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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181409
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20221201BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221201BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/00 303
G03G15/08 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088339
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】上邨 静也
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AD02
2H077AD06
2H077DA24
2H077DA43
2H077DA47
2H077DA57
2H077GA04
2H270LA03
2H270LA05
2H270LA06
2H270LA15
2H270LA92
2H270LA99
2H270LD05
2H270LD15
2H270MA13
2H270MA40
2H270MB11
2H270MB25
2H270MB27
2H270MB43
2H270RA10
2H270RB05
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】段階的にレンジを切り替えて高精度な現像電流を測定する画像形成装置を提供することができる。
【解決手段】画像形成装置は、感光体30と、現像ローラー31と、電源部4と、第1電流検知部40と、第2電流検知部41と、切替部33とを備える。感光体30は、静電潜像を担持する。現像ローラー31は、感光体30の静電潜像をトナーgで現像する。電源部4は、現像ローラー31と感光体30との間に現像電流Iを供給する。第1電流検知部40は、現像ローラー31と感光体30とを流れる現像電流Iの第1現像電流値を第1レンジで検知する。第2電流検知部41は、第1レンジよりも狭く第1現像電流値を含む第2レンジで第2現像電流値を検知する。切替部33は、第1電流検知部40から第2電流検知部41へ切り替える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する感光体と、
前記感光体の前記静電潜像をトナーで現像する現像ローラーと、
前記現像ローラーと前記感光体との間に現像電流を供給する電源部と、
前記現像ローラーと前記感光体とを流れる前記現像電流の第1現像電流値を第1レンジで検知する第1電流検知部と、
前記第1レンジよりも狭く前記第1現像電流値を含む第2レンジで第2現像電流値を検知する第2電流検知部と、
前記第1電流検知部から前記第2電流検知部へ切り替える切替部と
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第2レンジは、前記第1レンジに対して、前記現像電流の変化量に対する現像バイアス電圧の変化量が大きい、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2レンジは、前記第1レンジに複数含まれる、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体は、一つのトナーパッチを担持する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1電流検知部に、前記感光体に形成された前記一つのトナーパッチのうち、前記感光体の回転方向上流側の上流領域に前記現像電流が流れるときの前記第1現像電流値を検知させ、前記第2電流検知部に、前記トナーパッチのうち、前記感光体の回転方向下流側の下流領域に前記現像電流が流れるときの前記第2現像電流値を検知させる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電流検出部で検出された複数の電流値に基づきトナー付着量を決定する画像形成装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-258386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、段階的にレンジを切り替えて高精度な現像電流を測定する画像形成装置を開示していない。
【0005】
