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特開2022-181434自律移動装置、サーバ装置、自律移動制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181434
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】自律移動装置、サーバ装置、自律移動制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221201BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20221201BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G08G1/09 F
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088375
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭二朗
(72)【発明者】
【氏名】上杉 賢弘
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA25
5H181AA26
5H181AA27
5H181AA28
5H181BB02
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF07
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
5H301AA01
5H301AA02
5H301AA03
5H301AA04
5H301AA05
5H301AA06
5H301AA07
5H301AA09
5H301AA10
5H301BB02
5H301BB03
5H301BB05
5H301BB07
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF11
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG14
5H301GG17
5H301KK08
5H301KK18
5H301KK19
(57)【要約】
【課題】自律移動装置において、通信ができない領域においても通信ができる領域と同様の精度で運行が可能で、且つ既存の自律移動装置への適用も容易に行うことを可能にする。
【解決手段】自律移動装置1は制御部1a、通信部1b、記憶部1c、及びセンサ群1dを備える。制御部1aは、現在の状態を示す状態情報の履歴から自律移動装置1の進行方向を予測し、通信部1bを介して、状態情報と予測した進行方向とをサーバ装置に送信し、進行方向における通信部1bで通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信する。制御部1aは、通信部1bを介して、状態情報と圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報をサーバ装置に要求して受信し、受信した必要な情報を記憶部1cに一時的に記憶させて、上記必要な情報に基づき自律移動制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動装置における現在位置を含む現在の状態を検知するセンサ群と、
通信部と、
記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記現在の状態を示す状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向とをサーバ装置に送信し、前記進行方向における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信し、
前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報を前記サーバ装置に要求して受信し、
受信した前記必要な情報を前記記憶部に一時的に記憶させて、前記必要な情報に基づき前記自律移動制御を行う、
自律移動装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記状態情報と前記圏外情報とに応じた、前記必要な情報の受信処理及び前記必要な情報に基づく前記自律移動制御の演算処理についての処理量又は処理時間が、現在の速度での移動を続けると前記圏外情報が示す通信圏外に突入して前記必要な情報が受信しきれないことを示す場合、前記自律移動装置を減速するように制御する、
請求項1に記載の自律移動装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記状態情報と前記圏外情報とに応じた、前記必要な情報の受信処理及び前記必要な情報に基づく前記自律移動制御の演算処理についての処理量又は処理時間が、現在の速度での移動を続けると前記必要な情報が受信しきれないことを示す場合、前記圏外情報が示す通信圏外を迂回するように前記自律移動装置の移動を制御する、
請求項1又は2に記載の自律移動装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記状態情報と前記圏外情報とに応じた、前記必要な情報の情報量が前記記憶部で記憶可能な容量を超える場合、前記圏外情報が示す通信圏外を迂回するように前記自律移動装置の移動を制御する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の自律移動装置。
【請求項5】
前記必要な情報は、地図情報、自律移動のための駆動を行う駆動部を制御する制御情報、及び、前記駆動部を制御する制御情報を得るためのプログラムのいずれか1つである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の自律移動装置。
【請求項6】
通信機能を有する自律移動装置と通信する通信部と、
前記自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、前記通信部を介して前記自律移動装置から取得し、
前記状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記状態情報と予測した前記進行方向とに基づき、前記進行方向における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定し、
前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、前記必要な情報を前記自律移動装置に送信する、
サーバ装置。
【請求項7】
自律移動装置における現在位置を含む現在の状態を検知するセンサ群と、通信部と、記憶部と、を備えた自律移動装置が、前記現在の状態を示す状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記自律移動装置が、前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向とをサーバ装置に送信し、前記進行方向における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信し、
前記自律移動装置が、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報を前記サーバ装置に要求して受信し、
前記自律移動装置が、受信した前記必要な情報を前記記憶部に一時的に記憶させて、前記必要な情報に基づき前記自律移動制御を行う、
自律移動制御方法。
【請求項8】
通信機能を有する自律移動装置と通信する通信部と、前記自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する記憶部と、を備えたコンピュータが、前記自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、前記通信部を介して前記自律移動装置から取得し、
前記コンピュータが、前記状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記コンピュータが、前記状態情報と予測した前記進行方向とに基づき、前記進行方向における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定し、
前記コンピュータが、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、前記必要な情報を前記自律移動装置に送信する、
自律移動制御方法。
【請求項9】
自律移動装置における現在位置を含む現在の状態を検知するセンサ群と、通信部と、記憶部と、を備えた自律移動装置内に具備されたコンピュータに、
前記現在の状態を示す状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向とをサーバ装置に送信し、前記進行方向における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信し、
前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報を前記サーバ装置に要求して受信し、
受信した前記必要な情報を前記記憶部に一時的に記憶させて、前記必要な情報に基づき前記自律移動制御を行う、
処理を実行させるプログラム。
【請求項10】
通信機能を有する自律移動装置と通信する通信部と、前記自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する記憶部と、を備えたコンピュータに、
前記自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、前記通信部を介して前記自律移動装置から取得し、
前記状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記状態情報と予測した前記進行方向とに基づき、前記進行方向における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定し、
前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、前記必要な情報を前記自律移動装置に送信する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律移動装置、サーバ装置、自律移動制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンや自動運転車などの自律的に移動する装置(自律移動装置)の研究が盛んになされ、一部で実際に利用されてきている。また、労働者人口の減少や、コスト低減や業務効率化のため、今後、自律移動装置のさらなる普及が見込まれる。例えば、荷物の運搬や配送、配達などの業務が、人及び人が運転する自動車から自律移動装置に置き換わっていくことで、自律移動装置が人の生活に密着した場面で用いられることも見込まれる。そうなると、人の生活空間において自律移動装置が運用されることになるため、自律移動装置は、安全に運行されることが求められるとともに、確実で安定した自律制御を行う機能も求められる。
【0003】
