IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社長谷工コーポレーションの特許一覧

特開2022-181463高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法と品質管理装置
<>
  • 特開-高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法と品質管理装置 図1
  • 特開-高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法と品質管理装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181463
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法と品質管理装置
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/04 20060101AFI20221201BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B28C7/04
E04G21/02 101
E04G21/02 ESW
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088414
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】金子 樹
(72)【発明者】
【氏名】大倉 真人
【テーマコード(参考)】
2E172
4G056
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172AA09
2E172BA25
2E172HA03
4G056AA08
4G056CA01
4G056CB01
4G056CB13
4G056CB23
4G056DA01
4G056DA09
(57)【要約】
【課題】ポルトランドセメントと高炉セメントB種を用いて高炉セメントA種相当のコンクリートを製造する場合に、当該コンクリートの品質を管理し確認できるようにする。
【解決手段】ポルトランドセメントと高炉セメントB種の目標質量をそれぞれ第1の目標質量と第2の目標質量として、ポルトランドセメントと高炉セメントB種を第1および第2の目標質量に基づいて計り取る(ステップS2)。計り取ったポルトランドセメントおよび高炉セメントB種と、水と骨材と化学混和剤を練り混ぜることにより、高炉セメントA種相当のコンクリートを製造する(ステップS7)。計り取ったポルトランドセメントと高炉セメントB種のそれぞれの質量計測値を、コンクリートの識別情報に対応づけて記憶装置に記録する(ステップS5)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポルトランドセメントと高炉セメントB種の目標質量をそれぞれ第1の目標質量と第2の目標質量として、ポルトランドセメントと高炉セメントB種を第1および第2の目標質量に基づいて計り取り、
(B)計り取った前記ポルトランドセメントおよび前記高炉セメントB種と、水と骨材と化学混和剤を練り混ぜることにより、高炉セメントA種相当のコンクリートを製造し、
(C)計り取った前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種のそれぞれの質量計測値を、前記コンクリートの識別情報に対応づけて記憶装置に記録する、高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法。
【請求項2】
前記(B)の前に、
計り取った前記ポルトランドセメントの質量計測値と第1の目標質量との誤差と、計り取った前記高炉セメントB種の質量計測値と第2の目標質量との誤差が、許容範囲内にあるかを確認し、
少なくともいずれかの前記誤差が許容範囲外である場合には、前記(B)を中止する、請求項1に記載の高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法。
【請求項3】
前記(C)において、計り取った前記ポルトランドセメントの前記質量計測値と、当該質量計測値と前記第1の目標質量との誤差と、計り取った前記高炉セメントB種の前記質量計測値と、当該質量計測値と前記第2の目標質量との誤差を、前記コンクリートの識別情報に対応づけて記憶装置に記録する、請求項1又は2に記載の高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法。
【請求項4】
前記(A)において、前記ポルトランドセメントを第1の計量器で計り取り、前記高炉セメントB種を第2の計量器で計り取る、請求項1~3のいずれか一項に記載の高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法。
【請求項5】
前記(B)において、
前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種をそれぞれ第1の計量器と第2の計量器から混合機へ供給するとともに、当該混合機へ水と骨材と化学混和剤を供給し、当該混合機により、前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種と水と骨材と化学混和剤を練り混ぜることにより、高炉セメントA種相当のコンクリートを製造する、請求項4に記載の高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法。
【請求項6】
