IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

特開2022-181251溶接トーチ及びその溶接トーチを備えた溶接装置並びに溶接方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181251
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】溶接トーチ及びその溶接トーチを備えた溶接装置並びに溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/29 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B23K9/29 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088079
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】劉 佐群
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 俊秀
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001LD03
4E001LE06
4E001LH04
4E001MD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電極を冷却する冷却水流路のない空冷式の溶接トーチであって、電極ホルダーの耐熱性が高く、交換しやすい形状であり、かつ交換部品のコストを抑えることが可能な溶接トーチを提供する。
【解決手段】本発明の溶接トーチ1Aは、電極ホルダー2と、該電極ホルダー2に保持される電極3とを備え、前記電極3が前記電極ホルダー2に傾斜して保持されている空冷式の溶接トーチ1Aであって、前記電極ホルダー2の材質がタングステン合金であり、前記溶接トーチ1Aの前記電極3の周囲のガスを吹き出すノズルとを備えた溶接装置であって、前記電極ホルダー2に前記電極3が傾斜して保持された状態で溶接すると共に、前記電極ホルダー2を交換する毎に前記電極3の傾斜角を変えた、ことを特徴とする。
【選択図】図1(b)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極ホルダーと、該電極ホルダーに保持される電極とを備え、前記電極が前記電極ホルダーに傾斜して保持されている空冷式の溶接トーチであって、
前記電極ホルダーの材質がタングステン合金であることを特徴とする溶接トーチ。
【請求項2】
請求項1に記載の溶接トーチであって、
前記電極は、前記電極ホルダーの下側から斜め上方に貫通するように取り付け可能な貫通孔が設置されていることを特徴とする溶接トーチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の溶接トーチであって、
前記電極ホルダーは、ロッド部と、前記電極を保持するヘッド部とから成り、前記ロッド部と前記ヘッド部は分割可能に接続されていることを特徴とする溶接トーチ。
【請求項4】
請求項3に記載の溶接トーチであって、
前記電極ホルダーの前記ロッド部と前記ヘッド部は、一方に切られたねじと、他方に切られたねじ穴とを係合することによるねじ止めで分割可能に接続されていることを特徴とする溶接トーチ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の溶接トーチであって、
前記電極ホルダーは、ロッド部とヘッド部及びライナー部とから成り、前記ロッド部と前記ヘッド部は、前記ライナー部を介して固定されていることを特徴とする溶接トーチ。
【請求項6】
請求項5に記載の溶接トーチであって、
前記ライナー部は、前記ロッド部よりも耐熱性の高い材質であることを特徴とする溶接トーチ。
【請求項7】
請求項5に記載の溶接トーチであって、
前記ロッド部と前記ライナー部が一体構造であり、前記ロッド部の先端部のみを耐熱性の高い素材とし、前記ロッド部の先端部の耐熱性の高い素材を介して前記ヘッド部が前記ロッド部に固定されていることを特徴とする溶接トーチ。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の溶接トーチであって、
前記ライナー部を前記ヘッド部に挿入し、前記ロッド部を前記ヘッド部にねじ込むことで押された前記ライナー部で前記電極が固定されていることを特徴とする溶接トーチ。
【請求項9】
電極ホルダー及び前記電極ホルダーに保持される電極を備え、かつ、空冷式の溶接トーチと、該溶接トーチを保持するトーチホルダーと、前記溶接トーチの前記電極の周囲のガスを吹き出すノズルとを備えた溶接装置であって、
前記溶接トーチは、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の溶接トーチであることを特徴とする溶接装置。
【請求項10】
請求項9に記載の溶接装置であって、
前記ノズルの先端に切り欠きを設け、前記切り欠きに前記電極を保持している前記電極ホルダーの先端部が位置していることを特徴とする溶接装置。
【請求項11】
請求項10に記載の溶接装置であって、
