(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181387
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/00 20060101AFI20221201BHJP
B61L 25/02 20060101ALI20221201BHJP
B61K 13/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B61L25/00
B61L25/02 G
B61K13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088304
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】植松 尚大
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宗
(72)【発明者】
【氏名】木吉 英典
(72)【発明者】
【氏名】君塚 清
(72)【発明者】
【氏名】足立 和光
(72)【発明者】
【氏名】河永 淳二
(72)【発明者】
【氏名】三神 良平
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB02
5H161BB20
5H161DD01
5H161DD21
5H161FF05
(57)【要約】
【課題】走行体が走行する軌道の管理に有用な情報を生成できるようにする。
【解決手段】列車1には、衛星測位システム200を利用して軌道2に沿って複数の測位位置6の位置情報を取得する受信機300と、加速度、加速度、傾斜及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する測定装置400と、受信機300で取得した測位位置6の位置情報と、測定装置400で測定した軌道診断情報とを時刻を同期させて収集、保存するデータロガー500とが搭載されている。衛星測位システム200としてGNSS(全球衛星測位システム)を利用して、干渉測位を行うことにより、センチメータ級の高精度測位が実施される。情報処理装置600は、データロガー500で収集した測位位置6の位置情報を、それに最も近い基準点5の位置情報に置き換える。基準点5は、軌道2に沿って例えば25cm間隔で設定されており、その位置情報は既知の値である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体が走行する軌道の管理に利用される情報を生成する情報処理システムであって、
前記走行体に搭載され、衛星測位システムを利用して前記軌道に沿って複数の測位位置の位置情報を取得する取得装置と、
前記走行体に搭載され、加速度、角速度、傾斜及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する測定装置と、
前記取得装置で取得した前記測位位置の位置情報と、前記測定装置で測定した前記軌道診断情報とを時刻を同期させて収集する収集手段と、
前記収集手段で収集した前記測位位置の位置情報を、前記軌道に沿って設定された基準点の位置情報に基づいて補正する補正手段とを備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記補正手段は、前記収集手段で収集した前記測位位置の位置情報を、それに最も近い前記基準点の位置情報に置き換えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記収集手段で収集した前記軌道診断情報を用いて、前記基準点毎に軌道診断情報の平均値を算出する平均処理、フィルタリングによる異常値カット処理、分散処理、移動平均処理のうちの少なくともいずれか一つを含む演算を行う演算手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
レールの継ぎ目の位置情報、分岐区間の位置情報、及び踏切区間の位置情報のうちの少なくともいずれか一つを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記基準点は、前記軌道に沿って数十cm程度の間隔で設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記収集手段では、前記衛星測位システムから得られる時刻に基づいて同期させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記衛星測位システムとして全球衛星測位システムを利用して、干渉測位を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
走行体が走行する軌道の管理に利用される情報を生成する情報処理装置であって、
前記走行体に搭載され、衛星測位システムを利用して前記軌道に沿って複数の測位位置の位置情報を取得する取得装置と、前記走行体に搭載され、加速度、角速度、傾斜及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する測定装置とを用いて収集され、前記測位位置の位置情報と前記軌道診断情報との時刻を同期させたものを入力する入力手段と、
前記入力手段で入力した前記測位位置の位置情報を、前記軌道に沿って設定された基準点の位置情報に基づいて補正する補正手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
走行体が走行する軌道の管理に利用される情報を生成する情報生成方法であって、
