(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181249
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
A47J27/00 109N
A47J27/00 109F
A47J27/00 109G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088076
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三上 直樹
(72)【発明者】
【氏名】羽山 哲矢
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA62
4B055CC18
4B055CD02
4B055GA01
4B055GA06
4B055GB12
4B055GC12
4B055GD03
4B055GD05
(57)【要約】
【課題】
タイマー予約設定時間に合わせて、炊飯開始後の加熱の火加減を調整する炊飯器を提供する。
【解決手段】
本発明の炊飯器は、米と水を収容する内釜と、内釜を加熱する加熱部と、内釜の温度を検出する温度センサと、加熱部および温度センサを制御する制御部と、を備え、制御部は、炊飯の開始を任意の時間に予約するタイマー予約を受け付けるタイマー予約受付手段と、タイマー予約受付手段でタイマー予約を受け付けた時間からタイマー予約の時間までが所定の範囲にあるか否かを判断する予約時間判断手段と、を有し、予約時間判断手段の判断によって、加熱部の火力を調整することを特徴とする炊飯器。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米と水を収容する内釜と、前記内釜を加熱する加熱部と、前記内釜の温度を検出する温度センサと、前記加熱部および前記温度センサを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、炊飯の完了を任意の時間に予約するタイマー予約を受け付けるタイマー予約受付手段と、前記タイマー予約受付手段でタイマー予約を受け付けた時間から前記タイマー予約の時間までが所定の範囲にあるか否かを判断する予約時間判断手段と、を有し、
前記予約時間判断手段の判断によって、前記加熱部の火力を調整することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記予約時間判断手段において、前記タイマー予約受付手段でタイマー予約を受け付けた時間から前記タイマー予約の時間までの時間が前記所定の時間の範囲よりも短い第1の場合には、通常の炊飯工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記予約時間判断手段において、前記タイマー予約受付手段でタイマー予約を受け付けた時間から前記タイマー予約の時間までの時間が前記所定の時間の範囲内にある第2の場合には、前記炊飯の予熱工程を、前記第1の場合よりも火力を弱めて加熱することを特徴とする請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記予約時間判断手段において、前記タイマー予約受付手段でタイマー予約を受け付けた時間から前記タイマー予約の時間までの時間が前記所定の時間の範囲よりも長い第3の場合には、炊飯開始後の予熱工程を、前記第1の場合よりも火力を弱めて加熱し、前記予熱工程終了後の加熱工程における火力を、前記第1の場合および前記第2の場合よりも火力を強めて加熱することを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の誘導加熱式炊飯器のタイマー予約を備えた技術として、例えば下記特許文献1がある。特許文献1は、毎回炊飯を行った時の炊飯量判定データを蓄積し、この蓄積データからタイマー炊飯および吸水量制御を行うことにより、略実際の炊飯量に見合ったタイマー炊飯および水量に制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、タイマー予約を行う際に、予約設定時間(タイマー予約開始から炊飯開始までの時間)が長い場合、お米がすでに吸水しており、その状態からさらに炊飯開始後の予熱工程でお米が吸水するため、お米が過剰に吸水して炊上がりが悪化するという問題があった。
【0005】
上述した特許文献1は、タイマー予約を行う際に、予約設定時間の長短を考慮して炊飯を制御することは検討されていない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、タイマー予約設定時間に合わせて、炊飯開始後の加熱の火加減を調整する炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、米と水を収容する内釜と、内釜を加熱する加熱部と、内釜の温度を検出する温度センサと、加熱部および温度センサを制御する制御部と、を備え、制御部は、炊飯の開始を任意の時間に予約するタイマー予約を受け付けるタイマー予約受付手段と、タイマー予約受付手段でタイマー予約を受け付けた時間からタイマー予約の時間までが所定の範囲にあるか否かを判断する予約時間判断手段と、を有し、予約時間判断手段の判断によって、加熱部の火力を調整することを特徴とする炊飯器である。
【0008】
本発明のより具体的な構成は、特許請求の範囲に記載される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タイマー予約設定時間に合わせて、炊飯開始後の加熱の火加減を調整する炊飯器を提供できる。
【0010】
この結果、タイマー予約時間の長さにかかわらず、炊き上がりを向上し、ご飯の美味しさ向上することができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明の炊飯器で実施される炊飯工程の一例を示すフロー図
