(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181436
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20221201BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G05D1/02 P
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088379
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】グエンクアン テイン
【テーマコード(参考)】
3F522
5H301
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB06
3F522BB29
3F522BB35
3F522CC01
3F522GG03
3F522GG05
3F522GG22
3F522GG25
3F522HH03
3F522HH13
3F522HH19
3F522HH22
3F522HH33
3F522KK05
3F522LL15
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
5H301FF04
5H301GG07
5H301KK04
5H301KK08
5H301KK18
(57)【要約】
【課題】ピッキング作業の作業効率を向上させることが可能な搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る搬送システムは、複数の自動搬送装置のそれぞれが搬送対象を受け取る第1到着位置に到着する到着順位を判定する到着判定部と、前記第1到着位置に次に到着する第1自動搬送装置が受け取る前記搬送対象に関する搬送情報を、前記第1自動搬送装置が前記第1到着位置に到着する前に、前記第1到着位置に対応する第1作業者に通知する搬送情報通知部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動搬送装置が保管位置に保管された搬送対象を作業者から受け取って搬送する搬送システムであって、
複数の前記自動搬送装置のそれぞれが前記搬送対象を受け取る第1到着位置に到着する到着順位を判定する到着判定部と、
前記第1到着位置に次に到着する第1自動搬送装置が受け取る前記搬送対象に関する搬送情報を、前記第1自動搬送装置が前記第1到着位置に到着する前に、前記第1到着位置に対応する第1作業者に通知する搬送情報通知部と、
を備える搬送システム。
【請求項2】
前記到着判定部は、複数の前記自動搬送装置のそれぞれについて前記第1到着位置に到着する到着予想時刻を算出し、複数の前記自動搬送装置のそれぞれの前記到着予想時刻に基づいて前記到着順位を判定する、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記搬送情報通知部は、前記第1自動搬送装置が前記第1作業者から受け取る前記搬送対象の識別情報及び当該搬送対象の保管位置を示す位置情報の少なくともいずれかを含む前記搬送情報を前記第1作業者に通知する、
請求項1又は請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記搬送情報通知部は、前記第1到着位置に対応して設置された第1表示装置に前記搬送情報を表示させる、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送情報通知部は、複数の前記搬送対象を保管する保管棚の各棚に設置された表示部のうち、前記第1自動搬送装置が前記第1作業者から受け取る前記搬送対象を保管する棚に設置された前記表示部を点灯又は点滅させる、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記到着判定部は、前記第1自動搬送装置が前記第1到着位置に到着する到着予想時刻を算出し、
前記搬送情報通知部は、前記到着予想時刻に基づいて前記搬送情報を前記第1作業者に通知する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記搬送情報通知部は、前記到着予想時刻と、前記第1作業者が前記保管位置から前記搬送対象をピッキングする作業時間とに基づいて、前記搬送情報を前記第1作業者に通知する、
請求項6に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記第1到着位置を含む複数の到着位置が設けられており、
前記到着判定部は、前記到着位置ごとに、複数の前記自動搬送装置のそれぞれの到着順位を判定し、
前記搬送情報通知部は、前記到着位置ごとに、当該到着位置に次に到着する前記自動搬送装置が受け取る前記搬送対象に関する前記搬送情報を、当該到着位置に対応する前記作業者に通知する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記第1到着位置の位置情報と、前記第1到着位置で前記第1作業者から受け取る前記搬送対象を示す搬送対象情報とを含む搬送指示を、前記第1自動搬送装置に出力する搬送指示部をさらに備える、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項10】
自動搬送装置が保管位置に保管された搬送対象を作業者から受け取って搬送する搬送方法であって、
一又は複数のプロセッサーが、
複数の前記自動搬送装置のそれぞれが前記搬送対象を受け取る第1到着位置に到着する到着順位を判定する到着判定ステップと、
前記第1到着位置に次に到着する第1自動搬送装置が受け取る前記搬送対象に関する搬送情報を、前記第1自動搬送装置が前記第1到着位置に到着する前に、前記第1到着位置に対応する第1作業者に通知する搬送情報通知ステップと、
を実行する搬送方法。
【請求項11】