前記走行体に搭載され、衛星測位システムを利用して前記軌道に沿って複数の測位位置の位置情報を取得する取得装置と、前記走行体に搭載され、加速度、角速度、傾斜及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する測定装置とを用いて、前記測位位置の位置情報と前記軌道診断情報とを時刻を同期させて収集するステップと、
前記収集した前記測位位置の位置情報を、前記軌道に沿って設定された基準点の位置情報に基づいて補正するステップとを有することを特徴とする情報生成方法。
【請求項10】
走行体が走行する軌道の管理に利用される情報を生成するためのプログラムであって、
前記走行体に搭載され、衛星測位システムを利用して前記軌道に沿って複数の測位位置の位置情報を取得する取得装置と、前記走行体に搭載され、加速度、角速度、傾斜及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する測定装置とを用いて、前記測位位置の位置情報と前記軌道診断情報とを時刻を同期させて収集する処理と、
前記収集した前記測位位置の位置情報を、前記軌道に沿って設定された基準点の位置情報に基づいて補正する処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行体が走行する軌道の管理に利用される情報を生成する情報処理システム、情報処理装置、情報生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車等の走行体が走行する軌道の管理に関する技術として、例えば特許文献1には、列車動揺が基準値を超える箇所を特定可能にする、GPSを用いた列車動揺箇所検出システムが開示されている。特許文献1では、GPS装置からの位置情報、時間情報、速度情報と、基準位置情報に基づき時間に対する列車の走行キロ程を求め、列車動揺が基準値を超えた時間を前記走行キロ程の時間に対応させ、列車動揺が基準値を超えた箇所を特定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにGPSを利用して測位する場合、測位精度が粗くなる場合がある。測位精度が粗いと、現場点検時に列車動揺が基準値を超えた箇所を特定しようとしても、その箇所を精度良く特定できなくなる。また、レールの継ぎ目、分岐区間、踏切区間等の軌道の構造に起因して異常ではない列車動揺が発生することがあるが、測位精度が粗いと、軌道の構造に起因する列車動揺(異常ではない列車動揺)が発生したのか、軌道の劣化に起因する列車動揺(異常な列車動揺)が発生したのかを精度良く分離できなくなる。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、走行体が走行する軌道の管理に有用な情報を生成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理システムは、走行体が走行する軌道の管理に利用される情報を生成する情報処理システムであって、前記走行体に搭載され、衛星測位システムを利用して前記軌道に沿って複数の測位位置の位置情報を取得する取得装置と、前記走行体に搭載され、加速度、角速度、傾斜、及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する測定装置と、前記取得装置で取得した前記測位位置の位置情報と、前記測定装置で測定した前記軌道診断情報とを時刻を同期させて収集する収集手段と、前記収集手段で収集した前記測位位置の位置情報を、前記軌道に沿って設定された基準点の位置情報に基づいて補正する補正手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の情報処理装置は、走行体が走行する軌道の管理に利用される情報を生成する情報処理装置であって、前記走行体に搭載され、衛星測位システムを利用して前記軌道に沿って複数の測位位置の位置情報を取得する取得装置と、前記走行体に搭載され、加速度、角速度、傾斜及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する測定装置とを用いて収集され、前記測位位置の位置情報と前記軌道診断情報との時刻を同期させたものを入力する入力手段と、前記入力手段で入力した前記測位位置の位置情報を、前記軌道に沿って設定された基準点の位置情報に基づいて補正する補正手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の情報生成方法は、走行体が走行する軌道の管理に利用される情報を生成する情報生成方法であって、前記走行体に搭載され、衛星測位システムを利用して前記軌道に沿って複数の測位位置の位置情報を取得する取得装置と、前記走行体に搭載され、加速度、角速度、傾斜及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する測定装置とを用いて、前記測位位置の位置情報と前記軌道診断情報とを時刻を同期させて収集するステップと、前記収集した前記測位位置の位置情報を、前記軌道に沿って設定された基準点の位置情報に基づいて補正するステップとを有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、走行体が走行する軌道の管理に利用される情報を生成するためのプログラムであって、前記走行体に搭載され、衛星測位システムを利用して前記軌道に沿って複数の測位位置の位置情報を取得する取得装置と、前記走行体に搭載され、加速度、角速度、傾斜及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する測定装置とを用いて、前記測位位置の位置情報と前記軌道診断情報とを時刻を同期させて収集する処理と、前記収集した前記測位位置の位置情報を、前記軌道に沿って設定された基準点の位置情報に基づいて補正する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、走行体が走行する軌道の管理に有用な情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理システム100の概略構成を示す図である。また、