本発明は、段階的にレンジを切り替えて高精度な現像電流を測定する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、感光体と、現像ローラーと、電源部と、第1電流検知部と、第2電流検知部と、切替部とを備える。前記感光体は、静電潜像を担持する。前記現像ローラーは、前記感光体の前記静電潜像をトナーで現像する(トナーパッチを形成する)。前記電源部は、前記現像ローラーと前記感光体との間に現像電流を供給する。前記第1電流検知部は、前記現像ローラーと前記感光体とを流れる現像電流の第1現像電流値を第1レンジで検知する。前記第2電流検知部は、前記第1レンジよりも狭く前記第1現像電流値を含む第2レンジで第2現像電流値を検知する。前記切替部は、前記第1電流検知部から前記第2電流検知部へ切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像形成装置によれば、段階的にレンジを切り替えて高精度な現像電流を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置(複合機)を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る画像形成装置の現像装置を示すブロック図である。
図4】現像装置の詳細を示す図である。
図5】(a)および(b)は、第1電流検知部の構成と第1現像電流値を示す図である。
図6】(a)および(b)は、第2電流検知部の構成と第2現像電流値を示す図である。
図7】本実施形態に係る画像形成装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示す。Z軸は鉛直面に平行であり、X軸およびY軸は水平面に平行である。
【0010】
本実施形態では、画像形成部14において、シートSの搬送方向であるZ軸方向を主走査方向と記述することがある。Y軸方向を副走査方向と記述することがある。X軸方向を主査往査方向と副走査方向とに交差する方向と記述することがある。
【0011】
(実施形態1)
図1図4を参照して、本発明の実施形態に係る複合機1(画像形成装置3)および現像装置23について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置3(複合機1)を示す図である。図2は、画像形成装置3の構成を示すブロック図である。図3は、現像装置23を示すブロック図である。図4は、現像部23の詳細を示す図である。
【0012】
図1を参照して、複合機1の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置3を備える複合機1を示す図である。
【0013】
図1に示すように、複合機1は、原稿読取装置2と、画像形成装置3と、電源部4と、駆動部5と、制御部6とを備える。複合機1は、例えば、スキャナー、複写機、プリンター、コピー機、ファクシミリその他の機能を組み合わせたMFP(Multi Function Printer)である。複合機1は、例えば、複写機、ファクシミリ、またはこれらの機能を兼ね備えた複合機1である。
【0014】
原稿読取装置2は、例えば、原稿給送装置10と、画像読取装置11とを有する。原稿給送装置10は、例えば、原稿トレイ、原稿搬送部、原稿読取部、原稿排出部、原稿排出トレイを有する。原稿給送装置10の一例は、ADF(Auto Document Feeder)である。
【0015】
画像読取装置11は、光学系を有する。光学系は、例えば、発光部、レンズ、反射鏡、受光部を有する。
【0016】
画像読取装置11は、原稿給送装置10によって搬送される原稿Gから画像を読み取る。画像読取装置11は、読み取った画像から画像データを生成する。画像読取装置11の一例は、CIS(Contact Image Sensor)方式またはCCD(Charge Coupled Devices)方式のスキャナーである。
【0017】
画像形成装置3は、例えば、電子写真方式の場合、シート給送装置12と、シート搬送装置13と、画像形成部(画像形成装置)14と、定着部15(定着装置15)と、シート排出装置16とを有する。
【0018】
画像形成装置3が、例えば、インクジェットプリンターである場合、定着部15(定着装置15)はなくてもよい。
【0019】
図1に示すように、シート給送装置12は、シートSを給送する。シート給送装置12は、トレイと、ピックアップローラーとを含んでもよい。トレイは、シートSを積載する。ピックアップローラーは、トレイのシートSをピックアップして給送する。シートSは、記録媒体の一例である。
【0020】
