(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181516
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】表示方法、表示システム
(51)【国際特許分類】
G06T 5/50 20060101AFI20221201BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20221201BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221201BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20221201BHJP
G09G 5/08 20060101ALI20221201BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G06T5/50
H04N5/74 Z
G09G5/00 550C
G09G5/00 530M
G09G5/36 520L
G09G5/08 E
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088508
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙敷 大樹
【テーマコード(参考)】
5B057
5C058
5C087
5C182
【Fターム(参考)】
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5B057CE09
5B057DA07
5B057DA08
5B057DA15
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC16
5B057DC32
5C058BA35
5C058EA02
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA19
5C087AA28
5C087AA32
5C087AA44
5C087DD03
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C182AA04
5C182AA13
5C182AB33
5C182AC03
5C182AC39
5C182BA14
5C182BA29
5C182BA54
5C182CB42
5C182CB52
5C182CB54
(57)【要約】
【課題】社会的距離を確保するための表示を少ない情報処理量で実現する。
【解決手段】第1画像の入力を受け付けることと、第1物体の第1位置情報を取得することと第2物体の第2位置情報を取得することと、第1物体と第2物体との間の距離が閾値以上であった場合に、第1画像と重畳させたとき第1画像を透過させる透過領域を有する第1マスク画像は当該透過領域が第1物体の位置を包含する第2領域と第2物体の位置を包含する第3領域とを含むことと、第1画像と第1マスク画像とを合成して生成した第2画像を第1領域に表示することと、第1物体の位置と第2物体の距離が閾値より小さい場合に、第1画像と重畳させたときに、透過領域が第2領域及び第3領域を含まない第2マスク画像を生成することと、第1画像と第2マスク画像とを合成して生成した第3画像を、第1領域に表示することと、を含む表示方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像の入力を受け付けることと、
物体を検出可能な領域である第1領域に存在する第1物体の位置を示す第1位置情報を取得することと、
前記第1領域に存在する第2物体の位置を示す第2位置情報を取得することと、
前記第1位置情報と前記第2位置情報に基づいて算出される、前記第1物体と前記第2物体との距離が予め定められた閾値以上であった場合に、前記第1画像と重畳させたとき前記第1画像を透過させる透過領域を有する第1マスク画像であり、前記透過領域は、前記第1物体の位置を包含する第2領域と前記第2物体の位置を包含する第3領域とを含む前記第1マスク画像を生成することと、
前記第1画像と前記第1マスク画像とを合成して生成した第2画像を、前記第1領域に表示することと、
前記第1物体の位置と前記第2物体の位置との間の距離が前記閾値より小さい場合に、前記第1画像と重畳させたときに、前記透過領域が前記第2領域及び前記第3領域を含まない第2マスク画像を生成することと、
前記第1画像と前記第2マスク画像とを合成して生成した第3画像を、前記第1領域に表示することと、
を含むことを特徴とする表示方法。
【請求項2】
