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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181370
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20221201BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B41J29/38 201
G06F3/12 303
G06F3/12 339
G06F3/12 373
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088286
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 大悟
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HN05
2C061HN15
2C061HN19
2C061HP00
2C061HQ01
2C061HQ17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】利用者からの機器に対する処理要求が機器について契約元との間の契約に基づく利用条件に対応していない場合でも、当該利用者が同じ契約元との間で契約された組織に属している場合には、当該利用者が属している組織と契約元との間の契約に基づいて機器を利用可能にする情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】機器3の制御部は、利用者から機器に対する処理要求を受け付け、受け付けた処理要求が機器について契約元との間の契約に基づく第1の利用条件に対応していない場合、利用者が属する組織と前記契約元との関係を示す情報に基づいて同じ契約元との間の契約に基づく第2の利用条件を取得し、取得した第2の利用条件に基づいて処理要求を処理するように機器3を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、利用者から機器に対する処理要求を受け付け、受け付けた前記処理要求が前記機器について契約元との間の契約に基づく第1の利用条件に対応していない場合、前記利用者が属する組織と前記契約元との関係を示す情報に基づいて同じ前記契約元との間の契約に基づく第2の利用条件を取得し、取得した前記第2の利用条件に基づいて前記処理要求を処理するように前記機器を制御する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第2の利用条件は、前記処理要求に基づいて取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理要求は、前記第2の利用条件を含み、
前記第2の利用条件の取得は、前記処理要求から取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理要求は、前記第2の利用条件に紐付いた情報を含み、
前記第2の利用条件の取得は、前記処理要求から前記情報を取得し、取得した前記情報から前記第2の利用条件を取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報は、前記第2の利用条件の取得先を示す情報である、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の利用条件に基づいて行った処理を履歴情報として記憶する記憶手段を、さらに備えた請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記第2の利用条件を取得した場合、前記第2の利用条件を前記記憶手段に記憶する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理要求が前記第1の利用条件に対応していない場合は、画像処理に関する処理である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記画像処理に関する処理は、カラー印刷、印刷上限枚数又はスキャン画像の転送を含む、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記画像処理に関する処理は、セキュリティに関する処理を含む、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記契約元との契約の無い利用者から前記処理要求を受け付けた場合、前記利用者をゲストユーザとして、受け付けた前記処理要求の処理を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記ゲストユーザは、前記第1の利用条件よりも利用できる機能が制限される、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
