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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181225
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】コンクリートならし装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/10 20060101AFI20221201BHJP
   E04F 21/24 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
E04G21/10 Z
E04F21/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088035
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】390040073
【氏名又は名称】岡本 俊仁
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】岡本 俊仁
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172GB06
(57)【要約】
【課題】 効率よくコンクリート敷設現場を走行することができるとともに、敷設されたコンクリートを効率よくならすことができるコンクリートならし装置を提供することを目的としている。
【解決手段】支持台と、支持台に設けられた移動装置と、支持台に旋回可能に設けられたベース部材と、ベース部材に上下方向に摺動可能に設けられたアーム支持部と、アーム支持部に取り付けられた伸縮可能なアーム部材と、アーム部材に上下方向に摺動可能に設けられたコンクリートならし具とで構成され、支持台は、一方の支持台と、前記一方の支持台と接続部を介して互いに一体的に接続された他方の支持台とで構成され、接続部は前記一方の支持台と他方の支持台が略水平方向及びねじれ方向に回動可能に接続され、移動装置は4つの接地具を有し、一方の支持台の左右方向の側面に1つずつ、他方の支持台の左右方向の側面に1つずつ接地具が取り付けられているコンクリートならし装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常態では略水平姿勢の支持台と、前記支持台に設けられた移動装置と、前記支持台に旋回可能に設けられたベース部材と、前記ベース部材に上下方向に摺動可能に設けられたアーム支持部と、前記アーム支持部に取り付けられた伸縮可能なアーム部材と、前記アーム部材に上下方向に摺動可能に設けられたコンクリートならし具とで構成され、
前記支持台は、一方の支持台と、前記一方の支持台と接続部を介して互いに一体的に接続された他方の支持台とで構成され、前記接続部は前記一方の支持台と他方の支持台が略水平方向及びねじれ方向に回動可能に接続され、
前記移動装置は少なくとも4つの接地具を有し、前記接地具は、前記一方の支持台と他方の支持台の各側面にそれぞれ1つずつ取り付けられているコンクリートならし装置。
【請求項2】
前記一方の支持台と他方の支持台を接続するように油圧シリンダーがさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートならし装置。
【請求項3】
前記接地具の左右方向の間隔を調節することができるスパンナーをさらに有することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のコンクリートならし装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流し込まれたコンクリートやモルタル等の表面を略水平にならすコンクリートならし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、法面において、コンクリートの表面を略水平にならすコンクリートならし装置としては、「作業場を走行する車輪を有する台車に、水平方向に延出された伸縮ブームが支持され、該伸縮ブームの先端に、下方に延出されたロッドを介してレーキが取り付けられたコンクリート均し装置であって、前記伸縮ブームを前記台車の上方から見て正逆回転させる旋回機構と、前記伸縮ブームを前記台車に対して所望の方向に傾動させる傾動機構と、該傾動機構による前記伸縮ブームの傾動とは切り離して前記伸縮ブームを前記台車に対して昇降させる昇降機構と、を備えたことを特徴とするコンクリート均し装置」が知られている。
【0003】
しかし、上記構成のようなコンクリートならし装置を走行させる場所としては、鉄骨の上や躯体上、地面等が考えられるが、これらの場所は必ずしも平坦ではなく、うねりが生じている場合もある。そのようなうねりがある場所においては、車輪が空転する場合があり、適切に走行できないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6506491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、効率よくコンクリート敷設現場を走行することができるとともに、敷設されたコンクリートを効率よくならすことができるコンクリートならし装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のコンクリートならし装置は、常態では略水平姿勢の支持台と、前記支持台に設けられた移動装置と、前記支持台に旋回可能に設けられたベース部材と、前記ベース部材に上下方向に摺動可能に設けられたアーム支持部と、前記アーム支持部に取り付けられた伸縮可能なアーム部材と、前記アーム部材に上下方向に摺動可能に設けられたコンクリートならし具とで構成され、前記支持台は、一方の支持台と、前記一方の支持台と接続部を介して互いに一体的に接続された他方の支持台とで構成され、前記接続部は前記一方の支持台と他方の支持台が略水平方向及びねじれ方向に回動可能に接続され、前記移動装置は少なくとも4つの接地具を有し、前記接地具は、前記一方の支持台と他方の支持台の各側面にそれぞれ1つずつ取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のコンクリートならし装置の前記一方の支持台と他方の支持台を接続するように油圧シリンダーがさらに設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載のコンクリートならし装置の前記接地具の左右方向の間隔を調節することができるスパンナーをさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1及び請求項2に記載の各発明においては、一方の支持台と他方の支持台が水平方向及びねじれ方向に回動可能に接続され、一方の支持台と他方の支持台にそれぞれ2つの車輪が取り付けられているので、走行する地面や躯体、枠状材に合わせて、一方の支持台と他方の支持台が接続部を支点に適宜変位し、車輪を接地させることができる。
