IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特開2022-181355パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図6
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図7
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図8
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図9
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図10
  • 特開-パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181355
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088265
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 英明
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK00
4C038KL05
4C038KL07
(57)【要約】
【課題】パルスオキシメーターの被検者に適切な情報を提供する。
【解決手段】被検者の少なくとも血中酸素飽和度(SpO2)を測定する測定部12と、被検者が連絡すべき連絡先を示す連絡先情報(施設電話番号)を記憶する記憶部16と、を備えるパルスオキシメーター10において、所定の条件を満たした場合に、記憶部16に記憶されている連絡先情報を出力する。例えば、測定部12による測定が適正な測定であり、測定部12により測定された測定値が異常値であった場合に、スピーカー15により連絡先情報を音声出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の少なくとも血中酸素飽和度を測定する測定部と、
前記被検者が連絡すべき連絡先を示す連絡先情報を記憶する記憶部と、
所定の条件を満たした場合に、前記記憶部に記憶されている連絡先情報を出力する出力部と、
を備えるパルスオキシメーター。
【請求項2】
前記出力部により出力された連絡先情報を報知する報知部をさらに備える請求項1に記載のパルスオキシメーター。
【請求項3】
前記報知部は、前記連絡先情報を表示する表示部である請求項2に記載のパルスオキシメーター。
【請求項4】
前記報知部は、前記連絡先情報を音声出力するスピーカーである請求項2に記載のパルスオキシメーター。
【請求項5】
前記出力部は、無線通信により外部装置に前記連絡先情報を出力する請求項1に記載のパルスオキシメーター。
【請求項6】
前記出力部は、前記測定部による測定が適正な測定であり、前記測定部により測定された測定値が異常値であった場合に、前記連絡先情報を出力する請求項1から5のいずれか一項に記載のパルスオキシメーター。
【請求項7】
前記測定部による測定が適正な測定であるか又は誤測定であるかを判断し、前記測定部による測定が適正な測定である場合に、前記測定部により測定された測定値を出力し、前記測定部による測定が誤測定である場合に、エラー情報を出力する第2出力部をさらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載のパルスオキシメーター。
【請求項8】
前記第2出力部により出力された測定値又はエラー情報を記憶する第2記憶部をさらに備える請求項7に記載のパルスオキシメーター。
【請求項9】
前記連絡先情報は、病院又は保健所の連絡先を示す情報である請求項1から8のいずれか一項に記載のパルスオキシメーター。
【請求項10】
被検者の少なくとも血中酸素飽和度を測定する測定部と、前記被検者が連絡すべき連絡先を示す連絡先情報を記憶する記憶部と、を備えるパルスオキシメーターの情報処理方法であって、
所定の条件を満たした場合に、前記記憶部に記憶されている連絡先情報を出力する出力工程を含む情報処理方法。
【請求項11】
被検者の少なくとも血中酸素飽和度を測定する測定部と、前記被検者が連絡すべき連絡先を示す連絡先情報を記憶する記憶部と、を備えるパルスオキシメーターのコンピューターを、
所定の条件を満たした場合に、前記記憶部に記憶されている連絡先情報を出力する出力部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスオキシメーター、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、光検出器を被検者の指先等の生体部位に付けて血中酸素飽和度(SpO2)や脈拍数を測定するパルスオキシメーターが知られている。これまで、パルスオキシメーターの使用は、ほぼ医療従事者に限定されており、在宅医療で使用される場合にも、医師の指導に基づいて測定が行われていた。
【0003】
これに対し、パルスオキシメーターの使用環境は、変化しつつある。新型コロナウイルス感染症の流行により、病院における病床確保のため、軽症患者は自宅又は宿泊施設での療養となり、パルスオキシメーターを用いた健康観察が行われるようになっている。パルスオキシメーターの測定値は、呼吸器系の異常を検出する上で重要であり、患者の容態の急変等の予兆を判断する際にも用いられている。
【0004】
また、患者の自宅において患者を測定して得られた測定値を、リアルタイムに病院のサーバーに送信する、無線機能付きのパルスオキシメーターも開発されている。
