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  • 特開-防霜ファン発電システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018150
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】防霜ファン発電システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/08 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
A01G13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121049
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】519449932
【氏名又は名称】アースリペア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】塩 坂 邦 雄
(57)【要約】
【課題】 防霜運転時以外における防霜ファンの有効活用を図るとともに、防霜ファンの駆動に要する電力を低減する。
【解決手段】 発電制御部322は風向風速計314を参照し、発電に適した条件に該当したときは、ファン12が発電に適した方向となるように方向調整器16によって調整する。次に、切換スイッチ110の切換端子SAを充電電力入力端子SDに接続するとともに、バッテリー240を交流直流変換器210側に切換スイッチ230で切り換える。すると、電動機14で発電された交流電力が、交流直流変換器210で直流に変換されてバッテリー240に供給され、バッテリー240が充電される。バッテリー240内の直流電力は、防霜運転時に直流交流変換器220で交流に変換されて電動機14に供給され、バッテリー240の電力でファン12が回転駆動される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンを電動機で駆動して送風することで霜被害を防止する防霜ファンを使用する防霜ファン発電システムであって、
前記電動機は、前記ファンによって駆動されることで発電可能であり、
前記電動機によって発電された電力を蓄える蓄電手段を備えており、
前記防霜ファンによる防霜運転を行わないときであって、予め設定した発電条件となったときに、前記電動機で発電された電力を前記蓄電手段に蓄える発電運転の制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする防霜ファン発電システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記防霜ファンを防霜運転するときに、前記蓄電手段に蓄えられている電力を、前記電動機に供給する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の防霜ファン発電システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記発電運転時において、前記蓄電手段が満充電となったときは、前記電動機で発電された電力を外部に出力する制御を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の防霜ファン発電システム。
【請求項4】
前記防霜ファンは、そのファンの方向を調整する方向調整手段を備えており、
前記制御手段は、防霜運転時は前記ファンを防霜効果のある方向に調整し、前記発電運転時は前記ファンを発電効果のある方向に調整する制御を行うことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の防霜ファン発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶畑などに設置されて霜被害を防止するための防霜ファンを使用する発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
防霜ファンは、例えば、下記特許文献1に記載されているように、茶畑に立設した支柱の先端にモータ駆動されるファンを取付けた構成となっている。ファンにより、上空数メートルの比較的温かい空気を冷え込む地表付近に対して送り込むことで地表面の温度を上げ、植物などの温度の上昇を図ることで、霜の被害を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-50401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防霜ファンは、新芽が芽吹く春先は霜の害を受けやすいため、特に春先において使用されるが、それ以外の時期では使用されることはない。また、霜被害が予想される時期であっても、一日中使用するわけではない。しかし、それらの時期で防霜ファンを有効活用できれば、好都合である。
【0005】