ところで、自律移動装置は、自律制御という高度な処理を行う反面、移動するという特性上、車体の大きさや重量(燃料の量、バッテリー容量、情報処理回路、装置の周囲をセンシングする装置などの大きさ、重量も含む)を下げることが望まれる。また、自律移動装置は、重量の問題に加え、量産されるためコストの都合もあり、処理能力に制約を受けることになる。よって、自律移動装置は単独で自律運行するだけでなく、通信を介してつながったサーバなどの別の情報処理装置の情報や処理能力を利用して自律運行することがなされることがある。例えば、自動運転車は、サーバ側で測量データなどから生成された道路の構造情報や状態の情報(ダイナミックマップ)など、自動運転に必要な情報をサーバから入手しながら自動運転(自律動作)を行う。
【0004】
通信しながら自律運行する技術として、特許文献1には、受信端末とセンタ装置とを備え、受信端末に必要な記憶装置の容量を削減し得る地図データ表示システムが記載されている。上記センタ装置は、異なる地理的な位置情報と関連づけられた多数の地図データを蓄積するデータ蓄積装置を備える。さらに上記センタ装置は、データ蓄積装置に蓄積された各地図データを無線信号により、少なくとも該各地図データに対応する領域内に存在する受信端末に到達可能に繰り返し送信する送信装置を備える。上記受信端末は、センタ装置からの無線信号を受信する受信手段と、受信した地図データのうち、少なくとも自身の位置情報に対応する地図データを、表示装置に表示する地図データとして記憶する記憶手段とを設ける。これにより、多数の地図データを上記受信端末側で蓄積する必要をなくす。
【0005】
特許文献2には、領域の広さが異なる地図情報を無線で配信する局から地図情報を受信する通信回路と、該通信回路の受信強度に基づいて受信する地図情報の領域の広さを選択する制御手段とを備えたナビゲーション装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-350150号公報
【特許文献2】特開2002-323324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した通り、自律移動装置は通信を介してつながったサーバと連携して自律動作をする。自律移動装置は移動するという特性上、サーバとの通信に無線の通信部を用いることが多い。そのため、自律移動装置は動き回るので自律移動装置が無線の通信部の通信可能範囲から外れてしまう場合がある。自律移動装置が無線の通信部の通信可能範囲から外れている間、自律移動装置は自身の限られた処理能力で自律運行することになる。なお、自律移動装置は、無線通信を採用している場合はもとより有線通信を採用している場合にも、移動中に通信可能範囲から外れてしまうことも自律移動システムの構成によってはあり得る。
【0008】
このような通信可能範囲から外れた領域では、自律移動装置は、限られた情報、限られた処理能力で自律運行することになり、制御の性能が落ちてしまい、この点は特許文献1に記載の技術でも同様である。例えば自動運転車であれば事故の可能性が高まったり、安全に余裕をみて低速運行しなければならなくなったりなどして、自動運行に通常よりも制約が生じるという不都合がある。
【0009】
そのため、自律移動装置とサーバとの間で通信ができない状況が生じても、自律移動装置とサーバとの間で通信ができているときと同じ制御性能を維持する方法の確立が望まれる。また、多くの自律移動装置が移動する環境に適用して事故等を防ぐという観点から、この方法は、既に流通している自律移動装置への容易に組み込むことが可能な方法であること望まれる。
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の技術は、自律移動装置が自身で受信強度が弱い状況を検出した時点で受信する地図の範囲を広くするものに過ぎない。よって、特許文献2に記載の技術では、受信強度に基づき受信する地図の範囲を広くした段階で既に受信できない範囲に突入している可能性や急に山の陰に入って受信不可な状況に陥る可能性も十分あり、これらの題を解決できるとは言い難い。
【0011】
本開示の目的は、上述の課題に鑑み、通信ができない領域においても通信ができる領域と同様の精度で運行を行うことが可能で、且つ既存の自律移動装置への適用も容易に行うことが可能な自律移動装置、サーバ装置、及び自律移動制御方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の第1の態様に係る自律移動装置は、自律移動装置における現在位置を含む現在の状態を検知するセンサ群と、通信部と、記憶部と、制御部と、を備えたものである。前記制御部は、前記現在の状態を示す状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向とをサーバ装置に送信し、前記進行方向における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信し、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報を前記サーバ装置に要求して受信し、受信した前記必要な情報を前記記憶部に一時的に記憶させて、前記必要な情報に基づき前記自律移動制御を行う。
【0013】
本開示の第2の態様に係るサーバ装置は、通信機能を有する自律移動装置と通信する通信部と、前記自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する記憶部と、制御部と、を備えたものである。前記制御部は、前記自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、前記通信部を介して前記自律移動装置から取得し、前記状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、前記状態情報と予測した前記進行方向とに基づき、前記進行方向における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定し、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、前記必要な情報を前記自律移動装置に送信する。
【0014】
本開示の第3の態様に係る自律移動制御方法は、自律移動装置における現在位置を含む現在の状態を検知するセンサ群と、通信部と、記憶部と、を備えた自律移動装置が、前記現在の状態を示す状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、前記自律移動装置が、前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向とをサーバ装置に送信し、前記進行方向における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信し、前記自律移動装置が、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報を前記サーバ装置に要求して受信し、前記自律移動装置が、受信した前記必要な情報を前記記憶部に一時的に記憶させて、前記必要な情報に基づき前記自律移動制御を行う、ものである。
【0015】
本開示の第4の態様に係る自律移動制御方法は、通信機能を有する自律移動装置と通信する通信部と、前記自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する記憶部と、を備えたコンピュータが、前記自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、前記通信部を介して前記自律移動装置から取得し、前記コンピュータが、前記状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、前記コンピュータが、前記状態情報と予測した前記進行方向とに基づき、前記進行方向における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定し、前記コンピュータが、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、前記必要な情報を前記自律移動装置に送信する、ものである。
【0016】
本開示の第5の態様に係るプログラムは、自律移動装置における現在位置を含む現在の状態を検知するセンサ群と、通信部と、記憶部と、を備えた自律移動装置内に具備されたコンピュータに、前記現在の状態を示す状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向とをサーバ装置に送信し、前記進行方向における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信し、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報を前記サーバ装置に要求して受信し、受信した前記必要な情報を前記記憶部に一時的に記憶させて、前記必要な情報に基づき前記自律移動制御を行う、処理を実行させるプログラムである。
【0017】
本開示の第6の態様に係るプログラムは、通信機能を有する自律移動装置と通信する通信部と、前記自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する記憶部と、を備えたコンピュータに、前記自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、前記通信部を介して前記自律移動装置から取得し、前記状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、前記状態情報と予測した前記進行方向とに基づき、前記進行方向における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定し、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、前記必要な情報を前記自律移動装置に送信する、処理を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本開示により、通信ができない領域においても通信ができる領域と同様の精度で運行を行うことが可能で、且つ既存の自律移動装置への適用も容易に行うことが可能な自律移動装置、サーバ装置、自律移動制御方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る自律移動装置の一構成例を示すブロック図である。
図2図1の自律移動装置における処理例を説明するためのフロー図である。
図3】実施形態2に係るサーバ装置の一構成例を示すブロック図である。
図4図3のサーバ装置における処理例を説明するためのフロー図である。
図5】実施形態3に係る自律移動システムの基本的な構成例を示すブロック図である。
図6】比較例に係る基本的な自律移動装置の運行のための自律移動システムの構成を示すブロック図である。
図7図6の自律移動装置における情報の取得処理を説明するためのフロー図である。
図8図6の自律移動装置において図7の処理で取得された情報を利用した自律移動制御を説明するためのフロー図である。
図9】実施形態3に係る自律移動システムの一構成例を示すブロック図である。
図10図9の自律移動システムにおける自律移動制御の一例を説明するためのフロー図である。
