IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人 千葉大学の特許一覧

特開2022-181517共振型電力変換回路及び非接触給電システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181517
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】共振型電力変換回路及び非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20221201BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20221201BHJP
【FI】
H02M3/155 Q
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088509
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】三島 大地
(72)【発明者】
【氏名】長岡 真吾
(72)【発明者】
【氏名】上松 武
(72)【発明者】
【氏名】関屋 大雄
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AA15
5H730AS13
5H730BB21
5H730BB61
5H730CC04
5H730EE01
5H730EE07
5H730EE08
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG05
5H730FG07
5H730FG11
5H730FG12
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、演算コストを大幅に軽減する共振型電力変換回路等を提供する。
【解決手段】本発明の共振型電力変換回路は、第1のLC共振回路とスイッチング素子を含み、出力電圧又は出力電流を負荷に出力する共振回路と、出力電圧又は出力電流である出力情報を検出する検出回路と、検出された出力情報に基づいて、動作周波数に対する出力情報の特性における極大点を探索して、探索された極大点に対応する動作周波数を決定する演算制御部と、決定された動作周波数を有する駆動制御信号を発生して、駆動制御信号に基づいてスイッチング素子を周波数制御する信号発生部とを備える。共振回路は、極大点に対応する、負荷に依存しない負荷非依存点を有する動作周波数に対する出力情報の特性を有し、出力情報を含む駆動制御信号をスイッチング素子に帰還させ、駆動制御信号による周波数制御により前記負荷非依存点で駆動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のLC共振回路とスイッチング素子を含み、出力電圧又は出力電流を負荷に出力する共振回路と、
前記出力電圧又は出力電流である出力情報を検出する検出回路と、
前記検出された出力情報に基づいて、所定の極大点探索法を用いて、動作周波数に対する出力情報の特性における極大点又は所望の電圧を探索して、探索された極大点又は所望の電圧に対応する動作周波数を決定する演算制御部と、
前記決定された動作周波数を有する駆動制御信号を発生して、前記駆動制御信号に基づいて前記スイッチング素子を周波数制御する信号発生部とを備え、
前記共振回路は、前記極大点又は所望の電圧に対応する、前記負荷に依存しない負荷非依存点を有する前記動作周波数に対する出力情報の特性を有し、
前記共振回路は、前記出力情報を含む駆動制御信号を前記スイッチング素子に帰還させ、前記駆動制御信号による周波数制御により前記負荷非依存点で駆動する、
共振型電力変換回路。
【請求項2】
前記極大点探索法は、山登り法である、
請求項1に記載の共振型電力変換回路。
【請求項3】
前記信号発生部は、PWM信号である前記駆動制御信号に基づいて、前記スイッチング素子をスイッチング制御することで、前記スイッチング素子を周波数制御する、
請求項1又は2に記載の共振型電力変換回路。
【請求項4】
前記駆動制御信号は、前記スイッチング素子をオン又はオフする2値信号である、
請求項3に記載の共振型電力変換回路。
【請求項5】
請求項1~4のうちのいずれか1つに記載の共振型電力変換回路を備える送電装置と、
受電装置と、
を備える非接触給電システムであって、
前記受電装置は、
前記第1のLC共振回路と結合し、前記第1のLC共振回路からの交流電力を受電する第2のLC共振回路と、
前記第2のLC共振回路で受電された交流電力を直流電力に整流して所定の負荷に出力する整流回路と、
を備える、非接触給電システム。
【請求項6】
前記送電装置はさらに、
前記第1のLC共振回路の前段に設けられ、所定の直流電圧を交流電圧に変換して前記第1のLC共振回路に出力するインバータ回路を、
備える、請求項5に記載の非接触給電システム。
【請求項7】
前記受電装置はさらに、
前記受電装置の出力情報を検出して無線送信する受電制御部を備え、
前記送電装置はさらに、
前記第1のLC共振回路の前段に設けられ、所定の交流電圧に基づいて入力電流の波形を整形することにより力率を改善する力率改善回路と、
前記無線送信された出力情報を無線受信して、前記出力情報に基づいて前記力率改善回路の動作を制御する力率改善回路制御部と、
