(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181263
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】アスファルト舗装等の冷却方法及びそれを用いた路上表層再生方法
(51)【国際特許分類】
E01C 23/00 20060101AFI20221201BHJP
E01C 23/12 20060101ALI20221201BHJP
E01C 19/48 20060101ALI20221201BHJP
E01C 19/28 20060101ALI20221201BHJP
E01C 19/22 20060101ALI20221201BHJP
E01C 7/18 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
E01C23/00 A
E01C23/12
E01C19/48 A
E01C19/28
E01C19/22
E01C7/18
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088104
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】521002202
【氏名又は名称】吉谷土木株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148851
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 徳一
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 拓真
【テーマコード(参考)】
2D051
2D052
2D053
【Fターム(参考)】
2D051AG01
2D051AG03
2D051AG11
2D051AH02
2D052AA03
2D052BA08
2D052BB01
2D052BD00
2D053AA04
2D053AA13
2D053AA16
2D053AA24
2D053AB02
2D053AD01
2D053AD03
(57)【要約】
【課題】産業界の経済損失の軽減を基本概念に工事作業時間を短縮し、好ましくは産業廃棄物処理を抑制し、さらに好ましくはアスファルトの冷却新技術導入による新しい土木施工技術の試みを提供すること等を目的とする。
【解決手段】レーザ冷却車を利用した路面表層再生工法において、路面の表層材を加熱して軟化させてから路上表層再生車両へ回収して該車内で加熱しながら改質ポリマーを添加して攪拌する工程と、攪拌された表層材を再度路面に敷均する工程と、敷均された表層材をローラ転圧する工程と、転圧された表層材をレーザ冷却車で冷却する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起状態となった冷却対象物質の波長より少し長い波長の光を照射して吸収させることで原子の運動を基底状態とし極低温状態にするドップラー冷却作用を利用する冷却機器を備える
ことを特徴とするレーザ冷却車。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ冷却車において、
気体及び/またはアルカリ金属類にレーザ光を照射し冷却ホッパー内にて熱交換を行い間接的に路面の温度を低下させる
ことを特徴とするレーザ冷却車。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ冷却車において、
前記路面は、アスファルト舗装路面である
ことを特徴とするレーザ冷却車。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のレーザ冷却車において、
窒素に溶け込んだ酸素がγ線によりオゾンに変化し大気中の有機物と反応することで発火を伴う爆発を起こさないように、前記γ線の遮断材であるクロロプレーンゴムを備える
ことを特徴とするレーザ冷却車。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のレーザ冷却車を利用した路面表層再生工法において、
路面の表層材を加熱して軟化させてから路上表層再生車両へ回収して該車内で加熱しながら改質ポリマーを添加して攪拌する工程と、
攪拌された前記表層材を再度路面に敷均する工程と、
敷均された前記表層材をローラ転圧する工程と、
転圧された前記表層材をレーザ冷却車で冷却する工程と、を有する
ことを特徴とする路面表層再生工法。
【請求項6】
請求項5に記載の路面表層再生工法において、
前記表層材はアスファルトであって、
前記加熱しながら改質ポリマーを添加して攪拌するアスファルト温度は150~160℃であり、
前記ローラ転圧する時点におけるアスファルトの温度は110℃以上である
ことを特徴とする路面表層再生工法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の路面表層再生工法において、