制限される前記機能は、カラー印刷、印刷上限枚数又はスキャン画像の転送を含む、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記セキュリティに関する処理を制限せずに適用する、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、取得した前記第2の利用条件に対応することができない場合、受け付けた前記処理要求の実行を行わない、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
コンピュータに、
利用者から機器に対する処理要求を受け付け、受け付けた前記処理要求が前記機器について契約元との間の契約に基づく第1の利用条件に対応していない場合、前記利用者が属する組織と前記契約元との関係を示す情報に基づいて同じ前記契約元との間の契約に基づく第2の利用条件を取得し、取得した前記第2の利用条件に基づいて前記処理要求を処理するように前記機器を制御させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、保守契約種別の変更に伴う画像形成装置の切り替え、運用、管理を容易かつ確実に行えるようにする画像形成システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された画像形成システムは、画像形成装置の保守契約に対応した画像形成装置のファームウェアを更新するファームウェア更新モジュールと、保守契約に対応した設定項目及び設定項目に対応した設定値の設定を画像形成装置に指示するプロファイル指示モジュールと、ファームウェア更新モジュールを読み込んでファームウェアの更新を行うとともに、プロファイル指示モジュールを読み込み、該プロファイルモジュールの指示に基づいて、画像形成装置の保守契約に対応した設定項目及び設定項目に対応した設定値を設定する画像形成装置と、から構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-56771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、利用者からの機器に対する処理要求が機器について契約元との間の契約に基づく利用条件に対応していない場合でも、当該利用者が同じ契約元との間で契約された組織に属している場合には、当該利用者が属している組織と契約元との間の契約に基づいて機器を利用可能にする情報処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]プロセッサを備え、
前記プロセッサは、利用者から機器に対する処理要求を受け付け、受け付けた前記処理要求が前記機器について契約元との間の契約に基づく第1の利用条件に対応していない場合、前記利用者が属する組織と前記契約元との関係を示す情報に基づいて同じ前記契約元との間の契約に基づく第2の利用条件を取得し、取得した前記第2の利用条件に基づいて前記処理要求を処理するように前記機器を制御する、情報処理装置。
[2]前記第2の利用条件は、前記処理要求に基づいて取得する、前記[1]に記載の情報処理装置。
[3]前記処理要求は、前記第2の利用条件を含み、
前記第2の利用条件の取得は、前記処理要求から取得する、前記[2]に記載の情報処理装置。
[4]前記処理要求は、前記第2の利用条件に紐付いた情報を含み、
前記第2の利用条件の取得は、前記処理要求から前記情報を取得し、取得した前記情報から前記第2の利用条件を取得する、前記[2]に記載の情報処理装置。
[5]前記情報は、前記第2の利用条件の取得先を示す情報である、前記[4]に記載の情報処理装置。
[6]前記第2の利用条件に基づいて行った処理を履歴情報として記憶する記憶手段を、さらに備えた前記[1]に記載の情報処理装置。
[7]前記プロセッサは、前記第2の利用条件を取得した場合、前記第2の利用条件を前記記憶手段に記憶する、前記[6]に記載の情報処理装置。
[8]前記処理要求が前記第1の利用条件に対応していない場合は、画像処理に関する処理である、前記[1]に記載の情報処理装置。
[9]前記画像処理に関する処理は、カラー印刷、印刷上限枚数又はスキャン画像の転送を含む、前記[8]に記載の情報処理装置。
