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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181478
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】車両用除湿装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 3/00 20060101AFI20221201BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B60H3/00 B
B60H3/00 A
B60H1/00 102M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088455
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】栗原 将人
(72)【発明者】
【氏名】久保田 浩
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA04
3L211DA04
3L211DA06
3L211DA72
3L211DA75
3L211EA12
3L211EA13
3L211EA15
3L211EA29
3L211EA56
3L211EA57
3L211GA12
(57)【要約】
【課題】従来の車両用除湿装置は、空調装置の一機能であり、内気を冷却しつつ除湿するには余分な電力を消費するという問題点があった。
【解決手段】外気用ダクト1と、内気用ダクト2と、両ダクト1,2の流路同士の間に配置した気体分離膜3と、外気温湿度センサS1及び内気温湿度センサS2とを備え、外気用ダクト1及び内気用ダクト2の少なくとも内気用ダクト2が、流路を開閉する開閉弁V2を備え、外気温湿度センサS1及び内気室温度センサS2の検出信号に基づいて開閉弁V2の開閉制御を行う制御部Cを備えた車両用除湿装置とし、車室内外の温湿度差に応じて内気の絶対湿度を低減するように空気の流通を制御することにより、内気循環率の向上や消費電力の低減を実現した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室外部から導入した外気の流路を形成する外気用ダクトと、
車室内部から導入した内気の流路を形成する内気用ダクトと、
前記外気用ダクト及び前記内気用ダクトの流路同士の間に配置され且つ車室内外の湿度差により気体交換をする気体分離膜と、
車室内外の温湿度を検出する外気温湿度センサ及び内気温湿度センサとを備え、
前記外気用ダクト及び前記内気用ダクトの少なくとも前記内気用ダクトが、流路を開閉する開閉弁を備え、
前記外気温湿度センサ及び前記内気室温度センサの検出信号に基づいて前記開閉弁の開閉制御を行う制御部を備えたことを特徴とする車両用除湿装置。
【請求項2】
前記外気用ダクト及び前記内気用ダクトが、前記気体分離膜よりも上流側に、流路を開閉する前記開閉弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用除湿装置。
【請求項3】
前記外気用ダクトが、前記気体分離膜よりも下流側で前記内気用ダクトに連通する分岐部と、前記分岐部よりも下流側で流路を開閉する開閉弁とを備え、
前記内気用ダクトが、前記気体分離膜よりも下流側に、前記内気用ダクト及び前記分岐部の両流路の開閉を切り換える開閉弁を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用除湿装置。
【請求項4】
前記外気用ダクト及び前記内気用ダクトの少なくとも一方が、前記気体分離膜を配置した主ダクト部と、前記主ダクト部の迂回経路であるバイパス部とを備え、
前記バイパス部の上流端及び下流端に、前記主ダクト部及び前記バイパス部の両流路の開閉を切り換える開閉弁を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用除湿装置。
【請求項5】
前記内気用ダクトが、前記気体分離膜よりも上流側に、外気を導入する外気導入部と、当該内気用ダクト及び外気導入部の両流路の開閉を切り換える開閉弁とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の車両用除湿装置。
【請求項6】