前記切り欠きは、U字状に形成された溝であることを特徴とする溶接装置。
【請求項12】
電極ホルダーと、該電極ホルダーに保持される電極とを備え、かつ、空冷式の溶接トーチを用いて溶接する際に、
前記電極ホルダーに前記電極が傾斜して保持された状態で溶接すると共に、前記電極ホルダーを交換する毎に前記電極の傾斜角を変えた前記溶接トーチを用いて溶接することを特徴とする溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶接トーチ及びその溶接トーチを備えた溶接装置並びに溶接方法に係り、特に、溶接トーチが電極ホルダーと電極から成り、しかも、空冷式であるものに好適な溶接トーチ及びその溶接トーチを備えた溶接装置並びに溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接装置の1つであるTIG溶接装置が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されているTIG溶接装置は、ワーク等に当たっても変形せず、絶縁性に優れ、あらゆる溶接姿勢に対応できる電極揺動型のTIG溶接トーチを有するTIG溶接装置を提供するために、非消耗電極を先端に支持し、冷却水流入管及び冷却水流出管を有するトーチブロックと、冷却水流入管及び冷却水流出管並びにシールドガス流入管を有するシールドガスブロックとを備え、前記各冷却水流入管及び冷却水流出管並びにシールドガス流入管が並設するように前記トーチブロックとシールドガスブロックを隣接配置したTIG溶接装置において、トーチブロックの冷却水流入管及び冷却水流出管とシールドガスブロックの冷却水流入管及び冷却水流出管並びにシールドガス流入管を一体に連結して外装する外装保護体を設けたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-206947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の溶接装置による溶接は、電極ホルダーと電極が分離構造の溶接トーチを用いて、電極が母材に対して傾斜して揺動することで、溶接ビードと母材との境界に未溶着部分が発生しないように溶接している。
【0006】
しかしながら、電極を冷却するために冷却水流入管及び冷却水流出管を有するため、溶接装置が複雑になり、コストが増加するという課題があった。
【0007】
溶接機を最低限で改造し、電極を冷却するための冷却水流入管及び冷却水流出管のない空冷式の溶接トーチを設ければ、特許文献1に記載の特徴を実現できるが、電極を支持する電極ホルダーの材質を耐熱性の高い材質に変更する必要がある。
【0008】
また、溶接時に高温となることによって、電極や電極ホルダー先端部の劣化が発生する。劣化した電極や電極ホルダーは交換するが、できる限り交換部品のコストを抑えること、及び交換しやすい形状とすることが必要である。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、電極を冷却する冷却水流路のない空冷式の溶接トーチであって、電極ホルダーの耐熱性が高く、交換しやすい形状であり、かつ、交換部品のコストを抑えることができる溶接トーチ及びその溶接トーチを備えた溶接装置並びに溶接方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の溶接トーチは、上記目的を達成するために、電極ホルダーと、該電極ホルダーに保持される電極とを備え、前記電極が前記電極ホルダーに傾斜して保持されている空冷式の溶接トーチであって、前記電極ホルダーの材質がタングステン合金であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の溶接装置は、上記目的を達成するために、電極ホルダー及び前記電極ホルダーに保持される電極を備え、前記電極が前記電極ホルダーに傾斜して保持された空冷式の溶接トーチと、該溶接トーチを保持するトーチホルダーと、前記溶接トーチの前記電極の周囲のガスを吹き出すノズルとを備えた溶接装置であって、前記溶接トーチは、上記構成の溶接トーチであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の溶接方法は、上記目的を達成するために、電極ホルダーと、該電極ホルダーに保持される電極とを備え、かつ、空冷式の溶接トーチを用いて溶接する際に、前記電極ホルダーに前記電極が傾斜して保持された状態で溶接すると共に、前記電極ホルダーを交換する毎に前記電極の傾斜角を変えた前記溶接トーチを用いて溶接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電極を冷却する冷却水流路のない空冷式の溶接トーチであって、電極ホルダーの耐熱性が高く、交換しやすい形状であり、かつ、交換部品のコストを抑えることのできる溶接トーチ及びその溶接トーチを備えた溶接装置並びに溶接方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1(a)】本発明の溶接トーチの実施例1であり、電極と電極ホルダーが分離されている状態を示す図である。