[10]前記画像処理に関する処理は、セキュリティに関する処理を含む、前記[8]に記載の情報処理装置。
[11]前記契約元との契約の無い利用者から前記処理要求を受け付けた場合、前記利用者をゲストユーザとして、受け付けた前記処理要求の処理を行う、前記[1]に記載の情報処理装置。
[12]前記ゲストユーザは、前記第1の利用条件よりも利用できる機能が制限される、前記[11]に記載の情報処理装置。
[13]制限される前記機能は、カラー印刷、印刷上限枚数又はスキャン画像の転送を含む、前記[12]に記載の情報処理装置。
[14]前記セキュリティに関する処理を制限せずに適用する、前記[12]に記載の情報処理装置。
[15]前記プロセッサは、取得した前記第2の利用条件に対応することができない場合、受け付けた前記処理要求の実行を行わない、前記[1]に記載の情報処理装置。
[16]コンピュータに、利用者から機器に対する処理要求を受け付け、受け付けた前記処理要求が前記機器について契約元との間の契約に基づく第1の利用条件に対応していない場合、前記利用者が属する組織と前記契約元との関係を示す情報に基づいて同じ前記契約元との間の契約に基づく第2の利用条件を取得し、取得した前記第2の利用条件に基づいて前記処理要求を処理するように前記機器を制御させるプログラム。
【発明の効果】
【0007】
請求項1、15、16に係る発明によれば、利用者からの機器に対する処理要求が機器について契約元との間の契約に基づく利用条件に対応していない場合でも、当該利用者が同じ契約元との間で契約された組織に属している場合には、当該利用者が属している組織と契約元との間の契約に基づいて機器を利用可能となる。
請求項2に係る発明によれば、処理要求を解析することで、第2の利用条件を取得することができる。
請求項3に係る発明によれば、処理要求から第2の利用条件を直接取得することができる。
請求項4に係る発明によれば、処理要求に含まれる情報にアクセスすることで第2の利用条件を取得することができる。
請求項5に係る発明によれば、処理要求に含まれる取得先にアクセスすることで第2の利用条件を取得することができる。
請求項6に係る発明によれば、履歴情報に基づいて課金処理を行うことができる。
請求項7に係る発明によれば、次回処理要求の際に、利用者が同じ契約元との間で契約された組織に属しているか否かの判断を省くことができる。
請求項8、9に係る発明によれば、当該利用者が属している組織と契約元との間の契約に基づいて、画像処理を行う機能を有する機器を利用することができる。
請求項10に係る発明によれば、第2の利用条件に対応してセキュリティに関する処理を行うことができる。
請求項11に係る発明によれば、ゲストユーザでも機器を利用することができる。
請求項12-14に係る発明によれば、ゲストユーザでも機能が制限された範囲内で機器を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理システムの概略の構成例を示す図である。
図2図2は、サーバの構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、サーバが保持する証明書情報テーブルの一例を示す図である。
図4図4は、サーバが保持するジョブ履歴情報テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、機器の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、機器が保持する契約情報テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、ユーザ端末の構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、プリントジョブの構成の一例を示す図である。
図9図9は、情報処理システムの動作の一例をフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0010】
[実施の形態の要約]
本実施の形態に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、プロセッサは、利用者から機器に対する処理要求を受け付け、受け付けた処理要求が機器について契約元との間の契約に基づく第1の利用条件に対応していない場合、利用者が属する組織と前記契約元との関係を示す情報に基づいて同じ契約元との間の契約に基づく第2の利用条件を取得し、取得した第2の利用条件に基づいて処理要求を処理するように機器を制御する。
【0011】
