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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181480
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】カメラユニット及び携帯型情報端末
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20221201BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221201BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20221201BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20221201BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20221201BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/225 700
H04N5/225 100
G03B17/02
G03B17/56 B
G03B30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088457
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 哲平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 繁実
【テーマコード(参考)】
2H100
2H105
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H100BB11
2H105AA06
2K005AA20
2K005BA52
2K005CA04
2K005CA34
2K005CA40
2K005CA42
2K005CA53
5C122DA09
5C122GE04
5C122GE11
5C122GE18
5C122GE19
(57)【要約】
【課題】カメラモジュールの動きを阻害する要因が低減されたカメラユニットを実現する。
【解決手段】一実施形態のカメラユニットは、撮像素子が搭載されたセンサ基板13を含むカメラモジュールと、カメラモジュールが収容されるホルダ枠40と、ホルダ枠40を収容するケース50と、センサ基板13と接続され、前記撮像素子から出力される信号を伝送する配線基板20と、を有する。配線基板20は、複数の接続部21,22,23,24と、それら接続部を介してセンサ基板13と接続される本体部25と、を備える。本体部25は、センサ基板13の下方に挿入される挿入端部26と、ケース50の外に引き出される引出端部27と、を含む。接続部21,22,23,24は、センサ基板13と挿入端部26との間であって、かつ、光軸Lの周囲に配置され、センサ基板13と挿入端部26とを重複領域内において接続する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ基板と、前記センサ基板に搭載された撮像素子と、前記撮像素子に光を集光させる光学素子と、を含むカメラモジュールと、
前記カメラモジュールが収容される可動部材と、
前記可動部材を収容する固定部材と、
前記光学素子の光軸と交差する軸を回転軸として前記可動部材が前記固定部材に対して回転可能となるように、前記可動部材を前記固定部材に対して支持する支持機構と、
前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動機構と、
前記センサ基板と接続され、前記撮像素子から出力される信号を伝送する配線基板と、を有し、
前記配線基板は、複数の接続部と、それら接続部を介して前記センサ基板と接続される本体部と、を備え、
前記本体部は、前記センサ基板の下方に挿入される挿入端部と、前記固定部材の外に引き出される引出端部と、を含み、
それぞれの前記接続部は、前記センサ基板と前記挿入端部との間であって、かつ、前記光軸の周囲に配置され、前記センサ基板と前記挿入端部とを重複領域内において接続する、カメラユニット。
【請求項2】
それぞれの前記接続部は、前記センサ基板と前記挿入端部との間で少なくとも1回屈曲されている、請求項1に記載のカメラユニット。
【請求項3】
それぞれの前記接続部は、前記光軸と同方向に延びる垂直延在部と、前記光軸と異方向に延びる水平延在部と、を含む、請求項2に記載のカメラユニット。
【請求項4】
それぞれの前記接続部は、
前記センサ基板から前記光軸と同方向に延びる第1の垂直延在部と、
前記第1の垂直延在部の端部から前記光軸と異方向に延びる第1の水平延在部と、
前記第1の水平延在部の端部から前記光軸と同方向に延びる第2の垂直延在部と、
