにおいても、極めて低レ
ベルで発現し、これらの遺伝子の発現は、in vivoにおいて転移しなかった同じ細
胞に由来する原発性乳腺腫瘍内でも変更されなかった(図7a)。
【0421】
IL-1B、IL-1R1、およびCASPは、全て、その後、ヒト骨へと転移した乳
腺腫瘍内で、転移しなかった乳腺腫瘍内と比較して、有意に増大し(いずれの細胞株につ
いても、p<0.01)、活性の17kD IL-1βについてのELISAにより示さ
れる通り、IL-1βシグナル伝達の活性化をもたらした(図7b;図8)。IL-1B
遺伝子の発現は、循環腫瘍細胞内で、転移性乳腺腫瘍と比較して増大し(いずれの細胞株
についても、p<0.01)、IL-1B(p<0.001)、IL-1R1(p<0.
01)、CASP(p<0.001)、およびIL-1Ra(p<0.01)は、ヒト骨
への転移から単離された腫瘍細胞内で、それらの対応する乳腺腫瘍と比較して、さらに増
大し、IL-1βタンパク質のさらなる活性化をもたらした(図7図8)。これらのデ
ータは、IL-1βシグナル伝達が、原発部位からの転移の誘発、ならびに乳がんの、骨
への転移の発生の両方を促進することを示唆する。
【0422】
腫瘍に由来するIL-1βは、EMTおよび乳がんの転移を促進する
腫瘍細胞の接着および上皮間葉転換(EMT)と関連する遺伝子の発現レベルは、骨へ
と転移した原発腫瘍において、転移しなかった腫瘍と比較して、著明に変更された(図7
c)。IL-1β過剰発現細胞を作出して(MDA-MB-231-IL-1B+、T4
7D-IL-1B+、およびMCF7-IL-1B+)、腫瘍由来IL-1βが、EMT
および骨転移の誘導の一因であるのかどうかを探索した。全てのIL-1β+細胞株は、
上皮から間葉への表現型の形状の変化を呈示するEMTの増大(図9a)のほか、E-カ
ドヘリンおよびJUP(ジャンクションプラコグロビン/ガンマ-カテニン)の発現の低
減、ならびにN-カドヘリンの遺伝子およびタンパク質の発現の増大(図9b)を裏付け
た。創傷閉鎖(MDA-MB-231-IL-1β+におけるp<0.0001(図9
);MCF7-IL-1β+およびT47D-IL-1β+におけるp<0.001)、
ならびにマトリゲルを通した、骨芽細胞への遊走および浸潤は、腫瘍細胞内で、IL-1
βシグナル伝達の増大と共に、それらのそれぞれの対照と比較して増大した(MDA-M
B-231-IL-1β+におけるp<0.0001(図9c);MCF7-IL-1β
+およびT47D-IL-1β+におけるp<0.001)。in vivoにおいて、
ヒト骨インプラントへと自発的に転移した、ER陽性乳がん細胞内およびER陰性乳がん
細胞内では、非転移性乳がん細胞と比較して、IL-1β産生の増大が見られた(図7
。AZURE研究に登録された、病期IIおよびIIIの乳がんを伴う患者であって、1
0年間にわたり、がんの再燃を経た患者に由来する原発腫瘍試料中でも、IL-1βと転
移との同じ連関がもたらされた(Coleman et al., 2011)。AZURE患者に由来する原
発腫瘍内のIL-1βの発現が、骨中の再燃および任意の部位における再燃の両方と相関
したことから、このサイトカインの存在は、転移一般において役割を果たす可能性が高い
ことが指し示される。乳がん細胞の遺伝子操作であって、IL-1βを、人工的に過剰発
現させる遺伝子操作が、in vitroにおける乳がん細胞の遊走能および浸潤能を増
大させたことは、これと符合する(図9)。
【0423】
IL-1βシグナル伝達の阻害は、ヒト骨への自発的な転移を低減する
腫瘍に由来するIL-1βは、EMTの誘導を介して、転移の発生を促進するので、I
L-1Ra(アナキンラ)またはヒト抗IL-1β結合性抗体(カナキヌマブ)により、
IL-1βシグナル伝達を阻害することの、ヒト骨インプラントへの自発的な転移に対す
る効果について探索した:IL-1Raおよびカナキヌマブのいずれも、ヒト骨への転移
を軽減した:ヒト骨インプラント内で転移が検出されたのは、対照マウス10例中7例で
あったが、IL-1Raで処置されたマウス10例中4例、およびカナキヌマブで処置さ
れたマウス10例中1例だけであった。IL-1Ra処置群およびカナキヌマブ処置群に
よる骨転移はまた、対照群内で検出された骨転移より小規模であった(図10a)。カナ
キヌマブまたはIL-1Raで処置されたマウスの循環中で検出された細胞の数は、プラ
セボ処置群内で検出された細胞の数より有意に少なかった:カナキヌマブで処置されたマ
ウスおよびアナキンラで処置されたマウスのそれぞれに由来する全血液中で、1ml当た
りの腫瘍細胞3および3個がカウントされ、プラセボ処置マウスに由来する血液でカウン
トされる、1ml当たりの腫瘍細胞108個と比較された(図10b)ことから、IL-
1シグナル伝達の阻害が、腫瘍細胞の、原発部位から、循環への流出を防止することが示
唆される。こうして、抗IL-1β抗体であるカナキヌマブによるIL-1βシグナル伝
達の阻害、またはIL-1R1の阻害は、循環へと流出する乳がん細胞の数を低減し、ヒ
ト骨インプラントへの転移を低減した(図10)。
【0424】
腫瘍に由来するIL-1Bは、乳がん細胞の、骨へのホーミングおよび定着を促進する
乳がん細胞の、マウスの尾静脈への注入は通例、腫瘍細胞が、肺毛細血管内にトラップ
されるために、肺転移を結果としてもたらす。静脈内注入の後、骨微小環境へと、優先的
にホーミングする乳がん細胞は、高レベルのIL-1βを発現することが既に示されたこ
とから、このサイトカインは、乳がん細胞の、骨への組織特異的ホーミングに関与するこ
とが示唆される。本研究では、MDA-MB-231-IL-1β+細胞の、BALB/
