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特開2022-181433無線中継システム、無線中継方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181433
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】無線中継システム、無線中継方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/02 20090101AFI20221201BHJP
   H04W 12/062 20210101ALI20221201BHJP
【FI】
H04W92/02
H04W12/062
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088374
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】横山 宏治
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD17
5K067EE06
(57)【要約】
【課題】無線LAN中継区間における双方向通信の速度低下を抑制することができる無線中継システム、無線中継方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本実施形態に係る無線中継システムは、互いに分離された第1のネットワーク及び第2のネットワークを有し、第1のネットワークに接続された第1の中継器及び第2のネットワークに接続された第2の中継器によって、分離されたネットワークの接続が無線中継される無線中継システムであって、第1の中継器から送信された情報は、第1のチャネルを介して第2の中継器で受信され、第2の中継器から送信された情報は、第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して第1の中継器で受信される、システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに分離された第1のネットワーク及び第2のネットワークを有し、
前記第1のネットワークに接続された第1の中継器及び前記第2のネットワークに接続された第2の中継器によって、前記分離されたネットワークの接続が無線中継される無線中継システムであって、
前記第1の中継器から送信された情報は、第1のチャネルを介して前記第2の中継器で受信され、
前記第2の中継器から送信された情報は、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して前記第1の中継器で受信される、
無線中継システム。
【請求項2】
前記第1の中継器及び前記第2の中継器は、アクセスポイントインタフェース部、ステーションインタフェース部、イーサネットインタフェース部及びフォワーディング制御部をそれぞれ有し、
前記第1の中継器の前記アクセスポイントインタフェース部から送信された情報は、前記第1のチャネルを介して前記第2の中継器の前記ステーションインタフェース部で受信され、
前記第2の中継器の前記アクセスポイントインタフェース部から送信された情報は、前記第2のチャネルを介して前記第1の中継器の前記ステーションインタフェース部で受信され、
前記第1の中継器及び前記第2の中継器のそれぞれにおいて、
前記フォワーディング制御部は、前記イーサネットインタフェース部から受信したパケットを前記アクセスポイントインタフェース部へ転送し、前記ステーションインタフェース部から受信したパケットを前記イーサネットインタフェース部へ転送する、
請求項1に記載の無線中継システム。
【請求項3】
前記第1の中継器は、自身の製造番号から計算されたSSIDを送信し、
前記第2の中継器は、予め登録されている前記第1の中継器のSSIDを検索して、前記第1の中継器に帰属する、
請求項1または2に記載の無線中継システム。
【請求項4】
前記第1の中継器及び前記第2の中継器は、認証コードを使用して帰属を許可し、他の機器の帰属を許可しない、
請求項3に記載の無線中継システム。
【請求項5】
前記第1の中継器は、
自身に帰属した機器がペアとなる前記第2の中継器であるか否かを判定するために、前記機器に対して、前記第2の中継器の認証コードを前記第1の中継器に送信するように指示し、予め登録されている前記第2の中継器の認証コードと、受信された認証コードとを比較し、認証コードが一致するときに、前記機器が前記第2の中継器であると判定し、前記第2の中継器の帰属を許可する、
請求項4に記載の無線中継システム。
【請求項6】
互いに分離された第1のネットワーク、第2のネットワーク及び第3のネットワークを有し、
