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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181398
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】空気管付き水中ポンプとその設備
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/08 20060101AFI20221201BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20221201BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
F04D13/08 Y
F04D29/60 B
F04D29/66 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088316
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000168193
【氏名又は名称】株式会社ミゾタ
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊勝
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB12
3H130AB23
3H130AB50
3H130AC07
3H130AC10
3H130BA13J
3H130BA13Z
3H130CA02
3H130DD01Z
3H130DG02X
3H130DG07X
3H130DJ04X
3H130EB04D
(57)【要約】
【課題】吸込口側の水位が全量排水運転可能な最低水位以下でも、定格回転数での運転を維持し、ポンプの起動と停止の繰り返しを抑制することを可能にする。
【解決手段】横軸の水中斜流ポンプ1には、羽根車32と対向して吐出口65が配置され、吸引された空気が吸込カバー5に設けられた吐出口65から供給される。水位下降時、気水混合運転に入る直前のタイミングで吐出口65から空気を供給させる。水中斜流ポンプ1のケーシング2内の水が瞬時に落水して、羽根車32が水を吐き出させなくなるため、ポンプ内圧力が下がり、フラップ弁4が自重と外水の圧力により閉じ、羽根車32が空気中に露出した気中待機運転(電動機3は定格回転数で回転駆動状態を継続)となる。振動が小さく、電動機3への負担が少ない。又、気中待機運転中に水位上昇すれば、吐出口65からの空気を遮断して、全量排水運転に瞬時に移行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に吸込口と他方に排出口を有したケーシングと、
前記ケーシング内に固定され回転駆動するための電動機と、
前記電動機の出力軸の軸心が水平である横方向、又は、前記軸心が水平から所定角度傾斜して配置され前記出力軸に連結されて回転駆動される羽根車と、
前記ケーシングに固定され、流体を吸い込むための開口部が形成された吸込カバーと
からなる水中ポンプにおいて、
前記羽根車の上流側で、かつ前記水中ポンプ内に配置された吐出口から空気を前記水中ポンプ内に吸引するための空気管と、
前記空気管への空気の供給、又は遮断するための空気開閉弁制御機構と
からなることを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の空気管付き水中ポンプにおいて、
前記空気管付き水中ポンプは、前記羽根車で駆動される流体の流路が前記軸心に対して傾斜している水中斜流ポンプ、又は前記流体の流路が前記軸心方向である水中軸流ポンプである
ことを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の空気管付き水中ポンプにおいて、
前記空気開閉弁制御機構は、前記空気管への空気の供給、又は遮断するための空気開閉弁と、
前記吸込口側の水位に応じて浮力により上下動するフロートと、
前記フロートの上下動を前記空気開閉弁に伝達して前記空気開閉弁の開閉を制御するレバー機構と
からなることを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項4】
請求項1ないし3から選択される1項に記載の空気管付き水中ポンプにおいて、
前記空気開閉弁制御機構は、前記空気開閉弁を開閉するときの水位のタイミングが、前記水位の上昇時と前記水位の下降時で異なるものである
ことを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項5】
請求項3に記載の空気管付き水中ポンプにおいて、
前記レバー機構は、一端が前記フロートに固定され、他端に開閉する蓋部となる前記空気開閉弁が設けられ、揺動軸を中心に揺動する
ことを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項6】
