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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181460
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】配管カバー
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/14 20060101AFI20221201BHJP
   F16B 35/04 20060101ALI20221201BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
F24H9/14
F16B35/04 X
F16B5/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088411
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】寺西 章吾
【テーマコード(参考)】
3J001
3L037
【Fターム(参考)】
3J001FA12
3J001HA04
3J001HA07
3J001JA03
3J001JD22
3J001KA19
3L037EA01
(57)【要約】
【課題】設置の際の作業性に優れる配管カバーを提供する。
【解決手段】配管カバー6は、側板8を有し、側板8は、側板8の上端部に配管カバー6の内方に向かって延びる連結フランジ部81を有し、連結フランジ部81は、ケーシング1の底面23から下方に突出する連結具5が嵌挿されるL字状切れ込み部85を有し、L字状切れ込み部85は、連結フランジ部81の内方端に開口し、連結フランジ部81の内方端から外方に向かって延びる第1スリット85aと、第1スリット85aの外方端から屈曲して延びる第2スリット85bとを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機を収容するケーシングの下方に配設され、ケーシングと着脱可能に連結される配管カバーであって、
配管カバーは、側板を有し、
側板は、側板の上端部に配管カバーの内方に向かって延びる連結フランジ部を有し、
連結フランジ部は、ケーシングの底面から下方に突出する連結具が嵌挿されるL字状切れ込み部を有し、
L字状切れ込み部は、連結フランジ部の内方端に開口し、連結フランジ部の内方端から外方に向かって延びる第1スリットと、第1スリットの外方端から屈曲して延びる第2スリットと、を有する配管カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の配管カバーにおいて、
配管カバーは、左側板と、右側板と、を有し、
左側板は、左側板の上端部に配管カバーの内方に向かって延びる左連結フランジ部を有し、
右側板は、右側板の上端部に配管カバーの内方に向かって延びる右連結フランジ部を有し、
左右連結フランジ部はそれぞれ、L字状切れ込み部を有しており、
左右連結フランジ部はそれぞれ、配管カバーをケーシングに連結させると、左右連結フランジ部の各前端が、ケーシングの前面を構成する前カバーの下端部の後端と一定の大きさの隙間を介して対向するように形成されている配管カバー。
【請求項3】
請求項2に記載の配管カバーにおいて、
配管カバーは、分解可能に連結される、前側板と、左側板と、右側板と、を有し、
前側板は、前側板の左端部に配管カバーの内方に向かって延びる左後フランジ部と、前側板の右端部に配管カバーの内方に向かって延びる右後フランジ部と、を有し、
左側板は、前記左連結フランジ部と、左側板の前端部に配管カバーの内方に向かって延びる左前フランジ部と、を有し、
右側板は、前記右連結フランジ部と、右側板の前端部に配管カバーの内方に向かって延びる右前フランジ部と、を有しており、