前記第1のネットワークに接続された第1の中継器、前記第2のネットワークに接続された第2の中継器及び前記第3のネットワークに接続された第3の中継器によって、前記分離されたネットワークの接続が無線中継される無線中継システムであって、
前記第1の中継器から送信された情報は、第1のチャネルを介して前記第2の中継器で受信され、
前記第2の中継器から送信された情報は、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して前記第3の中継器で受信され、
前記第3の中継器から送信された情報は、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルとは異なる第3のチャネルを介して前記第1の中継器で受信される、
無線中継システム。
【請求項7】
互いに分離された第1のネットワーク及び第2のネットワークを有し、
前記第1のネットワークに接続された第1の中継器及び前記第2のネットワークに接続された第2の中継器によって、前記分離されたネットワークの接続が無線中継される無線中継方法であって、
前記第1の中継器から送信された情報は、第1のチャネルを介して前記第2の中継器で受信され、
前記第2の中継器から送信された情報は、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して前記第1の中継器で受信される、
無線中継方法。
【請求項8】
他の中継器が接続された他のネットワークと、自身の中継器が接続されたネットワークとの間で情報を無線中継するためのプログラムであって、
前記他の中継器より送信された情報を第1のチャネルを介して受信させる処理と、
前記他の中継器に対して送信する情報を前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して送信させる処理とを、
前記自身の中継器が有するコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は無線中継システム、無線中継方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、分離されたネットワークを使用する環境において、敷設費用のかかる有線のイーサネット(登録商標)工事を実施せず、無線LAN接続にて、分離されたネットワークを連結する方法が知られている。これらのネットワーク間を無線で接続するためには、無線LAN中継器が使用される。
【0003】
例えば、特許文献1には、LANケーブル上に固定端末(1)及びアクセスポイントAP(1)を有する有線LAN#1と、固定端末(2)及びアクセスポイントAP(2)を有する有線LAN#2とがそれぞれ別々の領域内に存在し、AP(1)とAP(2)との間に無線LANが構築されたシステムが開示されている。当該システムでは、AP1、AP2がそれぞれ有線LAN#1、有線LAN#2上に伝送されたフレームをブリッジすることで相互通信を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-358059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法のように、無線LAN中継区間において、同一チャネルで送信方向通信及び受信方向通信の双方向通信を行う場合、半2重の双方向通信となり、2つの通信が干渉することで通信速度が著しく低下する場合があった。つまり、同一チャネルでの双方向通信では、片方向の通信量が増えると、もう一方向の通信可能量に制限がかかることによって、通信速度が低下するという問題がある。
【0006】
上記課題に鑑み本開示は、無線LAN中継区間における双方向通信の速度低下を抑制することができる無線中継システム、無線中継方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る無線中継システムは、
互いに分離された第1のネットワーク及び第2のネットワークを有し、
前記第1のネットワークに接続された第1の中継器及び前記第2のネットワークに接続された第2の中継器によって、前記分離されたネットワークの接続が無線中継される無線中継システムであって、
前記第1の中継器から送信された情報は、第1のチャネルを介して前記第2の中継器で受信され、
前記第2の中継器から送信された情報は、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して前記第1の中継器で受信される、システムである。
【0008】
本開示の一態様に係る無線中継方法は、
互いに分離された第1のネットワーク及び第2のネットワークを有し、
前記第1のネットワークに接続された第1の中継器及び前記第2のネットワークに接続された第2の中継器によって、前記分離されたネットワークの接続が無線中継される無線中継方法であって、