前記第2の垂直延在部の端部から前記光軸と異方向に延びる第2の水平延在部と、を含む、請求項3に記載のカメラユニット。
【請求項5】
前記配線基板の前記本体部は、リジット基板によって形成され、
前記配線基板の前記接続部は、フレキシブル基板によって形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のカメラユニット。
【請求項6】
前記配線基板の前記本体部は、フレキシブル基板によって形成され、
前記配線基板の前記接続部は、前記本体部を形成しているフレキシブル基板よりも柔軟なフレキシブル基板によって形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のカメラユニット。
【請求項7】
前記固定部材に装着され、前記可動部材を覆うストッパプレートを有し、
前記ストッパプレートは、少なくとも前記光学素子を露出させる開口部が形成された板金であり、
前記開口部の縁に、内側に向かって折り曲げられた曲げ部が設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載のカメラユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のカメラユニットを備えた携帯型情報端末。
【請求項9】
前記配線基板の前記引出端部が、熱伝導性接着剤によって金属部材に接合されている、請求項8に記載の携帯型情報端末。
【請求項10】
前記配線基板の前記引出端部に、シート状の放熱部材が貼り付けられている、請求項8又は9に記載の携帯型情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラユニット及び携帯型情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、様々な光学機器が開発され、実用化されている。それら光学機器の1つとして、傾斜揺動可能なカメラモジュールを備えるカメラユニットが知られている(特許文献1,2参照)。例えば、特許文献1には、レンズモジュール及び防振モジュールを含むカメラモジュールが記載されている。特許文献1に記載されている防振モジュールは、外枠及び第1の駆動アセンブリを含んでおり、レンズモジュールは、防振モジュールの外枠に対して回転可能である。
【0003】
上記防振モジュールの第1の駆動アセンブリは、第1の駆動コイル及び第1の磁気要素を含んでおり、第1の駆動コイルは外枠に設けられ、第1の磁気要素はレンズモジュールに設けられている。そして、第1の磁気要素の磁場内で第1の駆動コイルに電圧が印加されると、レンズモジュールが外枠に対して回転する。さらに、特許文献1には、上記カメラモジュールが電子機器に搭載されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第111510598号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第111416925号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
傾斜揺動可能なカメラモジュールを備えるカメラユニットでは、カメラモジュールの動きを阻害する要因をなるべく少なくすることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、カメラモジュールの動きを阻害する要因が削減されたカメラユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態のカメラユニットは、センサ基板と、前記センサ基板に搭載された撮像素子と、前記撮像素子に光を集光させる光学素子と、を含むカメラモジュールと、前記カメラモジュールが収容される可動部材と、前記可動部材を収容する固定部材と、前記光学素子の光軸と交差する軸を回転軸として前記可動部材が前記固定部材に対して回転可能となるように、前記可動部材を前記固定部材に対して支持する支持機構と、前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動機構と、前記センサ基板と接続され、前記撮像素子から出力される信号を伝送する配線基板と、を有する。前記配線基板は、複数の接続部と、それら接続部を介して前記センサ基板と接続される本体部と、を備える。前記本体部は、前記センサ基板の下方に挿入される挿入端部と、前記固定部材の外に引き出される引出端部と、を含む。それぞれの前記接続部は、前記センサ基板と前記挿入端部との間であって、かつ、前記光軸の周囲に配置され、前記センサ基板と前記挿入端部とを重複領域内において接続する。
【発明の効果】
【0008】
カメラモジュールの動きを阻害する要因が削減されたカメラユニット及びそれを備えた携帯型情報端末が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るカメラユニットを示す斜視図である。