請求項4に記載の空気管付き水中ポンプにおいて、
前記空気開閉弁制御機構は、前記水位の上昇時と前記水位の下降時で、選択的に異なる2位置で係止する位置を有するフロートふらつき防止機構を有するものである
ことを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項7】
請求項6に記載の空気管付き水中ポンプにおいて、
前記フロートふらつき防止機構は、
前記水位の上昇時の位置で係止する第1係止部と、
前記水位の下降時の位置で係止する第2係止部と、
からなる2組の係止部を有するものである
ことを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項8】
請求項1ないし7から選択される1項に記載の空気管付き水中ポンプにおいて、
前記吐出口は、前記吐出口の中心軸が前記軸心と平行に配置されている
ことを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項9】
請求項1ないし8から選択される1項に記載の空気管付き水中ポンプにおいて、
前記吐出口は、前記羽根車と対向して、配置されている
ことを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項10】
請求項1ないし9から選択される1項に記載の空気管付き水中ポンプにおいて、
前記空気管は、前記吸込カバー又は前記ケーシングに接続されている
ことを特徴とする空気管付き水中ポンプ。
【請求項11】
請求項1ないし10から選択される1項に記載の空気管付き水中ポンプを用いた水中ポンプ設備であって、
前記空気管付き水中ポンプは、河川又は水路を横断する水門、又は樋門に搭載されている
ことを特徴とする空気管付き水中ポンプ設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気管付き水中ポンプとその設備に関する。更に詳しくは、例えば、河川等を横断して設けられる水門の扉体に固定して配置されている水中ポンプにおいて、吸込口側の水位が全量排水運転可能な最低水位以下でも、定格回転数の運転を維持し、ポンプの起動と停止の繰り返しを抑制することを可能にした空気管付き水中ポンプとその設備に関する。
【背景技術】
【0002】
水中ポンプでは、吸込口側の水位がある水位以下になると、吸込口から空気がポンプケーシングに吸いまれて気水混合運転となり、排水量が低下して振動や騒音が大きくなる。そのため、吸込口側の水位がある水位以下になると、ポンプの運転を一旦停止させ、その後流入量が増大して吸込口側の水位が上昇したときにポンプを再起動している。このように、吸込口側の水位に応じて頻繁にポンプのオン、オフが繰り返されると、運転管理が煩雑で、ポンプの起動、停止の頻度が煩雑になり、水中電動機及び始動器への負担が大きくなるため好ましくない。
【0003】
特許文献1に記載の立軸ポンプは、上記気水混合運転を避けるために、取水側に水位に応じて上下するフロートを配置し、水位が最低水位レベル以下になると、空気弁を開いて空気を吸い込んで、ベルマウス内の水を落下させ気中運転を行うものである。特許文献2に記載の先行待機運転ポンプは、排水運転から保持運転に切替えられるとき、異常振動や騒音を防ぐために、立軸であるポンプの主軸内に圧縮空気供給通路を設けたものである。この圧縮空気供給通路は、羽根車の入口側から圧縮空気を吐出し、吐出管内の残存水を速やかに給水井に落水させて、ポンプ井の水位に関係なく全速運転が可能な保持運転を短時間にするものである。更に、特許文献3に記載の水中ポンプは、吸込口側の水位の低下時には、吸込カバーに設けた切欠き、又は吸気管から空気を吸わせ、気水混合運転を行って排水量を低下させ、吸込口側の水位が全量排水運転時の水位以下でも、定格回転数での運転を維持し、ポンプのオン、オフの繰り返しを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2-3095号公報
【特許文献2】特開平8-312580号公報
【特許文献3】WO2016/178387
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のポンプは、ポンプ本体がスラブ等の構造物に固定されている固定型の立軸ポンプであり、そして水平又は水平から所定角度傾斜している横軸、又は斜軸の水中ポンプに適用されるものではない。従って、水門又は樋門の扉体に水中ポンプを搭載して両者を一体化したゲートポンプ(商標登録第2585973号、一般名称は「ポンプゲート」である)のような可動型の横軸の水中ポンプには適用できない。同様に、特許文献2に記載の先行待機運転ポンプもポンプ本体がスラブ等の構造物に固定されている固定型の立軸ポンプであり、横軸、又は斜軸水中ポンプを想定したものではなく、可動型の水中ポンプであるゲートポンプには適用できない。特許文献3に記載のポンプゲートに適用される水中ポンプは、横軸水中ポンプであり、ある水位以下になると空気を導入するものであるが、気水混合運転中は振動や騒音が大きくなり、排水量も低下する。また、更に水位が低下すると、排水量が失われたまま定格回転数で運転すると、気水混合運転から気中待機運転に移行するが、この気水混合運転は可能な限り短時間、又は事実上ないほうが良い。