ポルトランドセメントと高炉セメントB種と水と骨材と化学混和剤を練り混ぜることにより製造される高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理装置であって、
前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種の目標質量をそれぞれ第1の目標質量と第2の目標質量として、前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種を第1および第2の目標質量に基づいて計り取る計量装置と、
前記計量装置により計り取られた前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種のそれぞれの質量計測値が、前記コンクリートの識別情報に対応づけられて記憶される記憶装置と、を備える、高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理装置。
【請求項7】
前記計量装置は、計り取った前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種のそれぞれの前記質量計測値を前記記憶装置に記憶させる、請求項6に記載の高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理装置。
【請求項8】
前記計量装置は、計り取った前記ポルトランドセメントの前記質量計測値と第1の目標質量との誤差を第1の誤差として算出し、計り取った前記高炉セメントB種の前記質量計測値と第2の目標質量との誤差を第2の誤差として算出し、
前記計量装置は、計り取った前記ポルトランドセメントの前記質量計測値、前記第1の誤差、計り取った前記高炉セメントB種の前記質量計測値、および第2の誤差を、前記識別情報に対応づけて前記記憶装置に記憶させる、請求項6又は7に記載の高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理装置。
【請求項9】
前記計量装置は、
供給されるポルトランドセメントを保持するとともに、保持しているポルトランドセメントの質量計測値を出力する第1の計量器と、
供給される高炉セメントB種を保持するとともに、保持している高炉セメントB種の質量計測値を出力する第2の計量器と、
ポルトランドセメントを第1の計量器に供給する第1供給装置と、
高炉セメントB種を第2の計量器に供給する第2供給装置と、
第1の計量器からの質量計測値と第1の目標質量に基づいて第1供給装置を制御し、第2の計量器からの質量計測値と第2の目標質量に基づいて第2供給装置を制御する制御部とを有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポルトランドセメントと高炉セメントB種と水と骨材と化学混和剤を練り混ぜることにより高炉セメントA種相当のコンクリートを製造する場合に、当該コンクリートの品質を管理する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントとして、ポルトランドセメント(例えば普通ポルトランドセメント)と高炉セメントがある。ポルトランドセメントは、石灰石、粘土などを焼成したものに石膏を加えて粉末状にした最も代表的な種類のセメントである。高炉セメントは、ポルトランドセメントに高炉スラグを混合したセメントであり、水和による発熱が低く化学的抵抗性が高い。
【0003】
高炉セメントとして、高炉セメントA種と高炉セメントB種と高炉セメントC種がある。高炉セメントA種では、高炉スラグの質量割合が5%を越え30%以下であり、高炉セメントB種では、高炉スラグの質量割合が30%を越え60%以下であり、高炉セメントC種では、高炉スラグの質量割合が60%を越え70%以下である。
【0004】
ポルトランドセメントと高炉セメントB種と水と骨材と化学混和剤を練り混ぜることにより、高炉セメントA種相当のコンクリートを製造する技術が特許文献1に開示されている。この高炉セメントA種相当のコンクリートは、一般のコンクリートと同等な性能を有し、かつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量を8.2~18.5%削減できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6812310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の高炉セメントA種相当のコンクリートの製造における品質を管理し確認できるようにすることが望まれる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、高炉セメントA種相当のコンクリートの品質を管理し確認できる製造方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明によると、
(A)ポルトランドセメントと高炉セメントB種の目標質量をそれぞれ第1の目標質量と第2の目標質量として、ポルトランドセメントと高炉セメントB種を第1および第2の目標質量に基づいて計り取り、
(B)計り取った前記ポルトランドセメントおよび前記高炉セメントB種と、水と骨材と化学混和剤を練り混ぜることにより、高炉セメントA種相当のコンクリートを製造し、
(C)計り取った前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種のそれぞれの質量計測値を、前記コンクリートの識別情報に対応づけて記憶装置に記録する、高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理方法が提供される。
【0009】