【
図3】本発明のタイマー予約炊飯の第1の場合の温度プロファイル
【
図4】本発明のタイマー予約炊飯の第2の場合の温度プロファイル
【
図5】本発明のタイマー予約炊飯の第3の場合の温度プロファイル
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する
図1は本発明の炊飯器の一例を示す模式図である。
図1に示すように、本発明の炊飯器100は、本体1に着脱自在に挿入され、お米と水を収容する内釜2と、内釜2の上部開口部を開閉自在に覆うフタ3とを備える。
【0014】
本体1には、内釜2の底面部と対向する位置に、1400Wで誘導加熱する加熱部4が設けられる。また、本体1には、内釜2底部と接触し、内釜2の温度を検出する温度センサ7が設けられている。加熱部4および温度センサ7は、温度情報を制御部9に入力して、加熱部4の加熱を制御する。
【0015】
また、フタ3内部には、内フタ6と、この内フタ6を誘導加熱する50Wのフタヒータ5と、内釜2内部の温度を監視できるフタセンサ8が設けられており、このフタセンサ8でも温度の検出を行い、温度情報を制御部9に入力して、およびフタヒータ5の加熱を行うように構成されている。
【0016】
以上の構成において、その作用を説明する。炊飯をする際、使用者は内釜2に米と適量の水を入れ、本体1に挿入して操作部の炊飯スイッチを操作し、炊飯を開始させる。炊飯スイッチの操作を制御部9が検出すると、加熱部4が動作することにより内釜2底部が加熱され、内釜2底部と接触している温度センサ7が上昇する。
【0017】
本発明の炊飯器100には、ある決められた時間(予約時間)にご飯を炊き上げる(炊飯を完了する)ためのタイマー予約炊飯機能を有する。制御部9には、図示しないが、このタイマー予約を受け付けるタイマー予約受付手段を有する。また、このタイマー予約受付手段でタイマー予約を受け付けた時間からタイマー予約の時間(炊飯完了時間)までの時間を判断する予約時間判断手段を有する。
【0018】
図2は本発明の炊飯器で実施される炊飯工程の一例を示すフロー図である。
図2を用いて本発明の炊飯器によるタイマー予約炊飯の手順を説明する。
【0019】
まず始めに、使用者がご飯を炊き上げたい予約時間をセットした際に、制御部のタイマー予約受付手段および予約時間判断手段により、使用者がタイマー予約した時間から、ご飯を炊き上げたい予約時間までの時間(タイマー待機時間)が所定の時間の範囲にあるか否かを判断する。ここでは、この所定の時間を3時間以上7時間未満とする。
【0020】
使用者がご飯を炊き上げたい時間をセットし、その時予約時間判断手段により、タイマー予約をセットした時間から炊き上げ完了時間までの時間が短い場合(第1の場合)、例えば、予約時間を13時00分として、10時30分に予約セットした場合、実際の炊飯にかかる時間を50分として、タイマー待機時間は、1時間40分となる。このように待機時間が3時間未満の場合には、通常の火加減制御でタイマー予約炊飯を実行する。
【0021】
一方、タイマー待機時間が長い場合、例えば、予約時間を13時00分として8時30分に予約セットした場合、タイマー待機時間は、3時間40分となる。この場合は、予約時間判断手段10でYESとなり、予約時間判断手段11に移行する。予約時間判断手段11で、3時間40分の待機時間の為、NOとなり、A仕様(第2の場合)の制御を実行する。
【0022】
また、この待機時間が、7時間以上の時には、予約時間判断手段11によりYESとなり、B仕様(第3の場合)の制御を実行する。
【0023】
図3は通常炊飯工程の温度プロファイルである。予約時間(米の浸し時間)が0時間以上3時間未満の時に動作する。
【0024】
図4は本発明のタイマー予約炊飯の第1の場合の温度プロファイルである。
図4は、予約時間判断手段11で、タイマー待機時間が3時間以上7時間未満と判断された時に動作する。この
図4のA仕様の動作としては、タイマー待機時間が経過し、炊飯開始した時に、予熱工程の制御温度を通常の炊飯工程の40℃制御から少し低めの30℃で制御を行うようにする。このように、タイマー待機時間が3時間以上の場合、
図3の3時間未満の場合よりもお米吸水量が増加しているので、予熱工程の制御温度を少し下げることで、お米過剰な吸水を防止し、タイマー予約しない炊飯の炊き上りに近づけることが出来る。
【0025】
図5は本発明のタイマー予約炊飯の第3の場合の温度プロファイルである。次に予約時間判断手段11でタイマー待機時間が7時間以上の時には、
図5のB仕様のタイマー予約動作を行う。B仕様では、タイマー待機時間が7時間以上と長い為、お米に十分水が吸われている為、予熱工程の制御温度は第2の場合よりもさらに低くし、米が吸水し過ぎることを防ぐ。また、加熱工程時には、第1の場合および第2の場合の火加減より強くし、火力を上げ、一気にご飯の温度を上げるようにする。これにより、吸水し過ぎて水っぽい(ベチャとした)ご飯の炊き上りになることを防ぐことが出来る。
【0026】
上記説明では、タイマー待機時間を3時間以上7時間未満の範囲を設定して火力を調整したが、この範囲は適宜決定することができる。
【0027】
以上、説明した通り、本発明によれば、タイマー予約時間の長さにかかわらず、炊き上がりを向上し、ご飯の美味しさ向上することができる炊飯器を提供できることが示された。これにより、タイマー予約炊飯時に予約時間の長さにかかわらず、タイマー予約しない時の炊き上りのふっくらとしたつやのあるおいしいご飯を作ることができる。
る。
【0028】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1…本体、2…内釜、3…フタ、4…加熱部、5…フタヒータ、6…内フタ、7…温度センサ、8…フタセンサ、9…制御部、100…炊飯器。