図2】一実施形態に係るカメラユニットを示す平面図である。
図3】一実施形態に係るカメラユニットを示す分解図である。
図4】ホルダ,ケース及びストッパプレートを示す斜視図である。
図5図2中のa-a線に沿う部分拡大断面図である。
図6】配線基板を示す斜視図である。
図7】接続部を示す拡大斜視図である。
図8】接続部を示す拡大平面図である。
図9】一実施形態に係るカメラユニットを備える携帯型情報端末を示す斜視図である。
図10】配線基板の変形例を示す断面図である。
図11】配線基板の他の変形例を示す断面図である。
図12】接続部のレイアウトの一例を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明が適用されたカメラユニットの一例について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として再度の説明は行わない。
【0011】
<カメラユニットの概要>
図1図2に示されているカメラユニット1Aは、カメラモジュール10,配線基板20,モジュール保持機構30等から構成されている。カメラユニット1Aは、スマートフォン,タブレット型PC,ノート型PC等の携帯型情報端末への搭載に適しているが、カメラユニット1Aの用途に制限はない。
【0012】
図1中で符号Lが付されている一点鎖線は、カメラモジュール10が備える光学素子の光軸を示している。図2中で符号L1が付されている一点鎖線は、図1に示されている光軸Lと交差する第1の軸を示しており、符号L2が付されている一点鎖線は、光軸Lと交差する第2の軸を示している。
【0013】
図1図2に示されているZ軸は光軸Lと平行であり、X軸はヨーイングの回転軸と平行であり、Y軸はピッチングの回転軸と平行である。以下の説明では、ヨーイングの回転軸を“ヨーイング軸”と呼び、ピッチングの回転軸を“ピッチング軸”と呼ぶ場合がある。
<カメラモジュール>
図3に示されるように、カメラモジュール10は、レンズ11,撮像素子(撮像センサ,イメージセンサ)12,センサ基板13等から構成されている。レンズ11は、カメラモジュール10が備える光学素子の1つであって、撮像素子12の受光面に光を集光させる。言い換えれば、レンズ11は、撮像素子12の受光面上に被写体の像をつくる結像光学系であるか、少なくとも結像光学系を構成する光学素子の1つである。
【0014】
撮像素子12は、レンズ11によって受光面上につくられた被写体像の明暗を電荷量に変換し、変換された電荷量に応じた電圧(信号)を出力する。撮像素子12は、センサ基板13の一方の主面(実装面13a)に搭載されている。
【0015】
レンズ11は、矩形箱形のハウジング14内に収容されている。もっとも、レンズ11の一部(上部)は、ハウジング14の上面から突出している。ハウジング14内には、AF(オートフォーカス)機能を実現するためにレンズ11を進退させるアクチュエータ等も収容されている。
【0016】
センサ基板13は、ハウジング14の下方に、実装面13aを上向きにして配置されている。この結果、実装面13aに搭載されている撮像素子12は、レンズ11の出射面と対向している。さらに、レンズ11の光軸L(図1)は、撮像素子12の中心を貫いている。
【0017】
<モジュール保持機構>
図1図3に示されているモジュール保持機構30は、カメラモジュール10のヨーイング及びピッチングを補正する機能を備えている。つまり、本実施形態のカメラユニット1Aは、手振れ補正機能を有している。
【0018】
図3に示されるように、モジュール保持機構30は、カメラモジュール10が収容される可動部材40と、可動部材40が収容される固定部材50と、可動部材40を支持する支持機構60と、可動部材40を駆動する駆動機構70と、を有する。
【0019】
<可動部材及び固定部材>
図4に示されるように、可動部材40は、全体として矩形枠状の外観を呈する樹脂成形品である。固定部材50も樹脂成形品であって、可動部材40の外形に対応した収容空間51を備えている。以下の説明では、可動部材40を「ホルダ枠40」と呼び、固定部材50を「ケース50」と呼ぶ場合がある。
【0020】
ホルダ枠40は、ケース50の収容空間51の内側に図4に示されている向きで収容されており、ホルダ枠40の底面41の少なくとも一部と、ケース50の底部内面52の少なくとも一部とは互いに対向している。もっとも、通常、ホルダ枠40の底面41とケース50の底部内面52とは接触していない。つまり、ホルダ枠40は、フローティング状態でケース50に収容されている。
【0021】
<支持機構>
図3に示されている支持機構60は、光軸L(図1)と交差する1または複数の軸を回転軸としてホルダ枠40がケース50に対して回転可能となるように、ホルダ枠40を支持している。より特定的には、支持機構60は、少なくとも図2に示されている軸L1及び軸L2を回転軸としてホルダ枠40がケース50に対して回転可能となるように、ホルダ枠40を支持している。