また、上述の目的を達成するため、本発明によると、ポルトランドセメントと高炉セメントB種と水と骨材と化学混和剤を練り混ぜることにより製造される高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理装置であって、
前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種の目標質量をそれぞれ第1の目標質量と第2の目標質量として、前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種を第1および第2の目標質量に基づいて計り取る計量装置と、
前記計量装置により計り取られた前記ポルトランドセメントと前記高炉セメントB種のそれぞれの質量計測値が、前記コンクリートの識別情報に対応づけられて記憶される記憶装置と、を備える、高炉セメントA種相当のコンクリートの品質管理装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、高炉セメントA種相当のコンクリートの製造に用いるポルトランドセメントと高炉セメントB種の質量が計り取られ、計り取られた各質量が、製造された高炉セメントA種相当のコンクリートの識別情報と対応づけられた状態で記録される。したがって、記録されたデータにより、高炉セメントA種相当のコンクリートが、ポルトランドセメントと高炉セメントB種との所定の混合割合に従って製造されたものであることを保証できる。その結果、コンクリートの要求性能を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態によるコンクリートの品質管理装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態によるコンクリートの品質管理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態によるコンクリートの品質管理装置10の概略構成図である。品質管理装置10は、高炉セメントA種相当のコンクリートの品質を管理するための装置である。高炉セメントA種相当のコンクリートは、ポルトランドセメントと高炉セメントB種と骨材(細骨材および粗骨材)と水と化学混和剤を練り混ぜることにより製造される生コンクリートである。このような高炉セメントA種相当のコンクリートを、以下で単にA種相当コンクリートという。
【0014】
A種相当コンクリートにおいて、ポルトランドセメントと高炉セメントB種のみを合わせたもの(水や骨材や化学混和剤を除く)に対する高炉スラグの質量割合は、5%を越え30%以下である。高炉スラグの質量割合とは、対象セメント(すなわち、生コンクリートにおけるポルトランドセメントと高炉セメントB種のみ)の全質量(水や骨材等を除く)に対する、この対象セメントに含まれている高炉スラグの質量の割合である(以下でも同様)。また、本願において、a,bが数値であるとして、「質量割合がa%~b%である」という内容を記載した場合に、「a%~b%」が示す範囲は、a%を含んでも含まなくてもよく、b%を含んでも含まなくてもよい。
【0015】
コンクリートの品質管理装置10は、生コンクリートの製造設備に備えられるものであってよい。この製造設備は、地上に設けた生コンクリート製造工場(生コン工場)であってよいが、これに限定されない。例えば、この製造設備は船に設けたものであってもよい。コンクリートの品質管理装置10は、計量装置3と混合機5と記憶装置7を備える。なお、混合機5は、品質管理装置10の構成要素でなくてもよい。
【0016】
計量装置3は、ポルトランドセメントと高炉セメントB種を第1および第2の目標質量に基づいて自動で計り取る。すなわち、計量装置3は、ポルトランドセメントと高炉セメントB種をそれぞれの質量が第1の目標質量と第2の目標質量となるように自動で計り取る。第1の目標質量と第2の目標質量は、ポルトランドセメントと高炉セメントB種の所定の混合割合と、製造対象のA種相当コンクリート全体の目標質量などに基づいて定められている。所定の混合割合は、製造対象のA種相当コンクリートにおいて、高炉スラグの質量割合が、上述のように5%を越え30%以下となるように予め定められる。所定の混合割合については後述する。
【0017】
また、計量装置3は、骨材を自動で計り取る。より詳しくは、骨材として粗骨材と細骨材があり、計量装置3は、粗骨材を、その質量が粗骨材目標質量となるように自動で計り取り、細骨材を、その質量が細骨材目標質量となるように自動で計り取る。更に、計量装置3は、化学混和剤を、その質量が混和剤目標質量となるように自動で計り取り、水と化学混和剤を合わせた液体を、その質量が水目標質量となるように自動で計り取る。粗骨材目標質量、細骨材目標質量、混和剤目標質量、および水目標質量は、例えば、製造対象のA種相当コンクリート全体の目標質量に基づいて定められてよい。
【0018】
計量装置3は、第1供給装置11、第1の計量器21、第2供給装置12、第2の計量器22、粗骨材供給装置13X、粗骨材計量器23X、細骨材供給装置13Y、細骨材計量器23Y、混和剤供給装置14、水供給装置15、混和剤と水の計量器24、制御部31、および誤差算出部41を有する。
【0019】
第1供給装置11は、ポルトランドセメントを第1の計量器21に供給する。第1供給装置11は、貯蔵瓶11aと開閉ゲート11bを有する。貯蔵瓶11aは、十分な量のポルトランドセメントを内部に保持している。貯蔵瓶11a内のポルトランドセメントは、上記生コン工場のセメントサイロから搬送されたものであってよい。開閉ゲート11bは、開閉することにより貯蔵瓶11aの底部に設けた開口を開閉する。開閉ゲート11bが開かれることにより、ポルトランドセメントが、貯蔵瓶11aから、その底部の開口(開閉ゲート11b)を通して第1の計量器21に落下する。これにより第1の計量器21(後述の計量瓶21a)にポルトランドセメントが供給される。