前記第1の中継器から送信された情報は、第1のチャネルを介して前記第2の中継器で受信され、
前記第2の中継器から送信された情報は、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して前記第1の中継器で受信される、方法である。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、
他の中継器が接続された他のネットワークと、自身の中継器が接続されたネットワークとの間で情報を無線中継するためのプログラムであって、
前記他の中継器より送信された情報を第1のチャネルを介して受信させる処理と、
前記他の中継器に対して送信する情報を前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して送信させる処理とを、
前記自身の中継器が有するコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、無線LAN中継区間における双方向通信の速度低下を抑制することができる無線中継システム、無線中継方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る無線中継システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る第1の中継器及び第2の中継器の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る第1の中継器及び第2の中継器の構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る第1の中継器及び第2の中継器の帰属方法を示した図である。
図5】第1の実施形態に係る第1の中継器及び第2の中継器の相互認証の方法を示した図である。
図6】第1の実施形態に係る無線中継システムの動作を示した図である。
図7】第2の実施形態に係る無線中継システムの全体構成を示すブロック図である。
図8】第1及び第2の実施形態に係る中継器のハードウェア構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る無線中継システム100の全体構成を示すブロック図である。無線中継システム100は、第1のネットワーク10、第1の中継器11、第2のネットワーク20、第2の中継器21を有する。
【0014】
第1のネットワーク10及び第2のネットワーク20は、互いに分離されたネットワークである。第1のネットワーク10及び第2のネットワーク20は、例えば、会社、学校、その他公共機関等の施設に敷設されたローカルエリアネットワークである。
【0015】
分離された一方のネットワークである第1のネットワーク10には第1の中継器11が接続され、もう一方のネットワークである第2のネットワーク20には第2の中継器21が接続される。無線中継システム100は、第1のネットワーク10に接続された第1の中継器11及び第2のネットワーク20に接続された第2の中継器21によって、分離されたネットワークの接続が無線中継される無線中継システムである。
第1のネットワーク10及び第1の中継器11、並びに第2のネットワーク20及び第2の中継器21は、それぞれ有線のイーサネット回線で接続されている。
【0016】
無線中継システム100において、第1のネットワーク10及び第2のネットワーク20を無線LAN回線で中継するために、第1の中継器11及び第2の中継器21が使用される。第1の中継器11及び第2の中継器21は、2台を一組(ペア)として使用することができる。例えば、第1の中継器11を中継器親機、第2の中継器21を中継器子機としてもよく、第1の中継器11を中継器子機、第2の中継器21を中継器親機としてもよい。
【0017】
第1の中継器11及び第2の中継器21の無線通信区間を、無線LAN中継区間とも呼ぶ。第1の中継器11及び第2の中継器21は、互いに無線によるパケットの送受信が可能な装置である。第1の中継器11及び第2の中継器21は、例えばコンピュータ装置である。
【0018】
第1の中継器11及び第2の中継器21は、第1のチャネル及び第2のチャネルの異なる2つのチャネルで双方向通信を行う。具体的には、第1の中継器11から送信された情報は、第1のチャネルを介して、第2の中継器21で受信される。このような第1の中継器11から第2の中継器21への通信を送信方向通信とも呼ぶ。
【0019】
また、第2の中継器21から送信された情報は、第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して第1の中継器11で受信される。このような第2の中継器21から第1の中継器11への通信を受信方向通信とも呼ぶ。
【0020】