自動搬送装置が保管位置に保管された搬送対象を作業者から受け取って搬送する搬送プログラムであって、
複数の前記自動搬送装置のそれぞれが前記搬送対象を受け取る第1到着位置に到着する到着順位を判定する到着判定ステップと、
前記第1到着位置に次に到着する第1自動搬送装置が受け取る前記搬送対象に関する搬送情報を、前記第1自動搬送装置が前記第1到着位置に到着する前に、前記第1到着位置に対応する第1作業者に通知する搬送情報通知ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための搬送プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピッキングオーダー(搬送要求)を受け付けると、自動搬送装置(搬送車)がピッキングオーダーに含まれる複数の物品の保管位置を巡回して順にピッキングして出庫場所(払い出し位置)まで搬送するピッキングシステムが提案されている。
【0003】
また、従来、搬送車に搭載された物品を保管位置に収納したり、保管位置に収納された物品を取り出して搬送車に搭載したりする作業を支援するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、物品を収納する収納箱にLEDを設置し、LEDを発光させることにより、搬送車に搭載された収納対象の物品の収納位置を作業者に知らせたり、収納箱に収納された出庫対象の物品の収納位置を作業者に知らせたりすることが可能なシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来のシステムでは、例えば、複数の搬送車により複数の場所でピッキング作業を並行して行う場合には、実際に搬送車が保管位置に到着する時点まで複数の搬送車のうちどの搬送車が次に保管位置に到着するのかが分からないため、作業者は、対象物品を保管位置からピッキングする場合に、搬送車が保管位置に到着するまでは対象物品を把握してピッキング作業又はその準備を開始することができず、搬送車が保管位置に到着した時点で対象物品を把握してピッキング作業又はその準備を開始するしかなかった。このため、ピッキングの開始時間が遅くなり、それに伴いピッキング作業の終了時間についても遅くなるため、作業効率が低下する問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、ピッキング作業の作業効率を向上させることが可能な搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る搬送システムは、自動搬送装置が保管位置に保管された搬送対象を作業者から受け取って搬送する搬送システムであって、複数の前記自動搬送装置のそれぞれが前記搬送対象を受け取る第1到着位置に到着する到着順位を判定する到着判定部と、前記第1到着位置に次に到着する第1自動搬送装置が受け取る前記搬送対象に関する搬送情報を、前記第1自動搬送装置が前記第1到着位置に到着する前に、前記第1到着位置に対応する第1作業者に通知する搬送情報通知部と、を備えるシステムである。
【0008】
本発明に係る搬送方法は、自動搬送装置が保管位置に保管された搬送対象を作業者から受け取って搬送する搬送方法であって、一又は複数のプロセッサーが、複数の前記自動搬送装置のそれぞれが前記搬送対象を受け取る第1到着位置に到着する到着順位を判定する到着判定ステップと、前記第1到着位置に次に到着する第1自動搬送装置が受け取る前記搬送対象に関する搬送情報を、前記第1自動搬送装置が前記第1到着位置に到着する前に、前記第1到着位置に対応する第1作業者に通知する搬送情報通知ステップと、を実行する方法である。
【0009】
本発明に係る搬送プログラムは、自動搬送装置が保管位置に保管された搬送対象を作業者から受け取って搬送する搬送プログラムであって、複数の前記自動搬送装置のそれぞれが前記搬送対象を受け取る第1到着位置に到着する到着順位を判定する到着判定ステップと、前記第1到着位置に次に到着する第1自動搬送装置が受け取る前記搬送対象に関する搬送情報を、前記第1自動搬送装置が前記第1到着位置に到着する前に、前記第1到着位置に対応する第1作業者に通知する搬送情報通知ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ピッキング作業の作業効率を向上させることが可能な搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る搬送システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る搬送システムが適用される倉庫の構成を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る倉庫に配置される保管棚の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る搬送システムで使用される商品情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る搬送システムで使用されるオーダー情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る搬送システムで使用されるセットオーダー情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る倉庫に設置される表示装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る搬送システムで実行される搬送処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[搬送システム10]