【0020】
第1の計量器21は、第1供給装置11から供給されたポルトランドセメントを保持するとともに、保持しているポルトランドセメントの質量を計測し、その質量計測値を制御部31へ出力する。第1の計量器21は、計量瓶21a、ロードセル21b、および開閉ゲート21cを有する。
【0021】
計量瓶21aは、ロードセル21bを介して構造物に支持(例えば懸吊)されている。計量瓶21aは、第1供給装置11から供給されるポルトランドセメントをその内部に保持する。ロードセル21bは、計量瓶21aが保持しているポルトランドセメントの質量を計測し、その質量計測値を制御部31へ出力する。開閉ゲート21cは、開閉することにより計量瓶21aの底部に設けられた開口を開閉する。開閉ゲート21cが開かれることにより、ポルトランドセメントが、計量瓶21aから、その底部の開口(開閉ゲート21c)を通して混合機5へ落下する。これにより混合機5にポルトランドセメントが供給される。
【0022】
第2供給装置12は、高炉セメントB種を第2の計量器22に供給する。第2供給装置12は、貯蔵瓶12aと開閉ゲート12bを有する。貯蔵瓶12aは、十分な量の高炉セメントB種を内部に保持している。貯蔵瓶12a内の高炉セメントB種は、上記生コン工場のセメントサイロから搬送されたものであってよい。開閉ゲート12bは、貯蔵瓶12aの底部に設けた開口を開閉する。開閉ゲート12bが開かれることにより、高炉セメントB種が、貯蔵瓶12aから、その底部の開口(開閉ゲート12b)を通して第2の計量器22に落下する。これにより第2の計量器22(後述の計量瓶22a)に高炉セメントB種が供給される。
【0023】
第2の計量器22は、第2供給装置12から供給された高炉セメントB種を保持するとともに、保持している高炉セメントB種の質量を計測し、その質量計測値を制御部31に出力する。第2の計量器22は、計量瓶22a、ロードセル22b、および開閉ゲート22cを有する。
【0024】
計量瓶22aは、ロードセル22bを介して構造物に支持(例えば懸吊)されている。計量瓶22aは、第2供給装置12から供給される高炉セメントB種をその内部に保持する。ロードセル22bは、計量瓶22aが保持している高炉セメントB種の質量を計測し、その質量計測値を制御部31へ出力する。開閉ゲート22cは、計量瓶22aの底部に設けられた開口を開閉する。開閉ゲート22cが開かれることにより、高炉セメントB種が、計量瓶22aから、その底部の開口(開閉ゲート22c)を通して混合機5へ落下する。これにより混合機5に高炉セメントB種が供給される。
【0025】
粗骨材供給装置13Xは、粗骨材を粗骨材計量器23Xに供給する。粗骨材供給装置13Xは、貯蔵瓶13aと開閉ゲート13bを有する。貯蔵瓶13aは、十分な量の粗骨材を内部に保持している。貯蔵瓶13a内の粗骨材は、上記生コン工場の骨材置き場から搬送されたものであってよい。開閉ゲート13bは、貯蔵瓶13aの底部に設けた開口を開閉する。開閉ゲート13bが開かれることにより、粗骨材が、貯蔵瓶13aから、その底部の開口(開閉ゲート13b)を通して粗骨材計量器23Xに落下する。これにより粗骨材計量器23X(後述の計量瓶23a)に粗骨材が供給される。
【0026】
粗骨材計量器23Xは、粗骨材供給装置13Xから供給された粗骨材を保持するとともに、保持している粗骨材の質量を計測し、その質量計測値を制御部31へ出力する。粗骨材計量器23Xは、計量瓶23a、ロードセル23b、および開閉ゲート23cを有する。
【0027】
計量瓶23aは、ロードセル23bを介して構造物に支持(例えば懸吊)されている。計量瓶23aは、粗骨材供給装置13Xから供給される粗骨材をその内部に保持する。ロードセル23bは、計量瓶23aが保持している粗骨材の質量を計測し、その質量計測値を制御部31へ出力する。開閉ゲート23cは、計量瓶23aの底部に設けられた開口を開閉する。開閉ゲート23cが開かれることにより、粗骨材が、計量瓶23aから、その底部の開口(開閉ゲート23c)を通して混合機5へ落下する。これにより混合機5に粗骨材が供給される。
【0028】
細骨材供給装置13Yは、細骨材を細骨材計量器23Yに供給する。細骨材供給装置13Yと細骨材計量器23Yの構成と動作は、粗骨材供給装置13Xと粗骨材計量器23Xの場合と同じであるので、その説明を省略する。すなわち、細骨材供給装置13Yと細骨材計量器23Yの構成と動作は、上述において、粗骨材供給装置13Xと粗骨材計量器23Xと粗骨材を、それぞれ、細骨材供給装置13Yと細骨材計量器23Yと細骨材に読み替えたものである。
【0029】
混和剤供給装置14は、液体の化学混和剤を計量器24に供給する。混和剤供給装置14は、貯蔵瓶14aおよびバルブ14bを有する。貯蔵瓶14aは、十分な量の化学混和剤を内部に保持している。バルブ14bは、貯蔵瓶14aの底部に設けた開口を開閉する。バルブ14bが開かれることにより、化学混和剤が、貯蔵瓶14aから、その底部の開口(バルブ14b)を通して下方へ流れ計量器24(後述の計量瓶24a)に供給される。
【0030】
水供給装置15は、水を計量器24に供給する。水供給装置15は、貯蔵瓶15aおよびバルブ15bを有する。貯蔵瓶15aは、十分な量の水を内部に保持している。貯蔵瓶15a内の水は、例えば、生コン工場に設けられた地下水槽から供給されたものであってもよいし、上水道水、工業用水、回収水などであってもよい。バルブ15bは、貯蔵瓶15aの底部に設けた開口を開閉する。バルブ15bが開かれることにより、水が、貯蔵瓶15aから、その底部の開口(バルブ15b)を通して下方へ流れ計量器24(後述の計量瓶24a)に供給される。
【0031】