cヌードマウスへの静脈内注入は、骨転移を発症する動物の数(75%)の、対照細胞(
12%)と比較した有意な増大を結果としてもたらした(p<0.001)(図11a)
。MDA-MB-231-IL-1β+腫瘍は、マウス骨内で、対照細胞と比較して、有
意に大型の溶骨性病変の発生を引き起こし(p=0.03;図11b)、MDA-MB-
231-IL-1β+細胞を注入されたマウスでは、対照細胞と比較して、肺転移への傾
向が小さかった(p=0.16;図11c)。これらのデータは、内因性IL-1βが、
腫瘍細胞の、骨環境へのホーミング、およびこの部位における転移の発生を促進しうるこ
とを示唆する。
【0425】
腫瘍細胞-骨細胞間相互作用は、IL-1Bをさらに誘導し、明白な転移の発生を促進す

ヒト乳がんの、ヒト骨インプラントへの転移についてのマウスモデルからの遺伝子解析
データは、乳がん細胞が、骨環境内で増殖する場合に、原発部位内または循環内の転移性
細胞と比較して、IL-1β経路は、さらに増大することを示唆した(図7a)。したが
って、IL-1βの産生は、腫瘍細胞が、骨細胞と接触する場合に、どのように変化する
のかについて探索し、IL-1βが、骨微小環境を、どのように変更して、腫瘍の増殖に
影響を及ぼすのかについて探索した(図12)。ヒト乳がん細胞の、全ヒト骨片への、4
8時間にわたる培養は、IL-1βの、培地への分泌の増大を結果としてもたらした(M
DA-MB-231細胞およびT47D細胞について、p<0.0001;図12a)。
ヒトHS5骨髄細胞との共培養は、がん細胞(p<0.001)および骨髄細胞(p<0
.001)の両方に由来するIL-1β濃度の増大であって、共培養後に、腫瘍細胞に由
来するIL-1βが、約1000倍となり、HS5細胞に由来するIL-1Bが、約10
0倍となる増大を明らかにした(図12b)。
【0426】
外因性IL-1βは、IL-1R1を過剰発現する細胞内であってもなお、腫瘍細胞の
増殖を増大させなかった。代わりに、IL-1βは、骨髄細胞、骨芽細胞、および血管の
増殖を刺激し、これが、腫瘍細胞の増殖を誘導した(図11)。したがって、高濃度のI
L-1βを発現する腫瘍細胞の到来が、転移性ニッチの構成要素の拡大を刺激し、IL-
1βを発現する腫瘍細胞と、骨芽細胞/血管との接触が、腫瘍の、骨への定着を駆動する
可能性が高い。外因性IL-1βならびに腫瘍細胞に由来するIL-1βの、腫瘍細胞、
骨芽細胞、骨髄細胞、およびCD34血管の増殖に対する効果について探索した:HS
5骨髄細胞またはOB1初代骨芽細胞の、乳がん細胞との共培養は、全ての細胞型の増殖
の増大を引き起こした(HS5、MDA-MB-231、またはT47Dについて、P<
0.001;図12c)(OB1、MDA-MB-231、またはT47Dについて、P
<0.001;図12d)。腫瘍細胞、一次ヒト骨試料、骨髄細胞、または骨芽細胞の間
の直接的接触は、IL-1βの、腫瘍細胞および骨細胞の両方からの放出を促進した(図
12)。さらに、IL-1βの投与は、HS5細胞またはOB1細胞の増殖は増大させた
が、乳がん細胞の増殖は増大させなかった(図13aおよび13b)ことから、腫瘍細胞
-骨細胞間相互作用は、ニッチの拡大を駆動し、明白な転移の形成を刺激することが可能
なIL-1βの産生を促進することが示唆される。
【0427】
IL-1βシグナル伝達はまた、骨微小血管系に対して、深甚な影響を及ぼすことも見
出された:抗IL-1β結合性抗体であるカナキヌマブを投与することを介して、IL-
1R1をノックアウトすること、IL-1Rの、IL-1Raによる薬理学的遮断、また
はIL-1βの循環濃度を低減することにより、骨内のIL-1βシグナル伝達を防止す
ることは、腫瘍の定着が生じる、骨梁内のCD34血管の平均長を低減した(IL-1
Raおよびカナキヌマブで処置されたマウスについて、p<0.01)(図13c)。こ
れらの発見は、IL-1βシグナル伝達が破断されると、骨内の血管の数ならびに血管の
長さの減少を示す、エンドムチン染色により確認された。エンドセリン1およびVEGF
についてのELISA解析は、骨髄内の、これらの内皮細胞マーカーの両方の濃度の低減
であって、IL-1R1-/-マウス(エンドセリン1について、p<0.001;VE
GFについて、p<0.001)、およびIL-1Rアンタゴニスト(エンドセリン1に
ついて、p<0.01;VEGFについて、p<0.01)、またはカナキヌマブ(エン
ドセリン1について、p<0.01;VEGFについて、p<0.001)で処置したマ
ウスについて、対照と比較した低減を示した(図14)。これらのデータは、腫瘍細胞-
骨細胞に関連するIL-1βの増大と、腫瘍細胞内の、高レベルのIL-1βとはまた、
血管新生も促進することが可能であり、さらに、転移を刺激しうることを示唆する。
【0428】
腫瘍に由来するIL-1βは、患者素材の骨内および他の臓器内の将来における、乳がん
の再燃を予測する
発見の関与性を、臨床状況において確立するために、患者試料中の、IL-1βと、そ
の受容体であるIL-1R1との相関について探索した。病期II/IIIの乳がんを伴
うが、転移のエビデンスを伴わない患者からの、約1300例の原発腫瘍試料(AZUR
E研究による(Coleman et al., 2011))を、IL-1R1またはIL-1βの活性(1
7kD)形態について染色し、生検を、腫瘍細胞内および腫瘍と関連する間質内のこれら
の分子の発現について、個別に評定した。患者を、生検後、10年間にわたり追跡し、多
変量Coxモデルを使用して、IL-1β/IL-1R1の発現と、遠隔の骨内の再発ま
たは再燃との相関について評価した。腫瘍細胞内のIL-1βは、任意の部位における遠
