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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181495
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】車両乗換支援システム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20221201BHJP
   B60R 16/037 20060101ALI20221201BHJP
   B60N 2/02 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B60N2/90
B60R16/037
B60N2/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088483
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高木 慶太
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA04
3B087BA02
3B087BA15
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】車両の乗り換え後においても好適な着座姿勢を確保する。
【解決手段】車両乗換支援システム1は、利用者の携帯端末40が、この利用者が乗車した利用車両と通信することにより、その利用者が利用車両において設定したシート要素Eの調整位置を取得する。また、この車両乗換支援システム1は、携帯端末40が利用車両において取得した調整位置に基づいて、そのシート要素Eが形成する利用車両の座席30に着座した利用者の身体的特徴に関係付けられる予め定められた座席30周りの特定距離Dを演算する。更に、車両乗換支援システム1は、この特定距離Dと利用者とを関連付けて保持する。そして、車両乗換支援システム1は、利用者が利用車両とは異なる乗換車両22に乗車する場合に、その特定距離Dを乗換車両22に再現するためにシート要素Eに設定する調整位置として換算調整位置Pcnvを演算する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が乗車した利用車両において設定されたシート要素の調整位置を取得する調整位置取得部と、
前記取得された前記調整位置に基づいて、前記シート要素が形成する前記利用車両の座席に着座した前記利用者の身体的特徴に関係付けられる予め定められた前記座席周りの特定距離を演算する特定距離演算部と、
前記利用者と前記特定距離とを関連付けて保持する特定距離保持部と、
前記利用者が前記利用車両とは異なる乗換車両に乗車する場合に、該乗換車両において前記特定距離を再現するための前記シート要素の前記調整位置である換算調整位置を演算する換算調整位置演算部と、を備える車両乗換支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両乗換支援システムにおいて、
前記特定距離演算部は、前記特定距離として、運転席に着座した前記利用者が操作する足踏みペダルとシートクッションの前端部との離間距離を演算すること、
を特徴とする車両乗換支援システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両乗換支援システムにおいて、
前記特定距離演算部は、前記特定距離として、運転席に着座した前記利用者が操作する運転ハンドルとシートバックの肩部との離間距離を演算すること、
を特徴とする車両乗換支援システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車両乗換支援システムにおいて、
前記換算調整位置に基づき前記乗換車両の前記シート要素を駆動して前記座席周りの前記特定距離を再現する乗換位置調整駆動制御部を備えること、
を特徴とする車両乗換支援システム。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載の車両乗換支援システムにおいて、
複数の車両について、該車両毎に、前記特定距離と前記調整位置とを関連付けて保持する換算データベースを備えること、を特徴とする車両乗換支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両乗換支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗り換えを容易にする車両乗換支援システムとして、車両の乗り換え後においても利用者の着座姿勢が変わらないように、シートポジションの引き継ぎを可能とするものがある。例えば、特許文献1に記載の座席位置制御装置は、車室内の特定位置と運転者の特定部位との距離を測定する。そして、その実測距離が予め記憶された測距データに一致するように、車両の座席位置を調整する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-195169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、レンタカーサービスやカーシェアリングの利用等、車両の所有形態が変化することで、その乗り換えの頻度もまた増加する傾向にある。更に、車両デザインの多様化によって、乗員の着座姿勢についてもまた、車両毎の差異が大きくなっている。