前記外気温湿度センサ及び前記内気室温度センサが、前記外気用ダクト及び前記内気用ダクトの前記気体分離膜よりも上流側に夫々配置してあることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用除湿装置。
【請求項7】
前記外気温湿度センサ及び前記内気室温度センサが、前記外気用ダクト及び前記内気用ダクトの前記気体分離膜よりも上流側に加えて、下流側にも夫々配置してあることを特徴とする請求項6に記載の車両用除湿装置。
【請求項8】
前記外気用ダクト及び前記内気用ダクトが、前記気体分離膜よりも上流側に、外気及び内気の夫々の流量を検出する外気流量センサ及び内気流量センサを備え、
前記制御部が、前記外気温湿度センサ及び前記内気室温度センサ、並び前記外気流量センサ及び前記内気流量センサの検出信号に基づいて各開閉弁の開閉制御を行うことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の車両用除湿装置。
【請求項9】
前記外気用ダクト及び前記内気用ダクトが、前記気体分離膜よりも上流側に、外気及び内気の夫々の流量を制御する送風機を備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の車両用除湿装置。
【請求項10】
前記外気用ダクト及び前記内気用ダクトが、前記気体分離膜よりも上流側に、外気及び内気に含まれる微粒子を除去するためのエアフィルタ、外気及び内気に含まれる水蒸気を吸着する水蒸気吸着体、外気及び内気に含まれる二酸化炭素を低減する二酸化炭素吸着体のうちの少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の車両用除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の各種車両において、車室空間の除湿を行うのに用いられる車両用除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用除湿装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の車両用除湿装置は、空調装置の一部を構成する。この空調装置は、室内熱交換器と室外熱交換器との間に媒体を循環させ、冷房モードでは、室内熱交換器により内気を冷却する。室外熱交換器は、内気の熱を車室外に放出する。また、暖房モードでは、冷房時とは逆に、室内熱交換器により外気を加熱して車室内に放出する。上記の空調装置は、送風路内を通過する空気を除湿する除湿部材を備えており、運転状態に合わせて空気の流れを調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-209006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来の車両用除湿装置は、空調装置の一機能であり、外気の湿度が高い場合、冷房モードで内気も加湿されるため、内気を冷却しつつ除湿するには余分な電力を消費するという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に着目してなされたもので、内気循環率の向上や消費電力の低減を実現することができる車両用除湿装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる車両用除湿装置は、車室外部から導入した外気の流路を形成する外気用ダクトと、車室内部から導入した内気の流路を形成する内気用ダクトと、外気用ダクト及び内気用ダクトの流路同士の間に配置され且つ車室内外の湿度差により気体交換をする気体分離膜と、車室内外の温湿度を検出する外気温湿度センサ及び内気温湿度センサとを備えている。また、車両用除湿装置は、外気用ダクト及び内気用ダクトの少なくとも内気用ダクトが、流路を開閉する開閉弁を備えている。そして、車両用除湿装置は、外気温湿度センサ及び内気室温度センサの検出信号に基づいて開閉弁の開閉制御を行う制御部を備えたことを特徴としている。
【0007】
上記の車両用除湿装置において、外気用ダクトは、車室外部から導入した外気を装置内部に流通させて、再び車室外部に放出する。内気用ダクトは、同様に、車室内部から導入した内気を装置内部に流通させて、再び車室内部に放出する。この内気用ダクトは、車両の空調装置から内気を導入する経路、又は空調装置に内気を供給する経路として用いることも可能である。制御部は、外気温湿度センサ及び内気温湿度センサで検出した車室内外の温湿度に基づいて、外気及び内気の絶対湿度を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係わる車両除湿装置は、車室内外の温湿度差に応じて内気の絶対湿度を低減するように空気の流通を制御することにより、内気循環率の向上及び消費電力の低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係わる車両用除湿装置の第1実施形態を示す断面説明図である。