本発明は、以上のような背景で発明されたものであり、以下の目的を達成するものである。
【0006】
本発明の目的は、フロートで弁を開閉できる機械式の空気開閉弁を用いて、気水混合運転のない、横軸、又は斜軸型の空気管付き水中ポンプとその設備を提供することにある。
本発明の他の目的は、吸込口側の水位が全量排水運転可能な最低水位以下でも、定格回転数での運転を維持し、ポンプの起動と停止の繰り返しを抑制することを可能にした横軸、又は斜軸の空気管付き水中ポンプとその設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために、次の手段を採る。
即ち、本発明1の空気管付き水中ポンプは、
一方に吸込口と他方に排出口を有したケーシングと、
前記ケーシング内に固定され回転駆動するための電動機と、
前記電動機の出力軸の軸心が水平である横方向、又は、前記軸心が水平から所定角度傾斜して配置され前記出力軸に連結されて回転駆動される羽根車と、
前記ケーシングに固定され、流体を吸い込むための開口部が形成された吸込カバーと
からなる水中ポンプにおいて、
前記羽根車の上流側で、かつ前記水中ポンプ内に配置された吐出口から空気を前記水中ポンプ内に吸引するための空気管と、
前記空気管への空気の供給、又は遮断するための空気開閉弁制御機構とからなることを特徴とする。
【0008】
本発明2の空気管付き水中ポンプは、本発明1の空気管付き水中ポンプにおいて、前記空気管付き水中ポンプは、前記羽根車で駆動される流体の流路が前記軸心に対して傾斜している水中斜流ポンプ、又は前記流体の流路が前記軸心方向である水中軸流ポンプであることを特徴とする。
本発明3の空気管付き水中ポンプは、本発明の1又は2の空気管付き水中ポンプにおいて、前記空気開閉弁制御機構は、前記空気管への空気の供給、又は遮断するための空気開閉弁と、前記吸込口側の水位に応じて浮力により上下動するフロートと、前記フロートの上下動を前記空気開閉弁に伝達して前記空気開閉弁の開閉を制御するレバー機構とからなることを特徴とする。
本発明4の空気管付き水中ポンプは、本発明1ないし3の空気管付き水中ポンプにおいて、前記空気開閉弁制御機構は、前記空気開閉弁を開閉するときの水位のタイミングが、前記水位の上昇時と前記水位の下降時で異なるものであることを特徴とする。
【0009】
本発明5の空気管付き水中ポンプは、本発明3の空気管付き水中ポンプにおいて、前記レバー機構は、一端が前記フロートに固定され、他端に開閉する蓋部となる前記空気開閉弁が設けられ、揺動軸を中心に揺動することを特徴とする。
本発明6の空気管付き水中ポンプは、本発明4の空気管付き水中ポンプにおいて、前記空気開閉弁制御機構は、前記水位の上昇時と前記水位の下降時で、選択的に異なる2位置で係止する位置を有するフロートふらつき防止機構を有するものであることを特徴とする。
本発明7の空気管付き水中ポンプは、本発明6の空気管付き水中ポンプにおいて、前記フロートふらつき防止機構は、前記水位の上昇時の位置で係止する第1係止部と、前記水位の下降時の位置で係止する第2係止部と、からなる2組の係止部を有するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明8の空気管付き水中ポンプは、本発明1ないし7の空気管付き水中ポンプにおいて、前記吐出口は、前記吐出口の中心軸が前記軸心と平行に配置されていることを特徴とする。
本発明9の空気管付き水中ポンプは、本発明の1ないし8の空気管付き水中ポンプにおいて、前記吐出口は、前記羽根車と対向して、配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明10の空気管付き水中ポンプは、本発明の1ないし9の空気管付き水中ポンプにおいて、前記空気管は、前記吸込カバー又は前記ケーシングに接続されていることを特徴とする。
本発明11の空気管付き水中ポンプ設備は、本発明1ないし10の空気管付き水中ポンプを用いた水中ポンプ設備であって、前記空気管付き水中ポンプは、河川又は水路を横断する水門、又は樋門に搭載されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の空気管付き水中ポンプとその設備は、フロートで空気弁を開閉できる機械式のフロート式自動空気開閉弁制御機構により空気弁を制御して、全量排水運転から気中待機運転、又は気中待機運転から全量排水運転に瞬時に移行できる。具体的には、吸込口側水位が全量排水運転可能な最低水位以下になれば空気管から空気を供給するので、全量排水運転から気中待機運転に瞬時に移行できる。気中待機運転中に吸込口側水位が上昇すれば、空気を遮断して、気中待機運転から全量排水運転に瞬時に移行できる。従って、気水混合運転を短時間に、又は無くして終了させるので、振動を小さくしながら、定格回転数での運転を維持し、ポンプの起動と停止の繰り返しを抑制することが可能となった。更に、空気弁の開閉を制御するフロート式自動空気開閉弁制御機構は、フロートふらつき防止機構を備えているので、確実かつ安定した空気弁の開閉を行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態のフロート式自動空気開閉弁制御機構80を備えた横軸の水中斜流ポンプ1を示す縦断面図である。