前記第1物体の位置と前記第2物体の位置との間の距離が前記閾値より小さい場合に、前記第2領域及び前記第3領域に第4画像を重畳することを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記第2領域及び前記第3領域の大きさは変更可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示方法。
【請求項4】
前記第1物体と前記第2物体との距離が前記閾値以上であった場合に、前記透過領域の形状を予め定められた第1形状、または、予め定められた第2形状のうちのいずれか一方を選択できることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項5】
前記第1物体と前記第2物体との距離が前記閾値以上であった場合に、前記第2領域及び前記第3領域に第5画像を重畳することを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項6】
前記第5画像は、前記第2領域の輪郭を表す画像及び前記第3領域の輪郭を表す画像を含むことを特徴とする請求項5に記載の表示方法。
【請求項7】
画像を表示する表示装置と、
情報処理を行う情報処理装置と、
を備え、
情報処理装置は、
第1の画像情報に基づく第1画像の入力を受け付ける受付部と、
物体を検出可能な領域である第1領域に存在する第1物体の位置を示す第1位置情報と、
前記第1領域に存在する第2物体の位置を示す第2位置情報とを取得する取得部と、
前記第1位置情報と前記第2位置情報に基づいて前記第1物体と前記第2物体との距離を算出する演算部と、
前記距離が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
画像を生成する画像生成部と、
複数の前記画像を合成した合成画像を生成する画像合成部と、
を有し、
画像生成部は、前記距離が前記閾値以上であると前記判定部が判定した場合に、
前記第1画像と重畳させたとき前記第1画像を透過させる透過領域を有する第1マスク画像であり、前記透過領域は、前記第1物体の位置を包含する第2領域と前記第2物体の位置を包含する第3領域と、を含む前記第1マスク画像を生成し、
画像合成部は、前記第1画像と前記第1マスク画像とを合成して第2画像を生成し、
表示装置は、前記第2画像を前記第1領域に表示することを特徴とし、
前記画像生成部は、前記第1物体の位置と前記第2物体の位置との間の距離が前記閾値より小さいと前記判定部が判定した場合に、前記透過領域が前記第2領域及び前記第3領域を含まない第2マスク画像を生成し、
前記画像合成部は、前記第1画像と前記第2マスク画像とを合成して第3画像を生成し、
表示装置は、前記第3画像を前記第1領域に表示すること、
を特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、社会的距離を確保するための表示方法、表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症対策として公共の場等で人と人との適切な距離、いわゆる社会的距離を確保することが望まれている。従来は個々人の注意力に頼っていたが、例えば特許文献1では監視カメラが撮影した画像から人物を機械学習によって検出し、検出された人物位置に社会的距離を表す環状線を重畳した画像を表示する混雑情報報知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1に開示されている技術では、社会的距離を示す環状線を画面に重畳表示することしか考慮されていない。ここで、ユーザー位置に対して任意の画像を表示するような表現を行うため、検出されたユーザー位置に基づいた任意のコンテンツ画像をリアルタイムで生成することも考えられる。しかし情報処理量が大きくなってしまい、表示されるまでの遅延が大きくなってしまう課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する一態様は、第1画像の入力を受け付けることと、物体を検出可能な領域である第1領域に存在する第1物体の位置を示す第1位置情報を取得することと、第1領域に存在する第2物体の位置を示す第2位置情報を取得することと、第1位置情報と第2位置情報に基づいて算出される、第1物体と第2物体との間の距離が予め定められた閾値以上であった場合に、第1画像と重畳させたとき第1画像を透過させる透過領域を有する第1マスク画像であり、透過領域は、第1物体の位置を包含する第2領域と、第2物体の位置を包含する第3領域と、を含む第1マスク画像を生成することと、第1画像と第1マスク画像とを合成して生成した第2画像を、第1領域に表示することと、第1物体の位置と第2物体の位置との間の距離が閾値より小さい場合に、第1画像と重畳させたときに、透過領域が第2領域及び第3領域を含まない第2マスク画像を生成することと、第1画像と第2マスク画像とを合成して生成した第3画像を、第1領域に表示することと、を含むことを特徴とする表示方法である。