図1(b)】本発明の溶接トーチの実施例1であり、電極が電極ホルダーに保持されている状態を示す図である。
図2(a)】本発明の溶接トーチの実施例2であり、電極ホルダーのロッド部とヘッド部が分割され、電極と電極ホルダーが分離されている状態を示す図である。
図2(b)】本発明の溶接トーチの実施例2であり、電極ホルダーのロッド部とヘッド部が結合され、その電極ホルダーに電極が保持されている状態を示す図である。
図3(a)】本発明の溶接トーチの実施例3であり、電極ホルダーのロッド部とヘッド部及びライナー部が分割され、電極と電極ホルダーが分離されている状態を示す図である。
図3(b)】本発明の溶接トーチの実施例3であり、電極ホルダーのロッド部、ヘッド部、ライナー部が結合され、その電極ホルダーに電極が保持されている状態を示す図である。
図4(a)】本発明の実施例4としての溶接装置を示す図である。
図4(b)】図4(a)の溶接装置に採用される溶接トーチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の溶接トーチ及びその溶接トーチを備えた溶接装置並びに溶接方法を説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例0016】
図1(a)及び図1(b)に、本発明の溶接トーチの実施例1を示す。
【0017】
図1(a)は、本実施例の溶接トーチ1Aの電極3と電極ホルダー2が分離されている状態を示し、図1(b)は、本実施例の溶接トーチ1Aの電極3が電極ホルダー2に保持されている状態を示す。
【0018】
該図に示す本実施例の溶接トーチ1Aは、タングステン合金から成る一体物の電極ホルダー2と、この電極ホルダー2に保持される電極3とを備え、電極3が電極ホルダー2に傾斜して保持されている空冷式の溶接トーチであることを特徴とする。電極3の材質は、例えば、タングステンである。
【0019】
上記の電極3は、電極ホルダー2の下方に切られたねじ穴2aに挿入された炭素鋼から成る止めねじ4で固定され、止めねじ4は、電極ホルダー2の略横からねじ穴2aに挿入されて電極3を固定している。電極ホルダー2には、電極3を電極ホルダー2の下側から斜め上方に貫通するように取り付け可能な貫通孔5がある。そして、上記止めねじ4を緩めることで、電極3が電極ホルダー2から分離可能になっている。
【0020】
このような本実施例の構成によれば、電極3が電極ホルダー2に傾斜して保持されていることから、電極3が母材に対して傾斜して溶接できるため、溶接ビードと母材との境界に未溶着部分が発生することはない。
【0021】
また、電極3を電極ホルダー2の下側から斜め上方に貫通するように取り付けることで、電極3の長さを調整することができる。電極3の先端が消耗した際に、取付け長さを調整することで電極3を継続して利用できる時間が長くなる。この構成により、電極3の交換頻度が減少し、コストを抑制することが可能となる。
【0022】
また、電極ホルダー2はタングステン合金で形成されており、他の材質(例えば、クロム合金、炭素鋼、ベリリウム合金等)に比べて、長時間の溶接作業に使用することが可能である。
【実施例0023】
図2(a)及び図2(b)に、本発明の溶接トーチの実施例2を示す。
【0024】
図2(a)は、本実施例の溶接トーチ1Bの電極ホルダー2のロッド部2bとヘッド部2cが分割され、電極3と電極ホルダー2が分離されている状態を示し、図2(b)は、本実施例の溶接トーチ1Bの電極ホルダー2のロッド部2bとヘッド部2cが結合され、その電極ホルダー2に電極3が保持されている状態を示す。
【0025】
該図に示す本実施例の溶接トーチ1Bは、タングステン合金から成る電極ホルダー2と、この電極ホルダー2に保持される電極3とを備え、電極3が電極ホルダー2に傾斜して保持され、しかも、電極ホルダー2は、ロッド部2bと、電極3を保持するヘッド部2cとから成り、ロッド部2bとヘッド部2cは分割可能に接続されている空冷式の溶接トーチであることを特徴とする。
【0026】
上記の電極ホルダー2のロッド部2bとヘッド部2cは、一方(ロッド部2b又はヘッド部2c)に切られたねじ(図示せず)と、他方(ヘッド部2c又はロッド部2b)に切られたねじ穴(図示せず)とを係合することによるねじ止めで分割可能に接続されている。
【0027】
上記の電極3は、電極ホルダー2のヘッド部2cに切られたねじ穴2aに挿入された炭素鋼から成る止めねじ4で固定され、止めねじ4は、電極ホルダー2の略横からねじ穴2aに挿入されて電極3を固定している。ヘッド部2cには、電極3をヘッド部2cの下側から斜め上方に貫通するように取り付け可能な貫通孔5がある。そして、上記止めねじ4を緩めることで、電極3が電極ホルダー2から分離可能になっている。
【0028】
このような本実施例の構成によれば、実施例1と同様な効果が得られることは勿論、電極ホルダー2のヘッド部2cが劣化した場合には、電極ホルダー2のヘッド部2cだけを交換すれば良い。この構成により、電極ホルダー2の交換部品のコストを抑制することができる。
【実施例0029】
図3(a)及び図3(b)に、本発明の溶接トーチの実施例3を示す。
【0030】