計量器24は、混和剤供給装置14と水供給装置15から供給される液体(化学混和剤と水)を保持するとともに、保持している液体の質量を計測し、その質量計測値を制御部31へ出力する。計量器24は、計量瓶24a、ロードセル24b、およびバルブ24cを有する。
【0032】
計量瓶24aは、ロードセル24bを介して構造物に支持(例えば懸吊)されている。計量瓶24aは、混和剤供給装置14と水供給装置15から供給される液体をその内部に保持する。ロードセル24bは、計量瓶24aが保持している液体の質量を計測し、その質量計測値を制御部31へ出力する。バルブ24cは、計量瓶24aの底部に設けられた開口を開閉する。バルブ24cが開かれることにより、液体(化学混和剤と水)が、計量瓶24aから、その底部の開口(バルブ24c)を通して下方へ流れて混合機5に供給される。
【0033】
制御部31には、製造対象のA種相当コンクリートの識別情報と、上述のように定められた第1および第2の目標質量と粗骨材目標質量と細骨材目標質量と混和剤目標質量と水目標質量とが予め入力または設定されている。
【0034】
制御部31は、第1の計量器21からの質量計測値と第1の目標質量に基づいて、当該質量計測値が第1の目標質量となるように第1供給装置11を制御する。これにより、第1の計量器21は、第1の目標質量からのずれが許容範囲内である質量のポルトランドセメントを保持している状態(以下で受入完了状態という)となる。
【0035】
より詳しくは、制御部31は、第1の計量器21からの質量計測値と第1の目標質量に基づいて、開閉ゲート11bの開閉を制御する。この制御において、制御部31は、第1供給装置11の開閉ゲート11bを開けることにより、第1供給装置11の貯蔵瓶11aから計量瓶21aへのポルトランドセメントの供給を開始させ、第1の計量器21からの質量計測値が第1の目標質量に近づいたら(例えば、第1の計量器21からの質量計測値が第1の目標質量よりも設定値だけ小さい値になったら)、第1供給装置11の開閉ゲート11bを閉じてよい。これにより、第1の計量器21は、上述の受入完了状態となる。
【0036】
制御部31は、第2の計量器22からの質量計測値と第2の目標質量に基づいて、当該質量計測値が第2の目標質量となるように第2供給装置12を制御する。これにより、第2の計量器22は、第2の目標質量からのずれが許容範囲内である質量の高炉セメントB種を保持している状態(以下で受入完了状態という)となる。
【0037】
より詳しくは、制御部31は、第2の計量器22からの質量計測値と第2の目標質量に基づいて、開閉ゲート12bの開閉を制御する。この制御において、制御部31は、第2供給装置12の開閉ゲート12bを開けることにより、第2供給装置12の貯蔵瓶12aから計量瓶22aへの高炉セメントB種の供給を開始させ、第2の計量器22からの質量計測値が第2の目標質量に近づいたら(例えば、第2の計量器22からの質量計測値が第2の目標質量よりも設定値だけ小さい値になったら)、第2供給装置12の開閉ゲート12bを閉じてよい。これにより、第2の計量器22は、上述の受入完了状態となる。
【0038】
制御部31は、粗骨材計量器23Xからの質量計測値と粗骨材目標質量に基づいて、当該質量計測値が粗骨材目標質量となるように粗骨材供給装置13Xを制御する。これにより、粗骨材計量器23Xは、粗骨材目標質量からのずれが許容範囲内である質量の粗骨材を保持している状態(以下で受入完了状態という)となる。
【0039】
より詳しくは、制御部31は、粗骨材計量器23Xからの質量計測値と粗骨材目標質量に基づいて、開閉ゲート13bの開閉を制御する。この制御において、制御部31は、粗骨材供給装置13Xの開閉ゲート13bを開けることにより、粗骨材供給装置13Xの貯蔵瓶13aから計量瓶23aへの骨材の供給を開始させ、粗骨材計量器23Xからの質量計測値が粗骨材目標質量に近づいたら(例えば、粗骨材計量器23Xからの質量計測値が粗骨材目標質量よりも設定値だけ小さい値になったら)、粗骨材供給装置13Xの開閉ゲート13bを閉じてよい。これにより、粗骨材計量器23Xは、上述の受入完了状態となる。
【0040】
制御部31は、細骨材計量器23Yからの質量計測値と細骨材目標質量に基づいて、当該質量計測値が細骨材目標質量となるように細骨材供給装置13Yを制御する。これにより、細骨材計量器23Yは、細骨材目標質量からのずれが許容範囲内である質量の細骨材を保持している状態(以下で受入完了状態という)となる。より詳しい当該制御は、粗骨材の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0041】
制御部31は、計量器24からの質量計測値と混和剤目標質量に基づいて、当該質量計測値が混和剤目標質量となるように混和剤供給装置14を制御する。これにより、計量器24は、混和剤目標質量からのずれが許容範囲内である質量の化学混和剤を保持している状態となる。この状態で計量器24から制御部31へ出力された質量計測値を以下で混和剤計量値という。
【0042】
より詳しくは、制御部31は、計量器24からの質量計測値と混和剤目標質量に基づいて、混和剤供給装置14のバルブ14bの開閉を制御する。この制御において、制御部31は、バルブ14bを開けることにより、混和剤供給装置14の貯蔵瓶14aから計量瓶24aへの化学混和剤の供給を開始させ、計量器24からの質量計測値が混和剤目標質量に近づいたら(例えば、計量器24からの質量計測値が混和剤目標質量よりも設定値だけ小さい値になったら)、バルブ14bを閉じてよい。これにより、計量器24は、混和剤目標質量からのずれが許容範囲内である質量の化学混和剤を保持している状態となる。
【0043】
