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特開2022-181330電子部品用パッケージ、電子部品、及び発振器
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  • 特開-電子部品用パッケージ、電子部品、及び発振器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181330
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】電子部品用パッケージ、電子部品、及び発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20221201BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H01L23/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088218
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】青木 信也
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA43
5J079HA03
5J079HA07
5J079HA16
5J079HA30
(57)【要約】
【課題】気密性の高い電子部品用パッケージ、電子部品、及び発振器を提供する。
【解決手段】電子部品用パッケージ10は、リッド9と、第1層1と、第1層1とリッド9との間に配置され、第1枠体11を構成する第2層2と、第2層2とリッド9との間に配置され、第2枠体21を構成する第3層3と、第3層3とリッド9とを接合する接合部材50と、リッド9と電気的に接続され、第2枠体21を貫通するビア配線25と、を備え、第1枠体11の第1コーナー部12の内径をR1、平面視で、第1コーナー部12と重なる第2枠体21の第2コーナー部22の内径をR2、としたとき、R1<R2であり、第2コーナー部22の内側面23は、断面視で、第1コーナー部12の内側面13より張り出している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッドと、
第1層と、
前記第1層と前記リッドとの間に配置され、第1枠体を構成する第2層と、
前記第2層と前記リッドとの間に配置され、第2枠体を構成する第3層と、
前記第3層と前記リッドとを接合する接合部材と、
前記リッドと電気的に接続され、前記第2枠体を貫通するビア配線と、を備え、
前記第1枠体の第1コーナー部の内径をR1、平面視で、前記第1コーナー部と重なる前記第2枠体の第2コーナー部の内径をR2、としたとき、R1<R2であり、
前記第2コーナー部の内側面は、断面視で、前記第1コーナー部の内側面より張り出している、
電子部品用パッケージ。
【請求項2】
前記第1枠体は、前記第1コーナー部から延在する第1ストレート部を有し、
前記第2枠体は、前記第2コーナー部から延在し、平面視で前記第1ストレート部と重なる第2ストレート部を有し、
前記第1ストレート部の幅と前記第2ストレート部の幅とは、同じである、
請求項1に記載の電子部品用パッケージ。
【請求項3】
前記ビア配線と電気的に接続され、前記第1枠体の側面に設けられた側面配線を更に有する、
請求項1又は請求項2に記載の電子部品用パッケージ。
【請求項4】
前記側面配線は、前記第1枠体の内側面に設けられている、
請求項3に記載の電子部品用パッケージ。
【請求項5】
前記接合部材は、AuとSnとの合金を含む、
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の電子部品用パッケージ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の第1層、第1枠体を構成する第2層、及び第2枠体を構成する第3層を有する電子部品用パッケージと、
前記電子部品用パッケージに収容された集積回路素子と、を備える、
電子部品。
【請求項7】
前記電子部品用パッケージは、前記集積回路素子と電気的に接続される電極を有し、
前記電極は、前記第1枠体によって区画される前記第1層の実装領域の角部に設けられている、
請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第2層の厚さは、前記集積回路素子の厚さより大きい、
請求項6又は請求項7に記載の電子部品。
【請求項9】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の第1層、第1枠体を構成する第2層、及び第2枠体を構成する第3層を有する電子部品用パッケージと、
前記電子部品用パッケージに収容された振動子と、
前記振動子を発振させる発振回路を含む集積回路素子と、を備える、
