(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181529
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20221201BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20221201BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B60H1/34 671A
B60H1/34 651Z
B60H1/34 611B
F24F13/15 A
F24F13/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088524
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(72)【発明者】
【氏名】木村 文彦
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081FA04
3L081FC01
3L081HA08
3L081HB04
3L211BA05
3L211BA57
3L211DA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガイドルーバーを回動させるために操作部の操作が行われても、風向調整装置の見栄えが低下することを抑制可能な風向調整装置を提供する。
【解決手段】本発明の風向調整装置10は、ケース体と、少なくとも1つのガイドルーバー30を備えるガイド本体部20と、ガイドルーバーを回動させる操作部50とを有し、車両の内装部材に取り付けられる風向調整装置であって、ガイド本体部は、ガイドルーバーと一体的に設けられるルーバー側歯車23を有し、操作部は、操作側歯車52を有するとともに、内装部材に対して回動可能に配され、ルーバー側歯車と操作側歯車とに噛み合う中間歯車60が設けられ、ルーバー側歯車は、操作部が操作されて回動することにより、中間歯車を介して、ガイドルーバーとともに操作側歯車の回動方向と同じ方向に回動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気を流通させるケース体と、前記ケース体に対して回動可能に配される少なくとも1つのガイドルーバーを備えるガイド本体部と、前記ガイドルーバーを回動させるために操作される操作部とを有し、車両の内装部材に取り付けられる風向調整装置であって、
前記ガイド本体部は、前記ガイドルーバーと一体的に設けられるルーバー側歯車を有し、
前記操作部は、操作側歯車を有するとともに、前記内装部材に対して回動可能に配され、
前記ルーバー側歯車と前記操作側歯車とに噛み合う中間歯車が設けられ、
前記ルーバー側歯車は、前記操作部が操作されて回動することにより、前記中間歯車を介して、前記ガイドルーバーとともに前記操作側歯車の回動方向と同じ方向に回動する
ことを特徴とする風向調整装置。
【請求項2】
前記操作部を保持する保持部材が、前記内装部材に連続的に取り付けられ、
前記操作部は前記保持部材に対して回動可能に配される
請求項1記載の風向調整装置。
【請求項3】
前記ガイドルーバーを第1ガイドルーバーとした場合、前記第1ガイドルーバーに交差する方向に沿って配される少なくとも1つの第2ガイドルーバーが設けられ、
前記操作部は、前記保持部材に沿って移動可能に配され、
前記中間歯車は、前記第2ガイドルーバーに係合するルーバー係合部を有し、且つ、前記操作部とともに移動可能に配され、
前記第2ガイドルーバーは、前記操作部が操作されて移動することにより、前記中間歯車を介して回動する
請求項2記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装部材に取り付けられる風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2016-153295号公報(特許文献1)及び特開2019-55647号公報(特許文献2)には、車内に吹き出す空気の風向を調整可能な風向調整装置(レジスタ又はベンチレーターとも言われる)が記載されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載されている風向調整装置は、風向調整装置の空気吹出口に左右方向に沿って配される複数の固定ルーバーと、固定ルーバーの直ぐ上流側に左右方向に沿って配される複数のフロントルーバーと、フロントルーバーの上流側に上下方向に沿って配される複数のリアルーバーと、フロントルーバーの回動及びリアルーバーの回動を操作する操作ノブとを有する。なお、ルーバーは、フィンと呼ばれることもある。