以上のように、第1の実施形態に係る無線中継システム100は、無線LAN中継区間において、第1のチャネル及び第2のチャネルの異なる2つのチャネルを使用することで、全2重の双方向通信を実現することができる。これにより、送信方向通信及び受信方向通信の干渉を抑え、送信方向通信と受信方向通信を同時に行った場合における通信速度の低下を抑制することができる。また、異なる2つのチャネルを使用するため、無線LAN中継区間の通信帯域を確保することができる。
【0021】
図2は、第1の実施形態に係る第1の中継器11及び第2の中継器21の構成を示すブロック図である。第1の中継器11及び第2の中継器21は、同様の構成とすることができる。第1の中継器11及び第2の中継器21を合わせて、単に中継器とも呼ぶ。
【0022】
第1の中継器11は、イーサネットインタフェース部12、アクセスポイントインタフェース部13、ステーションインタフェース部14、コントローラ部15、フォワーディング制御部16を有する。
【0023】
第2の中継器21は、イーサネットインタフェース部22、アクセスポイントインタフェース部23、ステーションインタフェース部24、コントローラ部25、フォワーディング制御部26を有する。
【0024】
第1の中継器11のイーサネットインタフェース部12は、イーサネット回線を介して第1のネットワーク10に接続され、第1のネットワーク10との間でパケットの送受信を行う。
同様に、第2の中継器21のイーサネットインタフェース部22は、イーサネット回線を介して第2のネットワーク20に接続され、第2のネットワーク20との間でパケットの送受信を行う。
【0025】
第1の中継器11のアクセスポイントインタフェース部13は、第2の中継器21のステーションインタフェース部24と無線LAN接続される。第1の中継器11のアクセスポイントインタフェース部13から第2の中継器21のステーションインタフェース部24への通信チャネルを第1のチャネルと呼ぶ。第1の中継器11のアクセスポイントインタフェース部13から送信された情報は、第1のチャネルを介して第2の中継器21のステーションインタフェース部24で受信される。
【0026】
第2の中継器21のアクセスポイントインタフェース部23は、第1の中継器11のステーションインタフェース部14と無線LAN接続される。第2の中継器21のアクセスポイントインタフェース部23から第1の中継器11のステーションインタフェース部14への通信チャネルを第2のチャネルと呼ぶ。第2の中継器21のアクセスポイントインタフェース部23から送信された情報は、第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して第1の中継器11のステーションインタフェース部14で受信される。
【0027】
第1の中継器11のコントローラ部15は、フォワーディング制御部16を制御する。同様に、第2の中継器21のコントローラ部25は、フォワーディング制御部26を制御する。
【0028】
また、コントローラ部15及びコントローラ部25は、第1の中継器11及び第2の中継器21の設定を同期するために使用することができる。例えば、第1の中継器11及び第2の中継器21の相互認証が完了した状態において、第1の中継器11のコントローラ部15にて設定が変更されると、第2の中継器21のコントローラ部25の設定が合わせて変更されてもよい。これにより、第1の中継器11及び第2の中継器21の設定の同期を行うことができる。
【0029】
第1の中継器11のフォワーディング制御部16は、イーサネットインタフェース部12から受信したパケットをアクセスポイントインタフェース部13へ転送(ブリッジ)する。また、フォワーディング制御部16は、ステーションインタフェース部14から受信したパケットをイーサネットインタフェース部12へ転送(ブリッジ)する。
【0030】
第2の中継器21のフォワーディング制御部26は、イーサネットインタフェース部22から受信したパケットをアクセスポイントインタフェース部23へ転送(ブリッジ)する。また、フォワーディング制御部26は、ステーションインタフェース部24から受信したパケットをイーサネットインタフェース部22へ転送(ブリッジ)する。
【0031】
以上のように、第1の実施形態に係る無線中継システム100は、無線LAN中継区間において、第1のチャネル及び第2のチャネルの異なる2つのチャネルを使用することで、全2重の双方向通信を実現することができる。これにより、送信方向通信及び受信方向通信の干渉を抑え、送信方向通信と受信方向通信を同時に行った場合における通信速度の低下を抑制することができる。
【0032】
次に、図3を用いて、第1の実施形態に係る第1の中継器11及び第2の中継器21の詳細な構成を説明する。上述した内容と同様の要素については、適宜説明を省略する。
