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  • 特開-ボイラ 図1
  • 特開-ボイラ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181523
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ボイラ
(51)【国際特許分類】
   F23C 9/08 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
F23C9/08 402
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088517
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】菅原 勇久
【テーマコード(参考)】
3K065
【Fターム(参考)】
3K065TA01
3K065TC01
3K065TL02
3K065TN02
3K065TN09
(57)【要約】
【課題】NOx濃度のばらつきを抑制できるボイラを提供することである。
【解決手段】バーナ10および燃焼室を備える本体2から排ガスを導出する排気通路4と、排気通路4と接続され、バーナ10に排ガスを循環させる排ガス再循環路5と、排気通路4または排ガス再循環路5の少なくとも一カ所以上の圧力を検出する圧力検出部6と、圧力検出部6により検出された圧力に応じて、排ガス再循環路5の排ガス量を調整する流量調整部7とを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナおよび燃焼室を備える本体から排ガスを導出する排気通路と、
前記排気通路と接続され、前記バーナに排ガスを循環させる排ガス再循環路と、
前記排気通路または前記排ガス再循環路の少なくとも一カ所以上の圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力検出部により検出された圧力に応じて、前記排ガス再循環路の排ガス量を調整する流量調整部とを備える、ボイラ。
【請求項2】
前記流量調整部は、前記排ガス再循環路に設けられるダンパを含み、
前記圧力検出部は、前記ダンパの一次側の圧力を検出する、請求項1に記載のボイラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排ガスの一部を吸気側に循環させて燃料ガス及び燃焼用空気と混合させて燃焼させることにより、排ガスを導出する排気通路から排出されるNOx濃度の低減を図るボイラがある(例えば、特許文献1)。このようなボイラは、排気通路(煙突)と吸気側である送風機の吸込口とを接続する排ガス再循環路を備えることによって、酸素濃度の低下した排ガスの一部を吸気側に再循環させる。これにより、バーナにおける燃焼温度が低下し、その結果、排ガス中に含まれるNOx濃度を低下させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-173218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、排ガスの一部を吸気側に取り込むときの排気通路の圧力変動等によって、NOx濃度にばらつきが生じる。例えば、排気通路における背圧が低くなると、排ガスが排気通路側に引き込まれてしまい、排ガス再循環路側に排ガスが流れにくくなり、その結果、NOx濃度が変動し得る。近年では、このようなNOx濃度のばらつきに対する抑制の要求水準が高まりつつある。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、NOx濃度のばらつきを抑制できるボイラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のボイラは、バーナおよび燃焼室を備える本体から排ガスを導出する排気通路と、前記排気通路と接続され、前記バーナに排ガスを循環させる排ガス再循環路と、前記排気通路または前記排ガス再循環路の少なくとも一カ所以上の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部により検出された圧力に応じて、前記排ガス再循環路の排ガス量を調整する流量調整部とを備える。
【0007】
上記の構成によれば、排気通路または排ガス再循環路の少なくとも一カ所以上の圧力に応じてバーナに循環させる排ガス量を調整できる。その結果、バーナに循環させる排ガス量を極力一定量に保つことにより、NOx濃度のばらつきを抑制できる。
【0008】
好ましくは、前記流量調整部は、前記排ガス再循環路に設けられるダンパを含み、前記圧力検出部は、前記ダンパの一次側の圧力を検出する。
【0009】