【0004】
また特許文献1において、操作ノブは、断面が略L字状を呈する形状を有している。また、特許文献1の操作ノブは、1つの固定ルーバーの周りを囲い、且つ、1つのフロントルーバーにスライドレールを利用して摺動可能に組み付けられている。特許文献1では、このように操作ノブが組み付けられることにより、操作ノブをフロントルーバーに対して簡単に組み付けることができ、また、操作ノブの操作を円滑に行うことができると説明されている。
【0005】
特許文献2に記載されている風向調整装置は、上下方向に沿って配される複数の上流ルーバーと、上流ルーバーの下流側に左右方向に沿って配される複数の下流ルーバーと、フロントルーバーの回動及びリアルーバーの回動を操作する操作ノブとを有する。各下流ルーバーは、長尺板状のルーバー本体と、ルーバー本体の端縁に組み付けられる加飾部材とを有する。
【0006】
特許文献2において、各下流ルーバーのルーバー本体には係合突部が設けられている。また、加飾部材には、係合突部を収容する凹部状の収容部と、収容部の内面から突出するとともに係合突部と係合する係合爪部とが設けられている。特許文献2では、下流ルーバーのルーバー本体及び加飾部材が上述のように形成されていることにより、ルーバー本体に対して加飾部材を容易に組み付けることができると説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-153295号公報
【特許文献2】特開2019-55647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
昨今、自動車車内の機能性や意匠性を高めるため、自動車のインストルメントパネル等の内装部材に取り付けられる風向調整装置の薄型化や幅広化が進む傾向があり、例えば風向調整装置の空気吹出口を細長く見せるようなデザインが求められることがある。また、風向調整装置自体の見栄えを良くすること等によって、車内の外観品質をより向上させることも求められてきている。
【0009】
一方、特許文献1及び特許文献2の風向調整装置において、フロントルーバーや上流ルーバー等の風向をガイドするガイドルーバーは、断面が略L字状を呈する操作ノブや、板状に形成される操作ノブを指等で動かすことによって回動操作される。しかし、特許文献1及び特許文献2において、操作ノブを動かしてガイドルーバーの回動を操作した場合、その操作の前後で、操作ノブの向き(姿勢)が変化するとともに操作ノブの位置も変わる。
このため、操作ノブが、風向調整装置の見栄えに影響を与え易くなり、操作ノブの向き及び位置によっては、風向調整装置の見栄えを低下させることもあった。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ガイドルーバーを回動させるために操作部の操作が行われても、風向調整装置の見栄えが低下することを抑制可能な風向調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明により提供される風向調整装置は、内部に空気を流通させるケース体と、前記ケース体に対して回動可能に配される少なくとも1つのガイドルーバーを備えるガイド本体部と、前記ガイドルーバーを回動させるために操作される操作部とを有し、車両の内装部材に取り付けられる風向調整装置であって、前記ガイド本体部は、前記ガイドルーバーと一体的に設けられるルーバー側歯車を有し、前記操作部は、操作側歯車を有するとともに、前記内装部材に対して回動可能に配され、前記ルーバー側歯車と前記操作側歯車とに噛み合う中間歯車が設けられ、前記ルーバー側歯車は、前記操作部が操作されて回動することにより、前記中間歯車を介して、前記ガイドルーバーとともに前記操作側歯車の回動方向と同じ方向に回動することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の風向調整装置では、前記操作部を保持する保持部材が、前記内装部材に取り付けられ、前記操作部は前記保持部材に対して回動可能に配されることが好ましい。
【0013】
