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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181443
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】建物の土台の修復装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20221201BHJP
   E02D 37/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
E02D27/00 Z
E02D27/00 B
E02D37/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088386
(22)【出願日】2021-05-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】501252593
【氏名又は名称】株式会社 ホームリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】久吉 崇敬
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046AA03
2D046AA13
(57)【要約】
【課題】
地盤沈下は、地震・噴火等による地殻変動、液状化等を要因として発生すると一般に言われている。その際の修正として、ジャッキアップと重機や種々の工具を利用し、土台を修正する。しかし、手間と費用、及び困難な作業と時間を要する。この課題を解決するのが、本発明である。
【解決手段】
基礎に埋設したアンカーボルトと、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具でなる建物の土台の修復装置で、調整具は、土台に埋設した連結体と、連結体の両端に備えた第1回転体及び第2回転体と、第1回転体と第2回転体の回転の同期を司る同期手段と、で構成され、第1回転体の回転で、第1回転体と共に連結体及び第2回転体を上下動させ、土台の上下動を可能にする、建物の土台の修復装置を提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎に埋設され前記建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
前記調整具は、
前記土台の下面に接する鰐片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
前記土台の上面に接する鰐片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
前記土台に貫設され前記アンカーボルトを挿通される円筒状の連結体と、
前記第1回転体の回転と前記第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
前記第1回転体を回転させることによって前記土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置。
【請求項2】
建物の基礎に埋設され前記建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
前記調整具は、
前記土台の下面に接する鰐片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
前記土台の上面に接する鰐片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
前記土台に貫設され前記アンカーボルトを挿通される円筒状の連結体であって、その上端が前記第2回転体の前記鍔片の下面に固定される、連結体と、
前記第1回転体の前記鍔片の上面および前記連結体の下端に設けた、前記第1回転体の回転と前記第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
前記第1回転体を回転させることによって前記土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置。
【請求項3】
建物の基礎に埋設され前記建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
前記調整具は、
前記土台の下面に接する鰐片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
前記土台の上面に接する鰐片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
前記土台に貫設され前記アンカーボルトを挿通される円筒状の連結体であって、その下端が前記第1回転体の前記鍔片の上面に固定される、連結体と、
前記第2回転体の前記鍔片の下面および前記連結体の上端に設けた、前記第1回転体の回転と前記第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
前記第1回転体を回転させることによって前記土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置。
