IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイム技研株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-火炎センサの状態表示装置 図1
  • 特開-火炎センサの状態表示装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018136
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】火炎センサの状態表示装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/26 20060101AFI20220120BHJP
   G08B 5/00 20060101ALI20220120BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20220120BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
F23N5/26 101Z
G08B5/00 A
F23N5/24 113
G08B23/00 510B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121016
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000108557
【氏名又は名称】タイム技研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂
【テーマコード(参考)】
3K003
3K068
5C083
5C087
【Fターム(参考)】
3K003XA04
3K003XB02
3K003XC03
3K068NA05
3K068PB02
5C083AA02
5C083CC08
5C083DD07
5C083DD09
5C083EE02
5C083HH26
5C083JJ30
5C087AA11
5C087AA16
5C087DD04
5C087DD08
5C087EE05
5C087FF04
5C087GG03
5C087GG06
5C087GG31
5C087GG66
(57)【要約】
【課題】火炎センサの出力電圧に対して段階的に複数の閾値を定め、火炎センサの出力電圧が超えた閾値に応じた点灯パターンでLEDなどを点灯表示することにより、測定器などを用いることなく簡易に火炎センサの状態を視覚的に認識可能にする火炎センサの状態表示装置を提供すること。
【解決手段】燃焼装置2の火炎を検知して着火状態に相関した出力電圧を出力する火炎センサ10と、火炎センサ10からの出力電圧VSに対して、段階的に少なくとも2つ以上の閾値を設定し、設定した閾値を出力電圧VSが超えた場合に、超えた閾値に応じて点灯および点滅表示するLED18とを備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼手段の火炎を検知して着火状態に相関した出力電圧を出力する火炎センサと、
前記火炎センサからの前記出力電圧に基づいて点灯表示する表示手段とを備えた火炎センサの状態表示装置であって、
前記表示手段は、前記火炎センサからの前記出力電圧に対して、段階的に少なくとも2つ以上の閾値を予め設定するとともに、前記各々の閾値毎に異なる点灯パターンを予め設定し、
前記出力電圧が設定した前記閾値の一閾値を超えた場合、超えた前記一閾値に対して設定された前記点灯パターンで点灯表示することを特徴とする火炎センサの状態表示装置。
【請求項2】
前記段階的に設定する少なくとも2つ以上の閾値は、前記燃焼手段が消火時における、前記火炎センサが出力する前記出力電圧の上限電圧と下限電圧との間において段階的に設定した少なくとも2つ以上の閾値および、
前記燃焼手段が燃焼時における、前記火炎センサが出力する前記出力電圧の上限電圧と下限電圧との間において段階的に設定した少なくとも2つ以上の閾値であることを特徴とする請求項1に記載の火炎センサの状態表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、発光素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の火炎センサの状態表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、少なくとも緑色を発光するLEDと赤色を発光するLEDとを有する複数色の光を発光可能な発光素子であることを特徴とする請求項3に記載の火炎センサの状態表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示の技術は、燃焼手段の着火、消火等を制御する燃焼制御装置に使用される火炎センサの状態表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼制御装置は、燃焼手段、例えばバーナ等の燃焼器の着火状態を火炎センサで検出し、火炎センサから出力される検出信号から火炎検知信号を燃焼制御装置に出力する炎検出装置が具備され、この炎検出装置からの火炎検知信号に基づいて燃焼制御装置は、着火、燃料供給料、消火等に関する制御を行い、目的とする負荷の温度を制御している。しかしながら、燃焼中に炎検出回路または火炎センサが故障すると、危険な燃焼を継続してしまうことから、火炎検出回路の異常を検出する方法が特許文献1などに開示されている。