また本発明において、前記ガイドルーバーを第1ガイドルーバーとした場合、前記第1ガイドルーバーに交差する方向に沿って配される少なくとも1つの第2ガイドルーバーが設けられ、前記操作部は、前記保持部材に沿って移動可能に配され、前記中間歯車は、前記第2ガイドルーバーに係合するルーバー係合部を有し、且つ、前記操作部とともに移動可能に配され、前記第2ガイドルーバーは、前記操作部が操作されて移動することにより、前記中間歯車を介して回動することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の風向調整装置によれば、ガイドルーバーを回動させるために操作部の操作が行われても、操作部の位置が変化しないため、風向調整装置の見栄えが低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係る風向調整装置が車両の内装部材に取り付けられた状態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した風向調整装置の要部を示す断面斜視図である。
【
図3】
図1に示した風向調整装置の要部の構造を模式的に説明する説明図である。
【
図4】本発明の変形例に係る風向調整装置の保持部材を模式的に示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の別の変形例に係る風向調整装置の一部を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施例に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、風向調整装置の全体形状、大きさ、及び材質は特に限定されず、装置の設置位置、設置される車の種類やデザイン等に応じて変更することが可能である。
【実施例0017】
図1は、本実施例に係る風向調整装置が車両の内装部材に取り付けられた状態を模式的に示す斜視図である。
図2は、風向調整装置の要部を示す断面斜視図である。
図3は、風向調整装置の要部の構造を模式的に説明する説明図である。
【0018】
図1に示した本実施例の風向調整装置10は、例えば、自動車の車室内に配されるインストルメントパネルやセンターコンソール等の内装部材1に装着される。この風向調整装置10は、自動車に備えられた図示しない空調装置等に接続されることによって、その空調装置から供給される空気を、内装部材1に形成された空気吹出口(開口部)2を介して車室内に吹き出すことが可能である。本実施例の場合、風向調整装置10は、幅方向に細長く形成されている。また、内装部材1の空気吹出口2は、風向調整装置10に合わせて、幅方向に細長い形状に、具体的には、幅方向に細長い矩形状に形成されている。
【0019】
ここで、風向調整装置10に関して、前後方向とは、後述する横ルーバー30(フロントガイドルーバー)及び縦ルーバー40(リアガイドルーバー)がニュートラルの中央位置に保持されているときに風向調整装置10から吹き出される空気の吹き出し方向に沿った方向を言う。また、前後方向は、風向調整装置10の空気流通方向と言い換えることもできる。この場合、空気の流れの下流側を前方とし、空気の流れの上流側を後方とする。
【0020】
上下方向及び左右方向は、ニュートラルの位置の横ルーバー30を略水平な状態に保持して風向調整装置10を空気吹出口2側から見たときにおける垂直方向(高さ方向)及び水平方向(幅方向)である。この場合、垂直方向及び水平方向は、前後方向に対してそれぞれ直交しており、また、垂直方向と水平方向とは、互いに直交している。
【0021】
本実施例の風向調整装置10は、内部に空気を流通させるケース体11と、ケース体11の空気吹出口2側の開口部に配されるガイド本体部20と、風向を調整するために操作される操作部50と、ガイド本体部20及び操作部50に接続される中間歯車60とを有する。ケース体11は、断面が略四角形の角筒状に形成されており、ケース体11内には、図示しない空調装置から供給される空気を前方へ流通させる空気流路が前後方向に沿って形成されている。
【0022】
ガイド本体部20は、略四角形の枠状に形成されるハウジング部と、ハウジング部の内側に左右方向に沿うように延びる複数の横ルーバー(フロントガイドルーバー)30と、ハウジング部の内側に上下方向に沿って配されるとともにハウジング部に対して回動可能に配される複数の縦ルーバー(リアガイドルーバー)40と、ハウジング部における左右方向の中央領域に上下方向に沿って配される左右一対の縦壁部22と、左右の縦壁部22にそれぞれ一体的に形成される左右一対のルーバー側歯車23とを有する。