【0033】
第1の中継器11のフォワーディング制御部16は、パケットフィルタ17-1、パケットフィルタ17-2、パケットフィルタ17-3、フォワーディングエンジン18を有する。パケットフィルタ17-1、パケットフィルタ17-2、パケットフィルタ17-3は、まとめてパケットフィルタ17とも呼ぶ。
【0034】
パケットフィルタ17は、イーサネットインタフェース部12、アクセスポイントインタフェース部13、ステーションインタフェース部14の各インタフェース部にて送受信されるパケットをチェックする。具体的には、パケットフィルタ17は、宛先のアドレスがコントローラ部15であるパケットを検出したとき、該当パケットをコントローラ部15に転送する。一方で、パケットフィルタ17は、宛先のアドレスがコントローラ部15以外のパケットについては、通過させる。
【0035】
フォワーディングエンジン18は、宛先のアドレスがコントローラ部15以外のパケットに関して、次の動作を行う。フォワーディングエンジン18は、イーサネットインタフェース部12から受信したパケットについては、アクセスポイントインタフェース部13へ転送し、ステーションインタフェース部14から受信したパケットについては、イーサネットインタフェース部12へ転送する。
【0036】
第2の中継器21のフォワーディング制御部26は、パケットフィルタ27-1、パケットフィルタ27-2、パケットフィルタ27-3、フォワーディングエンジン28を有する。パケットフィルタ27-1、パケットフィルタ27-2、パケットフィルタ27-3は、まとめてパケットフィルタ27とも呼ぶ。
【0037】
パケットフィルタ27は、イーサネットインタフェース部22、アクセスポイントインタフェース部23、ステーションインタフェース部24の各インタフェース部にて送受信されるパケットをチェックする。具体的には、パケットフィルタ27は、宛先のアドレスがコントローラ部25であるパケットを検出したとき、該当パケットをコントローラ部25に転送する。一方で、パケットフィルタ27は、宛先のアドレスがコントローラ部25以外のパケットについては、通過させる。
【0038】
フォワーディングエンジン28は、宛先のアドレスがコントローラ部25以外のパケットに関して、次の動作を行う。フォワーディングエンジン28は、イーサネットインタフェース部22から受信したパケットについては、アクセスポイントインタフェース部23へ転送し、ステーションインタフェース部24から受信したパケットについては、イーサネットインタフェース部22へ転送する。
【0039】
図4は、第1の実施形態に係る第1の中継器11及び第2の中継器21の帰属方法を示した図である。第1の中継器11と第2の中継器21は、例えば、SSID(Service Set Identifier)等の識別情報を用いて互いに帰属することができる。また、第1の中継器11及び第2の中継器21は、認証コードを使用して帰属を許可し、他の機器の帰属を許可しないように構成することができる。つまり、第1の中継器11は、認証コードを使用して他の機器の帰属を許可せず、正しい認証コードを保有する第2の中継器21のみの帰属を許可することができる。同様に、第2の中継器21は、認証コードを使用して他の機器の帰属を許可せず、正しい認証コードを保有する第1の中継器11のみの帰属を許可することができる。これにより、無線通信の混信を防ぎ、通信回線の速度低下を抑制することができる。認証コードとしては、例えば、暗号化キーやパスワード等を用いることができる。
【0040】
第1の中継器11は、電源を投入すると、第1の中継器11自身の製造番号から計算されたSSIDをアクセスポイントインタフェース部13から送信する。
【0041】
第2の中継器21は、電源を投入すると、予め登録されている第1の中継器11の製造番号から計算されたSSIDを検索して、第1の中継器11に帰属することができる。これにより、第2の中継器21は、ペアとなる第1の中継器11に帰属することができる。例えば、第2の中継器21は、受信されたSSIDと、予め登録されている第1の中継器11の製造番号から計算可能なSSIDとを比較し、SSIDが一致する場合に、第1の中継器11に帰属する。この場合、第2の中継器21のステーションインタフェース部24は、第1の中継器11のアクセスポイントインタフェース部13に帰属する。これにより、第1の中継器11及び第2の中継器21は第1のチャネルを介した通信を行うことができる。
【0042】
次に、図5を用いて、第1の中継器11及び第2の中継器21の相互認証の方法について詳細に説明する。