【0006】
上記課題を解決する他の一態様は、画像を表示する表示装置と、情報処理を行う情報処理装置と、を備える表示システムであって、情報処理装置は、第1の画像情報に基づく第1画像の入力を受け付ける受付部と、物体を検出可能な領域である第1領域に存在する第1物体の位置を示す第1位置情報と、第1領域に存在する第2物体の位置を示す第2位置情報とを取得する取得部と、第1位置情報と第2位置情報に基づいて第1物体と第2物体との間の距離を算出する演算部と、距離が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する判定部と、画像を生成する画像生成部と、複数の画像を合成した合成画像を生成する画像合成部と、を有し、画像生成部は、距離が閾値以上であると判定部が判定した場合に、第1画像と重畳させたとき第1画像を透過させる透過領域を有する第1マスク画像であり、透過領域は、第1物体の位置を包含する第2領域と、第2物体の位置を包含する第3領域と、を含む第1マスク画像を生成し、画像合成部は、第1画像と第1マスク画像とを合成して第2画像を生成し、表示装置は、第2画像を第1領域に表示し、画像生成部は、第1物体の位置と第2物体の位置との間の距離が閾値より小さいと判定部が判定した場合に、透過領域が第2領域及び第3領域を含まない第2マスク画像を生成し、画像合成部は、第1画像と第2マスク画像とを合成して第3画像を生成し、表示装置は、第3画像を第1領域に表示すること、を特徴とする表示システムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】画像生成処理及び画像合成処理のフローチャート。
【
図5】社会的距離以上隔たっている2つの物体の説明図。
【
図6】表示方法における画像生成と画像合成を説明する説明図。
【
図7】社会的距離が確保されている状態における画像表示の説明図。
【
図8】社会的距離未満の状態における画像表示の説明図。
【
図9】変形実施例における画像表示の方法を表す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1~
図9は発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。なお、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0009】
図1は第1実施形態に係る表示システム1の構成を示す説明図である。表示システム1は、情報を処理する情報処理装置15と情報を報知する情報提供装置、具体的には表示装置であるプロジェクター20を有する。具体的には表示システム1は、人物や物体を検出する検出装置10と接続され、情報処理装置15は検出装置10が検出した情報を処理する。また表示システム1は、社会的距離を確保することが必要な対象である第1物体P1に対して社会的距離についての情報を表示する表示装置、具体的には投射光42を発生して投影画像40を投影するプロジェクター20と接続される。
【0010】
プロジェクター20は、第1物体P1として人物を検出した場合、その周囲の床面30に投影画像40を映し出すことにより、社会的距離を第1物体P1である人物に認識させることができる。具体的には第1物体P1を中心とした円板内に、予め情報処理装置15が記憶した画像を表示してよい。このとき情報処理装置15が記憶していた画像の一部を切り出して表示してもよい。第1物体P1である人物にとって社会的距離が確保されているとは、例えば、第1物体P1を中心として半径1mの円板内の範囲に他の人が存在しないことを意味する。プロジェクター20は、第1物体P1の移動に合わせて投影画像40を移動させてよい。
【0011】
検出装置10としては、距離画像、具体的には3次元的な位置情報を取得できるRGB-Dカメラが望ましい。もちろん超音波センサー、ステレオカメラ、LIDAR等の距離を測定できる測定装置を含んでもよい。あるいは検出装置10はカメラ等の撮像装置であって、情報処理装置15の有する画像認識機能によって距離情報を抽出してもよい。
【0012】