配管カバーは、前側板と左右側板とを連結させると、左右側板の左右前フランジ部の前面がそれぞれ、前側板の左右後フランジ部の後面と略当接するように設けられている配管カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機を収容するケーシングの下方に配設され、ケーシングと着脱可能に連結される配管カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器などの熱源機を収容するケーシングの下方には、熱源機から下方に延出する配管をカバーするための配管カバーが配設される場合がある。この種の配管カバーは、熱源機の設置場所で固定ビスなどの連結具を用いてケーシングに着脱自在に連結される。そのため、例えば、設置の際の施工性を考慮して、ケーシングの底面に下方に突出する係合突部を設け、配管カバーの側板の上端部のフランジ部に径の異なる大穴部と小穴部とを有するダルマ穴を穿設し、フランジ部のダルマ穴近傍壁部に下方に突出する弾性支持部を設けることが提案されている(例えば、特許文献1)。この配管カバーによれば、ケーシングの底面に取り付けられた係合突部の大径の頭部を大穴部に挿通させた後、係合突部の小径の軸部を小穴部にスライドさせる。これにより、係合突部が小孔部周縁に弾性支持部の弾性に抗して係合し、ケーシングと配管カバーとが連結される。従って、ケーシングの底面から係合突部を取り外すことなく、配管カバーをケーシングに連結させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-105910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように金属板にダルマ穴を穿設する場合、強度を確保するためにフランジ部には一定の幅が必要となる。しかしながら、ケーシングの下方には配管を配設するためのスペースを確保しなければならないから、配管カバーの側板の上端部から内方に向かって延びるフランジ部の幅にも一定の制限がある。それゆえ、フランジ部の幅よりも十分に小さな径を有する大穴部しか形成することができず、ダルマ穴が形成できない場合がある。また、フランジ部にダルマ穴が穿設できる場合でも、ダルマ穴は大穴部と小穴部とを有しているため、係合突部の頭部を大穴部に一致させなければ、係合突部を大穴部に挿入することができない。それゆえ、ケーシングの底面に設けられた係合突部がダルマ穴の周縁のフランジ部に衝突して、フランジ部が変形したり、損傷したりするという問題ある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、作業性に優れる配管カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
熱源機を収容するケーシングの下方に配設され、ケーシングと着脱可能に連結される配管カバーであって、
配管カバーは、側板を有し、
側板は、側板の上端部に配管カバーの内方に向かって延びる連結フランジ部を有し、
連結フランジ部は、ケーシングの底面から下方に突出する連結具が嵌挿されるL字状切れ込み部を有し、
L字状切れ込み部は、連結フランジ部の内方端に開口し、連結フランジ部の内方端から外方に向かって延びる第1スリットと、第1スリットの外方端から屈曲して延びる第2スリットと、を有する配管カバーが提供される。
【0007】
上記配管カバーによれば、連結フランジ部の幅が狭くても、一定の長さの第1スリットと一定の長さの第2スリットとを有するL字状切れ込み部を連結フランジ部に形成することができる。また、上記配管カバーによれば、第1スリットは連結フランジ部の内方端に開口しているから、ケーシングの底面に連結具が取り付けられた状態で、連結フランジ部の内方端側から第1スリットに連結具を容易に嵌挿させることができる。そして、上記配管カバーによれば、第1スリットに嵌挿させた連結具をスライドさせて第2スリットに嵌挿させれば、配管カバーをケーシングと所定位置で連結させることができる。従って、配管カバーをケーシングに連結させるとき、効率よく作業することができる。
【0008】
好ましくは、上記配管カバーにおいて、
配管カバーは、左側板と、右側板と、を有し、
左側板は、左側板の上端部に配管カバーの内方に向かって延びる左連結フランジ部を有し、
右側板は、右側板の上端部に配管カバーの内方に向かって延びる右連結フランジ部を有し、
左右連結フランジ部はそれぞれ、L字状切れ込み部を有しており、
左右連結フランジ部はそれぞれ、配管カバーをケーシングに連結させると、左右連結フランジ部の各前端が、ケーシングの前面を構成する前カバーの下端部の後端と一定の大きさの隙間を介して対向するように形成される。
【0009】