第1の中継器11は、自身に帰属した機器がペアとなる第2の中継器21であるか否かを判定するために、当該機器に対して、接続された通信回線である第1のチャネルを使用して第2の中継器21の認証コードを第1の中継器11に送信するように指示する(図5上図)。第1の中継器11は、認証コードを用いて、帰属した機器が第2の中継器21であるか否かを判定し、第2の中継器21である場合には帰属を許可し、第2の中継器21でない場合には強制的に帰属を解除するようにしてもよい。例えば、第1の中継器11は、予め登録されている第2の中継器21の認証コードと、受信された認証コードとを比較し、認証コードが一致するときに、帰属した機器が第2の中継器21であると判定し、第2の中継器21の帰属を許可してもよい。
【0043】
第1の中継器11は、帰属した機器が第2の中継器21であると判定し、帰属を許可したとき、第2の中継器21に第2の中継器21の製造番号から計算されるSSIDを送信するように指示を出す。例えば、第1の中継器11のコントローラ部15は、第2の中継器21のコントローラ部25に、設定のダウンロードを実施させてもよい。指示を受けた第2の中継器21は、ダウンロードした設定内容に従って、アクセスポイントインタフェース部23を動作させ、第2の中継器21の製造番号から計算されたSSIDを送信する。
【0044】
第1の中継器11は、予め登録されている第2の中継器21の製造番号から計算されたSSIDを検索して、第2の中継器21に帰属することができる。例えば、第1の中継器11は、受信されたSSIDと、予め登録されている第2の中継器21の製造番号から計算可能なSSIDとを比較し、SSIDが一致する場合に、第2の中継器21に帰属する。この場合、第1の中継器11のステーションインタフェース部14が第2の中継器21のアクセスポイントインタフェース部23に帰属する。このとき、第1の中継器11及び第2の中継器21は、第1のチャネルと異なる第2のチャネルを介した通信を行うことができる。
【0045】
第2の中継器21は、自身に帰属した機器がペアとなる第1の中継器11であるか否かを判定するために、当該機器に対して、接続された通信回線である第2のチャネルを使用して第1の中継器11の認証コードを第2の中継器21に送信するように指示する(図5下図)。第2の中継器21は、認証コードを用いて、帰属した機器が第1の中継器11であるか否かを判定し、第1の中継器11である場合には帰属を許可し、第1の中継器11でない場合には強制的に帰属を解除するようにしてもよい。例えば、第2の中継器21は、予め登録されている第1の中継器11の認証コードと、受信された認証コードとを比較し、認証コードが一致するときに、帰属した機器が第1の中継器11であると判定し、第1の中継器11の帰属を許可してもよい。
【0046】
第2の中継器21は、帰属した機器が第1の中継器11であると判定し、帰属を許可したとき、第1の中継器11に対して相互認証が完了したことを通知してもよい。
以上の処理により、第1の中継器11及び第2の中継器21は、相互の帰属が許可され、相互認証が完了し、異なる2つのチャネルによる通信を行うことができる。
【0047】
以上のように、第1の中継器11は、ペアとなる第2の中継器21以外の機器が第1の中継器11に帰属することを防ぐことができる。同様に第2の中継器21は、ペアとなる第1の中継器11以外の機器が第2の中継器21に帰属することを防ぐことができる。よって、他の機器が帰属することによる、無線通信の混信を防ぎ、通信速度の低下を抑制することができる。
【0048】
上述の処理を行うことで、異なる2つのチャネルで第1の中継器11及び第2の中継器21が無線接続されて、相互認証が完了する。相互認証が完了した状態では、第1の中継器11のアクセスポイントインタフェース部13は、現在帰属している第2の中継器21のステーションインタフェース部24にのみ接続を許可する。また、第2の中継器21のアクセスポイントインタフェース部23は、現在帰属している第1の中継器11のステーションインタフェース部14にのみ接続を許可する。
【0049】
また、相互認証完了後に、第1の中継器11及び第2の中継器21は、互いに生存確認信号を送受信することで、確実に無線通信が実行可能であるか否かを確認してもよい。なお、これまでに既に一回以上、第1の中継器11及び第2の中継器21の相互認証が完了している場合には、自動的に相互認証の処理が実行されてもよい。
【0050】
図6を用いて、相互認証完了後の無線中継方法について説明する。
まず、第1のネットワーク10から第2のネットワーク20への通信、つまり、第1の中継器11から第2の中継器21への通信である送信方向通信について説明する(図6上図)。
【0051】
第1の中継器11のフォワーディング制御部16は、イーサネットインタフェース部12から受信したパケットのうち、コントローラ部15宛のパケットをコントローラ部15に転送する。
また、フォワーディング制御部16は、コントローラ部15宛以外のパケットを、アクセスポイントインタフェース部13へ転送する。転送されたパケットは、アクセスポイントインタフェース部13から第1のチャネルを介して、第2の中継器21のステーションインタフェース部24で受信される。