また、パルスオキシメーターにより測定された酸素飽和度の値が閾値以下となった場合に、何らかの異常が発生したと判断し、外部への通報を行うシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-188104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、患者は、体温計と比べて、パルスオキシメーターの扱いに慣れていないため、パルスオキシメーターの測定や測定値の判断を適切に行える患者は、ほとんどいないという問題があった。そのため、患者自身がパルスオキシメーターを使用して測定する際、正しく容態を把握できない場合があった。
【0007】
自宅又は宿泊施設で療養している患者に対しては、病院や保健所等は、患者自身が測定した結果を確認することで、容態を把握するしかない。特に、患者が高齢者の場合には、患者への確認手段は電話であることが多い。また、スタッフの人数も限られているため、個々の患者に対する確認が遅くなり、手遅れになるケースもあった。
【0008】
無線機能付きのパルスオキシメーターを利用するにしても、機器のコストがかかることに加え、高齢者宅にインターネットの接続環境が整っていなかったり、接続環境があっても設定が煩雑であったりする等、実現が困難な場合も多かった。また、測定値や異常検出結果をリアルタイムに病院に送信したとしても、病院側で常時監視することは困難であり、負担も大きかった。
【0009】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、パルスオキシメーターの被検者に適切な情報を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被検者の少なくとも血中酸素飽和度を測定する測定部と、前記被検者が連絡すべき連絡先を示す連絡先情報を記憶する記憶部と、所定の条件を満たした場合に、前記記憶部に記憶されている連絡先情報を出力する出力部と、を備えるパルスオキシメーターである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパルスオキシメーターにおいて、前記出力部により出力された連絡先情報を報知する報知部をさらに備える。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のパルスオキシメーターにおいて、前記報知部は、前記連絡先情報を表示する表示部である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のパルスオキシメーターにおいて、前記報知部は、前記連絡先情報を音声出力するスピーカーである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のパルスオキシメーターにおいて、前記出力部は、無線通信により外部装置に前記連絡先情報を出力する。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のパルスオキシメーターにおいて、前記出力部は、前記測定部による測定が適正な測定であり、前記測定部により測定された測定値が異常値であった場合に、前記連絡先情報を出力する。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のパルスオキシメーターにおいて、前記測定部による測定が適正な測定であるか又は誤測定であるかを判断し、前記測定部による測定が適正な測定である場合に、前記測定部により測定された測定値を出力し、前記測定部による測定が誤測定である場合に、エラー情報を出力する第2出力部をさらに備える。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のパルスオキシメーターにおいて、前記第2出力部により出力された測定値又はエラー情報を記憶する第2記憶部をさらに備える。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載のパルスオキシメーターにおいて、前記連絡先情報は、病院又は保健所の連絡先を示す情報である。
【0019】
請求項10に記載の発明は、被検者の少なくとも血中酸素飽和度を測定する測定部と、前記被検者が連絡すべき連絡先を示す連絡先情報を記憶する記憶部と、を備えるパルスオキシメーターの情報処理方法であって、所定の条件を満たした場合に、前記記憶部に記憶されている連絡先情報を出力する出力工程を含む。
【0020】
請求項11に記載の発明は、被検者の少なくとも血中酸素飽和度を測定する測定部と、前記被検者が連絡すべき連絡先を示す連絡先情報を記憶する記憶部と、を備えるパルスオキシメーターのコンピューターを、所定の条件を満たした場合に、前記記憶部に記憶されている連絡先情報を出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パルスオキシメーターの被検者に適切な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態におけるパルスオキシメーターの外観構成例を示す図である。
図2】パルスオキシメーターの機能構成例を示すブロック図である。
図3】設定情報の例を示す図である。
図4】測定情報テーブルのデータ構成例を示す図である。
図5】パルスオキシメーターにおいて実行される測定時処理を示すフローチャートである。
図6】パルスオキシメーターにおいて実行される測定時処理を示すフローチャートである。
図7】測定値画面の例である。
図8】再測定通知処理を示すフローチャートである。
図9】エラーメッセージ画面の例である。
図10】パルスオキシメーターにおいて実行される測定履歴表示処理を示すフローチャートである。
図11】測定履歴画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係るパルスオキシメーターの実施の形態について説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0024】