発振器。
【請求項10】
前記第2層の厚さは、前記集積回路素子の厚さより大きい、
請求項9に記載の発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用パッケージ、電子部品、及び発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、平板状の第1の絶縁層の上部に、枠状の第2の絶縁層が積層され、第2の絶縁層上に、枠状の第3の絶縁層が積層された構成で、凹部を有する平面視において矩形状のベースと、封止材が形成された平面視において矩形状の蓋体と、からなる電子部品用パッケージが開示されている。ベースは、第2の絶縁層の内周の4角の一部が、凹部の内側方向へ張り出し、平面視で露出している。これにより、溶融した封止材が内壁を伝ってベース内底面に向って流下しても、平面視で露出した部分に溶融封止材が表面張力によって滞留し、さらに下側にあるベース内底面まで流入し難くなり、確実な気密封止を行うことができると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-60260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電子部品用パッケージは、平面視で露出した部分までは内壁の電極を伝って溶融封止材が流れ込んでしまうため、封止領域の封止材が不足する虞があり、気密性が低下してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電子部品用パッケージは、リッドと、第1層と、前記第1層と前記リッドとの間に配置され、第1枠体を構成する第2層と、前記第2層と前記リッドとの間に配置され、第2枠体を構成する第3層と、前記第3層と前記リッドとを接合する接合部材と、前記リッドと電気的に接続され、前記第2枠体を貫通するビア配線と、を備え、前記第1枠体の第1コーナー部の内径をR1、平面視で、前記第1コーナー部と重なる前記第2枠体の第2コーナー部の内径をR2、としたとき、R1<R2であり、前記第2コーナー部の内側面は、断面視で、前記第1コーナー部の内側面より張り出している。
【0006】
電子部品は、上記に記載の電子部品用パッケージと、前記電子部品用パッケージに収容された集積回路素子と、を備える。
【0007】
発振器は、上記に記載の電子部品用パッケージと、前記電子部品用パッケージに収容された振動子と、前記振動子を発振させる発振回路を含む集積回路素子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る電子部品用パッケージを備える電子部品の概略構造を示す平面図。
図2図1中のA-A線断面図。
図3図1中のB-B線断面図。
図4】第2実施形態に係る電子部品用パッケージを備える電子部品の概略構造を示す平面図。
図5図4中のC-C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.第1実施形態
先ず、第1実施形態に係る電子部品用パッケージ10を備える電子部品100として、集積回路素子30と振動子40とを収容する発振器200を一例として挙げ、図1図2、及び図3を参照して説明する。
尚、図1において、発振器200及び電子部品用パッケージ10の内部構成を説明する便宜上、リッド9と振動子40とを取り外した状態を図示している。また、説明の便宜上、以降の各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。また、X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」と言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」、矢印と反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z方向プラス側を「上」、Z方向マイナス側を「下」とも言う。
【0010】
発振器200は、図1図2、及び図3に示すように、集積回路素子30、振動子40、及び集積回路素子30と振動子40とを収容する電子部品用パッケージ10を有する。
電子部品用パッケージ10は、ベース4と、ベース4との間で内部空間Sを形成するリッド9と、ベース4とリッド9とを接合する接合部材50と、を有し、内部空間S内に集積回路素子30と振動子40とを収容している。
【0011】
ベース4は、Z方向からの平面視で、矩形状であり、平板状の第1層1と、第1層1とリッド9との間に配置され、第1枠体11を構成する第2層2と、第2層2とリッド9との間に配置され、第2枠体21を構成する第3層3と、を有し、第1層1の上に第2層2を、第2層2の上に第3層3を積層して形成されている。
【0012】