【0052】
第2の中継器21のフォワーディング制御部26は、ステーションインタフェース部24から受信したパケットのうち、コントローラ部25宛のパケットをコントローラ部25に転送する。
また、フォワーディング制御部26は、コントローラ部25宛以外のパケットをイーサネットインタフェース部22へ転送する。
これにより、第1のネットワーク10から送信されたパケットが第2のネットワーク20で受信され、送信方向通信が実現される。
【0053】
次に、第2のネットワーク20から第1のネットワーク10への通信、つまり、第2の中継器21から第1の中継器11への通信である受信方向通信について説明する(図6下図)。
【0054】
第2の中継器21のフォワーディング制御部26は、イーサネットインタフェース部22から受信したパケットのうち、コントローラ部25宛のパケットをコントローラ部25に転送する。
また、フォワーディング制御部26は、コントローラ部25宛以外のパケットを、アクセスポイントインタフェース部23へ転送する。転送されたパケットは、アクセスポイントインタフェース部23から第2のチャネルを介して、第1の中継器11のステーションインタフェース部14で受信される。
【0055】
第1の中継器11のフォワーディング制御部16は、ステーションインタフェース部14から受信したパケットのうち、コントローラ部15宛のパケットをコントローラ部15に転送する。
また、フォワーディング制御部16は、コントローラ部15宛以外のパケットを、イーサネットインタフェース部12へ転送する。
これにより、第2のネットワーク20から送信されたパケットが第1のネットワーク10で受信され、受信方向通信が実現される。
【0056】
以上の方法によって、第1のチャネルを介した送信方向通信及び第2のチャネルを介した受信方向通信の双方向通信を行うことができる。この場合、異なる2つのチャネルを用いているため、送信方向通信及び受信方向通信の干渉を抑えることができる。つまり、実施形態に係る無線中継システム100は、無線LAN中継区間において、第1のチャネル及び第2のチャネルの異なる2つのチャネルを使用することで、全2重の双方向通信を実現し、双方向通信における速度低下を抑制することができる。
【0057】
無線中継システム100のユーザは、分離された各ネットワークにおいて有線接続を行うことができる。このため、ユーザが直接中継器のアクセスポイントに無線接続する場合に比べて、接続端末の台数増加による無線LAN区間におけるデータ衝突を低減させることができ、速度低下を抑制することができる。
【0058】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る無線中継システム200の全体構成を示すブロック図である。第2の実施形態に係る無線中継システム200は、3つの互いに分離されたネットワーク間の接続を無線中継するシステムである。
【0059】
第2の実施形態に係る無線中継システム200は、第1のネットワーク10、第1の中継器11、第2のネットワーク20、第2の中継器21、第3のネットワーク30、第3の中継器31を備える。第2の実施形態に係る無線中継システム200は、第1の実施形態に係る無線中継システム100に比べて、第3のネットワーク30及び第3の中継器31が追加されている。なお、説明を簡単にするため、第1の実施形態に係る無線中継システム100と同様な構成要素は同様の符号を付し、適宜詳細な説明を省略する。
【0060】
第3のネットワーク30には、第3の中継器31がイーサネット回線を介して接続されている。第3の中継器31の構成は、上述した第1の中継器11及び第2の中継器21と同様の構成とすることができる。
【0061】
図7に示すように、第2の実施形態に係る無線中継システム200では、第1の中継器11、第2の中継器21及び第3の中継器31をリング状に接続し、さらに各々の中継器で使用する無線チャネルを分離することで、無線回線ゲートウェイを実現することができる。
【0062】
第2の実施形態に係る無線中継システム200において、第1の中継器11から送信された情報は、第1のチャネルを介して第2の中継器21で受信され、第2の中継器21から送信された情報は、第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して第3の中継器31で受信され、第3の中継器31から送信された情報は、第1のチャネル及び第2のチャネルとは異なる第3のチャネルを介して第1の中継器11で受信される。
【0063】
また、第1の中継器11、第2の中継器21及び第3の中継器31が接続するネットワークのアドレスに応じて、中継器のフィルタ設定を行うことで、任意のネットワークへ情報を送信することができる。
