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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181276
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】寝具乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/38 20200101AFI20221201BHJP
   F26B 3/06 20060101ALI20221201BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20221201BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20221201BHJP
   D06F 58/00 20200101ALI20221201BHJP
   D06F 58/10 20060101ALI20221201BHJP
   D06F 103/32 20200101ALN20221201BHJP
   D06F 105/24 20200101ALN20221201BHJP
   D06F 103/36 20200101ALN20221201BHJP
   D06F 105/62 20200101ALN20221201BHJP
【FI】
D06F58/38
F26B3/06
F26B25/00 A
F26B9/06 P
D06F58/00 Z
D06F58/10 Z
D06F103:32
D06F105:24
D06F103:36
D06F105:62
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088135
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 太一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正宏
【テーマコード(参考)】
3B167
3B168
3L113
【Fターム(参考)】
3B167AB24
3B167AB29
3B167AC14
3B167AD02
3B167AE01
3B167AE04
3B167AE07
3B167AE12
3B167BA55
3B167JA41
3B167KA32
3B167KA43
3B167KA52
3B167LA24
3B167LA38
3B167LA39
3B167LC14
3B167LC20
3B167LD12
3B167LG02
3B168AB24
3B168AB29
3B168AC14
3B168AD02
3B168AE01
3B168AE04
3B168AE07
3B168AE12
3B168BA55
3B168JM01
3B168JM02
3B168JM03
3L113AA01
3L113AB03
3L113AC04
3L113AC67
3L113AC76
3L113BA11
3L113CA08
3L113CB24
3L113DA02
(57)【要約】
【課題】寝具の乾燥効率の向上を図れる寝具乾燥装置を提供する。
【解決手段】寝具乾燥装置1は、装置本体2と、台車3と、流入温度検出部33と、制御部35とを含む。装置本体2は、乾燥室2Bと、乾燥室2Bに送風する送風部14と、送風部14が発生する風を加熱する加熱部15とを有する。台車3は、寝具Pが載せられて通気穴22Aが形成された表面部22Cと、乾燥室2Bに流入して通気穴22Aを通過した風の通り道となる内部空間22Bとが設けられたセット部22を有する。流入温度検出部33は、乾燥室2Bへ向かう空気の温度、又は、乾燥室2B内の温度を、流入温度として検出する。制御部35は、送風部14及び加熱部15を作動させて温風を乾燥室2B内の寝具Pに浴びせる乾燥運転を実行する。制御部35は、乾燥運転中において、流入温度検出部33の検出結果に応じて送風部14を制御することによって風の勢いを調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室と、前記乾燥室に送風する送風部と、前記送風部が発生する風を加熱して温風にする加熱部と、を有する装置本体と、
寝具が山折り状態で載せられて通気穴が形成された表面部と、前記乾燥室に流入して前記通気穴を通過した風の通り道となる中空部分とが設けられたセット部を有し、前記乾燥室に対して引き出し可能に収納される台車と、