隔の再発(p=0.0016)、骨内だけの再発(p=0.017)、または任意の時点
における骨内の再発(p=0.0387)と強く相関した(図15)。それらの腫瘍細胞
内で、IL-1βを有し、腫瘍と関連する間質内で、IL-1R1を有した患者は、それ
らの腫瘍細胞内で、IL-1βを有さなかった患者と比較して、遠隔部位における将来の
再燃を経る可能性が高かった(p=0.042)ことから、腫瘍に由来するIL-1βは
、転移を、直接促進しうるだけでなく、また、間質内のIL-1R1と相互作用して、こ
の過程を促進する場合もあることが指し示される。したがって、IL-1βは、乳がん再
燃の危険性を予測するのに使用しうる、新規のバイオマーカーである。
【0429】
[実施例4]
肺がん患者についての、カナキヌマブのPKプロファイルおよびhsCRPプロファイル
のシミュレーション
モデルを作出して、CANTOS研究からのデータに基づき、カナキヌマブの薬物動態
(PK)と、hsCRPとの関係を特徴付けた。
【0430】
本研究では、以下の方法を使用した:モデルの構築は、相互作用法による一階条件の推
定を使用して実施した。モデルは、
Y(tij)=y0,i+yeff(tij)
[式中、y0,iは、定常状態の値であり、yeff(tij)は、処置の効果について
記載し、全身曝露量に依存する]として時間分解されたhsCRPの対数について記載し
た。処置効果は、Emax型モデル
【0431】
【数1】
[式中、Emax,iは、高曝露量のときの、可能な最大の応答であり、IC50は、
最大半量の応答が得られるときの濃度である]により記載した。
【0432】
個別のパラメータである、Emax,iおよびy0,iおよびIC50の対数は、典
型的な値の合計として推定し、共変量効果は、covpar×covとして推定し、通
常、対象のばらつきの間に分配した。共変量効果についての用語では、covparとは
、推定される共変量効果パラメータを指し、covとは、対象iの共変量の値である。
組み入れられる共変量は、イータプロットの、共変量と対比した検討に基づき選択した。
残差は、比例項と、付加項との組合せとして記載した。
【0433】
ベースラインhsCRPの対数は、3つのパラメータ(Emax,i、y0,i、およ
びIC50)全てに対する共変量として組み入れた。他の共変量は、モデルへと組み入
れなかった。全てのパラメータは、良好な精度で推定された。ベースラインhsCRPの
対数の、定常状態値に対する効果は、1未満であった(0.67と等しかった)。これは
、ベースラインhsCRPが、定常状態値についての不完全な尺度であり、定常状態値が
、ベースライン値と比べて、平均値への回帰を顕示することを指し示す。ベースラインh
sCRPの対数の、IC50およびEmaxに対する効果は、いずれも負であった。した
がって、ベースラインにおけるhsCRPが高値の患者は、IC50値が小さく、低減の
最大値が大きいことが予測される。一般に、モデルによる診断法は、モデルによる、利用
可能なhsCRPデータについての記載は、良好であることを確認した。
【0434】
次いで、モデルを使用して、肺がん患者集団における、異なる投与レジメンの選択に対
して予測されるhsCRP応答をシミュレートした。ブートストラッピングを適用して、
潜在的な肺がん患者集団を表す、意図された組入れ/除外基準により、集団を構築した。
ベースラインのhsCRP分布単独により記載された、3つの異なる肺がん患者集団:全
てのCANTOS患者(シナリオ1)、確認された肺がん患者(シナリオ2)、および進
行性肺がん患者(シナリオ3)について探索した。
【0435】
モデルの、集団についてのパラメータおよび患者間のばらつきは、3つのシナリオ全て
について同じであると仮定した。全CANTOS集団内で観察される、hsCRPにおけ
るPK/PD関係は、肺がん患者について代表的であると仮定した。
【0436】
目的の推定子は、3カ月目の終了時におけるhsCRPが、2mg/Lまたは1.8m
g/Lでありうるカットオフ点未満である確率であった。1.8mg/Lは、CANTO
S研究の3カ月目の終了時における、hsCRPレベルの中央値であった。ベースライン
のhsCRP>2mg/Lは、組入れ基準のうちの1つであったので、3カ月目の終了時
におけるhsCRPレベルが、2mg/L未満となるのかどうかについて探索することに
は意味がある。
【0437】
CANTOS PKデータのために、1階の吸収および排出を伴う、1コンパートメン
トモデルを確立した。モデルは、常微分方程式として表し、個々のPKパラメータを踏ま
え、RxODEを使用して、カナキヌマブ濃度の時間経過をシミュレートした。目的の皮
下カナキヌマブ投与レジメンは、300mgのQ12W、200mgのQ3W、および3
00mgのQ4Wであった。選択された異なる時間にわたる、Cmin、Cmax、AU
Cを含む曝露量計量、および定常状態における平均濃度であるCaveは、シミュレート
された濃度時間プロファイルから導出した。
【0438】
シナリオ1におけるシミュレーションは、下記の情報に基づいた:
RxODEを使用してシミュレートされた、個々のカナキヌマブ曝露量
0,i、Emax,i、およびIC50の構成要素である、PDパラメータ:典型的
な値(シータ(3)、シータ(5)、シータ(6))、covpar(シータ(4)、シ
ータ(7)、シータ(8))、および対象間のばらつき(イータ(1)、イータ(2)、
イータ(3))
10,059例のCANTOS研究の患者全てに由来する、ベースラインhsCRP(ベ
ースラインのhsCRP:平均値6.18mg/L、平均値の標準誤差(SEM)=0.