そして、上記のような従来技術の構成では、必ずしも、このような進化する要求水準に応えうるとは言い切れないことから、その更なる改善が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する車両乗換支援システムは、利用者が乗車した利用車両において設定されたシート要素の調整位置を取得する調整位置取得部と、前記取得された前記調整位置に基づいて、前記シート要素が形成する前記利用車両の座席に着座した前記利用者の身体的特徴に関係付けられる予め定められた前記座席周りの特定距離を演算する特定距離演算部と、前記利用者と前記特定距離とを関連付けて保持する特定距離保持部と、前記利用者が前記利用車両とは異なる乗換車両に乗車する場合に、該乗換車両において前記特定距離を再現するための前記シート要素の前記調整位置である換算調整位置を演算する換算調整位置演算部と、を備える。
【0006】
即ち、利用車両において、その座席を形成するシート要素に設定された調整位置は、利用者が、その座席周りの特定距離に関係付けられる身体的特徴に合わせて好適な着座姿勢が得られるように自ら調整した値であると推測される。従って、この特定距離を乗換車両に再現することで、その乗り換え後においても、好適な着座姿勢を確保することができる。
【0007】
また、このような特定距離の再現は、乗り換えを行なう利用車両と乗換車両との車両デザインが相違する場合であっても、その影響を受け難いという利点がある。更に、利用車両において設定されたシート要素の調整位置から座席周りの特定距離を演算することで、例えば、備え付けのカメラのような測距装置が不要となる。そして、これにより、多様な車両デザイン、及び、より多くの車両間において、その乗り換えを支援することができる。
【0008】
上記課題を解決する車両乗換支援システムにおいて、前記特定距離演算部は、前記特定距離として、運転席に着座した前記利用者が操作する足踏みペダルとシートクッションの前端部との離間距離を演算することが好ましい。
【0009】
即ち、運転席の前方に配置された足踏みペダルとシートクッションの前端部との離間距離は、運転者である利用者の足の長さに関係付けられる。更に、利用車両において、その運転席を形成するシート要素としてのシートクッションに設定された調整位置は、利用者が、自らの足の長さに合わせて車両の運転がしやすいように調整した値であると推測される。従って、上記構成によれば、乗り換え後においても、その利用者が運転しやすい着座姿勢を確保することができる。
【0010】
上記課題を解決する車両乗換支援システムにおいて、前記特定距離演算部は、前記特定距離として、運転席に着座した前記利用者が操作する運転ハンドルとシートバックの肩部との離間距離を演算することが好ましい。
【0011】
即ち、運転席の前方に配置された運転ハンドルとシートバックの肩部との離間距離は、運転者である利用者の手の長さに関係付けられる。そして、利用車両において、その運転席を形成するシート要素としてのシートバックに設定された調整位置は、利用者が、自らの手の長さに合わせて車両の運転がしやすいように調整した値であると推測される。従って、上記構成によれば、乗り換え後においても、その利用者が運転しやすい着座姿勢を確保することができる。
【0012】
上記課題を解決する車両乗換支援システムは、前記換算調整位置に基づき前記乗換車両の前記シート要素を駆動して前記座席周りの前記特定距離を再現する乗換位置調整駆動制御部を備えることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、車両の乗り換え時、その乗換車両において、自動的に、最適なシート位置調整が実行される。そして、これにより、容易に、その乗り換え後における好適な着座姿勢を確保することができる。
【0014】
上記課題を解決する車両乗換支援システムは、複数の車両について、該車両毎に、前記特定距離と前記調整位置とを関連付けて保持する換算データベースを備えることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易に、利用車両において利用者が設定したシート要素の調整位置に基づいて、予め設定された座席周りの特定距離を演算することができる。そして、乗り換え時には、その利用者に関連付けられた特定距離に基づいて、この特定距離を乗換車両に再現するための換算調整位置を演算することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両の乗り換え後においても好適な着座姿勢を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両乗換支援システムの概略構成図。
図2】セダン型の車両における運転席周りの模式図。
図3】ミニバン型の車両における運転席周りの模式図。
図4】車両乗換支援システムの概略構成図。
図5】換算データベースの概略構成図。
図6】利用者データベースの概略構成図。
図7】乗り換え前の処理手順を示すフローチャート。
図8】乗り換え時の処理手順を示すフローチャート。
図9】別例の車両乗換支援システムの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両乗換支援システムの一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両乗換支援システム1は、利用者10が、複数の車両20の中から、その利用車両21を選択して乗車することのできる、例えば、カーシェアリングやレンタカーサービス等に用いられる。