次いで、制御部31は、当該化学混和剤が保持されている計量器24に水を供給するように、水供給装置15を制御する。例えば、制御部31は、計量器24からの質量計測値と水目標質量に基づいて、当該質量計測値が水目標質量となるように水供給装置15を制御する。これにより、計量器24は、水目標質量からのずれが許容範囲内である質量の液体(化学混和剤と水を合わせた液体)を保持している状態(以下で受入完了状態という)となる。
【0044】
より詳しくは、制御部31は、計量器24からの質量計測値と、水目標質量に基づいて、水供給装置15のバルブ15bの開閉を制御する。この制御において、制御部31は、バルブ15bを開けることにより、水供給装置15の貯蔵瓶15aから計量瓶24aへの水の供給を開始させ、計量器24からの質量計測値が水目標質量に近づいたら(例えば、計量器24からの質量計測値が水目標質量よりも設定値だけ小さい値になったら)、バルブ15bを閉じてよい。これにより、計量器24は、上述の受入完了状態となる。
【0045】
誤差算出部41は、制御部31に組み込まれており、計量装置3による計量の誤差を算出する。以下で、受入完了状態の第1の計量器21、第2の計量器22、粗骨材計量器23X、細骨材計量器23Yから出力された質量計測値をそれぞれ第1~第4の計量値という。また、以下で、上記混和剤計量値を第5の計量値(化学混和剤の計量値)といい、受入完了状態の計量器24から出力された質量計測値を、第6の計量値という。誤差算出部41は、第1の計量値と第1の目標質量との誤差、第2の計量値と第2の目標質量との誤差、第3の計量値と粗骨材目標質量との誤差、第4の計量値と細骨材目標質量との誤差、第5の計量値と混和剤目標質量との誤差、および第6の計量値と水目標質量との誤差を、それぞれ、第1~第6の誤差として算出する。
【0046】
記憶装置7は、製造対象のA種相当コンクリートの識別情報と対応付けた状態で、第1~第6の計量値と第1~第6の誤差を記憶する。すなわち、制御部31は、第1~第6の計量値と第1~第6の誤差を、製造対象のA種相当コンクリートの識別情報と対応付けた状態で、品質データとして記憶装置7に記憶させる。この時、制御部31は、更に、第1および第2の目標質量と粗骨材目標質量と細骨材目標質量と混和剤目標質量と水目標質量を、当該識別情報と対応付けた状態で、記憶装置7に記憶させてよい。記憶装置7は、不揮発性メモリであってよい。例えば、記憶装置7は、フラッシュメモリ、磁気ディスク(ハードディスク)、または光ディスクであってよい。
【0047】
制御部31は、上述のようにポルトランドセメント等の各材料の計量を制御するものであるが、更に、材料の供給を開始させる制御を行ってもよい。すなわち、制御部31は、上述のように第1の計量器21、第2の計量器22、粗骨材計量器23X、細骨材計量器23Y、計量器24を受入完了状態にしたら、第1の計量器21、第2の計量器22、粗骨材計量器23X、細骨材計量器23Y、および計量器24から、それぞれ、ポルトランドセメント、高炉セメントB種、粗骨材、細骨材、および化学混和剤と水を混合機5へ供給させる制御を行ってよい。この時、制御部31は、第1の計量器21、第2の計量器22、粗骨材計量器23X、および細骨材計量器23Yの開閉ゲート21c,22c,23c,23cを開き、計量器24のバルブ24cを開くことにより当該制御を行ってよい。
【0048】
制御部31は、このようにポルトランドセメント、高炉セメントB種、粗骨材、細骨材、および化学混和剤と水を混合機5へ供給し、混合機5を作動させる。これにより、ポルトランドセメント、高炉セメントB種、粗骨材、細骨材、および化学混和剤と水が混合機5で練り混ぜられる。その結果、ポルトランドセメント、高炉セメントB種、粗骨材、細骨材、および化学混和剤と水を練り混ぜたA種相当コンクリートが製造される。
【0049】
(混合割合)
ポルトランドセメントと高炉セメントB種の上述した所定の混合割合は、例えば次のように定められた質量の割合であってよい。
【0050】
ここで、ポルトランドセメントにおける高炉スラグの質量割合が、0%~5%であることは分かっているが、0%~5%のいずれの値であるかの特定が困難であり、高炉セメントB種における高炉スラグの質量割合が、40%~45%であることは分かっているが、40%~45%のいずれの値であるかの特定が困難であることを前提とする。この前提において、ポルトランドセメントと高炉セメントとの混合割合は、次の表1に従って予め定められてよい。
【0051】
【表1】
【0052】
表1に従う場合、次のように混合割合が定められる。
高炉スラグの質量割合が8%~13%のA種相当コンクリートを製造する場合には、互いに混合するポルトランドセメントと高炉セメントB種との混合割合を、80.0:20.0に定める。
高炉スラグの質量割合が13%~18%のA種相当コンクリートを製造する場合には、互いに混合するポルトランドセメントと高炉セメントB種との混合割合を、67.5:32.5に定める。
高炉スラグの質量割合が18%~23%のA種相当コンクリートを製造する場合には、互いに混合するポルトランドセメントと高炉セメントB種との混合割合を、55.0:45.0に定める。
【0053】
(誤差の許容範囲)
計り取られたポルトランドセメントの質量計測値(第1の計量値)と第1の目標質量との誤差(第1の誤差)の上記許容範囲は、例えば、ゼロから第1の目標質量の±1%までの範囲である。すなわち、第1の目標質量に対する第1の誤差(第1の計量値から第1の目標質量を引いた値)の絶対値の比率が、1%以下である場合には、第1の誤差は上記許容範囲内にある。
同様に、計り取られた高炉セメントB種の質量計測値(第2の計量値)と第2の目標質量との誤差(第2の誤差)の上記許容範囲は、例えば、ゼロから第2の目標質量の±1%までの範囲である。
【0054】
計り取られた粗骨材の質量計測値(第3の計量値)と粗骨材目標質量との誤差(第3の誤差)の上記許容範囲は、例えば、ゼロから粗骨材目標質量の±3%までの範囲である。