10mg/L)
まず、集団PK/PDモデルから推定される、一定の平均値および標準的偏差を伴う正規
分布からの、1000のシータ(3)~(8)を、無作為にサンプリングすることにより
、目的の推定子の予測区間を作り出し、次いで、シータ(3)~(8)の各セットについ
て、全てのCANTOS患者に由来する、2000のPK曝露量、PDパラメータである
イータ(1)~(3)、およびベースラインのhsCRPを、ブートストラッピングする
。1000の推定値の、2.5%、50%、および97.5%百分位数を、点推定子のほ
か、95%予測区間として報告した。
【0439】
シナリオ2におけるシミュレーションは、下記の情報に基づいた:
RxODEを使用してシミュレートされた、個々のカナキヌマブのPK曝露量
PDパラメータである、シータ(3)~(8)およびイータ(1)~(3)
確認された肺がんを伴う、116例のCANTOS患者全てに由来する、ベースラインh
sCRP(ベースラインのhsCRP:平均値=9.75mg/L、SEM=1.14m
g/L)
まず、集団PKPDモデルから推定される、一定の平均値および標準的偏差を伴う正規分
布からの、1000のシータ(3)~(8)を、無作為にサンプリングすることにより、
目的の推定子の予測区間を作り出し、次いで、シータ(3)~(8)の各セットについて
、全てのCANTOS患者に由来する、2000のPK曝露量、PDパラメータであるイ
ータ(1)~(3)を、ブートストラッピングし、確認された肺がんを伴う、116例の
CANTOS患者に由来する、2000のベースラインhsCRPをブートストラッピン
グする。1000の推定値の、2.5%、50%、および97.5%百分位数を、点推定
子のほか、95%予測区間として報告した。
【0440】
シナリオ3では、シナリオ2と同様の形で、点推定子および95%予測区間を得た。唯
一の差違は、2000のベースラインhsCRP値を、進行性肺がん集団からブートスト
ラッピングすることであった。進行性肺がん集団内で、個々のベースラインのhsCRP
データは、公表されていない。進行性肺がんにおける、利用可能な集団レベル推定値は、
SEMを、1.93mg/Lとする、23.94mg/Lの、ベースラインのhsCRP
の平均値である[Vaguliene, 2011]。この推定値を使用し、平均値を23.94mg/
Lへと調整するのに、付加定数を使用して、確認された肺がんを伴う、116例のCAN
TOS患者から、進行性肺がん集団を導出した。
【0441】
シミュレートされたカナキヌマブPKが、線形であったことは、モデルと符合した。濃
度時間プロファイルの中央値および95%予測区間を、自然対数スケールにより、6カ月
間にわたりプロットし、図16aに示す。
【0442】
3カ月目のhsCRP応答が、1.8mg/Lおよび2mg/LのhsCRPカットオ
フ点未満である対象の比率についての、1000推定値の中央値および95%予測区間を
図16bおよびcに報告する。シミュレーションデータから判断して、200mgのQ
3Wおよび300mgのQ4Wは、3カ月目におけるhsCRPの減殺に関して、300
mgのQ12W(CANTOSにおける、上限の投与レジメン)と同様に機能し、これよ
り良好に機能する。シナリオ1~シナリオ3から、より重度の肺がん患者へと移行すると
、高いベースラインのhsCRPレベルが仮定され、結果として、3カ月目におけるhs
CRPが、カットオフ点未満である確率の低下がもたらされる。図16dは、中央値hs
CRP濃度が、3つの異なる用量について、時間経過にわたり、どのように変化するのか
を示し、図16eは、単回投与の後における、ベースラインのhsCRPからの低減パー
セントを示す。
【0443】
[実施例5A]
PDR001+カナキヌマブ処置は、結腸直腸腫瘍において、エフェクター好中球を増大
させる
RNAシーケンシングを使用して、がんにおける、カナキヌマブ(ACZ885)の作
用機構に対する洞察を得た。CPDR001X2102およびCPDR001X2103
臨床試験は、さらなる治療と組み合わせた、スパルタリズマブ(PDR001)の安全性
、忍容性、および薬力学を査定する。各患者について、腫瘍生検を、処置前のほか、処置
のサイクル3においても得た。略述すると、RNAの抽出、リボソームRNAの枯渇、ラ
イブラリーの構築、およびシーケンシングにより、試料を処理した。配列リードを、ST
ARにより、hg19参照ゲノムに照らしてアライメントし、Refseq参照トランス
クリプトーム、遺伝子レベルカウントを、HTSeqにより集成し、M値のトリミング平
均値を使用する、試料レベルの正規化を、edgeRにより実施した。
【0444】
図17は、PDR001+カナキヌマブ(ACZ885)で処置された結腸直腸腫瘍内
では、平均で増大したが、PDR001+エベロリムス(RAD001)で処置された結
腸直腸腫瘍内では平均で増大しなかった、21の遺伝子を示す。PDR001+カナキヌ
マブによる処置は、IL1Bならびにこの受容体である、IL1R2のRNAレベルを上
昇させた。この観察は、腫瘍による、オン標的の、補償性フィードバックであって、IL
-1βタンパク質の遮断に応答して、IL1B RNAレベルを上昇させるフィードバッ
クを示唆する。
【0445】
PDR001+カナキヌマブ時に、FCGR3B、CXCR2、FFAR2、OSM、
およびG0S2を含む、いくつかの好中球特異的遺伝子が増大したことは、注目に値する
図17において、ボックスで表示される)。FCGR3B遺伝子は、CD16タンパク
質の好中球特異的アイソフォームである。FCGR3Bによりコードされるタンパク質は
、免疫複合体に応答する、反応性酸素分子種の分泌において、エフェクター好中球の機能
と符合する、中枢的役割を果たす(Fossati G 2002 Arthritis Rheum 46: 1351)。CX
CR2に結合するケモカインは、好中球を、骨髄から、末梢部位へと移動させる。加えて
、PDR001+カナキヌマブによる処置時には、CCL3 RNAの増大も観察される
。CCL3は、好中球の化学誘引物質である(Reichel CA 2012 Blood 120: 880)。
【0446】
まとめると、RNA-seqデータを使用する成分分析のこの寄与は、PDR001+
カナキヌマブ処置が、結腸直腸腫瘍内のエフェクター好中球を増大させ、この増大が、P
DR001+エベロリムス処置によっては観察されなかったことを裏付ける。
【0447】
[実施例5B]
がんの処置において、スパルタリズマブ(PDR001)と組み合わせた、カナキヌマブ
(ACZ885)の有効性
患者5002-004は、当初、2012年6月に診断され、既往のレジメンで処置さ
れた、上行結腸の、病期IIC、マイクロサテライト安定性の、中分化腺癌(MSS-C
RC)を伴った56歳の男性である。
【0448】
既往の処置レジメンは、
1.アジュバント状況における、フォリン酸/5-フルオロウラシル/オキサリプラチ

2.カペシタビンを伴う化学放射線療法(転移性状況)
3.5-フルオロウラシル/ベバシズマブ/フォリン酸/イリノテカン
4.トリフルリジンおよびチピラシル
5.イリノテカン