情報処理装置15としてはパーソナルコンピューターやスマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)等の情報端末であってよい。情報処理装置15はCPU(Central Processing Unit)、RAMRandom Access Memory)及びROM(Read Only Memory)や記憶媒体等から構成され、各種制御を実行する。CPUはいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて様々な機能を実現する。RAMはCPUの作業領域、記憶領域として使用され、ROMはCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムを記憶する。記憶媒体は例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)であってよい。情報処理装置15は、対象となる物体に対して距離的に近い場所に配置されてもよく、遠隔地に置かれたサーバーであってもよい。情報処理装置15は必ずしも独立した装置である必要はなく、例えば検出装置10やプロジェクター20と一体となった装置が含むプロセッサーであってもよい。
【0013】
またここでは社会的距離についての情報を報知する情報提供装置、具体的には表示装置であるプロジェクター20を例として挙げたが、これに限定されない。具体的には情報を報知する情報提供装置として例えば警報音を発するスピーカーであってもよく、表示装置としては床面全体に展開されて画像を表示するフラットパネルディスプレイであってもよい。またユーザーにヘッドマウントディスプレイ等を装着させて、社会的距離を認識させるためにいわゆる拡張現実画像を現実世界の風景に重畳することで視覚的に情報を報知してもよい。
【0014】
図2は情報処理装置15の構成図である。情報処理装置15は、情報処理をおこなうCPU12と、揮発性記憶素子であるRAM26と、不揮発性記憶素子であるROM27を有する。情報処理装置15は、外部装置、例えばプロジェクター20への出力に用いられる出力I/F部13と、検出装置10からの入力に用いられる入力I/F部14とを備え、内部バス11で接続される。情報処理装置15においてCPU12は、プログラムを実行することによりプロジェクター20で投影するために予め用意された画像を受け付ける受付部16の機能を実現する。CPU12は、検出装置10で検出可能な領域に存在する物体の位置情報を取得する取得部17の機能を実現する。またCPU12は、取得部17で取得された位置情報から物体間の距離等を算出する演算部18の機能を実現する。CPU12は、演算部18で算出された物体間の距離に基づいて判定をおこなう判定部19の機能を実現する。CPU12は、プロジェクター20で投影するための画像を生成する画像生成部21の機能と、複数の画像を合成する画像合成部22の機能を実現する。またCPU12は、情報処理装置15に接続される検出装置10やプロジェクター20の制御をおこなう制御部24の機能を実現する。
【0015】
情報処理装置15において記憶部23は上記位置情報や、画像情報等を記憶する。具体的に例えばプロジェクター20で投影される画像等の必要な情報を記憶する。記憶部23はハードディスクやSSD等の記憶媒体によって実現されてよい。
【0016】
また出力I/F部13と入力I/F部14は、検出装置10やプロジェクター20と有線接続または無線接続によって情報のやり取りをおこなう。出力I/F部13と入力I/F部14は、例えばインターフェース回路を備える。具体的に出力I/F部13と入力I/F部14は、例えばWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信規格に基づいて情報の入出力処理をおこなってよい。
【0017】
図3は本実施形態に係る表示システム1の動作を示すフローチャートである。表示システム1において受付部16は、プロジェクター20で投影するために予め用意された画像を受け付ける(ステップSA1)。次に検出装置10から、検出装置10が物体を検出する検出範囲である第1領域における基準となる状態、すなわち、第1領域内に検出したい物体が含まれない状態において第1領域内を計測した基準距離画像Aを取得する(ステップSA2)。具体的には検出装置10は例えばRGB-Dカメラであり、例えば、
図1における第1物体P1についての距離情報は含まず、床面30についての距離情報を含む基準距離画像Aを予め取得し、情報処理装置15の記憶部23に記憶する。次に、表示システム1は検出装置10から、第1領域内に含まれる物体を検出するために、所定のフレームレートでリアルタイム距離画像Bを取得する(ステップSA3)。リアルタイム距離画像Bには、例えば、