【0019】
具体的には、本実施形態の車両乗換支援システム1は、利用者10が車両20の乗り換えを行う際、その乗り換え後の車両20、つまりは乗換車両22において行うシート位置調整を支援する。そして、これにより、この車両乗換支援システム1の利用者10は、その車両20の乗り換え後においても好適な着座姿勢を確保することができる。
【0020】
例えば、利用者10が、所謂セダン型の車両20aから所謂ミニバン型の車両20bに乗り換えを行う場合を考える。この場合、乗り換え前の車両20aが利用車両21となり、乗り換え後の車両20bが乗換車両22となる。尚、乗り換えの間隔は任意であり、車両20aから降車した利用者10が、そのまま車両20bに乗車する状況を想定してもよく、例えば、数日後、或いは数ヶ月後や数年後に車両20bに乗車する状況を想定してもよい。
【0021】
図2及び図3に示すように、これらの車両20a,20bを比較すると、その車両デザインの違いから、それぞれ、座席30a,30bを形成するシート要素Eの配置が相違する。即ち、これら各車両20a,20bの座席30a,30bは、それぞれ、そのシート要素Eとして、座席30a,30bの着座面を構成するシートクッション32a,32b、及び背もたれ面を構成するシートバック33a,33bを備えている。また、多くの場合、ミニバン型の車両20bにおいては、そのシートクッション32bが、セダン型の車両20aにおけるシートクッション32aよりも高い位置に配置されている。このため、通常、車両20aから車両20bに乗り換える際には、その乗り換え後においても好適な着座姿勢を確保するために、シートクッション32bの位置調整が行われることになる。
【0022】
図1図3に示すように、本実施形態の車両乗換支援システム1は、このような車両20の乗り換え時、乗り換え前の利用車両21及び乗り換え後の乗換車両22において、それぞれ、その利用者10の保持する携帯端末40が、これらの各車両20と通信する。また、このとき、その携帯端末40が、併せて、図示しないインターネットを介して接続されたサービスサーバ45との通信を実行する。尚、携帯端末40としては、例えば、所謂スマートフォンやタブレット等を用いることができる。そして、本実施形態の車両乗換支援システム1は、この利用者10の携帯端末40を介した通信によって、その乗換車両22におけるシート位置調整を支援する構成となっている。
【0023】
詳述すると、図2及び図3に示すように、本実施形態の車両乗換支援システム1において、利用車両21及び乗換車両22となる各車両20は、それぞれ、その座席30に設けられたシートスライド装置51及びリフター装置52を備えている。そして、これらのシートスライド装置51及びリフター装置52の動作に基づいて、それぞれ、その座席30を形成するシートクッション32の前後位置及び上下位置を調整することのできる構成となっている。
【0024】
具体的には、図4に示すように、これらのシートスライド装置51及びリフター装置52を構成するアクチュエータ60は、それぞれ、駆動源となるモータ61と、その駆動力を駆動対象となるシート要素Eの動作に変換する変換機構62と、を備えている。即ち、シートスライド装置51及びリフター装置52の場合、その駆動対象となるシート要素Eは、シートクッション32である。また、これらの各アクチュエータ60は、それぞれ、制御装置65によって、そのモータ61に対する駆動電力の供給が制御されている。そして、各車両20は、これにより、この制御装置65によって、その各アクチュエータ60の作動、つまりはシートスライド装置51及びリフター装置52の動作に基づいたシートクッション32の位置調整が実行される構成になっている。
【0025】
さらに詳述すると、本実施形態の制御装置65には、アクチュエータ60の動作に同期したパルス信号Spが入力される。そして、制御装置65は、このパルス信号Spをカウントすることにより、そのアクチュエータ60の駆動対象となるシート要素Eの調整位置Pを検出する構成になっている。
【0026】
即ち、本実施形態の制御装置65には、そのシートスライド装置51を構成するアクチュエータ60に同期したパルス信号Sp1、及びリフター装置52を構成するアクチュエータ60に同期したパルス信号Sp2が入力される。更に、制御装置65は、そのパルス信号Sp1をカウントすることにより、シートスライド装置51の動作に基づいた車両前後方向におけるシートクッション32の調整位置Pとして、このシートクッション32のスライド位置Psを検出する。そして、制御装置65は、パルス信号Sp2をカウントすることにより、リフター装置52の作動による車両上下方向におけるシートクッション32の調整位置Pとして、このシートクッション32のリフト位置Plを検出する。
【0027】
尚、スライド位置Psは、例えば、そのシートスライド装置51の動作に基づき調整することのできる前後方向何れかの限界位置、つまりは前端位置又は後端位置を基準としたパルスカウント値等に表される。そして、リフト位置Plも同様に、例えば、そのリフター装置52の動作に基づき調整することのできる上下方向何れかの限界位置、つまりは上端位置又は下端位置を基準としたパルスカウント値等に表される。
【0028】