【0023】
この風向調整装置10では、左右方向に延びる横ルーバー30をハウジング部とともに上下方向に一体的に回動させることによって、車室内に吹き出す空気の向きを上方又は下方に変えること(風向をガイドすること)ができる。また、上下方向に延びる縦ルーバー40を左右方向に回動させることによって、車室内に吹き出す空気の向きを左側又は右側に変えることができる。この場合、横ルーバー30が、操作部50を回動させることにより回動可能な第1ガイドルーバーとして設けられており、縦ルーバー40が、横ルーバー30に対して交差する方向(直交方向又は略直交方向)に沿って配される第2ガイドルーバーとして設けられている。
【0024】
ハウジング部は、上壁部、下壁部、及び左右の側壁部を有する。また、ハウジング部は、左右の側壁部から左右方向の外側に突出する図示しない左右一対の回動軸を有する。一方、ケース体11の左右側面部には、ハウジング部の回動軸を軸支する図示しない軸受け部が設けられている。これにより、ハウジング部は、ケース体11の内側に、ケース体11に対して上下方向に回動可能に保持されている。なお本発明では、ハウジング部をケース体11に回動可能に保持するために、ケース体11の左右側面部に左右の回動軸を設けるとともに、ハウジング部の左右の側壁部に左右の軸受け部を設けてもよい。
【0025】
本実施例のガイド本体部20には、横ルーバー30として、上段横ルーバー31、中段横ルーバー32、及び、図示を省略する下段横ルーバーの3つが設けられている。各横ルーバー30は、水平方向に対し、左右の側端部が幅方向の中央部よりも下側に位置するように少し湾曲した形状を有する。3つの横ルーバー30は、湾曲した形状が左右方向に沿うように、また、互いに平行又は略平行となるように、ハウジング部に不動に固定されている。このため、3種類の横ルーバー30は、ケース体11に対し、ハウジング部とともに上下方向に回動する。更に、3種類の横ルーバー30は、上下方向に互いに離間して配されている。上段横ルーバー31及び下段横ルーバーは、ハウジング部の上壁部及び下壁部からそれぞれ下方及び上方に離間して配されている。
【0026】
本実施例において、上段横ルーバー31は、ハウジング部の左側壁部から右側壁部まで連続する1枚の平板状の部材により形成されている。この上段横ルーバー31は、その左右の側端部がハウジング部の左右の側壁部に連結されることによって、ハウジング部に固定されている。
【0027】
中段横ルーバー32及び下段横ルーバーは、それぞれ、左右一対の分割横ルーバーを有する。中段横ルーバー32及び下段横ルーバーにおける左右の分割横ルーバーは、ハウジング部の幅方向の中央部に配される操作部50及び中間歯車60と干渉しないように、互いに離間して配されている。この場合、各分割横ルーバーの外側端部は、ハウジング部の左側又は右側の側壁部に固定されている。また、各分割横ルーバーの内側端部は、ハウジング部における左右方向の中央領域に配される左側又は右側の縦壁部22に固定されている。
【0028】
本実施例のガイド本体部20には、複数の縦ルーバー40が上下方向に沿って配されており、且つ、ハウジング部に対して左右方向に回動可能に設けられている。例えば本実施例の場合、ガイド本体部20における幅方向の中央部に配される中央縦ルーバー41、操作部50及び中間歯車60よりも幅方向の左側に配される4枚の左側縦ルーバー42、及び、操作部50及び中間歯車60よりも幅方向の右側に配される4枚の右側縦ルーバー43の合計9枚の縦ルーバー40が、ハウジング部の上壁部と下壁部とに回動可能に支持されている。
【0029】
中央縦ルーバー41は、
図2及び
図3に示すように、薄板状のルーバー本体部41aと、ルーバー本体部41aの前端縁から後方に向けて凹むように設けられた凹部41bと、凹部41bを上下方向又は略上下方向に横切るように架け渡された係合軸部41cと、ルーバー本体部41aの上端部及び下端部から上下方向に突出する上下一対の回動ピン41dと、回動ピン41dよりも後方の位置でルーバー本体部41aから下方に突出する連結ピン41eとを有する。
【0030】
中央縦ルーバー41の凹部41bは、ルーバー本体部41aを左右方向に貫通している。上下の回動ピン41dは、ハウジング部の上壁部及び下壁部に設けられた上下の図示しない保持孔に挿入されて保持されている。連結ピン41eは、9枚の縦ルーバー40を連結するリンク部材に連結される。この中央縦ルーバー41は、操作部50及び中間歯車60の後方に配置される。
【0031】