前記乾燥室へ向かう空気の温度、又は、前記乾燥室内の温度を、流入温度として検出する流入温度検出部と、
前記送風部及び前記加熱部を作動させて温風を前記乾燥室内の寝具に浴びせる乾燥運転を実行する制御部であって、前記乾燥運転中において、前記流入温度検出部の検出結果に応じて前記送風部を制御することによって風の勢いを調整する制御部と、を含む、寝具乾燥装置。
【請求項2】
前記流入温度又は前記流入温度の上昇度合いが第1閾値以上になると、前記制御部は、風の勢いが強まるように前記送風部を制御する、請求項1に記載の寝具乾燥装置。
【請求項3】
前記中空部分を通過して前記乾燥室から流出した空気の温度を流出温度として検出する流出温度検出部をさらに含み、
前記乾燥運転中において、前記制御部は、前記流出温度検出部の検出結果に応じて前記送風部を制御することによって風の勢いを調整する、請求項2に記載の寝具乾燥装置。
【請求項4】
前記流出温度又は前記流出温度の下降度合いが第2閾値以下になると、前記制御部は、風の勢いが弱まるように前記送風部を制御する、請求項3に記載の寝具乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、布団などの寝具を乾燥させる寝具乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の寝具類乾燥機は、内部に乾燥室が形成された筐体と、乾燥室に対して引き出し可能に収納されて寝具が載置される載置部材とを含む。筐体の上部には、ヒータ及びファンが設けられる。載置部材は、複数の透孔を有する逆U字状である。寝具類乾燥機の乾燥運転がスタートすると、ヒータ及びファンが作動する。これにより、外気が、ヒータの後方の外気吸込口から取り入れられた後に加熱されて温風となり、乾燥室に流入する。温風は、乾燥室内で載置部材に載置された寝具の内部と載置部材の透孔とを順に通過して載置部材の内部空間に流入した後に、乾燥室の側壁下部の吸引口から排気ダクトに至り、機外に排出される。温風が寝具の内部を通過することによって、寝具の乾燥が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-157795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
厚みや湿気があることによって風通し、つまり通気性の悪い寝具を乾燥させる場合には、特許文献1の寝具類乾燥機では、透孔を塞いだ寝具が大きな抵抗となることによって、乾燥室に流入された温風が寝具の内部を通過して透孔から載置部材の内部空間に流入することが妨げられるおそれがある。このように温風の風量が低下すると、寝具の乾燥効率の向上が困難になる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、寝具の乾燥効率の向上を図れる寝具乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乾燥室と、前記乾燥室に送風する送風部と、前記送風部が発生する風を加熱して温風にする加熱部と、を有する装置本体と、寝具が山折り状態で載せられて通気穴が形成された表面部と、前記乾燥室に流入して前記通気穴を通過した風の通り道となる中空部分とが設けられたセット部を有し、前記乾燥室に対して引き出し可能に収納される台車と、前記乾燥室へ向かう空気の温度、又は、前記乾燥室内の温度を、流入温度として検出する流入温度検出部と、前記送風部及び前記加熱部を作動させて温風を前記乾燥室内の寝具に浴びせる乾燥運転を実行する制御部であって、前記乾燥運転中において、前記流入温度検出部の検出結果に応じて前記送風部を制御することによって風の勢いを調整する制御部と、を含む、寝具乾燥装置である。
【0007】