図2図2は、フロート式自動空気開閉弁制御機構80の拡大断面図である。
図3図3は、吸込口側水位を上下した時の本発明の第1の実施の形態の水中斜流ポンプ1の電流と振動を示すグラフである。
図4図4は、吸込口側水位を上下した時の従来の水中斜流ポンプの電流と振動を示すグラフである。
図5図5は、本発明の第2の実施の形態の水中斜流ポンプ1において、フロート式自動空気開閉弁制御機構90のフロートふらつき防止機構200を示す縦断面図である。
図6図6は、本発明の第3の実施の形態のフロート式自動空気開閉弁制御機構90を備えた横軸の水中軸流ポンプ10を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施の形態の水中斜流ポンプ1〕
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態である横軸の水中斜流ポンプ1を示す縦断面図である。図1に示すように、本発明の第1の実施の形態の横軸の水中斜流ポンプ1は、河川、水路、下水路等を横断して設けられた水門又は樋門の扉体100に、ブラケット101等を介してボルト等で固定されている。なお、水中斜流ポンプ1のケーシング2のフランジ部を直接的に、水門又は樋門の扉体100に固定する構造のものであっても良い。前述したがこれらの構造は、水門(ゲート)に水中ポンプを搭載して両者を一体化したものであり、ゲートポンプ(商標登録第2585973号、一般名称は「ポンプゲート」である。)と呼ばれているものである。
【0015】
本実施の形態の水中斜流ポンプ1は、羽根車から吐出される流体の流れが、出力軸31の中心線から斜め方向に流体を送る斜流ポンプと呼ばれているものである。水中斜流ポンプ1は、一方に吸込口21(図1の左側)と、他方(図1の右側)に排出口22を有したケーシング2を有している。ケーシング2の内部には、羽根車32を回転駆動するための電動機3が固定されている。水中斜流ポンプ1の電動機3には、吸込口21側に出力軸31が取り付けられ、出力軸31に羽根車32が固定され、電動機3の回転トルクが羽根車32に伝達される。羽根車32よりも下流側に隣接して、ケーシング2の内周面とオイル室34の外周面との間に、案内羽根33が固定されている。案内羽根33は、羽根車32で汲み上げられる水を案内するものである。
【0016】
ケーシング2の排出口22側には、開閉可能に支持されたフラップ弁4が配置されている。このフラップ弁4は、ケーシング2の上部に配置した支点4aで、揺動自在に取り付けられている。フラップ弁4は、排出口22からの水の吐出圧力が低い時には、自重により閉じ、水の吐出圧力が高くなると、上部の支点4aを中心にして開くことで、排出口22からの水の排出を可能にする。排出口22の反対側のケーシング2の吸込口21には、水を吸込口21に円滑に誘導するための吸込カバー5が固定されている。吸込カバー5の先端の開口部53は、水平から斜め下方を向いており(迎角θ)、この開口部53から上流側の河川水(又は水路水)を吸い込む。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態の水中斜流ポンプ1は、この出力軸31の軸心311がほぼ水平に配置されている。水路の底面102から、吸込カバー5の開口部53の上縁(吸込案内板511の下面)531までの高さをY1、水路の底面102から羽根車32の下端までの高さをY3とすると、Y1がY3よりも高い位置に配置されている。なお、吸込カバー5の開口部53の上縁531は、出力軸31の軸心311よりも低い位置に配置されている。開口部53の下縁532は、水路の底面102からY2の高さである。水位が開口部53の下縁532の水位Y2以下のときは、羽根車32の下端までの高さY3より低い位置であるので、水中斜流ポンプ1は河川水(又は水路水)を吸い込むことはない。ここで図1の左側に示す「空気弁開閉水位」について説明する。気中待機運転中に水位が上昇し、水位が羽根車32の60%以上の高さになると羽根車32が自らケーシング2内の水を吐出できるようになり、全量排水運転が可能となる。水位上昇時のこの付近の水位になるまで、羽根車32は自ら水を吐き出さないので気中待機運転を実施する。そして、羽根車32の60%の水位になれば、空気弁89が閉じて空気管64による水中斜流ポンプ1への空気を遮断するので、羽根車32が水を吐き出しても空気は供給されないため、気中待機運転から全量排水運転へ瞬時に移行できる。従って、図1の左側に示す「空気弁開閉水位」は、空気開閉弁の開閉を行う水位で羽根車32の約60%程度の水位となり、この開閉水位で全量排水運転と気中待機運転を切り替える。