前記レーザ冷却車で冷却した後の前記表層材の温度は、50℃以下である
ことを特徴とする路面表層再生工法。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の路面表層再生工法において、
前記レーザ冷却車は、前記表層材の上を車両走行させながら冷却する
ことを特徴とする路面表層再生工法。
【請求項9】
請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の路面表層再生工法において、
前記路上表層再生車両は、近赤外線加熱によって前記表層材を軟化させる
ことを特徴とする路面表層再生工法。
【請求項10】
請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載の路面表層再生工法において、
前記改質ポリマーは、ゴム系のスチレン・ブタジエン系ゴム(SBR)、天然ゴム(NR)と熱可逆性エラストマーのスチレン・ブタジエン・スチレンのブロック共重合体(SBS)とスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、熱可逆性樹脂エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、ポリエチレン(PE)のいずれか一つ以上である
ことを特徴とする路面表層再生工法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のレーザ冷却車を利用した路面表層再生システムにおいて、
路面の表層材を加熱して軟化させてから回収して該回収車内で加熱しながら改質ポリマーを添加して攪拌する路上表層再生車両と、
攪拌された前記表層材を再度路面に敷均するアスファルトフィニッシャーと、
敷均された前記表層材をローラ転圧するローラ転圧用車両と、
転圧された前記表層材を冷却するレーザ冷却車と、を備える
ことを特徴とする路面表層再生システム。
【請求項12】
請求項11に記載の路面表層再生システムにおいて、
前記表層材はアスファルトであって、
前記加熱しながら改質ポリマーを添加して攪拌するアスファルト温度は150~160℃であり、
前記ローラ転圧する時点におけるアスファルトの温度は110℃以上である
ことを特徴とする路面表層再生システム。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の路面表層再生システムにおいて、
前記レーザ冷却車で冷却した後の前記表層材の温度は、50℃以下である
ことを特徴とする路面表層再生システム。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の路面表層再生システムにおいて、
前記レーザ冷却車は、前記表層材の上を車両走行させながら冷却する
ことを特徴とする路面表層再生システム。
【請求項15】
請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の路面表層再生システムにおいて、
前記路上表層再生車両は、近赤外線加熱によって前記表層材を軟化させる
ことを特徴とする路面表層再生システム。
【請求項16】
請求項11乃至請求項15のいずれか一項に記載の路面表層再生システムにおいて、
前記改質ポリマーは、ゴム系のスチレン・ブタジエン系ゴム(SBR)、天然ゴム(NR)と熱可逆性エラストマーのスチレン・ブタジエン・スチレンのブロック共重合体(SBS)とスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、熱可逆性樹脂エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、ポリエチレン(PE)のいずれか一つ以上である
ことを特徴とする路面表層再生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト舗装等の冷却方法及びそれを用いた路上表層再生方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車を含め産業車両が行きかうアスファルト道路は、所轄管理部署が定期的に点検し、傷んだり経年劣化したアスファルトについては修繕工事を行うものである。近年ではインターネットショッピング等の増加により、物流の為の大型貨物が増大している事から耐用年数のサイクルが早まってきている為に道路修繕工事箇所数が増えてしまい、その為工事に伴う規制が交通渋滞を招来する一因となっている。工事渋滞は近隣道路を使用する産業用貨物などの配達遅延など経済活動を停滞させ、国全体としても少なからず経済損失へ繋がる
【0003】