シート搬送装置13は、シート給送装置12から給送されたシートSを搬送する。シート搬送装置13は、例えば、搬送路と、搬送ローラーとを有する。搬送路は、シート給送装置12を始点として、シート搬送装置13、画像形成部14、定着装置15を経由して、シート排出装置16まで延びる。搬送ローラーは、搬送路上に必要に応じて複数箇所配置されてもよい。搬送ローラーは、シート給送装置12から、画像形成部14、定着装置15を経由して、シート排出装置16までシートSを搬送する。
【0021】
画像形成部14は、電子写真方式の場合、文書画像データに基づいて、シートSに図示しないトナー像を形成する。画像形成部14は、インクジェットプリンターである場合、文書画像データに基づいて、シートSに図示しないインク像を形成する。
【0022】
本実施形態では、インクジェットプリンターとして特に説明を要する場合を除き、原則として、電子写真方式の画像形成部14を説明する。
【0023】
図2および図3に示すように、画像形成部14は、例えば、画像データ入力部20と、帯電部21と、露光部22と、現像部23と、転写部24と、クリーニング部25とを有する。
【0024】
画像データ入力部20は、文書画像データを取得する。文書画像データは、例えば、原稿Gの画像を示す。文書画像データは、外部から取得したデータであってもよい。
【0025】
帯電部21は、感光体30の感光層を所定の電位に帯電する。帯電部21は、グリッドを有するコロナ帯電器(スコロトロン帯電器)による非接触帯電方式で感光体30を帯電させてもよい。帯電部21は、ゴムローラーによる接触帯電方式で感光体30を帯電させてもよい。
【0026】
感光体30は、回転軸を有するドラムであってもよい。感光体30は、回転軸を中心に回転方向R2に回転する。感光体30は、静電潜像が現像ローラー31のトナーgにより現像されたトナー像(トナーパッチ34)を担持する。感光体30の一例は、OPC(Organic Photoconductor)である。
【0027】
露光部22は、感光体30の感光層にレーザー光を照射して露光する。露光部22は、文書画像データに基づいて、感光層に静電潜像を形成する。
【0028】
現像部23は、静電潜像をトナーgで現像して、感光体30にトナー画像を形成する。現像部23は、一例として、磁性体からなるキャリアおよびトナーg(図5)を含む二成分現像方式で感光体30にトナー画像を形成する。
【0029】
現像部23は、感光体30と、現像ローラー31とを有する。感光体30の一例は、感光体ドラムである。感光体ドラムの周面には感光層が形成される。前述したように、感光層は、帯電部21により帯電されて、露光部22により静電潜像が形成される。すなわち、感光体30は、静電潜像を担持することができる。また、感光体30は、図4に示すように、感光層にトナーパッチ34を担持することができる。
【0030】
現像ローラー31は、トナーgを担持する。現像ローラー31は、感光体30と同期して回転方向R1に回転しながら、感光体30に形成された静電潜像をトナーgで現像する。現像ローラー31は、感光体30にトナーパッチ34を現像する。
【0031】
現像ローラー31は、感光体30に一つのトナーパッチ34を現像してもよい。感光体30は、一つのトナーパッチ34を担持し得る。一つのトナーパッチ34は、上流領域34aと下流領域34bとを有してもよい。
【0032】
転写部24は、感光体30に形成されたトナー像をシートSに転写する。電子写真方式の画像形成装置3の場合、直接転写方式と間接転写方式とに大別される。
【0033】
直接転写方式は、感光体30に形成されたトナー像をシートSに直接転写する。間接転写方式の場合、転写部24は図示しない中間転写体を有してもよい。感光体30のトナー像は中間転写体に第1転写され、中間転写体のトナー像がシートSに第2転写される。
【0034】
クリーニング部25は、転写後に感光体30に残存するトナーgをクリーニングし、現像部23に戻すか、廃トナーとして処理する。クリーニング部35の一例は、クリーニングブレードである。
【0035】
次に、定着装置15は、シートSに現像されたトナー像を加熱および加圧して、シートSにトナー像を定着させる。
【0036】
シート排出装置16は、複合機1の筐体の外部にシートSを排出する。シート排出装置16は、排出ローラーと、排出トレイとを有してもよい。排出ローラーは、定着装置15から搬送ローラーで搬送されたシートSを排出トレイに排出する。排出トレイは、排出されたシートSを積載する。
【0037】
次に、図1に示すように、電源部4は、原稿読取装置2、画像形成装置3、駆動部5、および制御部6に電力を供給する。図3に示すように、電源部4は、現像ローラー31に現像バイアス電圧Vを印加する。電源部4は、感光体30と現像ローラー31との間に現像電流Iを供給する。