【0018】
フロート式自動空気開閉弁制御機構80
第1の実施の形態の水中斜流ポンプ1は、水中斜流ポンプ1内への空気の供給、遮断の制御を、水中斜流ポンプ1に搭載したフロート式自動空気開閉弁制御機構80で行うものである。図2は、フロート式自動空気開閉弁制御機構80の拡大断面図である。フロート式自動空気開閉弁制御機構80は、水位によりフロート84が上下動して、この上下動で空気弁を自動的に開閉する機械式の開閉機構である。吸込カバー5の上部には、上板及び側板で囲まれた内部が空間の箱状のごみ除けカバー81が固定されている。ごみ除けカバー81は、フロート式自動空気開閉弁制御機構80の基本的な機能としては必須構成のものではないが、ゴミ等の流れから空気弁89等を保護するものである。ごみ除けカバー81の側板82の上部には、複数の貫通する空気孔83が形成されている。従って、水位が低下したとき、ごみ除けカバー81内に外部から外気が自由に入り込むことができる。なお、ごみ除けカバー81内には、取水側の河川(又は水路)の水も自由に入り込むように貫通孔(図示せず)が形成されている。ごみ除けカバー81内の水位は、河川(又は水路)の水位と同一である。
【0019】
フロート84は、内部が空洞の金属製の球体であり、河川(又は水路)の水位により上下動する。フロート84の球体には、その半径方向に向けた棒体85の一端が固定されている。棒体85の他端は、揺動軸86によりフランジ87に揺動自在に取り付けられている。フランジ87は、空気管である取付管88に固定されている。取付管88はその下端は、L字状の空気管64の上端に連結されている。この空気管64は、吸込カバー5に固定されている。取付管88の上端は開口しており、この開口部に蓋をするように空気弁89が配置されている。空気弁89の一端は、上記の棒体85の端部に固定されている。従って、フロート84が河川(又は水路)の水位により上下動すると、空気弁89は、この上下に応じて取付管88の上端の開口を開いたり、閉じたりする。取付管88の下端は、空気管64の上端に連結され、互い空気が導通する。空気管64の他端は、管である吐出口65の一端が固定されている。吐出口65の中心軸線は、出力軸31の軸心方向に平行に配置されている。また吐出口65は羽根車32と対向して配置されている。
【0020】
空気は、取付管88、空気管64を通り、この吐出口65の先端から、ケーシング2の内部に吸引される。このフロート式自動空気開閉弁制御機構80は、水の浮力により上下動されるフロート84を用いたので、電気的な制御装置を使用することなく河川(又は水路)の水位に応じて、自動的に空気弁89を開閉できる利点がある。大気である空気は、水中斜流ポンプ1の運転中の吸引力(負圧)により、取付管88、空気管64を通り、吐出口65からケーシング2内へ吸引される。すなわち、吐出口65は、吸込カバー5に取り付けられた空気管64に配管されている。図1に示すように管である吐出口65の中心軸線は、水中斜流ポンプ1の出力軸31の軸心311と平行に配置されている。より正確には、吐出口65の中心軸線は、出力軸31の軸心311より低い位置に配置されている。すなわち、羽根車32と対向して、軸心311より低い位置に吐出口65が配置されている。これにより吐出口65から吸引された空気は、その空気の浮力により若干上方に向かいながら、かつ羽根車32の中心方向の上下にほぼ均一に吸い込まれる効果が見込まれる。
【0021】
フロート式自動空気開閉弁制御機構80の作動
以上の動作を概括すれば、以下のような制御となる。例えば、運転員が水中斜流ポンプ1の電動機3のスイッチ(図示せず)を入れてONにすると、電動機3は回転を開始し、上流側の河川水(又は水路水)を汲み上げて下流側に流す。例えば、水位が下降中で全量排水運転中の場合、ごみ除けカバー81内のフロート84は、その浮力で水中での最上方に位置しているので、空気弁89は閉じている。従って、吸込口側水位が低下しても、図1に示すように、吸込口側水位が「空気弁開閉水位」以上高ければ、空気弁89は閉じた状態であるので空気管64から空気を吸込まず、開口部53からも空気を吸い込まないので、吸込カバー5内及びケーシング2内は水で満たされている。従って、水中斜流ポンプ1は、定格回転数で全量排水運転が継続して行われる。そして、水位が「全量排水運転」の水位以下の「空気弁開閉水位」位置に達したら、フロート84が下がり、空気弁89を開いて、空気管64を介して、空気を水中斜流ポンプ1に供給する。この空気の供給により、水中斜流ポンプ1は、一気に気中待機運転モードになる。その結果、水中斜流ポンプ1の吸込カバー5内、及びケーシング2内の水が瞬時に落水して、羽根車32が水を吐き出させなくなるため、ポンプ内圧力が下がり、フラップ弁4が自重と外水の圧力により閉じ、羽根車32が空気中に露出した気中待機運転(電動機3は定格回転数で回転駆動状態を継続)となるために、振動が小さく、電動機3への負担が少ない運転が継続される。