【請求項4】
前記同期手段は、各種の接着剤、各種の接着テープの何れかでなる、
請求項1-3のいずれか一項に記載の建物の土台の修復装置。
【請求項5】
前記同期手段は、各種の樹脂接着剤、各種のゴム接着剤の何れかでなる、
請求項1-3のいずれか一項に記載の建物の土台の修復装置。
【請求項6】
前記同期手段は、面・辺凹凸、鋸凹凸、又はワッシャ、カム機構の何れかでなる噛合関係である、
請求項1-3のいずれか一項に記載の建物の土台の修復装置。
【請求項7】
前記同期手段は、面・辺凹凸、鋸凹凸、又はワッシャ、カム機構の何れかでなる係合関係である、
請求項1-3のいずれか一項に記載の建物の土台の修復装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の基礎及び土台の構造に関し、より詳細には、建物の土台の修復装置であって、地盤沈下(地盤隆起を含む)した土台、及び/又は、基礎を修復(又は修正)し、少なくとも、土台を上下動させ、建物の傾きを無くすことを意図する、建物の土台の修復装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に言われている地盤沈下は、地震・噴火等による地殻変動、液状化等を要因として発生する。その際の修正として、ジャッキアップと種々の工具を利用し、土台を修復(又は修正)する。しかし、手間と費用、及び熟練を要する作業と、時間を要する。
【0003】
その解決策として、下記に示す文献発明、考案等が挙げられる。文献(1)の発明は、特開昭58-135230号であって、基礎と土台の間に、螺軸を貫設し、この上下螺軸部を、前記基礎及び前記土台に埋設したアンカー筒及び円筒のそれぞれの螺筒に螺嵌する構成とし、この螺軸部に回転用のナットを固定するとともに、前記上下螺軸部の螺旋方向を対峙する構成とし、ナットの回転で、基礎と土台が、逆方向に上下動する構成である。従って、ナットの回転を利用して、この基礎と土台は、逆方向に移動する。この移動を利用し、基礎と土台の間隔調整を図り、地盤沈下と地盤隆起に対応する発明である。但し、各螺筒の取付と、ナットの回転に、器具と回転動力を備える必要があり、作業の困難性と器具・部品の手当が厄介である。また、文献(2)の発明は、特開2003-253692号であって、原則として、前記文献(1)と、略同じ構成である。また文献(2)の発明は、拒絶査定である。引用文献に前記文献(1)が挙げられている。
【0004】
尚、本発明が、採用する同期手段の中で、連結体の下部と下側の鍔片の上部に設けた、面・辺凹凸、鋸凹凸、又はワッシャ、カム機構の係合機構か、連結体の下部と下側の鍔片の上部に設けた、面・辺凹凸、鋸凹凸、又はワッシャ、カム機構の噛合関係に関する文献発明、考案等が挙げられる。文献(3)の発明は、特許第6411101号であって、山部と谷部の噛合関係(カム関係)がある。また、文献(4)の発明は、特開平3-162310号であって、山部と谷部の噛合関係(クラッチ関係)がある。この文献(4)は、文献(3)と軌を一にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58-135230号公報
【特許文献2】特開2003-253692号公報
【特許文献3】特許第6411101号公報
【特許文献4】特開平3-162310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した如く、従来の文献で示されている発明が抱える課題の解決である。例えば、本発明の如く、回転体の一動作で、土台を上下動し、地盤沈下、及び/又は、地盤隆起に対応できる構成の提供で、土台修復の容易化(ジャッキや重機を使用しなくてもレンチがあれば人力で土台を調整可能)、複雑な動作(所作、操作)の排除、部品点数の減少、装置及びその部品の構造の単純化、生産の容易化、施工の容易化、費用の低減、などを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する為に、後述する請求項1-7を開示する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1においては、
建物の基礎に埋設され建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
調整具は、
土台の下面に接する鰐片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
土台の上面に接する鰐片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
土台に貫設されアンカーボルトを挿通される円筒状の連結体と、
第1回転体の回転と第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
第1回転体を回転させることによって土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置。
である。
【0009】
これにより、第1回転体の操作により、ジャッキアップの操作、及び準備等を必要とせず土台の修復ができる利点と特徴がある。
【0010】
請求項2においては、
建物の基礎に埋設され建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