上記の構成によれば、バーナに循環させる排ガス量をより正確に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ボイラの概略構成を説明するための図である。
図2】排ガス圧力とダンパ開度との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<概略構成について>
以下に、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るボイラ1について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るボイラ1の構成を模式的に示す図である。
【0012】
ボイラ1は、燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラ本体2と、送風路30を介してボイラ本体2内に空気を送り込む送風機3と、ボイラ本体2からの排ガスなどを導出する排気通路4と、排気通路4と接続され、ボイラ本体2内のバーナ10に排ガスを循環させる排ガス再循環路5と、燃料を供給する燃料供給ライン20とを備えている。さらに、ボイラ1は、圧力検出部6および流量調整部7を備えている。ボイラ1は、制御部8を備える。制御部8は、内部にメモリ、タイマ、および演算処理部を含むコンピュータにより実現され、ボイラ1の動作(例えば、燃焼量や、再循環させる排ガス流量等)を制御する。
【0013】
ボイラ1における排ガス再循環路5は、排気通路4と送風機3の吸い込み口とに接続されている。排ガス再循環路5は、送風機3と接続されることにより、排気通路4を通って排出される排ガスの一部をバーナ10に送り込み、ボイラ本体内に再循環させるものである。
【0014】
圧力検出部6は、排気通路4内の圧力を検出する。流量調整部7は、圧力検出部6により検出された圧力(通常は、マイナス圧、負圧)に応じて、排ガス再循環路5に供給する排ガス量を調整する。具体的には、排ガス再循環路5に供給する排ガス量が極力一定量となるように調整を行う。流量調整部7は、圧力検出部6により検出された圧力が減少すれば、排ガス再循環路5に供給する排ガス量が減少しないように流量を調整する一方、検出された圧力が増加すれば、排ガス再循環路5に供給する排ガス量が増加しないように流量を調整する。
【0015】
本実施の形態では、制御部8およびダンパ9が流量調整部7を構成している。ダンパ9は、排ガス再循環路5に設けられている。流量調整部7は、ダンパ9の開度を制御部9によって調整することにより、排ガス再循環路5に供給する排ガス量が極力一定量となるように調整を行う。すなわち、流量調整部7は、圧力検出部6により検出された圧力が減少すれば、排ガス再循環路5に供給する排ガス量が減少しないようにダンパ9の開度が大きくなるように調整し、検出された圧力が増加すれば、排ガス再循環路5に供給する排ガス量が増加しないようにダンパ9の開度が小さくなるように調整する。このとき、圧力検出部6は、ダンパ9の一次側(排気通路4側)の圧力を検出することが好ましい。
【0016】
燃料は、燃料供給ライン20からボイラ本体2内のバーナ10に供給される。なお、燃料は、ガスである例について説明するが、ガスなどの気体に限らず、油などの液体であってもよい。
【0017】
図1においては、排気通路4には、排ガスによって給水を予加熱するエコノマイザ(給水予熱器)40が設けられている。圧力検出部6は、エコノマイザ40の二次側の圧力を検出する。なお、排気通路4には、ボイラの仕様等に応じて、エコノマイザ40が設けられていないものであってもよい。
【0018】
<動作について>
本実施の形態に係るボイラ1は、排ガスの一部を吸気側に再循環させるボイラである。燃焼用空気(外気)は、送風路30を介してバーナ10から燃料とともにボイラ本体2内の缶体内へ向けて噴出される。また、バーナ10から噴出される燃焼用空気および燃料は、着火手段により着火され、燃焼する。ボイラ1は、燃焼に伴い生ずる燃焼ガスで、缶水を加熱し、蒸気を生成する。燃焼ガスは、排ガスとなり、排気通路4から大気中へ排出される。排ガスの一部は、排ガス再循環路5を経て吸気側に循環される。これにより、酸素濃度の低下した排ガスを吸気側に循環させることにより、バーナ10における燃焼温度が低下する。その結果、排ガスに含まれるNOx濃度を低下させることが可能となる。
【0019】
排ガスの一部を吸気側に再循環させるボイラ1においては、排気通路4の圧力変動に起因する再循環ガス流量の変動によって、目標としているNOx値(基準NOx値)からばらつき(乖離)を生じさせてしまうことがある。そこで、ボイラ1においては、排ガスの圧力を圧力検出部6で検出し、流量調整部7は、圧力検出部6で検出された圧力に応じて、排ガス再循環路5の排ガス量(再循環ガス流量、EGR量)を調整する。
【0020】