図1における第1物体P1および床面30についての距離情報が含まれる。ここで、取得するフレームレートとしては、5FPS程度であってよい。そして表示システム1の演算部18は、基準距離画像Aとリアルタイム距離画像Bの差分を算出し、差分距離画像Cを取得する(ステップSA4)。この動作によって表示システム1は基準距離画像Aからの変化を認識し、取得部17が差分距離画像Cから検出装置10の検出範囲内に存在する物体の位置情報を取得する(ステップSA5)。差分距離画像Cには、例えば、
図1における第1物体P1の距離情報のみが含まれるので、検出装置10の検出範囲内に存在する第1物体P1の位置情報を取得することができる。ここで位置情報とは、物体の差分距離画像Cから求められた物体の重心位置の情報であってよい。
【0018】
検出範囲内に複数の物体がある場合、演算部18が物体間の距離を算出する(ステップSA6)。次に表示システム1は、画像生成処理及び画像合成処理をおこなう(ステップSA7)。画像生成処理及び画像合成処理については後述する
図4で説明する。なお画像生成処理及び画像合成処理において、表示システム1の判定部19は、検出装置10による検出範囲内における物体の間で、社会的距離が確保されているか否かの判定処理をおこなう。社会的距離の判定については後述する
図5で説明する。
【0019】
そして表示システム1のプロジェクター20が床面30に画像を投影する(ステップSA8)。当該画像は、検出装置10の検出範囲内に存在する複数の物体の間で、社会的距離が確保されている場合はエンターテインメントな要素のある画像であってよく、社会的距離が確保されていない場合は警告画像であってよい。以上のステップを繰り返す(ステップSA3に戻る)。
【0020】
図4は、表示システム1がプロジェクター20で投影する画像の画像生成処理及び画像合成処理のフローチャートである。まず表示システム1は検出範囲内に存在する複数の物体、例えば第1物体P1と第2物体P2との間の距離Dを算出する(ステップSB1)。このとき、表示システム1は
図3で示したフローチャートのステップSA5において取得部17が取得した位置情報を用いて距離Dを算出してよい。具体的には演算部18は、第1物体が位置する場所の位置情報である第1位置情報と第2物体が位置する場所の位置情報である第2位置情報に基づいて、第1物体と第2物体との間の距離Dを算出する。
【0021】
次に表示システム1の判定部19は、距離Dが予め定められた閾値L以上かどうかを判定する(ステップSB2)。ここで閾値Lは例えば2mである。距離Dが閾値L以上の場合(ステップSB2:YES)、画像生成部21が第1マスク画像を生成する(ステップSB3)。そして画像合成部22は第1画像と第1マスク画像を合成して第2画像を生成する(ステップSB4)。表示システム1は、検出範囲である第1領域に第2画像を表示する(ステップSB5)。具体的には情報処理装置15の制御部24がプロジェクター20を制御して、第2画像を投影させる。そして表示システム1は画像生成処理及び画像合成処理を終了する(リターン)。
【0022】
距離Dが閾値L未満の場合(ステップSB2:NO)、画像生成部21が第2マスク画像を生成する(ステップSB6)。ここで第2マスク画像において、第1画像を透過させる透過領域は、第1物体P1が存在する位置を含む第2領域、及び第2物体P2が存在する位置を含む第3領域を含まない。そして画像合成部22は第1画像と第2マスク画像を合成して第3画像を生成する(ステップSB7)。表示システム1は、検出範囲である第1領域に第3画像を表示する(ステップSB8)。具体的には情報処理装置15の制御部24がプロジェクター20を制御して、第3画像を投影させる。具体的には第2領域と第3領域には第1画像を投影しない。さらに表示システム1は、第1物体P1が存在する位置を含む第2領域と、第2物体P2が存在する位置を含む第3領域に第4画像を重畳する(ステップSB9)。第4画像は、検知範囲にいる人物に、社会的距離が確保されていないことを警告する警告表示であることが望ましい。表示システム1は画像生成処理及び画像合成処理を終了する(リターン)。
【0023】
以上をまとめると本実施形態に係る表示システム1は、具体的には表示装置であるプロジェクター20と、情報処理を行う情報処理装置15とを備える表示システムである。表示システム1の情報処理装置15は、第1の画像情報に基づく第1画像の入力を受け付ける受付部16を備える。また情報処理装置15は、物体を検出可能な領域である第1領域に存在する第1物体P1の位置を示す第1位置情報と、第1領域に存在する第2物体の位置を示す第2位置情報とを取得する取得部を有する。さらに情報処理装置15は、第1位置情報と第2位置情報に基づいて第1物体と第2物体との間の距離を算出する演算部18と、第1物体と第2物体との間の距離が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する判定部19を備える。また情報処理装置15は、画像を生成する画像生成部21と、複数の画像を合成した合成画像を生成する画像合成部22とを有する。画像生成部21は、第1物体と第2物体との間の距離が閾値以上であると判定部19が判定した場合に、第1画像と重畳させたとき第1画像を透過させる透過領域を有するマスク画像である第1マスク画像を生成する。透過領域は、第1物体の位置を包含する第2領域と、第2物体の位置を包含する第3領域とを含む。画像合成部22は、第1画像と第1マスク画像とを合成して第2画像を生成する、表示装置であるプロジェクター20は、第2画像を第1領域に表示する。