4枚の左側縦ルーバー42及び4枚の右側縦ルーバー43は、詳細な図示を省略するが、ルーバー本体部と、回動ピンと、連結ピンとを有しており、中央縦ルーバー41の凹部41b及び係合軸部41cが設けられていないことを除いて、中央縦ルーバー41と略同様に形成されている。
【0032】
4枚の左側縦ルーバー42は、互いに一定の間隔を開けて配されている。4枚の右側縦ルーバー43も、互いに一定の間隔を開けて配されている。また、9枚の縦ルーバー40は、図示しないリンク部材によって、それぞれの回動が連動するように互いに連結されている。なお本発明において、横ルーバー30及び縦ルーバー40の大きさ、形状、設置数、設置位置等は特に限定されず、風向調整装置10の大きさ、形状、設置位置等に応じて変更可能である。
【0033】
左右の縦壁部22は、操作部50及び中間歯車60よりも幅方向の外側の位置に配されており、中間歯車60は、左右の縦壁部22により、幅方向に移動可能な範囲が規制されている。左右の各縦壁部22は、ハウジング部の下壁部から立ち上がり、また、縦壁部22の上端部が、上段横ルーバー31の下面に連結して固定されている。縦壁部22には、上述したように、中段横ルーバー32及び下段横ルーバーにおける左右の分割横ルーバーの内側端部が固定されている。更に、左右の縦壁部22には、中間歯車60を支持する支持軸部24が固定されている(
図3を参照)。
【0034】
左右のルーバー側歯車23は、扇型歯車として形成されており、扇形の円弧部分に歯形23aが形成されている。また、左右のルーバー側歯車23は、中間歯車60の後述する左右の第2歯車部62に噛み合わされている。左右の各ルーバー側歯車23は、ガイド本体部20の縦壁部22に一体的に形成されている。左右のルーバー側歯車23は、中間歯車60から動力が伝達されて上方又は下方に回動することによって、ガイド本体部20の全体を上方又は下方に回動させることができる。
【0035】
操作部50は、円板状の左右の操作ローラー51と、左右の操作ローラー51間に設けられる操作側歯車52と、操作ローラー51及び操作側歯車52を幅方向に貫通する貫通孔部53とを有する。左右の操作ローラー51は、操作者が指等で回動させる部分である。左右の操作ローラー51間には、
図3に示すように、中間歯車60の後述する第1歯車部61が挿入される。操作側歯車52は、左右の操作ローラー51と一体的に形成されている。また、操作側歯車52は、操作歯車の全周に歯形52aが設けられた平歯車により形成されており、中間歯車60の第1歯車部61に噛み合わされている。
【0036】
操作部50は、保持部材(シャフト部材)70が貫通孔部53に挿通されることによって、保持部材70に対し、保持部材70を回動軸として回動可能に取り付けられている。また、操作部50は、保持部材70の軸方向(長さ方向)に沿ってスライド可能に取り付けられている。この場合、操作部50の回動範囲は、ガイド本体部20の回動範囲(すなわち、横ルーバー30の上下方向における回動範囲)に対応している。操作部50のスライド範囲は、中間歯車60の幅方向に移動可能な範囲に対応している。
【0037】
操作部50を保持する保持部材(シャフト部材)70は、幅方向に細長い棒状又はバー状の形状に形成されている。保持部材70の幅方向に直交する断面(横断面)は円形を呈する。保持部材70の左右両端部は、保持部材70が内装部材1に対して動かないように、固定部71により内装部材1に固定されている。また、保持部材70は、内装部材1との一体的なデザイン性又は統一感が得られるように、内装部材1の外面から連続的に(外観的に連続して見えるように)設けられている。
【0038】
本実施例において、保持部材70は、空気吹出口2の加飾の役割も果たしており、この保持部材70の設置により、内装部材1の空気吹出口2周辺のデザイン性や外観品質が高められている。また本実施例の場合、保持部材70は、内装部材1に対して動かないように固定されている。このため、保持部材70の位置は、操作部50が回動しても、幅方向にスライドしても、変化することはなく、保持部材70及び内装部材1の一体的なデザイン性又は統一感は、操作部50の操作の影響を受けることなく、安定して維持される。
【0039】
なお本発明では、操作部50が保持部材70に固定され、且つ、保持部材70が内装部材1に対して、回動可能に且つ左右方向にスライド可能に保持されていてもよい。また、本実施例の保持部材70は、細長い単一の棒状の部材により形成されているが、例えば保持部材70は、複数の部材が連結されることによって細長い棒状に形成されていてもよい。