を備える、請求項6に記載の非接触給電システム。
【請求項8】
前記受電装置において前記整流回路と前記負荷との間に挿入され、入力される直流電圧を所定の直流電圧に変換する第1のDC/DCコンバータと、
前記送電装置において前記インバータ回路の前段に設けられ、入力される直流電圧を所定の直流電圧に変換する第2のDC/DCコンバータと、
のうちの少なくとも1つを備え、
前記第1のLC共振回路のインダクタと前記第2のLC共振回路のインダクタとの間の結合度kが変化したときに、前記負荷の出力電圧に基づいて、前記出力電圧が所定の電圧になるように、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちのいずれか1つを制御する電圧制御部を、
備える、請求項6又は7に記載の非接触給電システム。
【請求項9】
前記送電装置はさらに、
前記インバータ回路の前段に設けられ、所定の交流電圧を整流して直流電圧に変換して前記インバータ回路に出力する整流回路を、
備える、請求項6~8のうちのいずれか1つに記載の非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振型電力変換回路と、前記共振型電力変換回路を用いた非接触給電システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人搬送車(AGV(Automatic Guided Vehicle)などの移動体はリチウムイオンバッテリーなどの充電池を搭載している。この充電池を充電するときは、AGVを充電ステーションまで移動させた後、AGVに搭載された受電コイルを、充電ステーションの送電コイルに電磁的に結合させて非接触充電システムにおいて非接触充電を行う。
【0003】
前記非接触充電システムの一例である図12の非接触給電システムにおいては、トランスTR11の1次側コイルのインダクタL11と、抵抗R11と、キャパシタC11との直列共振回路に、電圧v11の交流電源31が接続される。また、トランスTR11の2次側コイルのインダクタL12と、抵抗R12と、キャパシタC12との直列共振回路に負荷抵抗RLが接続される。ここで、トランスTR11のインダクタL11,L12は互いに結合度kで電磁的に結合される。交流電源31から電流i11を流したときに、負荷抵抗RLに電圧v12が印加されて電流i12が流れる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Mohammad Mahdi Ahmadi, et al., "A Self-Tuned Class-E Power Oscillator," IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS, VOL. 34, NO. 5, MAY 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記非接触充電システムの一例である図12の非接触給電システムにおいては、図13に示すように以下の2つの課題があった。
【0006】
(課題1)送電コイルと受電コイルとの間の位置関係が変化するとインダクタンスが変化し、共振周波数frが変化しスイッチング周波数fswとfrが不一致することにより効率悪化などの悪影響を及ぼす。これにより、スイッチング周波数を共振周波数に一致させるためにはスイッチング素子の駆動回路を制御するための機構が必要となる。また、インダクタンスの変化により充電回路の出力電圧、出力電流等の出力特性が変化するため充電池の充電プロファイルを満たすための回路設計や制御が複雑になる。
【0007】
(課題2)充電池の残量によって負荷が変動し、その結果、充電回路の出力電圧、出力電流等の出力特性が変動する。これにより、充電池の充電プロファイルを満たすための回路設計や制御が複雑になる。
【0008】
従って、前記2つの課題を解決するための複雑な制御及び制御に伴う機構の追加が必要になり、電力変換効率の低下、体積や重量、コストの増加という問題点があった。
【0009】
これらの2つの課題を解決するために、非特許文献1に開示された図14のE級共振型インバータ回路が提案されているが、課題2を解決するためには、180度の位相が反転して負荷非依存性を有する必要があるが、位相を反転するためには位相制御が必要である。しかし、当該位相制御を行う演算制御部の演算コストが多大になるという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、前記2つの課題を解決することができ、しかも従来技術に比較して演算コストを大幅に軽減することができる共振型電力変換回路と、前記共振型電力変換回路を用いた非接触給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る共振型電力変換回路は、
第1のLC共振回路とスイッチング素子を含み、出力電圧又は出力電流を負荷に出力する共振回路と、
前記出力電圧又は出力電流である出力情報を検出する検出回路と、
前記検出された出力情報に基づいて、所定の極大点探索法を用いて、動作周波数に対する出力情報の特性における極大点又は所望の電圧を探索して、探索された極大点又は所望の電圧に対応する動作周波数を決定する演算制御部と、
前記決定された動作周波数を有する駆動制御信号を発生して、前記駆動制御信号に基づいて前記スイッチング素子を周波数制御する信号発生部とを備え、