また、本実施形態の制御装置65には、例えば、座席30に設けられた操作スイッチ66に対する操作入力信号Scrが入力される。そして、制御装置65は、この操作入力信号Scrに示される作動要求、及び検出した調整位置Pに基づいて、その座席30を形成するシートクッション32の位置調整を実行する構成になっている。
【0029】
更に、本実施形態の制御装置65は、上記のように設定されたシート要素Eの調整位置Pを、その記憶領域65mに保持する。また、この制御装置65は、車両20の起動時、この記憶領域65mに保持された調整位置P、つまりは、シートクッション32のスライド位置Ps及びリフト位置Plを読み出す。更に、制御装置65は、この記憶領域65mから読み出したスライド位置Ps及びリフト位置Plを制御目標として、そのシートスライド装置51及びリフター装置52の作動を制御する。そして、これにより、本実施形態の車両乗換支援システム1が適用される各車両20の座席30には、それぞれ、その予め設定されたシート要素Eの調整位置Pを再現することのできる所謂メモリ機能が実装されている。
【0030】
また、本実施形態の制御装置65は、車内ネットワーク67を介して通信装置68に接続されている。更に、制御装置65は、この通信装置68を利用して外部通信を実行する機能を有している。そして、本実施形態の制御装置65は、この外部通信の実行により、その座席30を形成するシート要素Eの位置調整を行う際の制御目標を取得することのできる構成となっている。
【0031】
図2及び図3に示すように、本実施形態の車両乗換支援システム1は、利用車両21及び乗換車両22となる各車両20に実装された外部通信機能を利用する。具体的には、先ず、利用車両21において、その利用者10の保持する携帯端末40が、この利用車両21において利用者10が設定したシート要素Eの調整位置Pを取得する。次に、車両20の乗り換えを行なう際、利用者10の携帯端末40が、先に取得した利用車両21におけるシート要素Eの調整位置Pに基づき生成された換算調整位置Pcnvを、その乗換車両22に最適化された制御目標として、この乗換車両22に送信する。更に、この換算調整位置Pcnvに基づいて、その乗換車両22の座席30を形成するシート要素Eの位置調整が実行される。尚、この乗換車両22におけるシート要素Eの位置調整には、例えば、上記のように、その座席30に実装されたメモリ機能を用いることができる。そして、本実施形態の車両乗換支援システム1は、これにより、車両20の乗り換え後においても、その利用者10が好適な着座姿勢を確保することのできる構成となっている。
【0032】
詳述すると、図4に示すように、本実施形態の車両乗換支援システム1において、利用者10の携帯端末40が利用車両21から取得したシート要素Eの調整位置Pは、その携帯端末40からサービスサーバ45に送信される。更に、このサービスサーバ45において、その利用車両21におけるシート要素Eの調整位置Pに基づいた換算調整位置Pcnvが生成される。そして、本実施形態の車両乗換支援システム1は、車両20の乗り換え時、このサービスサーバ45において生成された換算調整位置Pcnvが、その乗換車両22に乗車する利用者10の携帯端末40に送信される構成になっている。
【0033】
具体的には、本実施形態のサービスサーバ45は、利用車両21において取得された調整位置Pに基づいて、その利用車両21の座席30に着座した利用者10の身体的特徴に関係付けられる予め定められた座席30周りの特定距離Dを演算する。そして、本実施形態の車両乗換支援システム1は、車両20の乗り換え時、この特定距離Dを乗換車両22に再現するためのシート要素Eの調整位置Pとして、そのサービスサーバ45が上記換算調整位置Pcnvを演算する構成になっている。
【0034】
さらに詳述すると、図2及び図3に示すように、本実施形態の車両乗換支援システム1は、利用者10が車両20の運転者である場合、つまりは、その利用者10が、利用車両21及び乗換車両22の座席30として、その運転席70に着座する場合に適用される。そして、本実施形態のサービスサーバ45は、予め定められた座席30周りの特定距離Dとして、その運転席70に着座した利用者10が操作する足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpを演算する構成になっている。
【0035】
即ち、運転席70の前方に配置された足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpは、運転者である利用者10の足の長さに関係付けられる。更に、利用車両21において、その運転席70を形成するシート要素Eとしてのシートクッション32に設定された調整位置Pは、利用者10が、自らの足の長さに合わせて車両20の運転がしやすいように調整した値であると推測される。そして、本実施形態の車両乗換支援システム1は、この足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpを乗換車両22に再現することで、乗り換え後においても、その利用者10が運転しやすい着座姿勢を確保する構成になっている。
【0036】
具体的には、図4に示すように、本実施形態の車両乗換支援システム1は、そのサービスサーバ45に設けられた換算データベース73及び利用者データベース74を備えている。
【0037】
図5に示すように、本実施形態の換算データベース73は、利用者10が乗車する可能性がある複数の車両20について、その車両20毎に、特定距離Dとシート要素Eの調整位置Pとを関連付けて保持するデータテーブル形式の構成を有している。