図1(a)及び(b)に、本実施の形態におけるパルスオキシメーター10の外観構成例を示す。パルスオキシメーター10は、例えば、自宅又は宿泊施設で療養している患者により使用される。
パルスオキシメーター10は、被検者(患者)の血中酸素飽和度(経皮的動脈血酸素飽和度:SpO2)、脈拍数等の生体情報を測定する。パルスオキシメーター10には、測定対象となる被検者の指を挿入するための開口部である指挿入口20が設けられている。パルスオキシメーター10は、測定値等を表示する表示部14、パルスオキシメーター10内に記憶されているデータを呼び出すための側面ボタン13A等を備える。
【0025】
図1(a)及び(b)に示すパルスオキシメーター10は、測定時に、被検者の指先を挟むフィンガークリップ型の装置の例であるが、プローブと機器本体とがケーブルで接続された構成のパルスオキシメーターであってもよい。
【0026】
図2に、パルスオキシメーター10の機能構成例を示す。
図2に示すように、パルスオキシメーター10は、制御部11、測定部12、操作部13、表示部14、スピーカー15、記憶部16、無線通信部17、計時部18、電力供給部19等を備えて構成されている。
【0027】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部11のCPUは、記憶部16に記憶されている各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0028】
測定部12は、被検者の指先等の生体部位に装着可能に構成されており、被検者の血中酸素飽和度(SpO2)及び脈拍数を測定する。測定部12は、発光部、受光部等を備え、赤色光と赤外光を生体部位に向けて発光し、その透過光(又は反射光)を受光して、測定部位の動脈の血流が表れた測定信号(測定データ)を得る。測定部12は、測定データからSpO2及び脈拍数を算出し、制御部11に出力する。
【0029】
操作部13は、各種機能ボタン等を備えており、これらの操作信号を制御部11に出力する。操作部13には、最新の測定値を含む測定履歴を表示させるための側面ボタン13A等が含まれる。
【0030】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成されており、制御部11から入力される表示信号の指示に従って表示を行う。
【0031】
スピーカー15は、制御部11の指示に従って、操作案内、警告等の音声や、アラーム音を出力する。
【0032】
記憶部16は、不揮発性の半導体メモリー等で構成され、各種プログラムや、各処理に用いられるデータを記憶する。
【0033】
記憶部16には、パルスオキシメーター10の設定情報161が記憶されている。
図3に、設定情報161の項目名と、設定値の例を示す。設定情報161には、機器番号、施設電話番号、通知SpO2閾値、アラーム時刻等が含まれる。
機器番号は、パルスオキシメーター10を識別するための番号である。機器番号は、施設(病院、保健所等)が任意に設定した番号でもよいし、製造番号等であってもよい。
施設電話番号は、被検者が連絡すべき連絡先を示す連絡先情報の一例である。連絡先情報は、病院、保健所等の施設の連絡先を示す情報であり、ここでは、電話番号を用いる。
通知SpO2閾値は、SpO2の測定値について、異常値であるか否かを判断する際に用いる閾値である。
アラーム時刻は、患者に測定を促す時刻である。アラーム時刻としては、1日の間の複数の時刻を設定することができ、図3に示す設定情報161の例では、「8:00」と「16:00」が設定されている。
【0034】
設定情報161の内容は、患者にパルスオキシメーター10を貸し出す施設(病院、保健所等)において、任意に変更可能となっている。例えば、施設の医療従事者がパルスオキシメーター10の操作部13から所定の操作を行うと、制御部11は、表示部14に設定情報161の設定画面を表示させる。設定画面には、設定情報161の項目名と設定値とが表示される。医療従事者が操作部13からの操作により、設定画面において変更対象の項目名を指定すると、制御部11は、表示部14に変更対象の項目名について新たな設定値の入力画面を表示させる。医療従事者が操作部13からの操作により、入力画面に新たな設定値を入力すると、制御部11は、入力された設定値で設定情報161を更新する。
【0035】
具体的には、連絡先情報(施設電話番号)は、表示部14に表示される設定画面において、操作部13からの操作により、変更できる。
正常/異常の閾値(通知SpO2閾値)についても、表示部14に表示される設定画面において、操作部13からの操作により、変更できる。閾値は、患者ごとに変えることができる。
【0036】
なお、設定情報161の内容は、パルスオキシメーター10とUSBケーブル又は無線通信等を介して接続されたPC(Personal Computer)等から、パルスオキシメーター10の設定を行うためのアプリケーションソフトウェア等を用いて変更可能としてもよい。
【0037】
また、記憶部16には、測定情報テーブル162が記憶されている。
図4に、測定情報テーブル162のデータ構成例を示す。測定情報テーブル162は、測定情報を管理するためのテーブルである。測定情報には、測定日、測定時刻、SpO2、脈拍数、エラーコード等が含まれる。測定部12による測定に伴い、測定情報テーブル162には、レコードNoごとに測定情報が格納されていく。測定情報テーブル162において、各測定情報には、測定日時が新しい順(時系列と逆順)に、レコードNoが付与されている。
測定日は、SpO2及び脈拍数が測定された日付である。
測定時刻は、SpO2及び脈拍数が測定された時刻である。
SpO2、脈拍数は、それぞれ、SpO2、脈拍数の測定値である。
【0038】