【0003】
特許文献1には、火炎センサにより、燃焼手段の火炎を検出して着火状態に比例した火炎検出信号を炎検出回路に出力し、炎検出回路から出力される火炎検知電位を燃焼シーケンス実行中にモニタする火炎検知電位モニタ手段と、火炎検知電位をあらかじめ設定される上限判定電位および下限判定電位で判定する異常判定手段とからなり、火炎検知電位が上限判定電位と下限判定電位との電位範囲から逸脱した場合に(炎検出回路の)故障発生を示す判定パルス信号をコントローラに出力する火炎検出回路の異常検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63-156921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
火炎センサは、常時燃焼に晒されるため、劣化しやすく、定期的に交換などのメンテナンスが必要である。火炎検知電位の上限判定電位と下限判定電位との電位範囲から逸脱は、(燃焼の炎以外の)外光の偶発的な入射、炎検出回路の誤配線などでも生じるが、主には火炎センサの劣化や(短絡などの)故障が起因となる。特許文献1に開示された方法では、炎検出回路の故障発生を示す信号により、燃焼シーケンスを停止し、危険な燃焼の継続を抑止できるものの、事前に火炎センサの劣化や故障を検知するものではなく、そのため、一時的に危険な燃焼状態に晒されるおそれがある。また、事前に火炎センサの劣化や故障を検知するために、例えば、測定器などを用いて定期的に検査することも考えられるが、このような検査は、とても煩雑となる。
【0006】
本願に開示される技術は、上記の課題に鑑み提案されたものであって、火炎センサの出力電圧に対して段階的に複数の閾値を定め、火炎センサの出力電圧が超えた閾値に応じた点灯パターンでLEDなどを点灯表示することにより、測定器などを用いることなく簡易に火炎センサの状態を視覚的に認識可能にする火炎センサの状態表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため請求項1に係る火炎センサの状態表示装置は、燃焼手段の火炎を検知して着火状態に相関した出力電圧を出力する火炎センサと、火炎センサからの出力電圧に基づいて点灯表示する表示手段とを備えた火炎センサの状態表示装置であって、表示手段は、火炎センサからの出力電圧に対して、段階的に少なくとも2つ以上の閾値を予め設定するとともに、各々の閾値毎に異なる点灯パターンを予め設定し、出力電圧が設定した閾値の一閾値を超えた場合、超えた一閾値に対して設定された点灯パターンで点灯表示することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る火炎センサの状態表示装置は、請求項1に記載の火炎センサの状態表示装置であって、段階的に設定する少なくとも2つ以上の閾値は、燃焼手段が消火時における、火炎センサが出力する出力電圧の上限電圧と下限電圧との間において段階的に設定した少なくとも2つ以上の閾値および、燃焼手段が燃焼時における、火炎センサが出力する出力電圧の上限電圧と下限電圧との間において段階的に設定した少なくとも2つ以上の閾値であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る火炎センサの状態表示装置は、請求項1または2に記載の火炎センサの状態表示装置であって、表示手段は、発光素子であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る火炎センサの状態表示装置は、請求項3に記載の火炎センサの状態表示装置であって、表示手段は、少なくとも緑色を発光するLEDと赤色を発光するLEDとを有する複数色の光を発光可能な発光素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る火炎センサの状態表示装置では、火炎センサの出力電位に対して少なくとも2つ以上の閾値を段階的に設定し、超えた閾値毎に設定した点灯パターンで表示手段により表示することから、測定器などを用いることなく、火炎センサの状態を視覚的に把握することができるようになる。このため、火炎センサの劣化や(短絡などの)故障を簡易に発見できることから、火炎センサの交換などのメンテナンスを適切に実施することが可能になり、火炎センサの劣化や故障を起因とする危険な燃焼の継続を未然に抑止することができる。