第1層1には、集積回路素子30と対向する面に、金バンプ等の接合部材51を介して集積回路素子30を電気的に接続し固定する電極5,6が形成されている。また、電極5,6が形成された面と反対側の面に、集積回路素子30の出力信号を外部に出力する外部端子7やリッド9と電極5を介して電気的に接続されグランド電極となる外部端子7等が形成されている。尚、第1層1には、第1層1の上下面を貫通する複数のビア配線8が形成されており、電極5,6と外部端子7とを電気的に接続している。また、ビア配線とは、層の上下面を貫通する貫通孔内に導電性材料を充填したものである。
また、電極5は、集積回路素子30及び後述する側面配線15と電気的に接続され、第1枠体11によって区画される第1層1の実装領域の角部に設けられている。より具体的には、第1枠体11の第1コーナー部12に接する領域に設けられている。
【0013】
第2層2には、第1枠体11を構成するための開口部18が設けられており、振動子40と対向する面に、導電性接着剤等の接合部材52を介して振動子40を電気的に接続し、固定する内部端子17が形成されている。また、第2層2には、第2層2の上下面を貫通する複数のビア配線16が形成されており、内部端子17と第1層1に形成された電極6とを電気的に接続している。第1枠体11の開口部18における第1コーナー部12を含む4つのコーナー部には、内径R1のコーナー部が設けられている。また、第1コーナー部12の側面となる内側面13には、図2に示すように、側面配線15が形成され、第1層1に形成された電極5と、後述する第2枠体21に設けられたビア配線25と、に電気的に接続されている。尚、本実施形態では、側面配線15を第1コーナー部12の内側面13に形成しているが、これに限定されることはなく、第1コーナー部12の集積回路素子30と反対側の側面である外側面に形成しても構わない。
【0014】
また、第2層2のZ方向の寸法である厚さH1は、集積回路素子30のZ方向の寸法である厚さH2より大きい。そのため、第2層2の第1枠体11を構成するための開口部18内に、第2層2の厚さH1が集積回路素子30の厚さH2より小さい場合に比べ、大きなサイズの集積回路素子30を収容することができる。
【0015】
第3層3には、Z方向からの平面視で、第2層2の開口部18と重なる位置に第2枠体21を構成するための開口部26が設けられている。また、第3層3の開口部26は、第2層2の開口部18に比べ、X方向のマイナス側が広くなるように形成されている。そのため、振動子40を固定する内部端子17が露出し、リッド9で封止する前に、振動子40を内部端子17上に固定することができる。第2枠体21の開口部26における第2コーナー部22を含む4つのコーナー部には、内径R2のコーナー部が設けられている。
【0016】
また、第3層3には、第2コーナー部22の近傍で、第2層2の第1コーナー部12と接する位置に、第3層3の上下面を貫通するビア配線25が形成されている。ビア配線25は、接合部材50を介してリッド9と電気的に接続し、第2層2の第1コーナー部12の内側面13に設けられた側面配線15と電気的に接続している。
【0017】
また、図1に示すように、Z方向からの平面視で、第2枠体21の第2コーナー部22の内径R2と、第1枠体11の第1コーナー部12の内径R1と、の関係は、R1<R2であり、つまり、第2枠体21の第2コーナー部22の内径R2は、第1枠体11の第1コーナー部12の内径R1より大きい。そのため、第2コーナー部22の内側面23は、図2に示すように、Y方向からの断面視で、第1コーナー部12の内側面13よりXマイナス方向に張り出している。具体的には、第2枠体21の外側面から第2コーナー部22の内側面23までの長さL2は、第1枠体11の外側面から第1コーナー部12の内側面13までの長さL1より大きい。
【0018】
また、電子部品用パッケージ10のベース4において、図3に示すように、第2層2となる第1枠体11は、第1コーナー部12からXマイナス方向に延在する第1ストレート部14を有し、第3層3となる第2枠体21は、第2コーナー部22からXマイナス方向に延在し、平面視で第1ストレート部14と重なる第2ストレート部24を有し、第1ストレート部14の幅W1と第2ストレート部24の幅W2とは、同じである。また、第1枠体11は、第1コーナー部12からYプラス方向に延在するストレート部の幅は、第2枠体21の第2コーナー部22からYプラス方向に延在するストレート部の幅と同じである。更に、第1枠体11の第1コーナー部12とX軸線対称位置のコーナー部からXマイナス方向に延在するストレート部の幅は、第2枠体21の第2コーナー部22とX軸線対称位置のコーナー部からXマイナス方向に延在するストレート部の幅と同じである。このように、ベース4を構成する第1枠体11及び第2枠体21のそれぞれのストレート部の幅を同じにすることで、ベース4の機械的強度を高めることができる。
【0019】
ベース4を構成する第1層1、第2層2、及び第3層3の構成材料としては、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックスが好適であり、シリコン基板やガラス基板等でも構わない。