上記配管カバーによれば、左右連結フランジ部の各前端が、ケーシングの前面を構成する前カバーの下端部の後端と一定の大きさの隙間を介して対向するから、配管カバーをケーシングに連結させるとき、連結フランジ部と前カバーとの干渉を防止でき、効率よく作業することができる。また、上記配管カバーによれば、後方から配管カバーに外力が働いても、左右連結フランジ部の前端が対向するケーシングの前カバーの下端部の後端に接触して、配管カバーの前方への移動が規制されるから、配管カバーのずれを抑えることができる。
【0010】
好ましくは、上記配管カバーにおいて、
配管カバーは、分解可能に連結される、前側板と、左側板と、右側板と、を有し、
前側板は、前側板の左端部に配管カバーの内方に向かって延びる左後フランジ部と、前側板の右端部に配管カバーの内方に向かって延びる右後フランジ部と、を有し、
左側板は、前記左連結フランジ部と、左側板の前端部に配管カバーの内方に向かって延びる左前フランジ部と、を有し、
右側板は、前記右連結フランジ部と、右側板の前端部に配管カバーの内方に向かって延びる右前フランジ部と、を有しており、
配管カバーは、前側板と左右側板とを連結させると、左右側板の左右前フランジ部の前面がそれぞれ、前側板の左右後フランジ部の後面と略当接するように設けられる。
【0011】
上記配管カバーによれば、独立した部材である、前側板と、左側板と、右側板とが連結されて配管カバーが構成されているから、これらの側板をケーシングに別々に取り付けることができる。これにより、さらに作業性を向上させることができる。また、上記配管カバーによれば、前側板と左右側板とを連結させると、左右側板の左右前フランジ部の前面がそれぞれ、前側板の左右後フランジ部の後面と略当接するから、前方から配管カバーに外力が働いても、大きなフランジ部によって衝撃を分散させることができ、配管カバーのずれを抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、作業性に優れる配管カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るケーシングと配管カバーとが連結された状態を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るケーシングを示す一部分解概略斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るケーシングの底面の左端部近傍を示す要部概略平面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る配管カバーを示す一部分解概略斜視図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るケーシングと配管カバーとが連結された状態を示す要部概略斜視図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係るケーシングと配管カバーとが連結された状態を示す要部概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る配管カバーについて、熱源機としてガス給湯器を収容するケーシングと連結される配管カバーを例に挙げて具体的に説明する。
図1に示すように、配管カバー6は、ガス給湯器100(図2参照)を収容するケーシング1の下方に配設される。熱源機としては、電気給湯器や石油給湯器などを用いてもよい。
【0015】
図示しないが、ケーシング1の内部には、ガスバーナや熱交換器などが収容されている。図1及び図2に示すように、ケーシング1は、前方に開放するケーシング本体2と、ケーシング1の前面を構成する化粧カバー(前カバー)4と、化粧カバー4の裏面に固定される蓋体3とを有する。これらのケーシング本体2、蓋体3、及び化粧カバー4はそれぞれ、板金を所定形状に成形して形成される。なお、本明細書では、ケーシング1の化粧カバー4側を正面側とし、ケーシング1の奥行方向を前後方向、ケーシング1の幅方向を左右方向、ケーシング1の高さ方向を上下方向という。
【0016】
ケーシング本体2は、略矩形箱状に形成されている。ケーシング本体2の前方開口部21の内周縁には、上下左右端部から内方側に屈曲して延びる内フランジ部20が形成されている。ケーシング本体2の天面22の前端部近傍には、左右に離間して複数(ここでは、2個)のバックル式の留め具26が設けられている。また、ケーシング本体2の底面23の前端部近傍には、左右に離間して下方に膨出する略四角垂台状の台座部27(図3及び図5参照)が形成されており、図示しないが、台座部27の正面側の一面には、螺子孔が形成されている。