図3(a)は、本実施例の溶接トーチ1Cの電極ホルダー2のロッド部2bとヘッド部2c及びライナー部2dが分割され、電極3と電極ホルダー2が分離されている状態を示し、図3(b)は、本実施例の溶接トーチ1Cの電極ホルダー2のロッド部2b、ヘッド部2c、ライナー部2dが結合され、その電極ホルダー2に電極3が保持されている状態を示す。
【0031】
該図に示す本実施例の溶接トーチ1Cは、タングステン合金から成る電極ホルダー2と、この電極ホルダー2に保持される電極3とを備え、電極3が電極ホルダー2に傾斜して保持され、しかも、電極ホルダー2は、ロッド部2bとヘッド部2c及びライナー部2dとから成り、ロッド部2bとヘッド部2cは、ライナー部2dを介して固定されている空冷式の溶接トーチであることを特徴とする。
【0032】
具体的には、ライナー部2dをヘッド部2cに挿入し、ロッド部2bをヘッド部2cにねじ込むことで押されたライナー部2dで電極3が固定されている。ヘッド部2cには、電極3をヘッド部2cの下側から斜め上方に貫通するように取り付け可能な貫通孔5がある。
【0033】
このような本実施例の構成によれば、実施例1と同様な効果が得られることは勿論、実施例1及び2では、止めねじ4を電極ホルダー2の略横からねじ穴2aに挿入して電極ホルダー2のヘッド部2cに電極3を固定していたが、本実施例の溶接トーチ1Cでは、止めねじ4を用いず、ライナー部2dをヘッド部2cに挿入し、ロッド部2bをヘッド部2cにねじ込むことで押されたライナー部2dで電極3を固定することができる。
【0034】
なお、ライナー部2dの材質は電極3と同一の素材でも異なる素材でも良く、耐熱性の高い素材、例えば、タングステン、セラミック等を用いることが好ましい。
【0035】
また、本実施例では、電極ホルダー2のロッド部2bとライナー部2dが分割された構造となっているが、ロッド部2bとライナー部2dが一体となった構造としても良い。この場合、ロッド部2bの先端部のみを耐熱性の高い素材とし、ロッド部2bの先端部の耐熱性の高い素材を介してヘッド部2cをロッド部2bに固定することができる。
【0036】
更に、実施例1及び2で用いた止めねじ4の材質は炭素鋼であり、溶接時に高熱になることによって止めねじ4に焼き付きが生じ、電極3を交換できないという懸念があるが、本実施例によれば、止めねじ4を用いることなく電極3を固定できるため、焼き付きが生じることがないので、溶接後も電極3を交換することが可能となる。
【0037】
なお、上記した各実施例で説明した溶接トーチ1A、1B又は1Cを用いて溶接する際、即ち、電極ホルダー2と、この電極ホルダー2に保持される電極3とを備え、かつ、空冷式の溶接トーチ1A、1B又は1Cを用いて溶接する際には、電極ホルダー2に電極3が傾斜して保持された状態で溶接すると共に、電極ホルダー2を交換する毎に電極2の傾斜角を変えた溶接トーチ1A、1B又は1Cを用いて溶接するようにしても良い。
【実施例0038】
図4(a)に、本発明の実施例4として実施例3で説明した溶接トーチ1Cを用いた溶接装置10を示し、図4(b)に、溶接トーチ1Cを示す。
【0039】
該図に示すように、本実施例の溶接装置10は、実施例3で説明したように、電極ホルダー2及びこの電極ホルダー2に保持される電極3を備え、かつ、空冷式の溶接トーチ1Cと、この溶接トーチ1Cを保持するトーチホルダー11と、溶接トーチ1Cの電極3の周囲のガスを吹き出すノズル12とを備えて概略構成されている。
【0040】
そして、本実施例の溶接装置10は、ノズル12の先端12aに切り欠き(U字状に形成された溝)12bを設け、この切り欠き12bに電極3を保持している電極ホルダー2の先端部(ヘッド部2c)が位置している。
【0041】
なお、切り欠き12bは、切り欠きのないノズル12を改造して形成することもできる。改造する場合は、切り欠き12bに電極ホルダー2の先端が設置できるように、切り欠き12bを形成する。
【0042】
本実施例では、溶接装置10に実施例3で説明した溶接トーチ1Cを用いた例について説明したが、溶接トーチ1Cに代えて実施例1で説明した溶接トーチ1A、実施例2で説明した溶接トーチ1Bを用いても良い。
【0043】
このような本実施例の構成よれば、電極3が電極ホルダー2に傾斜して保持されている溶接トーチ1Cを用いていることから、電極3が母材に対して傾斜しているため、溶接ビードと母材との境界に未溶着部分が発生することはない。
【0044】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換える事が可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加える事も可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をする事が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1A、1B、1C…溶接トーチ、2…電極ホルダー、2a…ねじ穴、2b…ロッド部、2c…ヘッド部、2d…ライナー部、3…電極、4…止めねじ、5…貫通孔、10…溶接装置、11…トーチホルダー、12…ノズル、12a…ノズルの先端、12b…切り欠き。
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】