図2】本発明に係わる車両用除湿装置の第2実施形態を示す断面説明図である。
図3】本発明に係わる車両用除湿装置の第3実施形態を示す断面説明図である。
図4】本発明に係わる車両用除湿装置の第4実施形態を示す断面説明図である。
図5】本発明に係わる車両用除湿装置の第5実施形態を示す図であって、外気の湿度が内気の湿度よりも低い場合を示す断面説明図(A)、外気の湿度が内気の湿度よりも高い場合を示す断面説明図(B)、及び外気を内気に導入する場合を示す断面説明図(C)である。
図6】本発明に係わる車両用除湿装置の第6実施形態を示す断面説明図である。
図7】本発明に係わる車両用除湿装置の第7実施形態を示す断面説明図である。
図8】本発明に係わる車両用除湿装置の第8実施形態を示す断面説明図である。
図9】本発明に係わる車両用除湿装置の第9実施形態を示す断面説明図である。
図10】本発明に係わる車両用除湿装置の第10実施形態を示す断面説明図である。
図11】本発明に係わる車両用除湿装置の第11実施形態を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈第1実施形態〉
図1に示す車両用除湿装置は、車室外部から導入した外気の流路を形成する外気用ダクト1と、車室内部から導入した内気の流路を形成する内気用ダクト2と、外気用ダクト1と内気用ダクト2の流路同士の間に配置した気体分離膜3とを備えている。
【0011】
また、車両用除湿装置は、車室内外の温湿度を検出する外気温湿度センサS1及び内気温湿度センサS2を備えると共に、外気用ダクト1及び内気用ダクト2の少なくとも内気用ダクト2が、流路を開閉する開閉弁V2を備えている。この実施形態では、外気用ダクト1及び内気用ダクト2の両方が、開閉弁V1,V2を備えている。そして、車両用除湿装置は、外気温湿度センサS1及び内気室温度センサS2の検出信号に基づいて開閉弁V1,V2の開閉制御を行う制御部Cを備えている。
【0012】
外気用ダクト1は、図中の矢印で示すように、車室外部から導入した外気を装置内部に流通させて、再び車室外部に放出する。内気用ダクト2は、同じく矢印で示すように、車室内部から導入した内気を装置内部に流通させて、再び車室内部に放出する。この内気用ダクト2は、車両の空調装置から内気を導入する経路、又は車両の空調装置に内気を供給する経路として用いることも可能である。外気ダクト1及び内気ダクト2は、図示する主要部において互いに平行に配置してある。
【0013】
気体分離膜3は、車室内外の湿度差により気体交換をする既存のものであり、湿度の高い方から低い方へ空気を透過させる。この気体分離膜3は、外気用ダクト1及び内気用ダクト2の隣接部分に互いに連通する開口部を形成し、この開口部を塞ぐように取り付けてある。
【0014】
また、車両用除湿装置は、車室内外の温湿度を検出する外気温湿度センサS1及び内気温湿度センサS2を備えると共に、外気用ダクト1及び内気用ダクト2が、気体分離膜3よりも上流側に、夫々の流路を開閉する開閉弁V1,V2を備えている。そして、車両用除湿装置は、外気温湿度センサS1及び内気室温度センサS2の検出信号に基づいて開閉弁V1,V2の開閉制御を行う制御部Cを備えている。
【0015】
この実施形態の車両用除湿装置は、外気用ダクト1及び内気用ダクト2が、気体分離膜3よりも上流側(図中で左側)に、夫々の流路を開閉する開閉弁V1,V2を備えていると共に、開閉弁V1,V2よりも上流側に、外気温湿度センサS1及び内気温湿度センサS2が夫々配置してある。
【0016】
制御部Cは、コンピュータであって、車両の空調装置の一機能とすることも可能であり、外気温湿度センサS1及び内気温湿度センサS2で検出した夫々の温湿度から絶対湿度を算出し、その算出結果に基づいて開閉弁V1,V2の開閉制御を行う。
【0017】
上記構成を備えた車両用除湿装置は、外気の湿度が内気の湿度よりも高い場合には、外気用ダクト1の開閉弁V1を閉じて外気の導入を阻止し、内気用ダクト2の開閉弁V2を開放する。これにより、車両用除湿装置は、内気を気体分離膜3に透過させて外気に放出する。つまり、車室内は、湿度の高い外気の導入を阻止したうえで除湿される。
【0018】