【0038】
図5(a)に示すように、電源部4は、電流検知部32と、切替部33とを有する。電流検知部32は、現像電流Iを検知する。電流検知部32は、トナーパッチ34に流れる現像電流Iを検出する。現像電流Iは、トナー濃度によって変化する。電流検知部32は、感光体30に形成されたトナーパッチ34のトナー濃度に応じて変化する現像電流Iの値を検出する。電流検知部32は、第1電流検知部40と、第2電流検知部41とを有する。
【0039】
第1電流検知部40は、現像ローラー31と感光体30とを流れる現像電流Iの第1現像電流値を第1レンジで検知する。第1電流検知部40については、図4図6を参照して後述する。
【0040】
第2電流検知部41は、第1レンジよりも狭く前記第1現像電流値を含む第2レンジで第2現像電流値を検知する。第2レンジは、第1レンジに対して、現像電流Iの変化量に対する現像バイアス電圧Vの変化量が大きくてもよい。第2レンジは、第1レンジに複数含まれてもよい。第2電流検知部41については、図4図6を参照して後述する。
【0041】
切替部33は、第1電流検知部40から第2電流検知部41へ切り替える。
【0042】
次に、図1に示す駆動部5は、制御部6の制御に基づいて、原稿読取装置2、および画像形成装置3の各部を駆動する。
【0043】
図1に示す制御部6は、原稿読取装置2の各部、画像形成装置3の各部、電源部4、および駆動部5を制御する。
【0044】
駆動部5は、これらに駆動力を付与するアクチュエーターである。駆動部5の具体例は、モーターである。
【0045】
制御部6は、電源部4に、現像ローラー31と感光体30との間に現像電流Iを流させ、第1電流検知部40が第1現像電流値を検知した後、切替部33に、第1電流検知部40から第2電流検知部41へ切り替えさせ、第2電流検知部41で第2現像電流値を検知させてもよい。
【0046】
図4に示すように、制御部6は、第1電流検知部40に、感光体30に形成された一つのトナーパッチ34のうち、感光体30の回転方向(R2)上流側の上流領域34aに現像電流Iが流れるときの第1現像電流値を検知させる。制御部6は、さらに、第2電流検知部41に、トナーパッチ34のうち、感光体30の回転方向(R2)下流側の下流領域34bに現像電流Iが流れるときの第2現像電流値を検知させる。制御部6については、図4図6を参照して後述する。
【0047】
制御部6の一例は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。
【0048】
CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROMは、CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。RAMは、CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性または不揮発性の記憶部である。
【0049】
制御部6のプロセッサーは、図示しない記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって、複合機1の各構成要素の動作を制御する。
【0050】
次に、図1図4に加え、図5および図6を参照して、複合機1または画像形成装置3の詳細な構成および動作を説明する。
【0051】
図4は、現像部23の詳細を示す図である。図5(a)および(b)は、第1電流検知部40の構成と第1現像電流値を示す図である。図6(a)および(b)は、第2電流検知部41の構成と第2現像電流値を示す図である。
【0052】
本実施形態に係る画像形成装置3の趣旨は、ひとつのトナーパッチ34を利用して、精度の高い現像電流値を計測することにある。そのため、現像電流値の計測レンジの広い第1電流検知部40でおおまかな第1現像電流値を計測し、さらに、第1現像電流値を含み、計測レンジが狭くかつ解像度が高い第2電流検知部41で高精度の第2現像電流値を計測する。
【0053】
すなわち、第1電流検知部40および第2電流検知部41は、一つのトナーパッチ34に流れる現像電流Iを計測する。そのため、第1電流検知部40および第2電流検知部41は、同じ現像電流Iを計測する。
【0054】
しかし、第1電流検知部40はレンジが広いため、現像電流Iをおおまかな精度の第1現像電流値として計測する。第2電流検知部41は、おおまかな精度の第1現像電流値を含む狭いレンジを有するため、第1現像電流値をさらに高精度の第2現像電流値として計測する。
【0055】
