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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181223
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/14 20220101AFI20221201BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20221201BHJP
   A61F 5/14 20220101ALI20221201BHJP
【FI】
A43B7/14 Z
A43B23/02 105Z
A61F5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088028
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】521227241
【氏名又は名称】吉田 美穂
(74)【代理人】
【識別番号】100117260
【弁理士】
【氏名又は名称】福永 正也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 美穂
【テーマコード(参考)】
4C098
4F050
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB12
4C098BC33
4C098BD11
4F050AA01
4F050AA28
4F050BC03
4F050GA30
4F050JA27
(57)【要約】
【課題】いわゆる横アーチを適正な形状に維持することにより、疲れにくくなるだけでなく、外反母趾や冷え性をも防止することが可能な靴を提供する。
【解決手段】使用者が履いた状態で、使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨に対して外側から内側へと圧力を付与する圧力付与部材10を備える靴である。圧力付与部材10は帯状であり、使用者が履いた状態で使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨を外側から内側へ締めることが可能な位置に配置されている。第1指中足骨及び第5指中足骨を圧することにより指の間隔を開き、足の前方から見た足の指の位置がいわゆる横アーチ形状を形成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が履いた状態で、使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨に対して外側から内側へと圧力を付与する圧力付与部材を備えることを特徴とする靴。
【請求項2】
前記圧力付与部材は帯状であり、使用者が履いた状態で使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨を外側から内側へ締めることが可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記圧力付与部材は、使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨の長さ以下の幅を有することを特徴とする請求項2に記載の靴。
【請求項4】
使用者の親指及び小指の外側に、親指及び小指が移動することが可能な空隙部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履き手の健康を増進する靴に関し、特に履いた状態で所定の位置を圧することで靴を介した地面への接地状態を改善することが可能な靴に関する。
【背景技術】
【0002】
靴を履いて歩行する場合、履き手の足の形状に応じて地面に接地するときの圧力負荷の分布状況が変化する。例えば履き手が偏平足である場合、本来は圧力負荷がかかるべきではない位置にまで負荷が生じ、疲れやすくなるという事実は良く知られている。
【0003】
そのため、圧力負荷を本来かけるべき位置へと矯正する工夫が多々なされている。例えば特許文献1には、靴の中底や靴自体に挿入可能で、母趾球と小趾球とを押圧することが可能な突出部を設け、厚みの差で踵側と指先側とで段差を設けている足用矯正具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-058555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、母趾球と小趾球とを下から上へと押圧することにより、長母趾屈筋、長趾屈筋、後脛骨筋、腓骨筋、ヒラメ筋、腓腹筋、足底筋等の緊張をやわらげることができ、足関節の可動域の拡大、足底筋膜と膝関節の過伸展防止、浮趾予防や足裏アーチを改善できる。しかし、段差により改善できるアーチはいわゆる縦アーチであり、いわゆる足の指の横アーチ形状の形成には寄与しない。したがって、横アーチの崩れによる外反母趾や冷え性を防止することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、いわゆる横アーチを適正な形状に維持することにより、疲れにくくなるだけでなく、外反母趾や冷え性をも防止することが可能な靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る靴は、使用者が履いた状態で、使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨に対して外側から内側へと圧力を付与する圧力付与部材を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、使用者が履いた状態で、使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨に対して外側から内側へと圧力を付与する圧力付与部材を備えているので、親指と小指の接地位置が他の指の接地位置よりも低くなり、正面から見た足の指の位置を自然な横アーチ形状とすることができる。自然な横アーチ形状とすることにより、足の血流が円滑になり、外反母趾を予防できるとともに冷え性が改善し、新陳代謝も促進され、ダイエット効果も期待できる。また、かかとからつま先まで足裏全体を使って歩くことができるようになり、ふくらはぎの筋肉が活発に働くことでむくみが改善し、脚部のラインの美容効果も期待できる。