計り取られた細骨材の質量計測値(第4の計量値)と細骨材目標質量との誤差(第4の誤差)の上記許容範囲は、例えば、ゼロから細骨材目標質量の±3%までの範囲である。
【0055】
計り取られた化学混和剤の質量計測値(第5の計量値)と混和剤目標質量との誤差(第5の誤差)の上記許容範囲は、例えば、ゼロから混和剤目標質量の±3%までの範囲である。
計り取られた液体(水と化学混和剤を合わせた液体)の質量計測値(第6の計量値)と水目標質量との誤差(第6の誤差)の上記許容範囲は、例えば、ゼロから水目標質量の±1%までの範囲である。
なお、本発明によると、各上記許容範囲は上述の数値例に限定されない。
【0056】
(A種相当のコンクリートの品質管理方法)
図2は、本発明の実施形態によるA種相当のコンクリートの品質管理方法を示すフローチャートである。この品質管理方法は、上述の品質管理装置10を用いて行われてよい。
【0057】
ステップS1において、製造対象のA種相当コンクリートの識別情報、第1および第2の目標質量、粗骨材目標質量、細骨材目標質量、混和剤目標質量、および水目標質量が計量装置3(制御部31)に入力される。例えば、人が、適宜の操作部(タッチパネル、キーボードなど)を操作することにより、当該入力がなされてよい。また、この入力がなされたら、計量開始指令が計量装置3(制御部31)へ入力されてよい。この入力は、適宜の操作部を人が操作することによりなされてよい。
【0058】
ステップS2において、計量装置3は、計量開始指令を受けると、計量を行う。すなわち、計量装置3は、上述のように、第1および第2の目標質量と粗骨材目標質量と細骨材目標質量とに基づいて、ポルトランドセメント、高炉セメントB種、粗骨材、細骨材を、それぞれ、第1および第2の計量器21,22、粗骨材計量器23X、および細骨材計量器23Yに自動で計り取る。これにより、第1および第2の計量器21,22、粗骨材計量器23X、および細骨材計量器23Yは、それぞれ、ポルトランドセメント、高炉セメントB種、粗骨材、および細骨材の受け入れが完了した受入完了状態となる。
【0059】
また、ステップS2において、計量装置3は、計量開始指令を受けると、上述のように、混和剤目標質量と水目標質量に基づいて、化学混和剤と水を計量器24に自動で計り取る。これにより、計量器24は、化学混和剤と水の受け入れが完了した受入完了状態となる。
【0060】
なお、ステップ2を開始する時には、貯蔵瓶11a,12a、粗骨材用の貯蔵瓶13a、細骨材用の貯蔵瓶13a、貯蔵瓶14a、および貯蔵瓶15aには、それぞれ、十分な量のポルトランドセメント、高炉セメントB種、粗骨材、細骨材、化学混和剤、および水が保持されていてよい。ここで、貯蔵瓶11a,12aには、同じ生産者が生産したポルトランドセメントと高炉セメントB種がそれぞれ保持されている。また、貯蔵瓶11a,12aにそれぞれ保持されているポルトランドセメントと高炉セメントB種は、それぞれのJISに適合するものである。
【0061】
ステップS3において、計量装置3(誤差算出部41)は、受入完了状態の第1および第2の計量器21,22,粗骨材計量器23X、細骨材計量器23Yから出力された第1~第4の計量値の誤差と、計量器24からの質量計測値から得られた第5および第6の計量値の誤差を算出する。すなわち、計量装置3(誤差算出部41)は、第1の計量値と第1の目標質量との誤差、第2の計量値と第2の目標質量との誤差、第3の計量値(粗骨材の計量値)と粗骨材目標質量との誤差、第4の計量値(細骨材の計量値)と細骨材目標質量との誤差、第5の計量値(化学混和剤の計量値)と混和剤目標質量との誤差、および第6の計量値と水目標質量との誤差を、それぞれ、第1~第6の誤差として算出する。
【0062】
ステップS4において、ステップS3で算出された第1の誤差(計り取られたポルトランドセメントの質量計測値と第1の目標質量との誤差)と、ステップS3で算出された第2の誤差(計り取られた高炉セメントB種の質量計測値と第2の目標質量との誤差)が許容範囲内にあるかを確認する。第1および第2の誤差の少なくともいずれかが許容範囲外である場合には、以降の処理を中止する。
【0063】
一方、第1および第2の誤差がいずれも許容範囲内である場合には、ステップS5へ進んでもよいし、更に、第3~第6の誤差の全て(又は第3~第6の誤差のうちの特定の一部)が許容範囲内にあれば、ステップS5へ進むようにしてもよい。すなわち、ステップS4において、第1~第6の誤差(又は、第1および第2の誤差と、第3~第6の誤差のうちの特定の一部との組み合わせ)がそれぞれの許容範囲内にあるかを確認してもよい。
【0064】
ステップS4は、次のように制御部31により行われてもよい。制御部31は、第1および第2の誤差(又は第1~第6の誤差、或いは、第1および第2の誤差と第3~第6の誤差のうちの特定の一部との組み合わせ)が、いずれも許容範囲内の値であるかどうかを判断し、この判断の結果が肯定である場合には、ステップS5以降の処理を実行する。一方、この判断の結果が否定である場合には、制御部31は、その旨のエラー信号を出力して、ステップS5以降の処理を実行しない。このエラー信号は、例えば適宜のディスプレイに出力され、これにより、ディスプレイは、誤差が許容範囲内でない旨を表示する。この場合、計量装置3の点検、調整などを人が行ってよい。
【0065】
あるいは、制御部31は、第1および第2の誤差(又は第1~第6の誤差、或いは、第1および第2の誤差と第3~第6の誤差のうちの特定の一部との組み合わせ)をディスプレイに出力する。これにより、ディスプレイは、これらの誤差を表示する。人は、ディスプレイに表示された各誤差が許容範囲内にあると判断した場合には、ステップS5以降の処理を実行する指令を、適宜の操作部を操作することにより制御部31に入力する。これにより、制御部31は、ステップS5以降の処理を実行する。一方、人は、ディスプレイに表示された第1および第2の誤差(又は第1~第6の誤差、或いは、第1および第2の誤差と第3~第6の誤差のうちの特定の一部との組み合わせ)の少なくともいずれかが許容範囲外であると判断した場合には、ステップS5以降の処理を実行させる旨の指令を制御部31に入力しない。この場合、計量装置3の点検、調整などを行ってよい。