図11】実施形態4に係る自律移動システムの一構成例を示すブロック図である。
図12図11の自律移動システムにおける自律移動制御の一例を説明するためのフロー図である。
図13】装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0021】
<実施形態1>
図1を参照しながら、実施形態1に係る自律移動装置(自律移動機器)の構成例について説明する。図1は、実施形態1に係る自律移動装置の一構成例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る自律移動装置1は、自律的に移動することが可能な装置であり、制御部1a、通信部1b、記憶部1c、及び複数のセンサ(センサ群)1dを備える。自律移動装置1は、センサ群1dから出力された検知結果(センサデータ)に基づき、移動中(運行中)の状態を検知することができる。
【0023】
本実施形態に係る自律移動装置1は、移動中における自律移動装置1の状態に基づき、移動を制御する移動機器全般に適用できる。自律移動装置1は、情報処理能力を持ち、アクチュエータなどを制御して、自律的に移動を行い、運搬や移動を担う機器全般とすることができる。
【0024】
自律移動装置1としては、例えば、自動運転自動車、自動運転列車、自動航行船舶、自動飛行する航空機、ドローン、工場や倉庫等で用いられるAGV(自動搬送車)、走行機能や脚での移動機能を持つロボット、ロボット電動車いす、自動二輪車などが挙げられる。ここで、ドローンは、上空を飛行する無人航空機等の飛行体に限らず、地上、上空、水上、水中、宇宙など、その動作環境を問わない。また、ロボットは、走行、歩行など、その移動方式を問わない。さらに、自律移動装置1としては、例えば、フォークリフト、建機や重機等の工事用車両、鉄道車両、タクシー、トラック等の物流に用いられる車両、警察車両、消防車両なども挙げられる。ここで、鉄道車両は、ライトレール、鉄輪式、新交通システム、モノレール、磁気浮上式など、その移動方式を問わない。また、自律移動装置1は、ある時は自律的に動作し、ある時は人間による指示や操作で動作するモード切替えのある機器や、自律動作の一部を人間の操作や指示と協調して移動する機器も含まれる。即ち、自律移動装置1は、自律的に移動可能であればよく、外部のコントローラからの制御に従い、或いは搭乗者の操作に従い、移動する機能を有することもできる。
【0025】
センサ群1dは、自律移動装置1における現在位置を含む現在の状態を検知する。ここで、現在の状態とは、センサ群1dに含まれるセンサそれぞれについて、設置箇所における検知対象を計測した結果のセンサ値、或いはそのセンサ値が示す状態を指すことができ、主に移動状態(運行状態)が含まれる。上記移動状態は、自律移動装置1の現在位置を含むが、その他、代表的なものとして自律移動装置1の傾きなども含むことができる。なお、上記設置箇所や上記検知対象は、一般的に自律移動装置1の種別や形状によって異なることになる。また、センサ群1dは、自律移動装置1の制御に必要な複数のセンサで構成されることができ、自律移動装置1自身の状態を収集するセンサ群だけでなく、周囲(周囲環境)の状態を収集するセンサ群も含むことができる。また、センサ群1dにおける検知間隔は問わないが、素早い検知のためには短いことが望ましい。また、センサ群1dに属するセンサそれぞれの検知間隔は同じであることが好ましいが、異なってもよく、各センサで検知時刻が若干ズレた検知データを同時刻と取り扱うこともできる。
【0026】
通信部1bは、外部の装置(サーバ装置)との通信を行う部位であり、例えば無線通信インターフェースとすることができるが、無線通信部及び有線通信部の少なくとも一方であればよく、自律移動装置1の種類や運行方法によって適切な通信部が具備される。自律移動装置1と上記のサーバ装置とを含むように、自律移動システムが構築されることになる。上記のサーバ装置は例えばサーバコンピュータとすることができ、通信部1bが無線通信部である場合の通信においても通信経路に有線通信経路を含むことがある。
【0027】
このように、自律移動装置1とサーバ装置の間の通信は、無線通信であることを主に説明したが、無線に限らず有線や接触がある通信方式でもよい。例えば、パンタグラフや線路から接触で通信するような通信方法の場合、線路のポイント(線路の分岐)などで構造上一時的に通信が切れる場合がある、これは一種の圏外と考えることができ、本実施形態を適用できる。
【0028】
制御部1aは、自律移動装置1の全体を制御する制御部として構成することができる。制御部1aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及び移動制御に係るプログラムを含むプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。また、制御部1aは、例えば集積回路(Integrated Circuit)を含んで実現することもできる。
【0029】
記憶部1cは、上記記憶装置とすること、あるいは別途用意した記憶装置とすることができ、自律移動装置1の自律移動制御に必要な情報を一時的に記憶する。記憶部1cは、自律移動制御に不要になった情報を削除するように構成しておくことができる。
【0030】
次に自律移動装置1の主な特徴について説明する。
制御部1aは、現在の状態を示す状態情報の履歴から自律移動装置1の進行方向を予測する。そのため、記憶部1cには状態情報の履歴が予測に必要な分だけ格納され、適宜、古い履歴を削除してもよい。予測は、例えば履歴とその後の実際の進行方向とのデータなどに基づき生成した学習済みモデルを用いて実行することができるが、これに限ったものではない。また、この学習済みモデルにおけるアルゴリズム等は問わず、進行方向の精度の良い予測が可能であればよい。
【0031】
また、制御部1aは、通信部1bを介して、状態情報と予測した進行方向とをサーバ装置に送信し、進行方向における通信部1bで通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信する。
【0032】
制御部1aは、通信部1bを介して、状態情報と圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報をサーバ装置に要求して受信し、受信した必要な情報を記憶部1cに一時的に記憶させて、上記必要な情報に基づき自律移動制御を行う。
【0033】
次に、図2を参照しながら、自律移動装置1における処理の手順(自律移動制御方法)の例について説明する。図2は、図1の自律移動装置1における処理例を説明するためのフロー図である。
【0034】
まず、自律移動装置1の制御部1aが、現在の状態を示す状態情報の履歴から、自律移動装置1の進行方向を予測する(ステップS1)。次いで、自律移動装置1の制御部1aが、通信部1bを介して、状態情報と予測した進行方向とをサーバ装置に送信し(ステップS2)、その進行方向における通信部1bで通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信する(ステップS3)。
【0035】
次いで、自律移動装置1の制御部1aが、通信部1bを介して、状態情報と圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報をサーバ装置に要求して受信する(ステップS4)。次いで、自律移動装置1の制御部1aが、受信した必要な情報を記憶部1cに一時的に記憶させて(ステップS5)、上記必要な情報に基づき自律移動制御を実行する(ステップS6)。なお、上記のプログラムはこのような処理を自律移動装置1内に具備されたコンピュータ(上記の制御部1aで例示)に実行させるためのプログラムを含むことができる。
【0036】
このように、本実施形態に係る自律移動装置1では、通信圏外での自律移動制御に必要な情報を、予測により得た進行方向で示される通信圏外に入る前に取得することができる。自律移動装置1では、このような通信不通区間に配慮した制御を行うことで、通信ができない領域においても通信ができる領域と同様の精度で運行を行うことが可能になる。また、自律移動装置1では、サーバ装置と情報をやり取りしながら自律移動する既存の自律移動装置への適用も容易に行うことが可能になる。
【0037】
<実施形態2>
図3を参照しながら、実施形態2に係るサーバ装置の構成例について説明する。図3は、実施形態2に係るサーバ装置の一構成例を示すブロック図である。
【0038】
図3に示す本実施形態に係るサーバ装置2は、自律的に移動することが可能で且つ通信機能を有する自律移動装置に情報を提供し、実質的にその自律移動装置の自律移動制御の一部を担う装置であり、例えばサーバコンピュータとして構成することができる。図3に示すように、本実施形態に係るサーバ装置2は、制御部2a、通信部2b、及び記憶部2cを備える。
【0039】
本実施形態に係るサーバ装置2が情報を提供する自律移動装置は、自律移動装置1と同様にセンサ群から出力された検知結果(センサデータ)に基づき、移動中(運行中)の状態を検知することができる装置である。また、この自律移動装置は、実施形態1と同様に、移動中における自律移動装置1の状態に基づき移動を制御する移動機器全般に適用でき、情報処理能力を持ち、アクチュエータなどを制御して、自律的に移動を行い、運搬や移動を担う機器全般とすることができる。この自律移動装置の種類についても実施形態1で説明したものと同様に様々な種類が適用できる。
【0040】
制御部2aは、サーバ装置2の全体を制御する制御部として構成することができる。制御部2aは、例えば、CPU、作業用メモリ、及び情報提供(自律移動装置に対する移動制御)に係るプログラムを含むプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。また、制御部2aは、例えば集積回路を含んで実現することもできる。
【0041】
通信部2bは、通信機能を有する自律移動装置との通信を行う部位であり、例えば有線信インターフェースとすることができるが、通信部2bと自律移動装置との間の通信経路の一部又は全部は、無線通信経路とすることができる。サーバ装置2と自律移動装置1等の自律移動装置とを含むように、自律移動システムが構築されることになる。
【0042】
このように、サーバ装置2と自律移動装置との間の通信は、無線通信に限らず有線や接触がある通信方式でもよい。例えば、パンタグラフや線路から接触で通信するような通信方法の場合、線路のポイント(線路の分岐)などで構造上一時的に通信が切れる場合がある、これは一種の圏外と考えることができ、本実施形態を適用できる。
【0043】
記憶部2cは、上記記憶装置とすること、あるいは別途用意した記憶装置とすることができ、自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する。
【0044】
次にサーバ装置2の主な特徴について説明する。
制御部2aは、自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、通信部2bを介して上記自律移動装置から取得する。制御部2aは、受信した状態情報の履歴から、自律移動装置の進行方向を予測する。そのため、記憶部2cには状態情報の履歴が予測に必要な分だけ格納され、適宜、古い履歴を削除してもよい。予測は、例えば履歴とその後の実際の進行方向とのデータなどに基づき生成した学習済みモデルを用いて実行することができるが、これに限ったものではない。また、この学習済みモデルにおけるアルゴリズム等は問わず、進行方向の精度の良い予測が可能であればよい。