【0022】
また、水位が上昇中で、「気中待機運転」の水位領域の場合、空気弁89は開いており、羽根車32が水を吐き出せる水位に達していないため、気中待機運転を続行する。そして、更に水位が上昇して、吸込口側水位が「空気弁開閉水位」(図1参照)に達すれば、空気弁89を閉じて、空気管64による水中斜流ポンプ1への空気を遮断する。これにより羽根車32が水を吐き出しても水中斜流ポンプ1内に空気が供給されないので、水中斜流ポンプ1は定格回転数で、気中待機運転から全量排水運転へ移行する。図3は、本発明の本実施の形態の水中斜流ポンプ(ポンプ口径が300ミリ)1の電動機3の電流(A)と振動(注:X方向、Y方向、Z方向の合成振動)(μm)を示すグラフである。図3では、吸込口側水位を200ミリから600ミリまで上昇させた後、200ミリまで下降させている。図3に示すように、水位が上昇するときは、気中待機運転から全量排水運転に瞬時に移行し、水位が下降する時は、全量排水運転から気中待機運転に瞬時に移行し、気水混合運転が起きない、又は短時間のため、電流(A)の変動と、振動(μm)の変動が小さくなる。
【0023】
図4は空気管を備えていない従来の水中斜流ポンプ(ポンプ口径が300ミリ)の電動機3の電流(A)と振動(注:X方向、Y方向、Z方向の合成振動)(μm)を示すグラフである。図4に示すように、従来の水中斜流ポンプは開口部53の上縁531より空気を吸い込んで気水混合運転が起きるため、気中待機運転から全量排水運転への切り替わり、及び、全量排水運転から気中待機運転への切り替わりに時間がかかり、振動も大きい。これに対して本発明の第1の実施の形態の水中斜流ポンプ1は、図3に示すように気水混合運転が起きない、又は短時間のため、気中待機運転から全量排水運転への切り替わり、及び、全量排水運転から気中待機運転への切り替わりが瞬時に行われ、振動も小さい。
【0024】
〔第2の実施の形態の水中斜流ポンプ1〕
図5は、第2の実施の形態の水中斜流ポンプ1である。第2の実施の形態の水中斜流ポンプ1(図示せず)は、第1の実施の形態のものと同一構造であるが、フロート式自動空気開閉弁制御機構90の構造のみを変えたものである。図5は、このフロート式自動空気開閉弁制御機構90の拡大断面図である。第1の実施の形態のフロート式自動空気開閉弁制御機構80(図2)は、空気弁89が開閉される水位近傍で、水位が安定しないで上下に変動すると、空気弁89の開閉が頻繁に行われ不安定になることがある。フロート式自動空気開閉弁制御機構90は、この空気弁89の開閉のタイミングを確実かつ安定的に行うための「フロートふらつき防止機構200」を有している。
【0025】
[フロートふらつき防止機構200]
フロートふらつき防止機構200は、水位により空気弁89を閉じる「空気弁閉水位」の位置、又は空気弁89を開く、「空気弁開水位」の位置の2位置の何れかに係止(一種の仮固定)される。このフロートふらつき防止機構200により、水位上昇時と水位下降時で空気弁89の開閉される水位(タイミング)を異なるようにできる。以下、このフロートふらつき防止機構200を説明する。第1のパターン(棒体85とスプリングケース205が共に遥動するタイプ)は、フロートふらつき防止機構200を構成するカムプレート201は、フランジ87(図2参照)、ごみ除けカバー81等に、固定部材(図示せず)により、固定配置されている。カムプレート201は、棒体85の揺動軸86を中心とした円弧面が形成されている。この円弧面に、2個の半球状の窪みである上部凹部202a、下部凹部202bが形成されている。
【0026】
この上部凹部202a、下部凹部202bの直径は、鋼球(又はローラ)203の直径とほぼ同一であり、上部凹部202a、又は下部凹部202bに鋼球(又はローラ)203が選択的に嵌まり込む。鋼球(又はローラ)203は、コイルスプリング204により、カムプレート201側に付勢されている。コイルスプリング204は、一端が開孔しているスプリングケース205の穴内に収納されている。コイルスプリング204は、スプリングケース205の他端にねじ込まれた調整ボルト206により、スプリング圧を調整できる。スプリングケース205は、フロート84と共に揺動する棒体85に固定されている。従って、スプリングケース205も棒体85と共に揺動する。なお、この機構に限らず、第2のパターン(棒体85とカムプレート201が共に遥動するタイプ)であっても良く、この機構では、フロートふらつき防止機構200を構成するカムプレート201は、フロート84と共に揺動する棒体85に固定されている。従って、カムプレート201も棒体85と共に揺動する。
【0027】