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る搬送システム10は、運行管理サーバー1と注文管理サーバー2と自動搬送装置3(AGV、無人搬送装置ともいう。)と表示装置4とを含む。運行管理サーバー1と注文管理サーバー2とは、有線LAN又は無線LANなどの通信網N1を介して通信可能である。また、運行管理サーバー1と自動搬送装置3とは、無線LANなどの通信網N2を介して通信可能である。また、運行管理サーバー1と表示装置4とは、無線LANなどの通信網N3を介して通信可能である。また、注文管理サーバー2は、インターネットなどの通信網N4を介して顧客端末5と通信可能である。
【0014】
搬送システム10は、例えば商品(搬送対象)を保管する倉庫(物流倉庫)などに適用される。搬送システム10は、顧客(顧客端末5)から商品のオーダーを受け付けると、自動搬送装置3に搬送指示を出力する。自動搬送装置3は、前記搬送指示を取得すると、前記商品の保管位置(保管棚)まで移動して作業者から前記商品を受け取り、当該商品を出庫場所まで搬送する。顧客端末5は、パーソナルコンピューター、スマートフォンなどの情報処理装置であり、例えば顧客は、顧客端末5を利用して注文管理サーバー2が運用するWEBサイト(注文ページ)にアクセスして商品の注文を行うことが可能である。
【0015】
注文管理サーバー2は、複数の顧客端末5のそれぞれから前記商品のオーダーを受け付け可能であり、受け付けた各オーダー情報を集約して運行管理サーバー1に出力する。運行管理サーバー1は、複数の自動搬送装置3のそれぞれの運行を管理し、前記オーダー情報に基づいて各自動搬送装置3に搬送指示(走行指示)を出力する。また、運行管理サーバー1は、前記オーダー情報を含む搬送情報を、表示装置4を介して作業者に通知する。自動搬送装置3は、前記搬送指示に基づいて、予め設定された走行経路を自律走行し、前記オーダー情報に含まれる商品を保管棚において作業者から受け取って出庫場所まで搬送する。なお、自動搬送装置3の自律走行方法は、特に限定されず周知の方法、例えば床面に設置された磁気テープと走行動作(制御情報)を規定したマーカとを利用した方法を採用することができる。
【0016】
また、自動搬送装置3には、例えば複数のコンテナ(収容部)が搭載されており、コンテナごとに顧客のオーダー商品を収容することにより、一度のピッキング走行(待機場所から各棚を巡回して出庫場所まで移動する走行)により複数の顧客の商品をまとめて搬送することが可能になっている。例えば、自動搬送装置3が4個のコンテナを搭載している場合には、自動搬送装置3は、4人分の顧客のオーダー商品をまとめて搬送することが可能である。運行管理サーバー1は、一又は複数の顧客のオーダー情報に対応する前記搬送指示を各自動搬送装置3に出力する。
【0017】
本実施形態では、一例として、搬送システム10が
図2に示す倉庫に適用される例について説明する。
図2に示す倉庫は、全体エリアA0の内部に複数の部分エリアa1~a18(保管エリア)が設定されており、さらに当該複数の部分エリアa1~a18のそれぞれの内部に商品(搬送対象)を保管する複数の保管棚T1~T18(保管位置)が配置されている。例えば部分エリアa1の内部には3個の保管棚T1が配置されており、部分エリアa2の内部には3個の保管棚T2が配置されている。また各棚には、複数の商品が保管されている。
図3には、1個の保管棚T1の商品の保管状態を示している。保管棚T1は、1列~5列、A行~D行の合計20個の保管口を備え、各保管口に商品を保管する。また、各保管口には、タグTg(電子タグ)が設けられており、タグTgが点灯又は点滅することにより、ピッキング対象の商品を作業者に通知する。タグTgは、表示装置4と通信可能に構成されており、表示装置4からの指示に応じて点灯、消灯などを行う。
【0018】
また、各部分エリアには、表示装置4が設置されており、表示装置4は、部分エリアの商品のピッキング作業を担当する作業者に対してオーダー情報などを表示する。なお、1つの部分エリアごとに1人の作業者が配置されてもよいし、複数の部分エリアごとに1人の作業者が配置されてもよい。
【0019】
また全体エリアA0の内部には自動搬送装置3の待機場所P(
図2参照)が設定されている。例えば、全体エリアA0には、AGV1が待機する待機場所P1と、AGV2が待機する待機場所P2と、AGV3が待機する待機場所P3とが設定されている。各自動搬送装置3は、運行管理サーバー1から搬送指示を受けていない場合に所定の待機場所Pで待機する。
【0020】
各自動搬送装置3は、運行管理サーバー1から搬送指示を受けると、待機場所Pからオーダー商品を保管する保管棚の部分エリアに移動する。例えば、AGV1は、運行管理サーバー1から保管棚T1の商品をオーダー情報に含む搬送指示を取得すると、保管棚T1の部分エリアa1に移動して、部分エリアa1に設置された表示装置4Aの前で停止する(
図2参照)。そして、AGV1は、部分エリアa1のピッキング作業を担当する作業者からオーダー商品を受け取ると、予め設定された走行経路に従って出庫場所まで移動する。
【0021】
本実施形態では、搬送システム10が本発明に係る搬送システムに相当するが、本発明に係る搬送システムは、運行管理サーバー1単体で構成されてもよいし、運行管理サーバー1、注文管理サーバー2、自動搬送装置3、及び表示装置4のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。
【0022】
[注文管理サーバー2]
図1に示されるように、注文管理サーバー2は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、及び通信部24などを備えるサーバーである。なお、注文管理サーバー2は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよい。また、注文管理サーバー2で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。
【0023】