具体的には、第1のネットワーク10の情報は、第1のチャネルを介して第2のネットワーク20に送信可能であり、また、第1のチャネル及び第2のチャネルを介して第3のネットワーク30に送信可能である。第2のネットワーク20の情報は、第2のチャネルを介して第3のネットワーク30に送信可能であり、また、第2のチャネル及び第3のチャネルを介して第1のネットワーク10に送信可能である。第3のネットワーク30の情報は、第3のチャネルを介して第1のネットワーク10に送信可能であり、また、第3のチャネル及び第1のチャネルを介して第2のネットワーク20に送信可能である。このように、リング状に接続した中継器を用いて、所定のネットワークからの情報を任意のネットワークに送信することができる。
【0064】
以上のように、第2の実施形態に係る無線中継システム200は、無線LAN中継区間において、第1のチャネル、第2のチャネル及び第3のチャネルの異なる3つのチャネルを使用することで、双方向通信における干渉を抑え、通信速度の低下を抑制することができる。また、異なる3つのチャネルを使用するため、無線LAN中継区間の通信帯域を確保することができる。
【0065】
なお、第2の実施形態に係る無線中継システム200では、中継器を3台使用しているが、これに限られず、4台以上の中継器を用いてもよい。この場合、複数の中継器をリング状に接続し、各中継器間のチャネルを異なるチャネルとすればよい。これにより、4つ以上のネットワークについても、中継器を用いて異なるチャネルで中継することができ、通信速度の低下を抑制することができる。
【0066】
第1の実施形態に係る無線中継システム100及び第2の実施形態に係る無線中継システム200は、例えば、法人向け無線LANアクセスポイント、学校ICT向け無線LANアクセスポイント、公共施設向け無線LANアクセスポイント等に応用することができる。
【0067】
図8を用いて、第1及び第2の実施形態に係る第1の中継器11、第2の中継器21、第3の中継器31のハードウェア構成例を説明する。第1の中継器11、第2の中継器21、第3の中継器31は、プロセッサ101と、メモリ102とを有している。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ102は、プロセッサ101から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ101は、図示されていないI/Oインターフェースを介してメモリ102にアクセスしてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態における各装置及び各手段は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。上述の実施形態における各装置の機能(処理)を、コンピュータにより実現してもよい。例えば、メモリ102に実施形態における動作を行うための制御プログラムを格納し、各機能を、メモリ102に格納された制御プログラムをプロセッサ101で実行することにより実現してもよい。
【0069】
例えば、本実施形態に係るプログラムは、他の中継器が接続された他のネットワークと、自身の中継器が接続されたネットワークとの間で情報を無線中継するためのプログラムであって、他の中継器より送信された情報を第1のチャネルを介して受信させる処理と、他の中継器に対して送信する情報を第1のチャネルとは異なる第2のチャネルを介して送信させる処理とを、自身の中継器が有するコンピュータに実行させるプログラムである。
【0070】
制御プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0071】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
第1のネットワーク 10
第1の中継器 11
イーサネットインタフェース部 12
アクセスポイントインタフェース部 13
ステーションインタフェース部 14
コントローラ部 15
フォワーディング制御部 16
パケットフィルタ 17、17-1、17-2、17-3
フォワーディングエンジン 18
第2のネットワーク 20
第2の中継器 21
イーサネットインタフェース部 22
アクセスポイントインタフェース部 23
ステーションインタフェース部 24
コントローラ部 25
フォワーディング制御部 26
パケットフィルタ 27、27-1、27-2、27-3
フォワーディングエンジン 28
第3のネットワーク 30
第3の中継器 31
無線中継システム 100、200
プロセッサ 101
メモリ 102
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8