また、現状では、道路アスファルトの維持工事は傷んだ舗装を剥すかもしくは表層を削り取って古いアスファルトを10tダンプカー等に積込んで処理場へ運搬し処理するものである。また、道路アスファルトを剥がした後に施工準備を整え、工場やプラントから10tダンプカー等に運搬させて新たなアスファルトを工事現場に搬入してから、新しくアスファルトを敷均して転圧作業を行う。アスファルトの温度は搬入時160℃前後、敷均し転圧は110℃以上で作業を行い、その後、道路すなわちアスファルト表層温度が、50℃まで温度が低下した事を確認した後に交通規制を解除し、車両の通行を再開する。このようなアスファルトの冷却については、水の散水若しくは放置時間を設けたり風による自然冷却処理等を行っているが、この冷却時間の存在によって、車両通行再開時間が変動することとなるので、車両の通行再開時期に影響を与えている。
【0004】
従来用いられている工事方法は例えば、アスファルト道路の路面が摩耗や損傷・経年劣化した場合に、既設アスファルト舗装体表基層部を路面切削機で全幅に亘って切削して除去し、その後に新規アスファルト混合物を全幅に亘って敷き均して締め固めることにより表層を新たに構築する切削オーバーレイ工法が知られている。この補修工法は既設アスファルト舗装体表基層部を路面切削機で全幅に亘って切削して除去し、その後に新規アスファルト混合物を全幅に亘って敷き均して締め固めることにより表層を新たに構築するものであることが、例えば下記特許文献1に記載されている。
【0005】
また、切削オーバーレイ工法の欠点を補うとともに、例えばアスファルト混合物からなる既設舗装体表層部を再利用するために、リミックス方式とリペーブ方式との路上表層再生工法が採用されている。リミックス方式は、路上でアスファルト混合物からなる既設舗装体表層部を加熱ヒータで温め、その後リミキサで掻きほぐしてから路面の中央部分に集積し、これに新規アスファルト混合物を投入混合した後に、路面全面に敷き均して締め固める。また、リペーブ方式は、アスファルト混合物からなる既設舗装体表層部を加熱ヒータで温め、その後リペーバで掻きほぐした後に路面全面に敷き均し、その上に新規アスファルト混合物を投入して路面全面に敷き均して締め固める。これにより、劣化して粘性が低下し固くなっている既設舗装体表層部を、再生用添加剤を添加混合して粘性を回復させることができる。このような工法についても下記特許文献1に説明されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、小さな電力で、効率よくアスファルト層を加熱して無騒音で、再利用できるようにアスファルト層を剥離する方法を提供することを目的とし、アスファルト路面にマイクロ波を照射して、アスファルト層を100℃~150℃程度に昇温軟化させつつ進行し、後続の押し切り刃でアスファルト層を切断剥離する方法において、マイクロ波の浸透深さをアスファルト層の厚さに対応するように設定し、また、マイクロ波照射器を進行方向に直交する方向に相互間隔をおいて複数配置することにより、所定幅のアスファルト路面を複数条に分けて軟化させ、押し切り刃で所定幅のアスファルト層を同時に剥離する方法を採用することにより、比較的小さな消費電力で効率的にアスファルト層を加熱、軟化することができ、無騒音、無公害でアスファルト層の剥離ができ、剥離した材料を再利用することもできることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-124549号公報
【特許文献2】特開2000-303408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような従来のアスファルトの補修工事方法等では、産業廃棄物処理が発生することとなるので、廃棄物の運搬作業にも多大な作業時間を費やしてしまうし、新規に搬入するアスファルトの作業前の温度低下による品質と強度不良等の懸念が存在するし、アスファルトの温度が50℃以下になる時間が気候や四季・場所によってまちまちな為、幹線道路の様な交通量の多い道路では通行再開による渋滞緩和時間が見込みが立ちにくく、またそのための予測交通情報も発信が難しい等々の問題点がある。
【0009】
本発明は、上述のような問題点を解決することを目的とし、産業界の経済損失の軽減を基本概念に工事作業時間を短縮し、好ましくは産業廃棄物処理を抑制し、さらに好ましくはアスファルト等の冷却新技術導入による新しい土木施工技術の試みを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
アスファルト路面の補修工事等から発生するアスファルト廃材の積込・運搬とその産業廃棄物としての産廃処理は、路上表層再生機を使用する事でほぼゼロにできる。また、新たにアスファルトを購入する必要も無い。また好ましくは、路上再生機に近赤外線による再加熱機能を追加で設けて改質ポリマーを添加しアスファルトを工事現場にて再生することで、アスファルト温度の管理が安定し、改質アスファルトの高温度による劣化、低温度による施工不良を減少させることが可能となる。さらに、量子力学による物質の原子に共鳴光を照射し連続的に吸収させ、光子の運動量と交換し原子の運動を止める事で物質が冷却できるドップラー冷却原理及び運動量保存則(いわゆる光の圧力)を利用した冷却装置を搭載した車両から出るレーザ光線をアスファルト舗装面に直接照射もしくは金属や気体を媒体としてアスファルト舗装面を間接的に熱交換する事で、早期にアスファルト舗装の温度を低下させることが可能となる。