【0040】
中間歯車60は、幅方向の中央部に設けられる第1歯車部61と、幅方向の左右両端部に設けられる左右の第2歯車部62と、第1歯車部61及び左右の第2歯車部62を一体的に連結する軸本体部63と、軸本体部63から後方に向けて延びるルーバー係合部64とを有する。また、中間歯車60には、左右の縦壁部22に固定される支持軸部24を挿通させるための挿通孔部65が、第1歯車部61及び左右の第2歯車部62の回動軸に沿って直線的に形成されている。中間歯車60は、支持軸部24に回動可能に、また、支持軸部24に沿って左右方向にスライド可能に支持されている。
【0041】
中間歯車60の第1歯車部61は、扇形歯車により形成されている。第1歯車部61における扇形の円弧部分には、操作側歯車52と噛み合わせる歯形61aが形成されている。この第1歯車部61は、中間歯車60が上下方向に回動しても、中央縦ルーバー41と干渉しない範囲で設けられている。左右の第2歯車部62は、それぞれ平歯車により形成されており、各第2歯車部62の全周には、ルーバー側歯車23と噛み合わせる歯形62aが形成されている。第1歯車部61と左右の第2歯車部62の間には、左右の挿入空間部66が設けられている。
【0042】
左右の挿入空間部66には、
図3に示すように、操作部50の左右の操作ローラー51が挿入される。操作部50及び中間歯車60において、操作部50における左右の操作ローラー51間に第1歯車部61が挿入されるとともに、中間歯車60における左右の挿入空間部66に左右の操作ローラー51がそれぞれ挿入されることにより、操作部50を保持部材70に沿って幅方向(操作部50の回転軸方向)に摺動させたときに、中間歯車60を操作部50とともに支持軸部24に沿って幅方向に摺動させることができる。
【0043】
中間歯車60のルーバー係合部64は、左右一対の係合アーム部64aにより形成されている。左右の係合アーム部64aは、軸本体部63の互いに左右方向に離れた位置から、それぞれ後方に向けて延びている。左右の係合アーム部64a間には空間部が設けられており、この空間部内に、中央縦ルーバー41の係合軸部41cが収容される。これにより、中間歯車60が支持軸部24に沿って幅方向にスライドすることにより、中央縦ルーバー41と、図示しないリンク部材によって中央縦ルーバー41に連結されている複数の左側縦ルーバー42及び右側縦ルーバー43とを左右方向に回動させることができる。従って、操作部50を左右方向に移動させることにより、全ての縦ルーバー40の向きを調整することができる。
【0044】
本実施例の風向調整装置10では、上述のように、中間歯車60の第1歯車部61が操作部50の操作側歯車52に噛み合わされているとともに、中間歯車60の左右の第2歯車部62がガイド本体部20に設けた左右のルーバー側歯車23に噛み合わされている(
図2を参照)。従って、例えば
図2に示すように、操作部50の操作ローラー51を、操作ローラー51の前側部分が上側に移動するように回動させることにより、操作部50の操作側歯車52に噛み合う中間歯車60を操作部50の回動方向とは反対の方向に回動させる。更に、この中間歯車60の回動により、中間歯車60に噛み合うガイド本体部20のルーバー側歯車23を操作部50の回動方向と同じ方向に回動させることができる。
【0045】
すなわち、本実施例では、操作部50の操作ローラー51(操作ローラー51の前側部分)を指で上方又は下方に回動させることにより、操作側歯車52、中間歯車60、及びルーバー側歯車23を介して、横ルーバー30が一体的に固定されているガイド本体部20を、操作ローラー51の回動方向と同じ方向に円滑に回動させることができる。これにより、横ルーバー30を上下方向に回動させるときの操作性、すなわち、風向きを上下方向に調整するときの操作性を向上させることができる。
【0046】
以上のように、本実施例の風向調整装置10では、操作部50の操作ローラー51を上下方向に回動させることにより、複数の横ルーバー30を同時に上下方向に回動させることができる。また、操作部50を保持部材70に沿って左右方向にスライドさせることにより、複数の縦ルーバー40を同時に左右方向に回動させることができる。従って、操作者は、操作部50を操作することにより、風向調整装置10から吹き出す空気の風向を、上下方向及び左右方向に容易に且つ円滑に調整できる。
【0047】