カムプレート201には、棒体85の揺動軸86を中心とした円弧面が形成されている。この円弧面に、2個の半球状の窪みである上部凹部202a、下部凹部202bが形成されている。この上部凹部202a、下部凹部202bの直径は、鋼球(又はローラ)203の直径とほぼ同一であり、上部凹部202a、又は下部凹部202bに鋼球(又はローラ)203が選択的に嵌まり込む。鋼球(又はローラ)203は、コイルスプリング204により、カムプレート201側に付勢されている。コイルスプリング204は、一端が開孔しているスプリングケース205の穴内に収納されている。コイルスプリング204は、スプリングケース205の他端にねじ込まれた調整ボルト206により、スプリング圧を調整できる。なお、第2のパターンの機構は、スプリングケース205は、フランジ87(図2参照)、ごみ除けカバー81等に、固定部材(図示せず)により、固定配置されている。更に、第3のパターンは、上記の2パターンに対して、基本的な構造は同じであるが、スプリングケース205及びカムプレート201を上部用及び下部用にそれぞれ2個設置する。具体的には、上部用カムプレート201aは円弧面に1個の半球状の窪みである上部凹部202a、下部用カムプレート201bは円弧面に1個の半球状の窪みである下部凹部202bが形成されている。これにそれぞれ対応するように、上部用スプリングケース205a、下部用スプリングケース205bを用いて、水位により空気弁89を閉じる「空気弁閉水位」の位置、又は空気弁89を開く、「空気弁開水位」の位置の2位置を係止(一種の仮固定)する。この構成により「空気弁閉水位」及び「空気弁閉水位」のそれぞれの位置調整が可能となる。従って、ポンプ(水中斜流ポンプ1)が設置される場所、すなわち現場でのフロートふらつき防止機構200の調整を容易(簡単)にする構造とするものである。
【0028】
フロートふらつき防止機構200の作動
以上の第1~第3のパターンの構造において、フロート84、棒体85、空気弁89、カムプレート201(201a、201b)、スプリングケース205(205a、205b)の作動は基本的に同一であるので、第1のパターンの場合で作動を説明する。「全量排水運転」の水位から吸込口側の水位が下降し、「空気弁開水位」(図5参照)以下になると、気水混合運転を避けるために空気弁89を開く必要がある。このとき、僅かに水位が上下動し、これに追従してフロート84が多少上下動しても、フロートふらつき防止機構200の上部凹部202aに鋼球(又はローラ)203が嵌まり込んでいるので、鋼球(又はローラ)203が上部凹部202aから脱出することはない。しかしながら、フロート84が更に下がり浮力が小さくなると、「ふらつき防止機構の抵抗力(摩擦力、傾斜角度)<(│フロートの浮力-フロート84の自重│)」の条件が成立すると、フロート84の自重により、鋼球(又はローラ)203が上部凹部202aから脱出し、空気弁89が開く。即ち、水位の多少の変動があっても、「空気弁開水位」まで空気弁89は開かれないので、不安定な気水混合運転になることはない。この「空気弁開水位」は、水位下降時に安定的に運転するために設定したものであり、水中斜流ポンプ1を全量排水運転から気中待機運転に切り替える水位である。従って、この「空気弁開水位」は、水中ポンプの構造、機能により予め設定される。
【0029】
逆に、気中待機運転中に水位が上昇し、「空気弁閉水位」以上になると、気水混合運転を避けるために空気弁89を閉じる必要がある。このとき、水位下降時と同様に、僅かに水位が上下動し、これに追従してフロート84が多少上下動しても、フロートふらつき防止機構200の下部凹部202bに鋼球(又はローラ)203が嵌まり込んでいるので、鋼球(又はローラ)203が下部凹部202bから脱出することはない。しかしながら、更にフロート84の浮力が上がり、「ふらつき防止機構の抵抗力(摩擦力、傾斜角度)<(│フロートの浮力-フロート84の自重│)」の条件が成立すると、フロート84の浮力により、鋼球(又はローラ)203が下部凹部202bから脱出し、空気弁89を閉じる。即ち、空気弁89の開閉前後の水位に、多少の変動があっても、「空気弁閉水位」まで空気弁89は閉じられないので、不安定な気水混合運転になることはなく、気中待機運転を行うことができる。この「空気弁閉水位」は、水位上昇時に安定的に運転するために設定したものであり、水中斜流ポンプ1を気中待機運転から全量排水運転に切り替える水位である。従って、この「空気弁閉水位」は、水中ポンプの構造、機能により予め設定される。
【0030】
以上の説明で理解されるように、「フロートふらつき防止機構200により、水位上昇時と水位下降時で空気弁89の開閉される水位(タイミング)を異なるようにできる。」ことによって、次の1及び2の制御が可能となり、気水混合運転を回避した広範囲のポンプの排水運転(全量排水運転及び気中待機運転)と、ポンプの起動と停止の繰り返しを抑制できる効果が期待できる。
1.水位下降時は、「全量排水運転」の水位を第1の実施形態の空気弁開閉水位(羽根車32の約60%水位)に比べ、より低水位となる吸込カバーから空気を吸込まない程度の水位となる「空気弁開水位」(本実施の形態では、上縁531より10mm程度高い水位)まで運転が可能となり、「空気弁開水位」で空気を供給することにより瞬時に全量排水運転から気中待機運転に移行する制御ができる。