前記共振回路は、前記極大点又は所望の電圧に対応する、前記負荷に依存しない負荷非依存点を有する前記動作周波数に対する出力情報の特性を有し、
前記共振回路は、前記出力情報を含む駆動制御信号を前記スイッチング素子に帰還させ、前記駆動制御信号による周波数制御により前記負荷非依存点で駆動する。
【発明の効果】
【0012】
従って、本発明によれば、以上のように構成することで、前記2つの課題を解決することができ、しかも従来技術に比較して演算コストを大幅に軽減することができる共振型電力変換回路と、前記共振型電力変換回路を用いた非接触給電システムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る共振型電力変換回路の構成例を示す回路図である。
図2図1のMOSトランジスタQ1に印加するゲート電圧信号Vfと出力電圧V0との間の関係およびそれらの位相差θを示す波形図である。
図3A図1の共振型電力変換回路のシミュレーション結果であって、パラメータL0/L0rate=0.9のときの、動作周波数fに対する出力電圧Vo及び位相差θを示すグラフである。
図3B図1の共振型電力変換回路のシミュレーション結果であって、パラメータL0/L0rate=1.0のときの、動作周波数fに対する出力電圧Vo及び位相差θを示すグラフである。
図3C図1の共振型電力変換回路のシミュレーション結果であって、パラメータL0/L0rate=1.1のときの、動作周波数fに対する出力電圧Vo及び位相差θを示すグラフである。
図4図3Bのグラフにおいて、図1の共振型電力変換回路で山登り法による周波数制御を行ったときの制御例を示すグラフである。
図5図1の制御回路10により実行される動作周波数決定処理を示すフローチャートである。
図6図5の動作周波数決定処理により動作周波数を決定したときの動作周波数fに対する出力電圧Voのグラフにおける制御例を示すグラフである。
図7図1の制御回路10により実行される詳細な動作周波数決定処理を示すフローチャートである。
図8図7の動作周波数決定処理における進行幅決定処理P3における進行幅dfを設定するためのグラフを示す図である。
図9図1の共振型電力変換回路を非接触給電システムに適用したときの当該非接触給電システムの構成例を示すブロック図である。
図10A図9のLC共振回路13の構成例を示す回路図である。
図10B】変形例1に係るLC共振回路13Aの構成例を示す回路図である。
図10C】変形例2に係るLC共振回路13Bの構成例を示す回路図である。
図10D】変形例3に係るLC共振回路13Cの構成例を示す回路図である。
図10E】変形例4に係るLC共振回路13Dの構成例を示す回路図である。
図10F】変形例5に係るLC共振回路13Eの構成例を示す回路図である。
図11A図9のLC共振回路14の構成例を示す回路図である。
図11B】変形例6に係るLC共振回路14Aの構成例を示す回路図である。
図11C】変形例7に係るLC共振回路14Bの構成例を示す回路図である。
図11D】変形例8に係るLC共振回路14Cの構成例を示す回路図である。
図11E】変形例9に係るLC共振回路14Dの構成例を示す回路図である。
図11F】変形例10に係るLC共振回路14Eの構成例を示す回路図である。
図12】従来技術に係る共振型電力変換回路を用いた非接触給電システムの回路例を示す回路図である。
図13図12の共振型電力変換回路の動作例を示すグラフである。
図14】従来技術に係るE級共振型インバータ回路の回路例を示す回路図である。
図15図14のE級共振型インバータ回路の動作例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態及び変形例について図面を参照して説明する。なお、同一又は同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0015】
(発明者の知見)
図14は従来技術に係るE級共振型インバータ回路の回路例を示す回路図であり、図15図14のE級共振型インバータ回路の動作例を示す波形図である。
【0016】
図14において、E級共振型インバータ回路90は、分圧抵抗Rd1,Rd2、帰還インダクタLF及び分圧キャパシタCn1,Cn2からなる直流バイアス回路31Aと、MOS電界効果トランジスタ(以下、MOSトランジスタという。)Q1と、インダクタL21,L22と、キャパシタC21,C22と、負荷抵抗RLとを備えて構成される。
【0017】
図14のE級共振型インバータ回路90において、電源電圧VDDはインダクタL21を介してMOSトランジスタQ21のドレインに印加されるとともに、分圧抵抗Rd1,Rd2により分圧された直流バイアス電圧がMOSトランジスタQ21のゲートに印加される。負荷抵抗Roの両端の出力電圧Voは分圧キャパシタCn1,Cn2により分圧された後、帰還インダクタLFを介してゲート信号としてMOSトランジスタQ1のゲートに印加される。MOSトランジスタQ1で発生される出力ソース電圧VsはキャパシタC1,C2及びインダクタL2を介して出力電圧Voとして負荷抵抗RLに出力される。ここで、MOSトランジスタQ1のゲートに印加されるゲート電圧信号Vfは、図15に示すように、出力電圧Voに対して140度だけ移相された電圧となる。
【0018】