エラーコードは、エラー(誤測定)の種類を示す識別情報である。誤測定は、測定自体に問題がある測定である。測定情報テーブル162の「エラーコード」フィールドは、測定部12による測定が適正な測定である場合には、空欄とする。エラーの種類として、例えば、異常信号[L]、血流循環不足、異常信号[H]、体動等が挙げられる。
【0039】
異常信号[L]は、測定に必要な光量が不足している場合、発光部から受光部に直接光が入る場合、強い光が直接受光部に入る場合等のエラーである。測定部12の受光部により得られる測定信号のDC成分(光量)とAC成分(脈波)のうち、DC成分が上限を超えている場合、又は、下限未満の場合に、異常信号[L]と判断される。異常信号[L]のエラーコードは「L」である。
【0040】
血流循環不足は、脈波が弱く(低脈波)、測定に必要な脈波信号が得られない場合、すなわち、測定信号のAC成分(脈波)が下限未満である場合のエラーである。血流循環不足のエラーコードは「P」である。
【0041】
異常信号[H]は、脈波信号が強すぎて測定不可能な場合、すなわち、測定信号のAC成分(脈波)が上限を超えている場合のエラーである。異常信号[H]のエラーコードは「H」である。
【0042】
体動は、測定中に体動等があり、測定に信頼性がない場合のエラーである。体動がある場合には、測定部12により測定されるSpO2の値がばらつく。体動のエラーコードは「A」である。
【0043】
無線通信部17は、Bluetooth(登録商標)の通信方式により、外部装置との間で無線データ通信を行うインターフェースである。
【0044】
計時部18は、計時回路(RTC:Real Time Clock)を有し、この計時回路により現在日時を計時して制御部11に出力する。
【0045】
電力供給部19は、パルスオキシメーター10の各部が動作に要する電力を当該各部へ供給する。電力供給部19は、電池から出力される電力を各部の動作電圧で供給する。
【0046】
制御部11は、測定部12による測定が適正な測定であるか、誤測定であるかを判断する。誤測定の場合、測定値の精度は保証できない。
【0047】
例えば、パルスオキシメーター10の指挿入口20に指が入っていない場合、指の入れ方が正しくない場合、体動がある場合、低脈波である場合等に、制御部11は、測定部12により得られた測定データから各現象を検出し、測定部12による測定が適正な測定でない(誤測定)と判断する。
【0048】
制御部11は、測定部12により測定された測定値が異常値であるか否かを判断する。具体的には、制御部11は、測定部12により測定されたSpO2が、記憶部16に記憶されている「通知SpO2閾値」以下である場合に、異常値であると判断する。
【0049】
制御部11は、所定の条件を満たした場合に、記憶部16に記憶されている連絡先情報(施設電話番号)を出力する。すなわち、制御部11は、出力部として機能する。
【0050】
具体的には、制御部11は、測定部12による測定が適正な測定であり、測定部12により測定された測定値が異常値であった場合に、連絡先情報を出力する。
【0051】
制御部11は、スピーカー15を制御して、出力された連絡先情報を音声出力させる。すなわち、スピーカー15は、出力された連絡先情報を報知する報知部として機能する。
なお、制御部11は、表示部14に連絡先情報を表示させることで、連絡先情報を報知させることとしてもよい。この場合、表示部14が、出力された連絡先情報を報知する報知部として機能する。
【0052】
制御部11は、測定部12による測定が適正な測定であるか又は誤測定であるかを判断し、測定部12による測定が適正な測定である場合に、測定部12により測定された測定値を出力し、測定部12による測定が誤測定である場合に、エラー情報を出力する。すなわち、制御部11は、第2出力部として機能する。エラー情報は、誤測定に関する情報であり、エラー(誤測定)の発生や、エラーの種類等を含む。
【0053】
制御部11は、出力された測定値又はエラー情報を記憶部16(測定情報テーブル162)に記憶させる。すなわち、記憶部16は、第2記憶部として機能する。
【0054】
次に、パルスオキシメーター10の動作について説明する。
パルスオキシメーター10は、予め定められたタイミングで、患者に測定を促す。
制御部11は、計時部18から現在日時を取得し、記憶部16に記憶されている設定情報161(図3参照)のアラーム時刻(アラーム時刻1又はアラーム時刻2)となったか否かを判断する。制御部11は、アラーム時刻となった場合に、測定を促すメッセージを表示部14に表示させるか、スピーカー15から測定を促す音声を出力させるか、スピーカー15から所定のアラーム音を出力させる。
患者は、表示されたメッセージ、音声又はアラーム音により、測定時刻となったことを認識する。
【0055】
図5及び図6は、パルスオキシメーター10において実行される測定時処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部11と記憶部16に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0056】
まず、制御部11は、パルスオキシメーター10の指挿入口20に指が挿入されたか否かを判断する(ステップS1)。具体的には、制御部11は、測定部12の発光部(LED)に微弱な電流を流し続け、受光部(センサー)から出力される信号を常時検出する。指挿入口20に指が挿入されたタイミングで、受光部から出力される信号が変化するため、それをトリガーとして、制御部11は、測定を開始させる。
指挿入口20に指が挿入されない場合には(ステップS1;NO)、ステップS1に戻る。
【0057】
指挿入口20に指が挿入された場合には(ステップS1;YES)、制御部11は、記憶部16に記憶されている測定回数カウンターを1にする(ステップS2)。
【0058】
次に、制御部11は、測定部12を制御して、SpO2と脈拍数を測定させる(ステップS3)。