【0009】
また、本発明に係る靴は、前記圧力付与部材が帯状であり、使用者が履いた状態で使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨を外側から内側へ締めることが可能な位置に配置されていることが好ましい。
【0010】
本発明では、圧力付与部材が帯状であり、使用者が履いた状態で使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨を外側から内側へ締めることが可能な位置に配置されているので、後述するような梃子の原理で親指及び小指がそれぞれ外側に開くことで親指及び小指の接地位置が他の指の接地位置よりも低くなり、正面から見た足の指の位置を自然な横アーチ形状とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る靴は、前記圧力付与部材が、使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨の長さ以下の幅を有することが好ましい。
【0012】
本発明では、圧力付与部材が、使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨の長さ以下の幅を有するので、後述するような梃子の原理で親指及び小指がそれぞれ外側に開くことで親指及び小指の接地位置が他の指の接地位置よりも低くなり、正面から見た足の指の位置を自然な横アーチ形状とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る靴は、使用者の親指及び小指の外側に、親指及び小指が移動することが可能な空隙部を備えることが好ましい。使用者の親指及び小指の外側に親指及び小指が移動することが可能な空隙部が存在するので、空隙部へと親指及び小指が押し出されることで指の間隔が広がり、親指及び小指の接地位置が他の指の接地位置よりも低くなりやすく、正面から見た足の指の位置を自然な横アーチ形状とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、親指と小指の接地位置が他の指の接地位置よりも低くなり、正面から見た足の指の位置を自然な横アーチ形状とすることができる。横アーチ形状とすることにより、足の血流が円滑になり、外反母趾を予防できるとともに冷え性が改善し、新陳代謝も促進され、ダイエット効果も期待できる。また、かかとからつま先まで足裏全体を使って歩くことができるようになり、ふくらはぎの筋肉が活発に働くことでむくみが改善し、脚部のラインの美容効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る靴の構成の概要を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る靴のリボン部を取り付ける前の状態を示す二面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る靴の圧力付与部材により圧力を付与される足の骨格を示す透視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る靴を履いた場合の、靴の正面から見たときの指の位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る靴について、図面に基づいて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
【0017】
また、本発明は多くの異なる態様にて実施することが可能であり、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるべきものではない。実施の形態を通じて同じ要素には同一の符号を付している。
【0018】
本発明の実施の形態によれば、親指と小指の接地位置が他の指の接地位置よりも低くなり、正面から見た足の指の位置を自然な横アーチ形状とすることができる。横アーチ形状とすることにより、足の血流が円滑になり、外反母趾を予防できるとともに冷え性が改善し、新陳代謝も促進され、ダイエット効果も期待できる。また、かかとからつま先まで足裏全体を使って歩くことができるようになり、ふくらはぎの筋肉が活発に働くことでむくみが改善し、脚部のラインの美容効果も期待できる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る靴の構成の概要を示す斜視図である。図1に示すように靴100は、両側の側面に足に対して内側へ向かって圧力を付与する圧力付与部材10を備えている。具体的には、圧力付与部材10にリボン部20を取り付けて、靴100を使用者が履いた状態でリボン部20を締めることによって、使用者の足に対して外側から内側へ向かって圧力を付与している。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態に係る靴100のリボン部20を取り付ける前の状態を示す二面図である。図2(a)は、本実施の形態に係る靴100のリボン部20を取り付ける前の状態を示す側面図であり、図2(b)は、本実施の形態に係る靴100のリボン部20を取り付ける前の状態を示す平面図である。
【0021】