以上のように構成された非特許文献1に係るE級共振型インバータ回路90では、出力電圧Voの波形に対してゲート電圧信号Vfの位相が140度しかシフトできないため、課題2を解決することができないため、共振回路のインダクタンス及び負荷変動に対応するための制御が必要になるという問題点があった。
【0019】
そこで、本発明に係る実施形態では、課題1及び2をともに解決することができる共振型電力変換回路及び、前記共振型電力変換回路を用いた非接触給電システムについて以下に説明する。
【0020】
(実施形態)
図1は実施形態に係る共振型電力変換回路の構成例を示す回路図である。図1において、実施形態に係る共振型電力変換回路は、共振回路1と、検出回路2と、制御回路10とを備えて構成される。ここで、共振型電力変換回路は具体的には、共振型インバータ回路である。制御回路10は、演算制御部3と、信号発生部4とを備える。ここで、共振回路1は、直流電源5と、平滑インダクタLfと、スイッチング素子であるMOSトランジスタQ1と、キャパシタCs,C0と、インダクタL0とを備えて、LC共振回路を構成する。
【0021】
図1の共振型電力変換回路において、直流電源5からの入力電圧Vinは平滑インダクタLfを介して、スイッチング素子として動作するMOSトランジスタQ1のドレイン-ソース間及び共振キャパシタCsに印加される。MOSトランジスタQ1のゲートには、信号発生部4からの、スイッチング素子Q1を駆動制御するゲート電圧信号Vf(駆動制御信号)が印加され、MOSトランジスタQ1はゲート電圧信号Vfに基づいてオン又はオフでスイッチング制御される。
【0022】
なお、共振回路1において、共振キャパシタCs,C0は非接触給電システムにおける送電側共振キャパシタに対応する。また、共振インダクタL0は、非接触給電システムにおけるトランス(送電コイル)の自己インダクタンスに対応する。
【0023】
検出回路2は、負荷抵抗RLの電圧を検出して直流電圧に変換して演算制御部3に出力する。検出回路2において、負荷抵抗RLの電圧を分圧抵抗R1,R2で分圧して、分圧後の電圧を整流ダイオードD1により整流した後、平滑キャパシタCsmにより平滑することで、出力電圧Voを得て演算制御部3に出力する。
【0024】
演算制御部3は、検出された出力電圧Voに基づいて、例えば山登り法などの極大値検索法を用いて、図5又は図7の動作周波数決定処理を実行することで、動作周波数に対する出力電圧Voの特性における出力電圧Voの極大値を検索し、検索された出力電圧Voの極大値に対応する動作周波数を決定して信号発生部4に出力する。信号発生部4は、入力される動作周波数を有するPWM(Pulse Width Modulation)信号を発生して、ゲート電圧信号VfとしてMOSトランジスタQ1のゲートに印加するこことで、MOSトランジスタQ1及びLC共振回路を含む共振回路1の周波数を制御する。
【0025】
図2図1のMOSトランジスタQ1に印加するゲート電圧信号Vfと出力電圧V0との間の関係およびそれらの位相差θを示す波形図である。図2から明らかなように、ゲート電圧信号Vfと出力電圧V0との間において、位相差θが存在するときは、出力電圧Voの極大値から離隔している状態となる。
【0026】
図3A図1の共振型電力変換回路のシミュレーション結果であって、パラメータL0/L0rate=0.9のときの、動作周波数fに対する出力電圧Vo及び位相差θを示すグラフである。また、図3Bは、図1の共振型電力変換回路のシミュレーション結果であって、パラメータL0/L0rate=1.0のときの、動作周波数fに対する出力電圧Vo及び位相差θを示すグラフである。さらに、図3Cは、図1の共振型電力変換回路のシミュレーション結果であって、パラメータL0/L0rate=1.1のときの、動作周波数fに対する出力電圧Vo及び位相差θを示すグラフである。図3A以降の図面において、Lorateは共振インダクタL0の基準素子値(インダクタンス値)であり、RLrateは負荷抵抗RLの基準素子値(抵抗値)である。
【0027】
ここで、図3A図3Cは、インダクタンスの比率L0/L0rateを変化したときに、負荷非依存点が変動することを示している。
【0028】
図3Bから明らかなように、動作周波数に対して出力電圧Voは、負荷非依存点101である極大点が存在し、このとき、位相差θは0度(符号102)であって、負荷非依存性とゼロボルトスイッチング(ZVS)を達成することができる。
【0029】
図3Aに示すように、インダクタンスL0の変化によって、出力電圧Voは、負荷非依存点101から111に変化し、位相差θは0度(符号112)となり、対応する動作周波数に制御する。また、図3Cに示すように、インダクタンスL0の変化によって、出力電圧Voは、負荷非依存点101から121に変化し、位相差θは0度(符号122)になり、対応する動作周波数に制御する。
【0030】
図4図3Bのグラフにおいて、図1の共振型電力変換回路で山登り法による周波数制御を行ったときの制御例を示すグラフである。図4から明らかなように、出力電圧曲線の極大点又は所望の電圧に負荷非依存点101を有するときに、山登り法による周波数制御を行ったとき、SS1~SS5に示すように、予め設定した周波数から一方向に周波数を変化し、電圧の傾きが反転したこと検出し、周波数の変化の方向を反転させ、これを繰り返し、電圧の極大点又は所望の電圧を探索することができる。なお、後者の「所望の電圧を探索する」場合は以下の通りである。負荷変動範囲を広げた場合に軽負荷に(負荷抵抗大)となったとき、図3A図3CのRL/RLrate=8,10のように、極大点を持ちません。したがって、制御の目標値は極大点に代えて、出力電圧値(結果的にこの点が極大点又はその近傍となる共振回路の設定)が所望の電圧となるように、負荷変動によるグラフの変化に依存することなく制御してもよい。