【0020】
リッド9は、Z方向からの平面視で、矩形状の平板であり、ベース4の上面に接合部材50を介して接合されている。これにより、ベース4とリッド9との間に気密な内部空間Sが形成され、この内部空間Sに集積回路素子30と振動子40とが収容されている。尚、内部空間Sは、減圧状態、好ましくはより真空に近い状態となっている。これにより、粘性抵抗が減り、振動子40の発振特性が向上する。尚、リッド9の構成材料としては、導電性を有する金属等の材料が望ましく、外部からの電磁波等のノイズから集積回路素子30や振動子40をシールドすることができる。
【0021】
接合部材50は、AuとSnとの合金を含む半田等であり、AuとSnとの合金を含むことで、融点温度が高くなり、電子部品用パッケージ10をプリント基板等に実装する際の熱による影響を小さくすることができる。
【0022】
内部空間Sに収容される集積回路素子30は、振動子40を発振させる発振回路31を含んでいる。
発振回路31は、振動子40と電気的に接続され、振動子40の出力信号を増幅し、増幅した信号を振動子40にフィードバックすることにより振動子40を発振させる。
【0023】
内部空間Sに収容される振動子40は、振動基板41と、振動基板41を振動させる励振電極42と、振動信号を外部に出力し、振動子40を電子部品用パッケージ10に固定する電極パッド43と、図示しない励振電極42と電極パッド43とを電気的に接続するリード電極と、を有する。
【0024】
振動子40は、導電性接着剤等の接合部材52を介して電子部品用パッケージ10の第2層2の上面に形成された内部端子17上に固定されている。尚、電子部品用パッケージ10に振動子40が固定されている状態とは、電子部品用パッケージ10の第2層2の上面に形成された内部端子17と、振動子40の振動基板41に形成された電極パッド43と、が接合部材52を介して機械的及び電気的に接合されていることである。尚、振動基板41としては、ATカット水晶基板、SCカット水晶基板、BTカット水晶基板等が用いられる。
【0025】
尚、本実施形態の発振器200の集積回路素子30に、温度補償回路や温度センサーを備えることで、外部温度変化の影響を抑制し、高精度な発振周波数を出力する温度補償型水晶発振器(TCXО)として用いることができる。
【0026】
以上述べたように本実施形態の電子部品用パッケージ10及び電子部品100としての発振器200は、リッド9と電気的に接続され、第2枠体21を貫通するビア配線25が設けられているため、第3層3とリッド9とを接合する接合部材50が第2枠体21の内側面23を伝わり、電子部品用パッケージ10内に流れ込まないので、封止領域の封止材となる接合部材50が不足することがなくなり、気密性の低下を低減することができる。
【0027】
また、第1枠体11の第1コーナー部12の内側面13が第2枠体21の第2コーナー部22の内側面23より凹んでおり、第1コーナー部12の内径R1が第2コーナー部22の内径R2より小さく、更に、第1枠体11を構成する第2層2の厚さH1が集積回路素子30の厚さH2より大きいため、より大きいサイズの集積回路素子30を電子部品用パッケージ10内に収容することができる。
【0028】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る電子部品用パッケージ10aを備える電子部品100aとして、第1集積回路素子30a、第2集積回路素子34、ヒーター36、及び振動子40を収容する発振器200aを一例として挙げ、図4及び図5を参照して説明する。
尚、図4において、発振器200a及び電子部品用パッケージ10aの内部構成を説明する便宜上、リッド9と振動子40とを取り外した状態を図示している。
【0029】
本実施形態の電子部品用パッケージ10a及び発振器200aは、第1実施形態の電子部品用パッケージ10に比べ、電子部品用パッケージ10aの構造が異なり、第1実施形態の発振器200に比べ、集積回路素子30の代わりに第1集積回路素子30a、第2集積回路素子34、及びヒーター36を電子部品用パッケージ10aに収容していること以外は、第1実施形態の電子部品用パッケージ10及び発振器200と同様である。なお、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0030】
発振器200aは、図4及び図5に示すように、第1集積回路素子30a、第2集積回路素子34、ヒーター36、振動子40、及び第1集積回路素子30aと第2集積回路素子34とヒーター36と振動子40とを収容する電子部品用パッケージ10aを有する。尚、本実施形態の発振器200aは、ヒーター36を備え電子部品用パッケージ10aを恒温槽とする恒温槽付水晶発振器(OCXO)に相当する。
【0031】