「契約」とは、契約元(例えば、F社)としての機器を提供する側と機器を利用する側(例えば、A社、B社)との間で締結した当該機器の利用条件や保守サポートの条件を取り決めた契約をいう。機器を利用する側(例えば、A社)は、機器を管理する側として、機器を共有スペースに設置して機器を管理してもよい。共有スペースとは、異なる組織(例えば、A社、B社)に所属する利用者が機器を共有して使用可能なスペースをいう。共有スペースは、例えば、シェアオフィス、レンタルオフィス、コワーキングスペース等が該当する。なお、機器を管理する側は、契約元でもよい。
【0012】
「第1の利用条件」とは、契約元(例えば、F社)と機器を管理及び利用する側(例えば、A社)との間の契約に基づく機器の利用条件をいう。第2の利用条件とは、契約元(例えば、F社)と機器を利用する側(例えば、B社)との間の契約に基づく機器の利用条件をいう。機器を提供、利用又は管理する側は、通常は組織である。本明細書において、組織は、例えば、企業、大学、個人事業主等が該当する。
【0013】
処理要求が「第1の利用条件に対応していない場合」には、例えば、次の場合がある。
(a)機器が有する機能の制限が第1の利用条件と第2の利用条件とで異なり、処理要求が機能の制限に関する処理の場合
例えば、処理要求がカラー印刷、スキャン画像の転送、セキュリティに関する処理であり、第1の利用条件ではカラー印刷、スキャン画像の転送、セキュリティに関する処理が禁止され、第2の利用条件ではそれらが許可されている場合等が該当する。ここで、カラー印刷、スキャン画像の転送、セキュリティに関する処理は、画像処理に関する処理の一例である。
(b)上限の利用回数が第1の利用条件と第2の利用条件とで異なり、処理要求が上限の利用回数に関する処理の場合
例えば、第1の利用条件では印刷上限枚数が50枚であるのに対し、第2の利用条件では印刷上限枚数が100枚である場合等が該当する。ここで、印刷上限枚数は、画像処理に関する処理の一例である。
(c)課金単位が第1の利用条件と第2の利用条件とで異なる場合
例えば、第1の利用条件では、N枚の画像を1枚の用紙の片面に印刷する「Nアップ印刷」が片面印刷と同じ課金としているが、第2の利用条件では、N枚の画像に応じた課金としている場合等が該当する。
【0014】
機器の利用者は、契約元と契約している組織に属する利用者に限られず、契約元と契約していない利用者(契約元と契約していない組織に属する利用者を含む。)でもよい。契約元と契約していない利用者の場合、セキュリティに関する処理が要求されていなくてもセキュリティに関する処理を実行してもよい。
【0015】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理システムの概略の構成例を示す図である。
【0016】
この情報処理システム1は、サーバ2と、機器3と、機器3の利用者(ユーザともいう。)が使用する複数のユーザ端末4A、4B(これらを総称するときは「ユーザ端末4」ともいう。)とを有する。サーバ2、機器3及びユーザ端末4は、ネットワーク5を介して互いに接続されている。なお、同図では、機器3を1つ図示するが、複数でもよい。また、ユーザ端末4は、機器3を利用する際にネットワーク5に接続してもよい。機器3の後述する制御部30は、情報処理装置の一例である。
【0017】
機器3及び複数のユーザ端末4は、共有スペース6に設置されている。図1では、例えば、A社に所属する社員Paがユーザ端末4Aを使用し、B社に所属する社員Pbがユーザ端末4Bを使用する場合を示す。A社、B社は、組織の一例である。社員Pa、Pbは、利用者及びユーザの一例である。
【0018】
サーバ2は、機器3の利用状況を管理し、機器3の利用に応じた課金処理を行う。ここで「課金処理」とは、例えば、利用者が保有するポイント数から機器3の利用に応じたポイント数を減算する処理をいう。
【0019】
機器3は、例えば、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、電子メール機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有する複合機である。複合機は、画像形成装置の一例である。
【0020】
機器3は、ユーザ端末4からジョブが送信され、又は後述する操作表示部32を操作して、ジョブが要求された場合、要求されたジョブを実行する。また、機器3は、ジョブの実行を完了すると、後述するジョブ履歴情報テーブル311に記録し、ジョブ履歴情報をサーバ2に送信する。なお、機器3は、定期的(例えば、毎日18時)にジョブ履歴情報をサーバ2に送信してもよい。
【0021】