【0031】
図5図1の制御回路10により実行される動作周波数決定処理を示すフローチャートである。
【0032】
図5のステップS1において、共振回路1の出力電圧Voを検出し、これを出力電圧V0として設定する。次いで、ステップS2において、出力電圧V0≧Vtであるか否かが判断され、YESのときはステップS3に進む一方、NOのときはステップS9に進む。ステップS3では、動作周波数fを所定のシフト周波数Δfだけ低下させ、すなわち、動作周波数fに対して(f-Δf)を代入し、共振回路1の出力電圧Voを検出し、出力電圧Voを電圧V1に代入する。また、ステップとS4では、動作周波数fを所定のシフト周波数Δfだけ増大させ(元の動作周波数に戻し)、すなわち、動作周波数fに対して(f+Δf)を代入し、共振回路1の出力電圧Voを検出し、出力電圧Voを電圧V2に代入する。
【0033】
次いで、ステップS5において、V0<V1かつV1>V2であるか否かが判断され、YESのときはステップS6に進む一方、NOのときはステップS7に進む。ステップS6では、動作周波数fを所定のシフト周波数Δfdだけ低下させ、すなわち、動作周波数fに対して(f-Δfd)を代入した後、ステップS1に戻る。一方、ステップS7では、V0>V1かつV1<V2であるか否かが判断され、YESのときはステップS8に進む一方、NOのときはステップS1に戻る。ステップS8では、動作周波数fを所定のシフト周波数Δfuだけ増大させ、すなわち、動作周波数fに対して(f+Δfu)を代入した後、ステップS1に戻る。さらに、ステップS9では、動作周波数fを負荷非依存点の動作周波数として決定し、当該動作周波数決定処理を終了する。
【0034】
なお、図7の動作周波数決定処理において、シフト周波数Δf,Δfu,Δfdは図8の進行幅dfに対応する。
【0035】
図6図5の動作周波数決定処理により動作周波数を決定したときの動作周波数fに対する出力電圧Voのグラフにおける制御例を示すグラフである。図6から明らかなように、動作周波数に対する出力電圧Voの特性において、動作点Aから動作点Bを経て、負荷非依存点101に達することがわかる。
【0036】
図7図1の制御回路10により実行される詳細な動作周波数決定処理を示すフローチャートである。図7の動作周波数決定処理を実行するとき、以下の初期化処理がまず実行される。なお、各数値は一例を示すものである。
【0037】
<初期化処理>
評価関数値の境界値:EVAL_BOUNDARY←0.025
進行幅のデフォルト値:DEFAULT_DF←9.0×10
動作周波数のデフォルト値:DEFAULT_F←0.943×10
サンプリング計数値の最大値:SAMPLING_COUNT_MAX←2000
最大動作周波数:MAX_F←1.2×10
最小動作周波数:MIN_F←0.8×10
目標電圧:V_REF←1.44
評価関数値の現在値:evalNow←0
評価関数値のプリセット値:evalPre←1.0×1010
進行幅:dF←DEFAULT_DF
動作周波数の現在値:fNOW←DEFAULT_F
動作周波数のプリセット値:fPre←DEFAULT_F
サンプリング計数値:samplingCount←0
【0038】
図7のステップS11では、共振回路1の出力電圧Voのサンプル値vSampleを入力した後、ステップS11~S12からなる動作周波数変更間隔処理P1を実行する。
【0039】
動作周波数変更間隔処理P1は、サンプリング計数値の最大値SAMPLING_COUNT_MAXで定義された回数毎に動作周波数を変更可能にする処理である。ステップS12では、サンプリング計数値samplingCountを1だけインクリメントし、ステップS13では、samplingCount≧SAMPLING_COUNT_MAXであるか否かが判断され、YESのときはステップS14に進む一方、NOのときはステップS22に進む。なお、ステップS22では、動作周波数のプリセット値fPreを動作周波数の現在値fNowとして代入してステップS38に進む。
【0040】
次いで、ステップS14において、検出された出力電圧Voのサンプル値vSampleが目標電圧V_REFに近いほど評価関数値が小さくなるような評価関数値evalNowを計算する評価関数値計算処理P2を実行する。具体的には、例えば次式を用いて、評価関数値の現在値evalNowを計算する。
【0041】
evalNow=(vSample-V_REF)
【0042】
次いで、ステップS15~S17からなる進行幅決定処理P3を実行する。
【0043】
図8は、図7の進行幅決定処理P3における進行幅dfを設定するためのグラフを示す図である。図8に示すように、評価関数値が一定の基準値である境界値EVAL_BOUNDARYよりも小さくなれば、進行幅dfの絶対値|df|を小さくするように、進行幅dfを設定する。ステップS15では、evalNow≦EVAL_BOUNDARYであるか否かが判断され、YESのときはステップS16に進む一方、NOのときはステップS17に進む。ステップS16では、例えば次式を用いて進行幅dfを計算した後、ステップS13に進む。