電子部品用パッケージ10aは、第1内部空間S1と第2内部空間S2とを有するベース4aと、第1内部空間S1を封止するリッド9と、ベース4aとリッド9とを接合する接合部材50と、を有し、第1内部空間S1内に第1集積回路素子30a、ヒーター36、及び振動子40を収容し、第2内部空間S2内に第2集積回路素子34を収容している。
【0032】
ベース4aは、第1層1、第1枠体11となる開口部18を有する第2層2と、第2枠体21となる開口部26を有する第3層3と、を積層して第1内部空間S1が形成され、第1層1の第2層2が積層された面とは反対側の面に第3枠体31aとなる開口部37aを有する第4層14aを積層して第2内部空間S2が形成されている。また、第4層14aの第1層1が積層された面とは反対側の面には、発振周波数を出力するための外部端子7aが形成されている。
【0033】
第1内部空間S1に収容された第1集積回路素子30aは、発振回路31と、温度補償回路32と、温度センサー33と、を有する。
【0034】
発振回路31は、振動子40と電気的に接続され、振動子40の出力信号を増幅し、増幅した信号を振動子40にフィードバックすることにより振動子40を発振させる。
【0035】
温度補償回路32は、温度センサー33から出力される温度情報に基づいて、発振回路31の発振信号の周波数変動が振動子40自身の周波数温度特性よりも小さくなるように温度補償する。これにより、優れた温度特性を発揮することができる。尚、温度補償回路32としては、例えば、発振回路31に接続された可変容量回路の容量を調整することにより発振回路31の発振周波数を調整するものであってもよいし、発振回路31の出力信号の周波数をPLL(Phase Locked Loop)回路やダイレクトデジタルシンセサイザー回路により調整するものであってもよい。
【0036】
温度センサー33は、温度を検出する素子であり、第1集積回路素子30a内にSiダイオード又はPNPトランジスターを設けることで形成することができる。
【0037】
第1内部空間S1に収容されたヒーター36は、振動子40が収容された第1内部空間S1内を一定の温度に保つために用いられる。ヒーター36は、第1層1の上面に形成され、第2集積回路素子34の温度制御回路35と電気的に接続されている電極6の上に金属バンプ等の接合部材53を介して固定されている。
【0038】
第2内部空間S2に収容された第2集積回路素子34は、ヒーター36の温度を制御する温度制御回路35を有し、第1層1の下面に形成された電極5a,6aの上に金属バンプ等の接合部材54を介して固定されている。
【0039】
温度制御回路35は、温度センサー33から出力される温度情報に基づいてヒーター36を流れる電流量を制御することにより、振動子40を一定温度に保つための回路である。例えば、温度制御回路35は、温度センサー33の出力信号から判定される現在の温度が設定された基準温度よりも低い場合には、ヒーター36に所望の電流を流し、現在の温度が基準温度よりも高い場合にはヒーター36に電流が流れないように制御する。
【0040】
また、例えば、温度制御回路35は、現在の温度と基準温度との差に応じて、ヒーター36を流れる電流量を増減させるように制御してもよい。ここで、温度センサー33は、温度補償回路32用の温度センサーと、温度制御回路35用の温度センサーと、を兼ねている。そのため、部品点数が削減され、発振器200aの小型化を図ることができる。ただし、これに限定されず、温度補償回路32用の温度センサーと、温度制御回路35用の温度センサーと、が別々に設けられていてもよい。
【0041】
このような構成とすることで、外部温度の影響を抑制し、高精度の発振周波数を出力する発振器200aを得ることができ、第1実施形態の電子部品用パッケージ10又は発振器200と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1…第1層、2…第2層、3…第3層、4,4a…ベース、5,5a,6,6a…電極、7,7a…外部端子、8…ビア配線、9…リッド、10,10a…電子部品用パッケージ、11…第1枠体、12…第1コーナー部、13…内側面、14…第1ストレート部、14a…第4層、15…側面配線、16…ビア配線、17…内部端子、18…開口部、21…第2枠体、22…第2コーナー部、23…内側面、24…第2ストレート部、25…ビア配線、26…開口部、30…集積回路素子、30a…第1集積回路素子、31…発振回路、31a…第3枠体、32…温度補償回路、33…温度センサー、34…第2集積回路素子、35…温度制御回路、36…ヒーター、37a…開口部、40…振動子、41…振動基板、42…励振電極、43…電極パッド、50,51,52,53,54…接合部材、100,100a…電子部品、200,200a…発振器、H1,H2…厚さ、R1,R2…内径、L1,L2…長さ、S…内部空間、S1…第1内部空間、S2…第2内部空間、W1,W2…幅。
図1
図2
図3
図4
図5