また、本発明は、前記流入温度又は前記流入温度の上昇度合いが第1閾値以上になると、前記制御部が、風の勢いが強まるように前記送風部を制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記寝具乾燥装置が、前記中空部分を通過して前記乾燥室から流出した空気の温度を流出温度として検出する流出温度検出部をさらに含み、前記乾燥運転中において、前記制御部が、前記流出温度検出部の検出結果に応じて前記送風部を制御することによって風の勢いを調整することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記流出温度又は前記流出温度の下降度合いが第2閾値以下になると、前記制御部が、風の勢いが弱まるように前記送風部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、寝具乾燥装置では、山折り状態の寝具がセット部の表面部に載せられた台車が装置本体の乾燥室に収納された状態で乾燥運転が始まると、制御部が、送風部及び加熱部を作動させる。これにより、乾燥室に流入した温風が表面部の通気穴からセット部の中空部分を流れる際に寝具の内部を通過するので、寝具を乾燥させることができる。乾燥運転中の制御部は、流入温度検出部が検出する流入温度、つまり、乾燥室へ向かう空気の温度又は乾燥室内の温度に応じて送風部を制御することによって風の勢いを調整する。流入温度は、セット部の通気穴を通過する前の温風の温度であって、寝具の風通しに応じて変化する。そのため、寝具の風通しが悪いと、流入温度が上昇する。乾燥運転では、流入温度に応じて最適な勢いに調整された温風が、乾燥室内の寝具に浴びせられるので、この温風は、風通しが悪い寝具であっても、寝具の内部を円滑に通過することができる。そのため、寝具乾燥装置では、寝具の乾燥効率の向上を図れる。
【0011】
また、本発明によれば、寝具の風通しが悪いことによって、流入温度又は流入温度の上昇度合いが第1閾値以上になると、制御部は、風の勢いが強まるように送風部を制御する。これにより、勢いの強い温風が乾燥室内の寝具に浴びせられるので、この温風は、風通しが悪い寝具の内部を円滑に通過することができる。そのため、寝具乾燥装置では、寝具の乾燥効率の向上を図れる。
【0012】
また、本発明によれば、乾燥運転中の制御部は、流出温度検出部が検出する流出温度、つまり、セット部に載せられた寝具の内部及びセット部の中空部分を通過して乾燥室から流出した空気の温度に応じて送風部を制御することによって風の勢いを調整する。流出温度は、寝具の風通しに応じて変化する。そのため、寝具の風通しが良いと、乾燥室から勢いよく空気が流出することによって、流出温度が低下する。乾燥運転では、流出温度に応じて最適な勢いに調整された温風が、乾燥室内の寝具に浴びせられので、寝具乾燥装置では、寝具の乾燥効率の向上を図れる。
【0013】
また、本発明によれば、寝具の風通しが良いことによって、流出温度又は流出温度の下降度合いが第2閾値以下になると、制御部は、風の勢いが弱まるように送風部を制御する。これにより、勢いが弱いために加熱部をゆっくり通過して一層高温になった温風が乾燥室内の寝具に浴びせられるので、寝具乾燥装置では、寝具の乾燥効率の一層の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の一実施形態に係る寝具乾燥装置の模式的な縦断面右側面図である。
図2】寝具乾燥装置の模式的な縦断面正面図である。
図3】台車が引き出された状態にある寝具乾燥装置の斜視図である。
図4】台車の収納が完了した状態にある寝具乾燥装置の斜視図である。
図5】寝具乾燥装置において実行される乾燥運転を示すフローチャートである。
図6】乾燥運転における流入温度の経時変化を示すグラフである。
図7】乾燥運転における流出温度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る寝具乾燥装置1の模式的な縦断面右側面図である。図1において紙面に直交する方向を寝具乾燥装置1の左右方向Xといい、図1における左右方向を寝具乾燥装置1の前後方向Yといい、図1における上下方向を寝具乾燥装置1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図1の紙面の奥側を左側X1といい、図1の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。左右方向X及び前後方向Yは、横方向の一例である。横方向は、水平方向又は水平方向に対して若干傾斜する略水平方向である。上下方向Zは、縦方向である。縦方向は、垂直方向又は垂直方向に対して若干傾斜する略垂直方向である。
【0016】