調整具は、
土台の下面に接する鰐片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
土台の上面に接する鰐片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
土台に貫設されアンカーボルトを挿通される円筒状の連結体であって、その上端が第2回転体の鍔片の下面に固定される、連結体と、
第1回転体の鍔片の上面および連結体の下端に設けた、第1回転体の回転と第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
第1回転体を回転させることによって土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置である。
【0011】
これにより、請求項1と同じ利点と特徴がある。
【0012】
請求項3においては、
建物の基礎に埋設され建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
調整具は、
土台の下面に接する鰐片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
土台の上面に接する鰐片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
土台に貫設されアンカーボルトを挿通される円筒状の連結体であって、その下端が第1回転体の鍔片の上面に固定される、連結体と、
第2回転体の鍔片の下面および連結体の上端に設けた、第1回転体の回転と第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
第1回転体を回転させることによって土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置である。
【0013】
これにより、請求項1と同じ利点と特徴がある。
【0014】
請求項4においては、
同期手段は、各種の接着剤、各種の接着テープの何れかでなる、建物の土台の修復装置である。
【0015】
これにより、請求項1-3と同じ利点と特徴の達成に最適な同期手段を提供できる。
【0016】
請求項5においては、
同期手段は、各種の樹脂接着剤、各種のゴム接着剤の何れかでなる、建物の土台の修復装置である。
【0017】
これにより、請求項1-3と同じ利点と特徴の達成に最適な同期手段を提供できる。
【0018】
請求項6においては、
同期手段は、面・辺凹凸、鋸凹凸、又はワッシャ、カム機構の何れかでなる噛合関係である、建物の土台の修復装置である。
【0019】
これにより、請求項1-3と同じ利点と特徴の達成に最適な同期手段を提供できる。
【0020】
請求項7においては、
同期手段は、面・辺凹凸、鋸凹凸、又はワッシャ、カム機構の何れかでなる係合関係である、建物の土台の修復装置である。
【0021】
これにより、請求項1-3と同じ利点と特徴の達成に最適な同期手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の建物の土台の修復装置の使用状態の一例を示した図
図2】本発明の調整具の第1実施例であり、請求項4、5に記載の同期手段を示した全体図であって、第1回転体の鍔片と連結体の一体化を、接着剤、テープ等の接着手段で図る考えである
図3】第1実施例(図2)の要部断面図
図4】第1実施例を分解した要部拡大図
図5】本発明の調整具の第2実施例であり、請求項6に記載の同期手段の一例(噛合関係)を示した全体図であって、第1回転体の鍔片と連結体の一体化を、ワッシャ等で図る考えである
図6】第2実施例(図5)の要部断面図
図7】第2実施例を分解した要部拡大図であり、(イ)第1回転体の鍔片の平面図、(ロ)第2回転体の鍔片の平面図、(ハ)調整具の一部欠截の正面図
図8】第2実施例の第1回転体の拡大断面図
図9】本発明の調整具の第3実施例であり、請求項7に記載の同期手段の一例(係合関係)を示した全体図であって、第1回転体の鍔片と連結体の一体化を、面・辺凹凸等で図る考えである
図10】第3実施例(図9)の要部分解斜視図
図11】第3実施例の要部断面図
図12】第3実施例を分解した要部拡大図であり、(イ)第1回転体の鍔片の平面図、(ロ)第2回転体の鍔片の平面図、(ハ)調整具の一部欠截の正面図
図13】第3実施例の第1回転体と連結体の係合関係を示した拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施例を説明する。各実施例は、好ましい一例であり、各実施例の説明、及び/又は、図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造、又は同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【0024】
本発明の基本となる構造を図1図2を用いて説明すると、本発明は、建物の基礎Aに埋設され建物の土台Bを貫通するアンカーボルト1と、アンカーボルト1に装着される調整具Cとから成る。アンカーボルト1には螺子部100が設けられている。調整具Cは、第1回転体2と、第2回転体4(ナット等の回転手段)と、連結体6と、同期手段20と、を備える。土台Bには、連結体6を貫通させるための孔B2を貫設する。その孔径は連結体6の外形より大きくし、アンカーボルト1と調整具C(連結体6とか、第2回転体4、第1回転体2、等)の傾斜に対応するための裕度を持たせてある。また、図中Dは、孔B2の開口周面と連結体6の外面の間に形成される隙間である。