ここで、制御部11は、計時部18により計時される現在日時に基づいて、測定部12による測定が開始された時から、既定時間測定されたか否かを判断する(ステップS4)。既定時間は、1回の測定時間として定められた時間であり、任意に変更可能である。
【0059】
既定時間測定されていない場合には(ステップS4;NO)、制御部11は、パルスオキシメーター10の指挿入口20に指が挿入されたままの状態であるか否かを判断する(ステップS5)。具体的には、制御部11は、測定部12の受光部(センサー)から出力される信号に基づいて、指挿入口20に指が挿入されているか、指挿入口20から指が抜けているかを判断する。
指挿入口20に指が挿入されたままの状態である場合には(ステップS5;YES)、制御部11は、ステップS3に戻り、測定を継続させる。
【0060】
ステップS5において、指挿入口20に指が挿入されたままの状態でない場合(ステップS5;NO)、すなわち、指挿入口20から指が抜けている場合には、制御部11は、「正しく測定できませんでした」というメッセージを表示部14に表示させ(ステップS6)、ステップS1に戻る。
【0061】
ステップS4において、既定時間測定された場合には(ステップS4;YES)、制御部11は、測定部12による測定が適正な測定であるか否かを判断する(ステップS7)。例えば、制御部11は、測定部12により得られた測定データに基づいて、異常信号[L]、血流循環不足、異常信号[H]、体動等のエラー(誤測定)が発生しているか否かを判断し、エラーが発生している場合には、適正な測定でないと判断する。
【0062】
測定部12による測定が適正な測定である場合には(ステップS7;YES)、制御部11は、測定部12により測定された測定値が異常値であるか否かを判断する(ステップS8)。具体的には、制御部11は、記憶部16に記憶されている設定情報161(図3参照)から「通知SpO2閾値」を取得し、測定部12により測定されたSpO2が「通知SpO2閾値」以下である場合に、異常値であると判断し、測定部12により測定されたSpO2が「通知SpO2閾値」より大きい場合に、異常値でないと判断する。
なお、脈拍数についても、予め設定されている閾値(上限及び下限)に基づいて、異常値であるか否かを判断してもよい。
【0063】
測定部12により測定された測定値が異常値でない場合には(ステップS8;NO)、制御部11は、SpO2と脈拍数の測定値を表示部14に表示させる(ステップS9)。制御部11は、測定値とともに、「正しく測定されました」等のメッセージを表示部14に表示させることとしてもよい。
【0064】
図7に、表示部14に表示される測定値画面141の例を示す。測定値画面141には、SpO2表示領域141Aと脈拍数表示領域141Bが含まれる。SpO2表示領域141Aには、SpO2の測定値が表示され、脈拍数表示領域141Bには、脈拍数の測定値が表示される。
【0065】
次に、制御部11は、SpO2と脈拍数の測定値を記憶部16に記憶させる(ステップS10)。具体的には、制御部11は、記憶部16の測定情報テーブル162(図4参照)に対し、レコードNo「1」のレコードとして、測定日、測定時刻、SpO2、脈拍数を対応付けて格納し、エラーコードは空欄とする。測定日及び測定時刻は、計時部18から取得した現在日時の日付及び時刻とする。なお、測定情報テーブル162において、今回の測定前に格納されていた各レコードは、レコードNoをそれぞれ1大きい値に変更する。つまり、レコードNo「1」であったレコードは、レコードNo「2」のレコードとし、レコードNo「2」であったレコードは、レコードNo「3」のレコードとし、以下同様とする。記憶部16の記憶容量に残量がない場合には、1番古いレコードを消去する。
【0066】
ステップS7において、測定部12による測定が適正な測定でない場合(ステップS7;NO)、又は、ステップS8において、測定部12により測定された測定値が異常値である場合には(ステップS8;YES)、制御部11は、測定部12により既定回数測定されたか否かを判断する(ステップS11)。具体的には、制御部11は、記憶部16に記憶されている測定回数カウンターの値が既定回数に達したか否かを判断する。既定回数は、測定を複数回繰り返す際の測定回数の上限として定められた値であり、任意に変更可能である。
【0067】
測定部12による測定が既定回数未満である場合には(ステップS11;NO)、制御部11は、再測定通知処理を行う(ステップS12)。再測定通知処理は、再測定が必要であること、再測定の理由や対策を通知する処理である。
【0068】
ここで、図8を参照して、再測定通知処理について説明する。
まず、制御部11は、直近の測定が適正な測定であったか否かを判断する(ステップS31)。つまり、制御部11は、異常値(ステップS8;YES)であるためにステップS11の処理に至ったか、誤測定(ステップS7;NO)であるためにステップS11の処理に至ったかを判断する。
【0069】
ステップS31において、直近の測定が適正な測定であった場合(ステップS31;YES)、すなわち、直近の測定が異常値であった場合には(ステップS7;YES、ステップS8;YES、ステップS11;NO)、制御部11は、表示部14にSpO2と脈拍数の測定値を点滅表示させる(ステップS32)。患者は、測定値の点滅表示により、当該測定値が異常値であることを認識する。SpO2と脈拍数のうち、異常値である方のみを点滅表示させることとしてもよい。
【0070】
次に、制御部11は、異常値であるため、再測定が必要であることを通知する(ステップS33)。例えば、制御部11は、測定結果が異常値であったため、再測定が必要である旨のメッセージを表示部14に表示させて、患者に再測定を促す。また、制御部11は、測定結果が異常値であったため、再測定が必要である旨の音声をスピーカー15により出力させることとしてもよい。
【0071】