また本実施例の風向調整装置10では、操作部50の操作ローラー51を上下方向に回動させて横ルーバー30を回動させる場合、その回動操作の前後で、操作部50の外観及び位置が変化しない。このため、操作部50の回動操作に起因して、風向調整装置10の見栄えが低下することや、保持部材70及び内装部材1の一体的なデザイン性が崩れることはない。また、操作部50を左右方向にスライドさせて縦ルーバー40を回動させる場合には、その操作の前後で、操作部50の位置が左右方向に動くものの、操作部50の外観は変化しない。このため、操作部50のスライド操作に起因して、風向調整装置10の見栄えに与える影響を小さく抑えることができる。
【0048】
更に本実施例の風向調整装置10では、操作部50の操作ローラー51の一部が外部に露出するものの、横ルーバー30及び縦ルーバー40を回動させるために設けられる中間歯車60やルーバー側歯車23は、操作部50の後方に配されるため、空気吹出口2側から見え難くすることができる。これにより、内装部材1のデザイン性をより高めることができる。
【0049】
なお、本実施例において、操作部50を保持する保持部材(シャフト部材)70は、幅方向に細長い棒状に形成されているが、本発明において、操作部を保持する保持部材の形状は特に限定されず、例えば保持部材を、
図4に変形例として示す形状等のその他の形状で形成することも可能である。
【0050】
図4に示した保持部材70aは、第1組立部材75及び第2組立部材76を有する。第1組立部材75は、横断面が円形以外の形状を有する第1装飾部75aと、第1装飾部75aの左右の側端部から幅方向に延びる左側軸部75b及び右側軸部75cとを有する。第2組立部材76は、横断面が円形以外の形状を有する第2装飾部76aと、第2装飾部76aの左側の側端部から幅方向に延びる左側軸部76bとを有する。また、第2装飾部76aには、第1組立部材75の左側軸部75bの一部を挿入して収容する収容孔部76cが設けられている。
【0051】
図4に示した保持部材70aでは、第1組立部材75の左側軸部75bを、操作部50の貫通孔部53に挿通し、更に、その左側軸部75bを第2組立部材76の収容孔部76cに挿入して収容することによって組み立てられる。この場合、操作部50は、保持部材70aに対し、保持部材70aを回動軸として回動可能に、また、保持部材70aに沿って左右方向にスライド可能に取り付けられる。更に、操作部50を保持した保持部材70aは、上述した実施例と同様の固定部71等で内装部材1に固定される。この場合、操作部50のスライド範囲を第1装飾部75a及び第2装飾部76a間の距離で設定することも可能である。
このような保持部材70aを使用して風向調整装置10が内装部材1に取り付けられても、上述した実施例の場合と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、上述した実施例の風向調整装置10では、操作部50の操作によって、空気の風向を上下方向及び左右方向に調整することが可能であるが、本発明の風向調整装置10は、空気の風向を少なくとも上下方向で調整可能に形成されていればよい。このため、例えば本発明には、
図5に示すような空気の風向を上下方向のみで調整可能な風向調整装置10aも含まれる。
【0053】
この
図5に要部のみを示す風向調整装置10aでは、操作部50の左右両側に、操作部50の幅方向への移動を規制する規制部3が内装部材1に一体的に設けられている。左右の規制部3は、保持部材70の後方側に、且つ、保持部材70と干渉しないように配されている。なお、規制部3は、保持部材70の前側に保持部材70の一部を覆うように配されていてもよい。
【0054】
また、この風向調整装置10aの場合、中間歯車は、ルーバー係合部64を設けずに形成されていてもよい。更に、操作部50を保持する保持部材は、幅方向に関して、左右の規制部3の外側縁部間の幅寸法よりも短く形成され、且つ、左右の規制部3に固定部等で固定されていてもよい。
【0055】
更にまた、上述した実施例の風向調整装置10及び内装部材1の空気吹出口2は、幅方向に細長く形成されているが、本発明において、風向調整装置及び内装部材の空気吹出口の大きさや形状は特に限定されない。本発明の風向調整装置及び内装部材の空気吹出口は、例えば幅方向(左右方向)と高さ方向(上下方向)に同じ大きさ又は略同じ大きさに形成されていてもよく、また、高さ方向に細長く形成されていてもよい。また、本発明の風向調整装置及び内装部材の空気吹出口は、前方側からみたときに円形に形成されていてもよい。