6.オキサリプラチン/5-フルオロウラシル
7.5-フルオロウラシル/ベバシズマブ/ロイコボリン
8.5-フルオロウラシル
を含んだ。
【0449】
研究参加時において、患者は、多発性肝転移および両側肺転移、ならびに傍食道リンパ
節、後腹膜、および腹膜における疾患を含む、広範な転移性疾患を有した。
【0450】
患者を、4週間ごとに(Q4W)、400mgのPDR001+8週間ごとに(Q8W
)、100mgのACZ885で処置した。患者は、6カ月間の治療にわたり、安定であ
り、次いで、実質的な疾患の軽減を示し、10カ月後において、処置に対する、RECI
STによる部分奏効を確認した。患者は、その後、進行性疾患を発症したので、用量を、
300mgへと増大させ、次いで、600mgへと増大させた。
【0451】
[実施例6]
がん患者のために、ゲボキズマブの用量を選択するための計算
少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置における、ゲボキズマブのための用
量の選択は、ゲボキズマブ(約2~5pMのIC50)が、カナキヌマブ(約42±3.
4pMのIC50)と比較して、約10倍のin virto効力を示すことを考慮に入
れて、ゲボキズマブの利用可能なPKデータと組み合わせて、CANTOS試験により明
らかにされた臨床有効用量に基づく。ゲボキズマブの、0.3mg/kg(約20mg)
で、Q4Wの上限用量は、患者における、非飽和量のhsCRPの低減を示した(図18
aを参照されたい)。
【0452】
次に、ファーマコメトリクスモデルを使用して、hsCRP曝露-応答関係について探
索し、臨床データを、高量範囲へと外挿した。臨床データは、hsCRP濃度と、ゲボキ
ズマブの濃度と(いずれも、対数空間内)の線形相関を示すので、線形モデルを使用した
。結果を、図18bに示す。このシミュレーションに基づくと、10000ng/mL~
25000ng/mLの間のゲボキズマブ濃度が、この範囲では、hsCRPは、大きく
低減しており、ゲボキズマブ濃度が15000ng/mLを上回ると、リターンは小さく
なる一方であるため、最適である。
【0453】
臨床データは、ゲボキズマブの薬物動態が、皮下投与の後に、1回の吸収を伴う、線形
2コンパートメントモデルに従うことを示した。ゲボキズマブのバイオアベイラビリティ
ーは、皮下投与された場合、約56%である。複数回投与のゲボキズマブについてのシミ
ュレーションは、4週間ごとに、100mg(図18cを参照されたい)、および4週間
ごとに、200mg(図18dを参照されたい)について実行した。シミュレーションは
、4週間ごとに施された、100mgのゲボキズマブのトラフ濃度が、約10700ng
/mLであることを示した。ゲボキズマブの半減期は、約35日間である。4週間ごとに
施された、200mgのゲボキズマブのトラフ濃度は、約21500ng/mLである。
【0454】
[実施例7]
抗IL-1ベータ処置の効果についての前臨床データ
抗IL-1ベータヒトIgG1抗体であるカナキヌマブは、マウスIL-1ベータと交
差反応しないという事実のために、がんについてのマウスモデルにおいて、直接査定する
ことができない。サロゲートのマウス抗IL-1ベータ抗体が開発され、がんのマウスモ
デルにおいて、IL-1ベータを遮断する効果を査定するのに使用されている。このサロ
ゲート抗体のアイソタイプは、IgG2aであり、これは、ヒトIgG1と近縁である。
【0455】
結腸がんについてのMC38マウスモデルでは、抗IL-1ベータ抗体の単回投与後に
、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)のモジュレーションを見ることができる(図19a、19
b、および19c)。MC38腫瘍を、C57BL/6マウスの脇腹の皮下に植え込み、
腫瘍が、100~150mmの間となったら、マウスを、アイソタイプ抗体または抗I
L-1ベータ抗体の単回投与で処置した。次いで、投与の5日後に、腫瘍を採取し、処理
して、免疫細胞の単一細胞懸濁液を得た。次いで、細胞を、ex vivoにおいて染色
し、フローサイトメトリーを介して解析した。IL-1ベータ遮断抗体の単回投与の後、
腫瘍に浸潤するCD4T細胞の増大が見られ、また、CD8T細胞のわずかな増大も
見られた(図19a)。CD8T細胞の増大は、わずかであるが、組合せ療法により、
潜在的に増強されうる、腫瘍微小環境内の、活性の免疫応答の増大を示唆しうる。CD4
T細胞を、FoxP3調節性T細胞(Treg)へとさらに細分したところ、このサ
ブセットは、IL-1ベータの遮断の後に減少する(図19b)。骨髄性細胞集団の中で
、IL-1ベータの遮断は、好中球およびマクロファージのM2サブセットであるTAM
2の減少を結果としてもたらす(図19c)。好中球およびM2マクロファージのいずれ
も、活性化T細胞など、他の免疫細胞に対して抑制性でありうる(Pillay et al, 2013;
Hao et al, 2013;Oishi et al 2016)。まとめると、IL-1ベータの遮断後における
、MC38腫瘍の微小環境内の、Treg、好中球、およびM2マクロファージの減少は
、腫瘍の微小環境が、免疫抑制性でなくなりつつあることの根拠を示す。
【0456】
肺がんについてのLL2マウスモデルでも、抗IL-1ベータ抗体の単回投与の後にお
いて、抑制性でない免疫微小環境への同様の傾向を見ることができる(図19dおよび1
9c)。LL2腫瘍を、C57BL/6マウスの脇腹の皮下に植え込み、腫瘍が、100
~150mmの間となったら、マウスを、アイソタイプ抗体または抗IL-1ベータ抗
体の単回投与で処置した。次いで、投与の5日後に、腫瘍を採取し、処理して、免疫細胞
の単一細胞懸濁液を得た。次いで、細胞を、ex vivoにおいて染色し、フローサイ
トメトリーを介して解析した。FoxP3およびHeliosの発現により査定される通
り、Treg集団の減少が見られる(図19d)。FoxP3およびHeliosはいず
れも、調節性T細胞のマーカーとして使用されるが、Tregの異なるサブセットを規定
しうる(Thornton et al, 2016)。MC38モデルと同様に、IL-1ベータの後で、好
中球およびM2マクロファージ(TAM2)の両方の減少が見られる(図19e)。LL
2モデルにおいてもまた、IL-1ベータの遮断後における、Treg、好中球、および
M2マクロファージの減少は、腫瘍の微小環境が、免疫抑制性でなくなりつつあることの
根拠を示す。
【0457】
マウスモデルは、ヒトにおけるがんの由来と対比した、マウスにおけるがんの由来の遺
伝子的差違のために、ヒトにおける同じ種類のがんと、常に相関するわけではない。しか
し、浸潤性の免疫細胞について検討すると、免疫細胞が、より関与性であるので、がんの
種類は、常に重要なわけではない。この場合、2つの異なるマウスモデルは、腫瘍の抑制
性微小環境の、同様の減殺を示すので、IL-1ベータを遮断することは、抑制性でない
腫瘍微小環境をもたらすと考えられる。
【0458】
【表12】
【0459】
【表13】
【0460】
【表14】
【0461】
【表15】
【0462】
【表16】