したがって、効率よく現場を走行し、コンクリートをならすことができる。
(2)請求項3に記載の発明においては、前記(1)と同様の効果を得られるとともに、鉄骨等の上を移動する際にスパンナーによって左右の接地具の間の距離を調節できるので、よりスムーズに移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1乃至図6は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図7乃至図9は本発明の第2の実施形態示す説明図である。
図1】第1の実施形態のコンクリートならし装置の側面図。
図2】第1の実施形態のコンクリートならし装置の平面図。
図3】支持台の平面視からの動きを示す説明図。
図4】支持台の正面視からの動きを示す説明図。
図5】ベース部材、アーム支持部、アーム部材及びコンクリートならし具の動きを示す参考図。
図6】作業時の側面図。
図7】第2の実施形態のコンクリートならし装置の側面図。
図8】第2の実施形態のコンクリートならし装置の平面図。
図9】スパンナーを伸長させた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。なお、図1を基準にすると、符号7がある図面右側が「前(正面側)」であり、一方、符号10がある図面左側が「後(背面)」である。また上下方向とは図1における上下方向をいう。さらに、左右方向とは図2(平面視)における左右方向である。
図1乃至図5に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は主に地面、建物の土台、鉄骨、躯体等に敷設したコンクリートの表面を平らにならすコンクリートならし装置である。
【0012】
具体的には、コンクリートならし装置1は、例えば図1に示すように、常態(図1の状態)では略水平姿勢の支持台2と、前記支持台2に前後一対設けられた移動装置3と、前記支持台2の上方に設けられかつ該支持台2に対して水平方向に旋回可能なベース部材4と、前記ベース部材4に設けられかつ上下方向に摺動可能なアーム支持部5と、前記アーム支持部5に取り付けられかつ前後方向に伸縮可能なアーム部材6と、前記アーム部材6の一端部に設けられかつ上下方向に摺動可能なコンクリートならし具7とで構成されている。なお、本実施形態においては、移動装置3として、車軸、軸受け、車輪3a等を有する走行装置3を用いており、自走可能に構成している。
【0013】
支持台2は、前方側の一方の支持台8と、前記一方の支持台8と連結部材としての接続部9を介して互いに一体的に接続された後方側の他方の支持台10とで構成されている。この一方の支持台8と他方の支持台10は、接続部9の中心を基準にすると、好ましくは水平方向に回転対称に連結されている。
【0014】
実施形態では、平面視において、それぞれ野球のホームベースのような略5角形状に形成され、接続部9を指向するように山形状に突出した各頂点部分は、互いに対向するように配置されており、かつ、各頂点部分に接続部9が設けられている。
【0015】
前記接続部9は前記一方の支持台8と他方の支持台10が水平方向及び互いにねじれ方向に回動可能に接続するもので、ユニバーサルジョイント又はユニバーサルジョイントに準ずる連結部材が用いられる。
【0016】
一方の支持台8と他方の支持台10が略水平方向に回動するとは、図3に示すように、通常状態(図1の状態)において接続部9を支点に一方の支持台8と他方の支持台10が略水平方向に回動することをいう。本実施形態においては、一方の支持台8と他方の支持台10を、前記接続部9を支点に略水平方向に回動させるために一方の支持台と他方の支持台を接続するように1対の油圧シリンダー11がさらに設けられている。
【0017】
また、一方の支持台8と他方の支持台10がねじれ方向に回動するとは、図4に示すように、通常状態において接続部9を支点に一方の支持台8と他方の支持台10の左右方向の側部が異なる上下方向に回動することをいう。
【0018】
支持台2には移動装置3としての走行装置が設けられており、本実施形態では、コンクリートを敷設する現場に設置されている鉄骨や、地面、躯体等を走行可能な接地具3aとしての4つの車輪3aと、この車輪3aを駆動する駆動装置(図示せず)と、エンジン(図示せず)とで構成されている。なお、コンクリートならし装置1が牽引等により移動し、自走しない場合には、駆動装置を設けず、車輪3aのみで移動装置3を構成してもよい。なお、本実施形態ではエンジンや油圧ポンプ、駆動装置であるモーター等も一方の支持台8に設けられているが、これらを他方の支持台10に設けてもよい。
【0019】
本実施形態の車輪3aは、タイヤ状に形成されているが、例えば鉄骨に係合した状態で鉄骨上を走行できるよう、その外周に断面略コ字状の溝部を有するように形成してもよい。
【0020】
移動装置3の車輪3aは、少なくとも前記一方の支持台8の左右の端部付近と他方の支持台10の左右の端部付近にそれぞれ2つの車輪3aが取り付けられている。すなわち、一方の支持台8の左右方向の側面に1つずつ、他方の支持台10の左右方向の側面に1つずつの接地具3aが取り付けられている。このように一方の支持台8に2輪、他方の支持台10に2輪の車輪3aを設けるとともに、前記接続部9を備えることにより、地面や鉄筋に前後又は左右で高さが異なる凹凸のような部位があっても、車輪3aを確実に接地させることができ、効率よく走行することができる。なお、車輪3a自体を揺動可能に支持台2に取り付けてもよい。このように車輪3aを取り付けることにより、鉄骨に車輪3aを係合させて走行する場合に、よりスムーズに走行することができる。なお、本実施形態では4つの接地具3aを設けたが、例えば6つの接地具3aを用いて6輪の移動装置3にしてもよいし、8つの接地具3aを用いて8輪の車輪3a移動装置3にしてもよい。