通信部24は、注文管理サーバー2を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して運行管理サーバー1との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。また通信部24は、注文管理サーバー2を有線又は無線で通信網N4に接続し、通信網N4を介して一又は複数の顧客端末5との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0024】
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0025】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部22には、商品情報D1、オーダー情報D2などのデータが記憶される。商品情報D1には、倉庫に保管されている商品に関する情報が含まれる。オーダー情報D2には、顧客のオーダーに関する情報が含まれる。
図4は商品情報D1の一例を示す図であり、
図5はオーダー情報D2の一例を示す図である。
【0026】
図4に示されるように、商品情報D1には、商品ごとに、対応する「商品ID」、「商品名」、「部分エリアID」、「棚ID」、「保管位置」などの情報が含まれる。前記商品IDは商品の識別情報であり、前記商品名は商品の名称である。本実施形態では、前記商品IDとして、例えば商品名「りんご」(
図3の「商品G1」に相当)を示す「G001」などが登録される。前記部分エリアIDは、商品が保管されている棚が配置されている部分エリアの識別情報である。本実施形態では、前記部分エリアIDとして、例えば部分エリアa1を示す「a001」などが登録される。前記棚IDは、商品が保管されている棚の識別情報である。本実施形態では、前記棚IDとして、例えば保管棚T1を示す「T001」などが登録される。
【0027】
前記保管位置は、棚に含まれる20個の保管口(
図3参照)のうち商品が保管されている保管口の場所を示す情報である。例えば
図3に示すように、前記保管位置は、列方向及び行方向に設定された数字及び記号により座標情報として登録される。例えば「りんご」(
図3の「商品G1」に相当)の保管位置には、A列及び1行を示す「A1」が登録される。
【0028】
商品情報D1は、例えば倉庫の管理者の登録操作により予め記憶部22に記憶される。また、管理者は、商品情報D1を適宜更新することが可能である。また、商品情報D1は、運行管理サーバー1に登録されてもよい。また、商品情報D1に、商品の単位個数当たりのピッキング作業に要する時間を示す情報(ピッキング作業時間)が登録されてもよい。
【0029】
図5に示されるように、オーダー情報D2には、オーダー(注文)ごとに、対応する「単位オーダーID」、「顧客ID」、「オーダー商品」、「商品ID」、「数量」、「オーダー日時」などの情報が含まれる。前記単位オーダーIDは、一つのオーダーの識別情報であり、前記顧客IDは、商品をオーダーした顧客の識別情報である。前記オーダー商品は、顧客がオーダーした商品の名称であり、前記数量は、オーダー商品の注文数である。前記オーダー日時は、顧客からオーダーを受け付けた日時の情報である。
図4に示すオーダー情報D2は、例えば「CUSTOM1」の顧客が「バナナ4袋」及び「アイスクリーム3個」を日時「T1」にオーダーし、「CUSTOM2」の顧客が「きゅうり4袋」及び「カップ麺2個」を日時「T2」にオーダーしたことを示している。
【0030】
オーダー情報D2は、注文管理サーバー2が顧客端末5からオーダーを受け付けるごとに制御部21により登録される。
【0031】
なお、他の実施形態として、商品情報D1及びオーダー情報D2の一部又は全部が、注文管理サーバー2から通信網N4を介してアクセス可能な他のサーバーに記憶されてもよい。
【0032】
また、記憶部22には、制御部21に各種の制御プログラムが記憶されている。例えば、前記制御プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、注文管理サーバー2が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。
【0033】
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより注文管理サーバー2を制御する。
【0034】
具体的には、制御部21は、顧客端末5から商品のオーダーを受け付ける。制御部21は、顧客端末5からオーダーを受け付けると、オーダー内容をオーダー情報D2(
図5参照)に登録する。また、制御部21は、オーダー情報D2を運行管理サーバー1に出力する。例えば、制御部21は、所定時間の間に受け付けた複数のオーダーを集約したオーダー情報D2を運行管理サーバー1に出力する。このように、制御部21は、所定の周期でオーダー情報D2を運行管理サーバー1に出力する。
【0035】
他の実施形態として、制御部21は、運行管理サーバー1からオーダー情報D2の出力要求を受信した場合に、オーダー情報D2を運行管理サーバー1に出力してもよい。例えば、運行管理サーバー1は、自動搬送装置3の運行状況に基づいて、オーダー情報D2の出力要求を注文管理サーバー2に出力してもよい。
【0036】
また制御部21は、オーダー情報D2を運行管理サーバー1に出力した場合に、当該オーダー情報D2を記憶部22から削除してもよい。
【0037】
[運行管理サーバー1]
図1に示されるように、運行管理サーバー1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及び通信部14などを備えるサーバーである。なお、運行管理サーバー1は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよい。また、運行管理サーバー1で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。
【0038】