【0017】
図3に示すように、ケーシング本体2の底面23の左端部近傍には、前端部と後端部とに離間して複数(ここでは、2個)の螺子孔28が形成されている。また、図示しないが、底面23の右端部近傍にも、同様に、前端部と後端部とに離間して複数(ここでは、2個)の螺子孔28が形成されている。これらの螺子孔28には、連結具である固定ビス5(図5及び図6参照)が螺合される。固定ビス5は、大径の頭部5aと、頭部5aよりも小径の螺子軸部5bとを有する。なお、連結具として、蝶ボルトや六角ボルトなどを用いてもよい。
【0018】
図2に戻って、蓋体3は、平板状に形成されている。蓋体3の左右方向の幅は、ケーシング本体2の内フランジ部20のそれと略同一の大きさに形成されており、外周縁がケーシング本体2の内フランジ部20に当接するように形成されている。また、蓋体3の上下方向の高さは、ケーシング本体2の前方開口部21のそれよりも低く形成されている。なお、蓋体3は必ずしも用いなくてもよい。
【0019】
化粧カバー4は、後方に開放する矩形浅皿状に形成されている。化粧カバー4は、ケーシング本体2に取り付けられると、外周側板がケーシング本体2の周面と略面一となるように形成されている。これにより、ケーシング1は高い美観を有している。ガス給湯器100の排気筒101は、化粧カバー4に設けられた排気筒挿通口から前方に突出している。
【0020】
化粧カバー4の上方の外周側板の後端部近傍であって、既述したケーシング本体2の天面22の留め具26に対応する位置には、留め具26のアームが係止されるフック42が設けられている。また、化粧カバー4の下方の外周側板の後端部近傍であって、既述した台座部27に対応する位置には、外周側板の後端部から斜め下方に延びる舌片43が形成されており、舌片43には螺子挿通孔が形成されている。従って、ケーシング本体2の天面22の留め具26のアームと化粧カバー4のフック42とを連結させ、化粧カバー4の前方から取り付け螺子を舌片43の螺子挿通孔を挿通させるとともに、台座部27の螺子孔に螺合させることによって、ケーシング本体2と化粧カバー4とが着脱可能に連結される。
【0021】
図3に示すように、化粧カバー4の下方の外周側板には、複数の上通気孔44からなる上通気部が形成されている。また、図1に示すように、化粧カバー4がケーシング本体2に取り付けられたときのケーシング1の前後方向の長さ及び左右方向の幅は、配管カバー6のそれらと略同一に設定されている。このため、ケーシング1と配管カバー6とは、上下に連続した統一感のあるデザインに形成されている。図示しないが、配管カバー6の内方には、ガス給湯器100から延出する給水管や出湯管などの配管が収容される。
【0022】
図4に示すように、配管カバー6は、後方及び上下方に開放している。配管カバー6は、前側板7と、左側板8と、右側板9とを有し、平面視、略コ字状を有する。これらの側板7,8,9はそれぞれ、板金を所定形状に成形することによって形成される。これらの側板7,8,9は、独立して取り外し可能に連結されている。なお、配管カバー6は、後側板や下側板を有してもよい。
【0023】
前側板7と、左右側板8,9とは、配管カバー6の内方に設けられる前固定枠10及び後固定枠11によって連結されている。前固定枠10は、略コ字状を有し、左右側板8,9の下方内面に固定される左右固定部と、前側板7の下方後面に固定される前固定部とを有する。後固定枠11は、略コ字状を有し、左右側板8,9の下方内面に固定される左右固定部を有する。これらの前後固定枠10,11は、各側板7,8,9の所定位置に穿設された螺子挿通孔を介して外方から化粧螺子S1や小螺子S2によって各側板7,8,9に固定されている。従って、配管カバー6の前面には少数の化粧螺子S1しか露出せず、見栄えがよい。
【0024】
前側板7は、後方に開放する矩形浅皿状に形成されている。前側板7は、前側板7の左端部である左方の外周側板の後端部から内方側に屈曲して延びる左後フランジ部71と、前側板7の右端部である右方の外周側板の後端部から内方側に屈曲して延びる右後フランジ部72とを有する。左右後フランジ部71,72の上端部近傍にはそれぞれ、略三角形状の係合孔73,74が穿設されている。前側板7の上方の外周側板には、複数の下通気孔75からなる下通気部が形成されている。これらの下通気孔75はそれぞれ、配管カバー6をケーシング1に連結させると、既述した化粧カバー4の上通気孔44と対向するように形成されている。これにより、ガス給湯器100の作動時、化粧カバー4が冷却される。