【0044】
【数1】
【0045】
一方、ステップS17では、例えば次式を用いて進行幅dfを計算した後、ステップS13に進む。
【0046】
【数2】
【0047】
次いで、ステップS18~S21からなる山登り法による動作周波数探索処理P4を実行する。動作周波数探索処理P4では、前回の評価よりも今回の評価の方が良くなればそのままの方向で進み、悪化すれば進行方向を変更する。ステップS18では、evalNow≦evalPreであるか否かが判断され、YESのときはステップS19に進む一方、NOのときはステップS20に進む。ステップS19では、進行幅dfを進行幅dfに代入した後、ステップS21に進む。一方、ステップS20では、進行幅dfにマイナスを付与した-dfを進行幅dfに代入した後、ステップS21に進む。ステップS21において、動作周波数のプリセット値fPreと進行幅dfとを加算して、加算結果を動作周波数の現在値fNowとし設定し、ステップS31に進む。
【0048】
次いで、ステップS31~S33からなる変数変更処理P5を実行する。ステップS31では、動作周波数の現在値fNowを動作周波数のプリセット値fPreとして設定し、ステップS32では、評価関数値の現在値evalNowを評価関数値のプリセット値evalPreとして設定する。次いで、ステップS33では、サンプリング計数値samplingCountを0にリセットし、ステップS34に進む。
【0049】
次いで、ステップS34~S37からなる帯域幅制限処理P6を実行する。ステップS34では、fNow>MAX_Fであるか否かが判断され、YESのときはステップS35に進む一方、NOのときはステップS36に進む。ステップS35では、最大動作周波数MAX_Fを動作周波数の現在値fNowとして設定し、ステップS36に進む。ステップS36では、fNow<MAX_Fであるか否かが判断され、YESのときはステップS37に進む一方、NOのときはステップS38に進む。ステップS37では、最小動作周波数MIN_Fを動作周波数の現在値fNowとして設定し、ステップS38に進む。
【0050】
ステップS38では、動作周波数が決定されたと判断し、動作周波数の現在値fNowを動作周波数として出力して、動作周波数決定処理を終了する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る共振型電力変換回路によれば、LC共振回路及びスイッチング素子Q1を有する共振回路1を備えた共振型電力変換回路であって、共振回路1の出力電圧を負荷RLに出力し、その出力電圧に基づいて、共振型電力変換回路の動作周波数を決定して決定された動作周波数で動作するようにスイッチング素子Q1をゲート電圧信号Vf(駆動制御信号)を用いてオン/オフ制御し、ここで、共振回路1が、出力電圧が最大となる極大値で保持する動作周波数を決定する。従って、共振回路1のインダクタンス又はキャパシタンスが変化しても、共振回路1が、出力電圧が最大となる極大値で保持するように動作周波数を保持できるので、その位相状態を保持し、負荷に依存しない負荷非依存特性と、共振回路1におけるゼロボルトスイッチング(ZVS)を実現できる。これにより、上述の課題1及び2を解決することができる。
【0052】
(適用例)
図9図1の共振型電力変換回路を非接触給電システムに適用したときの当該非接触給電システムの構成例を示すブロック図である。図9において、構成要素12~24が図1の共振回路1に対応し、構成要素20が図1の検出回路2に対応し、構成要素17が図1の制御回路10に対応する。
【0053】
図9において、非接触給電システムは、送電装置100と、受電装置200とを備えて構成される。ここで、送電装置100は、力率改善回路(以下、PFC回路という。)11と、PFC回路11の動作を制御するPFC制御部16と、インバータ回路12と、送電LC共振回路13と、インバータ制御部17と、アンテナ15Aを有する無線通信回路15とを備えて構成される。一方、受電装置200は、受電LC共振回路14と、整流回路22と、DC/DCコンバータ23と、負荷24と、負荷24の電圧及び電流を検出してDC/DCコンバータ23を制御する制御部20と、アンテナ25Aを有する無線通信回路25とを備えて構成される。ここで、PFC回路11は、所定の交流電圧に基づいて入力電流の波形を整形することにより力率を改善する。また、インバータ回路12は、入力される所定の直流電圧を交流電圧に変換する。
【0054】
ここで、送電装置100と受電装置200とは例えば充電などの電源供給のために互いに近傍に位置する。これにより、送電LC共振回路13と受電LC共振回路14とは例えば電磁的に結合してトランスTR1を構成する。また、無線通信回路15と無線通信回路25とはそれぞれアンテナ15A,25Aを用いて無線通信を行うことで、必要な情報データを送受信する。
【0055】
なお、PFC回路11は、整流回路とDC/DCコンバータの縦続接続回路であってもよい。DC/DCコンバータは、入力される直流電圧を所定の直流電圧に変換する。また、PFC回路11、もしくは整流回路とDC/DCコンバータの縦続接続回路を省略してもよい。ここで、PFC回路11を省略するときは、PFC制御部16を削除できる。なお、PFC回路11に代えて、整流回路とDC/DCコンバータの縦続接続回路を備えるときは、PFC制御部16に代えて、DC/DCコンバータを制御する電圧制御部を備える。