通信部14は、運行管理サーバー1を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して注文管理サーバー2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。また通信部14は、運行管理サーバー1を有線又は無線で通信網N2に接続し、通信網N2を介して一又は複数の自動搬送装置3との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。さらに通信部14は、運行管理サーバー1を有線又は無線で通信網N3に接続し、通信網N3を介して一又は複数の表示装置4との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0039】
操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0040】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部12には、注文管理サーバー2から取得するオーダー情報D2(
図5参照)が記憶される。また、記憶部12には、セットオーダー情報D3などのデータが記憶される。セットオーダー情報D3には、単位オーダーを組み合わせたセットオーダーに関する情報が含まれる。
図6はセットオーダー情報D3の一例を示す図である。
【0041】
図6に示されるように、セットオーダー情報D3には、単位オーダーを組み合わせたセットオーダーごとに、対応する「セットオーダーID」、自動搬送装置3の各コンテナに対応する「単位オーダーID」、「部分エリアID」などの情報が含まれる。前記セットオーダーIDは、単位オーダーを組み合わせたセットオーダーの識別情報である。前記セットオーダーは、制御部11により所定の条件に基づいて組み合わせられる。例えばセットオーダーID「SET1」は、単位オーダーID「O1」、「O3」、「O5」、「O7」を組み合わせたセットオーダーの識別情報である。また、単位オーダーID「O1」にはコンテナ1が対応付けられ、単位オーダーID「O3」にはコンテナ2が対応付けられ、単位オーダーID「O5」はコンテナ3が対応付けられ、単位オーダーID「O7」はコンテナ4が対応付けられる。前記部分エリアIDは、前記単位オーダーIDに対応する商品が保管されている棚が配置されている部分エリアの識別情報である。一つの前記セットオーダーIDに対応する複数の商品が複数の部分エリアに分散して保管されている場合には、一つの前記セットオーダーIDに対応して、複数の部分エリアIDが登録される。
【0042】
セットオーダー情報D3は、自動搬送装置3に送信される搬送指示に含まれる。例えばAGV1が「SET1」のセットオーダー情報D3を含む搬送指示を取得すると、AGV1は、セットオーダー情報D3に含まれる部分エリアID「a001」の部分エリアa1に移動して部分エリアa1に設置された表示装置4Aの前で停止する(
図2参照)。そして、AGV1は、部分エリアa1において作業者から単位オーダーID「O1」、「O3」、「O5」、「O7」のそれぞれの商品を受け取る。
【0043】
制御部11は、注文管理サーバー2からオーダー情報D2を取得すると、商品情報D1(
図3参照)を参照して、セットオーダー情報D3を生成する。
【0044】
なお、他の実施形態として、オーダー情報D2及びセットオーダー情報D3の一部又は全部が、運行管理サーバー1から通信網N1を介してアクセス可能な他のサーバーに記憶されてもよい。この場合、運行管理サーバー1の制御部11は、前記他のサーバーから前記情報を取得して、後述の搬送処理(
図8参照)などの各処理を実行してもよい。
【0045】
また、記憶部12には、制御部11に後述の搬送処理(
図8参照)を実行させるための搬送プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記搬送プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、運行管理サーバー1が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。
【0046】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより運行管理サーバー1を制御する。
【0047】
具体的には、制御部11は、
図1に示されるように、搬送要求受付部111、オーダー情報生成部112、到着判定部113、オーダー情報通知部114、搬送指示部115などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記搬送プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記搬送プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0048】
搬送要求受付部111は、商品(搬送対象)の搬送要求(ピッキングオーダー)を受け付ける。具体的には、搬送要求受付部111は、注文管理サーバー2から複数の顧客のオーダーに対応するオーダー情報D2を受け付ける。例えば、搬送要求受付部111は、CUSTOM1~CUSTOM4の顧客のオーダーを含むオーダー情報D2(
図5参照)を受け付ける。搬送要求受付部111は、搬送要求を受け付けるとオーダー情報D2を記憶部12に記憶する。
【0049】
オーダー情報生成部112は、オーダー情報D2に基づいてセットオーダー情報D3を生成する。例えば、オーダー情報生成部112は、搬送要求受付部111がCUSTOM1~CUSTOM4の顧客の4個のオーダー(単位オーダー)を含むオーダー情報D2(
図5参照)を受け付けると、商品情報D1(
図4参照)を参照して、セットオーダー情報D3(
図6参照)を生成する。例えば、オーダー情報生成部112は、オーダー情報D2に含まれる複数の商品のうち、同じ部分エリアに保管されている複数の商品を一つのオーダー(セットオーダー)に集約してセットオーダー情報D3を生成する。