【0012】
請求項2に係る火炎センサの状態表示装置では、火炎センサの劣化や故障は、燃焼時の炎検知センサの出力電位だけではなく、消火時での火炎センサの出力電位からも検知できる。そのため、燃焼時において2つ以上の閾値を段階的に設定するとともに、消火時においても2つ以上の閾値を段階的に設定して、表示手段により火炎センサの状態を把握できるようにすれば、火炎センサの劣化や故障がより確実に認識できる。これにより、火炎センサの交換などのメンテナンスをより効率的に行うことができる。
【0013】
請求項3に係る火炎センサの状態表示装置では、表示手段にLEDなどの発光素子を採用することにより、簡易な構成で火炎センサの状態を可視にて認識できる。そのため、低コストで火炎センサの状態を表示することができる。
【0014】
請求項4に係る火炎センサの状態表示装置では、例えば、燃焼時には赤色を発光し、また、消火時には緑色を発光することにより、視覚的により簡易に火炎センサの状態を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明にかかる一実施形態である火炎センサの状態表示装置を含む燃焼制御装置のブロック図である。
図2】FLAME電圧とSEN信号とLED表示の関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明にかかる一実施形態である火炎センサの状態表示装置を含む燃焼制御装置1について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明にかかる一実施形態である燃焼制御装置1と燃焼制御装置1に接続する燃焼装置2とを示すブロック図である。燃焼制御装置1は、燃焼装置2に対して着火、燃料供給料、消火等に関する制御を実施し、燃焼装置2において目的とする負荷の温度を制御する。
【0018】
図1に示すように、燃焼制御装置1は、火炎センサ10とフィルタ回路11とからなるセンサ回路5と、センサ回路5とケーブル12を介して接続する制御本体部3とから構成される。そして、燃焼制御装置1においてセンサ回路5から本実施形態の表示手段であるLED18に至る破線で囲まれた部分が本発明にかかる火炎センサの状態表示装置の一実施形態である火炎センサの状態表示回路4である。
【0019】
火炎センサ10にはCdSセルを採用してもよいが、近年、RoHS(Restriction of Hazardous Substances;危険物質に関する制限)指令等の化学物質規制によりCd(カドミウム)の使用が制限されているため、本実施形態では、半導体受光素子であるフォトダイオードを採用している。
【0020】
火炎センサ10は、燃焼装置2の燃焼/消火を検知するものであるため燃焼装置2内に設置されている。そのため、上述したように、(火炎センサ10を含む)センサ回路5と燃焼制御装置1の制御本体部3とはケーブル12を介して接続されている。また、センサ回路5において火炎センサ10とケーブル12との間には、ケーブル12に重畳するノイズを除去するためにフィルタ回路11が接続されている。本実施形態では、フィルタ回路11には、ケーブル12に重畳する高周波ノイズを除去するため、(図示しない)抵抗やコンデンサなどから構成されるローパスフィルタ回路が組み込まれている。
【0021】
火炎センサ10からの出力電流は、制御本体部3のプルアップ抵抗R1と入力抵抗R2とにより電圧に変換されて出力電位VSとしてコンパレータ14と作動アンプ15に入力される。
【0022】
着火判定電位13は、燃焼装置2が着火したと判定する基準電位VRを出力する。着火判定電位13から出力された基準電位VRと火炎センサ10の出力電位VSとがコンパレータ14に入力し、コンパレータ14により基準電位VRと火炎センサ10の出力電位VSとを比較し、コンパレータ14の出力に接続したプルアップ抵抗R3とダイオードD1とにより、燃焼装置2が燃焼状態の場合はHIGHレベル信号(VCC)を、また、燃焼装置2が消火状態の場合はLOWレベル信号(0V)を、制御回路16に入力するようになっている。また、コンパレータ14の出力は入力抵抗R4を介してコントローラ17にも入力される。これにより、制御回路16に入力されたHIGHレベル信号/LOWレベル信号の情報もコントローラ17に入力される。コントローラ17は、(図示しない)CPUやメモリなどを含み、メモリに記憶されているプログラムにより演算処理を実施する。
【0023】
制御回路16は、コンパレータ14から入力されたHIGHレベル信号(VCC)/LOWレベル信号(0V)(以下、これを「SEN信号」という)とコントローラ17からの入力される入力信号とから燃焼装置2内の(図示しない)電磁弁などを制御する信号を燃焼装置2に出力する。