【0463】
【表17】
【0464】
【表18】
【0465】
【表19】
【0466】
【表20】
【0467】
参考文献
【0468】
【表21-1】
【0469】
【表21-2】

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図7-5】
図8
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
図14
図15
図16-1】
図16-2】
図16-3】
図16-4】
図16-5】
図17
図18-1】
図18-2】
図19-1】
図19-2】
図19-3】
【手続補正書】
【提出日】2022-10-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0469
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0469】
【表21-2】
以下の態様を包含し得る。
[1] それを必要とする患者において、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置および/または防止における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片。
[2] それを必要とする患者において、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片。
[3] 前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん(CRC)、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、前立腺がん、頭頸部がん、膀胱がん、肝細胞癌(HCC)、卵巣がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、膵臓がん、神経内分泌がん、多発性骨髄腫、急性骨髄芽球性白血病(AML)、および胆道がんからなるリストから選択される、上記[1]または[2]に記載の使用。
[4] 前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵臓がんからなるリストから選択される、上記[1]または[2]に記載の使用。
[5] 前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、結腸直腸がん(CRC)である、上記[1]または[2]に記載の使用。
[6] 前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、腎細胞癌(RCC)である、上記[1]または[2]に記載の使用。
[7] 前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、乳がんである、上記[1]または[2]に記載の使用。
[8] 前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、肺がん、好ましくは、非小細胞肺がん(NSCLC)である、上記[1]または[2]に記載の使用。
[9] 前記患者が、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の前に、約2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を有する、上記[1]から[8]のいずれか一項に記載の使用。
[10] 前記患者が、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の前に、4mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を有する、上記[1]から[9]のいずれか一項に記載の使用。
[11] 前記患者が、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の前に、10mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)を有する、上記[1]から[10]のいずれか一項に記載の使用。
[12] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の少なくとも約3カ月後に評価された、前記患者の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルが、約3.5mg/L未満へと低減している、上記[1]から[11]のいずれか一項に記載の使用。
[13] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の少なくとも約3カ月後に評価された、前記患者の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルが、約2.3mg/L未満、好ましくは、約2mg/L未満、好ましくは、約1.8mg/L未満へと低減している、上記[1]から[12]のいずれか一項に記載の使用。
[14] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の少なくとも約3カ月後に評価された、前記患者の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルが、ベースラインと比較して、少なくとも20%低減している、上記[1]から[13]のいずれか一項に記載の使用。
[15] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の初回投与の少なくとも約3カ月間後に評価された、前記患者のインターロイキン6(IL-6)レベルが、ベースラインと比較して、少なくとも20%低減している、上記[1]から[14]のいずれか一項に記載の使用。
[16] 処置1回当たり約90mg~約450mgの用量のIL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を投与することを含む、上記[1]から[15]のいずれか一項に記載の使用。
[17] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片を、2、3、または4週間ごとに(毎月)投与することを含む、上記[1]から[16]のいずれか一項に記載の使用。
[18] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片の2回目の投与が、初回の投与から、最大で2週間、好ましくは、2週間隔てられる、上記[1]から[17]のいずれか一項に記載の使用。
[19] 前記IL-1β結合性抗体が、カナキヌマブである、上記[1]から[18]のいずれか一項に記載の使用。
[20] 処置1回当たり約200mg~約450mgのカナキヌマブを、前記患者へと投与することを含む、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の使用。