図2に示すように、本実施の形態に係る靴100は、側面に帯状の圧力付与部材10を備えている。圧力付与部材10の上部には、リボン部20を取り付ける取付穴11を備えている。使用時には、リボン部20を取付穴11に通して締めることで、圧力付与部材10が靴100の側部に押し付けられ、使用者の足に対して圧力を付与することができる。
【0022】
ここで、大切なことは、圧力付与部材10の位置と幅である。なぜなら、本実施の形態に係る靴100は、使用者が履いた状態で、使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨に対して外側から内側へと圧力を付与することが重要だからである。
【0023】
図2の例では、帯状の圧力付与部材10は、使用者が履いた状態における中足骨の位置内に収まるように、圧力付与部材10を取り付ける位置及び圧力付与部材10の幅を定めている。幅が比較的狭くなっているのはそのためである。
【0024】
もちろん圧力付与部材10が帯状の部材であることに限定されるものではない。例えば、使用者が履いた状態における中足骨の位置内に収まるように、複数の紐状の部材で形成されても良い。紐状の部材を複数本取り付け、それぞれ結ぶことによって、使用者の第1指中足骨及び第5指中足骨に対して外側から内側へと圧力を付与することが可能となる。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態に係る靴100の圧力付与部材10により圧力を付与される足の骨格を示す透視図である。図3に示すように、本実施の形態に係る靴100では、圧力付与部材10により、第1指中足骨(親指の中足骨)41及び第5指中足骨(小指の中足骨)45に対して外側から内側に向かって圧力を付与する。これにより、中足骨41、45と趾骨51、55との連結部を支点とした梃子の原理により、親指及び小指がそれぞれ外側へ開くようになる。
【0026】
ここで、圧力付与部材10の幅は、使用者の第1指中足骨41及び第5指中足骨45の長さL以下の幅を有し、中足骨41、45の骨頭部にかからない位置に配置することが好ましい。使用者の第1指中足骨41及び第5指中足骨45の長さL以上である場合には、圧力を付与しても梃子の原理が働かず、親指及び小指がそれぞれ外側へ開かないために、いわゆる横アーチ形状とはならない。中足骨41、45の骨頭部にかかる位置に配置した場合も、中足骨41、45と趾骨51、55との連結部を支点とした梃子の原理が働かず、好ましくない。
【0027】
親指及び小指がそれぞれ外側へ開くことにより、足の指の相互の位置関係が変化する。図4は、本発明の実施の形態に係る靴100を履いた場合の、靴の正面から見たときの指の位置を示す模式図である。図4(a)は、従来の靴を右足に履いた場合の、靴の正面から見たときの指の位置を示す模式図であり、図4(b)は、本実施の形態に係る靴100を右足に履いた場合の、靴の正面から見たときの指の位置を示す模式図である。
【0028】
図4(a)に示すように、通常の靴を履いた状態では、足の指は靴底60に合わせた位置に平らに存在する。すなわち、親指61及び小指65の位置が、他の指とほぼ同じ高さになっており、この状態では、特に足の指の先端部分では血流が悪くなる、歩いて疲れやすい等の弊害が生じている。
【0029】
それに対して図4(b)に示すように、本実施の形態に係る靴100では、圧力付与部材10に通したリボン部20を締めることにより、上述した原理で親指及び小指がそれぞれ外側へ開くことにより、親指及び小指の接地位置が他の指の接地位置よりも低くなる。これにより、正面から見た場合に足の指の位置がいわゆる横アーチ形状になりやすい。
【0030】
横アーチ形状になることで、足の血流が円滑になり、冷え性が改善し、新陳代謝も促進され、ダイエット効果も期待できることが良く知られている。また、かかとからつま先まで足裏全体を使って歩くことができるようになり、ふくらはぎの筋肉が活発に働くことでむくみが改善し、脚部のラインの美容効果も期待できる。
【0031】
なお、本実施の形態に係る靴は、使用者の親指及び小指の外側に、親指及び小指が移動することが可能な小さな空隙部を備えていることが好ましい。図4(a)に示すように、使用者の親指61及び小指65の外側に親指61及び小指65が移動することが可能な空隙部70が存在する。これにより、圧力付与部材10により圧力が付与されることで、空隙部70へと親指61及び小指65が押し出されやすく、無理なく指の間隔を広げることができる。したがって、親指61及び小指65の接地位置が他の指の接地位置よりも低くなりやすく、正面から見た足の指の位置を自然な横アーチ形状とすることができる。
【0032】
以上のように、本発明の実施の形態に係る靴100によれば、親指61と小指65の接地位置が他の指の接地位置よりも低くなり、正面から見た足の指の位置を自然な横アーチ形状とすることができる。自然な横アーチ形状とすることにより、足の血流が円滑になり、外反母趾を予防できるとともに冷え性が改善し、新陳代謝も促進され、ダイエット効果も期待できる。また、かかとからつま先まで足裏全体を使って歩くことができるようになり、ふくらはぎの筋肉が活発に働くことでむくみが改善し、脚部のラインの美容効果も期待できる。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。例えば上述した実施の形態では、圧力付与部材10を帯状の部材で形成しているが、特にこれに限定されるものではなく、使用者の第1指中足骨(親指の中足骨)及び第5指中足骨(小指の中足骨)に対して外側から内側に向かって圧力を付与することができれば形状を問うものではない。ただし、自然な横アーチ形状となるまでに必要な圧力には個人差があるので、付与する圧力を調整することが可能な構成であることが望ましいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0034】
10 圧力付与部材
11 取付穴
20 リボン部
70 空隙部
100 靴
図1
図2
図3
図4