【0024】
一方、作動アンプ15に入力された火炎センサ10の出力電位VSは、作動アンプ15によりインピーダンス変換されて、コントローラ17に入力する。ここで、作動アンプ15により出力電位VSをインピーダンス変換するのは、コントローラ17内のCPUが仮に誤動作した場合でも出力電位VSやコンパレータ14に影響を与えることを抑止することを目的とする。コントローラ17に入力した火炎センサ10の出力電位VS(以下、これを「FLAME電圧」という)は、コントローラ17内の(図示しない)A/Dコンバータによりデジタル信号に変換し、コントローラ17内で演算処理され、コントローラ17に接続したLED18を点灯/消灯制御する。本実施形態では、LED18は、緑色の光を発光するLED(LD1)と赤色の光を発光するLED(LD2)との2色LEDを採用している。これにより、LED18は緑色の光、赤色の光および橙色の光(青と赤を同時点灯)の3色の光を発光することができる。ここで、上述したように、燃焼制御装置1においてセンサ回路5から本実施形態の表示手段であるLED18に至る回路が本発明にかかる火炎センサの状態表示回路4であり、下述するように、FLAME電圧をコントローラ17で演算処理してLED18を点灯/消灯制御することにより火炎センサ10の状態(すなわち、正常なのか、或いは劣化や故障などが生じているのか)を操作者が測定器を用いることなく確認できるため、火炎センサ10の劣化或いは故障などを簡易に発見できるようになる。
【0025】
次に、火炎センサの状態表示回路4におけるLED18の表示方法について説明する。図2は、FLAME電圧とSEN信号とLED18の点灯表示(図中の「LED表示」の欄)の関係を示す表である。
【0026】
図2に示すように、コントローラ17内では、FLAME電圧(コントローラ17に入力する火炎センサ10の出力電位)に対して、予め、4.19V、3.80V、3.65V、3.50Vおよび3.15Vの5つの閾値が段階的に設定されている。消火時および燃焼時においてFLAME電圧がこれら段階的に設定された閾値を超えると、LED18は図2の「LED表示」の欄に示すように設定された光の色で、点灯或いは(所定の間隔で)点滅するようになっている。
【0027】
まず、火炎センサ10が正常である場合について説明する。この場合、燃焼装置2が消火状態であれば、FLAME電圧(コントローラ17に入力する火炎センサ10の出力電位)は(制御本体部3の電源電圧VCCである)4.50Vから4.19Vの範囲に維持される。また、燃焼装置2が燃焼状態であれば、FLAME電圧は3.15Vから0Vの範囲で維持される。そして、燃焼装置2が消火状態であれば、コンパレータ14から出力されるSEN信号(HIGHレベル信号(VCC)/LOWレベル信号(0V))はLOWレベル信号を出力し、燃焼装置2が燃焼状態であれば、SEN信号はHIGHレベル信号を出力する。このような場合、図2の「LED表示」の欄に示すように、燃焼装置2が消火状態であれば、LED18は緑色の光を点灯(常時点灯)し、燃焼装置2が燃焼状態であれば、LED18は橙色の光を点灯(常時点灯)する。
【0028】
火炎センサ10が長時間燃焼に晒されて劣化したり、または、短絡などの故障が生じた場合、FLAME電圧は、上述の正常の範囲から逸脱する。例えば、燃焼装置2が消火状態の場合に、FLAME電圧が正常範囲の下限である4.19Vを超えて下降する場合がある。この場合、図2の左側の「LED表示」の欄に従い、LED18は、FLAME電圧が4.19V超えて下降すると、緑色の光のまま、DUTY(デューティ)比75%で、1秒間隔で点滅し、さらに、3.80Vを超えて下降すると、緑色の光のまま、DUTY(デューティ)比30%で、1秒間隔で点滅し、そして、3.65Vを超えて下降すると、緑色の光のまま、DUTY(デューティ)比50%で、0.5秒間隔で点滅するようにコントローラ17において設定されている。FLAME電圧が3.50Vを超えて下降する場合は、図2の中央の「SEN信号」の欄に従い、SEN信号がLOWレベル信号からHIGHレベル信号になり、コントローラ17内組み込まれたプログラムにより指示した制御信号(この場合「消火信号」)との不一致から、コントローラ17は火炎センサ10の異常を検知し、例えば、LED18が赤色の光を点灯するようにして、火炎センサ10の異常を表示するようにしてもよい。また、本実施形態で採用する火炎センサ10は、燃焼装置2が消火状態において、火炎センサ10が短絡するとFLAME電圧が0.5V以下になることから、閾値に0.5Vを追加し、FLAME電圧が0.5V以下の場合には上記とは異なる点灯パターンでLED18を点灯表示させてもよい。この場合、火炎センサ10の短絡も検知することができる。
【0029】