【0021】
また、走行時にコンクリートならし装置1を左右のいずれかの方向にカーブさせたい場合に、1対の油圧シリンダー11を作動させることにより進行方向を曲げる事ができる。例えば右方向に曲がりたい場合には、一方の支持台8と他方の支持台10を接続する油圧シリンダー11のうち、右側の油圧シリンダー11を縮め、左側の油圧シリンダー11を伸長させることにより、コンクリートならし装置1を右側に曲げて走行させることができる。
【0022】
なお、本実施形態においては1対の油圧シリンダー11を設けているが、油圧シリンダー11を1つのみ設け、この1つの油圧シリンダー11を伸長、短縮させることにより一方の支持台8と他方の支持台10を略水平方向に回動させてもよい。また、例えば鉄骨に車輪3aを係合させて鉄骨上を走行する場合においては、鉄骨のカーブに合わせて接続部9を支点に一方の支持台8と他方の支持台10が略水平方向に回動するため、油圧シリンダー11を設けなくてもよい。
【0023】
ベース部材4は、本実施形態においては、このベース部材4の下部は旋回機構4aを介して前部側の一方の支持台8に略水平方向に旋回可能に設けられており、このベース部材4にはアーム支持部5が上下方向にスライド移動可能に設けられている。アーム支持部5はシリンダー(図示せず)等の昇降手段により上下方向にスライド移動する。
【0024】
アーム支持部5の上端部付近には略水平方向に延在するアーム部材が取り付けられている。このアーム部材6は、アーム支持部5の上端部付近に取り付けられる支持アーム12と、この支持アーム12に伸縮可能に取り付けられた伸縮アーム13とで構成されている。本実施形態のように支持アーム12はアーム支持部5に対して固定的に取り付けてもよいが、アーム支持部5に対して上下方向に回動可能に取り付けてもよい。
【0025】
支持アーム12は、本実施形態においては角パイプ状に形成され、その全長は支持台2の全長と略同じ程度の長さに形成されている。この支持アーム12の内部に伸縮アーム13挿入されている。
【0026】
この伸縮アーム13の先端部付近(アーム部材6の先端部付近)には、上下方向に摺動可能に設けられたコンクリートならし具7が吊り下がるように設けられている。
このコンクリートならし具7は、伸縮アーム13の先端部付近に吊り下がるように取り付けられたレーキ支持具14と、このレーキ支持具14に上下方向にスライド移動可能に設けられたレーキ15とで構成されている。
【0027】
本発明のコンクリートならし装置1を用いて現場で作業を行なう場合、コンクリートが流し込まれた部位の近傍まで移動装置3を用いて接近する。このとき走行する躯体、地面、鉄骨等の表面の高低差に合わせて一方の支持台8と他方の支持台10を接続部9を支点に適宜ねじることにより、スムーズに走行することができる。
【0028】
作業位置に到達したら、ベース部材4を略水平方向に旋回させるとともに、アーム支持部を上下方向にスライド移動し、また、アーム部材6の伸縮アーム13を伸縮させることでコンクリートならし具7をコンクリート等の上方に位置させる。その後、コンクリートならし具7のレーキ15を下方へ変位させ、レーキ15の底面がコンクリートの表面に接触した状態で伸縮アーム13を伸長又は短縮させることでコンクリートの表面を平らにならすことができる。
【0029】
なお、レーキ15の底面がコンクリートの表面に接触させる際に、支持アーム12を上下方向に回動させてもよい。
【0030】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7乃至図9に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、この異なる実施形態の説明に当って、前記第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0031】
図7乃至図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、接地具の左右方向の間隔を調節することができるスパンナー16をさらに設けた点で、このようなコンクリートならし装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、左右の接地具3a(車輪3a)の間の距離を調節できる。
【0032】
本実施形態において、スパンナー16としては支持台2の底面に設けられ油圧等により作動する4つのシリンダーを用いており、このスパンナー16を介して車輪3aが支持台2に取り付けられている。
【0033】
なお、支持台2の左右側の側面に伸縮部を設けて、この伸縮部を左右方向に伸縮できるようにスパンナー16を設けてもよい。この場合、伸縮部に車輪3aが取り付けられる。
【0034】
本実施形態のようにスパンナー16を用いる場合には、接地具3aとして鉄筋等を挟持できるクランプ状の部材を接地具3aとしてもよい。このような接地具3aを用いても、スパンナー16を伸縮させることにより鉄骨上を移動することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は生コンクリートやモルタル等の表面を略水平にならすことができるコンクリートならし装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0036】
1、1A:コンクリートならし装置、2:支持台、
3:移動装置、 4:ベース部材、
5:アーム支持部、 6:アーム部材、
7:コンクリートならし具、 8:一方の支持台、
9:接続部、 10:他方の支持台、
11:油圧シリンダー、 12:支持アーム、
13:伸縮アーム、 14:レーキ支持具、
15:レーキ、 16:スパンナー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9