さらに詳細に説明する。一般的な2成分現像において、現像電流Iは、トナー帯電量によって変化するが、現像電流Iはトナーg(電荷)の時間当たりの移動量で決まるため、電流値自体は非常に小さい。また、印字枚数、環境変動、印字モード、印字率などの影響を受けて、トナーgが劣化し、トナー帯電量が変化するといった現象があった。その結果、画像濃度が低下し、いわゆるカブリが発生し、さらにはトナー飛散が増加するという事象が発生していた。
【0056】
そのため、一般的な画像形成装置では、耐久枚数、環境変動、印字モード、印字率などからトナーgの帯電量変化を予測し、トナー濃度、現像バイアス、感光体表面電位、現像ローラー回転速度、飛散トナー吸引ファンの出力などを調整して、上記の事象を抑制していた。
【0057】
しかし、上記の調整は、一般的な画像形成装置の耐久枚数からの予測や、環境変動、印字モード、印字率におけるそれぞれの条件化での予測を組み合わせたものに過ぎなかった。そのため、耐久枚数、環境変動、印字モード、印字率などが複合的に変化すると、上記の調整では上記の事象を好適に抑制できない場合があった。
【0058】
そこで、一般的に、現像バイアス電圧Vを順次印加して複数の潜像パターンを現像し、それぞれの潜像パターンの画像濃度を取得し、それぞれの画像濃度からトナーgの帯電量を求める技術が提案されている。
【0059】
この場合、トナーgの移動による現像電流Iは、トナーgの帯電量によって変化する。そのため、トナー帯電量に応じた電流の範囲すべてを検知できるような定数設定が必要となる。しかし、電流検知範囲を広げすぎると、現像電流Iを検知するためのゲイン(回路抵抗値)を下げなければならない。ゲインの低下による電流検知精度の低下は、トナー帯電量推定の精度に影響を及ぼすことがある。
【0060】
そこで、本実施形態に係る画像形成装置3は、電源部4を有する。電源部4は、互いに異なる複数のゲインを有する電流検知部32と、ゲインの切替機能を有する切替部33とを有する。電流検知部32は、現像電流モニター時にゲインの小さい第1電流検知部40を使用して、波形全体をモニターし、おおまかな第1現像電流を検知する。そのあとに、切替部33は、ゲインの大きい第2電流検知部41回路に切り替えて、レンジを変更させることにより、現像電流測定の精度を向上させる。
【0061】
以下、図4図6を参照して、本実施形態に係る画像形成装置3の構成および制御を具体的に説明する。図4に示すように、現像部23は、感光体30にトナーパッチ34を形成する。トナーパッチ34は、回転方向R2の上流領域34aと下流領域34bとを含む。
【0062】
図5(a)に示すように、電源部4は、制御部6、および現像部23に接続されている。先述したように、電源部4は、電流検知部32と、切替部33とを有する。
【0063】
電流検知部32は、第1電流検知部40と、第2電流検知部41とを有する。第1電流検知部40は、電流検知回路と、電流検知ゲインAと、共通ゲインCとを有する。
【0064】
図5(a)に示す電流検出回路は、第1電流検知部40または第2電流検知部41のゲイン(抵抗)を通った現像電流Iの現像電流値を電圧に変換して検出を行う。図5(b)に示すように、現像電流Iの検知範囲が、例えば、-10μA~32μAの範囲であった場合、制御部6のCPUの入力端子の電圧検出範囲(0V~3.3V)とCPU自体のアナログ電圧検出の分解能に応じて、現像電流値の精度が決定される。
【0065】
図4に示すように、現像電流Iは、現像ローラー31から感光体30へトナーgが移動する際に、高圧基板の現像回路を通して流れ込む。現像電流値はトナーgの帯電量の変化に応じて変動するため、現像電流値は同一のトナーパッチ34から取得することが望ましい。すなわち、トナーパッチ34の上流領域34aでおおまかな第1現像電流値を検知し、そのあとに、下流領域34bへ切り替えて、精度の高い第2現像電流値を計測する。
【0066】
図5(a)に示すように、まず、電源部4は、切替部33を制御し、第1電流検知部40をONにする。すなわち、切替部33は、第1電流検知部40をONにし、第2電流検知部41をOFFにする。電源部4からは、電流検知回路と、電流検知ゲインAと、共通ゲインCとを通して、第1現像電流が現像部23に流れる。
【0067】
図5(b)に示すように、第1電流検知部40が計測できるレンジは、-12μA~32μAの広いレンジである。また、分解能は、一例として、0.5μAである。第1電流検知部40は、一例として、第1現像電流値として9μAを計測する。しかし、第1電流検知部40の分解能は0.5μAであるので、第1現像電流値の9μAは、±0.5μAの誤差を含むことがある。すなわち、より精度の高い第2現像電流値は、8.5μA~9.5μAのレンジに含まれ得る。
【0068】
次に、図6(a)に示すように、制御部6は、切替部33を制御する。切替部33は、電流検知部32を、第2電流検知部41に切り替える。