本実施形態の寝具乾燥装置1は、業務用であり、コインランドリなどに設置される。寝具乾燥装置1は、その筐体をなす装置本体2と、装置本体2内に配置されて布団やマットレスなどの寝具Pが載せられる台車3とを含む。装置本体2は、左右方向Xに扁平で縦長のボックス状である。装置本体2は、左右一対の側壁4と、底壁5と、天壁6と、後壁7と、前壁8と、扉9とを有する。左右一対の側壁4は、それぞれが縦に延びる板であって、平行に配置される。底壁5は、水平に延びる板であって、一対の側壁4の下端間に架設される。天壁6は、水平に延びる中空体であって、一対の側壁4の上端間に架設される。後壁7は、縦に延びる中空体であって、一対の側壁4の後端間に架設され、底壁5及び天壁6の後端間にも架設される。前壁8は、左右方向Xに長手で縦に延びる中空体であって、一対の側壁4の上端部の前端間に架設され、天壁6の前端に接続される。
【0017】
装置本体2の正面部である前面部には、一対の側壁4の前端と底壁5の前端と前壁8の下端とによって縁取られた縦長の出入口2Aが形成される。扉9は、出入口2Aとほぼ同じ大きさを有する縦長の板であり、ヒンジ10(図4参照)を介して、一方の側壁4、例えば右側X2の側壁4に連結される。扉9は、出入口2Aを閉じた閉位置(図1及び図4参照)と、出入口2Aを開いた開位置(図3参照)との間で、ヒンジ10を中心として回動可能である。閉位置にある扉9の前面部には、扉9の開閉のために使用者によって把持される取っ手11が設けられる。装置本体2の内部には、一対の側壁4と、底壁5と、天壁6と、後壁7と、前壁8と、閉位置の扉9とによって囲まれた乾燥室2Bが設けられる。乾燥室2Bは、装置本体2の体積の大部分を占めるボックス状の空間である。扉9が開位置にある状態では、乾燥室2Bが出入口2Aから前側Y1へ露出される。乾燥室2Bが機外から視認できるように、扉9の少なくとも一部がガラスなどによって透明又は半透明に構成されてもよい。
【0018】
天壁6の後面部には、機外つまり装置本体2の外に臨む吸気口6Aが設けられ、天壁6の下面部には、乾燥室2Bに臨む入口6Bが設けられ、天壁6の上面部には、機外に臨む排気口6Cが設けられる。後壁7の前面部の下部には、乾燥室2Bに臨む出口7Aが設けられる。装置本体2は、天壁6内において吸気口6Aから前側Y1へ延びた後に下側Z2へ折れ曲がって入口6Bにつながった吸気路12と、後壁7内において出口7Aから上側Z1へ延びた後に天壁6内において前側Y1や上側Z1へ延びて排気口6Cにつながった排気路13とを含む。なお、図1では、排気路13の途中が吸気路12によって遮断されたように見えるが、実際には、排気路13は、途中で遮断されることなく、出口7Aから排気口6Cまで延びる。
【0019】
装置本体2は、排気路13に配置されたファンなどによって構成された送風部14と、吸気路12に配置されたバーナなどによって構成された加熱部15とを有する。ファンが回転することによって送風部14が作動すると、乾燥室2B、吸気路12及び排気路13が負圧状態になる。これにより、外気が、黒抜きの矢印で示すように、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれて入口6Bから乾燥室2Bに流入し、その後、出口7Aから排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。このように送風部14が作動して乾燥室2Bに送風した状態で加熱部15が作動すると、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれた外気、つまり送風部14が発生する風が加熱部15によって加熱されて温風になり、乾燥室2Bに供給された後に、排気路13を流れて排気口6Cから機外に排出される。
【0020】
台車3は、乾燥室2Bに収納される。台車3は、ベース部21と、ベース部21上に設けられて寝具Pが載せられるセット部22とを有する。ベース部21は、上下方向Zに扁平なボックス状であり、前後方向Yにおいて乾燥室2Bとほぼ同じ寸法を有する。ベース部21は、左右一対の側壁23と、一対の側壁23の前端間に架設された前壁24と、一対の側壁23の後端間に架設された後壁25とを有する。ベース部21は、一対の側壁23の下端間に架設されて前壁24及び後壁25の下端間にも架設された下壁26と、一対の側壁23の上端間に架設されて前壁24及び後壁25の上端間にも架設された上壁27とを有する。
【0021】
側壁23、前壁24及び後壁25のそれぞれは、縦に延びる矩形の板であり、下壁26及び上壁27のそれぞれは、水平に延びる矩形の板である。ベース部21は、一対の側壁23と、前壁24と、後壁25と、下壁26と、上壁27とによって囲まれた内部空間21Aを有する。後壁25には、内部空間21Aにつながった取出口25Aが設けられる。下壁39の下面部の四隅には、車輪28が設けられる。上壁27には、内部空間21Aにつながった取込口27Aが設けられる。