【0022】
図3に示されるように、支持機構60は、ジンバル61や支持部材62等から構成されている。図1図2に示されるように、ジンバル61は、レンズ11を取り囲む円形開口部63aが形成されたジンバル本体63と、ジンバル本体63の四隅に設けられた4本の腕を有する。一対の腕64a,64bは、ジンバル本体63の一組の対角にそれぞれ設けられ、他の一対の腕は65a,65b、ジンバル本体63の他の一組の対角にそれぞれ設けられている。
【0023】
図2に示されるように、ジンバル61は、腕64a,64bが軸L1に沿って配置され、腕65a,65bが軸L2に沿って配置されるように搭載されている。尚、ジンバル61のそれぞれの腕64a,64b,65a,65bは、ジンバル本体63に対して略90度折り曲げられている。また、それぞれの腕64a,64b,65a,65bの端部には、半球状の凹部が形成されている。
【0024】
ジンバル61の2本の腕64a,64bは、図3に示されている2つの支持部材62を介してケース50に接続されている。一方、ジンバル61の2本の腕65a,65bは、図3に示されている他の2つの支持部材62を介してホルダ枠40に接続されている。
【0025】
図4に示されるように、ケース50(収容空間51)の向かい合う2つの角には挿入溝53が設けられており、それぞれ挿入溝53内に支持部材62(図3)が配置されている。同様に、ホルダ枠40の向かい合う2つの角には挿入溝42が設けられており、それぞれ挿入溝42内に支持部材62(図3)が配置されている。
【0026】
図1図2に示されているジンバル61の腕64a,64bは、ケース50の挿入溝53内に配置されている支持部材62の手前(内側)に挿入されている。一方、図1図2に示されているジンバル61の腕65a,65bは、ホルダ枠40の挿入溝42内に配置されている支持部材62の手前(内側)に挿入されている。
【0027】
それぞれの支持部材62には金属製のボールが溶接されている。図4に示されている挿入溝53内に配置される支持部材62に溶接されているボールは、当該挿入溝53に挿入されたジンバル61の腕64a,64bに形成されている半球状の凹部に嵌合する。また、図4に示されている挿入溝42内に配置される支持部材62に溶接されているボールは、当該挿入溝42に挿入されたジンバル61の腕65a,65bに設けられている半球状の凹部に嵌合する。
【0028】
以上のように、ジンバル61は、ケース50に支持されている。同時に、ジンバル61は、カメラモジュール10を収容しているホルダ枠40を保持している。別の見方をすると、カメラモジュール10を収容しているホルダ枠40は、ケース50に支持されているジンバル61に吊られている。この結果、ホルダ枠40及びこれに収容されているカメラモジュール10は、ヨーイング方向及びピッチング方向を含む複数の方向に回転可能(傾斜可能)となっている。
【0029】
<ストッパプレート>
図1図2に示されるように、ケース50には、ホルダ枠40を覆うストッパプレート66が装着されている。図4に示されるように、ストッパプレート66は、少なくともレンズ11及びジンバル本体63を露出させる開口部67が形成された板金である。また、ストッパプレート66の開口部67の四隅には、ジンバル61の腕64a,64b,65a,65bとの干渉を回避するための切欠き68が設けられている。
【0030】
ケース50に装着されたストッパプレート66は、ホルダ枠40の上面44の全部又は一部と対向する。この結果、ストッパプレート66によってホルダ枠40の過剰な回転が規制される。具体的には、ホルダ枠40の回転角度が所定角度に達すると、ホルダ枠40の上面44がストッパプレート66に当接し、それ以上の回転が規制される。また、ストッパプレート66は、落下時の衝撃などによってホルダ枠40がケース50から飛び出すことを防止する。さらに、ストッパプレート66は、ホルダ枠40やケース50の内側に異物や埃などが侵入することを防止する防塵カバーとしても機能する。尚、他の実施形態では、ホルダ枠40がケース50に当接することにより、ホルダ枠40の過剰な回転が規制されることもある。
【0031】
図5は、図2中のa-aに沿う部分拡大断面図であって、開口部67の縁の断面形状を模式的に示している。図5に示されるように、ストッパプレート66の開口部67の縁には、内側(ホルダ枠40)に向かって折り曲げられた曲げ部67aが全周に亘って設けられている。曲げ部67aは、例えばプレス加工によって形成される。
【0032】
開口部67の縁に曲げ部67aが設けられていることにより、ストッパプレート66の剛性が向上している。特に、開口部67の周縁の剛性が向上している。別の見方をすると、ストッパプレート66の厚みを増大させることなく、ストッパプレート66の剛性アップが実現されている。
【0033】