【0066】
ステップS5において、計量装置3(制御部31)は、第1~第6の計量値、第1~第6の誤差、第1および第2の目標質量、粗骨材目標質量、細骨材目標質量、混和剤目標質量、および水目標質量を、ステップS1で入力された識別情報と対応づけた状態で、品質データとして記憶装置7に記憶させる。この品質データは、記憶装置7において保管されてよい。
【0067】
ステップS6において、受入完了状態の第1および第2の計量器21,22、粗骨材計量器23X、細骨材計量器23Y、および計量器24から、それぞれ、ポルトランドセメント、高炉セメントB種、粗骨材、細骨材、および化学混和剤と水を混合機5へ供給させる。この供給は、第1の計量器21、第2の計量器22、粗骨材計量器23X、および細骨材計量器23Yの開閉ゲート21c,22c,23c,23cを開き、計量器24のバルブ24cを開く制御を制御部31が行うことによりなされてよい。
【0068】
ステップS7において、混合機5は、供給されたポルトランドセメント、高炉セメントB種、粗骨材、細骨材、化学混和剤、および水を練り混ぜることにより、A種相当コンクリートを製造する。ステップS7での混合機5の作動は、制御部31により開始されてもよい。或いは、制御部31は、ステップS6を行ったら、その旨を人に知らせる信号を出力し、これに基づいて、人が、混合機5を作動させる操作を行ってもよい。
【0069】
ステップS5において記憶装置7に記憶された品質データは、ステップS6の後、必要に応じて、ディスプレイまたはプリンタへ出力可能である。この場合、出力された品質データは、ディスプレイにより表示され、又はプリンタにより用紙に印刷される。
【0070】
(実施形態の効果)
本実施形態によると、高炉セメントA種相当のコンクリートの製造に用いるポルトランドセメントと高炉セメントB種の質量が自動で計り取られ、計り取られた各質量(第1および第2の計量値)が、製造されたA種相当コンクリートの識別情報と対応づけられた状態で品質データとして記憶装置7に記録される。したがって、記録された品質データにより、A種相当コンクリートが、ポルトランドセメントと高炉セメントB種との所定の混合割合に従って製造されたものであることを保証できる。その結果、コンクリートの要求性能を保証できる。例えば、A種相当コンクリートを製造した後に、その品質を、上記品質データにより確認でき、第三者に示すことができる。
【0071】
また、本実施形態では、ポルトランドセメントと高炉セメントB種を、累加計量ではなく、それぞれ、別々の第1および第2の計量器21,22で計り取り、計り取ったポルトランドセメントと高炉セメントB種の質量計測値がそれぞれ第1および第2の計量器21,22から得られる。このように、計り取ったポルトランドセメントと高炉セメントB種のそれぞれの質量計測値は、別々の計測器で計測された値であるので、信頼性が高く且つ客観的なデータ(証拠)として示すことができる。
【0072】
一方、本実施形態とは違って、累加計量の場合、まず、第1の目標質量のポルトランドセメントを計量器で計り取る。次に、同じ計量器に高炉セメントB種を加えることで、第1の目標質量と高炉セメントB種の第2の目標質量との合計質量のセメントを当該計量器で計り取ることになる。この場合、それぞれのセメントを1つの計量器で計り取っているので、計り取ったセメントの質量の内訳を、信頼性が高く且つ客観的な証拠として示し難い。
【0073】
本実施形態では、計り取ったポルトランドセメントの質量計測値と第1の目標質量との誤差と、計り取った高炉セメントB種の質量計測値と第2の目標質量との誤差も記録される。記録された誤差により、製造されたA種相当コンクリートの品質を直ちに確認できる。
【0074】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の変更例を採用してもよい。この場合、以下で述べない点は、上述と同じであってよい。
【0075】
(変更例)
ステップS5において、計量装置3(制御部31)は、上述の実施形態における第1~第6の計量値と第1~第6の誤差のうち、少なくとも、第1および第2の計量値(計り取ったポルトランドセメントと高炉セメントB種のそれぞれの質量計測値)をステップS1で入力された識別情報と対応づけた状態で、品質データとして記憶装置7に記録させればよい。例えば、計量装置3は、ステップS5で、上述の実施形態における第1~第6の誤差を記憶装置7に記録しなくてもよい。この場合、誤差算出部41は設けなくてよい。
【符号の説明】
【0076】
3 計量装置、5 混合機、7 記憶装置、10 品質管理装置、11 第1供給装置、11a 貯蔵瓶、11b 開閉ゲート、12 第2供給装置、12a 貯蔵瓶、12b 開閉ゲート、13X 粗骨材供給装置、13Y 細骨材供給装置、13a 貯蔵、13b 開閉ゲート、14 混和剤供給装置、14a 貯蔵瓶、14b バルブ、15 水供給装置、15a 貯蔵瓶、15b バルブ、21 第1の計量器、21a 計量瓶、21b ロードセル、21c 開閉ゲート、22 第2の計量器、22a 計量瓶、22b ロードセル、22c 開閉ゲート、23X 粗骨材計量器、23Y 細骨材計量器、23a 計量瓶、23b ロードセル、23c 開閉ゲート、24 計量器、24a 計量瓶、24b ロードセル、24c バルブ、31 制御部、41 誤差算出部
図1
図2