本発明は、かかる点に着目したもので、その目的は、防霜運転時以外における防霜ファンの有効活用を図ることである。他の目的は、防霜ファンの駆動に要する電力の低減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ファンを電動機で駆動して送風することで霜被害を防止する防霜ファンを使用する防霜ファン発電システムであって、前記電動機は、前記ファンによって駆動されることで発電可能であり、前記電動機によって発電された電力を蓄える蓄電手段を備えており、前記防霜ファンによる防霜運転を行わないときであって、予め設定した発電条件となったときに、前記電動機で発電された電力を前記蓄電手段に蓄える発電運転の制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つによれば、前記制御手段は、前記防霜ファンを防霜運転するときに、前記蓄電手段に蓄えられている電力を、前記電動機に供給する制御を行うことを特徴とする。他の形態によれば、前記制御手段は、前記発電運転時において、前記蓄電手段が満充電となったときは、前記電動機で発電された電力を外部に出力する制御を行うことを特徴とする。更に他の形態によれば、前記防霜ファンは、そのファンの方向を調整する方向調整手段を備えており、前記制御手段は、防霜運転時は前記ファンを防霜効果のある方向に調整し、前記発電運転時は前記ファンを発電効果のある方向に調整する制御を行うことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、防霜ファンが防霜運転を行わないときに、発電運転を行うこととしたので、防霜運転時以外における防霜ファンの有効活用を図ることができ、発電した電力を防霜ファンの駆動に使用することで、防霜運転に要する電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例の全体構成を示すブロック図である。
図2】前記実施例における防霜ファンの設置例を示す図である。
図3】前記実施例における防霜運転の手順を示す図である。
図4】前記実施例における発電運転の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0011】
図1には、本発明の一実施例の全体構成が示されている。同図において、防霜ファン10には、電力制御装置100が設けられている。防霜ファン10は、ファン12と、電動機(モーター)14と、ファン12の方向を調整する方向調整器16を備えている。ファン12は、電動機14によって回転駆動されるようになっている。電動機14としては、本実施例では、発電機としても機能するものを使用する。方向調整器16は、ファン12が風を受ける方向(角度も含む。)を調整するためのもので、調整する方向は電力制御装置100によって決定されるようになっている。
【0012】
次に、電力制御装置100は、切換スイッチ110を備えており、この切換スイッチ110は、切換端子SA,駆動電力入力端子SB,余剰電力出力端子SC,充電電力入力端子SD,充電電力出力端子SEが設けられている。なお、必要に応じて、OFF端子も設けられる。切換端子SAは、前記電動機14に接続されている。駆動電力入力端子SBは、防霜運転を行うときの駆動電力(例えば三相200V)が供給される端子である。余剰電力出力端子SCは、電動機14が発電機として機能しており、発電した電力に余剰が生じたときに、それを出力する端子である。充電電力入力端子SD,充電電力出力端子SEは、蓄電部200に接続されている。
【0013】
上述した充電電力入力端子SDは、蓄電部200の交流直流変換器210に接続されており、充電電力出力端子SEは直流交流変換器220に接続されている。交流直流変換器210,直流交流変換器220は、切換スイッチ230を介してバッテリー(蓄電池)240に接続されている。
【0014】
次に、上述した防霜ファン10,切換スイッチ110,蓄電部200は、制御部300に接続されている。制御部300は、温度計310,タイマー312,風向風速計314,防霜制御部320,発電制御部322を備えている。これらのうち、温度計310は、気温を検知するためのもので、公知の設置位置や設置個数としてよい。タイマー312は、カレンダー機能も備えており、防霜を行う時期や時間が設定されているときは、このタイマー312を参照する。風向風速計314は、防霜ファン10が受ける風の向きや速度を計測するためのものである。
【0015】
防霜制御部320は、予め設定された防霜動作を行う温度条件や時期・時間条件を満たしたときに、ファン10の方向を防霜に適した方向に調整するとともに、蓄電部200もしくは外部からの電力を、バッテリー優先で電動機14に供給する制御を行う機能を備えている。温度条件や時期・時間条件は、利用者が予め設定する。発電制御部322は、予め設定された発電操作を行う風速条件を満たしたときに、ファン10の方向を防霜に適した方向に調整するとともに、電動機14で発電した電力を、蓄電部200もしくは外部に、バッテリー優先で供給する制御を行う機能を備えている。これら防霜制御部320及び発電制御部322は、シーケンサやコンピュータによって構成してよい。また、本実施例では、2つの制御部320,322に分けたが、全体として一つの制御部としてよい。
【0016】
図2には、茶畑における防霜ファン10の設置の様子が示されており、防霜ファン10は、茶畑20の適宜位置に支柱22が立設されており、その先端側に防霜ファン10が設けられている。
【0017】
次に、図3図4も参照しながら、本実施例の動作を説明する。
【0018】
<防霜運転時の動作> 最初に、防霜ファン10を、防霜のために駆動する場合の動作を説明する。この場合、防霜制御部320による制御が、図3に示すように行われる。
a,温度計310やタイマー312を参照し、防霜を行う温度条件や時期・時間条件に該当したと判断されたときは(ステップS10のYes)、ファン12が防霜に適した方向となるように方向調整器16によって調整する(ステップS12)。