【0024】
画像生成部21は、第1物体の位置と第2物体の位置との間の距離が閾値より小さいと判定部19が判定した場合に、透過領域が第2領域及び第3領域を含まない第2マスク画像を生成する。そして画像合成部22は、第1画像と第2マスク画像とを合成して第3画像を生成する。表示装置であるプロジェクター20は、第3画像を第1領域に表示する。
【0025】
図5~
図9を用いて第2実施形態に係る表示方法を説明する。
【0026】
図5は社会的距離以上隔たっている2つの物体に対して情報を提供する表示方法の説明図である。具体的には表示方法では、距離を検出可能な領域を第1領域43と設定する。次に表示方法は、第1領域43内にある第1物体P1が位置する場所の位置情報である第1位置情報を取得し、第1領域43内にある第2物体P2が位置する場所の位置情報である第2位置情報を取得する。ここで位置情報とは、例えば物体が検出された領域の重心位置でよい。表示方法では、第1位置情報と第2位置情報に基づいて、第1物体P1と第2物体P2との間の距離Dを算出する。表示方法は距離Dの大きさと、予め定められた閾値Lの大きさを比較して社会的距離が確保されているか否かを判定する。
【0027】
距離Dが予め定められた閾値L以上である場合、社会的距離が確保されている状態なので、表示方法は社会的距離が確保されている旨を第1物体P1である人物と第2物体P2である人物へ報知する。具体的には表示方法では第1物体P1の位置を中心とした半径dの円板領域を第2領域45と設定し、第2物体P2の位置を中心として半径dの円板領域を第3領域47と設定する。ここで半径dは例えば1mである。閾値Lは社会的距離であり、例えば2mである。第2領域45と第3領域47の輪郭は、社会的距離を確保するための領域の輪郭を示すものであり、ここでは環状の第1形状49である。
【0028】
図6は、本実施形態に係る表示方法における画像生成処理と画像合成処理を説明する説明図である。図中の足し算の記号は、複数の画像を合成させて新たな画像を生成することを意味し、矢印は画像合成処理の結果が矢印の先に示された図のようになることを意味する。まず第1画像50の入力を受け付ける。次に第1物体P1の位置を含む領域である第2領域45と、第2物体P2の位置を含む領域である第3領域47とを含む透過領域60のあるマスク画像である第1マスク画像55を生成する。そして第1画像50と第1マスク画像55を合成することで第2画像65を生成する。
【0029】
図7は、社会的距離が確保されている状態における画像表示の説明図である。距離検出が可能な領域である第1領域43に存在する第1物体P1と第2物体P2について、第1物体の位置を示す第1位置情報を取得し、第1領域に存在する第2物体の位置を示す第2位置情報を取得する。次に第1位置情報と第2位置情報に基づいて算出される、第1物体P1と第2物体P2との間の距離Dが予め定められた閾値L以上であった場合に、第1画像50と重畳させたとき第1画像50を透過させる透過領域60を有するマスク画像を生成する。このとき透過領域60は、第1物体P1の位置を包含する第2領域45と、第2物体P2の位置を包含する第3領域47とを含む。また第1画像と第1マスク画像とを合成して生成した第2画像65を、第1領域43に表示する。
【0030】
図8は、検出可能な領域である第1領域43にある第1物体P1と第2物体P2との間の距離Dが社会的距離未満の場合における画像表示の説明図である。具体的には、第1物体P1の位置と第2物体P2の位置との間の距離Dが閾値Lより小さい場合に、第1画像50と重畳させたときに、透過領域60が第2領域45及び第3領域47を含まない第2マスク画像67を生成する。そして表示方法は、第1画像50と第2マスク画像67とを合成して生成した第3画像69を、第1領域43に表示する。具体的には、第2マスク画像67では、社会的距離が確保されている場合に表示される第1画像50が第2領域45と第3領域47にあるマスク画像で覆い隠されている。そして第2領域45及び第3領域47に第4画像70を重畳する。具体的には第4画像70は、第1物体P1である人物と、第2物体P2である人物に、社会的距離が確保されていないことを警告する警告画像であることが好ましい。ここで閾値Lは例えば2mである。