【0038】
即ち、この換算データベース73は、対象となる車両20を指定して、シート要素Eに設定された調整位置Pを入力することで、その調整位置Pの設定により、指定した車両20において得られる特定距離Dを出力する。また、この換算データベース73は、同じく対象となる車両20を指定して、特定距離Dを入力することにより、この特定距離Dを得るために、その指定した車両20のシート要素Eに設定すべき調整位置Pを出力する。更に、本実施形態の換算データベース73には、その特定距離Dとして、車両20毎に、足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpが登録されている。そして、この換算データベース73には、そのシート要素Eの調整位置Pとして、シートクッション32のスライド位置Ps及びリフト位置Plが登録されている。
【0039】
つまり、利用車両21において設定されたシート要素Eの調整位置Pとして利用者10の携帯端末40からサービスサーバ45に送信されたシートクッション32のスライド位置Ps及びリフト位置Plは、それぞれ、この換算データベース73に入力される。更に、このとき、併せて、その利用車両21に該当する車両20を特定する識別番号等の情報が換算データベース73に入力される。そして、本実施形態の車両乗換支援システム1は、これにより、その利用車両21における運転席70周りの特定距離Dとして、足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpが演算される構成になっている。
【0040】
また、図6に示すように、本実施形態の利用者データベース74は、データテーブルの形式で、その利用者10と特定距離Dとを関連付けて保持する。そして、本実施形態の車両乗換支援システム1は、上記のように演算された利用車両21における特定距離Dが、その利用者10を特定する識別番号等の情報とともに、この利用者データベース74に登録される構成になっている。
【0041】
更に、本実施形態の車両乗換支援システム1においては、利用者10が車両20の乗り換えを行なう際、サービスサーバ45が、その利用者データベース74から、この利用者10に関連付けられた特定距離Dを読み出す。更に、サービスサーバ45は、この特定距離Dとともに、その乗換車両22となる車両20を特定する識別番号等の情報を換算データベース73に入力する。そして、本実施形態の車両乗換支援システム1は、これにより、その特定距離Dを乗換車両22の運転席70に再現するための換算調整位置Pcnvとして、シートクッション32に設定すべきスライド位置Ps及びリフト位置Plが演算される構成になっている。
【0042】
次に、上記のように構成された本実施形態の車両乗換支援システム1の作用を説明する。
図7に示すように、本実施形態の車両乗換支援システム1においては、利用車両21の運転席70でシート位置調整が行われると(ステップ101)、利用者10の携帯端末40によって、その設定されたシート要素Eの調整位置Pが取得される(ステップ102)。そして、この利用車両21から取得されたシート要素Eの調整位置Pが、その携帯端末40からサービスサーバ45に送信される(ステップ103)。
【0043】
次に、この携帯端末40が送信したシート要素Eの調整位置Pをサービスサーバ45が受信すると(ステップ104)、続いて、その利用者10の照合(ステップ105)、及び、その利用車両21に該当する車両20の照合が行われる(ステップ106)。更に、携帯端末40から受信したシート要素Eの調整位置Pに基づいて、この調整位置Pの設定により利用車両21において得られた運転席70周りの特定距離Dが演算される(ステップ107)。尚、この特定距離Dの演算は、ステップ106の照合により特定した利用車両21に該当する車両20の情報とともに、その携帯端末40から受信した利用車両21におけるシート要素Eの調整位置Pを換算データベース73に入力することにより行われる。そして、このステップ107において演算された特定距離Dは、ステップ105の照合により特定した利用者10の情報とともに利用者データベース74に入力されることで、その利用者10に関連付けられた状態で保持される(ステップ108)。
【0044】
また、図8に示すように、本実施形態の車両乗換支援システム1においては、利用者10が車両20の乗り換えを行なう際には、その携帯端末40からサービスサーバ45に対して乗換要求が送信される(ステップ201)。次に、この携帯端末40が送信した乗換要求をサービスサーバ45が受信すると(ステップ202)、続いて、その乗換要求に示された利用者10の照合(ステップ203)、及び乗換車両22に該当する車両20の照合が行われる(ステップ204)。更に、ステップ203において照合された利用者10に関連付けられた特定距離Dが、その利用者データベース74から読み出される(ステップ205)。そして、この特定距離Dを、照合により特定した乗換車両22に該当する車両20の情報とともに換算データベース73に入力することで、その特定距離Dを乗換車両22の運転席70に再現するための換算調整位置Pcnvが演算される(ステップ206)。
【0045】
次に、このサービスサーバ45において演算された換算調整位置Pcnvが利用者10の携帯端末40に送信される(ステップ207)。また、携帯端末40において受信された換算調整位置Pcnvは(ステップ208)、更に、その乗換車両22に送信される(ステップ209)。そして、この換算調整位置Pcnvに基づいて、その乗換車両22における運転席70のシート位置調整が実行される(ステップ210)。