ユーザ端末4は、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理端末である。なお、ユーザ端末4は、ノート型パソコン、タブレット端末等の携帯型情報処理端末や、多機能携帯電話機(スマートフォン)等の移動通信端末でもよい。
【0022】
ネットワーク5は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、インターネット等であり、有線でも無線でもよい。
【0023】
(サーバの構成)
図2は、サーバ2の構成の一例を示すブロック図である。サーバ2は、制御部20と、記憶部21と、ネットワーク5に接続された通信部22とを備える。
【0024】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、インターフェース等から構成されている。制御部20のプロセッサは、記憶部21に記憶されたプログラム210を実行することにより、機器3の利用状況を管理し、機器3の利用に応じた課金処理を行う。制御部20が行う課金処理では、ジョブ履歴情報テーブル212(図4参照)に基づいて、文書の印刷に応じた印刷ポイント数を利用者が保有する印刷ポイント数から減算し、課金情報テーブル213に記録する。
【0025】
記憶部21は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等から構成され、プログラム210、契約情報テーブル211(図3参照)、ジョブ履歴情報テーブル212(図4参照)、課金情報テーブル213等の各種の情報を記憶する。課金情報テーブル213は、ユーザIDごとにユーザが保有するポイント数を記録している。
【0026】
通信部22は、ネットワーク5を介して機器3及びユーザ端末4A、4Bと通信する。
【0027】
図3は、サーバ2が保持する契約情報テーブル211の一例を示す図である。契約情報テーブル211は、「機器ID」、「契約元名」、「利用企業名」、「契約データ」、「セキュリティ設定」、「ジョブ履歴情報表記」、「本体」等の複数の項目を有する。これらの項目からなる契約情報は、保守契約等の契約の内容に基づいて、又は契約に基づく管理者の指示に基づいて、サーバ2の制御部20により記録される。契約情報は、ユーザが所属している企業が、機器3を提供する企業と保守契約を締結していることを示すものである。「契約データ」及び「セキュリティ設定」は、利用条件211aに関する項目であるが、これらに限られない。制御部20は、保守契約の内容から利用条件211aに関する情報を抽出し、「契約データ」及び「セキュリティ設定」に記録する。
【0028】
ここで、契約元(例えば、F社)と機器3を管理している組織(例えば、A社)との契約に基づく利用条件211aは、第1の利用条件の一例である。また、契約元(例えば、F社)と機器3を管理していないが機器3を利用する組織(例えば、B社)との契約に基づく利用条件211aは、第2の利用条件の一例である。
【0029】
「機器ID」には、機器3を識別する機器IDが記録される。「契約元名」には、契約元の企業の名称(以下「企業名」という、)が記録される。「利用企業名」には、機器3を利用する企業名が記録される。「契約データ」には、保守契約のうち機器で実行する処理条件に関する設定項目が記録される。同図に示す「白黒」は、白黒印刷のみが許可され、カラー印刷は禁止されることを意味する。「セキュリティ設定」には、セキュリティに関する設定項目が記録される。同図に示す「UUID」は、Universally Unique Identifierの略であり、ジョブごとにジョブを識別するIDを印刷する設定を意味する。「ジョブ履歴情報表記」には、ジョブ履歴情報テーブル212の「利用企業名」の記録する形式が記録される。「本体」には、契約情報データの実体が記録される。契約情報データは、機器ID、契約元名、利用企業名、契約データ、セキュリティ設定、ジョブ履歴情報表記の各項目に対応するデータである。
【0030】
図4は、サーバ2が保持するジョブ履歴情報テーブル212の一例を示す図である。ジョブ履歴情報テーブル212は、「機器ID」、「利用企業名」、「ユーザID」、「ジョブ種別」、「ページ数」、「メータ種別」等の複数の項目を有する。これらの項目からなるジョブ履歴情報は、機器3から定期的(例えば、毎日18時)又はジョブ実行後に送信され、制御部20によって記録される。
【0031】
「機器ID」には、機器3を識別する機器IDが記録される。「利用企業名」には、機器3を利用する企業名が記録される。「ユーザID」には、ユーザを識別するユーザIDが記録される。「ジョブ種別」には、ジョブの種類が記録される、「ページ数」には、ジョブで実行された文書のページ枚数が記録される。「メータ種別」には、課金が異なるメータの種類(例えば、白黒印刷の場合はメータ1、カラー印刷の場合はメータ2)が記録される。