図6に示す例では、CUSTOM1の「バナナ」とCUSTOM2の「きゅうり」とCUSTOM3の「トマト」とCUSTOM4の「人参」とは、同じ部分エリアa1の保管棚T1(
図2参照)に保管されている。そこで、オーダー情報生成部112は、これらの商品を一つのセットオーダーに集約し、自動搬送装置3に搭載されたコンテナ1~4のそれぞれに割り当てたセットオーダー情報D3を生成する。「SET1」のセットオーダー情報D3には、コンテナ1~4に割り当てられたオーダー情報D2と、部分エリアID「a001」の情報とが含まれる。
【0050】
到着判定部113は、複数の自動搬送装置3のそれぞれが商品を受け取る場所(到着位置)に到着する到着順位を判定する。なお、自動搬送装置3は、各部分エリアの表示装置4の前で停止して作業者から商品を受け取るため、表示装置4の設置位置が自動搬送装置3の到着位置となる。到着判定部113は、本発明の到着判定部の一例である。
【0051】
具体的には、到着判定部113は、複数の自動搬送装置3のそれぞれについて前記到着位置に到着する到着予想時刻を算出し、複数の自動搬送装置3のそれぞれの到着予想時刻に基づいて到着順位を判定する。例えば、「SET1」のセットオーダー情報D3の商品を保管する部分エリアa1を例に挙げると、到着判定部113は、3台のAGV1~3の現在位置を取得し、それぞれの現在位置から部分エリアa1の表示装置4Aの設置位置までに要する移動時間を算出して、AGV1~3のそれぞれの到着予想時刻を算出する。
【0052】
そして、到着判定部113は、算出した到着予想時刻が早い順に到着順位を判定する。例えばAGV1が最も早く部分エリアa1に到着する場合、到着判定部113は、AGV1の到着順位を第1位と判定する。
【0053】
オーダー情報通知部114は、前記到着位置に次に到着する自動搬送装置3が受け取る商品に関する搬送情報を、当該自動搬送装置3が前記到着位置に到着する前に、前記到着位置に対応する作業者に通知する。具体的には、オーダー情報通知部114は、自動搬送装置3が作業者から受け取る商品の識別情報及び当該商品の保管位置を示す位置情報の少なくともいずれかを含む搬送情報を作業者に通知する。また、オーダー情報通知部114は、前記到着位置に対応して設置された表示装置4に前記搬送情報を表示させる。オーダー情報通知部114は、本発明の搬送情報通知部の一例である。
【0054】
例えば、「SET1」のセットオーダー情報D3について、AGV1の到着順位が第1位と判定された場合に、オーダー情報通知部114は、AGV1が部分エリアa1に到着する前に、セットオーダー情報D3と商品の保管位置の情報とを含む搬送情報を表示装置4Aに送信する。また、オーダー情報通知部114は、部分エリアa1に到着予定の自動搬送装置3の識別情報(ここでは「AGV1」)と、AGV1が到着するまでの残り時間の情報とを表示装置4Aに送信する。
【0055】
表示装置4は、オーダー情報通知部114から送信される情報を受信すると、表示画面にピッキング作業情報ページp1を表示させる。例えば
図7に示すように、表示装置4Aは、ピッキング作業情報ページp1において、AGV1のコンテナ1~4に収容する商品の名称、数量の情報を表示させる。作業者は、ピッキング作業情報ページp1を確認しながら、商品を保管棚T1からピッキングする。
【0056】
ここで、オーダー情報通知部114は、複数の商品を保管する保管棚T1の各保管口に設置されたタグTg(本発明の表示部の一例)のうち、AGV1が作業者から受け取る商品を保管する保管口に設置されたタグTgを点灯又は点滅させる。
【0057】
例えば、表示装置4Aは、ピッキング作業情報ページp1において、各商品に対応付けてピッキングボタンK1(「Pick」ボタン)を表示させる。例えば、初めに、表示装置4Aは、番号「1」の商品「バナナ」のピッキングボタンK1を点灯させる(
図7参照)。また、表示装置4Aは、保管棚T1のうち商品「バナナ」を格納している保管口に設けられたタグTgを点灯させる(
図3参照)。これにより、作業者は、「バナナ」の保管位置を把握して、保管棚T1から「バナナ」をピッキングする。作業者は、ピッキングした「バナナ」を表示装置4Aの近傍に設置された仮置き場(不図示)などに仮置きして、ピッキング作業情報ページp1の「バナナ」のピッキングボタンK1を押下する。すると、表示装置4Aは、「バナナ」のピッキングボタンK1を消灯させて、次の番号「2」の商品「きゅうり」のピッキングボタンK1を点灯させる。また、表示装置4Aは、保管棚T1のうち商品「バナナ」を格納している保管口に設けられたタグTgを消灯させて、次の商品「きゅうり」を格納している保管口に設けられたタグTgを点灯させる。このようにして、作業者は、部分エリアa1にAGV1が到着する前に、全ての商品「バナナ」、「きゅうり」、「トマト」、「人参」を保管棚T1からピッキングして仮置き場に仮置きしておく。その後、AGV1が部分エリアa1に到着すると、作業者は、仮置き場に仮置きした各商品をそれぞれのコンテナ1~4に収容する。最後に、作業者がピッキング作業情報ページp1の完了ボタンK2を押下すると、AGV1は部分エリアa1から出庫場所に向けて移動する。
【0058】
この構成によれば、例えばAGV1が部分エリアa1に到着するまでの間(
図7では「2分間」)に作業者は、事前にAGV1に渡す商品を確認することができる。また、作業者は、事前に確認した商品を棚からピッキングしておくことができるため、AGV1が到着すると直ぐに前記商品をAGV1に収容することができる。
【0059】