【0045】
そして、制御部2aは、状態情報と予測した進行方向とに基づき、進行方向における通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定する。この決定は、例えば、予め記憶部2c等に記憶された地図情報と通信のための基地局等での通信可能範囲とを参照して実行することができる。
【0046】
制御部2aは、状態情報と圏外情報とが示す範囲についての自律移動制御に必要な情報を、記憶部2cから読み出して、通信部2bを介して、上記自律移動装置に送信する(提供する)。
【0047】
次に、図4を参照しながら、サーバ装置2における自律移動装置1に対する処理の手順(自律移動制御方法)の例について説明する。図4は、図3のサーバ装置2における処理例を説明するためのフロー図である。
【0048】
まず、サーバ装置2の制御部2aが、自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、通信部2bを介して上記自律移動装置から取得し(ステップS11)、状態情報の履歴から上記自律移動装置の進行方向を予測する(ステップS12)。次いで、サーバ装置2の制御部2aが、状態情報と予測した進行方向とに基づき、進行方向における通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定する(ステップS13)。
【0049】
次いで、サーバ装置2の制御部2aが、通信部2bを介して、状態情報と圏外情報とが示す範囲について、必要な情報を上記自律移動装置に送信する(ステップS14)。このような処理は、複数の自律移動装置に対して同時並行処理で実行されることができる。なお、サーバ装置2における上記のプログラムはこのような処理をサーバ装置2としてのコンピュータ又はサーバ装置2内に具備されたコンピュータ(上記の制御部2aで例示)に実行させるためのプログラムを含むことができる。
【0050】
このように、本実施形態に係るサーバ装置2では、通信機能を有する自律移動装置において通信圏外での自律移動制御に必要な情報を、予測により得た進行方向で示される通信圏外に入る前にその自律移動装置に提供することができる。よって、提供を受けた自律移動装置では、このような通信不通区間に配慮した制御を行うことで、通信ができない領域においても通信ができる領域と同様の精度で運行を行うことが可能になる。また、本実施形態では、サーバ装置と情報をやり取りしながら自律移動する既存の自律移動装置への適用も容易に行うことが可能になる。
【0051】
<実施形態3>
実施形態3について、図5図10を参照しながら、実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。
【0052】
まず、図5を参照しながら、本実施形態に係る自律移動システム(以下、本システム)の全体構成の一例について説明する。図5は、本システムの基本的な構成例を示すブロック図である。
【0053】
図5に示すように、本システムは、サーバ11、通信インフラ18、及び自律移動装置15(その位置に応じて自律移動装置15-1,15-2,15-3として図示)を備えることができ、無論、複数台の自律移動装置15を備えることができる。
【0054】
サーバ11は、実施形態1のサーバ装置の一例に相当し、複数台の自律移動装置15に、自律機が自律運行するのに必要な情報や情報処理を行うソースを提供する役割を持つ。
【0055】
通信インフラ18は、サーバ11と自律移動装置15との間の通信を担う設備である。通信インフラ18は、携帯電話、3G、4G、5G、WiMAX(登録商標)など)やホットスポット(無線LAN)のような公共の無線通信設備や、ある施設敷地内や建屋内などに自営で設置された無線通信設備とすることができる。なお、通信インフラ18が無線通信設備であることを前提として説明するが、有線通信設備とすることもできる。サーバ11と自律移動装置15との間の通信を担う設備であればこのような通信インフラに該当する。
【0056】
通信ネットワーク12は、サーバ11と無線通信装置13(2つの無線通信装置13a,13bで例示)との間の通信を担う設備である。無線通信装置の数は2つで例示しているが、無論、これに限ったものではない。通信インフラ18が例えば携帯電話網であれば、次のようなネットワークが通信ネットワーク12に該当する。即ち、携帯キャリアが保有するバックボーンネットワークやサーバ運用者が契約しているISP(インターネットサービスプロバイダ)のネットワークやISPのネットワークとバックボーンネットワークを繋ぐネットワークやインターネットなどである。但し、通信ネットワーク12は、サーバ11と自律移動装置15との間の通信に必要な設備であれば、これに限らない。
【0057】
無線通信装置13は、主に有線で構成されている通信ネットワーク12の末端に接続され、自律移動装置15と無線通信を行う設備である。例えば携帯電話網であれば無線基地局、ホットスポットや無線LANではアクセスポイントと呼ばれるものこれに該当するが、サーバ11と自律移動装置15との間の無線通信を仲介する設備であれよく、この例に限らない。
【0058】
また、無線通信といっても、電波を用いたものに限る必要はなく、光、磁気、音波、超音波、振動を用いた通信であってもよい。あるいは、レールや電線とパンタグラフのように半接触状態により通信する仕組みを用いた通信を採用することもできる。さらには、無線通信装置13がコードやマーカのようなものを自律移動装置から見える場所に投影や表示をして、それを自律移動装置15側が撮影(受信)解釈し情報を受け取るような仕組みを用いた無線通信であってもよい。このように、無線通信としては、サーバ11と動き回る自律移動装置15との間の通信を仲介できる設備であればよい。
【0059】
そして、無線通信の特長ゆえ、必然的にある無線通信装置13において通信を提供できる範囲には限界がある。よって、図5において通信圏内14a,14b及びそれ以外の通信圏外17として例示したように、自律移動装置15が運行上動き回る範囲には通信ができる場所である通信圏内14a,14bと通信ができない場所である通信圏外17とが存在する。そして、自律移動装置15が運行する間に、自律移動装置15-1,15-3で示すように通信ができる場合と自律移動装置15-2で示すように通信ができない場合とが生じ得る。
【0060】
ここで、通信圏内14a,14bは、それぞれ無線通信装置13a,13bと自律移動装置15が通信できる範囲のことであり、区別しない場合には通信圏内14として説明する。通信圏外17は、無線通信装置13a,13bのいずれとも自律移動装置15が通信できない範囲のことである。
【0061】
自律移動装置15は、実施形態1で説明したように、自身に情報処理能力を持ち、アクチュエータなどを制御して、自律的に移動を行う機器全般とすることができ、その種類の例についても実施形態1で説明した通りである。
【0062】
自律移動装置15は搭載装置16を有し、図5ではその位置に応じて搭載装置16-1,16-2,16-3として図示している。この搭載装置16は、自律移動装置15に搭載され、自律移動装置15の自動制御を司り、自律移動装置15の自律制御に必要な処理や通信やデータの送受を行う装置である。
【0063】
本実施形態の細部を説明するに先立ち、図6図8を参照しながら比較例に係る自律移動システムの構成及び比較例に係る自律移動装置の運行について説明する。図6は、比較例に係る基本的な自律移動装置の運行のための自律移動システムの構成を示すブロック図である。
【0064】
図6に示すように、比較例に係る自律移動システムは、3次元地図配信部111を有するサーバ110、通信インフラ18と同等の通信インフラ180、及び自律移動装置150を備える。自律移動装置150は、搭載装置16の代わりに搭載装置160を搭載するものである。搭載装置160は、位置測位部161、3次元地図要求部162、3次元地図受信部163、及び自律機制御部(自律制御部)164を備える。
【0065】
3次元地図配信部111は、自律移動装置150が自律運行に必要な3次元地図情報を提供する。3次元地図配信部111は、このような3次元地図情報を記憶する記憶装置を有する。自律移動装置150には保持できる情報の容量に限界があり、3次元地図情報は一般にデータ容量が大きい。そのため、3次元地図配信部111は、自律移動装置150の要求に応じて、あるいは自律移動装置150の位置に合わせて、自律移動装置150が自律運行するに必要な自律移動装置150の周辺のデータを一部切り出して、自律移動装置150に提供する。
【0066】
位置測位部161は、GNSS(global navigation satellite system)やその一種であるGPS(グローバルポジショニングシステム)における位置情報を取得するセンサなどを用いて、自律移動装置150の現在位置を測位する。
【0067】
3次元地図要求部162は、位置測位部161から自律移動装置150の現在位置を取得し、自律移動装置150の周辺の3次元地図情報を、サーバ110の3次元地図配信部11aに要求する。
【0068】
3次元地図受信部163は、3次元地図要求部162がサーバ11に要求した範囲の3次元地図情報をサーバ110の3次元地図配信部111から受信し、自律制御部164が自律移動装置150の制御に使うために、その3次元地図情報を提供する。
【0069】
自律制御部164、自律移動装置150自身に搭載された各種センサ(位置測位部161を含む)の情報と、サーバ110の3次元地図配信部111から3次元地図受信部163を経由して得た3次元地図情報をもとに、自律移動装置150を自律運行させるように自律制御する。
【0070】
次に、このような比較例における動作について、図7及び図8を参照しながら説明する。図7は、図6の自律移動装置150における情報の取得処理を説明するためのフロー図で、図8は、図6の自律移動装置150において図7の処理で取得された情報を利用した自律移動制御を説明するためのフロー図である。なお、図7及び図8、並びに後述する図10及び図12においては、UML(Unified Modeling Language)2.0の記法で全体のシーケンスを表記している。
【0071】
まず、動作の概略を説明すると、おおまかに、図7で説明する動作と図8で説明する動作との2つの動作からなる。図7の動作は、自律移動装置150の位置情報の変化を取得して自律移動装置150の周囲の3次元地図情報をサーバ110から取得し保持する動作である。図8の動作は、自律移動装置150の位置情報の変化を取得して、自律移動装置150の制御に必要な範囲の3次元地図情報を保持した3次元地図情報から読み出して、自律移動装置150を制御する動作である。
【0072】
これらの、図7に示す3次元地図情報の更新と、図8に示す自律移動装置150の制御とは、それぞれ処理を行う頻度、つまり、時間的な処理実施頻度や、どれだけ移動するごとに処理を実施するかなどが異なることがあり得るため、非同期に実施される。
【0073】
図7に示す3次元地図情報の更新処理について説明する。なお、図7に示す動作は、自律移動装置150が運行されている間中、繰り返し行われる。
【0074】