【0032】
(機器の構成)
図5は、機器3の構成の一例を示すブロック図である。機器3は、機器3の各部を制御する制御部30を有し、この制御部30に、記憶部31、操作表示部32、画像読取部33、画像形成部34、通信部35を接続している。
【0033】
制御部30は、CPU等のプロセッサ、インターフェース等から構成されている。制御部30のプロセッサは、記憶部31に記憶されたプログラム310を実行することにより、プリントジョブ、スキャンジョブ、コピージョブ、スキャン画像転送ジョブ等のジョブを実行する。プリントジョブ及びコピージョブは、それぞれ印刷ジョブともいう。プリントジョブ、スキャンジョブ、コピージョブは、処理要求の一例である。
【0034】
プリントジョブとは、ユーザ端末4から送信されるジョブに含まれる印刷データを画像形成部34により用紙に印刷して出力するジョブである。プリントジョブ10には、後述する図7に示すように、ジョブを要求するユーザID等の属性情報11と、証明書情報12と、印刷設定情報13と、印刷データ14とが含まれている。
【0035】
スキャンジョブとは、画像読取部33で原稿から画像データ(スキャン画像ともいう。)を読み取るジョブである。コピージョブとは、スキャンジョブによって得られたスキャン画像を画像形成部34により用紙に印刷して出力するジョブである。
【0036】
スキャン画像転送ジョブとは、原稿を画像読取部33で読み取って得られたスキャン画像を指定された転送先に転送するジョブである。
【0037】
記憶部31は、ROM、RAM、ハードディスク等から構成され、プログラム310、ジョブ履歴情報テーブル311、契約管理テーブル312(図6参照)等の各種の情報を記憶する。ジョブ履歴情報テーブル311は、図4に示すジョブ履歴情報テーブル212のうち自己の機器3に関するジョブ履歴情報が記録される。
【0038】
操作表示部32は、情報の入力及び表示を行うものである。操作表示部32は、例えば、タッチパネルディスプレイであり、液晶ディスプレイ等のディスプレイにタッチパネルを重ねて配置した構成を有する。
【0039】
画像読取部33は、原稿台上に設けられた自動給紙装置と、原稿台に配置された原稿、又は自動給紙装置により送られた原稿からスキャン画像を光学的に読み取るスキャナとを備える。
【0040】
画像形成部34は、給紙カセットから給紙された用紙に、例えば、電子写真方式、インクジェット方式等により画像を形成することで印刷物を作成する。画像形成部34は、図8に示すように、PDL(Page Description Language)で記述された印刷データ14をラスターデータからなる画像データに変換し、プリントジョブ10に含まれる印刷設定情報13に従って画像データを用紙に印刷する。
【0041】
通信部35は、ネットワーク5を介してサーバ2、機器3及びユーザ端末4に接続されている。
【0042】
通信部35は、ネットワークインタフェースカード(NIC)、モデム等を備え、NICによりネットワーク5を介してサーバ2、ユーザ端末4A、4B、外部装置と通信し、モデムによりファクシミリ通信に必要な信号の変調・復調を行い、ネットワーク5を介して外部の通信装置とファクシミリ通信を行う。
【0043】
図6は、機器3が保持する契約管理テーブル312の一例を示す図である。契約管理テーブル312は、「ユーザID」、「ユーザが所属する企業名」、「契約元名」の各項目を有する。これらの項目からなる契約情報は、管理者の操作に基づいて制御部30により記録される。なお、機器3を管理する企業名(例えば、A社)の項目を設けてもよい。
【0044】
「ユーザID」には、ユーザを識別するユーザIDが記録される、「ユーザが所属する企業名」には、ユーザが所属する企業名(例えば、B社)が記録される。「契約元」には、ユーザが所属する企業と保守契約している機器3を提供する企業の企業名(例えば、F社)が記録される。
【0045】
制御部30は、利用者から処理要求を受け付け、受け付けた処理要求が機器3について契約元(例えば、F社)と機器3を管理している組織(例えば、A社)との間の保守契約に基づく証明書情報12に含まれる利用条件(以下、第1の利用条件ともいう。)に対応しているか否かを判断する。第1の利用条件に対応していない場合、制御部30は、契約管理テーブル312に基づいて、同じ契約元(例えば、F社)と利用者が属する組織(例えば、B社)との間の保守契約に基づく証明書情報12に含まれる利用条件(以下、第2の利用条件ともいう。)を取得し、取得した第2の利用条件に基づいて処理要求を処理するように機器3を制御する。
【0046】