ここで、到着判定部113は、自動搬送装置3が到着位置に到着する到着予想時刻を算出し、オーダー情報通知部114は、前記到着予想時刻に基づいて前記搬送情報を作業者に通知してもよい。例えば、オーダー情報通知部114は、前記到着予想時刻と、作業者が棚から商品をピッキングする作業時間とに基づいて、前記搬送情報を作業者に通知する。例えば、AGV1が部分エリアa1に到着するまでの残り時間が5分であり、AGV1に収容する4個の商品の合計作業時間が2分である場合、オーダー情報通知部114は、前記残り時間が3分になった時点で前記搬送情報を作業者に通知する。この構成によれば、例えばAGV1が到着する前に作業者がピッキングした商品が仮置き場に長時間放置された状態になることを回避することができる。
【0060】
搬送指示部115は、自動搬送装置3の到着位置の位置情報と、前記到着位置で作業者から受け取る商品の情報とを含む搬送指示を自動搬送装置3に出力する。具体的には、搬送指示部115は、到着判定部113が判定した到着順位第1位の自動搬送装置3に対して前記搬送指示を出力する。例えば、「SET1」のセットオーダー情報D3について、AGV1の到着順位が第1位と判定された場合に、搬送指示部115は、目的地である部分エリアa1の位置情報(停止場所)と、商品「バナナ」、「きゅうり」、「トマト」、「人参」の情報と、走行経路の情報とを含む搬送指示をAGV1に出力する。搬送指示部115は、本発明の搬送指示部の一例である。
【0061】
各自動搬送装置3は、前記搬送指示を取得するとピッキング走行を開始する。具体的には、自動搬送装置3は、オーダーされた商品を保管している棚が配置された部分エリアの表示装置4の設置場所に移動する。前記部分エリアのピッキング作業を担当する作業者は、事前にピッキングして仮置き場に仮置きした商品を、到着した自動搬送装置3における、当該商品をオーダーした顧客用のコンテナに収容する。自動搬送装置3は、1つの部分エリアにおいてピッキング作業が終了すると、次のオーダーされた商品を保管している棚の部分エリアに移動してピッキング作業を行う。自動搬送装置3は、オーダーされた全ての商品についてピッキング作業が完了するまで繰り返す。自動搬送装置3は、オーダーされた全ての商品についてピッキング作業が完了すると、出庫場所まで移動する。自動搬送装置3が出庫場所に到着すると、出庫場所に待機している作業者は、自動搬送装置3に搭載されたコンテナに発送ラベルを張り付けて、発送用のトラックに商品を載せて顧客宛に商品を発送する。
【0062】
以上のように、運行管理サーバー1は、注文管理サーバー2から複数の搬送要求を取得すると、搬送情報を作業者に通知するとともに、搬送指示を自動搬送装置3に出力する。
【0063】
[搬送処理]
以下、
図8を参照しつつ、搬送システム10において実行される搬送処理について説明する。具体的に、本実施形態では、運行管理サーバー1の制御部11によって前記搬送処理が実行される。また、制御部11は、注文管理サーバー2から出力される複数の搬送要求に応じて複数の搬送処理を並行して実行することが可能である。
【0064】
なお、本発明は、前記搬送処理に含まれる一又は複数のステップを実行する搬送方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記搬送処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記搬送処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11が前記搬送処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該搬送処理における各ステップを分散して実行する搬送方法も他の実施形態として考えられる。
【0065】
ここでは、上述した例の通り、注文管理サーバー2から、CUSTOM1~CUSTOM4の顧客の4個のオーダー(単位オーダー)を含むオーダー情報D2(
図5参照)を受け付けた場合を例に挙げて前記搬送処理について説明する。
【0066】
先ずステップS1において、制御部11は、注文管理サーバー2から搬送要求を受け付けたか否かを判定する。具体的には、制御部11は、注文管理サーバー2からオーダー情報D2(
図5参照)を受け付けたか否かを判定する。制御部11がオーダー情報D2を受け付けると、処理はステップS2に移行する。
【0067】
ステップS2において、制御部11は、オーダー情報D2に基づいてセットオーダー情報D3を生成する。例えば、制御部11は、CUSTOM1~CUSTOM4の顧客の4個のオーダー(単位オーダー)を含むオーダー情報D2(
図5参照)を受け付けると、商品情報D1(
図4参照)を参照して、セットオーダー情報D3(
図6参照)を生成する。例えば、制御部11は、オーダー情報D2に含まれる複数の商品のうち、同じ部分エリアに保管されている複数の商品を一つのオーダー(セットオーダー)に集約してセットオーダー情報D3(
図6参照)を生成する。「SET1」のセットオーダー情報D3には、コンテナ1~4に割り当てられたオーダー情報D2と、部分エリアID「a001」の情報とが含まれる。
【0068】
次にステップS3において、制御部11は、複数の自動搬送装置3のそれぞれが商品を受け取る場所(到着位置)に到着する到着予想時刻を算出する。具体的には、制御部11は、複数の自動搬送装置3のそれぞれについて前記到着位置に到着する到着予想時刻を算出する。例えば、「SET1」のセットオーダー情報D3の商品を保管する部分エリアa1を例に挙げると、制御部11は、3台のAGV1~3の現在位置を取得し、それぞれの現在位置から部分エリアa1の表示装置4Aの設置位置までに要する移動時間を算出して、AGV1~3のそれぞれの到着予想時刻を算出する。
【0069】
次にステップS4において、制御部11は、複数の自動搬送装置3のそれぞれが前記到着位置に到着する到着順位を判定する。具体的には、制御部11は、算出した到着予想時刻が早い順に到着順位を判定する。例えばAGV1が最も早く部分エリアa1に到着する場合、制御部11は、AGV1の到着順位を第1位と判定する。ステップS4の後、制御部11は、ステップS51、S52のそれぞれの処理を並行して実行する。ステップS4は、本発明の到着判定ステップの一例である。
【0070】