尚、図5に示されている曲げ部67aの角度θは概ね45度である。もっとも、曲げ部67aの角度や突出量は、想定されているホルダ枠40の最大ストローク(最大回転角度)が確保される範囲内で適宜変更することができる。例えば、曲げ部67aの角度θは、90度であってもよく、180度であってもよい。
【0034】
<駆動機構>
再び図3を参照する。図示されている駆動機構70は、カメラモジュール10のヨーイング及びピッチングを補正するために、当該カメラモジュール10が収容されているホルダ枠40をケース50に対して回転させる。例えば、駆動機構70は、ヨーイング軸及びチッピング軸を回転軸として、ホルダ枠40をケース50に対して回転させる。
【0035】
駆動機構70は、コイルや永久磁石などから構成されており、ホルダ枠40をケース50に対して回転させる力(推力)を発生させる。本実施形態の駆動機構70は、2つの巻線コイル(空芯コイル)71,72を備えている。また、本実施形態の駆動機構70は、巻線コイル71に対応する永久磁石73と、巻線コイル72に対応する永久磁石74と、を備えている。尚、他の実施形態では、巻線コイル71,72に代えて基板コイル等の他の種類のコイルが用いられる。
【0036】
図4に示されるように、ホルダ枠40の隣り合う2つの側壁の外面には、磁石装着溝43a,43bがそれぞれ形成されている。図3に示されている永久磁石73は、図4に示されている磁石装着溝43aに収容される。一方、図3に示されている永久磁石74は、図4に示されている磁石装着溝43bに収容される。
【0037】
図4に示されるように、磁石装着溝43a,43bが形成されているホルダ枠40の側壁と対向するケース50の側壁には、コイル装着部54a,54bがそれぞれ形成されている。図3に示されている巻線コイル71は、図4に示されているコイル装着部54aに取り付けられ、図3に示されている巻線コイル72は、図4に示されているコイル装着部54bに取り付けられる。
【0038】
ケース50内にホルダ枠40が収容されると、巻線コイル71と永久磁石73とが対向し、巻線コイル72と永久磁石74とが対向する。そして、磁気センサ(例えば、ホール素子)によってカメラモジュール10のヨーイングやピッチング等が検知されると、巻線コイル71及び/又は巻線コイル72に電力が供給される。この結果、ホルダ枠40がケース50に対して回転(傾斜)する。
【0039】
尚、カメラユニット1Aが搭載される携帯型情報端末に搭載されているジャイロセンサから出力されるジャイロ信号に基づいて巻線コイル71及び/又は巻線コイル72に電力が供給される実施形態もある。
【0040】
いずれにしても、駆動機構70は、所定のセンサから出力される信号に基づいて巻線コイル71,72に電力を供給し、ホルダ枠40をケース50に対して回転させる。より具体的には、カメラモジュール10のヨーイングやピッチング等が打ち消される方向に当該カメラモジュール10が傾くように、ホルダ枠40をケース50に対して回転させる。
【0041】
<配線基板>
図1図2に示されている配線基板20は、ケース50内でカメラモジュール10に接続されている。より特定的には、配線基板20は、図3に示されているセンサ基板13と接続され、撮像素子12から出力される信号を外部に伝送する。尚、配線基板20によって外部に伝送される信号は、カメラユニット1Aが搭載されている携帯型情報端末が備える画像処理回路などに入力され、処理される。また、配線基板20は、撮像素子12に対する電力供給や制御信号の入力などにも利用可能である。
【0042】
図6に示されるように、配線基板20は、4つの接続部21,22,23,24と、それら接続部21,22,23,24を介してセンサ基板13と接続される本体部25と、を備えている。
【0043】
<本体部>
本体部25は、細長いリジット基板によって形成されており、センサ基板13の下方に挿入される挿入端部26と、ケース50の外に引き出される引出端部27と、を含んでいる。別の見方をすると、センサ基板13の下方に挿入されている本体部25の一部が挿入端部26であり、ケース50の外に引き出されている本体部25の他の一部が引出端部27である。
【0044】
センサ基板13の下方に挿入されている挿入端部26は、センサ基板13と対向している。より特定的には、挿入端部26は、実装面13aと反対側のセンサ基板13の裏面13bと対向している。別の見方をすると、センサ基板13と本体部25(挿入端部26)との間には、両者が互いに重なり合っている重複領域が存在している。
【0045】
<接続部>
接続部21,22,23,24は、帯状又は短冊状のフレキシブル基板(FPC/Flexible Printed Circuits)によって形成されている。それぞれの接続部21,22,23,24は、センサ基板13と本体部25(挿入端部26)とを重複領域内において接続している。具体的には、接続部21,22,23,24は、対向するセンサ基板13と挿入端部26との間であって、かつ、光軸Lの周囲に配置され、センサ基板13と挿入端部26とを接続している。より特定的には、それぞれの接続部21,22,23,24の一端はセンサ基板13の裏面13bに接合され、それぞれの接続部21,22,23,24の他端は挿入端部26の表面に接合されている。