図2は、列車1が走行する軌道2の概要を説明するための模式図である。軌道2は、レール3や枕木4等を含む構造物である。情報処理システム100は、軌道2の管理に利用される情報(以下、管理情報と称する)を生成する。
【0010】
図1に示すように、列車1には、受信機300と、測定装置400と、データロガー500と、情報処理装置600とが搭載されている。
【0011】
受信機300は、衛星測位システム200を利用して測位し、緯度、経度、及び高度からなる位置情報を取得する取得装置である。列車1の走行により、
図2に示すように、軌道2に沿って複数の位置(本願において測位位置と呼ぶ)6の位置情報が取得される。衛星測位システム200としてGPS(Global Positioning System)衛星や準天頂衛星システムみちびきを含むGNSS(全球衛星測位システム:Global Navigation Satellite System)を利用する。GNSSを利用して、人口衛星からの搬送波の位相を用いた干渉測位を行うことにより、センチメータ級の高精度測位が実施され、高精度に測位することが可能になる。実験では、準天頂衛星システムを利用することにより、移動時でも、例えば水平位置(緯度、経度)については90%を超える確度で20cm未満の誤差範囲内で位置情報を取得できることが確認されている。
【0012】
また、受信機300は、慣性センサ301を内蔵し、衛星測位システム200から受信できない状態(トンネルに入ったとき等)を想定して、列車1の車速パルスに基づいても測位位置6の位置情報を取得できるように構成される。なお、慣性センサを利用した位置情報の取得については公知の技術を利用すればよく、ここではその詳細な説明を省略する。
【0013】
測定装置400は、加速度、角速度、傾斜、及び軌間のうちの少なくともいずれか一つである軌道診断情報を測定する。すなわち、測定装置400として、列車1の加速度を測定する加速度測定装置、列車1の角速度を測定する角速度測定装置、列車1の傾斜を測定する傾斜測定装置、軌道2の軌間を測定する軌間測定装置の全て又は一部が搭載される。例えば加速度測定装置、角速度測定装置及び傾斜測定装置は、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサを適宜組み合わせて構成すればよい。また、軌間測定装置は、レーザ光を利用したプロファイル計によりレールエッジからの軌間を測定するように構成すればよい。測定装置400からは、例えば数msec~十数msec程度の間隔で連続的に軌道診断情報が出力される。
【0014】
データロガー500は、受信機300で取得した測位位置6の位置情報と、測定装置400で測定した軌道診断情報とを時刻を同期させて収集、保存する。データロガー500は、不図示のタイムサーバを利用する等して、衛星測位システム200から得られる時刻に基づいて、受信機300で取得した測位位置6の位置情報と、測定装置400で測定した軌道診断情報とを時刻を同期させて収集する。本実施形態では、データロガー500が本発明でいう収集手段として機能する。
【0015】
情報処理装置600は、データロガー500で収集した測位位置6の位置情報と軌道診断情報とに基づいて、管理情報を生成する。
情報処理装置600は、記憶部601と、入力部602と、補正部603と、演算部604と、出力部605とを備える。
【0016】
記憶部601は、
図2に示すように、軌道2に沿って設定された基準点5の位置情報を記憶する。基準点5は、軌道2に沿って数十cm程度(10cm~99cm)の間隔、例えば25cm間隔で設定される。固定的な各基準点5の位置情報は、例えば一等基準点を含むCAD図等を利用することにより、既知の値とすることができる。
【0017】
また、記憶部601は、レールの継ぎ目の位置情報、分岐区間の位置情報、及び踏切区間の位置情報を記憶する。レールの継ぎ目、分岐区間、及び踏切区間それぞれの位置情報は、例えば一等基準点を含むCAD図等を利用することにより、既知の値とすることができる。
【0018】
入力部602は、データロガー500で収集した測位位置6の位置情報と軌道診断情報とを入力する。位置情報と軌道診断情報とは、上述したように衛星測位システム200から得られる時刻に基づいて同時性が確保されたものであり、相互に対応付けられている。
【0019】
補正部603は、入力部602で入力した測位位置6の位置情報(すなわち、データロガー500で収集した測位位置6の位置情報)を、記憶部601に記憶されている基準点5の位置情報に基づいて補正する。具体的には、補正部603は、
図2の矢印7に例示するように、データロガー500で収集した測位位置6の位置情報を、それに最も近い基準点5の位置情報に置き換える。この結果、基準点5の位置情報と軌道診断情報とが相互に対応付けられることになる。GNSSを利用した干渉測位を行うことにより高精度な測位が可能であるので、測位位置6の位置情報を、それに最も近い基準点5の位置情報に置き換えたとしても、大きな位置ずれが生じることはない。なお、複数の測位位置6の位置情報が一の基準点5の位置情報に置き換えられることもありうる。本実施形態では、情報処理装置600の補正部603が本発明でいう補正手段として機能する。