【0056】
さらに、送電側のDC/DCコンバータと、受電側のDC/DCコンバータ23の少なくとも1つを省略してもよいが、以下のように出力電圧を制御する必要がある。
【0057】
図9の非接触給電システムにおいて、送受電コイルであるインダクタL1,L2間の距離が変化すると結合度kが変化する。これにより、共振特性が変化し、出力電圧が変化する。ここで、出力電圧を一定とするために、送電側又は/及び受電側のDC/DCコンバータにて電圧を制御する必要がある。ここで、送電側のDC/DCコンバータを制御するためには、受電側の制御部20により検出した出力電圧の情報を、無線通信回路25.15を介して送電側のDC/DCコンバータの前記電圧制御部に送信する必要がある。一方、受電側のDC/DCコンバータ23は、受電側の制御部20により検出した出力電圧の情報に基づいて制御部20により制御するように構成される。
【0058】
図1の送電装置100において、PFC回路11は、例えば商用交流電源等の交流電源30からの交流電圧である入力電圧Vinを直流電圧に変換しかつ、PFC制御部16の制御のもとで所定の力率改善方法を用いて入力電圧に対して力率改善処理を行って出力電圧をインバータ回路12に出力する。インバータ回路12は入力される直流電圧を、インバータ制御部17からの例えばPWMゲート信号に基づいてスイッチングすることで、所定の交流電圧に変換して送電LC共振回路13、受電LC共振回路14を介して整流回路22に出力する。
【0059】
ここで、PFC制御部16は、負荷24への出力電圧及び出力電流等の負荷情報を、電圧及び電流検出部20から無線通信回路25,15を介して受信して、当該負荷情報に基づいて、PFC回路11を、前記力率改善処理を行うように制御する。送電LC共振回路13は、例えば図10Aに図示される、インダクタL1とキャパシタC1からなる共振回路であって、入力電圧に基づいて所定の共振周波数frで共振して当該共振周波数frを有する交流電圧を含む交流電力を発生して、送電LC共振回路13に結合された受電LC共振回路14に送電する。
【0060】
図1の受電装置200において、受電LC共振回路14は、例えば図11Aに図示される、インダクタL2とキャパシタC2からなるLC共振回路であって、送電LC共振回路13からの交流電力を受電して、当該交流電力の交流電圧を整流回路22に出力する。整流回路22は入力される交流電圧を直流電圧に整流して負荷24に出力する。電圧及び電流検出部20は、負荷24への出力電圧及び出力電流を検出してそれらの情報を含む負荷情報を、無線通信回路25,15を介してPFC制御部16に送信する。インバータ制御部17はまた、負荷情報に基づいて、例えば所定のゲート電圧信号Vfを発生してインバータ回路12を制御することで、インバータ回路12が所定の動作周波数で動作する。
【0061】
なお、整流回路22は、例えば、半波整流回路、両波整流回路、フルブリッジ整流回路、ハーフアクティブ整流回路、倍電圧整流回路、又は倍電流整流回路などの整流回路であってもよい。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係る非接触給電システムによれば、図1の共振型電力変換回路を用いて構成することで、共振回路1のインダクタンス又はキャパシタンスが変化しても、共振回路1が、出力電圧が最大となる極大値で保持するように動作周波数を保持できるので、その位相状態を保持し、負荷に依存しない負荷非依存特性と、共振回路1におけるゼロボルトスイッチング(ZVS)を実現できる。これにより、上述の課題1及び2を解決して、送電装置100から受電装置200に対して送電できる。
【0063】
また、上述のように、インバータ回路12、送電LC共振回路13と、受電LC共振回路14との部分回路に対して、本実施形態に係る共振型電力変換回路1を適用することで、出力特性を制御するためのDC/DCコンバータ23及びその制御部を削減することができる。
【0064】
以下、送電LC共振回路13をLC共振回路13といい。受電LC共振回路14をLC共振回路14という。
【0065】
(変形例等)
以下において、LC共振回路13及び14の変形例等について説明する。以下のインダクタは、自己インダクタンス、励磁インダクタンス、又は漏れインダクタンス等を含んでおり、L31、L41、L42はそれらとは異なるインダクタを設けることを意味する。また、下記の構成例はあくまで基本形式の回路であり、インダクタとキャパシタを直列又は並列に接続するそれらの数量は変更してもよい。
【0066】
図10A図9のLC共振回路13の構成例を示す回路図である。図10Aにおいて、LC共振回路13は、インダクタL1とキャパシタC1の直列回路により構成される。ここで、送電装置100のLC共振回路13は、以下のLC共振回路13A~13Eのいずれかで構成されてもよい。
【0067】
図10Bは変形例1に係るLC共振回路13Aの構成例を示す回路図である。図10Bにおいて、LC共振回路13Aは、インダクタL1とキャパシタC1の並列回路により構成される。
【0068】