【0046】
具体的には、換算調整位置Pcnvに示されるシートクッション32のスライド位置Ps及びリフト位置Plを制御目標として、その乗換車両22の運転席70に設けられたシートスライド装置51及びリフター装置52の作動が制御される。
【0047】
本実施形態の車両乗換支援システム1において、乗換車両22が受信した換算調整位置Pcnvは、これらのシートスライド装置51及びリフター装置52の作動を制御する制御装置65の記憶領域65mに書き込まれる。更に、制御装置65は、乗換車両22の起動時、その記憶領域65mに書き込まれた換算調整位置Pcnvを、その保持する調整位置Pとしたメモリ機能によるシートスライド装置51及びリフター装置52の作動制御、つまりメモリ再生を実行する。そして、本実施形態の車両乗換支援システム1においては、これにより、利用車両21における運転席70周りの特定距離Dとして、その足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpが、乗換車両22の運転席70に再現される。
【0048】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)車両乗換支援システム1は、利用者10の携帯端末40を調整位置取得部1aとして、この携帯端末40と利用者10が乗車した利用車両21とが通信することにより、その利用者10が利用車両21において設定したシート要素Eの調整位置Pを取得する。そして、車両乗換支援システム1においては、この携帯端末40とサービスサーバ45との通信により、そのサービスサーバ45が、特定距離演算部1b、特定距離保持部1c、及び換算調整位置演算部1dとして機能する。
【0049】
特定距離演算部1bとしてのサービスサーバ45は、携帯端末40が取得した調整位置Pに基づいて、そのシート要素Eが形成する利用車両21の座席30に着座した利用者10の身体的特徴に関係付けられる予め定められた座席30周りの特定距離Dを演算する。更に、特定距離保持部1cとしてのサービスサーバ45は、この特定距離Dと利用者10とを関連付けて保持する。そして、換算調整位置演算部1dとしてサービスサーバ45は、利用者10が利用車両21とは異なる乗換車両22に乗車する場合に、その特定距離Dを乗換車両22に再現するためにシート要素Eに設定する調整位置Pとして換算調整位置Pcnvを演算する。
【0050】
即ち、利用車両21において、その座席30を形成するシート要素Eに設定された調整位置Pは、利用者10が、その座席30周りの特定距離Dに関係付けられる身体的特徴に合わせて好適な着座姿勢が得られるように自ら調整した値であると推測される。従って、この特定距離Dを乗換車両22に再現することで、その乗り換え後においても、好適な着座姿勢を確保することができる。
【0051】
また、このような特定距離Dの再現は、乗り換えを行なう利用車両21と乗換車両22との車両デザインが相違する場合であっても、その影響を受け難いという利点がある。更に、利用車両21において設定されたシート要素Eの調整位置Pから座席30周りの特定距離Dを演算することで、例えば、備え付けのカメラのような測距装置が不要となる。そして、これにより、多様な車両デザイン、及び、より多くの車両20間において、その乗り換えを支援することができる。
【0052】
(2)サービスサーバ45は、利用車両21における座席30周りの特定距離Dとして、その運転席70に着座した利用者10が操作する足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpを演算する。更に、サービスサーバ45は、この離間距離Dpを乗換車両22の運転席70に再現するための換算調整位置Pcnvとして、そのシートクッション32に設定すべきスライド位置Ps及びリフト位置Plを演算する。そして、サービスサーバ45は、この換算調整位置Pcnvを利用者10の携帯端末40に送信する。
【0053】
即ち、運転席70の前方に配置された足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpは、運転者である利用者10の足の長さに関係付けられる。更に、利用車両21において、その運転席70を形成するシート要素Eとしてのシートクッション32に設定された調整位置Pは、利用者10が、自らの足の長さに合わせて車両20の運転がしやすいように調整した値であると推測される。従って、上記構成によれば、乗り換え後においても、その利用者10が運転しやすい着座姿勢を確保することができる。
【0054】
(3)車両乗換支援システム1においては、利用者10の携帯端末40から乗換車両22に換算調整位置Pcnvが送信される。また、これにより、乗換車両22の運転席70に設けられたシートスライド装置51及びリフター装置52、並びにその作動を制御する制御装置65が、乗換位置調整駆動制御部1eとして機能する。そして、その換算調整位置Pcnvに示されるシートクッション32のスライド位置Ps及びリフト位置Plを制御目標として、シートスライド装置51及びリフター装置52の作動が制御される。
【0055】
上記構成によれば、車両20の乗り換え時、その乗換車両22において、自動的に、最適なシート位置調整が実行される。そして、これにより、容易に、その乗り換え後における好適な着座姿勢を確保することができる。
【0056】