ステップS31において、直近の測定が適正な測定でなかった場合(ステップS31;NO)、すなわち、直近の測定が誤測定であった場合には(ステップS7;NO、ステップS11;NO)、制御部11は、SpO2及び脈拍数の測定値と、エラー情報を表示部14に表示させる(ステップS34)。
【0072】
具体的には、制御部11は、測定値画面(図7参照)と、誤測定の種類に対応したエラーメッセージ画面(図9(a)~(d)参照)と、を交互に表示部14に表示させる。
【0073】
図9(a)~(d)に、表示部14に表示されるエラーメッセージ画面142~145の例を示す。
図9(a)に示すエラーメッセージ画面142には、異常信号[L]のエラー情報が含まれる。異常信号[L]のエラーが発生した場合、被検者は、例えば、パルスオキシメーター10を装着する指を変えるか、正しい位置に装着し直す。
【0074】
図9(b)に示すエラーメッセージ画面143には、血流循環不足のエラー情報が含まれる。血流循環不足のエラーが発生した場合、被検者は、測定部位をマッサージ等で温めることで、血流の改善を図る。
【0075】
図9(c)に示すエラーメッセージ画面144には、異常信号[H]のエラー情報が含まれる。異常信号[H]のエラーが発生した場合、被検者は、安定した脈波信号を得られる部位を探して装着し直すか、しばらく時間をおき、安静にしてから測定する。
【0076】
図9(d)に示すエラーメッセージ画面145には、体動のエラー情報が含まれる。体動のエラーが発生した場合、被検者は、測定部位をできるだけ動かさないようにする。図9(d)は、エラーメッセージ画面145に測定値も含まれている場合の例である。
【0077】
次に、制御部11は、誤測定の理由、誤測定を防ぐための対策とともに、再測定が必要であることを通知する(ステップS35)。例えば、制御部11は、体動による影響で誤測定と判断された場合には、「指を動かさないでください」というメッセージを表示部14に表示させる等、誤測定の理由や対策、再測定が必要である旨のメッセージを表示部14に表示させて、患者に再測定を促す。また、制御部11は、誤測定の理由や対策、再測定が必要である旨の音声をスピーカー15により出力させることとしてもよい。
ステップS33又はステップS35の後、再測定通知処理が終了する。
【0078】
次に、図5に戻り、制御部11は、記憶部16に記憶されている測定回数カウンターの値に1を加算し(ステップS13)、ステップS3に戻る。
【0079】
ステップS11において、測定部12により既定回数測定された場合(ステップS11;YES)、すなわち、記憶部16に記憶されている測定回数カウンターの値が既定回数に達した場合には、図6に移行する。
【0080】
ここで、制御部11は、直近の測定が適正な測定であったか否かを判断する(ステップS14)。つまり、制御部11は、異常値(ステップS8;YES)であるためにステップS11の処理に至ったか、誤測定(ステップS7;NO)であるためにステップS11の処理に至ったかを判断する。
【0081】
ステップS14において、直近の測定が適正な測定であった場合(ステップS14;YES)、すなわち、直近の測定が異常値であった場合には(ステップS7;YES、ステップS8;YES、ステップS11;YES)、制御部11は、表示部14にSpO2と脈拍数の測定値を点滅表示させる(ステップS15)。患者は、測定値の点滅表示により、当該測定値が異常値であることを認識する。SpO2と脈拍数のうち、異常値である方のみを点滅表示させることとしてもよい。
【0082】
次に、制御部11は、SpO2と脈拍数の測定値を記憶部16に記憶させる(ステップS16)。処理の詳細については、ステップS10と同様である。
【0083】
ステップS14において、直近の測定が適正な測定でなかった場合(ステップS14;NO)、すなわち、直近の測定が誤測定であった場合には(ステップS7;NO、ステップS11;YES)、制御部11は、SpO2及び脈拍数の測定値と、エラー情報を表示部14に表示させる(ステップS17)。
【0084】
具体的には、制御部11は、測定値画面(図7参照)と、誤測定の種類に対応したエラーメッセージ画面(図9(a)~(d)参照)と、を交互に表示部14に表示させる。
【0085】
なお、ステップS17において、制御部11は、測定値(SpO2と脈拍数)とエラーコード(L、P、H、A等)とを交互に表示部14に表示させることとしてもよい。
また、ステップS17において、制御部11は、測定値とエラーコードを同時に表示部14に表示させることとしてもよい。
また、誤測定の場合、測定値は信頼できる値ではないため、ステップS17において、制御部11は、測定値の表示を省略し、エラー情報のみを表示部14に表示させることしてもよい。
【0086】
次に、制御部11は、SpO2と脈拍数の測定値、エラー情報を記憶部16に記憶させる(ステップS18)。具体的には、制御部11は、記憶部16の測定情報テーブル162(図4参照)に対し、レコードNo「1」のレコードとして、測定日、測定時刻、SpO2、脈拍数、エラーに対応するエラーコードを格納する。測定日及び測定時刻は、計時部18から取得した現在日時とする。なお、測定情報テーブル162において、今回の測定前に格納されていた各レコードは、レコードNoをそれぞれ1大きい値に変更する。
【0087】
ステップS16又はステップS18の後、制御部11は、記憶部16に記憶されている設定情報161(図3参照)から施設電話番号を取得し、施設電話番号を通知する(ステップS19)。具体的には、制御部11は、施設電話番号を音声出力するための音声データを生成し、この音声データに基づいて、スピーカー15により施設電話番号を音声にて出力させる。
【0088】
ここで、制御部11は、計時部18により計時される現在日時に基づいて、施設電話番号の通知が開始されてから既定時間以上経過したか否かを判断する(ステップS20)。既定時間は、施設電話番号の通知時間として定められた時間であり、任意に変更可能である。