図10Cは変形例2に係るLC共振回路13Bの構成例を示す回路図である。図10Cにおいて、LC共振回路13Cは、インダクタL1及びキャパシタC1の直列回路と、キャパシタC31との並列回路により構成される。
【0069】
図10Dは変形例3に係るLC共振回路13Cの構成例を示す回路図である。図10Dにおいて、LC共振回路13Dは、インダクタL1及びキャパシタC31の並列回路と、キャパシタC1との直列回路により構成される。
【0070】
図10Eは変形例4に係るLC共振回路13Dの構成例を示す回路図である。図10Eにおいて、LC共振回路13Dは、インダクタL1及びキャパシタC1の直列回路と、インダクタL31との並列回路に対して、直列に接続されたインダクタL31を含み構成される。
【0071】
図10Fは変形例5に係るLC共振回路13Eの構成例を示す回路図である。図10Fにおいて、LC共振回路13Eは、インダクタL1及びキャパシタC1の直列回路と、インダクタL31との並列回路に対して、直列に接続されたキャパシタC32を含み構成される。
【0072】
図10A図10Fから明らかなように、LC共振回路13、13A~13Eは、少なくとも1つのインダクタと、少なくとも1つのキャパシタとを含み、前記各インダクタと前記各キャパシタとが直列又は並列に接続されている。
【0073】
また、図9の受電装置200のLC共振回路14は、以下のLC共振回路14A~14Eのいずれかで構成されてもよい。
【0074】
図11A図9のLC共振回路14の構成例を示す回路図である。図11Aにおいて、LC共振回路14は、インダクタL2とキャパシタC2の直列回路により構成される。
【0075】
図11Bは変形例6に係るLC共振回路14Aの構成例を示す回路図である。図11Bにおいて、LC共振回路14Aは、インダクタL2とキャパシタC2の並列回路により構成される。
【0076】
図11Cは変形例7に係るLC共振回路14Bの構成例を示す回路図である。図11Cにおいて、LC共振回路14Bは、インダクタL2とキャパシタC2の直列回路と、キャパシタC41との並列回路により構成される。
【0077】
図11Dは変形例8に係るLC共振回路14Cの構成例を示す回路図である。図11Dにおいて、LC共振回路14Cは、インダクタL2とキャパシタC41の並列回路と、キャパシタC2との直列回路により構成される。
【0078】
図11Eは変形例9に係るLC共振回路14Dの構成例を示す回路図である。図11Dにおいて、LC共振回路14Dは、インダクタL2とキャパシタC2の直列回路と、キャパシタC41との並列回路に対して直列に接続されたインダクタL41を含み構成される。
【0079】
図11Fは変形例10に係るLC共振回路14Eの構成例を示す回路図である。図11Eにおいて、LC共振回路14Eは、インダクタL2とキャパシタC2の直列回路と、インダクタL42との並列回路に対して接続されたキャパシタC42を含み構成される。
【0080】
図11A図11Fから明らかなように、LC共振回路14,14A~14Eは、少なくとも1つのインダクタと、少なくとも1つのキャパシタとを含み、前記各インダクタと前記各キャパシタとが直列又は並列に接続されている。
【0081】
以上の実施形態においては、山登り法を用いて共振回路1の出力電圧Voの極大値を求めてそれに対応する動作周波数を決定しているが、本発明はこれに限らず、例えば最良優先検索法、最適化探索法、最急降下法、共役勾配法などの他の極大値探索法を用いて、共振回路1の出力電圧Voの極大値を求めてそれに対応する動作周波数を決定してもよい。
【0082】
以上の実施形態においては、スイッチング素子としてMOSトランジスタQ1を用いているが、本発明はこれに限らず、バイポーラトランジスタなどの、スイッチング素子を用いてもよい。
【0083】
以上の実施形態においては、検出回路2は共振回路1の出力電圧を検出して演算制御部3に出力しているが、本発明はこれに限らず、共振回路1の出力電流等の出力情報を検出して演算制御部3に出力し、演算制御部3は当該出力情報に基づいて、共振回路1を含む共振型電力変換回路の動作周波数を決定するように制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上詳述したように、本発明によれば、前記2つの課題を解決することができ、しかも従来技術に比較して演算コストを大幅に軽減することができる共振型電力変換回路と、前記共振型電力変換回路を用いた非接触給電システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 共振回路
2 検出回路
3 演算制御部
4 信号発生部
5 直流電源
10 制御回路
11 力率改善回路(PFC回路)
12 インバータ回路
13 送電LC共振回路(LC共振回路)
14 受電LC共振回路(LC共振回路)
15 無線通信回路
15A アンテナ
16 PFC制御部
17 インバータ制御部
20 制御部
22 整流回路
23 DC/DCコンバータ
24 負荷
25 無線通信回路
25A アンテナ
30 交流電源
Cs,C0~C2,Csm キャパシタ
D1 整流ダイオード
Lf,L0 インダクタ
Q1 MOSトランジスタ
R1,R2 抵抗
RL 負荷抵抗
TR1 トランス
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13
図14
図15