(4)サービスサーバ45は、複数の車両20について、これらの車両20毎に、その特定距離Dとシート要素Eの調整位置Pとを関連付けて保持する換算データベース73を備える。
【0057】
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易に、利用車両21において利用者10が設定したシート要素Eの調整位置Pに基づいて、予め設定された座席30周りの特定距離Dを演算することができる。そして、乗り換え時には、その利用者10に関連付けられた特定距離Dに基づいて、この特定距離Dを乗換車両22に再現するための換算調整位置Pcnvを演算することができる。
【0058】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0059】
・上記実施形態では、予め定められた座席30周りの特定距離Dとして、その運転席70に着座した利用者10が操作する足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpを演算することとした。しかし、これに限らず、運転席70周りに配置されたその他の運転操作部材と運転席70の特定部位との離間距離を、その特定距離Dとして演算する構成を採用してもよい。
【0060】
例えば、図9に示すように、利用者10が利用車両21において設定したシート要素Eの調整位置Pに基づいて、運転席70に着座した利用者10が操作する運転ハンドル81と、運転席70を構成するシートバック33の肩部82との離間距離Dsを演算する。そして、この離間距離Dsを、利用車両21の座席30に着座した利用者10の身体的特徴に関係付けられる予め定められた座席30周りの特定距離Dに用いる構成としてもよい。
【0061】
即ち、運転席70の前方に配置された運転ハンドル81とシートバック33の肩部82との離間距離Dsは、運転者である利用者10の手の長さに関係付けられる。そして、利用車両21において、その運転席70を形成するシート要素Eとしてのシートバック33に設定された調整位置Pは、利用者10が、自らの手の長さに合わせて車両20の運転がしやすいように調整した値であると推測される。
【0062】
この点を踏まえ、この別例の車両乗換支援システム1Bにおいては、利用者10の携帯端末40Bが、その利用車両21において設定されたシート要素Eの調整位置Pとして、運転席70を構成するシートバック33のリクライニング位置Prを取得する。更に、このリクライニング位置Prに基づいて、その運転席70周りの特定距離Dとして、運転ハンドル81とシートバック33の肩部82との離間距離Dsを乗換車両22に再現するための換算調整位置Pcnvが演算される。そして、この換算調整位置Pcnvに基づいて、乗換車両22の運転席70に設けられたリクライナー装置83の作動が制御されることで、そのシートバック33のリクライニング位置Prが調整される構成となっている。
【0063】
尚、便宜上、図9は、利用車両21及び乗換車両22を兼ねた記載とするが、これらは当然に独立した別の車両20である。また、この別例の車両乗換支援システム1Bにおいても、携帯端末40Bがサービスサーバ45に送信するシート要素Eの調整位置Pには、シートクッション32のスライド位置Ps及びリフト位置Plが含まれている。同様に、携帯端末40Bが受信する換算調整位置Pcnvもまた、足踏みペダル71とシートクッション32の前端部72との離間距離Dpを乗換車両22に再現するためのシートクッション32のスライド位置Ps及びリフト位置Plが含まれている。そして、この別例の車両乗換支援システム1Bは、これにより、車両20の乗り換え後において、その利用者10が、より好適な着座姿勢を確保することのできる構成となっている。
【0064】
・また、運転席70周りの特定距離Dとして、その運転ハンドル81とシートバック33の肩部82との離間距離Dsを乗換車両22に再現するための換算調整位置Pcnvのみを演算する構成としてもよい。更に、その特定距離Dとして、シートクッション32のスライド位置Psのみを演算する構成であってもよい。そして、シートクッション32のチルト位置や、着座面の延伸位置を調整することができる場合には、その特定距離Dとして、これらの値を演算する構成としてもよい。
【0065】
・また、調整可能に構成されたシート要素Eの調整位置Pについて、互いの内容が異なる車両20間の乗り換えに適用してもよい。例えば、利用車両21においては、シート要素Eの調整位置Pとして、シートクッション32のスライド位置Ps及びリフト位置Plが取得される。そして、乗換車両22については、その換算調整位置Pcnvとして、シートクッション32のスライド位置Psのみが演算される構成であってもよい。即ち、利用車両21における運転席70周りの特定距離Dを乗換車両22の運転席70に再現することができればよく、位置調整されるシート要素Eの形態及びその数は、利用車両21と乗換車両22とで異なっていてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、換算調整位置Pcnvの演算についても、車両20毎に、その特定距離Dとシート要素Eの調整位置Pとを関連付けて保持する換算データベース73を用いることとした。しかし、これに限らず、利用車両21における運転席70周りの特定距離Dを乗換車両22の運転席70に再現することができれば、その演算方法は、任意に変更してもよい。