(ユーザ端末の構成)
図7は、ユーザ端末4の構成の一例を示すブロック図である。ユーザ端末4は、CPU等のプロセッサ、インターフェース等で実現され、ユーザ端末4の各部を制御する制御部40と、プロセッサのプログラム410や、証明書情報411、印刷対象の文書412等の各種の情報を記憶する記憶部41と、液晶ディスプレイ等で実現される表示部42と、キーボード、マウス等で実現される入力部43と、ネットワーク5を介してサーバ2及び機器3と通信する通信部44とを備えている。
【0047】
記憶部41に記憶されるプログラム410には、プリンタドライバ等が含まれている。また、記憶部41に記憶される証明書情報は、ユーザ又はユーザが所属する組織を検証するための証明書情報であり、ユーザ又はユーザが所属する組織に対応してサーバ2が生成して発行し、ユーザ端末4が取得して記憶される。
【0048】
制御部40は、ユーザの操作に基づいてプリントジョブ10(図7参照)等の各種のジョブを生成する。
【0049】
図8は、プリントジョブ10の構成の一例を示す図である。プリントジョブ10は、属性情報11、証明書情報12、印刷設定情報13、印刷データ14を含む。属性情報11には、プリントジョブ10を指示したユーザIDが含まれる。証明書情報12は、ユーザ端末4の記憶部41に記憶された証明書情報411を読み出してプリントジョブ10に付与したものである。印刷データ14は、プリンタドライバにより、文書が機器3が解釈できるページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたものである。
【0050】
(情報処理システムの動作)
次に、情報処理システム1の動作の一例を、図9を参照して説明する。図9は、情報処理システム1の動作の一例をフローチャートである。以下、処理要求としてプリントジョブを実行する場合について説明する。
【0051】
(1)プリントジョブの生成
ユーザがユーザ端末4の入力部43を操作して、印刷対象の文書412を選択し、プリントジョブの実行を指示すると、制御部40は、文書412をPDLからなる印刷データ14に変換し、証明書情報411を記憶部41から読み出し、プリントジョブ10を生成する。プリントジョブ10は、図8に示すように、ユーザID、証明書情報12、印刷設定情報13及び印刷データ14を含む。なお、証明書情報411をサーバ2に対し検証依頼を行い、検証されると、契約情報をサーバ2から取得してもよく、この場合は、証明書情報411の代わりに契約情報そのものをプリントジョブ10に含ませるようにしてもよい。
【0052】
(2)プリントジョブの実行
ユーザ端末4からプリントジョブ10を機器3に送信し、機器3の制御部30は、ユーザ端末4からプリントジョブ10を受け付けると(S1)、プリントジョブ10を解釈し(S2)、プリントジョブ10に証明書情報12が含まれているか否かを判断する(S3)。
【0053】
プリントジョブ10に証明書情報12が含まれている場合(S3:Yes)、証明書情報12を読み出してサーバ2へ検証を依頼する。この際に、ユーザIDとともにサーバ2へ送信する。サーバ2で証明書情報が検証され、証明書情報に対応した契約情報テーブル211に記述された契約情報を取得する。この取得した契約情報を参照し、取得した契約情報の契約元が、利用しようとしている機器3を提供する企業と同じであるか否かを、契約管理テーブル312を参照して判断する(S4)。
【0054】
例えば、ユーザがB社の社員Pb(ユーザIDがUser002)の場合、取得した契約情報に契約管理テーブル312含まれている契約元名がF社であるので、利用しようとしている機器3を提供する企業と同じであると判断する。
【0055】
契約元が同じ場合(S4:Yes)、プリントジョブ10に含まれている証明書情報12で検証された際に取得できる契約情報に含まれる利用条件に関する情報が記憶部31に記憶されているか否かを判断する(S5)。
【0056】
利用条件が記憶部31に記憶されている場合(S5:Yes)、制御部30は、例えば、B社の社員Pbが要求したプリントジョブ10が、機器3を管理している企業(例えば、A社)と契約元(例えば、F社)を同じとするB社の契約に基づく利用条件211bに対応していると判断し、上記利用条件211aに対応するようにプリントジョブ10を実行する(S6)。例えば、B社では利用条件211aの契約データで許可された処理が白黒印刷であってカラー印刷が禁止されている場合、印刷設定情報13にカラー印刷が含まれている場合でも白黒印刷が実行される。
【0057】
上記ステップ3において、プリントジョブ10に証明書情報12が含まれていない、又はサーバ2による検証が失敗した場合(S3:No)、制御部30は、操作表示部32又はユーザ端末4の表示部42に対してエラー表示を行う(S8)。