まず、位置測位部16aが自律移動装置150の現在位置情報を計測し、3次元地図要求部16bにその現在位置情報を渡す(ステップS21)。次いで、3次元地図要求部16bが、自律移動装置150の現在位置情報に基づき、3次元地図配信部111に対して、自律移動装置150の制御に必要な自律移動装置150の周囲の3次元地図情報を送信するよう要求する(ステップS22)。
【0075】
次いで、3次元地図配信部111が、要求された範囲の3次元地図情報を検索し、3次元地図受信部163に対して送信する(ステップS23)。3次元地図受信部163では、受信した3次元地図情報をキャッシュに保存する(ステップS24)。キャッシュサイズは有限であるため、キャッシュ更新の際、不要な情報、例えば、古い3次元地図情報や、すでに運行済みの場所に関する3次元地図情報など、有用性の低い情報から削除される。このようにしてキャッシュされた3次元地図情報は、図8に示す自律移動装置150の制御の処理で利用される。
【0076】
図8に示す自律移動装置150の制御の処理について説明する。なお図8に示す動作は、自律移動装置150が運行されている間中、繰り返し行われる。
【0077】
まず、図7の処理と同様に、位置測位部161から自律制御部164に位置測位部161で計測した、自律移動装置15の現在位置情報が伝わる(ステップS21)。次いで、自律制御部164が、3次元地図受信部163に対し、自律機の制御に必要な範囲の3次元地図情報を要求する(ステップS25)。
【0078】
次いで、3次元地図受信部163が、自律制御部164から要求された範囲の3次元地図情報をキャッシュから検索して読み出す(ステップS26)。次いで、3次元地図受信部16cが、ステップS26でキャッシュから検索して読み出した3次元地図情報(制御に必要な範囲の3次元地図情報)を自律制御部164送信する(ステップS27)。これにより、自律制御部164は、この3次元地図情報を用いて自律移動装置150の自律制御を行う。
【0079】
このような比較例との比較を行いながら、本システムについて説明する。まず、図9を参照しながら本システムの構成及び本システムにおける自律移動装置の運行について説明する。図9は、本実施形態に係る自律移動システムの一構成例を示すブロック図である。
【0080】
図9に示すように、本システムは、3次元地図配信部11a及び通信エリア管理部11bを有するサーバ11、通信インフラ18、及び自律移動装置15を備える。自律移動装置15は、搭載装置16を搭載し、搭載装置16は、位置測位部16a、3次元地図要求部16b、3次元地図受信部16c、及び自律機制御部(自律制御部)16dを備えるとともに、進行方向推定部16e及び先取り範囲決定部16fを備える。
【0081】
位置測位部16aはセンサ群1dの一例である。3次元地図要求部16b及び3次元地図受信部16c及び先取り範囲決定部16fの一部は、通信部1bと制御部1aにおける通信部1bに関する制御を行う部位との一例である。自律機制御部16d、進行方向推定部16e、及び先取り範囲決定部16fの制御にかかる部位は制御部1aの一例である。なお、記憶部1cの例は、これらの構成要素における記憶先となる記憶装置とすることができる。
【0082】
3次元地図配信部11aは、自律移動装置15が自律運行に必要な3次元地図情報を提供する。3次元地図配信部11aは、このような3次元地図情報を記憶する記憶装置を有する。自律移動装置15には保持できる情報の容量に限界があり、3次元地図情報は一般にデータ容量が大きい。そのため、3次元地図配信部11aは、自律移動装置15の要求に応じて、あるいは自律移動装置15の位置に合わせて、自律移動装置15が自律運行するに必要な自律移動装置15周辺のデータを一部切り出して、自律移動装置15に提供する。
【0083】
通信エリア管理部11bは、通信圏内14、通信圏外17の各領域の位置と範囲を把握していて、任意の場所に対して通信圏内14か通信圏外17かの情報を提供する。そのため、通信エリア管理部11bは、そのような情報を記憶する記憶装置を有することができる。
【0084】
例えば、携帯電話網であれば、携帯電話事業者が電測車を使って通信圏内、通信圏外の場所と範囲を調査して情報を集めている既存の事例が様々適用できる。ここでは、携帯電話網の例を挙げたが、他の無線通信方式でも同様である。通信エリア管理部11bは、各地点、各場所での実測により通信圏内14、通信圏外17を調査すること、あるいは、無線通信装置13の設置場所から理論的に通信圏内14、通信圏外17を推定することができる。あるいは、通信エリア管理部11bは、自律移動装置15がサーバ11に自己の位置情報を通知する際に行う通信実績を記録しておき、通知実績の有無ともし通知があった場合の自律移動装置15の場所を地図に重ねて記録しておくこともできる。この場合、通信エリア管理部11bは、自律移動装置15から通知があった場所を通信圏内14とし、通知が上がってきてない場所を通信圏外17とするなどしてもよい。
【0085】
位置測位部16aは、センサ群1dの一例に相当し、GNSSやその一種であるGPSなどにおける位置情報を取得するセンサを用いて、自律移動装置15の現在位置を測位する。なお、GNSSは、GPSや、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galileo、準天頂衛星システム等の衛星測位システムの総称である。ここで、準天頂衛星システムは、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)である。このセンサにより、自律移動装置10は、GNSS信号を受信して、自機の空間内における位置を測位して位置情報を得ることができる。
【0086】
位置測位部16aは、GNSSに限らず、自律移動装置15の現在位置を測位できればよい。位置測位部16aは、例えば、慣性航法装置や、運行場所に設置された磁気テープやマーカ、無線ビーコンなどのガイドを手掛かりに自律移動装置15自身の位置を特定する構成とすることができる。あるいは、位置測位部16aは、外部からレーダーやカメラやセンサや無線などで自律移動装置15の位置を捉えてその位置を通信で自律移動装置15に伝えて位置を把握させるように構成することもできる。
【0087】
位置測位部16a以外のセンサ群は、自律移動装置15に搭載されているセンサ群であり、一般的に自律移動装置にその制御に必要な自身の状態や周囲の状態を収集するために搭載されているような複数の様々なセンサとすることができる。
【0088】
自律移動装置の一種であるドローンを例に挙げて、センサ群の例を説明する。センサ群11としては、機体の速度を観測する速度センサ、機体の加速度を観測する加速度センサ、機体のロールとピッチとヨーを観測するジャイロセンサ、飛行に使用する各ロータの回転数を観測する回転センサを含むことができる。また、センサ群としては、自機の高度を観測するための気圧センサや高度センサ、自機からの方位を観測するための地磁気センサ、回路やロータの発熱を検知する温度センサなども含むことができる。無論、センサ群は、これらの例の全てを含む必要はなく、一部のみを含むことができ、またこれらの例に限らず他種のセンサを含むこともできる。
【0089】
例えば、センサ群に含まれる他のセンサとしては、光学式カメラやステレオカメラとすることもでき、カメラで取得された映像を情報処理して、自機の位置や姿勢を求めることもできる。また、センサ群に含まれるセンサは、音波センサ、超音波センサ、2D-LiDAR、3D-LiDARなどとすることもできる。この場合、自律移動装置15は、音波やレーザを用いたセンシング装置から得られる波形データや点群データなどを情報処理して、自機の位置や姿勢、周囲の状況などを求めて得ることができ、このようにして得られた情報もセンサ情報と言える。よって、これらのように情報処理を必要とするセンサもセンサ群に含めることができる。
【0090】
3次元地図要求部16bは、位置測位部16aから自律移動装置15の現在位置を取得し、自律移動装置15の周辺の3次元地図情報を、サーバ11の3次元地図配信部11aに要求する。
【0091】
3次元地図受信部16cは、3次元地図要求部16bがサーバ11に要求した範囲の3次元地図情報をサーバ11の3次元地図配信部11aから受信し、自律制御部16dが自律移動装置15の制御に使うためにその3次元地図情報を提供する。
【0092】
自律制御部16dは、自律移動装置15自身に搭載された各種センサ(位置測位部16aを含む)の情報と、サーバ11の3次元地図配信部11aから3次元地図受信部16cを経由して得た3次元地図情報をもとに、自律制御を実行する。この自律制御は、自律移動装置15を自律運行させるような制御である。
【0093】
自律制御部16dは、自律移動装置15の移動を制御する制御部であり、駆動制御部と称することもできる。自律制御部16dは、位置測位部16a等のセンサ群から与えられたセンシング情報を元に、自律移動装置10に搭載されたロータなどのアクチュエータを制御し、自律制御行う頭脳にあたる部分である。自律移動装置10は、運行開始時に与えられたルートや座標や姿勢、速度で運行するように自律制御を行うため、制御の誤差や、風などの外乱で多少位置などがずれても、センシング情報を元にアクチュエータを制御して自力で本来の位置、姿勢、速度を維持できる。これは自律移動装置一般に搭載されている機能である。
【0094】
進行方向推定部16eは、3次元地図要求部16bから入手した自律移動装置15の現在地と入手した地図の範囲などの情報に基づき、自律移動装置15がこれから向かう方向(進行方向)を推定する。進行方向推定部16eは、上記情報に基づき、進行方向だけでなく、これから辿る運行経路を推定するように構成することもできる。
【0095】
先取り範囲決定部16fは、進行方向推定部16eが推定した進行方向の通信圏内14、通信圏外17の場所と範囲の情報を、通信エリア管理部11bから入手する。自律移動装置15がこれから進行する方向に、通信圏外17がある場合、その通信圏外17の場所、範囲を先読み範囲として決定する。
【0096】
そして、先取り範囲決定部16fは、決定したこの先読み範囲を、3次元地図要求部16bに与える。これにより、3次元地図要求部16bは、自律移動装置15の周囲の地図情報だけでなく、先読み範囲に含まれる3次元地図情報も併せて、3次元地図配信部11aに要求する。このような通信圏外17についての3次元地図情報も含めた3次元地図情報に基づき、自律制御部16dは自律制御を行うことができる。このように、図9の構成例は、先取りする情報の範囲を自律移動装置15の搭載装置16側で算出する。
【0097】
なお、図9に示す各構成要素は、それぞれの装置に搭載するコンピュータ上のプログラムでもよく、電気電子回路で構成されていてもよく、プログラムと電気電子回路の複合などであっても構わない。図9において線でつながる構成要素間は情報のやり取りができる。これもプログラムであれば共有のメモリやストレージ等を介して要素間情報の授受をしてもよいし、実装上ユニットが分かれているのであれば、通信を介して情報の授受をしてもよい。
【0098】
次に、図10を参照しながら、本システムにおける3次元地図情報の更新処理の一例について説明する。図10は、図9の自律移動システムにおける自律移動制御の一例を説明するためのフロー図である。なお、図10に示す動作は、自律移動装置15が運行されている間中、繰り返し行われ、また、図8として例示したような動作も行われる。
【0099】