圧力検出部6は、排気通路4における排ガスの圧力を検出し、圧力情報を出力する。圧力検出部6は、制御部8と電気的に接続されている。これにより、圧力検出部6からの差圧情報を制御部8に入力することができる。なお、圧力検出部6から出力されるアナログ信号は、デジタル信号に変換されて、制御部8に入力される。
【0021】
本実施の形態では、制御部8およびダンパ9が流量調整部7を構成している。流量調整部7は、圧力検出部6から入力される排ガスの圧力情報に基づいてダンパ9の開度を制御部8により制御することにより、排ガス再循環路5に供給する排ガス量を調整する。制御部8は、メモリに予め記憶された開度調整情報に基づいて、ダンパ9に対して開度を特定するための開度特定信号を送信する。これにより、ダンパ9は、排ガスの圧力に応じた開度に制御されて、ボイラ本体2に供給する再循環ガス流量を調整することができる。なお、開度調整情報とは、例えば、排ガスの圧力に応じてダンパ9の開度を特定可能なテーブルである。
【0022】
図2は、排ガスの圧力とダンパ9の開度との関係を説明するための図である。排ガスの圧力(背圧)が基準圧(例えば、-10mmAqなど)よりも低い(負圧が高い、例えば-15mmAqなど)ときは、基準圧のときよりも排気側に引く力が強くなり、排ガスが排気側に持っていかれてしまう。そのため、排ガス再循環路5側に排ガスを導入しようとすると、送風機3の回転数が同じである場合には、よりダンパ9の開度を開く側(ダンパ9が水平になる方向)に制御する必要がある。また、排ガスの圧力(背圧)が基準圧(例えば、-10mmAqなど)よりも高い(負圧が低い、例えば-5mmAqなど)ときは、基準圧のときよりも排気側に引く力が弱くなり、排ガス再循環路5側に引かれる量が多くなる。そのため、よりダンパ9の開度を閉める側(ダンパ9が垂直になる方向)に制御する必要がある。このように、排気通路4や排ガス再循環路5の圧力を検出してフィードバックすることで、送風機3側に入れる排ガスの量を調整(一定に維持)することで、NOx値のばらつきを抑制できる。そのためボイラ1の運転中、排ガス中のNOxを基準NOx値に維持することができ、排気通路の圧力変動等によって基準NOx値を超えてしまうことがない。
【0023】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例などについて説明する。
【0024】
上記実施の形態におけるボイラ1における圧力検出部6は、排気通路4内の圧力を検出する例について説明したが、排気通路4または排ガス再循環路5の少なくとも一カ所以上の圧力を検出するものであればこれに限らず、例えば、排ガス再循環路5内の圧力を検出するものであってもよい。
【0025】
また、好ましい態様として、圧力検出部6は、ダンパ9の一次側の圧力を検出し、検出された圧力に応じて、排ガス再循環路5の排ガス量を調整する例について説明した。しかし、これに限られず、排ガス再循環路5内における排ガス量の流量そのものを検出して、排ガス再循環路5の排ガス量が極力一定量となるように調整するようにしてもよい。例えば、排ガス再循環路5内における2箇所(例えば、ダンパ9の一次側の2箇所、あるいはダンパ9の一次側と二次側の2箇所)の差圧を検出して、流量調整部7は、当該差圧に基づいて排ガス量の流量を算出(検出)し、当該排ガス量の流量に応じて、排ガス再循環路5の排ガス量を極力一定量となるように調整するものであってもよい。
【0026】
上記実施の形態におけるボイラ1における開度調整情報としては、テーブルである例について説明したが、これに限らず、検出された圧力に応じて燃料供給量調整弁13の開度を特定するための演算式であってもよい。
【0027】
上記実施の形態におけるボイラ1においては、排ガス再循環路5の排ガス量を、送風機3の回転数について変動させることなく、ダンパ9の開度により調整する例について説明した。しかし、これに限らず、排ガス再循環路5の排ガス量は、排ガス再循環路5内にダンパ9を設けずに送風機3の回転数により調整するものであってもよく、また、ダンパ9の開度および送風機3の回転数の双方により調整するものであってもよい。送風機3の回転数により調整する場合、例えば、流量調整部7は、圧力検出部6により検出された圧力が減少すれば、排ガス再循環路5に供給する排ガス量が減少しないように送風機3の回転数を上げ、検出された圧力が増加すれば、排ガス再循環路5に供給する排ガス量が増加しないように送風機3の回転数を下げることにより、再循環ガス流量を調整してもよい。
【0028】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0029】
1 ボイラ
2 ボイラ本体
3 送風機
4 排気通路
5 排ガス再循環路
6 圧力検出部
7 流量調整部
8 制御部
9 ダンパ
10 バーナ
20 燃料供給ライン
30 送風路
40 エコノマイザ

図1
図2