[21] 処置1回当たり少なくとも150mgのカナキヌマブを、前記患者へと投与することを含む、上記[1]から[20]のいずれか一項に記載の使用。
[22] 約200mgのカナキヌマブを、前記患者へと投与することを含む、上記[19]または[21]に記載の使用。
[23] カナキヌマブが、3週間ごとに投与される、上記[16]から[22]のいずれか一項に記載の使用。
[24] カナキヌマブが、4週間ごとに(毎月)投与される、上記[16]から[22]のいずれか一項に記載の使用。
[25] カナキヌマブが、皮下投与される、上記[16]から[24]のいずれか一項に記載の使用。
[26] カナキヌマブが、あらかじめ充填されたシリンジ内に含有された液体形態で、または再構成のための凍結乾燥形態として投与される、上記[16]から[25]のいずれか一項に記載の使用。
[27] それを必要とする患者において、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがん、好ましくは、肺がんの処置における使用のためのカナキヌマブであって、前記使用が、200mgの用量のカナキヌマブを、3週間ごとに皮下投与することを含む、カナキヌマブ。
[28] 前記IL-1β結合性抗体が、ゲボキズマブ(XOMA-052)である、上記[1]から[18]のいずれか一項に記載の使用。
[29] 処置1回当たり90mg~270mgのゲボキズマブを、前記患者へと投与することを含む、上記[28]に記載の使用。
[30] 約90mg~約120mgのゲボキズマブを、前記患者へと投与することを含む、上記[28]に記載の使用。
[31] ゲボキズマブが、3週間ごとに投与される、上記[28]から[30]のいずれか一項に記載の使用。
[32] ゲボキズマブが、4週間ごとに(毎月)投与される、上記[28]から[30]のいずれか一項に記載の使用。
[33] ゲボキズマブが、皮下投与される、上記[28]から[32]のいずれか一項に記載の使用。
[34] ゲボキズマブが、静脈内投与される、上記[28]から[32]のいずれか一項に記載の使用。
[35] それを必要とする患者において、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんの処置における使用のためのゲボキズマブであって、前記使用が、120mgの用量のゲボキズマブを、4週間ごとに(毎月)静脈内投与することを含む、ゲボキズマブ。
[36] 前記少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんが、肺がん、とりわけ、NSCLC、結腸直腸がん、黒色腫、胃がん(食道がんを含む)、腎細胞癌(RCC)、乳がん、肝細胞癌(HCC)、前立腺がん、膀胱がん、AML、多発性骨髄腫、および膵臓がんからなるリストから選択される、上記[35]に記載の使用。
[37] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与され、好ましくは、前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、カナキヌマブまたはゲボキズマブである、上記[1]から[36]のいずれか一項に記載の使用。
[38] 前記1または複数の化学療法剤が、前記がんのための標準治療剤である、上記[37]に記載の使用。
[39] 前記1または複数の化学療法剤が、肺がん、とりわけ、NSCLCのための標準治療剤である、上記[37]または[38]に記載の使用。
[40] 前記1または複数の化学療法剤が、白金ベースの化学療法または白金ベースのダブレット化学療法(PT-DC)である、上記[37]から[39]に記載の使用。
[41] 前記1または複数の化学療法剤が、チロシンキナーゼ阻害剤である、上記[37]から[40]のいずれか一項に記載の使用。
[42] 前記1または複数の化学療法剤が、チェックポイント阻害剤である、上記[37]から[41]のいずれか一項に記載の使用。
[43] 前記1または複数の化学療法剤が、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびスパルタリズマブ(PDR-001)からなる群から選択される、PD-1またはPD-L1阻害剤である、上記[37]から[42]のいずれか一項に記載の使用。
[44] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、少なくとも部分的な炎症ベースを有するがんを手術により除去した後の対象における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[1]から[43]のいずれか一項に記載の使用。
[45] 部分的な炎症ベースを伴う前記がんが、肺がんである、上記[44]に記載の使用。
[46] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、肺がん、とりわけ、NSCLCのファーストライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[1]から[45]のいずれか一項に記載の使用。
[47] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、肺がん、とりわけ、NSCLCのセカンドまたはサードライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[1]から[46]のいずれか一項に記載の使用。
[48] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、カナキヌマブであり、前記患者が、喫煙者である、上記[37]から[47]のいずれか一項に記載の使用。
[49] 患者の肺がんの防止における使用のための、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片であって、前記患者が、2mg/L以上の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)レベルを有する、IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片。
[50] 前記hsCRPレベルが、4mg/L以上である、上記[49]に記載の使用。
[51] 前記IL-1β結合性抗体またはこの機能的な断片が、カナキヌマブもしくはこの機能的な断片、またはゲボキズマブもしくはこの機能的な断片である、上記[49]から[50]のいずれか一項に記載の使用。
[52] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、1または複数の化学療法剤と組み合わせて投与される、上記[1]から[51]のいずれか一項に記載の使用。
[53] 前記1または複数の化学療法剤が、結腸直腸がん(CRC)のための標準治療剤である、上記[52]に記載の使用。
[54] 前記1または複数の化学療法剤が、一般的な細胞傷害剤であり、好ましくは、前記一般的な細胞傷害剤が、FOLFOX、FOLFIRI、カペシタビン、5-フルオロウラシル、イリノテカン、およびオキサリプラチンからなるリストから選択される、上記[52]または[53]に記載の使用。