【0025】
左右側板8,9はそれぞれ、平面視、略矩形状に形成されている。なお、左右側板8,9は左右対称に形成されている以外は同一の構成を有する。このため、同一の構成については類似の引用番号を付して説明を省略し、以下では主として左側板8の構成を説明する。
【0026】
図4図6に示すように、左側板8は、上端部から内方側に屈曲して略水平に延びる左連結フランジ部81と、下端部から内方側に屈曲して略水平に延びる左下フランジ部82と、前端部から内方側に屈曲して延びる左前フランジ部83と、後端部から内方側に向かって屈曲して延びる左後フランジ部84とを有する。左連結フランジ部81は、配管カバー6をケーシング1に連結させると、左連結フランジ部81の前端が既述した化粧カバー4の下方の外周側板の後端と一定の大きさの隙間G(例えば、約0.5mm)、離間して対向するように形成されている。また、左前フランジ部83は、前側板7と左側板8とを連結させると、左側板8の左前フランジ部83の前面が前側板7の左後フランジ部71の後面に略当接するように形成されている。
【0027】
左連結フランジ部81には、打ち抜き加工等により、複数(ここでは、2個)のL字状切れ込み部85と、複数(ここでは、3個)のコ字状切欠き部89とが形成されている。2個のL字状切れ込み部85は、左連結フランジ部81の前端部と後端部とに離間して形成されており、3個のコ字状切欠き部89は、前後のL字状切れ込み部85間に所定の間隔で形成されている。コ字状切欠き部89には、ケーシング本体2の底面から下方に突出するガス給湯器100の要素部材などが嵌挿される。なお、左連結フランジ部81のL字状切れ込み部85とコ字状切欠き部89とはそれぞれ、右連結フランジ部91のそれらと対向するように形成されているが、熱源機の構成に合わせて、異なる位置に形成してもよい。
【0028】
L字状切れ込み部85は、左連結フランジ部81の内方端に開口し、内方端から前後に延びる左連結フランジ部81に略直交するように左連結フランジ部81の左右中央部まで左外方に向かって延びる第1スリットと85aと、第1スリット85aの外方端から前方に向かって略直角に屈曲して延びる第2スリット85bとを有する。なお、第1スリット85aは、左連結フランジ部81の内方端から左外方に向かって斜めに延びてもよい。また、第2スリット85bは、第1スリット85aの外方端から鋭角あるいは鈍角に屈曲して延びてもよい。また、第2スリット85bは、第1スリット85aの外方端から後方に向かって屈曲して延びてもよい。
【0029】
L字状切れ込み部85は、配管カバー6をケーシング1に連結させると、第2スリット85aが既述したケーシング本体2の底面23の左端部近傍に設けられた螺子孔28に対向するように形成されている。第1スリット85a及び第2スリット85bのスリット幅は、既述した固定ビス5の頭部5aの外径よりも小さく、螺子軸部5bの外径よりも大きく形成されている。なお、第1スリット85a及び第2スリット85bの長さや幅は同一でも異なってもよい。
【0030】
左前フランジ部83の上端部近傍には、内方端から左外方に向かって略コ字状に切り欠かれた連結用切欠き部83aが形成されており、連結用切欠き部83aの外方側の縦辺には前方に向かって切り起された係止片83bが形成されている。この係止片83bは、既述した前側板7の左後フランジ部71の係合孔73に対応する位置に形成されている。従って、本実施の形態の配管カバー6では、前側板7と左右側板8,9とは、上方で係止片83b,93bと係合孔73,74とを係合させ、下方で前後固定枠10,11をこれらの側板7,8,9に固定させることによって連結されている。これにより、配管カバー6は、高い強度を有している。
【0031】
次に、ケーシング1と配管カバー6との連結方法の一例について説明する。