【0025】
第1回転体2は、螺子部100に螺嵌される貫通孔である螺子孔200(差込み孔も可能)を内設された回転体(螺回することで回転可能なナット等の回転手段)であり、従って第1回転体2にはアンカーボルト1を螺入可能である。また第1回転体2は、土台Bの下面B3に添接される鍔片3を備える。鍔片3の上面を301、下面を302とすると、上面301と下面B3とが接する。なおここでいう「上」・「下」とは、地面側を下とした場合の上下方向を指す。本明細書において以下同様である。
【0026】
第2回転体4は、螺子部100に螺嵌される貫通孔である螺子孔400(差込み孔も可能)を内設された回転体(螺回することで回転可能なナット等の回転手段)であり、従って第2回転体4にもアンカーボルト1を螺入可能である。また第2回転体4は、土台Bの上面B1に添接される鍔片5を備える。鍔片5の上面を501、下面を502とすると、下面502と上面B1とが接する。従って、第2回転体4の下面502と第1回転体2の上面301とで、土台Bがサンドイッチされる。なお本明細書の図例では、平面視した面積において、第1回転体2(の鍔片3)>第2回転体4(の鍔片5)の関係であるが、一例である。この寸方関係では、土台Bを支持し持ち上げる際の容易性が考慮されている。なお、第1回転体2及び第2回転体4は、以下の各実施形態では、ナットに円盤状の鍔片を備えた形状となっているが、螺子部100に螺嵌でき、外部から回転させることのできる部材である限りは、ナット形状に限定されず、また鍔片の形状も、土台Bを有効に支持できる限りは円盤に限定されない。これらの大きさについても同様である。更に言えば、ナット部の端面が土台Bを支持するのに十分な面積を有していれば、鍔片を備えない構成、言い換えればナットが鍔片を兼ねる構成とすることも、可能である。
【0027】
連結体6は、上端601及び下端602を有する長尺の筒状部材(筒体、角体等とするが、形状は限定されない))であり、土台Bの孔B2(円形、方形等とするが、形状は限定されない)に遊嵌される。また連結体6には螺子部100を挿通可能である。連結体6は同期手段20を介して第1回転体2と第2回転体4を連結することができる。連結体6の長さは土台Bの厚みと略同寸である。連結体6は円筒形であるのが特に好ましいが、孔B2に挿通可能でありかつ螺子部100を挿通可能である限りは、特に形状を限定されない。
【0028】
同期手段20は、第1回転体2の回転と第2回転体4の回転を連結体6を介して同期させる(2つの回転体を同時に回転させる)ことを可能にする、任意の手段である。同期手段20は、第1回転体2又は第2回転体4、及び連結体6の要所に、適宜設けられる。この同期手段20を介して、連結体6の要所(例えば、上端601、下端602)と第1回転体2又は第2回転体4の要所(例えば、その鍔片の対応する面)とが、緊締(連結)、及び/又は、緊締(連結)解除される。詳細は各実施例で、それぞれ詳しく説明する。
【0029】
以下、各実施例の好ましい、同期手段20と、関連する機構の一例を順に、説明する。
【0030】
図2図4は、第1実施例であり、例えば、請求項4、5の好ましい一例であり、第1回転体2と連結体6の一体化を、接着剤、テープ等の接着手段で図る考えである。この一例では、第2回転体4の鍔片5の下面502と連結体6の上端601を固定する必要があるが、この固定は施工前の準備として事前に行ってもよく、また第2回転体4と連結体6を結合した一個の部材とすることで実現されてもよい。そして、第1回転体2の鍔片3の上面301と連結体6の下端602の一方又は両方に、接着剤21(同期手段20)を添着する。接着剤又はテープの種類は、必要な接着(固定)強度が得られるものであれば特に問わない。
【0031】
この状態で、以下の手順で本願修復装置を適用する:(1)アンカーボルト1の螺子部100に、鍔片3を上にして第1回転体2を螺嵌し、鍔片3の上面301から螺子部100を突出させる、(2)鍔片3から突出した螺子部100を土台Bの下面B3側から孔B2に挿通し、土台Bの上面B1から螺子部100を突出させるとともに、上面301を下面B3に当接させる、(3)上面B1から突出した螺子部100に、第2回転体4と連結体6の結合体を被嵌・螺着する、(4)連結体6の下端602と鍔片3の上面301が当接して同期手段20(ここでは接着剤21)によって互いに固定されるまで螺回する。なおこの適用手順は、他の実施形態においても基本的には同様である。
【0032】
この状態で第1回転体2を回転させると、第1回転体2は上下動するが、このとき、第2回転体4と連結体6の固定、及び、同期手段20(例えば、接着剤21)による連結体6と第1回転体2の固定によって、第1回転体2は連結体6を介して第2回転体4に連繋(接着、圧着等)していることから、この第1回転体2の回転はそのまま第2回転体4の回転となり(2つの回転体の回転が同期し)、従って、第1回転体2の上下動はそのまま第2回転体4の上下動となる。この働きで、第1回転体2の上下動は、第1回転体2と第2回転体4で挟まれ支持されている(抱持している)土台Bの上下動となり、例えば、地盤沈下した土台Bを持ち上げる。即ち、沈下を修復できる。しかも、原則として、ジャッキアップ不要で、かつナットを回すための工具(レンチなど)以外には重機や特殊な器具も要さないので、簡便であり、作業の簡便化、コストの軽減化とか、省人化等に寄与できる。また、高度な熟練を要さない。土台Bの修復に有効である。そして、説明しないが、土台Bの地盤隆起等においても、前述の操作と動きは、逆となるが、理屈は同様であり、説明は割愛する。