また、車両用除湿装置は、外気の湿度が内気の湿度よりも低い場合には、外気用ダクト1及び内気用ダクト2の開閉弁V1,V2を開放する。これにより、車両用除湿装置は、湿度の高い内気を気体分離膜3に透過させて外気に放出する。このとき、車両用除湿装置は、外気用ダクト1の開閉弁V1を開放しているが、湿度の低い外気が気体分離膜3を透過することはなく、その外気がスイープガスの働きをして、湿度の高い内気を速やかに外気に放出する。これにより、車室内は、速やかに除湿される。
【0019】
このように、上記の車両用除湿装置は、車室内外の温湿度に応じて、内気の絶対湿度を低減するように外気及び内気の流れを制御することにより、内気循環率の向上及び消費電力の低減を実現することができる。例えば、車両の空調装置が冷房モードであり、且つ外気の湿度が内気の湿度より高い場合でも、車両用除湿装置により独立した除湿機能が確保されるので、空調装置で冷房を行いつつ除湿する場合に比べて、消費電力の低減を実現し得ることとなる。
【0020】
また、上記の車両用除湿装置は、外気用ダクト1及び内気用ダクト2において、気体分離膜3よりも上流側に外気温湿度センサS1及び内気温湿度センサS2を夫々配置している。これにより、車両用除湿装置は、気体分離膜3による気体交換前の外気及び内気の温湿度を検出することで、制御部Cによる開閉制御の精度向上に貢献し得る。
【0021】
本発明の車両用除湿装置は、基本的構成として、外気用ダクト1及び内気用ダクト2の少なくとも内気用ダクト2が、流路を開閉する開閉弁を備え、制御部Cが、内気の絶対湿度を低減するように開閉弁の開閉制御を行う。上記の実施形態では、外気用ダクト1の導入側に開閉弁V1を配置したので、内気用ダクト2の導入側に開閉弁V2を配置した構成とした。
【0022】
これに対して、車両用除湿装置は、外気用ダクト1が開閉弁を有しない構成もあり得る。この場合、車両用除湿装置は、内気用ダクト2における気体分離膜3の上流側及び下流側の両方に開閉弁を配置すれば、車室内への外気の導入を阻止したり、内気を外部に放出したりすることができる。
【0023】
図2図11は、本発明に係わる車両用除湿装置の第2~第11の実施形態を説明する図である。以下の各実施形態では、第1実施形態と同一の構成部位に同一符号を付して、詳細な説明を省略する。また、各図において、2つの流路の切り換えを行う開閉弁は、実線で示す位置と点線で示す位置との間を往復回動する。
【0024】
〈第2実施形態〉
図2に示す車両用除湿装置は、第1実施形態と同等の基本構成に加えて、外気用ダクト1が、気体分離膜3よりも下流側に、内気用ダクト2に連通する分岐部1Aと、分岐部1Aよりも下流側で流路を開閉する開閉弁V3とを備えている。また、車両用除湿装置は、内気用ダクト2が、気体分離膜3よりも下流側に、内気用ダクト2及び分岐部1Aの両流路の開閉を切り換える開閉弁V4を備えている。
【0025】
上記の車両用除湿装置は、第1実施形態と同様に、制御部(図1の符号C)により、外気及び内気の温湿度に応じて、内気の絶対湿度を低減するように開閉弁V1~V4の開閉制御を行うことにより、内気循環率の向上及び消費電力の低減を実現する。
【0026】
また、上記の車両用除湿装置は、気体分離膜3よりも上流側の開閉弁V1,V2の開閉制御に加えて、気体分離膜3よりも下流側の開閉弁V3,V4の開閉制御を行うことで、外気を、内気のスイープガスや、車室内の換気に用いることができる。これにより、上記の車両用除湿装置は、構造が簡単で且つ小型でありながら、外気及び内気の循環モードの多機能化を図ることができる。
【0027】
〈第3実施形態〉
図3に示す車両用除湿装置は、第2実施形態と同等の基本構成に加えて、外気用ダクト1及び内気用ダクト2の少なくとも一方が、気体分離膜3を配置した主ダクト部(1M,2M)と、主ダクト部(1M、2M)の迂回経路であるバイパス部(1B,2B)とを備えている。この実施形態では、外気用ダクト1及び内気用ダクト2の両方が、主ダクト部1M,2M及びバイパス部1B.2Bを有する。
【0028】
そして、車両用除湿装置は、バイパス部1B,2Bの上流端及び下流端に、主ダクト部1M,2M及びバイパス部1B,2Bの両流路の開閉を切り換える開閉弁V5~V8を備えている。なお、図示例の車両用除湿装置において、外気用ダクト1の最下流に配置した開閉弁V3は、外気用ダクト1と分岐部1Aとを切り換えるように開閉する。同様に、内気用ダクトの最下流に配置した開閉弁V4は、分岐部1Aと内気用ダクト2とを切り換えるように開閉する。
【0029】