b,次に、バッテリー240が充電されているかどうかを判定する(ステップS14)。
c,そして、充電されているときは(ステップS14のYes)、切換スイッチ110の切換端子SAを充電電力出力端子SEに接続するとともに、バッテリー240を直流交流変換器220側に切換スイッチ230で切り換える。すると、バッテリー240内の直流電力が直流交流変換器220で交流に変換されて電動機14に供給されるようになり(ステップS16)、バッテリー240の電力でファン12が回転駆動されるようになる。
d,一方、バッテリー240が充電されていないときは(ステップS14のNo)、切換スイッチ110の切換端子SAを駆動電力入力端子SBに接続し、外部から電動機14に電力が供給され(ステップS18)、外部電力でファン12が回転駆動されるようになる。
【0019】
また、バッテリー240が放電して電圧が低下した場合も、バッテリー240が充電されていないと判断され(ステップS20のNoからステップS14のNo)、同様に、外部から給電が行われる。以上の動作が、防霜運転の終了まで繰り返し行われる(ステップS20のYes)。
【0020】
<発電運転時の動作> 次に、電動機14を発電機として使用する発電運転の場合の動作を説明する。この場合、発電制御部322による制御が、図4に示すように行われる。
a,風向風速計314を参照し、発電に適した風速や風向の条件に該当したと判断されたときは(ステップS30のYes)、ファン12が発電に適した方向となるように方向調整器16によって調整する(ステップS32)。例えば、風の向きにファン12が向くように、方向調整が行われる。この動作は、必要に応じて適宜行われる(場合により、手動でファン12の方向調整を行っても良いし、また、防霜運転のまま、つまり、ファン12の方向調整をしないまま、ファン12により発電するようにしても良い。)。
b,次に、切換スイッチ110の切換端子SAを充電電力入力端子SDに接続するとともに、バッテリー240を交流直流変換器210側に切換スイッチ230で切り換える。すると、電動機14で発電された交流電力が、交流直流変換器210で直流に変換されてバッテリー240に供給され、バッテリー240が充電される(ステップS34)。
c,その結果、バッテリー240が十分に充電されて満充電の状態となったときは(ステップS36のYes)、切換スイッチ110の切換端子SAを余剰電力出力端子SCに接続し、外部に出力する(ステップS38)。出力した交流電力は、売電してもよいし、他の各種の装置の駆動に利用してもよい。以上の動作が、発電条件を満たさなくなるまで繰り返し行われる(ステップS30のNo)。なお、図4の発電運転は、図3の防霜運転が行われていないときに付随的に行われるもので、図3の防霜運転が優先する。
【0021】
以上のように、本実施例によれば、防霜運転を行わないときに、ファン及び電動機による風力発電を行うこととし、発電した電力をバッテリーに充電して防霜運転時に利用し、更には、外部に出力することとしたので、
a,防霜運転時以外における防霜ファンの有効活用を図ることができる(例えば、図示し ないが、図2記載の茶葉の畝と畝との間にわらを敷いて、該わらの下にヒータを設け、 該ヒータの電源に蓄電したバッテリーを用いて、地面付近の温度を上げて未然に防霜効 果を図るようにしても良い。)。
b,防霜運転に必要な電力を低減することができ、経済的である。
【0022】
<他の実施例> なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例は、防霜ファン10の電動機14が交流電力によって駆動される場合を示したが、直流電力で駆動されてもよい。その場合、蓄電部200の交流直流変換器210や直流交流変換器220は不要となる。また、必要に応じて、電圧を調整する降圧器や昇圧器を設けるようにする。
(2)バッテリー240に対する充放電においては、公知の技術をそのまま適用することができ、例えば、過充電などの各種の保護回路を設けるようにしてよい。発電電力の外部出力についても、同様に公知の技術を適用してよい。
(3)前記方向調整器16を設けないときは、ファン12の送風方向は、防霜運転が良好に行われる方向とすればよい。
(4)上述した発電条件としては、例えば風速が設定値以上となった場合としたが、風力発電の公知技術を適用してよい。
(5)本発明は、茶畑のみならず、各種の畑ないし圃場の防霜ファンに適用してよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、防霜ファンが防霜運転を行わないときに、発電運転を行うこととしたので、防霜運転時以外における防霜ファンの有効活用を図ることができ、発電した電力を防霜ファンの駆動に使用することで、防霜運転に要する電力の低減を図ることができ、茶畑などに設置する防霜ファンに好適である。
【符号の説明】
【0024】
10:防霜ファン
12:ファン
14:電動機
16:方向調整器
20:茶畑
22:支柱
100:電力制御装置
110:切換スイッチ
200:蓄電部
210:交流直流変換器
220:直流交流変換器
230:切換スイッチ
240:バッテリー
300:制御部
310:温度計
312:タイマー
314:風向風速計
320:防霜制御部
322:発電制御部
324:温度計
SA:切換端子
SB:駆動電力入力端子
SC:余剰電力出力端子
SD:充電電力入力端子
SE:充電電力出力端子
図1
図2
図3
図4