【0033】
本願発明では、前述した如く、第1回転体2の回転を、第2回転体4に同期して回転する構造としたことで、土台Bは、第1回転体2と第2回転体4に固定、かつ挟持されている。従って、第1回転体2を回転すれば、自ずから、土台Bは持ち上げられる。本願発明の利点は、土台Bの簡易な上下動が可能となり、沈下の状況下の上昇が図れる。
【0034】
図5-8は、第2実施例であり、例えば、請求項6の好ましい一例であり、第1回転体2と連結体6の一体化を、噛合関係で図る考えである。この一例は、第2回転体4の鍔片5の下面502に連結体6の上端601を溶接、又はねじ込み等のその他の一体化手段を利用して結合することで、第2回転体4と連結体6を一体化し、この連結体6を、アンカーボルト1の螺子部100に外嵌するとともに、土台Bの孔B2に遊嵌状態で差込む。そして、連結体6の下端602の凸凹ワッシャ23(凸凹ワッシャ歯23a、23b)を、第1回転体2の上面301に設けた凹凸ワッシャ22(凹凸ワッシャ歯22a、22b)に係合、噛合、または接触などさせて、同期手段20が連携される。このように、凸凹ワッシャ23と凹凸ワッシャ22は固定関係となる(同期手段20が完成される)。
【0035】
第1回転体2の鍔片3の上面301に設けた凹凸ワッシャ22は例えば、正方向X(図5において、右下から、左上の方向)に向かった、面・辺に備えた凹凸、鋸凹凸、又はこれらを備えたワッシャ等である。尚、カム機構は図示しない。また、連結体6の下端602に設けた凸凹ワッシャ23は例えば、負方向Y(図4において、右上から、左下の方向)に向かった、面・辺に備えた凹凸、鋸凹凸、又はこれらを備えたワッシャ等である。尚、カム機構は図示しない。この上面301にある正方向Xの凹凸ワッシャ22(凹ワッシャ歯22aと凸ワッシャ歯22b)と、下端602にある負方向Yの凸凹ワッシャ23(凸ワッシャ歯23aと凹ワッシャ歯23b)が噛合関係となって、この両者、即ち、第1回転体2と、連結体6は、固定関係(固定状態)となる。
【0036】
この状態で第1回転体2を回転させると、第1回転体2は上下動するが、このとき、第2回転体4と連結体6の固定、及び同期手段20(例えば、ワッシャ22、23)による連結体6と第1回転体2の固定によって、第1回転体2は連結体6を介して第2回転体4に連繋していることから、この第1回転体2の回転はそのまま第2回転体4の回転となり(2つの回転体の回転が同期し)、従って、第1回転体2の上下動はそのまま第2回転体4の上下動となる。この働きで、第1回転体2の上下動は、第1回転体2と第2回転体4で挟まれ支持されている(抱持している)土台Bの上下動となり、例えば、地盤沈下した土台Bを持ち上げる。即ち、沈下を修復できる。しかも、原則として、ジャッキアップ不要で、かつナットを回すための工具(レンチなど)以外には重機や特殊な器具も要さないので、簡便であり、作業の簡便化、コストの軽減化とか、省人化等に寄与できる。また、高度な熟練を要さない。土台Bの修復に有効である。そして、説明しないが、土台Bの地盤隆起等においても、前述の操作と動きは、逆となるが、理屈は同様であり、説明は割愛する。
【0037】
第1回転体2の凹凸ワッシャ22と連結体6の凸凹ワッシャ23の噛合関係を実現するには、例えば、第1回転体2の上面301にある正方向Xの凹凸ワッシャ22は、例えば、螺子孔200の周面箇所にあり、一方、連結体6の下端602にある負方向Yの凸凹ワッシャ23は、前記凹凸ワッシャ22に噛合する必要があるので、例えば、下端・周辺箇所にあるのが好ましいが、これは一例であり、限定されない。凹凸ワッシャ22に凸凹ワッシャ23を当接、又は差込み等する操作で、この凹凸ワッシャ22が凸凹ワッシャ23に嵌り合い、第1回転体2の回転で凹凸ワッシャ22が凸凹ワッシャ23に噛合する構造とする。また、噛合関係解除は、前述の逆操作とする。
【0038】
図9-13は、第3実施例であり、例えば、請求項7の好ましい一例であり、第1回転体2と連結体6の一体化を、係合関係で図る考えである。この一例は、第2回転体4の鍔片5の下面502に連結体6の上端601を溶接、又はねじ込み等のその他の一体化手段を利用して結合することで、第2回転体4と連結体6を一体化し、この連結体6を、アンカーボルト1の螺子部100に外嵌するとともに、土台Bの孔B2に遊嵌状態で差込む。そして、連結体6の下端602の凸片25a、25bを、第1回転体2の上面301に設けた凹部24a、24bに係合、噛合、又は接触などさせて、同期手段20が連繋される。即ち、第1回転体2の上面301に凹24(凹部24a、24bであり、内側方向X1に位置する箇所に、面・辺に備えた凹、鋸凹、又はワッシャ等である。尚、カム機構は図示しない)と、連結体6の下端602に凸25(凸片25a、25bであり、外側方向Y1に位置する箇所に、面・辺に備えた凸、鋸凸、又はワッシャ等である。尚、カム機構は図示しない)を形成する。この内側方向X1の凹24(凹部24a、凹部24b等)と、外側方向Y1の凸25(凸片25a、凸片25b等)が噛合関係となることで、この両者、即ち、第1回転体2と、連結体6は、固定関係となる(同期手段20が完成される)。