【0046】
別の見方をすると、センサ基板13は、下方に向かって引き出された複数の接続部21,22,23,24を介して本体部25と電気的に接続されている。さらに別の見方をすると、本体部25は、上方に向かって立ち上げられた複数の接続部21,22,23,24を介してセンサ基板13と電気的に接続されている。
【0047】
接続部21,22,23,24は、光軸Lの周囲に、光軸Lを取り囲むように配置されている。ここで、光軸Lは、センサ基板13の中心又は略中心を貫いている。さらに、センサ基板13を含むカメラモジュール10の重心は、センサ基板13の中心と一致又は略一致している。この結果、カメラモジュール10は、接続部21,22,23,24によって下方から支持されており、その支持点はカメラモジュール10の重心と一致又は略一致している。もっとも、接続部21,22,23,24は、カメラモジュール10の重量の全てを支持しているわけではない。むしろカメラモジュール10の重量は、専らジンバル61によって支持されている。
【0048】
上記のように、センサ基板13と本体部25とは、フレキシブルな接続部21,22,23,24を介して互いに接続されている。この結果、センサ基板13を含むカメラモジュール10の回転(傾斜)に伴う応力は、接続部21,22,23,24によって吸収され、本体部25に伝達されない。また、本体部25によってカメラモジュール10の回転(傾斜)が阻害されることもない。つまり、本体部25がリジッドあるかフレキシブルであるかに関わらず、本体部25がカメラモジュール10の動きを阻害する負荷になることはない。また、カメラモジュール10の動きに伴って本体部25が大きく動き、周囲の部材に接触する虞もない。
【0049】
カメラモジュール10の動きへの追従性をより高めるために、接続部21,22,23,24は、センサ基板13と挿入端部26との間で少なくとも1回屈曲されている。具体的には、それぞれの接続部21,22,23,24は、光軸Lと同方向に延びる部分と、光軸Lと異方向に延びる部分と、を含んでいる。より特定的には、それぞれの接続部21,22,23,24は、光軸Lに対して平行(センサ基板13に対して垂直)に延びる部分と、光軸Lに対して垂直(センサ基板13に対して平行)に延びる部分と、を含んでいる。
【0050】
主に図7図8を参照しながら、接続部21,22,23,24の形態についてより具体的に説明する。接続部21は、第1の垂直延在部21a,第1の水平延在部21b,第2の垂直延在部21c及び第2の水平延在部21dを含んでいる。
【0051】
第1の垂直延在部21aは、センサ基板13の裏面13bから光軸Lに対して平行(センサ基板13に対して垂直)に延びている。第1の水平延在部21bは、第1の垂直延在部21aの端部から光軸Lに対して垂直(センサ基板13に対して平行)に延びている。第2の垂直延在部21cは、第1の水平延在部21bの端部から光軸Lに対して平行(センサ基板13に対して垂直)に延びている。第2の水平延在部21dは、第2の垂直延在部21cの端部から光軸Lに対して垂直(センサ基板13に対して平行)に延びている。
【0052】
つまり、接続部21は、センサ基板13と挿入端部26との間において3回屈曲しており、全体としてクランク形状を有する。他の接続部22,23,24は、接続部21と実質的に同一の形態を有する。そこで、他の接続部22,23,24については、その概要のみを説明する。
【0053】
接続部22は、第1の垂直延在部22a,第1の水平延在部22b,第2の垂直延在部22c及び第2の水平延在部22dを含んでいる。接続部23は、第1の垂直延在部23a,第1の水平延在部23b,第2の垂直延在部23c及び第2の水平延在部23dを含んでいる。接続部24は、第1の垂直延在部24a,第1の水平延在部24b,第2の垂直延在部24c及び第2の水平延在部24dを含んでいる。
【0054】
接続部21の水平延在部21b,21dと接続部22の水平延在部22b,22dとは、光軸Lを挟んで互いに平行に延びている。また、接続部23の水平延在部23b,23dと接続部24の水平延在部24b,24dとは、光軸Lを挟んで互いに平行に延びている。
【0055】
一方、接続部21の水平延在部21b,21d及び接続部22の水平延在部22b,22dと、接続部23の水平延在部23b,23d及び接続部24の水平延在部24b,24dとは、互いに直交している。
【0056】
さらに、接続部21の水平延在部21bは、接続部23の水平延在部23dの上を跨いでおり、接続部21の水平延在部21dは、接続部24の水平延在部24bの下を潜っている。
【0057】
接続部22の水平延在部22bは、接続部24の水平延在部24dの上を跨いでおり、接続部22の水平延在部22dは、接続部23の水平延在部23bの下を潜っている。