【0011】
また、本発明のレーザ冷却車は、励起状態となった冷却対象物質の波長より少し長い波長の光を照射して吸収させることで原子の運動を基底状態とし極低温状態にするドップラー冷却作用を利用する冷却機器を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のレーザ冷却車は、好ましくは気体及び/またはアルカリ金属類にレーザ光を照射し冷却ホッパー内にて熱交換を行い間接的に路面の温度を低下させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のレーザ冷却車は、さらに好ましくは前記路面が、アスファルト舗装路面であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のレーザ冷却車は、さらに好ましくは窒素に溶け込んだ酸素がγ線によりオゾンに変化し大気中の有機物と反応することで発火を伴う爆発を起こさないように、前記γ線の遮断材であるクロロプレーンゴムを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、産業界の経済損失の軽減を基本概念に工事作業時間を短縮し、好ましくは産業廃棄物処理を抑制し、さらに好ましくはアスファルト等の冷却新技術導入による新しい土木施工技術の試みを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】本発明の路上表層再生工法の典型例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態で説明する本態様では、路上表層再生機に実装されるマイクロ波発生装置を利用し、既設道路のアスファルトを軟化して回収する。公知の技術では、回収したアスファルトにコールタール等を混合し、その温度をガスバーナー等で加熱補正して管理しているが、本発明では回収したアスファルトにポリマー改質材を混合して近赤外線により所定の温度に補正管理を行うものとするので、ガスバーナーのためのプロパンガス等の可燃燃料を必要としない。
【0018】
また、再生されたアスファルトは、後続のアスファルトフィニッシャーに供給され、アスファルトフィニッシャーにより敷均された再生アスファルトは、人力及びコンバインドローラ等により転圧される。この時のアスファルトの作業温度は110℃以上であり、作業終了後にはアスファルト表層の温度が50℃以下に低下させる事で、道路の通行規制を解除して車両の通行を早期再開させることができる。
【0019】
現状の公知のアスファルト冷却方法では、水による冷却もしくは気候に大きく左右される自然冷気であることから、真夏の炎天下では冷却に時間がかかる場合もあり、長時間経過しても十分な冷却が出来ない事も懸念される。
【0020】
しかし、本発明ではレーザ冷却装置搭載の冷却車を使用してアスファルト表層温度を規格の50℃以下まで短時間で冷却し、早期での車両通行規制の解除をすることができるよう改良する。その結果、工事施工作業時間が短縮して1日当たりの工事延長や工事可能量が拡大することで、工事日数の短縮も可能となり、その結果、経済損出を軽減できる。
【0021】
<改質ポリマー>
回収したアスファルトに添加するポリマーは、ゴム系のスチレン・ブタジエン系ゴム(SBR)、天然ゴム(NR)と熱可逆性エラストマーのスチレン・ブタジエン・スチレンのブロック共重合体(SBS)とスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、熱可逆性樹脂エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、ポリエチレン(PE)等の改質材がある。
【0022】
ストレートアスファルトに混合させるとアスファルトがゴム弾性を持ち一般的に改質材の添加量が増加するにつれて軟化点と粘度が上昇する。ストレートアスファルトの軟化点42℃~50℃に対して改質されたアスファルト50℃以上~80℃となり、摩耗抵抗性の改善に繋がるので道路の耐久性が向上する。
【0023】
1.ポリマー改質アスファルトの混合物製造について
a.プレミックスタイプ
ストレートアスファルトに改質材に溶解混合されたポリマー改質アスファルト
b.プラントミックスタイプ
アスファルト混合物の製造プラント等にて混合ミキサーに直接改質材を投入するポリマー改質アスファルト
【0024】
<近赤外線>
電源投入時の突入電力が大きいが、ヒーター素子にタングステンを使用し電源投入時より約1秒で発熱が可能であり発熱温度は2000℃~3000℃であり、黒色に近い部分に熱が集まる傾向がある。
【0025】
また、電気から熱に変化するエネルギー変換効率が90%でエネルギー損失が少なく高効率で、短時間での局所加熱に適している。人体への熱吸収率は約30%~40%であるので遠赤外線(遠赤外線約60%~70%)と比較すると近赤外線のほうが低い。
【0026】