【0039】
この状態で第1回転体2を回転させると、第1回転体2は上下動するが、このとき、第2回転体4と連結体6の固定、及び同期手段20(例えば、凹24と凸25)による連結体6と第1回転体2の固定によって、第1回転体2は連結体6を介して第2回転体4に連繋していることから、この第1回転体2の回転はそのまま第2回転体4の回転となり(2つの回転体の回転が同期し)、従って、第1回転体2の上下動はそのまま第2回転体4の上下動となる。この働きで、第1回転体2の上下動は、第1回転体2と第2回転体4で挟まれ支持されている(抱持している)土台Bの上下動となり、例えば、地盤沈下した土台Bを持ち上げる。即ち、沈下を修復できる。しかも、原則として、ジャッキアップ不要で、かつナットを回すための工具(レンチなど)以外には重機や特殊な器具も要さないので、簡便であり、作業の簡便化、コストの軽減化とか、省人化等に寄与できる。また、高度な熟練を要さない。土台Bの修復に有効である。そして、説明しないが、土台Bの地盤隆起等においても、前述の操作と動きは、逆となるが、理屈は同様であり、説明は割愛する。
【0040】
前記、第1回転体2の凹24と、連結体6の凸25の係合関係とするには、例えば、凹24は第1回転体2の螺子孔200(内側方向に位置する箇所)にあり、一方、連結体6の下端602の凸25は、前記凹24に係合する必要があるので、例えば、この内側方向に位置する箇所が好ましいが、一例であり、限定されない。この凹24に、連結体6の下端602の凸25を、差込み係合する、この操作で、凹24は、連結体6の凸25に係合する(嵌り合う)。従って、第1回転体2の回転で、凹24は、連結体6の凸25に係合する構造とする。また、係合関係解除は、前述の逆操作とする。尚、第1回転体2の凹24と、連結体6の凸25でなる係合関係は、一例であって、第1回転体2に凸、連結体6に凹を設ける構成もあり、限定されない。また、図における凹部24a、24b及び凸片25a、25bの数は一例であって、限定されない。
【0041】
前述の如く、接着剤と、面・辺凹凸、又は鋸凹凸に関しては、詳述したが、その他の接着テープとか、カム機構等に関しては、原則として、前述の説明と齟齬はないので、割愛する。本願発明の同期手段20は、第1回転体2又は第2回転体4と連結体6とを施工中に固定でき、かつ第1回転体2の回転を第2回転体4に確実に伝達できる固定強度を有する固定手段であれば、どのような手段でも構わない。
【0042】
また、実施例1-3では最初に第2回転体4と連結体6とを固定し、同期手段20を連結体6と第1回転体2との間に設ける構成を採用したが、それらは好ましい一例に過ぎず、例えば、最初に第1回転体2と連結体6とを固定し、同期手段20を連結体6と第2回転体4との間に設ける構成も、本願発明概念の範疇にある。
【0043】
前述した、各実施例は、好ましい一例である。この各実施例の趣旨の範囲において、構成の一部を変更する構造、又は同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0044】
1 アンカーボルト
100 螺子部
2 第1回転体
200 螺子孔(差込み孔)
3 鍔片
301 上面
302 下面
4 第2回転体
400 螺子孔(差込み孔)
5 鍔片
501 上面
502 下面
6 連結体
601 上端
602 下端
20 同期手段
21 接着剤
22 凹凸ワッシャ(22a 凹ワッシャ歯、22b 凸ワッシャ歯)
23 凸凹ワッシャ(23a 凸ワッシャ歯、23b 凹ワッシャ歯)
24 凹(24a 凹部 24b 凹部)
25 凸(25a 凸片 25b 凸片)
A 基礎
B 土台
B1 上面
B2 孔
B3 下面
C 調整具
D 隙間
X 正方向
Y 負方向
X1 内側方向
Y1 外側方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎に埋設され前記建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
前記調整具は、
前記土台の下面に接する片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
前記土台の上面に接する片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
前記土台に貫設され前記アンカーボルトを挿通される円筒状の連結体と、
前記第1回転体の回転と前記第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
前記第1回転体を回転させることによって前記土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置。
【請求項2】
建物の基礎に埋設され前記建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
前記調整具は、
前記土台の下面に接する片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
前記土台の上面に接する片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