例えば、最も速く特定距離Dを再現することができるように、その位置調整されるシート要素Eの形態が選択されるように換算調整位置Pcnvを演算する構成としてもよい。また、利用者10が行ったシート位置調整の履歴等から、例えば、リフト位置Plの調整を行わない等、その指向性を学習する。そして、この利用者10の指向性に沿って、その位置調整されるシート要素Eの形態が選択されるように換算調整位置Pcnvを演算する構成としてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、起動時のメモリ再生によって、その乗換車両22における換算調整位置Pcnvに基づいたシート位置調整が実行されることとした。しかし、これに限らず、例えば、利用者10の要求によりシートスライド装置51及びリフター装置52の作動制御が開始される態様で、その換算調整位置Pcnvに基づいたシート位置調整が実行される構成としてよい。
【0068】
・また、必ずしも、駆動源を有したアクチュエータ60の作動によって、自動的に、その換算調整位置Pcnvに基づいたシート位置調整が実行される構成でなくともよい。換算調整位置Pcnvに基づいて、利用者10が自ら利用車両21における運転席70周りの特定距離Dを乗換車両22の運転席70に再現することができるように、そのシート位置調整方法を案内する構成を採用してもよい。例えば、調整すべきシート要素E及びその調整形態を、その操作スイッチ66の操作時間とともに案内する等としてもよい。更に、その際、操作スイッチ66の操作タイミングを指示する等してもよい。そして、視覚的に、その換算調整位置Pcnvを乗換車両22に表現する構成であってもよい。
【0069】
・上記実施形態では、利用者10が、利用車両21及び乗換車両22の座席30として、その運転席70に着座する場合に適用されることとした。しかし、これに限らず、例えば、助手席や後部座席等、利用者10が、運転席70以外の座席30に着座する場合に適用してもよい。
【0070】
例えば、利用者10の着座する座席30が助手席である場合、その予め定められた座席30周りの特定距離Dとして、座席30の前方に位置するダッシュボードとシートクッション32の前端部72との離間距離を演算するとよい。この場合、その特定距離Dは、利用者10の足の長さに関係付けられる。また、特定距離Dとして、座席30のヘッドレストやシートクッション32の着座面と車両20の天井との離間距離を演算する構成としてもよい。この場合、その特定距離Dは、利用者10の座高に関係付けられる。更に、利用者10の着座する座席30が後部座席である場合、この後部座席を形成するシートクッション32の前端部72と前部座席を形成するシートクッション32の後端部との離間距離を演算するとよい。そして、この場合、その特定距離Dは、利用者10の足の長さ、詳しくは、その膝までの長さに関係付けられる。
【0071】
・利用者10の携帯端末40と車両20と通信は、インターネットを介するものであっても、短距離通信より携帯端末40と車両20との間で直接を行われるものであってもよい。
【0072】
・また、例えば、利用者10が携帯端末40のカメラを利用して車室内を撮影する等、撮影画像の解析により、その利用車両21において設定されたシート要素Eの調整位置Pを取得する構成としてもよい。このような構成を採用することで、手動式のシート位置調整機構を備えた車両20からの乗り換えについても、これを支援することができる。
【0073】
・上記実施形態では、サービスサーバ45において、利用者10の携帯端末40が取得した調整位置Pに基づく利用車両21における座席30周りの特定距離Dが演算されるとともに、この特定距離Dと利用者10とが関連付けて保持される。そして、乗り換え時にも、サービスサーバ45において、その特定距離Dを乗換車両22に再現するための換算調整位置Pcnvが演算されることとした。しかし、これに限らず、特定距離Dの演算、特定距離Dの保持、及び換算調整位置Pcnvの少なくとも何れかを携帯端末40又は車両20で行なう構成であってもよい。そして、サービスサーバ45を介することなく、利用者10の携帯端末40と車両20とで、上記実施形態と同様の機能を有した車両乗換支援システムを構築してもよい。
【0074】
・また、利用者10の携帯端末40を介することなく、車両20とサービスサーバ45との通信によって、上記実施形態と同様の機能を有した車両乗換支援システムを構築してもよい。尚、この場合における利用者10の照合は、例えば、利用者10による情報入力や、車両20に設けられたカメラ等を用いた生体認証により行なうとよい。そして、複数の車両20間で相互通信を行なうことにより、これらの各車両20によって、上記実施形態と同様の機能を有した車両乗換支援システムを構築してもよい。
【0075】
・上記実施形態では、カーシェアリングやレンタカーサービス等に用いられる車両乗換支援システム1に具体化した。しかし、これに限らず、個人所有者による車両20の購入時や、貸与時等に利用してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…車両乗換支援システム
1a…調整位置取得部
1b…特定距離演算部
1c…特定距離保持部
1d…換算調整位置演算部
10…利用者
21…利用車両
22…乗換車両
30…座席
40…携帯端末
45…サービスサーバ
E…シート要素
P…調整位置
D…特定距離
Pcnv…換算調整位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9