まず、位置測位部16aが自律移動装置15の現在位置情報を計測し、3次元地図要求部16bにその現在位置情報を渡す(ステップS31)。次いで、3次元地図要求部16bが、自律移動装置15の現在位置情報に基づき、進行方向推定部16eに対して、自律移動装置15の制御に必要な自律移動装置15の周囲の3次元地図情報を送信するよう要求する(ステップS32)。
【0100】
これに対し、進行方向推定部16eは、受け取った現在位置情報を履歴として保存する(ステップS33)し、保存している位置情報の履歴から、3次元地図送信要求をしてきた自律移動装置15の位置情報の履歴を検索し読み出す(ステップS34)。
【0101】
次いで、進行方向推定部16eが、ステップS34で読み出した情報をもとに、自律移動装置15の進行方向(進行する方面であってもよい)又は進行方向及び進行ルートを推定する(ステップS35)。ステップS35ではさらに、進行方向推定部16eが、その推定結果と3次元地図送信要求(ステップS32)で送られてきた自律移動装置15の現在位置の情報を先取り範囲決定部16fに送信する。
【0102】
これを受けた先取り範囲決定部16fは、受信した自律移動装置15の現在位置の情報を保持するとともに、併せて受信した進行方向の情報をキーに、通信エリア管理部11bに対して、進行方向に対する圏外情報を問い合わせる(ステップS36)。
【0103】
通信エリア管理部11bは、この問合せに応じて圏外情報を抽出し、先取り範囲決定部16fに対して、自律移動装置15の進行方向の圏外情報を返信する(ステップS37)。
【0104】
先取り範囲決定部16fは、ステップS36で保持しておいた自律移動装置15の現在位置の情報をもとに現在位置周辺の自律移動装置15の運行に必要な3次元地図の範囲を決定する(ステップS38)。ステップS38ではさらに、先取り範囲決定部16fが、ステップS36で受信した進行方向に対する圏外情報を基に、先読みする3次元地図情報の範囲を決定する。ここで先読みしないと、自律移動装置15が圏外に入り、3次元地図を受信できなくなるが、このような先読み及びそれに基づく後述の受信によりそのような問題を解決できる。
【0105】
さらに、ステップS38では、先取り範囲決定部16fが、決定した現在位置周辺の自律移動装置15の運行に必要な3次元地図の範囲と、先読みする3次元地図情報の範囲を3次元地図要求部16bに送信する。
【0106】
これらの情報を受信した3次元地図要求部16bは、3次元地図配信部11aに対して、現在位置周辺の自律移動装置15の運行に必要な3次元地図の範囲と、先読みする3次元地図情報の範囲を与えて、当該範囲の3次元地図情報の配信を指示する(ステップS39)。
【0107】
3次元地図配信部11aは、要求された範囲(現在位置周辺の自律移動装置15の運行に必要な3次元地図の範囲と、先読みする3次元地図情報の範囲)の3次元地図情報を検索し、3次元地図受信部16cに対して送信する(ステップS40)。
【0108】
次いで、3次元地図受信部16cが、受信した3次元地図情報をキャッシュに保存する(ステップS41)。キャッシュサイズは有限であるため、キャッシュ更新の際、不要な情報、例えば、古い3次元地図情報や、すでに運行済みの場所に関する3次元地図情報など、有用性の低い情報から削除される。
【0109】
キャッシュされた3次元地図情報は、図8に示す処理と同等の処理を、自律移動装置15で行う際に利用される。圏外に対する先読み処理を加えても、既存の自律移動装置の制御の処理に変更が不要である点も、本実施形態の利点の一つである。
【0110】
このように、本実施形態に係る自律移動装置15では、通信圏外での自律移動制御に必要な情報を、予測により得た進行方向で示される通信圏外に入る前に取得することができる。自律移動装置15では、このような通信不通区間に配慮した制御を行うことで、通信ができない領域においても通信ができる領域と同様の精度で運行を行うことが可能になる。また、自律移動装置15では、サーバ装置と情報をやり取りしながら自律移動する既存の自律移動装置への適用も容易に行うことが可能になる。
【0111】
つまり、本実施形態によれば、自律移動装置150が圏外の区間で制御用のサーバ110と連携して行わねばならない処理ができないために、性能(移動制御の精度等)低下してしまう問題を解決することができる。その理由は、自律移動装置15が検出して送信してきた情報から、自律移動装置15自身の進行方向と通信圏外圏内を管理するサーバ11の情報と地図情報とを元に圏外に入る前に圏外へ向かっていることを予測するためである。さらに、予測した結果に基づき、圏外の範囲で連携が必要となる処理や、データの送受を前倒して行うことができるためである。よって、通信圏外に自律移動装置15が入っても、通信圏内と同じ性能で運行することができ、本実施形態の構成を備えない比較例で生じる自律移動装置150の運行精度の低下が起きない。
【0112】
また、このような情報や処理の先読み処理を加えても、自律移動装置15の制御の処理(図8で示した処理)を変えずに済むという効果もある。実際、同種の自律移動装置は大量に市場に出回っている場合があり、本実施形態の機能を後から変更で追加して本システムを構成することも容易となるため、メリットがある。
【0113】
<実施形態4>
実施形態4について、図11図12を参照しながら、実施形態2,3との相違点を中心に説明するが、実施形態2,3で説明した様々な例が適用できる。
【0114】
本実施形態に係る自律移動システムは、実施形態3において、先取りする情報の範囲をサーバ11の側で算出する構成に変更したものであり、その効果も、自律移動装置15の搭載装置16の処理負荷を軽減できる以外は実施形態3と変わらない。
【0115】
まず、図11を参照しながら本実施形態に係る自律移動システム(以下、本システム)の一構成例について説明する。図11は、本システムの一構成例を示すブロック図である。
【0116】
図11に示すように、本システムは、3次元地図配信部11a、通信エリア管理部11c、進行方向推定部11e、及び先取り範囲決定部11fを有するサーバ11と、通信インフラ18と、搭載装置16を搭載した自律移動装置15と、を備える。通信エリア管理部11c、進行方向推定部11e、及び先取り範囲決定部11fは、それぞれ通信エリア管理部11b、進行方向推定部16e、及び先取り範囲決定部16fに対応する部位となる。本実施形態における搭載装置16は、位置測位部16a、3次元地図要求部16b、3次元地図受信部16c、及び自律機制御部(自律制御部)16dを備える。
【0117】
3次元地図配信部11a及び進行方向推定部11eの一部は通信部2bと制御部2aにおける通信部2bに関する制御を行う部位との一例である。通信エリア管理部11c、進行方向推定部11e、及び先取り範囲決定部11fの制御にかかる部位は制御部2aの一例である。なお、記憶部2cの例は、これらの構成要素における記憶先となる記憶装置とすることができる。
【0118】
通信エリア管理部11cは、通信エリア管理部11bと同様に、通信圏内14、通信圏外17の各領域の位置と範囲を把握していて、任意の場所に対して通信圏内14か通信圏外17かの情報を提供する。本実施形態におけるこの情報の提供先は先取り範囲決定部11fとすることができる。
【0119】
進行方向推定部11eは、3次元地図要求部16bから入手した自律移動装置15の現在地と入手した地図の範囲などの情報に基づき、自律移動装置15がこれから向かう方向(進行方向)を推定する。進行方向推定部11eは、上記情報に基づき、進行方向だけでなく、これから辿る運行経路を推定するように構成することもできる。
【0120】
先取り範囲決定部11fは、進行方向推定部16eが推定した進行方向の通信圏内14、通信圏外17の場所と範囲の情報を、通信エリア管理部11cから入手する。自律移動装置15がこれから進行する方向に、通信圏外17がある場合、その通信圏外17の場所、範囲を先読み範囲として決定する。
【0121】
そして、先取り範囲決定部11fは、決定したこの先読み範囲を、3次元地図配信部11aに与える。これにより、3次元地図配信部11aは、3次元地図要求部16bが要求した自律移動装置15の周囲の地図情報だけでなく、先読み範囲に含まれる3次元地図情報も併せて、3次元地図受信部16cに送信する。自律移動装置15では、このような通信圏外17についての3次元地図情報も含めた3次元地図情報に基づき、自律制御部16dは自律制御を行うことができる。このように、図11の構成例は、先取りする情報の範囲をサーバ11側で算出する。
【0122】
なお、図11に示す各構成要素は、それぞれの装置に搭載するコンピュータ上のプログラムでもよく、電気電子回路で構成されていてもよく、プログラムと電気電子回路の複合などであっても構わない。図11において線でつながる構成要素間は情報のやり取りができる。これもプログラムであれば共有のメモリやストレージ等を介して要素間情報の授受をしてもよいし、実装上ユニットが分かれているのであれば、通信を介して情報の授受をしてもよい。
【0123】
次に、図12を参照しながら、本システムにおける3次元地図情報の更新処理の一例について説明する。図12は、図11の自律移動システムにおける自律移動制御の一例を説明するためのフロー図である。なお、図12に示す動作は、自律移動装置15が運行されている間中、繰り返し行われ、また、図8として例示したような動作も行われる。
【0124】
まず、位置測位部16aが自律移動装置15の現在位置情報を計測し、3次元地図要求部16bにその現在位置情報を渡す(ステップS51)。次いで、3次元地図要求部16bが、自律移動装置15の現在位置情報に基づき、進行方向推定部11eに対して、自律移動装置15の制御に必要な自律移動装置15の周囲の3次元地図情報を送信するよう要求する(ステップS52)。
【0125】
これに対し、進行方向推定部11eは、受け取った現在位置情報を履歴として保存する(ステップS53)し、保存している位置情報の履歴から、3次元地図送信要求をしてきた自律移動装置15の位置情報の履歴を検索し読み出す(ステップS54)。
【0126】
次いで、進行方向推定部11eが、ステップS54で読み出した情報をもとに、自律移動装置15の進行方向(進行する方面であってもよい)又は進行方向及び進行ルートを推定する(ステップS55)。ステップS55ではさらに、進行方向推定部11eが、その推定結果と3次元地図送信要求(ステップS52)で送られてきた自律移動装置15の現在位置の情報を先取り範囲決定部11fに送信する。
【0127】
これを受けた先取り範囲決定部11fは、受信した自律移動装置15の現在位置の情報を保持するとともに、併せて受信した進行方向の情報をキーに、通信エリア管理部11cに対して、進行方向に対する圏外情報を問い合わせる(ステップS56)。
【0128】
通信エリア管理部11cは、この問合せに応じて圏外情報を抽出し、先取り範囲決定部11fに対して、自律移動装置15の進行方向の圏外情報を返信する(ステップS57)。
【0129】
先取り範囲決定部11fは、ステップS56で保持しておいた自律移動装置15の現在位置の情報をもとに現在位置周辺の自律移動装置15の運行に必要な3次元地図の範囲を決定する(ステップS58)。ステップS58ではさらに、先取り範囲決定部11fが、ステップS56で受信した進行方向に対する圏外情報を基に、先読みする3次元地図情報の範囲を決定する。ここで先読みしないと、自律移動装置15が圏外に入り、3次元地図を受信できなくなるが、このような先読み及びそれに基づく後述の送信により自律移動装置15ではそのような問題を解決できる。
【0130】