上記構成を備えた車両用除湿装置は、制御部(図1参照)により、外気と内気との温湿度差に基づいて、内気の絶対湿度を低減するように各開閉弁V3~V8の開閉制御を行うことで、先の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、上記の車両用除湿装置は、バイパス部1B.2Bや、これらの上流端及び下流端に配置した開閉弁V3~V8を採用したことにより、外気及び内気の循環モードのさらなる多機能化を図ることができる。
【0031】
〈第4実施形態〉
図4に示す車両用除湿装置は、第3実施形態では外気用ダクト1及び内気用ダクト2の両方がバイパス部1B,2Bを有するのに対して、内気用ダクト2のみに、バイパス部2Bと、その上流端及び下流端の開閉弁V6,V8とを配置した構成である。
【0032】
上記構成を備えた車両用除湿装置にあっても、第3実施形態と同様に、内気循環率の向上や消費電力の低減を実現すると共に、外気及び内気の循環モードのさらなる多機能化を図ることができる。
【0033】
〈第5実施形態〉
図5に示す車両用除湿装置は、外気用ダクト1が、開閉弁のない簡単な構造になっており、内気用ダクト2が、バイパス部2Bと、その上流端及び下流端に配置した開閉弁V6,V8とを備えている。また、この実施形態の車両用除湿装置は、内気用ダクト2が、気体分離膜3よりも上流側に、外気を導入する外気導入部2Pと、当該内気用ダクト2及び外気導入部2Pの両流路の開閉を切り換える開閉弁V9を備えている。
【0034】
上記構成を備えた車両用除湿装置は、外気の湿度が内気の湿度よりも低い場合(外気湿度<内気湿度)には、図5(A)に示す様に、最上流の開閉弁V9で内気ダクト2の流路F2を開くと共に、外気導入部2Pを閉じる。また、内気用ダクト2において、バイパス部2Bの上流端の開閉弁V6で主ダクト部2Mを開くと共に、バイパス部2Bを閉じ、さらに、バイパス部2Bの下流端の開閉弁V8で主ダクト部2Mを開くと共に、バイパス部2Bを閉じる。これにより、車両用除湿装置は、湿度の高い内気を気体分離膜3に透過させて外気に放出し、この際、外気をスイープガスとして用いて気体分離膜3を透過した内気を速やかに放出する。
【0035】
上記の車両用除湿装置は、外気の湿度が内気の湿度よりも高い場合(外気湿度>内気湿度)には、図5(B)に示す様に、最上流の開閉弁V9で内気ダクト2の流路F2を開くと共に、外気導入部2Pを閉じる。また、内気用ダクト2において、バイパス部2Bの上流端の開閉弁V6で主ダクト部2Mを閉じると共に、バイパス部2Bを開き、さらに、バイパス部2Bの下流端の開閉弁V8で主ダクト部2Mを閉じると共に、バイパス部2Bを開く。これにより、車両用除湿装置は、外気用ダクト1及び外気導入部2Pにより外気が内気に導入されるのを阻止し、内気の循環のみを行う。
【0036】
上記の車両用除湿装置は、外気の湿度が内気の湿度よりも低い場合(外気湿度<内気湿度)、若しくは車室内外の湿度差がない場合(外気湿度=内気湿度)には、図5(C)に示すように、最上流の開閉弁V9で内気ダクト2の流路F2を開くと共に、外気導入部2Pを閉じる。また、内気用ダクト2において、バイパス部2Bの上流端の開閉弁V6で主ダクト部2Mを閉じると共に、バイパス部2Bを開き、さらに、バイパス部2Bの下流端の開閉弁V8で主ダクト部2Mを閉じると共に、バイパス部2Bを開く。これにより、車両用除湿装置は、外気導入部2Pから導入した外気を内気に供給する。つまり、車室内の換気を行うことができる。
【0037】
このように、上記の車両用除湿装置にあっても、先述した各実施形態と同様に、内気循環率の向上や消費電力の低減を実現すると共に、外気及び内気の循環モードのさらなる多機能化を図ることができる。
【0038】
〈第6実施形態〉
図6に示す車両用除湿装置は、第5実施形態(図5参照)と同様の基本構成を備えていると共に、外気用ダクト1及び内気用ダクト2が、気体分離膜3よりも上流側に、外気及び内気の夫々の流量を検出する外気流量センサS3及び内気流量センサS4を備えている。とくに、内気流量センサS4は、最上流の開閉弁V9と、バイパス部2Bの上流端の開閉弁V6との間に配置してある。
【0039】
上記の車両用除湿装置は、制御部(図1の符号C)が、外気温湿度センサS1及び内気室温度センサS2、並び外気流量センサS3及び内気流量センサS4の検出信号に基づいて各開閉弁V6,V8,V9の開閉制御を行う。
【0040】
上記の車両用除湿装置は、外気及び内気の温湿度、並びに外気及び内気の流量に基づいて、各開閉弁V6,V8,V9の開閉制御を行うことで、気体分離膜3に流入する気体流量を調整することができる。これにより、上記の車両用除湿装置は、開閉制御の高精度化を実現すると共に、内気循環率のさらなる向上や消費電力のさらなる低減に貢献し得る。