一方、燃焼装置2が燃焼状態の場合においても同様で、火炎センサ10の劣化や故障などで、FLAME電圧が正常範囲の上限である3.15Vを超えて上昇することがある。この場合、図2の右側の「LED表示」の欄に従い、LED18は、FLAME電圧が3.15V超えて上昇すると、橙色の光のまま、DUTY(デューティ)比75%で、1秒間隔で点滅し、さらに、3.50Vを超えて上昇すると、橙色の光のまま、DUTY(デューティ)比30%で、1秒間隔で点滅し、そして、3.65Vを超えて上昇すると、橙色の光のまま、DUTY(デューティ)比50%で、0.5秒間隔で点滅するようにコントローラ17において設定されている。FLAME電圧が3.80Vを超えて上昇する場合は、図2の中央の「SEN信号」の欄に従い、SEN信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号になり、コントローラ17内組み込まれたプログラムにより指示した制御信号(この場合「燃焼信号」)との不一致から、コントローラ17は火炎センサ10の異常を検知し、例えば、燃焼装置2の燃焼を停止し、上記消火時と同様、LED18が赤色の光を点灯するようにして、火炎センサ10の異常を表示するようにしてもよい。
【0030】
図2および上述のように、SEN信号は、3.50Vから3.80Vの間でヒステリシスを設けており、これにより、SEN信号のチャタリングを抑止している。
【0031】
以上のように、本発明にかかる火炎センサの状態表示回路4では、コントローラ17内において、例えば、上記のように、4.19V、3.80V、3.65V、3.50Vおよび3.15Vの5つの閾値を段階的に設定して、FLAME電圧が各閾値を超えると超えた閾値に対して予め設定した表示パターンでLED18を点灯表示するため、どの段階の閾値を超えたかをLED18により測定器を用いることなく視覚的に認知することができる。そのため、簡易に火炎センサ10の劣化や故障を発見して、交換などのメンテナンスを実施することにより、火炎センサ10の故障を起因とする危険な燃焼の継続を未然に抑止することができるのである。
【0032】
ここで、火炎センサの状態表示回路4は火炎センサの状態表示装置の一例であり、燃焼装置2は燃焼手段の一例であり、火炎センサ10は火炎センサの一例であり、閾値4.19V、3.80V、3.65V、3.50Vおよび3.15Vは段階的に設定した少なくとも2つ以上の閾値の一例であり、LED18は表示手段の一例である。
【0033】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることが、理解されるべきである。
【0034】
例えば、上記の実施形態では、LED18は2色LEDを採用したが、表示手段はこれに限定されるものではなく、単色の光を発光する単一のLEDも採用可能であるし、赤色、黄色および青色の3色LEDを採用してマルチカラーで発光表示してもよい。
【0035】
また、上記の実施形態では、火炎センサ10の状態表示を、異なるDUTY(デューティ)比でLED18を点滅表示させて視覚的に区別できるようにしたが、表示方法はこれに限定されるものでなない。例えば、緑色の光を発光するLED(LD1)および/或いは赤色の光を発光するLED(LD2)の輝度を閾値の段階に準じて変化させ、色調により火炎センサ10の状態を表示してもよい。
【0036】
また、上記の実施形態では、4.19V、3.80V、3.65V、3.50Vおよび3.15Vの5つの閾値を段階的に設定したが、閾値の値は、用いた火炎センサの仕様に合わせて設定すればいいのであって、これら5つの閾値に限定されるものでなないし、閾値の数も用いた火炎センサの仕様に合わせて少なくとも2つ以上で、適宜閾値の数を設定すればよい。
【0037】
また、上記実施形態では、燃焼装置2が消火状態の場合には火炎センサ10の出力電圧であるFLAME電圧が(制御本体部3の電源電圧VCCである)4.50Vから4.19Vの範囲になり、燃焼装置2が燃焼状態の場合には火炎センサ10の出力電圧であるFLAME電圧が3.15Vから0Vの範囲になるが、火炎センサによっては、燃焼装置2が消火状態で火炎センサの出力電圧が0V付近に、また、燃焼状態で火炎センサの出力電圧がVCC(4.5V)付近にと、上記実施形態とは逆の出力電圧なる場合もある。このような場合は、閾値とLED18の点灯パターン(発光する色も含む)も、上記実施形態とは逆にして設定すればよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・燃焼制御装置
2・・燃焼装置
3・・制御本体部
4・・火炎センサの状態表示回路
5・・センサ回路
10・・火炎センサ
11・・フィルタ回路
12・・ケーブル
13・・着火判定電位
14・・コンパレータ
15・・作動アンプ
16・・制御回路
17・・コントローラ
18・・LED
図1
図2