さらに、ステップS58では、先取り範囲決定部11fが、決定した現在位置周辺の自律移動装置15の運行に必要な3次元地図の範囲と、先読みする3次元地図情報の範囲を3次元地図配信部11aに送信する。
【0131】
これらの情報を受信した3次元地図配信部11aは、要求された範囲(現在位置周辺の自律移動装置15の運行に必要な3次元地図の範囲と、先読みする3次元地図情報の範囲)の3次元地図情報を検索し、3次元地図受信部16cに対して送信する(ステップS59)。
【0132】
次いで、3次元地図受信部16cが、受信した3次元地図情報をキャッシュに保存する(ステップS60)。キャッシュサイズは有限であるため、キャッシュ更新の際、不要な情報、例えば、古い3次元地図情報や、すでに運行済みの場所に関する3次元地図情報など、有用性の低い情報から削除される。
【0133】
キャッシュされた3次元地図情報は、図8に示す処理と同等の処理を、自律移動装置15で行う際に利用される。圏外に対する先読み処理を加えても、既存の自律移動装置の制御の処理に変更が不要である点も、本実施形態の利点の一つである。
【0134】
<実施形態5>
実施形態5として、実施形態1~4のいずれにも適用可能な様々な応用例について説明する。
【0135】
まず、実施形態3,4では、3次元地図要求部16b、3次元地図配信部11a、3次元地図受信部16cで要求、配信、受信する情報が3次元地図情報であることを前提としたが、これらの情報は3次元地図情報に限定されず、2次元地図情報であってもよいし、他種の情報であってもよい。
【0136】
情報の鮮度が必要で更新が必要で、ある場所に関連づけて管理され、自律移動装置15の運行に必要な情報であれば、3次元地図と置き換えて考えることができる。例えば、3次元地図の代わりに、自律運転の制御処理の一部をサーバ11に行わせその処理結果を圏外に入る前に受け取るようにしてもよい。また、上記必要な情報は、処理結果というデータに限ったものでもない。例えば、上記必要な情報は、ある地点を自律運行するために必要な自律移動装置15の搭載装置16のソフトウェア、ソフトウェアアップデート、処理エージェントソフトウェア、学習済みの機械学習モデル、VMイメージ、などを圏外に入る前に受け取ってもよい。なお、VMはVirtual Machineの略である。
【0137】
このように、実施形態1~4において、上記必要な情報は、地図情報に限らず、自律移動のための駆動を行う駆動部を制御する制御情報、又は、駆動部を制御する制御情報を得るためのプログラムとすることもできる。無論、上記必要な情報は、これらのうちの複数とすることもできる。
【0138】
また、実施形態3,4では、通信エリア管理部11b,11c、先取り範囲決定部11f,16f、及び進行方向推定部11e,16eで求めた圏外範囲を用いて、情報を先取りで要求する例を挙げた。これに限らず、自律移動装置15の搭載装置16で行う処理を先取りして実行することもできる。例えば、複数の自律移動装置15において、搭載したセンサ群により収集した情報を何らかの管理サーバで収集管理している場合、自律移動装置15がこの先圏外に入る前に、上記必要な情報を送信しておくようにしてもよい。なお、上記管理サーバで収集管理している場合とは、例えば、気温の情報、気象情報、通信圏外圏内の情報、自律移動装置15周囲の他の自律移動装置の情報や歩行者の情報、機械学習で用いるための各種センサ情報や自律移動装置の状態情報などが挙げられる。この例は、実施形態1,2にも適用できる。
【0139】
また、鉄道のようにルートとある場所への到達時間が決まっている場合、地図(位置)ではなく圏外が発生するであろう時刻をトリガに先取りを実行することもできる。つまり、自律移動装置15が鉄道の自動運転のように経路が固定されている装置(固定された移動ルートを移動する装置)である場合、次のような処理を行うこともできる。即ち、進行方向推定部11e,16e、先取り範囲決定部11f,16fで、進行方向の場所の代わりに自律移動装置15の到達時刻における圏外範囲で考えて処理してもよい。
【0140】
具体的には、自律移動装置1,15は、進行方向の予測に代えて、進行により到達する範囲の予測を実行することができ、その場合の圏外情報は、上記到達する範囲内における通信部で通信ができない通信圏外を示す情報とすることができる。無論、固定された移動ルートがないと言える場合でも、どこを通るか確定していない段階で、投機的に先読みを行うこともできる。
【0141】
また、進行方向推定部11e,16eで、進行方向を推定する際に、自律移動装置15が例えば自動運転車のような道路を通る装置であれば、進行方向方面の地図情報を合わせて利用することで、進行方向をより高精度に求めることができる。また、この時進行方向に複数のルートを取りうる場合、複数のルート上の圏外情報を読み出しそれぞれの範囲のどこを通るか確定していない段階で、情報を投機的に、先読みをしてもよい。
【0142】
具体的には、実施形態1,3において、自律移動装置1,15は、進行方向の予測結果として、複数の候補を得る。そして、自律移動装置1,15は、通信部を介して、状態情報と予測した進行方向の複数の候補とをサーバ装置に送信し、圏外情報として、上記複数の候補の少なくとも1つで通信部で通信ができない通信圏外を示す情報を受信する。
【0143】
実施形態2,4の場合には、サーバ装置が、圏外情報として、上記複数の候補の少なくとも1つで通信機能で通信ができない通信圏外を示す情報を決定すればよい。
【0144】
また、通信エリア管理部11b,11cの圏外情報の代わりに、サーバ11側の都合(保守停止、系切替による瞬断など、計画停止)などの情報や無線通信装置13の計画停止や故障などの情報を管理し、圏外の場合と同様に自律移動装置に情報や処理を先取りさせてもよい。この例は、通信圏外をサーバからの情報享受不能範囲と捉えることで、実施形態1~4のいずれでも適用できることが分かる。
【0145】
また、通信圏外に入るまでに受信できる情報量(ダウンロードできる量)に限りがある場合に、通信ネットワーク12、無線通信装置13を制御して、上記必要な情報のうち重要データを優先的にダウンロードすることもできる。ここで、通信圏外に入るまでに受信できる情報量に限りがある場面は、ダウンロード可能時間の制約と、自律移動装置側の記憶容量や記憶可能残量の制約と、のいずれであっても生じ得る。このように、上記必要な情報に例えば情報の種類間などで優先順位をつけ、通信圏外に入りつつある自律移動装置に優先的にサーバリソースや通信帯域を割り当てることで、通信圏外でも通信圏内と運行の精度をできる限り同程度に保つことができる。
【0146】
また、自律移動装置が圏外を運行するのに必要な情報を通信速度の関係で、圏外に入る前に受信しきれないことが想定される場合、自律制御部16dで自律移動装置15を減速させるなどして時間稼ぎをしてもよい。
【0147】
このような処理について具体的に説明する。実施形態1,3に係る自律移動装置1,15が、状態情報と圏外情報とに応じた、上記必要な情報の受信処理及び上記必要な情報に基づく自律移動制御の演算処理についての処理量又は処理時間を得る。そして、自律移動装置1,15が、その処理量又は処理時間が、現在の速度での移動を続けると圏外情報が示す通信圏外に突入して上記必要な情報が受信しきれないことを示す場、自律移動装置1,15を減速するように制御する。
【0148】
あるいは、実施形態2,4に係るサーバ装置2又はサーバ11が、状態情報と圏外情報とに応じた、自律移動装置における上記必要な情報の受信処理及び上記必要な情報に基づく自律移動制御の演算処理についての処理量又は処理時間を得る。サーバ装置2又はサーバ11が、その処理量又は処理時間が、現在の速度での移動を続けると圏外情報が示す通信圏外に突入して上記必要な情報が受信しきれないことを示す場合、通信部を介して、自律移動装置に減速を指示する。
【0149】
また、自律移動装置が圏外を運行するのに必要な情報を通信速度の関係や、圏外範囲が広すぎて搭載装置16のキャッシュに格納しきれないことが想定される場合、自律制御部16dで圏外に入らない別のルートを自律移動装置15に運行させてもよい。
【0150】
このような処理について具体的に説明する。実施形態1,3に係る自律移動装置1,15は、上記の処理量又は処理時間を得て、それが、現在の速度での移動を続けると上記必要な情報が受信しきれないことを示す場合、圏外情報が示す通信圏外を迂回するように自律移動装置の移動を制御する。
【0151】
あるいは、実施形態2,4に係るサーバ装置2又はサーバ11が、上記の処理量又は処理時間を自律移動装置から得て、それが、現在の速度での移動を続けると上記必要な情報が受信しきれないことを示す場合、通信部を介して、圏外情報が示す通信圏外を迂回して移動するように自律移動装置に指示する。この指示には、圏外情報を含めることができる。
【0152】
また、実施形態1,3に係る自律移動装置1,15は、状態情報と圏外情報とに応じた、上記必要な情報の情報量が記憶部で記憶可能な容量を超える場合、圏外情報が示す通信圏外を迂回するように自律移動装置の移動を制御することもできる。
【0153】
あるいは、実施形態2,4に係るサーバ装置2又はサーバ11が、状態情報と圏外情報とに応じた、上記必要な情報の情報量が自律移動装置の記憶部で記憶可能な容量を超える場合、圏外情報が示す通信圏外を迂回して移動するように自律移動装置に指示する。この指示は、サーバ装置2又はサーバ11の通信部を介して行えばよい。また、上記自律移動装置の記憶部で記憶可能な容量を示す情報は、予め格納した固定値であってもよいし、上記自律移動装置から固定値又は現在の残量値を、通信部を介して得るようにすることもできる。
【0154】
<他の実施形態>
[a]
各実施形態において、自律移動装置の機能、サーバ装置の機能などについて説明したが、各装置は、例示した構成例に限ったものではなく、各装置としてこれらの機能が実現できればよい。
【0155】
[b]
各実施形態に係る各装置は、次のようなハードウェア構成を有していてもよい。図13は、装置のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、上記他の実施形態[a]についても同様である。
【0156】
図13に示す装置100は、プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース103を有することができる。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。各実施形態で説明した各装置における機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。この際、情報の入出力は、内部の他の部位や外部の他の装置との通信を行う通信インタフェース等のインタフェース103を介して行うことができる。例えば、装置100が自律移動装置の場合、インタフェース103は、少なくとも各センサとのインタフェースを含むことができる。
【0157】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0158】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0159】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
自律移動装置における現在位置を含む現在の状態を検知するセンサ群と、
通信部と、