【0020】
上述したようにGNSSを利用した干渉測位を行うことにより高精度な測位が可能であるが、衛星測位システムを利用する場合には、電離層の影響等で必ずゆらぎが発生することから、同位置でも位置情報が微妙にずれることがある。そのため、衛星測位システム200を利用して取得した位置情報をそのまま利用すると、例えば定点での軌道診断情報の経時変化が捉えにくくなる。そこで、衛星測位システム200を利用して取得した位置情報を、それに最も近い基準点5で得られたものとして置き換えることで、固定的な位置で日時が異なる軌道診断情報を比較することができ、定点での軌道診断情報の経時変化が捉えやすくなる。
【0021】
演算部604は、入力部602で入力した軌道診断情報(すなわち、データロガー500で収集した軌道診断情報)を用いて、基準点5毎に軌道診断情報の平均値を算出する平均処理、フィルタリングによる異常値カット処理、分散処理、移動平均処理のうちの少なくともいずれか一つを含む演算を行い、基準点5での軌道診断情報を求める。例えば複数の測位位置6の位置情報が一の基準点5の位置情報に置き換えられた場合、複数の測位位置6の位置情報に対応付けられている軌道診断情報の平均値を算出し、この平均値を当該基準点5での軌道診断情報とする。また、基準点5での軌道診断情報に、フィルタリングによる異常値カット処理、分散処理、移動平均処理によって得られる軌間変位、通り変位、水準変位、平面性変位、高低変位等を含んでもよい。
【0022】
出力部605は、管理情報として、例えば
図3に示すように、基準点5を特定する情報と、基準点5での軌道診断情報との関係を表す情報を出力する。基準点5を特定する情報としては、例えば基準点5の位置情報そのものでもよいし、各基準点5に識別情報が与えられている場合、識別情報でもよい。出力部605は、管理情報を不図示の表示部に表示する。このようにして生成された管理情報に基づいて、例えば現場点検時に、点検者が携帯型の衛星測位システムの受信機を持参することにより、点検者がいる点検位置と、点検位置近くの基準点5での軌道診断情報との突合せが容易であり、加速度、角速度、傾斜、軌間等の変化が現れた位置を精度良く特定することができる。
また、管理情報には、
図3に示すように、記憶部601に記憶されているレールの継ぎ目の位置情報、分岐区間の位置情報、踏切区間の位置情報を含めるようにする。これにより、例えば加速度、角速度、傾斜、軌間等の変化が現れたときに、これが軌道2の構造に起因するものなのか、軌道2の劣化に起因するものなのかを精度良く分離することができ、軌道2の劣化を的確に捉えることが可能になる。
【0023】
なお、
図3に示した管理情報は一例に過ぎず、これに限定されるものではない。例えば軌道2を含む地図を表示して、地図上で、各基準点5での軌道診断情報を表示するようにしてもよい。例えば軌道診断情報が正常範囲にある基準点5を緑色で表示し、軌道診断情報が所定の閾値th
1を超えた基準点5を「注意」を表す黄色で表示し、軌道診断情報が所定の閾値th
2(>th
1)を超えた基準点5を「異常」を表す赤色で表示する等の形態とすればよい。
また、出力部605による出力として、管理情報を表示部に表示する例を述べたが、これに限られるものではない。出力部605による出力として、例えば管理情報を不図示の記憶領域に記憶したり、他の機器に送信したりするようにしてもよい。
【0024】
このようにした情報処理装置600は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により構成され、CPUが例えばROMに格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより各部601~605の機能が実現される。
なお、情報処理装置600が列車1に搭載されるとしたが、これに限られるものではなく、列車1以外の場所に設置されるようにしてもよい。列車1の走行中にデータロガー500で収集した情報を、無線通信等のネットワークを介して、列車1以外の場所に設置された情報処理装置600に送信して、管理情報を生成するようにしてもよい。また、管理情報はリアルタイムに生成されなくてもよく、列車1の走行中にデータロガー500で収集した情報を、後から、列車1以外の場所に設置された情報処理装置600に入力して、管理情報を生成するようにしてもよい。
【0025】
以上述べたように、GNSSを利用した干渉測位を行うとともに、基準点5の位置情報を利用することにより、現場点検時に、点検者がいる点検位置と、点検位置近くでの軌道診断情報との突合せが容易であり、加速度、角速度、傾斜、軌間等の変化が現れた位置を精度良く特定することができ、センチメートルオーダーでの軌道の管理が可能になる。また、加速度、角速度、傾斜、軌間等の変化が現れたときに、これが軌道2の構造に起因するものなのか、軌道2の劣化に起因するものなのかを精度良く分離することができ、軌道2の劣化を的確に捉えることが可能になる。しかも、基準点5の位置情報を利用することにより、定点での軌道診断情報の経時変化が捉えやすくなる。このように、軌道2の管理に有用な情報を生成することができる。
【0026】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0027】
1:列車、2:軌道、100:情報処理システム、200:衛星測位システム、300:受信機、400:測定装置、500:データロガー、600:情報処理装置、601:記憶部、602:入力部、603:補正部、604:演算部、605:出力部