【0058】
接続部23の水平延在部23bは、接続部22の水平延在部22dの上を跨いでおり、接続部23の水平延在部23dは、接続部21の水平延在部21bの下を潜っている。
【0059】
接続部24の水平延在部24bは、接続部21の水平延在部21dの上を跨いでおり、接続部24の水平延在部24dは、接続部22の水平延在部22bの下を潜っている。
【0060】
接続部21,22,23,24は、上記のように立体的に交差して光軸Lの近傍に集約している。さらに、接続部21,22,23,24は、光軸L上の一点を中心とする仮想円S(図7)に外接している。
【0061】
<携帯型情報端末>
図9に、本実施形態に係るカメラユニット1Aを備える携帯型情報端末(携帯電子機器)の一例を示す。図示されている携帯型情報端末100は、スマートフォンである。これまでの説明から理解できるように、図9に示されている携帯型情報端末(スマートフォン)100では、動画像や静止画像を撮影する際に、手振れ等が適切に補正される。
【0062】
(配線基板の変形例)
配線基板20の一変形例を図10に示す。図10に示されている配線基板20Aは、図6等に示されている配線基板20と同じく、本体部及び4つの接続部を備えている。但し、断面図である図10では、切断位置との関係により、一部の接続部(図6に示されている接続部23に相当する接続部)は表れていない。
【0063】
図10に示されている接続部21,22,24は、図6等に示されている接続部21,22,24と同じくフレキシブル基板によって形成されており、図6等に示されている接続部21,22,24と同一の形状及び構造を有する。
【0064】
また、図10に示されていない接続部は、図6等に示されている接続部23と同じくフレキシブル基板によって形成されており、図6等に示されている接続部23と同一の形状及び構造を有する。そこで、以下の説明では、図10に示されていない接続部を“接続部23”と呼ぶ。
【0065】
図6等に示されている本体部25はリジッド基板によって形成されていたが、図10に示されている本体部25はフレキシブル基板によって形成されている。つまり、図10に示されている配線基板20Aでは、接続部21,22,23,24及び本体部25の両方がフレキシブル基板によって形成されている。もっとも、接続部21,22,23,24は、本体部25を形成しているフレキシブル基板よりも柔軟なフレキシブル基板によって形成されている。
【0066】
フレキシブル基板によって形成されている本体部25は、折り曲げることができる。例えば、図10に示されているように、本体部25の引出端部27をケース50に連接する配線収容部55に引き入れ、配線収容部55内で複数回折り曲げることができる。
【0067】
別の見方をすると、引出端部27上に、ケース50に近接する方向に折り曲げられた折返し部28や、ケース50から離間する方向に折り曲げられた折返し部28を設けることができる。
【0068】
さらに、配線収容部55の天井56に設けた出口56aから引出端部27を引き出し、引き出された引出端部27をさらに折り曲げて、所定の接続位置に向かわせることもできる。
【0069】
図10に示されている例では、配線収容部55の外に引き出された引出端部27は、熱伝導性接着剤80によって天井56の外面に接合されている。よって、引出端部27を含む配線基板20Aの熱が効率良く天井56に伝達され、放散される。また、引出端部27上の複数箇所に、シート状の放熱部材81が貼り付けられている。よって、引出端部27を含む配線基板20Aの放熱が促進される。放熱部材81の一例としては、カーボンシートやグラファイトシートが挙げられる。
【0070】
さらに、引出端部27は、熱伝導性接着剤80によって金属部材82にも接合されている。よって、引出端部27を含む配線基板20の放熱がさらに促進される。金属部材82は、例えば、カメラユニット1Aが搭載される携帯型情報端末の筐体や、筐体内に収容されている板金などである。
【0071】
以上のように、図10に示されている例では、配線基板20Aの放熱が促進される。この結果、ケース50内の熱が配線基板20Aを介して放散され、カメラモジュール10(特に、撮像素子12や巻線コイル71,72)の温度上昇が抑制される。別の見方をすると、配線基板20Aは、カメラモジュール10の熱を吸収し、外部に放散させるヒートシンクとして機能する。
【0072】
(配線基板の他の変形例)
配線基板20の他の変形例を図11に示す。図11に示されている配線基板20Bは、図10に示されている配線基板20Aと同一の基本構成を有する。また、配線基板20Bの引出端部27は、配線基板20Aの引出端部27と同じく、熱伝導性接着剤80によって天井56及び金属部材82に接合されている。また、配線基板20Bの引出端部27には、配線基板20Aの引出端部27と同じく、シート状の放熱部材81が貼り付けられている。
【0073】