【0041】
〈第7実施形態〉
図7に示す車両用除湿装置は、第6実施形態(図6参照)と同様の基本構成を備えていると共に、外気用ダクト1及び内気用ダクト2が、気体分離膜3よりも上流側に、外気及び内気の夫々の流量を制御する送風機B1,B2を備えている。送風機B1,B2は、例えばファンである。この場合、制御部(図1の符号C)は、外気温湿度センサS1及び内気温湿度センサS2の検出信号に基づいて、各開閉弁V6,V8,V9を開閉制御すると共に、送風機B1,B2の回転制御を行う。
【0042】
上記の車両用除湿装置は、外気及び内気の温湿度に基づいて、各開閉弁V6,V8,V9の開閉制御を行うと共に、送風機B1,B2の回転制御を行うことで、気体分離膜3に流入する気体流量を調整することができる。これにより、上記の車両用除湿装置は、開閉制御の高精度化を実現すると共に、内気循環率のさらなる向上や消費電力のさらなる低減に貢献し得る。
【0043】
〈第8実施形態〉
図8に示す車両用除湿装置は、第6実施形態(図6参照)と同様の基本構成を備えていると共に、外気用ダクト1及び内気用ダクト2が、気体分離膜3よりも上流側に、外気及び内気に含まれる微粒子を除去するためのエアフィルタQ1,Q2を備えている。
【0044】
上記の車両用除湿装置は、第1実施形態と同様の作用及び効果をもたらすと共に、各エアフィルタQ1,Q2で外気及び内気に含まれる微粒子を除去することで、気体分離膜3の性能劣化を防止することができ、内気循環率のさらなる向上や消費電力のさらなる低減に貢献し得る。
【0045】
〈第9実施形態〉
図9に示す車両用除湿装置は、第6実施形態(図6参照)と同様の基本構成を備えていると共に、外気用ダクト1及び内気用ダクト2が、気体分離膜3よりも上流側に、外気及び内気に含まれる水蒸気を吸着する水蒸気吸着体Q3,Q4を備えている。
【0046】
上記の車両用除湿装置は、第1実施形態と同様の作用及び効果をもたらすと共に、各水蒸気吸着体Q3,Q4で外気及び内気に含まれる水蒸気を除去することで、除湿効果をより一層高めることができ、内気循環率のさらなる向上や消費電力のさらなる低減に貢献し得る。
【0047】
〈第10実施形態〉
図10に示す車両用除湿装置は、第6実施形態(図6参照)と同様の基本構成を備えていると共に、外気用ダクト1及び内気用ダクト2が、気体分離膜3よりも上流側に、外気及び内気に含まれる二酸化炭素を低減する二酸化炭素吸着体Q4,Q6を備えている。
【0048】
上記の車両用除湿装置は、第1実施形態と同様の作用及び効果をもたらすと共に、各二酸化炭素吸着体Q5,Q6で外気及び内気に含まれる二酸化炭素を除去することで、二酸化炭素濃度を低減することができ、内気循環率のさらなる向上や消費電力のさらなる低減に貢献し得る。
【0049】
〈第11実施形態〉
図11に示す車両用除湿装置は、第6実施形態(図6参照)と同様の基本構成を備えていると共に、外気用ダクト1及び内気用ダクト2において、気体分離膜3よりも上流側及び下流側の両方に、外気温湿度センサS1,S5及び内気室温度センサS2,S6が配置してある。この場合、制御部(図1の符号C)は、各外気温湿度センサS1,S5及び各内気温湿度センサS2,S6の検出信号に基づいて、各開閉弁V6,V8,V9の開閉制御を行う。
【0050】
上記の車両用除湿装置は、第1実施形態と同様の作用及び効果をもたらすと共に、各開閉弁V6,V8,V9の開閉制御の高精度化を実現すると共に、内気循環率のさらなる向上や消費電力のさらなる低減に貢献し得る。
【0051】
本発明に係わる車両用除湿装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成を適宜変更することか可能であり、また、上記の各実施形態で説明した構成を組み合わせることも当然可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 外気用ダクト
1A 分岐部
1B,2B バイパス部
1M,2M 主ダクト部
2 内気用ダクト
2P 外気導入部
3 気体分離膜
B1,B2 送風機
C 制御部
Q1,Q2 エアフィルタ
Q3,Q4 水蒸気吸着体
Q5,Q6 二酸化炭素吸着体
S1,S5 外気温湿度センサ
S2,S6 内気温湿度センサ
S3 外気流量センサ
S4 内気流量センサ
V1~V9 開閉弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11