【0022】
寝具乾燥装置1の模式的な縦断面正面図である図2も参照して、セット部22は、ベース部21の上壁27から上側Z1へ突出した山型の全体形状を有する。セット部22は、前後方向Yにおいて、ベース部21より若干小さいものの、乾燥室2Bとほぼ同じ寸法を有する。セット部22は、本実施形態では1つだけ設けられるが、複数設けられてベース部21上で左右方向Xに並んで配置されてもよい。セット部22は、寝具Pが実際に載せられる本体部29と、前後方向Yにおける本体部29の両側に配置された前後一対の端壁部30とを有する。本体部29は、正面視において上下が逆になった逆U字状又は逆V字状の断面を有する。前側Y1の端壁部30の前面部の上部には、取っ手31が設けられる(図3参照)。
【0023】
セット部22は、本体部29の外面部に設けられた多数の通気穴22Aを有する。通気穴22Aは、本体部29の全域に分布する。各端壁部30は、上側Z1へ突出した山型をなす板であり、前後一対の端壁部30は、本体部29の前端縁及び後端縁をそれぞれ縁取るように本体部29に固定される。セット部22は、ベース部21の上壁27と、本体部29と、前後一対の端壁部30とによって囲まれた山型の内部空間22Bを有する。各通気穴22Aと、上壁27の取込口27Aとは、内部空間22Bに連通した状態にある。
【0024】
通気穴22Aが設けられた本体部29の外面部は、セット部22の表面部22Cである。表面部22Cは、上側Z1へ膨出する半円弧状の頂上領域22CAと、頂上領域22CAの左下端から上壁27まで左下側へ延びる左領域22CBと、頂上領域22CAの右下端から上壁27まで右下側へ延びる右領域22CCとを有する。左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれは、本実施形態では平坦な傾斜面であるが、少なくとも一部が湾曲面であってもよい。通気穴22Aは、左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれの全域に分布する。
【0025】
このような台車3は、図3に示すように、扉9が開位置にある状態において、装置本体2の乾燥室2Bから前側Y1へ引き出し可能である。使用者は、台車3の引き出しや収納の際には、取っ手31を把持する。使用者は、二つ折りにした寝具Pを、引き出した台車3のセット部22にセットする。すると、寝具Pは、セット部22の本体部29に沿って山折りになった状態でセット部22の表面部22Cに載せられて、本体部29の通気穴22Aを塞ぐ。そして、使用者が台車3を装置本体2の出入口2Aから乾燥室2Bに押し込んで収納すると、収納状態の台車3は、装置本体2の底壁5上に配置される。
【0026】
底壁5の上面部には、台車3における左右の車輪28をそれぞれ受け入れる左右一対のガイドレール32が設けられる(図2参照)。各車輪28がガイドレール32に受け入れられることによって、台車3は、乾燥室2B内で左右方向Xにおいて位置決めされる。図4に示すように、使用者が扉9を閉位置まで閉じると、乾燥室2B内の台車3では、ベース部21が装置本体2の後壁7と扉9との間で挟まれるので、図1に示すように、台車3が前後方向Yにおいて位置決めされる。寝具Pがセット部22に載せられた台車3では、前述したように寝具Pが本体部29の通気穴22Aを塞いだ状態にあり、ベース部21の後壁25の取出口25Aが装置本体2の後壁7の出口7Aにつながった状態にある。
【0027】
寝具乾燥装置1は、流入温度検出部33と、流出温度検出部34と、制御部35と、風量検出部36とをさらに含む。
【0028】
流入温度検出部33及び流出温度検出部34として、公知の温度センサや、サーモスタットなどのスイッチを採用できる。流入温度検出部33は、その一例である流入温度検出部33Aとして、吸気路12における加熱部15と入口6Bとの間に配置される。この場合の流入温度検出部33Aは、吸気路12内において乾燥室2Bへ向かう空気の温度を流入温度として検出する。流入温度検出部33は、別の例である流入温度検出部33Bとして、乾燥室2B内において、例えば天壁6の下面部に配置される。この場合の流入温度検出部33Bは、乾燥室2B内の温度を流入温度として検出する。流入温度検出部33A及び流入温度検出部33Bの一方だけでなく、両方が設けられてもよい。流出温度検出部34は、排気路13において、例えば送風部14よりも乾燥室2B側の上流領域13Aに配置される。流出温度検出部34は、乾燥室2Bから流出して排気路13を流れる空気の温度を流出温度として検出する。