【0031】
図9は、本実施形態に係る表示方法の変形実施例における画像表示の方法を表す説明図である。第1物体P1と第2物体P2との間の距離Dが閾値L以上であった場合を考える。このとき表示方法は、透過領域60の形状を予め定められた複数の形状、例えば円形状である第1形状49(
図5参照)、または、円形状とは異なる予め定められた第2形状77のうちのいずれか一方を選択できるとする。
図9では第2形状77が選択されている。このとき第2形状77の大きさは、社会的距離を確保するための領域を示す円板領域80の大きさよりも大きくてもよく、社会的距離を確保するための領域を示す円板領域80の大きさよりも小さくてもよい。具体的には第2領域45及び第3領域47の大きさは変更可能であってよい。
【0032】
第1物体P1と第2物体P2との間の距離Dが閾値L以上であった場合に、表示方法は、第2領域45及び第3領域47に第5画像75を重畳する。具体的に第5画像75は、第2領域45の輪郭を表す画像及び第3領域47の輪郭を表す画像を含んでよい。あるいは第5画像75は第2領域45及び第3領域47を含む領域の輪郭を表す画像でもよい。
【0033】
第1実施形態に係る表示システム1は、画像を表示する表示装置であるプロジェクター20と、情報処理を行う情報処理装置15と、を備える表示システムであって、情報処理装置15は、第1の画像情報に基づく第1画像50の入力を受け付ける受付部16と、物体を検出可能な領域である第1領域43に存在する第1物体P1の位置を示す第1位置情報と、第1領域43に存在する第2物体P2の位置を示す第2位置情報とを取得する取得部17と、第1位置情報と第2位置情報に基づいて第1物体P1と第2物体P2との間の距離を算出する演算部18と、距離が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する判定部19と、画像を生成する画像生成部21と、複数の画像を合成した合成画像を生成する画像合成部22とを有し、画像生成部21は、距離が閾値以上であると判定部19が判定した場合に、第1画像50と重畳させたとき第1画像50を透過させる透過領域60を有する第1マスク画像であり、透過領域60は、第1物体P1の位置を包含する第2領域45と、第2物体P2の位置を包含する第3領域47と、を含む第1マスク画像55を生成し、画像合成部22は、第1画像50と第1マスク画像55とを合成して第2画像65を生成することを特徴とし、表示装置であるプロジェクター20は、第2画像65を第1領域43に表示することを特徴とし、画像生成部21は、第1物体P1の位置と第2物体P2の位置との間の距離が閾値より小さいと判定部19が判定した場合に、透過領域60が第2領域45及び第3領域47を含まない第2マスク画像67を生成し、画像合成部22は、第1画像50と第2マスク画像67とを合成して第3画像69を生成すし、表示装置であるプロジェクター20は、第3画像69を第1領域43に表示することを特徴とする表示システムである。
【0034】
このような表示システムによれば、検出可能な領域にいる人に社会的距離が保たれているか否かを提示できる。そして少ない計算処理によって、任意のコンテンツ画像を表示することができる。
【0035】
第2実施形態に係る表示方法は、第1画像の入力を受け付けることと、物体を検出可能な領域である第1領域43に存在する第1物体P1の位置を示す第1位置情報を取得することと、第1領域43に存在する第2物体P2の位置を示す第2位置情報を取得することと、第1位置情報と第2位置情報に基づいて算出される、第1物体P1と第2物体P2との間の距離が予め定められた閾値以上であった場合に、第1画像50と重畳させたとき第1画像50を透過させる透過領域60を有する第1マスク画像であり、透過領域60は、第1物体の位置を包含する第2領域45と、第2物体P2の位置を包含する第3領域47と、を含む当該第1マスク画像55を生成することと、第1画像50と第1マスク画像55とを合成して生成した第2画像65を、第1領域43に表示することと、第1物体P1の位置と第2物体P2の位置との間の距離が閾値より小さい場合に、第1画像50と重畳させたときに、透過領域60が第2領域45及び第3領域47を含まない第2マスク画像67を生成することと、第1画像50と第2マスク画像67とを合成して生成した第3画像69を、第1領域43に表示することと、を含む。
【0036】