ステップS51では、制御部11は、前記到着位置に次に到着する自動搬送装置3が受け取る商品に関する搬送情報を、当該自動搬送装置3が前記到着位置に到着する前に、前記到着位置に対応する作業者に通知する。例えば、制御部11は、「SET1」のセットオーダー情報D3について、AGV1の到着順位を第1位と判定した場合に、AGV1が部分エリアa1に到着する前に、セットオーダー情報D3と商品の保管位置の情報とを含む搬送情報を表示装置4Aに送信する。また、制御部11は、部分エリアa1に到着予定の自動搬送装置3の識別情報(ここでは「AGV1」)と、AGV1が到着するまでの残り時間の情報とを表示装置4Aに送信する。ステップS51は、搬送情報通知ステップの一例である。
【0071】
表示装置4は、運行管理サーバー1から送信される情報を受信すると、表示画面にピッキング作業情報ページp1(
図7参照)を表示させる。作業者は、ピッキング作業情報ページp1を確認しながら、商品を保管棚T1からピッキングする。
【0072】
また、制御部11は、保管棚T1の各保管口に設置されたタグTgのうち、AGV1が作業者から受け取る商品を保管する保管口に設置されたタグTgを点灯又は点滅させる。例えば、表示装置4Aは、ピッキング作業情報ページp1において、各商品に対応付けてピッキングボタンK1(「Pick」ボタン)を表示させる。例えば、表示装置4Aは、番号「1」の商品「バナナ」のピッキングボタンK1を点灯させる。また、表示装置4Aは、保管棚T1のうち商品「バナナ」を格納している保管口に設けられたタグTgを点灯させる(
図3参照)。これにより、作業者は、「バナナ」の保管位置を把握して、保管棚T1から「バナナ」をピッキングする。作業者は、ピッキングした「バナナ」を表示装置4Aの近傍に設置された仮置き場(不図示)などに仮置きして、ピッキング作業情報ページp1の「バナナ」のピッキングボタンK1を押下する。すると、表示装置4Aは、「バナナ」のピッキングボタンK1を消灯させて、次の番号「2」の商品「きゅうり」のピッキングボタンK1を点灯させる。また、表示装置4Aは、保管棚T1のうち商品「バナナ」を格納している保管口に設けられたタグTgを消灯させて、次の商品「きゅうり」を格納している保管口に設けられたタグTgを点灯させる。このようにして、作業者は、部分エリアa1にAGV1が到着する前に、全ての商品「バナナ」、「きゅうり」、「トマト」、「人参」を仮置き場に仮置きしておく。
【0073】
ステップS52において、制御部11は、自動搬送装置3の到着位置の位置情報と、前記到着位置で作業者から受け取る商品の情報とを含む搬送指示を、自動搬送装置3に出力する。具体的には、制御部11は、判定した到着順位第1位の自動搬送装置3に対して前記搬送指示を出力する。例えば、制御部11は、「SET1」のセットオーダー情報D3について、AGV1の到着順位を第1位と判定した場合に、目的地である部分エリアa1の位置情報(停止場所)と、商品「バナナ」、「きゅうり」、「トマト」、「人参」の情報と、走行経路の情報とを含む搬送指示をAGV1に出力する。
【0074】
AGV1は、前記搬送指示を取得するとピッキング走行を開始する。AGV1が部分エリアa1の表示装置4Aの前に到着すると、作業者は、仮置き場に仮置きした各商品にそれぞれのコンテナ1~4に収容する。作業者がピッキング作業情報ページp1(
図7参照)の完了ボタンK2を押下すると、AGV1は部分エリアa1から出庫場所に向けて移動する。
【0075】
ステップS51,S52の後、処理はステップS1に戻り、制御部11は、注文管理サーバー2から次の搬送要求を受け付ける。
【0076】
各自動搬送装置3は、前記搬送指示を取得すると並行してピッキング作業を開始する。制御部11は、注文管理サーバー2から前記搬送要求を取得するごとに、上述の処理を繰り返し実行する。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送システム10は、自動搬送装置3が保管位置に保管された搬送対象(商品)を作業者から受け取って搬送する搬送システムである。搬送システム10は、複数の自動搬送装置3のそれぞれが前記搬送対象を受け取る第1到着位置に到着する到着順位を判定し、前記第1到着位置に次に到着する第1自動搬送装置3が受け取る前記搬送対象に関する搬送情報を、前記第1自動搬送装置3が前記第1到着位置に到着する前に、前記第1到着位置に対応する第1作業者に通知する。
【0078】
これにより、例えば作業者は、商品を保管位置からピッキングする場合に、自動搬送装置3が保管位置に到着するまでの間に商品の内容を把握してピッキング作業又はその準備を開始することができる。そして、作業者は、自動搬送装置3が保管位置に到着すると直ぐに商品を自動搬送装置3に収容することができる。このため、ピッキング作業の作業効率を向上させることが可能になる。
【0079】
本発明の搬送システムは、上述の実施形態に限定されない。上述の実施形態では、各部分エリアに一つの到着位置(表示装置4の設置位置)が設けられているが、他の実施形態として、前記到着位置が、一つの部分エリアに複数個所に設けられてもよい。すなわち、一つの部分エリアに複数の表示装置4が設置されてもよい。この場合、到着判定部113は、前記到着位置ごとに、複数の自動搬送装置3のそれぞれの到着順位を判定する。また、オーダー情報通知部114は、前記到着位置ごとに、当該到着位置に次に到着する自動搬送装置3が受け取る商品に関する搬送情報を、当該到着位置に対応する作業者に通知する。
【符号の説明】
【0080】
1 :運行管理サーバー
2 :注文管理サーバー
3 :自動搬送装置
4 :表示装置
5 :顧客端末
10 :搬送システム
11 :制御部
12 :記憶部
13 :操作表示部
14 :通信部
21 :制御部
22 :記憶部
23 :操作表示部
24 :通信部
111 :搬送要求受付部
112 :オーダー情報生成部
113 :到着判定部
114 :オーダー情報通知部
115 :搬送指示部