前記土台に貫設され前記アンカーボルトを挿通される円筒状の連結体であって、その上端が前記第2回転体の前記鍔片の下面に固定される、連結体と、
前記第1回転体の前記鍔片の上面および前記連結体の下端に設けた、前記第1回転体の回転と前記第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
前記第1回転体を回転させることによって前記土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置。
【請求項3】
建物の基礎に埋設され前記建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
前記調整具は、
前記土台の下面に接する片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
前記土台の上面に接する片を備えた、前記アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
前記土台に貫設され前記アンカーボルトを挿通される円筒状の連結体であって、その下端が前記第1回転体の前記鍔片の上面に固定される、連結体と、
前記第2回転体の前記鍔片の下面および前記連結体の上端に設けた、前記第1回転体の回転と前記第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
前記第1回転体を回転させることによって前記土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置。
【請求項4】
前記同期手段は、各種の接着剤、各種の接着テープの何れかでなる、
請求項1-3のいずれか一項に記載の建物の土台の修復装置。
【請求項5】
前記同期手段は、各種の樹脂接着剤、各種のゴム接着剤の何れかでなる、
請求項1-3のいずれか一項に記載の建物の土台の修復装置。
【請求項6】
前記同期手段は、面・辺凹凸、鋸凹凸、又はワッシャ、カム機構の何れかでなる噛合関係である、
請求項1-3のいずれか一項に記載の建物の土台の修復装置。
【請求項7】
前記同期手段は、面・辺凹凸、鋸凹凸、又はワッシャ、カム機構の何れかでなる係合関係である、
請求項1-3のいずれか一項に記載の建物の土台の修復装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項1においては、
建物の基礎に埋設され建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
調整具は、
土台の下面に接する片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
土台の上面に接する片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
土台に貫設されアンカーボルトを挿通される円筒状の連結体と、
第1回転体の回転と第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
第1回転体を回転させることによって土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置。
である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項2においては、
建物の基礎に埋設され建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
調整具は、
土台の下面に接する片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
土台の上面に接する片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
土台に貫設されアンカーボルトを挿通される円筒状の連結体であって、その上端が第2回転体の鍔片の下面に固定される、連結体と、
第1回転体の鍔片の上面および連結体の下端に設けた、第1回転体の回転と第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
第1回転体を回転させることによって土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項3においては、
建物の基礎に埋設され建物の土台に貫設されるアンカーボルトと、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される調整具と、でなる、建物の土台の修復装置であって、
調整具は、
土台の下面に接する片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第1回転体と、
土台の上面に接する片を備えた、アンカーボルトの螺子部に螺嵌される第2回転体と、
土台に貫設されアンカーボルトを挿通される円筒状の連結体であって、その下端が第1回転体の鍔片の上面に固定される、連結体と、
第2回転体の鍔片の下面および連結体の上端に設けた、第1回転体の回転と第2回転体の回転を同期させるための同期手段と、
を備え、
第1回転体を回転させることによって土台の上下動が可能になることを特徴とする、
建物の土台の修復装置である。