記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記現在の状態を示す状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向とをサーバ装置に送信し、前記進行方向における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信し、
前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報を前記サーバ装置に要求して受信し、
受信した前記必要な情報を前記記憶部に一時的に記憶させて、前記必要な情報に基づき前記自律移動制御を行う、
自律移動装置。
(付記2)
前記制御部は、前記状態情報と前記圏外情報とに応じた、前記必要な情報の受信処理及び前記必要な情報に基づく前記自律移動制御の演算処理についての処理量又は処理時間が、現在の速度での移動を続けると前記圏外情報が示す通信圏外に突入して前記必要な情報が受信しきれないことを示す場合、前記自律移動装置を減速するように制御する、
付記1に記載の自律移動装置。
(付記3)
前記制御部は、前記状態情報と前記圏外情報とに応じた、前記必要な情報の受信処理及び前記必要な情報に基づく前記自律移動制御の演算処理についての処理量又は処理時間が、現在の速度での移動を続けると前記必要な情報が受信しきれないことを示す場合、前記圏外情報が示す通信圏外を迂回するように前記自律移動装置の移動を制御する、
付記1又は2に記載の自律移動装置。
(付記4)
前記制御部は、前記状態情報と前記圏外情報とに応じた、前記必要な情報の情報量が前記記憶部で記憶可能な容量を超える場合、前記圏外情報が示す通信圏外を迂回するように前記自律移動装置の移動を制御する、
付記1~3のいずれか1項に記載の自律移動装置。
(付記5)
前記必要な情報は、地図情報、自律移動のための駆動を行う駆動部を制御する制御情報、及び、前記駆動部を制御する制御情報を得るためのプログラムのいずれか1つである、
付記1~4のいずれか1項に記載の自律移動装置。
(付記6)
前記通信部は無線通信部である、
付記1~5のいずれか1項に記載の自律移動装置。
(付記7)
前記自律移動装置は、固定された移動ルートを移動する装置であり、
前記制御部は、前記進行方向の予測に代えて、進行により到達する範囲の予測を実行し、
前記圏外情報は、前記到達する範囲内における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す情報である、
付記1~6のいずれか1項に記載の自律移動装置。
(付記8)
前記制御部は、
前記進行方向の予測結果として、複数の候補を得、前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向の複数の候補とを前記サーバ装置に送信し、前記圏外情報として、前記複数の候補の少なくとも1つで前記通信部で通信ができない通信圏外を示す情報を受信する、
付記1~6のいずれか1項に記載の自律移動装置。
(付記9)
通信機能を有する自律移動装置と通信する通信部と、
前記自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、前記通信部を介して前記自律移動装置から取得し、
前記状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記状態情報と予測した前記進行方向とに基づき、前記進行方向における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定し、
前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、前記必要な情報を前記自律移動装置に送信する、
サーバ装置。
(付記10)
前記制御部は、前記状態情報と前記圏外情報とに応じた、前記自律移動装置における前記必要な情報の受信処理及び前記必要な情報に基づく前記自律移動制御の演算処理についての処理量又は処理時間が、現在の速度での移動を続けると前記圏外情報が示す通信圏外に突入して前記必要な情報が受信しきれないことを示す場合、前記通信部を介して、前記自律移動装置に減速を指示する、
付記9に記載のサーバ装置。
(付記11)
前記制御部は、前記状態情報と前記圏外情報とに応じた、前記自律移動装置における前記必要な情報の受信処理及び前記必要な情報に基づく前記自律移動制御の演算処理についての処理量又は処理時間が、現在の速度での移動を続けると前記必要な情報が受信しきれないことを示す場合、前記通信部を介して、前記圏外情報が示す通信圏外を迂回して移動するように前記自律移動装置に指示する、
付記9又は10に記載のサーバ装置。
(付記12)
前記制御部は、前記状態情報と前記圏外情報とに応じた、前記必要な情報の情報量が前記自律移動装置の記憶部で記憶可能な容量を超える場合、前記通信部を介して、前記圏外情報が示す通信圏外を迂回して移動するように前記自律移動装置に指示する、
付記9~11のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記13)
前記必要な情報は、地図情報、前記自律移動装置における自律移動のための駆動を行う駆動部を制御する制御情報、及び、前記駆動部を制御する制御情報を得るためのプログラムのいずれか1つである、
付記9~12のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記14)
前記通信機能は無線通信機能である、
付記9~13のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記15)
前記自律移動装置は、固定された移動ルートを移動する装置であり、
前記制御部は、前記進行方向の予測に代えて、進行により到達する範囲の予測を実行し、
前記圏外情報は、前記到達する範囲内における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す情報である、
付記9~14のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記16)
前記制御部は、
前記進行方向の予測結果として、複数の候補を得、
前記圏外情報として、前記複数の候補の少なくとも1つで前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す情報を決定する、
付記9~14のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記17)
付記1~8のいずれか1項に記載の自律移動装置と、前記サーバ装置と、を備えた自律移動システム。
(付記18)
付記9~16のいずれか1項に記載のサーバ装置と、前記自律移動装置と、を備えた自律移動システム。
(付記19)
自律移動装置における現在位置を含む現在の状態を検知するセンサ群と、通信部と、記憶部と、を備えた自律移動装置が、前記現在の状態を示す状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記自律移動装置が、前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向とをサーバ装置に送信し、前記進行方向における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信し、
前記自律移動装置が、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報を前記サーバ装置に要求して受信し、
前記自律移動装置が、受信した前記必要な情報を前記記憶部に一時的に記憶させて、前記必要な情報に基づき前記自律移動制御を行う、
自律移動制御方法。
(付記20)
通信機能を有する自律移動装置と通信する通信部と、前記自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する記憶部と、を備えたコンピュータが、前記自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、前記通信部を介して前記自律移動装置から取得し、
前記コンピュータが、前記状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記コンピュータが、前記状態情報と予測した前記進行方向とに基づき、前記進行方向における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定し、
前記コンピュータが、前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、前記必要な情報を前記自律移動装置に送信する、
自律移動制御方法。
(付記21)
自律移動装置における現在位置を含む現在の状態を検知するセンサ群と、通信部と、記憶部と、を備えた自律移動装置内に具備されたコンピュータに、
前記現在の状態を示す状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記通信部を介して、前記状態情報と予測した前記進行方向とをサーバ装置に送信し、前記進行方向における前記通信部で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を受信し、
前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、自律移動制御に必要な情報を前記サーバ装置に要求して受信し、
受信した前記必要な情報を前記記憶部に一時的に記憶させて、前記必要な情報に基づき前記自律移動制御を行う、
処理を実行させるプログラム。
(付記22)
通信機能を有する自律移動装置と通信する通信部と、前記自律移動装置の自律移動制御に必要な情報を記憶する記憶部と、を備えたコンピュータに、
前記自律移動装置の現在位置を含む現在の状態を示す状態情報を、前記通信部を介して前記自律移動装置から取得し、
前記状態情報の履歴から、前記自律移動装置の進行方向を予測し、
前記状態情報と予測した前記進行方向とに基づき、前記進行方向における前記通信機能で通信ができない通信圏外を示す圏外情報を決定し、
前記通信部を介して、前記状態情報と前記圏外情報とが示す範囲について、前記必要な情報を前記自律移動装置に送信する、
処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0160】
1、15、15-1、15-2、15-3 自律移動装置
1a 制御部
1b 通信部
1c 記憶部
1d センサ群
2 サーバ装置
2a 制御部
2b 通信部
2c 記憶部
11 サーバ
11a 3次元地図配信部
11b、11c 通信エリア管理部
11e、16e 進行方向推定部
11f、16f 先取り範囲決定部
12 通信ネットワーク
13、13a、13b 無線通信装置
14、14a、14b 通信圏内
16、16-1、16-2、16-3 搭載装置
16a 位置測位部
16b 3次元地図要求部
16c 3次元地図受信部
16d 自律機制御部(自律制御部)
17 通信圏外
18 通信インフラ
16a
100 装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 インタフェース
図1
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