施設電話番号の通知が開始されてから既定時間以上経過していない場合には(ステップS20;NO)、制御部11は、ステップS19に戻り、施設電話番号の通知を継続させる。
【0089】
ステップS10の後、又は、ステップS20において、施設電話番号の通知が開始されてから既定時間以上経過した場合には(ステップS20;YES)、制御部11は、表示部14を消灯させる(ステップS21)。
以上で、測定時処理が終了する。
【0090】
図10は、パルスオキシメーター10において実行される測定履歴表示処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部11と記憶部16に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0091】
まず、制御部11は、操作部13の側面ボタン13Aが押下されたか否かを判断する(ステップS41)。
側面ボタン13Aが押下されない場合には(ステップS41;NO)、ステップS41に戻る。
【0092】
側面ボタン13Aが押下された場合には(ステップS41;YES)、制御部11は、記憶部16の測定情報テーブル162(図4参照)から最新の測定値を取得し、最新の測定値を表示部14に表示させる(ステップS42)。具体的には、制御部11は、測定情報テーブル162からレコードNo「1」のデータ(SpO2、脈拍数、測定日、測定時刻)を取得し、表示部14に表示させる。
【0093】
図11に、表示部14に表示される測定履歴画面146の例を示す。測定履歴画面146には、SpO2表示領域146A、脈拍数表示領域146B、測定日時表示領域146Cが含まれる。SpO2表示領域146Aには、レコードNo「1」のSpO2の測定値が表示され、脈拍数表示領域146Bには、レコードNo「1」の脈拍数の測定値が表示される。測定日時表示領域146Cには、レコードNo「1」の測定日及び測定時刻が表示される。
【0094】
次に、制御部11は、操作部13の側面ボタン13Aが再度押下されたか否かを判断する(ステップS43)。
側面ボタン13Aが再度押下された場合には(ステップS43;YES)、制御部11は、記憶部16の測定情報テーブル162から、表示中の測定値より測定日時が一つ前の測定値を取得し、一つ前の測定値を表示部14に表示させる(ステップS44)。具体的には、制御部11は、測定情報テーブル162から、表示中の測定値のレコードNoより1だけ大きいレコードNoのデータ(SpO2、脈拍数、測定日、測定時刻)を取得し、表示部14に表示させる。
【0095】
ステップS44の後、又は、ステップS43において、側面ボタン13Aが再度押下されない場合には(ステップS43;NO)、制御部11は、計時部18により計時される現在日時に基づいて、表示部14の表示が切り替わってから既定時間以上経過したか否かを判断する(ステップS45)。既定時間は、測定値の表示時間として定められた時間であり、任意に変更可能である。
【0096】
表示部14の表示が切り替わってから既定時間以上経過していない場合には(ステップS45;NO)、ステップS43に戻り、処理が繰り返される。
【0097】
ステップS45において、表示部14の表示が切り替わってから既定時間以上経過した場合には(ステップS45;YES)、制御部11は、表示部14を消灯させる(ステップS46)。
以上で、測定履歴表示処理が終了する。
【0098】
以上説明したように、本実施の形態におけるパルスオキシメーター10によれば、所定の条件を満たした場合に、記憶部16に記憶されている施設電話番号(連絡先情報)を出力するので、パルスオキシメーター10の被検者に適切な情報を提供することができる。
具体的には、パルスオキシメーター10は、スピーカー15から施設電話番号を音声出力したり、表示部14に施設電話番号を表示させたりすることで、施設電話番号を報知することができる。そのため、被検者は、報知された施設電話番号宛てに電話をかけることができる。
【0099】
また、測定部12による測定が適正な測定であり、測定部12により測定された測定値が異常値であった場合に、施設電話番号(連絡先情報)を出力することで、患者の容態に異常が発生した場合に、患者に施設電話番号を伝え、即座に電話をするように促すことができる。
異常が発生している状態で、患者が連絡すべき施設の電話番号を探すのは、面倒な作業であり、特に、体調が悪化している時には、困難であると考えられる。測定値が異常値であった場合に、パルスオキシメーター10が連絡先情報を出力することは、患者の命を守る上で重要である。
【0100】
なお、測定時処理(図5及び図6参照)では、測定部12により測定された測定値が異常値であった場合だけでなく、測定部12による測定が適正な測定でない場合(誤測定の場合)にも、施設電話番号(連絡先情報)を通知することとしたが、誤測定の場合に連絡先情報を出力するか否かは、選択可能としてもよい。ただし、誤測定の場合に連絡先情報を通知することで、被検者は、パルスオキシメーター10の不具合を連絡することが可能となる。
【0101】
また、測定時処理では、施設電話番号の通知(音声出力)が開始されてから既定時間が経過した場合に、音声出力を停止することとしたが、操作部13の側面ボタン13Aが押下された場合に、施設電話番号の音声出力を停止することとしてもよい。
【0102】
また、測定部12による測定が適正な測定である場合に、測定部12により測定された測定値を表示(出力)することで、被検者に測定値を提示することができる。
【0103】
また、測定部12による測定が誤測定である場合に、エラー情報を出力することで、被検者に誤測定であることを通知することができる。
【0104】
また、記憶部16(測定情報テーブル162)に測定値(SpO2、脈拍数)やエラー情報(エラーコード)を記憶させることで、パルスオキシメーター10における測定履歴を記録することができる。