このような表示方法によれば、社会的距離が確保されている場合に、対象となっている人物の位置を含む領域に、社会的距離が確保されている旨を報知する任意の第1画像を投影できる。また社会的距離が確保されていない場合に、対象となっている人物の位置を含む領域に、社会的距離が確保されている旨を報知する任意の第1画像を投影することがない。そのため少ない計算処理によって、検出可能な領域にいる人に社会的距離が保たれているか否かを提示できる。
【0037】
第2実施形態に係る表示方法は、第1物体P1の位置と第2物体P2の位置との間の距離が閾値より小さい場合に、第2領域45及び第3領域47に第4画像70を重畳することを含む。
【0038】
このような表示方法によれば、社会的距離が確保されていない場合に、対象となっている人物の位置を含む領域に、社会的距離が確保されていない旨を報知する警告画像を投影することができる。そのため公共の場等で社会的距離を確保しやすくなるので、感染症の感染予防に資する。
【0039】
第2実施形態に係る表示方法は、第2領域45及び第3領域47の大きさは変更可能である。
【0040】
このような表示方法によれば、十分な社会的距離を確保すべき場合には、人と人の距離を大きくするように促す画像を表示し、社会的距離を大きくとらなくてよい場合には人と人の間の距離を狭めても問題が無い旨を伝える画像を表示することができる。
【0041】
第2実施形態に係る表示方法は、第1物体P1と第2物体P2との間の距離が閾値以上であった場合に、透過領域60の形状を予め定められた第1形状49、または、予め定められた第2形状77のうちのいずれか一方を選択できる。
【0042】
このような表示方法によれば、社会的距離が確保されている旨を報知する画像を任意の形状で提供することができる。
【0043】
第2実施形態に係る表示方法は、第1物体P1と第2物体P2との距離が閾値以上であった場合に、第2領域45及び第3領域47に第5画像75を重畳する。
【0044】
このような表示方法によれば、どの程度の社会的距離が適切かということとは無関係に、表示をさせたい領域に表示したい画像を投影することができる。そのため距離の検出が可能な領域にいる人へ視覚的に情報を伝えることができる。
【0045】
第2実施形態に係る表示方法は、第5画像は、第2領域の輪郭を表す画像及び第3領域の輪郭を表す画像を含む。
【0046】
このような表示方法によれば、距離が検出可能な領域にいる人の位置を含む予め定められた領域の輪郭部分に画像を表示することができるので、社会的距離を認識しやすくなる。そのため公共の場等で社会的距離を確保しやすくなるので、感染症の感染予防に資する。
【0047】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。
【0048】
例えば、
図1や
図2に示した各部や各装置は一例であって、具体的な実装形態は特に限定されない。つまり、必ずしも各部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで各部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上述した実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、検出装置10と、情報処理装置15と、表示装置であるプロジェクター20等の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0049】
また例えば、
図3、
図4に示す処理動作のステップ単位は、表示システム1で実現される表示方法の各工程の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり処理単位の分割の仕方や名称によって本発明が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本発明の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…表示システム、10…検出装置、11…内部バス、12…CPU、13…出力I/F部、14…入力I/F部、15…情報処理装置、16…受付部、17…取得部、18…演算部、19…判定部、20…プロジェクター、21…画像生成部、22…画像合成部、23…記憶部、24…制御部、26…RAM、27…ROM、30…床面、40…投影画像、42…投射光、43…第1領域、45…第2領域、47…第3領域、49…第1形状、50…第1画像、55…第1マスク画像、60…透過領域、65…第2画像、67…第2マスク画像、69…第3画像、70…第4画像、75…第5画像、77…第2形状、80…社会的距離未満の範囲を示す円板領域、D…第1物体と第2物体の間の距離、P1…第1物体、P2…第2物体。