【0058】
上記ステップ4において、契約元が異なる場合(S4:No)、ゲストユーザとして受け付けたプリントジョブ10は、機器の管理者がゲストユーザに対して設定した利用条件のもとでジョブの処理を実行する(S10)。なお、契約元が異なる場合(S4:No)、プリントジョブを実行せずにエラー表示をしてもよい。
【0059】
上記ステップS5において、利用条件に関する情報が記憶部31に記憶されていない場合(S5:No)、制御部30はサーバ2に対し、証明書情報を送信して検証を依頼し、検証されたことに基づき取得した契約情報を記憶部31に記憶する(S9)。
【0060】
記憶部31に新たに記憶した証明書情報12に含まれる利用条件211aに対応するようにプリントジョブ10を実行する(S6)。例えば、A社でカラー印刷が認められていない場合でも、B社では利用条件211aの契約データでカラー印刷が認められている場合、印刷設定情報13で白黒印刷が指定されていれば、白黒印刷が実行され、カラー印刷が指定されていれば、カラー印刷が実行される。
【0061】
(3)ジョブ履歴の記録処理
プリントジョブ10の実行が完了すると、制御部30は、ジョブ履歴情報をサーバ2に送信する。サーバ2は、受信したジョブ履歴情報を記録する(S7)。サーバ2は、プリントジョブ10に応じて課金処理を行う。
【0062】
(変形例1)
上記実施の形態では、機器3の制御部30が情報処理装置として機能する場合について説明したが、サーバ2が情報処理装置として機能してもよい。すなわち、サーバ2が利用者から機器3に対する処理要求を受け付け、受け付けた処理要求が機器3について契約元との間の契約に基づく第1の利用条件に対応していない場合、利用者が属する組織と契約元との関係を示す情報に基づいて同じ契約元との間の契約に基づく第2の利用条件を取得し、取得した第2の利用条件に基づいて処理要求を処理するように機器3を制御してもよい。
【0063】
(変形例2)
上記実施の形態では、プリントジョブ10に証明書情報12を含ませたが、証明書情報12の代わりに、契約情報の取得先(例えば、サーバ2)を示す情報(例えばURL)を記録し、機器3の制御部30がURLにアクセスしてユーザ情報を送信して認証依頼を行い、ユーザ情報で認証されることにより、サーバ2から契約情報を取得してもよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、実施が可能である。
【0065】
プロセッサの各手段は、それぞれ一部又は全部を再構成可能回路(FPGA:Field Programmable Gate Array)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエア回路によって構成してもよい。
【0066】
上記実施の形態において、プロセッサは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC、FPGA、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0067】
また、上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0068】
また、上記実施の形態の構成要素の一部を省くことや変更してもよい。また、上記実施の形態のフローにおいて、ステップの追加、削除、変更、入替え等を行ってもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができ、クラウドサーバ等の外部サーバに格納しておき、ネットワークを介して利用することもできる。
【符号の説明】
【0069】
1…情報処理システム、2…サーバ、3…機器、4、4A、4B…ユーザ端末、
5…ネットワーク、6…共有スペース、10…プリントジョブ、11…属性情報、
12…証明書情報、13…印刷設定情報、14…印刷データ、20…制御部、
21…記憶部、22…通信部、30…制御部、31…記憶部、32…操作表示部、
33…画像読取部、34…画像形成部、35…通信部、40…制御部、
41…記憶部、42…表示部、43…入力部、44…通信部、210…プログラム、
211…契約情報テーブル、211a…利用条件、
212…ジョブ履歴情報テーブル、213…課金情報テーブル、
310…プログラム、311…ジョブ履歴情報テーブル、
312…契約管理テーブル、410…プログラム、411…証明書情報、
412…文書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9