【0105】
〔変形例〕
次に、変形例について説明する。
変形例におけるパルスオキシメーターは、上記実施の形態に示したパルスオキシメーター10と同様の構成であるため、図1(a)及び(b)、図2等を援用して、詳細な説明を省略する。以下、変形例に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0106】
変形例におけるパルスオキシメーター10は、表示部14における表示及びスピーカー15からの音声出力に代えて、患者のスマートフォンに情報を出力する。
スマートフォンは、Bluetooth方式の無線通信により外部装置との間でデータ通信を行う無線通信部、表示部、スピーカー、通話機能等を備える。
【0107】
パルスオキシメーター10を使用する患者は、パルスオキシメーター10とスマートフォンのペアリングを設定しておく。例えば、パルスオキシメーター10をペアリングモードにした状態で、スマートフォンにおいて、周囲のBluetooth通信可能な機器を検索し、接続対象とするパルスオキシメーター10を指定することで、ペアリングを行う。
【0108】
パルスオキシメーター10の制御部11は、所定の条件を満たした場合に、記憶部16に記憶されている連絡先情報(施設電話番号)を出力する。
具体的には、制御部11は、無線通信部17を介して、Bluetooth方式の無線通信により、患者のスマートフォン(外部装置)に連絡先情報を出力する。すなわち、変形例では、制御部11及び無線通信部17が、出力部として機能する。例えば、制御部11は、測定部12による測定が適正な測定であり、測定部12により測定された測定値が異常値であった場合に、無線通信部17を介して、患者のスマートフォンに連絡先情報を出力(送信)する。
【0109】
パルスオキシメーター10からBluetooth方式の無線通信により、連絡先情報がスマートフォンに出力されると、スマートフォンの表示部に連絡先情報が表示されたり、スマートフォンのスピーカーから連絡先情報が音声出力されたりする。
スマートフォンは、通話機能を備えているため、患者は、パルスオキシメーター10から送信された施設電話番号に基づいて、そのまま電話をかけることができる。
【0110】
また、パルスオキシメーター10の制御部11は、測定部12による測定が適正な測定であるか又は誤測定であるかを判断し、測定部12による測定が適正な測定である場合に、無線通信部17を介して、測定部12により測定された測定値をスマートフォンに出力し、測定部12による測定が誤測定である場合に、無線通信部17を介して、エラー情報をスマートフォンに出力する。
【0111】
パルスオキシメーター10からスマートフォンに測定値が出力されると、スマートフォンの表示部に測定値が表示される。
パルスオキシメーター10からスマートフォンにエラー情報が出力されると、スマートフォンの表示部にエラー情報が表示される。また、スマートフォンのスピーカーからエラー情報が音声出力されてもよい。
また、パルスオキシメーター10から出力された測定値やエラー情報を、スマートフォン側で蓄積・管理することとしてもよい。
【0112】
変形例におけるパルスオキシメーター10によれば、無線通信部17を介して、無線通信によりスマートフォン(外部装置)に連絡先情報を出力するので、パルスオキシメーター10の被検者に適切な情報を提供することができる。特に、小型のパルスオキシメーター10の場合には、患者のスマートフォンの表示部に連絡先情報を表示させることで、パルスオキシメーター10の表示部14を使用する場合と比較して、より大きく、より詳細に情報を表示させることができる。
【0113】
パルスオキシメーター10と患者のスマートフォンとの無線通信は、Bluetoothに限定されず、NFC(Near Field Communication)、ZigBee(登録商標)等を利用することとしてもよい。
【0114】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係るパルスオキシメーターの例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0115】
例えば、上記実施の形態及び変形例では、測定部12がSpO2及び脈拍数を測定する場合について説明したが、測定部12は被検者の少なくともSpO2を測定可能であればよい。
【0116】
また、上記実施の形態では、パルスオキシメーター10の測定部12により得られた測定データから被検者の体動を検出することとしたが、振動センサーや加速度センサー等の出力結果に基づいて、体動を検出することとしてもよい。
【0117】
また、エラー(誤測定)の種類については、上記の例に限定されるものではない。例えば、プローブと機器本体(表示部、操作部等)とがケーブルで接続された構成のパルスオキシメーターにおいては、プローブが機器本体から外れている場合や、ケーブルが断線している場合に、誤測定であると判断することとしてもよい。
【0118】
また、本発明は、Apple Watch(登録商標)のような反射型のパルスオキシメーターにも適用可能である。
【0119】
各処理を実行するためのプログラムを格納するコンピューター読み取り可能な媒体としては、上記の例に限定されず、可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0120】
10 パルスオキシメーター
11 制御部
12 測定部
13 操作部
14 表示部
15 スピーカー
16 記憶部
17 無線通信部
141 測定値画面
142~145 エラーメッセージ画面
146 測定履歴画面
161 設定情報
162 測定情報テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11