2.水位上昇時は、第1の実施形態の空気弁開閉水位(羽根車32の約60%水位)では、気水混合運転を確実に回避できない場合も想定される。従って、これより低水位で空気弁を閉じて空気を遮断することにより、確実に気水混合運転を回避できる「空気弁閉水位」(本実施の形態では、羽根車32の55%程度の水位)を設定する。これにより第1の実施形態の空気弁開閉水位(羽根車32の約60%水位)と比べ、図5の「全量排水運転可能水位」(羽根車32の約60%水位)から確実に「全量排水運転」の運転が可能となり、「空気弁閉水位」で空気を遮断することにより瞬時に気中待機運転から全量排水運転に移行する制御ができる。
【0031】
〔第3の実施の形態の水中軸流ポンプ10〕
図6は、第3の実施の形態の水中軸流ポンプ10である。水中軸流ポンプ10は、前述した第1及び第2の実施の形態のものと異なる構造のポンプである。水中軸流ポンプ10は、出力軸31の軸心311方向に流体を送るポンプであり、一方(図6の左側)に吸込口21と、他方(図6の右側)に排出口22を有したケーシング2を有している。ケーシング2の内部には、回転駆動するための電動機3が固定されている。電動機3には、排出口22側に出力軸31が取り付けられ、出力軸31に羽根車32が固定され、電動機3の回転が羽根車32に伝達される。羽根車32よりも吸込口21側(上流側)には、ケーシング2の内周とオイル室34の外周との間に案内羽根33が固定されている。案内羽根33は、羽根車32で汲み上げられる水を案内している。
【0032】
ケーシング2には、排出口22側に開閉可能に支持されたフラップ弁4が取り付けられている。フラップ弁4は、排出口22からの水の吐出圧力が低い時には、自重により閉じ、水の吐出圧力が高くなると上部の支点4aを中心にして開くことで、排出口22からの水の排出を可能にする。ケーシング2の吸込口21には、水を吸込口21に円滑に誘導するための吸込カバー5が固定されている。図6に示すように、吸込カバー5は、一枚以上の板材から上板、側板等で形成されている。第3の実施の形態の水中軸流ポンプ10には、前述した第2の実施の形態と同様の原理で動作するフロート式自動空気開閉弁制御機構90が配置されている。フロート84、棒体85、遥動軸86、空気弁89、フロートふらつき防止機構200、空気管64、吐出口65等からなる。
【0033】
大気である空気は、水中軸流ポンプ10の運転中の吸引力により、取付管88に連結された空気管64が二つに分岐され、分岐管(図示せず)からそれぞれ二つの吐出口65からケーシング2内へ吸引される。二つの吐出口65は、電動機3の外周の左右、即ち電動機3の両側を挟んで吸込カバー5内に、吐出口65がそれぞれ配置されている。この吐出口65は、吸込カバー5に固定された空気管64に配管されている。吐出口65の中心軸線は、水中軸流ポンプ10の出力軸31の軸心311と平行に配置されている。正確には、吐出口65の中心軸線は、出力軸31の軸心311より低い位置に配置されている。すなわち、羽根車32の正面に対向するように、軸心311より低い位置に吐出口65が配置されている。第3の実施の形態の水中軸流ポンプ10のフロート式自動空気開閉弁制御機構90の作動及びそれに連動する水中軸流ポンプ10の全量排水運転及び気中待機運転は、実質的に第2の実施の形態の水中斜流ポンプ1と同一であり、その説明は省略する。
【0034】
[その他の実施の形態]
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施例に限定されることはない。例えば、前述した水中斜流ポンプ1及び水中軸流ポンプ10は、何れも電動機3の出力軸31、及びこれに連結されている羽根車32の軸心は、水平である横方向に配置されているものである。しかしながら、この軸心を水平から傾斜させたものであっても良い。また、前述した水中斜流ポンプ1、及び水中軸流ポンプ10の吸込カバー5の形状は、水中ポンプの構造により異なる。従って、本発明でいう吸込カバー5とは、ポンプ本体の吸込側のカバーに限らず本体部分を含む概念である。更に、前述した実施の形態では、フロート84の上下動の動きを棒体85で直接的に空気弁89を駆動するものであった。しかしながら、フロート84の上下動の動きを棒体85ではなく、リンク機構を介して、空気弁89を開閉させるものでも良い。例えば、複式ボールタップ等の名称で知られている、複数の支点、力点、作用点を有するリンク機構のものでも良い。
【符号の説明】
【0035】
1…水中斜流ポンプ
10…水中軸流ポンプ
100…扉体
101…ブラケット
102…水路の底面
2…ケーシング
21…吸込口
22…排出口
3…電動機
31…出力軸
311…軸心
32…羽根車
33…案内羽根
34…オイル室
4…フラップ弁
5…吸込カバー
64…空気管
65…吐出口
80,90…フロート式自動空気開閉弁制御機構
84…フロート
85…棒体
89…空気弁
200…フロートふらつき防止機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6