【0029】
制御部35は、マイコンなどによって構成され、装置本体2に内蔵される。制御部35には、送風部14及び加熱部15のそれぞれが電気的に接続され、制御部35は、これらの電気部品を制御して、乾燥室2B内における寝具Pの乾燥運転を実行する。また、流入温度検出部33及び流出温度検出部34のそれぞれの検出結果である流入温度及び流出温度が、制御部35にリアルタイムで入力される。風量検出部36は、装置本体2内を流れる空気の風量を検出する公知のセンサであって、例えば排気路13内における排気口6Cの近傍に配置される。風量検出部36の検出結果である風量は、制御部35にリアルタイムで入力される。
【0030】
セット部22に寝具Pがセットされた台車3が乾燥室2Bに収納されて、扉9が閉じられた状態で、制御部35は、乾燥運転を実行する。図5は、乾燥運転を示すフローチャートである。図6は、乾燥運転における流入温度の経時変化を示すグラフである。図7は、乾燥運転における流出温度の経時変化を示すグラフである。図6及び図7において、横軸は経過時間を示し、縦軸は流入温度又は流出温度を示す。
【0031】
乾燥運転が始まると(図6及び図7のタイミングt0を参照)、制御部35は、送風部14及び加熱部15を作動させる。すると、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれて加熱部15によって加熱された外気である温風が、入口6Bから乾燥室2Bに流入して、乾燥室2B内で山折りになった寝具Pに浴びせられる。乾燥運転の開始時点における送風部14の回転数は、所定の設定値で一定である。
【0032】
乾燥室2B内で寝具Pに浴びせられた温風は、寝具Pの内部を通過して本体部29の通気穴22Aに到達し、通気穴22Aからセット部22の内部空間22Bに流入する。内部空間22B内に流入した温風は、ベース部21の内部空間21Aに流れ落ち、取出口25A及び出口7Aを通って排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。このように、内部空間22Bは、乾燥室2Bに流入して寝具P及び通気穴22Aを通過した温風の通り道として、セット部22に設けられた中空部分である。そして、乾燥室2Bに流入した温風は、セット部22の表面部22Cの通気穴22Aからセット部22の内部空間22Bを流れる際に寝具Pの内部を通過するので、寝具Pを乾燥させることができる。
【0033】
事前の実験などにより、流入温度検出部33の検出結果である流入温度には、第1閾値が定められ、流出温度検出部34の検出結果である流出温度には、第2閾値が定められる。第1閾値の一例は、165度であり、第2閾値の一例は、70度である。なお、前述した流入温度検出部33Aが検出する流入温度についての第1閾値と、前述した流入温度検出部33Bが検出する流入温度についての第1閾値とは、同じであってもよいし異なってもよい。乾燥運転中において、装置本体2内の空気の流れが悪くなることによって風量検出部36の検出結果が所定の閾値を下回ると、制御部35は、風量低下エラーが発生したと判断して、送風部14及び加熱部15を停止させる。
【0034】
乾燥運転中において、温風の風量は常に一定であるとは限らず、制御部35は、流入温度に応じて送風部14を制御することによって風の勢い、つまり風量を調整する。具体的には、流入温度は、セット22部の通気穴22Aを通過する前の上流側の温風の温度であって、セット部22に載せられた寝具Pの風通しに応じて変化する。例えば、寝具Pの風通しが悪い(湿気を多く含んでいる状態)と、上流側で温風が滞留するので流入温度は上昇する。そこで、図6のタイミングt1で示すように流入温度が第1閾値以上になると(ステップS1でYES)、制御部35は、送風部14のファンの回転数を、前述した設定値から例えば20%上げることによって、風の勢いが強まるように送風部14を制御する(ステップS2)。これにより、タイミングt1からしばらくすると、流入温度が目標温度まで低下する(図6参照)。なお、流入温度そのものでなく、流入温度の上昇度合い、例えば1分あたりの流入温度の上昇速度について第1閾値が定められて、ステップS1において、制御部35は、流入温度の上昇度合いが第1閾値以上になったか否かを判断してもよい。