図11に示されている配線基板20Bでは、少なくとも1つの折返し部28の内側に補強部材90が配置されている。補強部材90は、重ね合わされた2枚の補強板91,92から構成されている。
【0074】
補強板91は、補強板92に接合される内面91aと、引出端部27に接合される外面91bと、を有する。補強板92は、補強板91に接合される内面92aと、引出端部27に接合される外面92bと、を有する。
【0075】
ここで、配線基板20Aの折返し部28は直線的に折り曲げられているのに対し、配線基板20Bの折返し部28は円弧状に折り曲げられている。この結果、配線基板20Bの引出端部27は、配線基板20Aの引出端部27に比べて、より少ない折り返し数(曲げ回数)で天井56(出口56a)に到達している。具体的には、配線基板20Aの引出端部27には4つの折返し部28が設けられているのに対し、配線基板20Bの引出端部27には2つの折返し部28が設けられている。このような折返し部28の削減は、製造コストの低減やユニットの薄型化に寄与する。
【0076】
図11に示されている補強部材90は、折返し部28を形成し、維持する役割を果たす。このため、補強板91,92の断面形状は、台形又は略台形とされている。具体的には、内面91a,92aは、それらが互いに接合されたときに、外面91b,92bが所定の角度を成すように、外面91b,92bに対して傾斜している。
【0077】
この結果、補強板91,92の内面91a,92aを接合するだけで、所定角度の折返し部28を形成することができる。具体的には、外面91b,92bが予め引出端部27の所定位置に接合されている補強板91,92の内面91a,92aに接着剤を塗布する。次いで、補強板91の内面91aと補強板92の内面92aとが当接するように、引出端部27を折り曲げる。すると、補強板91の外面91bと補強板92の外面92bとが成す角度と同じ角度の折返し部28が形成される。その後、補強板91,92の内面91a,92aに塗布されている接着剤が硬化して補強板91,92が一体化されると、つまり、補強部材90が形成されると、折返し部28の形状(角度)が固定される。
【0078】
以上の説明から明らかなように、補強板91,92の内面91a,92aの傾きを変更することによって、所望の角度の折返し部28を容易かつ確実に形成することができる。尚、図11に示されている補強部材90は、一体化された2枚の補強板91,92と同一の断面形状を有する1枚の補強板に置換することもできる。
【0079】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、接続部21,22,23,24がセンサ基板13の裏面13bに接続されていた。しかし、接続部21,22,23,24とセンサ基板13との接続位置は、センサ基板13の裏面13bに限られない。例えば、図12に示されるように、一端がセンサ基板13の実装面13aに接続された接続部21,22,23,24をセンサ基板13の側面を経由して裏面13bに引き回してもよい。
【0080】
上記実施形態では、接続部21,22,23,24と本体部25とは別部材であった。しかし、接続部21,22,23,24及び本体部25を単一の部材によって形成してもよい。例えば、単一のフレキシブル基板の一部を複数に分割して(枝分けして)、接続部21,22,23,24を形成してもよい。
【0081】
接続部の数は4つに限られない。また、複数の接続部の一部又は全部が部分的に接触している実施形態や、複数の接続部の一部又は全部がクリップや紐などによって束ねられている実施形態もある。
【符号の説明】
【0082】
1A…カメラユニット、10…カメラモジュール、11…レンズ、12…撮像素子、13…センサ基板、13a…実装面、13b…裏面、14…ハウジング、20,20A,20B…配線基板、21,22,23,24…接続部、21a,21c,22a,22c,23a,23c,24a,24c…垂直延在部、21b,21d,22b,22d,23b,23d,24b,24d水平延在部、25…本体部、26…挿入端部、27…引出端部、28…折返し部、30…モジュール保持機構、40…可動部材(ホルダ枠)、41…底面、42,53…挿入溝、43a,43b…磁石装着溝、44…上面、50…固定部材(ケース)、51…収容空間、52…底部内面、54a,54b…コイル装着部、55…配線収容部、56…天井、56a…出口、60…支持機構、61…ジンバル、62…支持部材、63…ジンバル本体、63a…円形開口部、64a,64b,65a,65b…腕、66…ストッパプレート、67… 開口部、67a…曲げ部、70…駆動機構、71,72…巻線コイル、73,74…永久磁石、80…熱伝導性接着剤、81…放熱部材、82…金属部材、90…補強部材、91,92…補強板、91a,92a…内面、91b,92b…外面、100…携帯型情報端末(スマートフォン)、L…光軸、L1,L2…軸、S…仮想円、θ…角度
図1
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