【0069】
図6(b)に示すように、第2電流検知部41は、電流検知回路と、電流検知ゲインBと、共通ゲインCとを有する。電流検知ゲインBは、一例として、電流検知ゲインB1、電流検知ゲインB2、電流検知ゲインB3、および電流検知ゲインB4を含む。
【0070】
一例として、図5(b)に示すように、電流検知ゲインB1は、-10μA~2μAのレンジを有する。電流検知ゲインB2は、0μA~12μAのレンジを有する。電流検知ゲインB3は、10μA~22μAのレンジを有する。電流検知ゲインB4は、20μA~32μAのレンジを有する。また、分解能は、一例として、0.1μAである。
【0071】
図5(b)に示すように、第1電流検知部40は、第1現像電流値として9μAを計測した。第2電流検知部41の電流検知ゲインB2は、0μA~12μAのレンジを有するため、9μAを含む。
【0072】
図6(a)に示すように、切替部33は、電流検知部32を第1電流検知部40から第2電流検知部41に切り替える。切替部33は、さらに、第2電流検知部41の電流検知ゲインBのうち、電流検知ゲインB2のみをONにする。
【0073】
すなわち、切替部33は、第1電流検知部40をOFFにする。切替部33は、第2電流検知部41をONにする。切替部33は、電流検知ゲインB2をONにする。切替部33は、電流検知ゲインB1、電流検知ゲインB3、および電流検知ゲインB4をOFFにする。
【0074】
電源部4からは、電流検知回路と、電流検知ゲインBと、共通ゲインCとを通して第1現像電流が現像部23に流れる。第1電流検知部40および第2電流検知部41が、いずれも共通ゲインCを有する理由は、切替部33による切替時のわずかな時間にでも、現像電流Iが流れる経路を閉じないためである。
【0075】
図6(b)に示すように、第2電流検知部41は、一例として、第2現像電流値として8.8μAを計測する。すなわち、切替部33が、分解能が0.5μAの第1電流検知部40から、分解能が0.1μAの第2電流検知部41へ切り替えたことにより、第2電流検知部41はより高精度に現像電流Iを計測することができる。
【0076】
本実施形態に係る画像形成装置3によれば、段階的にレンジを切り替えて高精度な現像電流Iを測定できる。
【0077】
また、本実施形態に係る画像形成装置3によれば、第2電流検知部41の第2レンジが、第1電流検知部40の第1レンジに対して、現像電流Iの変化量に対する現像バイアス電圧Vの変化量が大きい。そのため、現像電流値の分解能が高まり、より高精度な現像電流Iを測定できる。
【0078】
また、本実施形態に係る画像形成装置3によれば、第2電流検知部41の第2レンジが、第1電流検知部40の第1レンジに複数含まれることにより、おおまかな第1現像電流を測定したあと、より高精度な第2現像電流を測定できる。
【0079】
また、本実施形態に係る画像形成装置3によれば、現像ローラー31が、感光体30に一つのトナーパッチ34を現像することにより、トナー帯電量の変化の影響を受けずに高精度な第2現像電流を測定できる。
【0080】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る画像形成装置3による処理を説明する。図7は、本実施形態に係る画像形成装置3の処理を示すフローチャートである。
【0081】
図7に示すように、フローチャートは、ステップS10からステップS20を含む。具体的には次の通りである。
【0082】
図7に示すように、ステップ10において、感光体30は、静電潜像を担持する。処理は、ステップS12に進む。
【0083】
ステップS12において、電源部4は、現像電流Iを供給する。処理は、ステップS14に進む。
【0084】
ステップS14において、切替部33は、第1電流検知部40に切り替える。処理は、ステップS16に進む。
【0085】
ステップS16において、第1電流検知部40は、第1現像電流値を検知する。処理は、ステップS18に進む。
【0086】
ステップS18において、切替部33は、第2電流検知部41に切り替える。処理は、ステップS20に進む。
【0087】
ステップS20において、第2電流検知部41は、第2現像電流値を検知する。そして、処理は終了する。
【0088】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 複合機
2 原稿読取装置
3 画像形成装置
4 電源部
5 駆動部
6 制御部
14 画像形成部
30 感光体
31 現像ローラー
32 電流検知部
33 切替部
40 第1電流検知部
41 第2電流検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7