【0035】
このように、ステップS2により、流入温度に応じて最適な勢いに調整された温風、つまり勢いが強くて風量が多い温風が、乾燥室2B内の寝具Pに浴びせられるので、この温風は、風通しが悪い寝具Pであっても、寝具Pの内部を円滑に通過することができる。そのため、寝具乾燥装置1では、風量低下エラーを抑制して乾燥運転を継続できるので、寝具Pの乾燥効率の向上を図れる。
【0036】
そして、乾燥運転中において、制御部35は、セット部22の内部空間22Bを通過して乾燥室2Bから流出した下流側の空気の温度である流出温度に応じて送風部14を制御することによって、風の勢いを調整してもよい。具体的には、流出温度は、寝具Pの風通しに応じて変化する。そのため、例えば乾燥が進むことによって寝具Pの風通しが良くなると、乾燥室2Bから勢いよく空気が流出することによって、流出温度が低下する。または、乾燥運転の開始前の状態において既に風通しが良い寝具Pでは、乾燥運転の序盤でも流出温度が低下することがある。そこで、図7のタイミングt2で示すように流出温度が第2閾値以下になると(ステップS3でYES)、制御部35は、送風部14のファンの回転数を、前述した設定値から例えば20%下げることによって、風の勢いが弱まるように送風部14を制御する(ステップS4)。これにより、温風の勢いが弱まって寝具Pを通過しにくくなり、タイミングt2の後に流出温度が上昇する(図7参照)。なお、流出温度そのものでなく、流出温度の下降度合い、例えば1分あたりの流出温度の下降速度について第2閾値が定められて、ステップS3において、制御部35は、流出温度の下降度合いが第2閾値以下になったか否かを判断してもよい。
【0037】
このように、流出温度に応じて最適な勢いに調整された温風、つまり、勢いが弱いことために加熱部15をゆっくり通過して一層高温になった少ない風量の温風が、乾燥室2B内の寝具Pに浴びせられので、寝具乾燥装置1では、寝具Pの乾燥効率の向上を図れる。
【0038】
そして、乾燥運転の開始から所定の運転時間が経過するまで(ステップS5でNO)、制御部35は、ステップS1~S4の処理を繰り返す。運転時間が経過すると(ステップS5でYES)、制御部35は、送風部14及び加熱部15を停止させることによって乾燥運転を終了する。
【0039】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、図3に示すように、台車3には、寝具Pを山折り状態で維持するために寝具Pをセット部22に押し付ける押付部材41が設けられてもよい。押付部材41は、台車3のベース部21の上壁27におけるセット部22の左右両側に1つずつ設けられる。各押付部材41は、例えばM字状に折り曲げられたパイプによって構成される。各押付部材41は、ベース部21内に設けられたばねなどの付勢部材(図示せず)によってセット部22に接近するように常に付勢されてもよい。
【0041】
また、図1に示すように、台車3には、スペーサ部材42が設けられてもよい。スペーサ部材42の一例は、上下方向Zに延びるリブである。複数のスペーサ部材42が、セット部22の表面部22Cの左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれにおいて前後方向Yに並んで配置される。寝具Pが表面部22Cに載せられると、各スペーサ部材42の周囲、特に、前後方向Yにおける各スペーサ部材42の両側における寝具Pと表面部22Cとの間には、隙間Q(図2参照)が形成される。隙間Qは、表面部22Cにおける最寄りの通気穴22Aに連通するので、この通気穴22Aは、寝具Pによって塞がれない。また、隙間Qは、乾燥室2Bにも連通する。そのため、セット部22の表面部22Cに載せられた寝具Pの風通しが悪くても、温風は、隙間Qと最寄りの通気穴22Aとを通って乾燥室2Bとセット部22の内部空間22Bとを円滑に流れる。そのため、寝具乾燥装置1では、温風の風量を確保することによって寝具Pの乾燥効率の向上を図れる。
【符号の説明】
【0042】
1 寝具乾燥装置
2 装置本体
2B 乾燥室
3 台車
14 送風部
15 加熱部
22 セット部
22A 通気穴
22B 内部空間
22C 表面部
33 流入温度検出部
34 流出温度検出部
35 制御部
P 寝具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7