アスファルトの表面温度が200℃以上になると劣化して再利用する事が困難となるが、本発明では近赤外線を用いて適正温度に加熱後に改めてポリマー改質材を添加する為、温度による劣化が無く再生できるものとなる。
【0027】
<レーザ冷却>
レーザ冷却は励起状態となった冷却対象物質(気体原子、個体原子)の波長より少し長い波長の光を照射し吸収させることで原子の運動を基底状態とし極低温状態にする技術であるが、既に公知の技術思想であることからここでは簡単な説明を以下にするにとどめる。レーザ冷却では、直径1cmほどの空間で10億個ほどの原子集団を0.0001K程度まで低下すること可能である。例えば、地球上に存在する大気のおおよそ8割が窒素分子で構成されている。室温は絶対温度(ケルビン)で300Kとなるが、この時の窒素N2粒子の速度は秒速279m/Sとなり、N2窒素粒子を0.000001Kにすると粒子の速度は1.7m/Sとなる。
【0028】
注意点として、窒素に溶け込んだ酸素がγ線によりオゾンに変化し大気中の有機物と反応することで発火を伴う爆発を起こす可能性があるので、大気を冷却する際にγ線などの遮断対策として遮断材であるクロロプレーンゴムを使用して発火対策をする。
【0029】
【0030】
図2に示す本発明のレーザ冷却車による路面冷却では、気体及び/またはアルカリ金属類にレーザ光を照射し冷却ホッパー内にて熱交換を行い間接的にアスファルト舗装の温度を低下させるものである。典型的には用途として、アスファルトの路上表層再生工法時もしくは新設アスファルトの施工時のアスファルト舗装の供用開始規定温度(50℃)以下に冷却する場合等に使用可能である。また、夜間のアスファルト温度が予期せずに60℃以上に達する事で発生するヒートアイランド現象を緩和することも可能である。
【0031】
上述した実施態様におけるアスファルトの冷却方法等を舗装修繕工事等の工事現場で採用することによって、アスファルト廃材等の積込運搬に使用する車両が最少限となり、さらに、産業廃棄物運搬処理不要となり、また、新たなアスファルトの購入の必要が無くなる等アスファルト道路の維持管理費用のコストを大きく低下させることが期待できる。
【0032】
また、近赤外線を使用し短時間でアスファルトの再生と改質ポリマーの添加攪拌を行う事が現場で可能となる為、安定した温度と品質のプライマー改質アスファルトを供給することができる。
【0033】
さらに、舗装作業が終了して後に極めて短時間の経過のみで、すなわち長時間の舗装面冷却時間を待機することなく、車両の通行が可能となる事から、産業界の経済損失の軽減が可能となる。また、アスファルトを典型例とする種々の道路路面温度が早期に低下できる事から、ヒートアイランド現象となる道路の余熱を緩和させるべく、そのような道路冷却処置方法としても適用展開が期待ができる。
【0034】
図3は、本発明の路上表層再生工法の典型例を説明する図である。
図3に示すように、本発明の路上表層再生工法では、まず
図1にも示す路上表層再生機(路上表層再生車両)を用いてマイクロ波で補修対象アスファルトを加熱して路上表層再生車両へと回収する。路上表層再生機(路上表層再生車両)それ自体は公知の既に広く利用されているのでその構成・構造や機能等の詳述はここでは省略する。
【0035】
傷んだ舗装道路の表面にマイクロ波を照射して100~150℃に加熱されて柔らかくした状態において、アスファルト層が切断・剥離されて路上表層再生機車両へと回収される。回収されたアスファルトは近赤外線加熱により200℃以下で温度管理された状態において、改質ポリマーを添加されて攪拌され、再利用アスファルトとなる。
【0036】
次に、アスファルトフィニッシャーで再利用アスファルトが再度路面へと放出・敷均される。そして温度が低下しきる前に、ローラ転圧用車両(コンバインドローラ等)にて表面温度が約110℃以上の状態で転圧処理される。
【0037】
次に、本発明のレーザ冷却車を用いてアスファルトの温度が約50℃以下に低減されるまで冷却する。この場合に、レーザ冷却車はゆっくりと走行しながら広範囲な路面であっても冷却処理することが可能である。順次にこれにより、再利用アスファルトを敷設後の路面温度の低減が極めて迅速に遂行されるものとなり、一般車両への通行再開までの待機時間を低減できるものとなる。
【0038】
本実施形態で説明した上述の態様はあくまで説明の便宜上例示した具体例に過ぎず、記載内容に限定されることなく当業者に自明な範囲で、かつ本発明の技術思想の射程の範囲内で、適宜 構成・素材や原材料・工程・方法・構造・作業手順等を変更しアレンジし、また追加し・削除し・修正することが可能である。また、上述の説明における実施形態の各要素技術について、互いに適宜組み合わせ適用して技術や要素を混合乃至ミックスしてシステム構築等することができる。また、上記した舗装道路面のアスファルト素材は例示に過ぎず、コンクリートやその他の任意の素材・材料であっても適用可能であることは当業者には自明である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、アスファルト舗装等の冷却方法及びそれを用いた路上表層再生方法に適用可能である。