[55] 前記1または複数の化学療法剤が、VEGF阻害剤であり、好ましくは、前記VEGF阻害剤が、ベバシズマブ、ラムシルマブ、およびziv-アフリベルセプトからなるリストから選択される、上記[52]または[53]に記載の使用。
[56] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、FOLFIRI+ベバシズマブ、またはFOLFOX+ベバシズマブと組み合わせて投与される、上記[52]から[55]のいずれか一項に記載の使用。
[57] 前記1または複数の化学療法剤が、チェックポイント阻害剤である、上記[52]から[56]のいずれか一項に記載の使用。
[58] 前記1または複数の化学療法剤が、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ(PDR-001)からなる群から選択される、PD-1またはPD-L1阻害剤である、上記[52]から[57]のいずれか一項に記載の使用。
[59] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、結腸直腸がんを手術により除去した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[52]から[58]のいずれか一項に記載の使用。
[60] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、結腸直腸がんのファーストライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[52]から[59]のいずれか一項に記載の使用。
[61] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、結腸直腸がんのセカンドまたはサードライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[52]から[59]のいずれか一項に記載の使用。
[62] 前記1または複数の化学療法剤が、腎細胞癌(RCC)のための標準治療剤である、上記[52]に記載の使用。
[63] 前記1または複数の化学療法剤が、CTLA-4チェックポイント阻害剤であり、好ましくは、前記CTLA-4チェックポイント阻害剤が、イピリムマブである、上記[52]または[62]に記載の使用。
[64] 前記1または複数の化学療法剤が、エベロリムスである、上記[52]および[62]~[63]のいずれか一項に記載の使用。
[65] 前記1または複数の化学療法剤が、チェックポイント阻害剤である、上記[52]および[62]から[64]のいずれか一項に記載の使用。
[66] 前記1または複数の化学療法剤が、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびスパルタリズマブ(PDR-001)からなる群から選択される、PD-1またはPD-L1阻害剤である、上記[52]および[62]から[65]のいずれか一項に記載の使用。
[67] 前記チェックポイント阻害剤が、ニボルマブである、上記[52]および[62]から[66]のいずれか一項に記載の使用。
[68] 前記1または複数の化学療法剤が、ニボルマブ+イピリムマブである、上記[52]および[62]から[67]のいずれか一項に記載の使用。
[69] 前記1または複数の化学療法剤が、カボザンチニブである、上記[52]および[62]から[68]のいずれか一項に記載の使用。
[70] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、腎細胞癌(RCC)を手術により除去した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[52]および[62]から[69]のいずれか一項に記載の使用。
[71] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、腎細胞癌(RCC)のファーストライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[52]および[62]から[70]のいずれか一項に記載の使用。
[72] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、腎細胞癌(RCC)のセカンドまたはサードライン処置において、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[52]および[62]~[70]のいずれか一項に記載の使用。
[73] 前記1または複数の化学療法剤が、胃がん(食道がんを含む)のための標準治療剤である、上記[52]に記載の使用。
[74] 前記1または複数の化学療法剤が、有糸分裂阻害剤、好ましくは、タキサンであり、好ましくは、前記タキサンが、パクリタキセルおよびドセタキセルから選択される、上記[52]および[73]のいずれか一項に記載の使用。
[75] 前記1または複数の化学療法剤が、パクリタキセルおよびラムシルマブである、上記[52]および[73]~[74]のいずれか一項に記載の使用。
[76] 前記1または複数の化学療法剤が、チェックポイント阻害剤である、上記[52]および[73]から[75]のいずれか一項に記載の使用。
[77] 前記1または複数の化学療法剤が、好ましくは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびスパルタリズマブ(PDR-001)からなる群から選択される、PD-1またはPD-L1阻害剤である、上記[52]および[73]から[76]のいずれか一項に記載の使用。
[78] 前記チェックポイント阻害剤が、ニボルマブである、上記[76]および[77]のいずれか一項に記載の使用。
[79] 前記1または複数の化学療法剤が、ニボルマブおよびイピリムマブである、上記[52]および[73]から[78]のいずれか一項に記載の使用。
[80] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、胃がん(食道がんを含む)を手術により除去した後の患者における、前記がんの再発または再燃の防止において、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[52]および[73]から[79]のいずれか一項に記載の使用。
[81] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、胃がん(食道がんを含む)のファーストライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[52]および[73]から[80]のいずれか一項に記載の使用。
[82] ゲボキズマブまたはこの機能的な断片が、胃がん(食道がんを含む)のセカンドまたはサードライン処置として、単独で、または好ましくは組合せで使用される、上記[52]および[73]~[81]のいずれか一項に記載の使用。
【外国語明細書】