まず、固定ビス5が最終締結位置まで締め付けられてない状態まで固定ビス5を螺子孔28に螺合させて、ケーシング本体2の底面23から固定ビス5を一定の高さ突出させる。次いで、固定ビス5の螺子軸部5bを左側板8の左連結フランジ部81の内方端側から第1スリット85aに嵌挿させ、さらに第2スリット85bの最終端部(すなわち、前端部)近傍までスライドさせる。そして、固定ビス5を最終締結位置まで螺進させて、左側板8をケーシング1に固定する。同様にして、右側板9をケーシング1に固定する。上記のようにして左右側板8,9がケーシング1に固定された状態で、左右側板8,9の左右前フランジ部83,93に形成された係止片83b,93bを前側板7の左右後フランジ部71,72に形成された係合孔73,74に係合させ、前側板7と左右側板8,9とを仮固定する。そして、前後固定枠10,11を前側板7と左右側板8,9とに固定する。このとき、既述したように、左右側板8,9の左右前フランジ部83,93の前面はそれぞれ、前側板7の左右後フランジ部71,72の後面と略当接する。また、左右側板8,9の左右連結フランジ部81,91の前端はそれぞれ、化粧カバー4の下方の外周側板の後端と隙間Gを介して対向する。
【0032】
本実施の形態によれば、ケーシング1と連結する配管カバー6の左右側板8,9の左右連結フランジ部81,91にはL字状切れ込み部85,95が形成されているから、左右連結フランジ部81,91の幅が狭くても、一定の長さの第1スリット85a,95aと一定の長さの第2スリット85b,95bとを有するL字状切れ込み部85,95を左右連結フランジ部81,91に形成することができる。また、L字状切れ込み部85,95は、左右連結フランジ部81,91の内方端に開口し、左右連結フランジ部81,91の内方端から外方に向かって延びる第1スリット85a,95aと、第1スリット85a,95aの外方端から屈曲して延びる第2スリット85b,95bとを有するから、配管カバー6をケーシング1に連結させるとき、ケーシング本体2の底面23に固定ビス5が取り付けられた状態で、左右連結フランジ部81,91の内方端側から第1スリット85a,95aに固定ビス5の螺子軸部5bを容易に嵌挿させることができる。そして、本実施の形態によれば、第1スリット85a,95aに嵌挿させた固定ビス5の螺子軸部5bをスライドさせて第2スリット85b,95bに嵌挿させれば、配管カバー6をケーシング1と所定位置で連結させることができる。従って、配管カバー6をケーシング1に連結させるとき、効率よく作業することができる。また、本実施の形態によれば、固定ビス5を最終締結位置まで螺進させて左右側板8,9をケーシング本体2の底面23に連結させるから、従来の弾性支持部よりも高い強度で配管カバー6をケーシング1に連結させることができる。これにより、配管カバー6に外力が働いても、配管カバー6がケーシング1からずれ難い。
【0033】
また、本実施の形態によれば、配管カバー6をケーシング1に連結させると、左右連結フランジ部81,91の各前端が、ケーシング1の前面を構成する化粧カバー4の下端部の後端と一定の大きさの隙間Gを介して対向するから、配管カバー6をケーシング1に連結させるとき、左右連結フランジ部81,91と化粧カバー4との干渉を防止でき、効率よく作業することができる。また、後方から配管カバー6に外力が働いても、左右連結フランジ部81,91の前端がケーシング1の化粧カバー4の下端部の後端に接触して、配管カバー6の前方への移動が規制されるから、配管カバー6のずれを抑えることができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、独立した部材である、前側板7と、左側板8と、右側板9とが連結されて配管カバー6が構成されているから、これらの側板7,8,9をケーシング1に別々に取り付けることができる。これにより、さらに作業性を向上させることができる。また、前側板7と左右側板8,9とを連結させると、左右側板8,9の左右前フランジ部83,93の前面がそれぞれ、前側板7の左右後フランジ部71,72の後面と略当接するから、前方から配管カバー6に外力が働いても、これらの大きなフランジ部によって衝撃を分散させることができ、配管カバー6のずれを抑えることができる。
【0035】
なお、上記実施の形態では、連結フランジ部は左右側板に形成されている。しかしながら、本発明では、連結フランジ部はケーシングに連結される一部の側板に形成すればよく、前側板に形成してもよいし、全ての側板に形成してもよい。また、連結フランジ部は、側板と分解可能に連結されてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 ケーシング
6 配管カバー
7 前側板
8 左側板
9 右側板
81 左連結フランジ部
91 右連結フランジ部
85,95 L字状切れ込み部
85a,95a 第1スリット
85b,95b 第2スリット

図1
図2
図3
図4
図5
図6